オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法
【目的】 特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法を提供する。
【構成】 100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%であるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を製造する方法である。本発明の方法は、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換した後、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理することよりなる。
【構成】 100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%であるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を製造する方法である。本発明の方法は、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換した後、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理することよりなる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体に用いられるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オキシチタニウムフタロシアニンについては、PB85172に報告されているα−、β型の他にも種々の結晶多形をとり、そのうち特に2θ±0.2°=27.3°に最も強いピークを有するものが高感度であり、電子写真感光体の電荷発生材として有効であることから、特に注目されている。たとえば、特開昭62−67094号公報に記載の、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンは、非常に高感度ではあるが、繰り返し安定性、塗布溶液中での結晶型の安定性、分散性等に問題があった。
【0003】また、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンの製造方法については、その他にも、例えば、特開昭63−20365号および特開平1−299874号公報にオキシチタニウムフタロシアニンを通常のアシッドペースト処理したのち溶剤処理する方法が、特開平2−215866号および同2−215867号公報に有機溶剤中、硫酸、あるいは、スルホン酸とともに加熱、あるいは、ミリングする方法が、また特開平3−54264号および同3−62039号公報にミリングで非晶化したのち、さらにメタノール中で室温、ないし、加熱下で処理する方法が、それぞれ開示されているが、得られた結晶型はいずれも溶剤中で不安定であり、安定型に転移してしまう。また、特開昭64−17066号公報には食塩、ポリエチレングリコールとともにミリングする方法が開示されているが、溶剤を用いるために、温度により、他の結晶型に転移しやすく、また、粒径も不均一になり、コントロールが困難である。また、特開平2−289658号公報には、オキシチタニウムフタロシアニンを機械的に粉砕し、実質的に非晶あるいは、わずかにブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°にピークを示す結晶としたのち、溶剤処理する方法が開示されているが、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°にピークを示す結晶となるまで機械的に粉砕するには非常に長時間を要し、工業的に適しない。また、粒径も不均一で、特定量の結晶水がドーピングされたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を安定して得ることは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、先に、2θ±0.2°=27.3°に最も強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンに特定量の結晶水をドーピングすると、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定であるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られることを見出だし、先に特願平2−316072号として提案した。すなわち、オキシチタニウムフタロシアニンの硫酸溶液を有機溶剤、あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤中に注ぎ、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得たのち、溶剤処理することによって、粒径の均一なオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が効率良く得られることを開示した。しかしながら、硫酸を用いるアシッドペースト法は、多量の硫酸を必要とし、その廃液の処理、工業的な量産化に問題があった。
【0005】本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れた、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得る方法として、特願平2−316072号を提案したが、さらに工業的に適した方法を得るべく種々検討した結果、おどろくべきことに、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩をもちいて乾式粉砕することにより、非常に短時間で、効率良く結晶性が高く、均一に微粉化されたブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得ることができ、これをさらに溶剤処理することにより、目的とするオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得ることができることを見出だした。
【0007】すなわち、特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得るには、特に溶剤処理前のオキシチタニウムフタロシアニンの結晶型、粒径が重要な要因であることを見出し、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンをさらに溶剤処理することにより、目的とするオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られることをつきとめ、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法は、100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%であるものを得るものであって、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換した後、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理することを特徴とする。
【0009】本発明において、予めブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンとしたものを用いることにより溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られる理由については明らかではないが、溶剤処理前後でともにブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有する類似した結晶型であることから、結晶転移に伴う格子歪みが小さく、そのために格子欠陥の小さい粒径の整ったオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られるものと考えられる。
