説明

オクテニジン組成物

【課題】本発明は、核酸及びタンパク質などの生体分子を固定するための試薬と支持表面を提供することを目的とする。
【解決手段】核酸など標的分子を基材表面上に共有結合するための方法及びその試薬組成物であり、その試薬組成物は、標的分子に共有結合できるエポキシ基を含む。所望によりその組成物は、表面に試薬組成物を結合させる際に使用するための光反応基を含むことができる。その試薬組成物は、核酸のマイクロアレイ(microarray)の調製に使用するため、活性化スライドを提供するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば核酸及びタンパク質などの生体分子を固定するための試薬と支持表面に関する。
【背景技術】
【0002】
支持表面上へのデオキシリボ核酸(DNA)の固定化は、DNA分析の微細成形アレイの開発を含め、DNAに基づく分析評価システム開発の重要な観点になっている。たとえば、「The Development of Microfabricated Arrays of DNA Sequencing and Analysis」、O’Donnell-Maloneyら、TIBTECH 14:401-407(1996)を参照。一般に、こうした方法は、マイクロウエル・プレート、チューブ、ビーズ、顕微鏡スライド、シリコン・ウエハー又は膜の表面で行われる。
【0003】
一般に使用されるcDNA又はPCR生成物のアレイへの固定方法は、最初スライドガラスにポリリシンを被覆し、次にDNAを塗布し、そして紫外線を照射しポリリシン上にDNAを光により架橋させる(たとえば、Schena M,Shalon D,Heller R,Chai A,Brown PO,Davis RW「Parallel Human Genome Analysis :Microarray-based Expression Monitoring of 1000Genes」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA93(20):10614-9(1996)を参照)。この方法の1つの欠点として、紫外線で架橋すると、固定に極めて都合の悪い、望ましくないDNAの損傷を引き起こす。この方法のもう1つの欠点は、紫外線にて架橋されると、cDNA’s及びPCR産生物(そして合成によって典型的に形成され有意的に短い核酸で、「オリゴヌクレオチド」と称するものと対照的に)から提供されるように、有意的に長い核酸(たとえば、約100-mers以上)に対し制限される傾向がある。紫外線照射で誘発される損傷の可能性が非常に大きく、そして/又は固定化程度が不十分なため、有意的に短い核酸を使用できない。しかしながら、紫外線で架橋された場合でも、有意的に長い核酸の集団が、通常、正確にハイブリットダイズできるに損傷のない充分な領域を提供し得る。
【0004】
現在までのところ、DNA固定方法として、商業的製品にこれらの方法は、比較的わずかしか見受けられなかった。マイクロウエル・プレート上にオリゴヌクレオチドを固定するこうした生成物の1つは、「NucleoLinkTM」として知られており、Nalge Nunc International(たとえばNunc Teck Note vol.3,No17を参照)から入手できる。この生成物では、DNAをカルボジイミドと反応させ、5’のリン酸基を活性化させ、次にその表面の官能基と反応させる。この方法の欠点は、カルボジイミド試薬の添加という特別な工程、及びDNAの固定に反応時間を5時間必要とし、それが1つのタイプの基材材料に限定されることである。
【0005】
別の例では、ピアスが、「Reacti-BindTMDNA Coating Solutions」(「Instruction-Reacti-BindTMDNA Coating Solutions」1/1997を参照)として知られた商品名のDNA固定製品を導入した。この製品を、DNAとの混合溶液として、ポリスチレンやポリプロピレンなどの表面に塗布する。一昼夜インキュベート後、溶液を取り出して、その表面を緩衝液で洗浄し、そして乾燥し、その後ハイブリット化を準備する。本製品に関し文献には、実験に使用される全てのプラスチック表面に共通して有用であると記載されているが、それには幾つかの制限がある。たとえば、出願人には、製造業者の示す指示事項を用いて、ポリプロピレン上にDNAの有効な固定が実証できなかった。さらにこの製品には、大量のDNAが必要である。こうした指示事項には、DNAが、0.5と5μg/mlの濃度で使用すべきことを示唆している。
