説明

エンジン

【課題】振動に対する強度を向上させることができるエンジンを提供することを目的とする。
【解決手段】エンジン1の冷却水を冷却するラジエータ13と、ラジエータ13の左側面に設けられ、ラジエータ13と連通されるサブタンク30と、を具備するエンジン1において、サブタンク30をラジエータ13とで挟んで固定する固定部材である固定ステー39を具備するものである。また、エンジン1は、ラジエータ13を覆うラジエータカバー11と、エンジン1の燃料を貯溜する燃料タンク10と、ラジエータカバー11が取り付けられるラジエータカバー取付部材であるラジエータカバー取付ステー40と、燃料タンク10を支持する燃料タンク支持部材である燃料タンク支持ブラケット46と、を具備し、ラジエータカバー取付ステー40は、燃料タンク支持ブラケット46に固定されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関し、より詳細には、ラジエータを具備するエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジエータを具備するエンジンにおいては、ラジエータと連通されるサブタンクを具備するものが公知となっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のエンジン(横型内燃機関)では、サブタンクは、例えば、ボルトによりラジエータに直接固定される。また、ラジエータを具備するエンジンにおいては、ラジエータを覆うラジエータカバーを具備するものが公知となっている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のエンジンでは、ラジエータカバーは、例えば、ラジエータカバー取付部材を介して溶接によりラジエータに直接固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−19110号公報
【特許文献2】実開平5−52234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術では、サブタンク及びラジエータカバーが振動に対して十分な強度を有していない、という問題があった。
【0005】
すなわち、特許文献1に記載の技術において、サブタンクがボルトによりラジエータに直接固定される場合、当該ボルト固定部分が振動で破損すると、サブタンクが安定的に支持されなくなって、振動に対する強度が低下することになる。また、特許文献2に記載の技術において、ラジエータ取付部材が溶接によりラジエータに直接固定される場合、当該溶接固定部分が振動により破損すると、ラジエータカバーが安定的に支持されなくなくなって、振動に対する強度が低下することになる。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、振動に対する強度を向上させることができるエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、前記ラジエータの一側に設けられ、前記ラジエータと連通されるサブタンクと、を具備するエンジンにおいて、前記サブタンクを前記ラジエータとで挟んで固定する固定部材を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記サブタンクの外周面には、側方凸部が設けられ、前記固定部材には、前記側方凸部と係合する係合部が設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記サブタンクと前記固定部材との間には、振動を緩衝する緩衝部材が設けられるものである。
【0011】
請求項4においては、前記サブタンクには、その外周面が凹むように形成され、前記緩衝部材が取り付けられる取付凹部が形成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記ラジエータは、その下部がラジエータ固定ボルトにより固定され、前記サブタンクの下部には、前記ラジエータ固定ボルトと係合する下方凸部が設けられ、前記下方凸部と前記ラジエータ固定ボルトとが係合することにより、前記サブタンクが位置決めされるものである。
【0013】
請求項6においては、前記ラジエータを覆うラジエータカバーと、エンジンの燃料を貯溜する燃料タンクと、前記ラジエータカバーが取り付けられるラジエータカバー取付部材と、前記燃料タンクを支持する燃料タンク支持部材と、を具備し、前記ラジエータカバー取付部材は、前記燃料タンク支持部材に固定されるものである。
【0014】
請求項7においては、前記ラジエータカバー取付部材は、共締めボルトにより前記燃料タンクと共締めされて前記燃料タンク支持部材に固定されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、サブタンクが固定部材とラジエータとで挟まれて固定されることにより、サブタンクが固定部材とラジエータとで安定的に支持されるため、振動に対する強度を向上させることができる。
【0017】
請求項2においては、サブタンクの側方凸部と固定部材の係合部とが係合することにより、サブタンクがずれたりしないため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0018】