【0010】本発明において、原料として使用されるオキシチタニウムフタロシアニンとしては、如何なる結晶型のものでも使用することができ、公知の方法で合成される。例えば、フタロニトリルと四塩化チタンとを適当な有機溶媒中で反応させたのち加水分解する方法、ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラアルコキサイドとを適当な有機溶媒中で反応させる方法など公知の方法で合成されたものを使用することができる。
【0011】上記のオキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換する。機械的粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニンとしては、ブラッグ角(2θ±0.2°)=7.2°、14.2°、17.8°、24.1°および27.2°に強い回折ピークを有するものをあげることができる。
【0012】無機塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウムなど如何なるものでも使用できるが、粉砕後除去する必要があるので、水溶性のものが好ましい。また、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩との比率は、重量比で1/0.1〜1/20の範囲が用いられるが、粉砕効率、処理量から、1/0.5〜1/5の範囲が好ましい。粉砕には、ボールミル、サンドミル、ニーダー、乳鉢等従来公知の如何なる技術も適用できる。
【0013】次いで、機械的粉砕によって得られたオキシチタニウムフタロシアニンは、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理する。溶剤処理に用いる水に不溶性の有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、n−オクタン、塩化メチレンなどがあげられる。水と有機溶剤との比率は、重量比で99/1〜50/50の範囲が用いられるが、97/3〜80/20の範囲が好ましい。溶剤の使用量は、オキシチタニウムフタロシアニンの重量に対して1〜100倍が用いられるが、5〜50倍の範囲が好ましい。処理温度としては、室温〜100℃、好ましくは50〜100℃で1〜5時間が適用される。
【0014】上記のようにして製造されたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶は、100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%である。このオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶は、200℃まで昇温時の熱重量減少量が、0.6〜3%であるものが好ましい。また、このオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶は、粒径が0.15μm以下で、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有している。例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)=9.5°、14.3°、18.0°、24.0°および27.3°に明瞭な回折ピークを有するものをあげることができる。
【0015】次に、本発明によって得られた上記オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を、感光層における光導電性材料として使用した電子写真感光体について図面を参照して説明する。図13及び図14は、本発明のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いて得られた電子写真感光体の層構成を示す模式図である。図13(a)〜(d)は、感光層が積層型構成を有する例であって、(a)においては、導電性支持体1上に電荷発生層2が形成され、その上に電荷輸送層3が設けられており、(b)においては、導電性支持体1上に電荷輸送層3が設けられ、その上に電荷発生層2が設けられている。また、(c)および(d)においては、導電性支持体1上に下引き層4が設けられている。また図14は、感光層が単層構造を有する例であって、(a)においては、導電性支持体1上に光導電層5が設けられており、(b)においては、導電性支持体1上に下引き層4が設けられている。
【0016】電子写真感光体が、図13に記載のごとき積層型構造を有する場合において、電荷発生層は、上記オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶及び結着樹脂から構成される。結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択することができ、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の絶縁性樹脂をあげることができる。
【0017】電荷発生層は、上記結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、上記オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を分散させて塗布液を調製し、それを導電性支持体の上に塗布することによって形成することができる。その場合、使用するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶と結着樹脂との配合比は、40:1〜1:10、好ましくは、10:1〜1:4である。オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の比率が高すぎる場合には、塗布液の安定性が低下し、低すぎる場合には、感度が低下するので、上記範囲に設定するのが好ましい。
【0018】電荷輸送層は、電荷輸送材料および結着樹脂より構成される。電荷輸送材料としては、例えばアントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環を有する化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物、エナミン化合物、スチルベン化合物等、公知のものならば如何なるものでも使用することができる。さらにまた、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリ−N−ビニルフェニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルアセナフチレン、ポリグリシジルカルバゾール、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂などの光導電性ポリマーがあげられ、これ等はそれ自体で層を形成してもよい。
【0019】また、結着樹脂としては、上記した電荷発生層に使用されるものと同様な絶縁性樹脂が使用できる。電荷輸送層は、上記電荷輸送材料と結着樹脂及び上記と同様な下層を溶解しない有機溶剤とを用いて塗布液を調製した後、同様に塗布して形成することができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量部)は、通常5:1〜1:5の範囲で設定される。また、電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50μm程度に設定される。