【0006】
マイクロウエル・プレート(たとえば、DNA-BINDTM「Application Guideを参照」)のウエル表面にDNAを結合させる際に使用するため、コーニング社(Corning)は、DNA-BINDTMと称する製品を販売した。このDNA-BINDTMの表面は、非電荷で、非重合性、低分子量のN-オキシコハク酸イミド(NOS)反応基を含むヘテロ2官能試薬により被覆されている。この基が、一級アミンなどの求核試薬と反応する。ヘテロ2官能性被覆試薬は、ポリスチレン・プレートの表面に反応基を共有結合させる光化学反応基及びスペーサ・アームも含む。次にアミン修飾されたDNAが、NOS表面と共有結合できる。新生オリゴマーに合成過程中か、酵素的に配列の前調製中のいずれかの過程で、一級アミンを添加することによりDNAが修飾される。DNA-BINDTM製品が、ポリスチレン・ベースであるから、こうした熱サイクリングなど温度上昇の必要な適用例には、使用が制限される。コーニング社(Corning)は、アミノシランで被覆したスライド・ガラスを、CMT-GAPSTMという商品名で販売しており、それは、マイクロアレイ(microarray)にDNA固定のため、ポリリシン被覆スライドと同じ手順を使用する。
【0007】
TeleChem International,Inc.では、アルデヒド・シラン被覆スライド及びアミノ・シラン被覆スライドを販売した。検出に蛍光が用いられると、アルデヒド・シラン被覆スライドは、極めて高いバックグラウンドを有する。これらは、固定を安定化させるために追加的な還元工程も必要である。
【0008】
最後に本発明の譲受け者としてのSurModics,Inc.は、最近、表面に固定されるアミン反応性エステル基を含む親水性ポリマーから成る被覆スライド・ガラスを、商品名3D-LinkTMとして導入した。最良の結果を得るために、この製品は、固定化されるDNAのアミン修飾も必要である。しかしながら、予期されるように、反応性エステル基は、加水分解に不安定な傾向があり、アレイの時間の量的な制限があり、プリントする場合、ほぼ8時間を過ぎるとなんらかの性能を失うことがある。
【0009】
その上核酸の結合又は固定化の過程において、さらに種々の点に関しエポキシ基の役割が、記載されてきた。たとえば、Shiらの米国特許第5,919,626号では、シラン化固相表面に未修飾核酸の結合を記載している。この方法は、ガラス表面上にOH基とシロキサンとの結合を形成し、その表面に結合するメルカプト・シランやエポキシ・シランなど従来の非重合試薬の使用を含む。
【0010】
米国特許第5,925,552号(Keoghら「Method for Attachment of Biomolecules to Medical Devices Surfaces」)を参照、それは、組織や本体の流動体と接触するため、改良した生物適応性を与えるため、医薬装置の表面に固定される生物分子の被覆形成方法を提供する。こうした方法の1つは、置換のないアミン成分を含む生物分子をアミン官能基材料に転化して、そのアミン官能基材料との化学的結合の形成できる化学成分(たとえば、その化学成分が、アミン官能材料と化学的な結合形成ができるアルデヒド成分、エポキシ成分、イソシアナート成分、リン酸成分、硫黄成分、又はカルボキシル成分など)を含む医学装置生物材料表面とアミン官能基材料と組み合わせ、二つの材料をたがいに結合させて、医学装置生物材料の表面上に固定した生物分子を形成できる。本特許に有用であるとして記載された生物分子の一連の文献中に含まれるものには、「DNAセグメント、RNAセグメント、核酸」などがある。
【0011】
また主題エポキシドに関して、Nagasawaら(J.Appl.Biochem.7:430-437,1985)が、DNA抗体の免疫吸着剤としてDNAの固定にエピクロロヒドリン又はビスオキシラン(共にエポキシ基を提供する)にて活性化セファローズ(Sepharoses)の使用を記載している。Wheatleyら、J.Chromatog.A726:77-90(1996)及びPotuzakら、Nucl.Acids Res.5:297-303(1978)も参照。