請求項3においては、振動が緩衝部材によって緩衝されることにより、サブタンクの振動が低減されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0019】
請求項4においては、緩衝部材がサブタンクの取付凹部に取り付けられることにより、緩衝部材が所定の位置に容易に取り付けられるとともに、振動時に緩衝部材がずれたりしない。これにより、サブタンクの振動が緩衝部材によって確実に低減されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0020】
請求項5においては、サブタンクが位置決めされることにより、サブタンクが所定の位置に容易に固定されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。また、ラジエータを固定するラジエータ固定ボルトを利用することにより、サブタンクに下方凸部を設けるだけで、サブタンクの位置決め構造を簡易かつ安価に構成することができる。
【0021】
請求項6においては、ラジエータカバーがラジエータ取付部材を介して燃料タンク支持部材に固定されることにより、ラジエータカバーが燃料タンク支持部材に安定的に支持されるため、振動に対する強度を向上させることができる。
【0022】
請求項7においては、ラジエータカバーが燃料タンクと共締めされて固定されることにより、ラジエータカバーと燃料タンクとの相対位置がずれたりしないため、燃料タンクとラジエータカバーとの間の隙間を一定に保つことができる。また、部品点数の削減により、コスト低減及び生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンを示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るエンジンを示す正面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るエンジンを示す背面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るエンジンを示す正面断面図。
【図5】図4におけるA−A位置での断面図。
【図6】(a)固定ステーによってサブタンクが固定されたラジエータを示す側面図。(b)固定ステーによってサブタンクが固定されたラジエータを示す平面図。
【図7】固定ステーによってサブタンクがラジエータに固定される状態を示す分解側面図。図中に二点鎖線で囲んだ楕円の中には固定ステーの斜視図を示している。
【図8】下方凸部とボルトとが係合している状態を示す斜視図。
【図9】ラジエータカバー及び燃料タンクが燃料タンク支持ブラケットに固定される状態を示す分解側面図。
【図10】(a)ラジエータカバーを示す斜視図。(b)ラジエータカバー取付ステーを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0025】
先ず、本発明の一実施形態に係るエンジン1の全体構成について、図1から図5により説明する。なお、以下の説明では、エンジン1のクランク軸9の軸方向を前後方向として、図1及び図2の矢印Uで示す方向を「上方」、矢印Lで示す方向を「左方」、図5の矢印Fで示す方向を「前方」という。
【0026】
図1から図3に示すように、エンジン1は、いわゆる横型水冷エンジンである。エンジン1において、シリンダブロック2の左側面には、シリンダヘッド3が設けられる。シリンダヘッド3の上方には、エアクリーナ4及びマフラー5が前後に並べて設けられる。また、シリンダブロック2の前面には、ギヤケース6が、シリンダブロック2の後面には、フライホイール7が、シリンダブロック2の下面には、オイルパン8が、それぞれ設けられる。フライホイール7は、クランク軸9の後端部に設けられる。
【0027】
また、シリンダブロック2の上面には、ラジエータ13(図4参照)を覆うラジエータカバー11及びエンジン1の燃料が貯溜される燃料タンク10が左右に並べて設けられる。ラジエータカバー11内には、ラジエータ13及び冷却ファン14が収容される(図5参照)。ラジエータカバー11の前面には、冷却風入口スクリーン15が、ラジエータカバー11の後面には、冷却風出口スクリーン16が、それぞれ設けられる。また、燃料タンク10の右側面には、照明用のライト12が設けられる。
【0028】
図4及び図5に示すように、シリンダブロック2内には、クランク軸9が前後方向に架設される。クランク軸9は、図示しない軸受を介してシリンダブロック2に回転可能に軸支される。クランク軸9の後端部は、シリンダブロック2の後面から後方に突出する。クランク軸9の後端部には、フライホイール7が設けられる。
【0029】
また、シリンダブロック2の左側部には、ライナ17が左右水平方向に設けられる。シリンダブロック2において、ライナ17の周囲には、冷却水が流れるウォータージャケット18が形成される。ウォータージャケット18は、シリンダブロック2の上面にて開口するように形成される。なお、ウォータージャケット18は、シリンダヘッド3に形成される図示しない冷却水通路と連通される。
【0030】
また、ライナ17には、ピストン20が水平方向に往復運動(摺動)可能に内設される。ピストン20は、コネクティングロッド19を介してクランク軸9と連接される。ピストン20の往復運動は、コネクティングロッド19を介してクランク軸9の回転運動に変換される。また、ライナ17とピストン20とシリンダヘッド3との間には、燃焼室21が形成される。