【0020】電子写真感光体が、図14に記載のごとき単層構造を有する場合においては、感光層は上記のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が電荷輸送材料および結着樹脂よりなる層に分散され構成を有する光導電層よりなる。その場合、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、1:20〜5:1、オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶と電荷輸送材料との配合比は、1:10〜10:1程度に設定するのが好ましい。電荷輸送材料および結着樹脂は、上記と同様なものが使用され、上記と同様にして光導電層が形成される。導電性支持体としては、電子写真感光体として使用することが公知のものならば、如何なるものでも使用することができる。導電性支持体上に下引き層が設けられてもよい。
【0021】
【実施例】
合成例11,3−ジイミノイソインドリン30部、チタニウムテトラブトキシド17部を1−クロルナフタレン200部中に入れ、窒素気流下190℃において5時間反応させたのち、生成物をろ過し、アンモニア水、水、アセトンで洗浄し、オキシチタニウムフタロシアニン40部を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図1に示す。
【0022】合成例2フタロジニトリル97.5部をα−クロロナフタレン750ml中に加え、窒素気流下よく撹拌したのち、四塩化チタン22mlを滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、200℃で3時間反応した。反応終了後100℃まで放冷し、析出した結晶をろ別し、あらかじめ100℃に加熱しておいたα−クロロナフタレン200mlで洗浄し、さらに、α−クロロナフタレン300ml、メタノール300mlで洗浄した。次いで、メタノール800mlに分散させ、還流温度で1時間処理した。結晶をろ過したのち、蒸留水700mlに分散させ、60℃で1時間処理した。この水洗処理を10回繰り返した。最終ろ液のpHは6.0であった。得られたウエットケーキをフリーズドライして、オキシチタニウムフタロシアニン結晶70部得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図2に示す。
【0023】合成例3合成例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶20部を、97%硫酸1000部に5°Cで溶解したのち、氷水13000部中に注ぎ、オキシチタニウムフタロシアニンの析出物をろ過し、希アンモニア水と蒸留水で十分に洗浄した後、乾燥してオキシチタニウムフタロシアニン16部を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図3に示す。
【0024】実施例1合成例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶5部と塩化ナトリウム10部とを、自動乳鉢(ヤマト科学製、LABO−MILL UT−21)を用いて3時間粉砕した。その後、蒸留水で充分に洗浄し、乾燥して4.8部のオキシチタニウムフタロシアニン結晶を得た。粉砕後の粉末X線回折図を、図4に示す。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶は、27.3°に明瞭なピークを示すものであった。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、50℃において1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗浄し、乾燥して、1.6部のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図を、図5に示す。また、粒径は0.05〜0.1μmの均一なものであった。また、赤外線吸収スペクトルを図12に示す。図12において、3300cm-1付近に、結晶水の特徴的な吸収が認められる。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.36であった。
【0025】実施例2合成例2で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶5部を用いた以外は、実施例1と同様に粉砕、溶剤処理した。粉砕後、溶剤処理後の粉末X線回折図は、それぞれ図4、図5と同様であった。また、粒径は0.05〜0.1μmの均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.42であった。
【0026】実施例3合成例3で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶5部を用いた以外は、実施例1と同様に粉砕、溶剤処理した。粉砕後、溶剤処理後の粉末X線回折図は、それぞれ図4、図5と同様であった。また、粒径は0.03〜0.09μmの均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.49であった。
【0027】比較例1塩化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして粉砕処理を行った。粉砕後の粉末X線回折図を、図6に示す。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、50℃において1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗浄し、乾燥して、1.6部のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図を、図7に示す。また、粒径は0.05〜0.3μmの不均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.29であった。
【0028】比較例2粉砕時間を50時間にした以外は、比較例1と同様にして粉砕処理を行った。粉砕後の粉末X線回折図を、図8に示す。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、50℃において1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗浄し、乾燥して、1.6部のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図を、図9に示す。また、粒径は0.03〜0.2μmの不均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.45であった。
【0029】比較例3処理溶剤として、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤の代わりに、DMF20部を用いた以外は、実施例1と同様に粉砕、溶剤処理した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図10に示す。また、粒径は0.05〜0.12μmのほぼ均一なものであった。
【0030】比較例4処理溶剤として、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤の代わりに、DMF20部を用いた以外は、実施例3と同様に粉砕、溶剤処理した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図11に示す。また、粒径は0.03〜0.11μmのほぼ均一なものであった。