【0012】
しかしながら、今日までに、加水分解への安定性、使用容易性、最小限のDNA損傷(架橋放射に暴露させることによる)及び誘導化されない核酸及び/又は有意的に短い核酸セグメントを固定化できるなどの特性の最適な組み合わせを提供することが、市販の製品はもとより、先行技術における記載が見受けられない。さらに現段階で入手できる製品がないか、誘導される形状か、誘導されない形状の両方はもちろん、短い核酸か、長い核酸のいずれかの固定に適応され、そして表面の固定に適したポリマー・ペンダント・エポキシ基の使用できることを提供するか、又は示唆する先行技術としての記載が見受けられない。
【0013】
最後に、本発明の譲受人であるSurmdics,Inc.は、光化学反応の使用のため、特に光反応基、たとえば支持表面にポリマー及び他の分子を結合させるための種々の応用例がこれまで記載している。米国特許第4,722,906号、同4,979,959同5,217,492,同5,512,329,同5,563,056,同5,637,460,同5,714,360,同5,741,551,同5,744,515,同5,783,502,同5,858,653,及び同5,942,555を参照。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、顕微鏡スライド、マイクロウエル・プレート、チューブ、シリコンウエハー、ビーズ又は膜などの基材表面への標的分子の共有結合方法、及び共有的結合のためのエポキシを基盤とする試薬組成物を提供する。好ましい例において、その方法及び組成物が、顕微鏡スライド上に核酸プローブを固定化するため、たとえばDNAマイクロアレイ(microarray)にプリントするために使用される。本発明の方法及び試薬は、誘導化されているか(たとえばアミン誘導体)又は誘導化されていない(すなわちエポキシ基と熱化学的反応のため添加される基を持たない)核酸のいずれかの共有結合による固定化のために使用可能であり、特に誘導化されていない核酸には有用である。本発明の固定方法は、実施に極めて都合の良いものである。好ましい例において、本方法は、本発明の試薬による支持体の被覆、核酸アレイのプリンテング、多湿な環境でのスライドのインキュベート、過剰なエポキシ基のブロッキング、及びスライドの洗浄を含み、その後のハイブリット・アッセイを行う。
【0015】
特許出願USSN09/227,913は、とりわけ、1又は複数の熱化学反応基(すなわち温度依存の反応速度を有する反応基)を含む試薬を使用して、基材表面に標的分子を共有結合させる包括的な方法及び試薬組成物を記載している。適した反応基は、N-オキシコハク酸イミド(「NOS」)、エポキサイド、アズラクトン(azlactone)、活性化ヒドロキシル基、及びマレイミド基から成る群から選択される。
【0016】
本願は、上に記載の方法において、特にエポキシ基を有する試薬に関し、そしてさらなる試料及びこうしたエポキシを基盤とする試薬の使用に関する利点を提供する。こうした利点は、たとえば、特許出願USSN09/227,913に記載のようにアミン又は他の反応基を含むように誘導されるDNAに加えて、誘導化されていないDNAに結合させるための試薬を使用できること含む。こうした利点は、たとえばNOS基と比較して、エポキシドで実証される改良された耐加水分解性も含む。
【0017】
本発明は、核酸、タンパク質,及び多糖類から選択される生物ポリマーなど、生物分子の固定方法を提供し、この方法は、
a)表面を有する固体支持体を提供する工程、
b)1又は複数のエポキシ基を含み、そして所望により1又は複数の光反応基も含む試薬を提供する工程、
c)支持表面に試薬を被覆する工程(たとえば、光反応基の活性化により支持表面にポリマー試薬を共有結合させる)
d)対応する熱化学反応基を有する生物ポリマーを提供する工程、
e)結合したエポキシ基と対応する反応基とを反応させることで、その支持表面に生物ポリマーを結合させる工程、
f)所望により残留エポキシ基をブロックする工程(たとえば、アミン試薬を用いて)、及び
g)意図される目的のため、たとえば核酸など生物分子の固定化のため、生成物の被覆支持表面を使用する工程、
を含む方法。
【0018】