【0031】
次に、ラジエータ13及び冷却ファン14について、図4から図6により説明する。
【0032】
図4から図6に示すように、ラジエータ13は、ラジエータコア26及びアッパータンク27等で構成される。ラジエータ13は、ラジエータ取付間座25を介してシリンダブロック2の上面に取り付けられる。
【0033】
ラジエータコア26では、冷却水が流れる多数の冷却水チューブ28が上下方向に延設される。多数の冷却水チューブ28間には、多数の放熱用のフィン29が設けられる。また、ラジエータコア26の上面には、アッパータンク27が設けられる。アッパータンク27内には、冷却水チューブ28の上端部が差し込まれる。
【0034】
また、アッパータンク27には、冷却水を補給するための補給口27aが設けられる。補給口27aには、圧力調整用のラジエータキャップ27bが取り付けられる。また、ラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面には、サブタンク30が設けられる。サブタンク30は、固定ステー39とラジエータ13とで挟まれるように配置され、固定ステー39によってラジエータカバー11に固定される。
【0035】
サブタンク30は、ラジエータ13内の冷却水を所定量に維持するためのものである。つまり、ラジエータ13内の冷却水が熱膨張により増加すると、ラジエータ13内の冷却水がサブタンク30内に流入する一方、ラジエータ13内の冷却水が減少すると、サブタンク30内の冷却水がラジエータ13に戻されることにより、ラジエータ13内の冷却水が所定量に維持される。サブタンク30とラジエータキャップ27bとは、ホース37を介して連通される。
【0036】
冷却ファン14は、その回転中心部にファン軸14aを有し、ファンカバー31で覆われてラジエータ13の後方に設けられる。ファン軸14aは、ファンカバー31内に前後方向に架設されるとともに、軸受32を介してファンカバー31に回転可能に軸支される。ファン軸14aの後端部には、ファンプーリ33が設けられる。
【0037】
図5に示すように、クランク軸9後端部のフライホイール7には、クランクプーリ34が設けられる。クランクプーリ34及びファンプーリ33には、ファンベルト35が巻かれる。これにより、クランク軸9の動力が、クランクプーリ34、ファンベルト35、ファンプーリ33を経て、ファン軸14aに伝達されることにより、冷却ファン14が回転する。なお、ファンベルト35には、テンションプーリ36によって張力が付与される。
【0038】
こうして、冷却ファン14が回転すると、冷却風が冷却風入口スクリーン15からラジエータカバー11内に流入し、冷却風出口スクリーン16からエンジン1外部に流出する。つまり、冷却ファン14の冷却風によってラジエータ13が冷却される。
【0039】
次に、固定ステー39及びサブタンク30について、図6から図8により説明する。
【0040】
固定ステー39は、略バンド状(帯状)に形成される。固定ステー39は、基板391、側板392・393及び取付板394・395等で構成される。
【0041】
基板391は、サブタンク30の左側面に沿うように設けられる。基板391は、ラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面と略平行に設けられる。基板391は、その長さ(前後方向の長さ)がサブタンク30の長さ(前後方向の長さ)と同程度(厳密には若干長い程度)に構成される。基板391には、サブタンク30に設けられる側方凸部301と係合する係合孔391Aが形成される。本実施形態では、基板391には、前後二つの係合孔391Aが形成される。本実施形態に係る係合孔391Aは、側面視略円形状に形成される。なお、係合孔391Aの形状は、側面視略円形状に限定するものではない。
【0042】
側板392・393は、サブタンク30の前後面に沿うように設けられる。側板392・393は、その長さ(左右方向の長さ)がサブタンク30の長さ(左右方向の長さ)と同程度(厳密には若干長い程度)に構成される。側板392・393は、互いに略平行に設けられる。側板392は、その左辺が基板391の前辺に連なって、基板391に対して略垂直に設けられる。側板393は、その左辺が基板391の後辺に連なって、基板391に対して略垂直に設けられる。
【0043】
取付板394・395は、ラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面に沿うように設けられる。取付板394・395は、基板391に対して略平行に設けられる。取付板394は、その後辺が側板392の右辺に連なって、側板392に対して略垂直に設けられる。取付板394には、第一取付部396が設けられる。取付板395は、その前辺が側板393の右辺に連なって、側板393に対して略垂直に設けられる。取付板395には、第一取付部397及び第二取付部398が設けられる。
【0044】
第一取付部396は、取付板394の上端部にて右方に折れ曲がるように形成される。第一取付部396は、取付板394に対して略垂直に設けられる。第一取付部396には、第一ボルト41が挿入される第一ボルト孔396Aが形成される。第一ボルト41により、第一取付部396がラジエータカバー11に固定される。