【0031】上記合成例2、実施例1〜3の粉砕後、及び、溶剤処理後、比較例1〜4の溶剤処理後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶を100°C,0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温、空気雰囲気下に放置した後の元素分析値、及び、200°Cまで昇温時の熱重量減少量を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】応用例1アルミニウムメッキ板上に、有機ジルコニウム化合物(商品名;オルガチックスZC540、松本製薬(株)製)10部、シランカップリング材(商品名;A1110、日本ユニカー(株)製)2部、イソプロピルアルコール30部、n−ブタノール30部からなる塗布液を用いて浸漬コーティング法で塗布し、150℃において5分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引き層を形成した。次に、この下引き層上に実施例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶0.1部をポリビニルブチラール(商品名;エスレックBM−S,積水化学(株)製)0.1部及びシクロヘキサノン10部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間処理して分散したのち、得られた塗布液を浸漬コーティング法で塗布し、100℃において5分間加熱乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次に、下記化合物(1)1部と下記構造式(2)で示されるポリ(4、4−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート)1部を、モノクロロベンゼン8部に溶解し、得られた塗布液を、電荷発生層が形成されたアルミニウム基盤上に浸漬コーティング法で塗布し、120℃において、1時間加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0034】
【化1】
【0035】得られた電子写真感光体を、常温常湿(20℃、40%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)、の環境下で、静電複写紙試験装置(EPA−8100、川口電気(株)製)を用いて、つぎの測定を行った。
VDDP :−6.0KVのコロナ放電を行って負帯電させ、1秒後の表面電位。
E1/2 :バンドパスフィルターを用いて800nmに分光した光での電位の減衰率。
VRP:50erg/cm2 の白色光を0.5秒照射した後の表面電位。
ΔE1/2 :上記環境下で測定した上記E1/2 の環境下における変動量。
ΔVDDP :上記帯電、露光を1000回繰り返した後のVDDP と初期のVDDP の変動量。
ΔVRP:上記帯電、露光を1000回繰り返した後のVRPと初期のVRPの変動量。
結果を表2に示す。
【0036】応用例2および3表2に示すオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いた以外は、応用例1と同様にして電子写真感光体を形成し、評価した。結果を表2に示す。
【0037】参考例1〜6表2に示すフタロシアニン結晶を用いた以外は、応用例1と同様にして電子写真感光体を形成し、評価した。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明により特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶安定して得られる。本発明により得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いると、繰り返し安定性、環境安定性の優れた電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図2】 合成例2で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図3】 合成例3で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図4】 実施例1における粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図5】 実施例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図。
【図6】 比較例1における粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図7】 比較例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図。
【図8】 比較例2における粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図9】 比較例2で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図。
【図10】 比較例3で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図11】 比較例4で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図12】 実施例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の赤外線吸収スペクトル図。
【図13】 本発明で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いて作製された電子写真感光体の層構成を示す模式図。
【図14】 本発明で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いて作製された電子写真感光体の他の層構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…導電性支持体、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…下引き層、5…光導電層。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体に用いられるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オキシチタニウムフタロシアニンについては、PB85172に報告されているα−、β型の他にも種々の結晶多形をとり、そのうち特に2θ±0.2°=27.3°に最も強いピークを有するものが高感度であり、電子写真感光体の電荷発生材として有効であることから、特に注目されている。たとえば、特開昭62−67094号公報に記載の、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンは、非常に高感度ではあるが、繰り返し安定性、塗布溶液中での結晶型の安定性、分散性等に問題があった。