本明細書に記載される型の、エポキシ基を含むポリマー(とくに親水性ポリマー)が、これまで用いられた方法を介するDNA固定化に対し幾つかの利点があることを、出願者が見出した。たとえば、シランで修飾されたスライド・ガラス上に被覆される場合、これらのポリマーが、誘導体化されていないDNAの固定化の改良方法を提供する。したがって、これらの試薬を使用する場合、アミンや他の官能基にてDNAを修飾させることが、必ずしも必要でない。さらに、エポキシ基は、アミン反応性エステル基より加水分解に対して有意的に安定である。ポリリシン又はアミノシラン上にDNAを紫外線で架橋させることと比較すると、本発明の被覆表面は、使用に対してより都合良く、傾向として望ましくない副反応をほとんど生じることがなく使用に対してより都合良く、、これによりDNAの修飾が有意的に少ない結果となる。
【0019】
本発明の試薬組成物は、親水性ポリアクリルアミドの骨格など、重合体骨格に懸架する1又は複数のエポキシド基(「オキシラン」としても知られている)を好適に提供する。所望により、そして好ましくは、試薬組成物が、1又は複数のペンダント光反応基も提供できる。光反応基(photoreactive groups)(別に本明細書において「光基(photogroups)」とも言及されている)を、光など適切なエネルギー源をかけて、支持表面に試薬分子を結合させるために使用してもよい。さらに、エポキシ基を用いて、標的分子上の適切な官能基と共有結合を形成できる。
【0020】
所望による本発明の組成物及び方法は、特許出願USSN 08/940,213に記載の方法で提供できる。こうした例において、試薬組成物を、基材表面への標的分子の結合のため使用でき、そして、試薬に標的分子を引き寄せる1又は複数の反応基,及び引き寄せられた標的分子上に対応する官能基との共有結合を形成する1又は複数のエポキシ基を含んでいる。所望により、こうした組成物が、表面に組成物を結合する際使用する光反応基をさらに提供する。たとえば、1つの実施例において、複数の光反応基及び複数のイオン基(たとえば陽イオン基)を親水性ポリマー骨格に結合させる。次にこのポリマーを、標的分子の固定化のため上記エポキシ基を提供する第二のポリマー骨格と同時に固定化できる。適切なイオン基には、4級アンモニウム塩、プロトン化3級アミン、及びホスホニウム化合物など他の陽イオン基を含む。また、酸性環境下に置かれたとき、プロトン化できる3級アミン基も含まれている。4級アンモニウム塩は、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム・クロライド(MAPTAC)などを有するキル4級アンモニウム化合物、及びピリジニウム化合物など芳香族4級アンモニウム基を含んでいる。
【0021】
ホスホニウム化合物は、トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム・クロライドなどのモノマーから調製されるポリマーを含み、J.Appl.Polymer Sci.53:1237(1994)に記載され、その開示内容を引例としても組み込まれている。
【0022】
本発明は、本明細書記載の試薬を用いDNA分子などの標的分子を表面に結合させる方法をさらに提供する。次に、本発明は、こうした試薬で結合される核酸などの標的分子を有する表面、及びこうした表面を提供する材料(たとえば、顕微鏡スライド)を提供する。
【0023】
一般的に、試薬分子が、最初に光反応基の活性化で表面に結合され、その後、結合ポリマーと隣接して結合できるような適切な条件下で、標的分子(たとえば核酸など)を結合試薬と接触させる。標的分子が、結合試薬の反応基と標的分子の適切な官能基との間の反応によって、結合試薬に熱化学的に結合される。
【0024】
本発明はさらに、本明細書記載の試薬を用いることにより、表面に、核酸などの標的分子の結合方法を提供する。本明細書で使用する場合、本発明の記載に関して、「オリゴヌクレオチド」(又は「オリゴ」)という語句は、合成による核酸(酵素材料より調製されたものと対照的に)に対し言うべきであり、そして酵素材料的に形成されたcDNA又はPCR産生物より通常有意的に短い(100-merのオーダかそれ以下の)ものを言うべきである。次に、「核酸」という語句は、全ての産生物を集合的に示している。
【0025】