【0045】
第一取付部397は、取付板395の上端部にて右方に折れ曲がるように形成される。第一取付部397は、取付板395に対して略垂直に設けられる。第一取付部397には、第一ボルト41が挿入される第一ボルト孔397Aが形成される。第一ボルト41により、第一取付部397がラジエータカバー11に固定される。
【0046】
第二取付部398は、取付板395の後端部にて左方に折れ曲がるように形成される。第二取付部398は、取付板395に対して略垂直に設けられる。第二取付部398には、第二ボルト42が挿入される第二ボルト孔398Aが形成される。第二ボルト42により、第二取付部398がファンカバー31に固定される。
【0047】
サブタンク30は、側方凸部301、下方凸部302及び取付凹部303を有する。
【0048】
側方凸部301は、サブタンク30の左側面に設けられる。側方凸部301は、固定ステー39の係合孔391Aと係合する。本実施形態では、サブタンク30には、前後二つの側方凸部301が設けられる。本実施形態に係る側方凸部301は、側面視略円形状に形成される。なお、側方凸部301の形状は、側面視略円形状に限定するものではない。
【0049】
下方凸部302は、サブタンク30の下面に設けられる。本実施形態では、サブタンク30には、一つの下方凸部302が設けられる。下方凸部302は、ラジエータ固定ボルト38(具体的には、ラジエータ13の左側下部を固定する三つのラジエータ固定ボルト38・38・38のうち真ん中のラジエータ固定ボルト38)と係合する。つまり、下方凸部302は、ラジエータ固定ボルト38の頭部とラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面との隙間に入り込むことにより、ラジエータ固定ボルト38と係合する。
【0050】
取付凹部303は、サブタンク30の前後面に形成される。本実施形態では、サブタンク30には、前後二つの取付凹部303が形成される。取付凹部303には、振動を緩衝するゴムバンド43が取り付けられる。ゴムバンド43は、サブタンク30の外周に巻かれて、サブタンク30と固定ステー39との間に設けられる。
【0051】
こうして、固定ステー39とラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面との隙間に、サブタンク30が上方から挿入されると、サブタンク30の側方凸部301と固定ステー39の係合孔391Aとが係合するとともに、サブタンク30の下方凸部302とラジエータ固定ボルト38とが係合する。これにより、サブタンク30が固定ステー39とラジエータ13とで挟まれて固定される。
【0052】
なお、本実施形態に係る係合孔391A及び側方凸部301は、二つであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、係止孔及び側方凸部は、一つ又は三つ以上であってもよい。また、係合孔391Aの代わりに凸部、側方凸部301の代わりに凹部を設けてもよい。
【0053】
また、本実施形態に係る取付凹部303は、サブタンク30の前後面に形成されるものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、取付凹部は、サブタンク30の前後一側面、又は、サブタンク30の左右一側面若しくは両側面、又は、サブタンク30の外周面に連続する帯状に形成されるものであってもよい。
【0054】
また、本実施形態に係る下方凸部302は、一つであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、下方凸部は、二つ以上であってもよい。
【0055】
以上のように、エンジン1の冷却水を冷却するラジエータ13と、ラジエータ13の左側面に設けられ、ラジエータ13と連通されるサブタンク30と、を具備するエンジン1において、サブタンク30をラジエータ13とで挟んで固定する固定部材である固定ステー39を具備するものである。
【0056】
このような構成により、サブタンク30が固定ステー39とラジエータ13とで挟まれて固定されることにより、サブタンク30が固定ステー39とラジエータ13とで安定的に支持されるため、振動に対する強度を向上させることができる。
【0057】
特に、本実施形態では、固定ステー39とラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面との隙間にサブタンク30を挿入するだけで、サブタンク30が固定されるため、サブタンク30を容易に組み立てることができる。
【0058】
そして、サブタンク30の左側面には、側方凸部301が設けられ、固定ステー39には、側方凸部301と係合する係合部である係合孔391Aが設けられるものである。
【0059】
このような構成により、サブタンク30の側方凸部301と固定ステー39の係合孔391Aとが係合することにより、サブタンク30がずれたりしないため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0060】