【0003】また、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンの製造方法については、その他にも、例えば、特開昭63−20365号および特開平1−299874号公報にオキシチタニウムフタロシアニンを通常のアシッドペースト処理したのち溶剤処理する方法が、特開平2−215866号および同2−215867号公報に有機溶剤中、硫酸、あるいは、スルホン酸とともに加熱、あるいは、ミリングする方法が、また特開平3−54264号および同3−62039号公報にミリングで非晶化したのち、さらにメタノール中で室温、ないし、加熱下で処理する方法が、それぞれ開示されているが、得られた結晶型はいずれも溶剤中で不安定であり、安定型に転移してしまう。また、特開昭64−17066号公報には食塩、ポリエチレングリコールとともにミリングする方法が開示されているが、溶剤を用いるために、温度により、他の結晶型に転移しやすく、また、粒径も不均一になり、コントロールが困難である。また、特開平2−289658号公報には、オキシチタニウムフタロシアニンを機械的に粉砕し、実質的に非晶あるいは、わずかにブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°にピークを示す結晶としたのち、溶剤処理する方法が開示されているが、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°にピークを示す結晶となるまで機械的に粉砕するには非常に長時間を要し、工業的に適しない。また、粒径も不均一で、特定量の結晶水がドーピングされたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を安定して得ることは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、先に、2θ±0.2°=27.3°に最も強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンに特定量の結晶水をドーピングすると、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定であるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られることを見出だし、先に特願平2−316072号として提案した。すなわち、オキシチタニウムフタロシアニンの硫酸溶液を有機溶剤、あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤中に注ぎ、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得たのち、溶剤処理することによって、粒径の均一なオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が効率良く得られることを開示した。しかしながら、硫酸を用いるアシッドペースト法は、多量の硫酸を必要とし、その廃液の処理、工業的な量産化に問題があった。
【0005】本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れた、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得る方法として、特願平2−316072号を提案したが、さらに工業的に適した方法を得るべく種々検討した結果、おどろくべきことに、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩をもちいて乾式粉砕することにより、非常に短時間で、効率良く結晶性が高く、均一に微粉化されたブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを得ることができ、これをさらに溶剤処理することにより、目的とするオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得ることができることを見出だした。
【0007】すなわち、特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得るには、特に溶剤処理前のオキシチタニウムフタロシアニンの結晶型、粒径が重要な要因であることを見出し、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンをさらに溶剤処理することにより、目的とするオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られることをつきとめ、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法は、100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%であるものを得るものであって、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換した後、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理することを特徴とする。
【0009】本発明において、予めブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンとしたものを用いることにより溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られる理由については明らかではないが、溶剤処理前後でともにブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有する類似した結晶型であることから、結晶転移に伴う格子歪みが小さく、そのために格子欠陥の小さい粒径の整ったオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が得られるものと考えられる。
【0010】本発明において、原料として使用されるオキシチタニウムフタロシアニンとしては、如何なる結晶型のものでも使用することができ、公知の方法で合成される。例えば、フタロニトリルと四塩化チタンとを適当な有機溶媒中で反応させたのち加水分解する方法、ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラアルコキサイドとを適当な有機溶媒中で反応させる方法など公知の方法で合成されたものを使用することができる。
【0011】上記のオキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換する。機械的粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニンとしては、ブラッグ角(2θ±0.2°)=7.2°、14.2°、17.8°、24.1°および27.2°に強い回折ピークを有するものをあげることができる。
【0012】無機塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウムなど如何なるものでも使用できるが、粉砕後除去する必要があるので、水溶性のものが好ましい。また、オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩との比率は、重量比で1/0.1〜1/20の範囲が用いられるが、粉砕効率、処理量から、1/0.5〜1/5の範囲が好ましい。粉砕には、ボールミル、サンドミル、ニーダー、乳鉢等従来公知の如何なる技術も適用できる。
【0013】次いで、機械的粉砕によって得られたオキシチタニウムフタロシアニンは、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理する。溶剤処理に用いる水に不溶性の有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、n−オクタン、塩化メチレンなどがあげられる。水と有機溶剤との比率は、重量比で99/1〜50/50の範囲が用いられるが、97/3〜80/20の範囲が好ましい。溶剤の使用量は、オキシチタニウムフタロシアニンの重量に対して1〜100倍が用いられるが、5〜50倍の範囲が好ましい。処理温度としては、室温〜100℃、好ましくは50〜100℃で1〜5時間が適用される。
【0014】上記のようにして製造されたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶は、100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%である。このオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶は、200℃まで昇温時の熱重量減少量が、0.6〜3%であるものが好ましい。また、このオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶は、粒径が0.15μm以下で、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有している。例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)=9.5°、14.3°、18.0°、24.0°および27.3°に明瞭な回折ピークを有するものをあげることができる。