特に、本実施形態では、固定ステー39とラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面との隙間にサブタンク30を挿入するだけで、サブタンク30の側方凸部301と固定ステー39の係合孔391Aとが係合するため、サブタンク30をさらに容易に(ワンタッチで)組み立てることができる。
【0061】
また、サブタンク30と固定ステー39との間には、振動を緩衝する緩衝部材であるゴムバンド43が設けられるものである。
【0062】
このような構成により、振動がゴムバンド43によって緩衝されることにより、サブタンク30の振動が低減されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0063】
特に、本実施形態では、ゴムバンド43がサブタンク30の外周に巻かれることにより、ゴムバンド43が固定ステー39と幅広く接触して、サブタンク30の振動がさらに低減されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0064】
さらに、サブタンク30には、その前後面が凹むように形成され、ゴムバンド43が取り付けられる取付凹部303が形成されるものである。
【0065】
このような構成により、ゴムバンド43がサブタンク30の取付凹部303に取り付けられることにより、ゴムバンド43が所定の位置に容易に取り付けられるとともに、振動時にゴムバンド43がずれたりしない。これにより、サブタンク30の振動がゴムバンド43によって確実に低減されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。
【0066】
そして、ラジエータ13は、その下部がラジエータ固定ボルト38により固定され、サブタンク30の下面には、ラジエータ固定ボルト38と係合する下方凸部302が設けられ、下方凸部302とラジエータ固定ボルト38とが係合することにより、サブタンク30が位置決めされるものである。
【0067】
このような構成により、サブタンク30が位置決めされることにより、サブタンク30が所定の位置に容易に固定されるため、振動に対する強度をさらに向上させることができる。また、ラジエータ13を固定するラジエータ固定ボルト38を利用することにより、サブタンク30に下方凸部302を設けるだけで、サブタンク30の位置決め構造を簡易かつ安価に構成することができる。
【0068】
次に、ラジエータカバー11、ラジエータカバー11が取り付けられるラジエータカバー取付ステー40、及び燃料タンク10が支持される燃料タンク支持ブラケット46について、図7及び図10により説明する。
【0069】
ラジエータカバー11は、取付部111・111、ラジエータキャップ孔112及び第一ボルト孔113・113を有する。
【0070】
取付部111・111は、ラジエータカバー11の右側にて前後両側に設けられる。取付部111・111は、互いに略平行に設けられる。取付部111には、ボルト44が挿入されるボルト孔111Aが形成される。ボルト44により、取付部111がラジエータカバー取付ステー40(第一取付部403、第二取付部404)に固定される。
【0071】
ラジエータキャップ孔112は、ラジエータカバー11の略中央部に形成される。ラジエータキャップ孔112からは、ラジエータカバー11内に収容されるラジエータ13の補給口261が上方に突出する。
【0072】
第一ボルト孔113・113は、ラジエータカバー11の左側にて前後両側に形成される。第一ボルト孔113には、第一ボルト41が挿入される。第一ボルト41により、固定ステー39の第一取付部396・397がラジエータカバー11に固定される。
【0073】
ラジエータカバー取付ステー40は、その長さ(前後方向の長さ)がラジエータカバー11の長さ(前後方向の長さ)と同じ程度(厳密には若干短い程度)に構成される。ラジエータカバー取付ステー40は、基板401及び側板402等で構成される。
【0074】
基板401には、共締めボルト45が挿入されるボルト孔401Aが形成される。共締めボルト45により、基板401が燃料タンク支持ブラケット46に固定される。本実施形態では、基板401には、前後二つのボルト孔401Aが形成される。基板401の後端部には、第一取付部403が設けられる。
【0075】
第一取付部403は、ラジエータカバー11の取付部111・111のうち後側の取付部111の内側面に沿うように設けられる。第一取付部403は、基板401の後端部にて上方に折れ曲がるように形成される。第一取付部403は、基板401に対して略垂直に設けられる。第一取付部403には、ボルト44が挿入される第一ボルト孔403Aが形成される。ボルト44により、ラジエータカバー11の取付部111が第一取付部403に固定される。
【0076】
側板402は、その下辺が基板401の左辺に連なって、基板401に対して略垂直に設けられる。側板402の前端部には、第二取付部404が設けられる。
【0077】
第二取付部404は、ラジエータカバー11の取付部111・111のうち前側の取付部111の内側面に沿うように設けられる。第二取付部404は、側板402の前端部にて右方に折れ曲がるように形成される。第二取付部404は、側板402に対して略垂直に設けられる。第二取付部404には、ボルト44が挿入される第二ボルト孔404Aが形成される。ボルト44により、ラジエータカバー11の取付部111が第二取付部404に固定される。
【0078】