【0015】次に、本発明によって得られた上記オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を、感光層における光導電性材料として使用した電子写真感光体について図面を参照して説明する。図13及び図14は、本発明のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いて得られた電子写真感光体の層構成を示す模式図である。図13(a)〜(d)は、感光層が積層型構成を有する例であって、(a)においては、導電性支持体1上に電荷発生層2が形成され、その上に電荷輸送層3が設けられており、(b)においては、導電性支持体1上に電荷輸送層3が設けられ、その上に電荷発生層2が設けられている。また、(c)および(d)においては、導電性支持体1上に下引き層4が設けられている。また図14は、感光層が単層構造を有する例であって、(a)においては、導電性支持体1上に光導電層5が設けられており、(b)においては、導電性支持体1上に下引き層4が設けられている。
【0016】電子写真感光体が、図13に記載のごとき積層型構造を有する場合において、電荷発生層は、上記オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶及び結着樹脂から構成される。結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択することができ、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の絶縁性樹脂をあげることができる。
【0017】電荷発生層は、上記結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、上記オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を分散させて塗布液を調製し、それを導電性支持体の上に塗布することによって形成することができる。その場合、使用するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶と結着樹脂との配合比は、40:1〜1:10、好ましくは、10:1〜1:4である。オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の比率が高すぎる場合には、塗布液の安定性が低下し、低すぎる場合には、感度が低下するので、上記範囲に設定するのが好ましい。
【0018】電荷輸送層は、電荷輸送材料および結着樹脂より構成される。電荷輸送材料としては、例えばアントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環を有する化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物、エナミン化合物、スチルベン化合物等、公知のものならば如何なるものでも使用することができる。さらにまた、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリ−N−ビニルフェニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルアセナフチレン、ポリグリシジルカルバゾール、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂などの光導電性ポリマーがあげられ、これ等はそれ自体で層を形成してもよい。
【0019】また、結着樹脂としては、上記した電荷発生層に使用されるものと同様な絶縁性樹脂が使用できる。電荷輸送層は、上記電荷輸送材料と結着樹脂及び上記と同様な下層を溶解しない有機溶剤とを用いて塗布液を調製した後、同様に塗布して形成することができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量部)は、通常5:1〜1:5の範囲で設定される。また、電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50μm程度に設定される。
【0020】電子写真感光体が、図14に記載のごとき単層構造を有する場合においては、感光層は上記のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が電荷輸送材料および結着樹脂よりなる層に分散され構成を有する光導電層よりなる。その場合、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、1:20〜5:1、オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶と電荷輸送材料との配合比は、1:10〜10:1程度に設定するのが好ましい。電荷輸送材料および結着樹脂は、上記と同様なものが使用され、上記と同様にして光導電層が形成される。導電性支持体としては、電子写真感光体として使用することが公知のものならば、如何なるものでも使用することができる。導電性支持体上に下引き層が設けられてもよい。
【0021】
【実施例】
合成例11,3−ジイミノイソインドリン30部、チタニウムテトラブトキシド17部を1−クロルナフタレン200部中に入れ、窒素気流下190℃において5時間反応させたのち、生成物をろ過し、アンモニア水、水、アセトンで洗浄し、オキシチタニウムフタロシアニン40部を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図1に示す。
【0022】合成例2フタロジニトリル97.5部をα−クロロナフタレン750ml中に加え、窒素気流下よく撹拌したのち、四塩化チタン22mlを滴下した。滴下終了後、徐々に昇温し、200℃で3時間反応した。反応終了後100℃まで放冷し、析出した結晶をろ別し、あらかじめ100℃に加熱しておいたα−クロロナフタレン200mlで洗浄し、さらに、α−クロロナフタレン300ml、メタノール300mlで洗浄した。次いで、メタノール800mlに分散させ、還流温度で1時間処理した。結晶をろ過したのち、蒸留水700mlに分散させ、60℃で1時間処理した。この水洗処理を10回繰り返した。最終ろ液のpHは6.0であった。得られたウエットケーキをフリーズドライして、オキシチタニウムフタロシアニン結晶70部得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図2に示す。
【0023】合成例3合成例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶20部を、97%硫酸1000部に5°Cで溶解したのち、氷水13000部中に注ぎ、オキシチタニウムフタロシアニンの析出物をろ過し、希アンモニア水と蒸留水で十分に洗浄した後、乾燥してオキシチタニウムフタロシアニン16部を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図3に示す。