図9に示すように、燃料タンク支持ブラケット46は、その上端面に共締めボルト45が挿入されるボルト孔461が形成される。本実施形態では、燃料タンク支持ブラケット46には、前後二つのボルト孔461が形成される。
【0079】
燃料タンク10は、その縁部101に共締めボルト45が挿入されるボルト孔101Aが形成される。共締めボルト45により、燃料タンク10(縁部101)が燃料タンク支持ブラケット46に固定される。本実施形態では、燃料タンク10の縁部101には、前後二つのボルト孔101Aが形成される。
【0080】
こうして、ラジエータカバー取付ステー40(基板401)のボルト孔401A、燃料タンク10(縁部101)のボルト孔101A、及び燃料タンク支持ブラケット46のボルト孔461に、共締めボルト45が挿入される。これにより、ラジエータカバー取付ステー40と燃料タンク10とが、共締めボルト45により共締めされて燃料タンク支持ブラケット46に固定される。
【0081】
以上のように、ラジエータ13を覆うラジエータカバー11と、エンジン1の燃料を貯溜する燃料タンク10と、ラジエータカバー11が取り付けられるラジエータカバー取付部材であるラジエータカバー取付ステー40と、燃料タンク10を支持する燃料タンク支持部材である燃料タンク支持ブラケット46と、を具備し、ラジエータカバー取付ステー40は、燃料タンク支持ブラケット46に固定されるものである。
【0082】
このような構成により、ラジエータカバー11がラジエータカバー取付ステー40を介して燃料タンク支持ブラケット46に固定されることにより、ラジエータカバー11が燃料タンク支持ブラケット46に安定的に支持されるため、振動に対する強度を向上させることができる。
【0083】
そして、ラジエータカバー取付ステー40は、共締めボルト45により燃料タンク10と共締めされて燃料タンク支持ブラケット46に固定されるものである。
【0084】
このような構成により、ラジエータカバー11が燃料タンク10と共締めされて固定されることにより、ラジエータカバー11と燃料タンク10との相対位置がずれたりしないため、燃料タンク10とラジエータカバー11との間の隙間を一定に保つことができる。また、部品点数の削減により、コスト低減及び生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 エンジン
10 燃料タンク
11 ラジエータカバー
13 ラジエータ
30 サブタンク
38 ラジエータ固定ボルト
39 固定ステー(固定部材)
40 ラジエータカバー取付ステー(ラジエータカバー取付部材)
43 ゴムバンド(緩衝部材)
45 共締めボルト
46 燃料タンク支持ブラケット(燃料タンク支持部材)
301 側方凸部
302 下方凸部
303 取付凹部
391A 係合孔(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、
前記ラジエータの一側に設けられ、前記ラジエータと連通されるサブタンクと、を具備するエンジンにおいて、
前記サブタンクを前記ラジエータとで挟んで固定する固定部材を具備することを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記サブタンクの外周面には、側方凸部が設けられ、
前記固定部材には、前記側方凸部と係合する係合部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記サブタンクと前記固定部材との間には、振動を緩衝する緩衝部材が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記サブタンクには、その外周面が凹むように形成され、前記緩衝部材が取り付けられる取付凹部が形成されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項5】
前記ラジエータは、その下部がラジエータ固定ボルトにより固定され、
前記サブタンクの下部には、前記ラジエータ固定ボルトと係合する下方凸部が設けられ、
前記下方凸部と前記ラジエータ固定ボルトとが係合することにより、前記サブタンクが位置決めされることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記ラジエータを覆うラジエータカバーと、
エンジンの燃料を貯溜する燃料タンクと、
前記ラジエータカバーが取り付けられるラジエータカバー取付部材と、
前記燃料タンクを支持する燃料タンク支持部材と、を具備し、
前記ラジエータカバー取付部材は、前記燃料タンク支持部材に固定されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記ラジエータカバー取付部材は、共締めボルトにより前記燃料タンクと共締めされて前記燃料タンク支持部材に固定されることを特徴とする請求項6に記載のエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68101(P2013−68101A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205369(P2011−205369)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)