【0024】実施例1合成例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶5部と塩化ナトリウム10部とを、自動乳鉢(ヤマト科学製、LABO−MILL UT−21)を用いて3時間粉砕した。その後、蒸留水で充分に洗浄し、乾燥して4.8部のオキシチタニウムフタロシアニン結晶を得た。粉砕後の粉末X線回折図を、図4に示す。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶は、27.3°に明瞭なピークを示すものであった。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、50℃において1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗浄し、乾燥して、1.6部のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図を、図5に示す。また、粒径は0.05〜0.1μmの均一なものであった。また、赤外線吸収スペクトルを図12に示す。図12において、3300cm-1付近に、結晶水の特徴的な吸収が認められる。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.36であった。
【0025】実施例2合成例2で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶5部を用いた以外は、実施例1と同様に粉砕、溶剤処理した。粉砕後、溶剤処理後の粉末X線回折図は、それぞれ図4、図5と同様であった。また、粒径は0.05〜0.1μmの均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.42であった。
【0026】実施例3合成例3で得たオキシチタニウムフタロシアニン結晶5部を用いた以外は、実施例1と同様に粉砕、溶剤処理した。粉砕後、溶剤処理後の粉末X線回折図は、それぞれ図4、図5と同様であった。また、粒径は0.03〜0.09μmの均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.49であった。
【0027】比較例1塩化ナトリウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして粉砕処理を行った。粉砕後の粉末X線回折図を、図6に示す。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、50℃において1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗浄し、乾燥して、1.6部のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図を、図7に示す。また、粒径は0.05〜0.3μmの不均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.29であった。
【0028】比較例2粉砕時間を50時間にした以外は、比較例1と同様にして粉砕処理を行った。粉砕後の粉末X線回折図を、図8に示す。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶2部を、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤中で、50℃において1時間撹拌した後、ろ過し、メタノールで十分洗浄し、乾燥して、1.6部のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を得た。得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図を、図9に示す。また、粒径は0.03〜0.2μmの不均一なものであった。このものを100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式は、TiOPc・(H2 O)0.45であった。
【0029】比較例3処理溶剤として、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤の代わりに、DMF20部を用いた以外は、実施例1と同様に粉砕、溶剤処理した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図10に示す。また、粒径は0.05〜0.12μmのほぼ均一なものであった。
【0030】比較例4処理溶剤として、蒸留水20部、モノクロロベンゼン2部の混合溶剤の代わりに、DMF20部を用いた以外は、実施例3と同様に粉砕、溶剤処理した。得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を、図11に示す。また、粒径は0.03〜0.11μmのほぼ均一なものであった。
【0031】上記合成例2、実施例1〜3の粉砕後、及び、溶剤処理後、比較例1〜4の溶剤処理後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶を100°C,0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温、空気雰囲気下に放置した後の元素分析値、及び、200°Cまで昇温時の熱重量減少量を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】応用例1アルミニウムメッキ板上に、有機ジルコニウム化合物(商品名;オルガチックスZC540、松本製薬(株)製)10部、シランカップリング材(商品名;A1110、日本ユニカー(株)製)2部、イソプロピルアルコール30部、n−ブタノール30部からなる塗布液を用いて浸漬コーティング法で塗布し、150℃において5分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引き層を形成した。次に、この下引き層上に実施例1で得たオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶0.1部をポリビニルブチラール(商品名;エスレックBM−S,積水化学(株)製)0.1部及びシクロヘキサノン10部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間処理して分散したのち、得られた塗布液を浸漬コーティング法で塗布し、100℃において5分間加熱乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次に、下記化合物(1)1部と下記構造式(2)で示されるポリ(4、4−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート)1部を、モノクロロベンゼン8部に溶解し、得られた塗布液を、電荷発生層が形成されたアルミニウム基盤上に浸漬コーティング法で塗布し、120℃において、1時間加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0034】
【化1】
【0035】得られた電子写真感光体を、常温常湿(20℃、40%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)、の環境下で、静電複写紙試験装置(EPA−8100、川口電気(株)製)を用いて、つぎの測定を行った。
VDDP :−6.0KVのコロナ放電を行って負帯電させ、1秒後の表面電位。
E1/2 :バンドパスフィルターを用いて800nmに分光した光での電位の減衰率。
VRP:50erg/cm2 の白色光を0.5秒照射した後の表面電位。
ΔE1/2 :上記環境下で測定した上記E1/2 の環境下における変動量。
ΔVDDP :上記帯電、露光を1000回繰り返した後のVDDP と初期のVDDP の変動量。
ΔVRP:上記帯電、露光を1000回繰り返した後のVRPと初期のVRPの変動量。
結果を表2に示す。
【0036】応用例2および3表2に示すオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いた以外は、応用例1と同様にして電子写真感光体を形成し、評価した。結果を表2に示す。
【0037】参考例1〜6表2に示すフタロシアニン結晶を用いた以外は、応用例1と同様にして電子写真感光体を形成し、評価した。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明により特定量の結晶水がドーピングされ、溶剤中で安定で、かつ、電子写真感光体として用いた際にも安定性に優れたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶安定して得られる。本発明により得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いると、繰り返し安定性、環境安定性の優れた電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図2】 合成例2で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図3】 合成例3で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図4】 実施例1における粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図5】 実施例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図。
【図6】 比較例1における粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図7】 比較例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図。
【図8】 比較例2における粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図9】 比較例2で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の粉末X線回折図。
【図10】 比較例3で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図11】 比較例4で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図。
【図12】 実施例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の赤外線吸収スペクトル図。
【図13】 本発明で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いて作製された電子写真感光体の層構成を示す模式図。
【図14】 本発明で得られたオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶を用いて作製された電子写真感光体の他の層構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…導電性支持体、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…下引き層、5…光導電層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換した後、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理することを特徴とする、100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%であるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項2】 機械的粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニンが、ブラッグ角(2θ±0.2°)=7.2°、14.2°、17.8°、24.1°および27.2°に強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項3】 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の200℃まで昇温時の熱重量減少量が、0.6〜3%であることを特徴とする請求項1記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項4】 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が、粒径が0.15μm以下で、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項5】 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が、粒径が0.15μm以下で、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=9.5°、14.3°、18.0°、24.0°および27.3°に明瞭な回折ピークを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項1】 オキシチタニウムフタロシアニンと無機塩とを混合し、機械的粉砕を行って、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に明瞭な回折ピークを有する結晶型に変換した後、水と水に不溶な有機溶剤との混合溶剤で処理することを特徴とする、100℃、0.1mmHgで8時間減圧乾燥し、12時間室温で空気雰囲気下に放置した後の構造式がTiOPc・(H2 O)n (Pcはフタロシアニン核を意味し、nは0.15〜1である。)で示され、かつ、元素分析値が、C:65.0〜66.3%、H:2.5〜3.1%、N:18.5〜19.3%であるオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項2】 機械的粉砕後のオキシチタニウムフタロシアニンが、ブラッグ角(2θ±0.2°)=7.2°、14.2°、17.8°、24.1°および27.2°に強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項3】 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の200℃まで昇温時の熱重量減少量が、0.6〜3%であることを特徴とする請求項1記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項4】 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が、粒径が0.15μm以下で、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【請求項5】 オキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が、粒径が0.15μm以下で、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)=9.5°、14.3°、18.0°、24.0°および27.3°に明瞭な回折ピークを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶の製造方法。
【図1】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開平5−43813
【公開日】平成5年(1993)2月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−229689
【出願日】平成3年(1991)8月16日
【出願人】(000005496)富士ゼロツクス株式会社 (21,908)
【公開日】平成5年(1993)2月23日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)8月16日
【出願人】(000005496)富士ゼロツクス株式会社 (21,908)
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