本発明はさらに、こうした試薬の手段で結合された核酸を有する表面、及びこうした表面を提供する材料(たとえばスライド又はマイクロウエル・プレート)を提供する。さらに別な観点において、本発明は、試薬の熱化学反応基と反応する1又は複数の官能基を含む標的分子との組み合わせて、本発明の試薬を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい試薬組成物は、標的分子の対応する反応基と共有結合を形成するため適合される1又は複数のペンダント・エポキシ基を生成する親水性ポリマー,及び試薬と標的分子との間の反応前、反応中、反応後のいずれかにより、表面に試薬を結合させるため、使用されるよう適応された1又は複数のペンダント光反応基も生成する親水性ポリマーを含む。所望により、組成物は、ペンダント・イオン基などを有するポリマーなど、試薬ポリマー成分に加えて,他の成分を含むことができる。
【0027】
本発明の他の例において、さらには光反応基を用いることなく、試薬組成物、さらには標的分子を固定することできる。たとえば、被覆される材料の表面に、熱化学的な反応基を具えることができ、それが、上記エポキシ基を有する親水性ポリマーを固定化するために使用できる。たとえば、表面をアンモニアプラズマにより処理し、材料表面上に反応性アミン数を限定して導入してもよい。次にこの表面が、エポキシ基を有する親水性ポリマーにより処理されると、そのポリマーを、その表面のアミンとエポキシ基との反応により固定することができる。核酸配列と結合できるための十分な数の反応基は、以下の固定化を確実に維持するために、ポリマーのエポキシ基の濃度を、表面上のアミン濃度より十分に過剰にすることが好ましい。重合体の骨格が、合成か天然のいずれかによる生成でもよいが、エポキシ・モノマーと付加、又は縮合重合から得られる希釈物又は他のモノマーとの合成によるコポリマーが好ましい。多糖類やポリペプチドなど天然から生成ポリマーを同様に用いることができる。
【0028】
希釈モノマーが、記載の方法におけるこれらの使用と一致しないか、これらの使用に対して有害である生物的機能を提供しないという点において、生物学的に不活性であることが好ましい。
【0029】
本発明の試薬を調製する場合使用のため適した希釈モノマーは、ヒドロキシルエチル・アクリレイト、ヒドロキシルエチル・メタクリレイト、グリセリルアクリレイト、グリセリル・メタクリレイトなどのアクリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、及びアクリル・モルホリンなどのアクリルアミド誘導体を含む。他の合成ポリマーは、ポリビニル・ピロリドン及びポリビニル・アルコールなどのビニール類;ポリカプロラクタム、ポリラウリル・ラクタム、ポリヘキサメチレン・アジポアミド及びポリヘキサメチレン・ドデカンジアミドなどのナイロン類;ポリウレタン及びポリエチレン・オキサイド及びその組み合わせ、又はそのコポリマーを含め、本明細書記載の方法によりペンダントエポキシ基を含むよう合成することができる。
【0030】
本発明の試薬は、平均単位長さ、又は平均分子量当りの光反応基及びエポキシ基の所望する平均数を生ずる親水性ポリマーを含むことが好ましく,その組み合わせは、選択される試薬に依存する。エポキシド・モノマーは、重合体の骨格とエポキシ基との間を所望する有効な空間を与えるため選択することもできる。この方法で試薬が、表面又は隣接する試薬分子に結合でき、最適な活性を示すために、充分に自由な動きを他の反応基に提供することができる。希釈剤としてのコモノマーは、親水性(たとえば水溶性)が好ましく、アクリルアミド及びビニルピロリドンが特に好ましい。
【0031】
本発明のエポキシ含有ポリマーが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル及びグリシジルビニルエーテルなどのモノマーから調製できる。有用なモノマーが、種々の資源、たとえばグリシジルアクリレート、 (Pfaltz & Bauer Chemicals,cat.#G03480),グリシジルメタクリレート(Aldrich cat.#15,123-8), アリルグリシジルエーテル(Aldrich,cat#A3,260-8),グリシジルビニルエーテル(Aldrich,cat.#45,865-1),及びグリシジルビニルベンジルエーテル(Aldrich cat.#45,867-8)から入手可能である。
【0032】
エポキシ・モノマーが、たとえばグリシドルと2-イソシアネイトエチルメタクリレイトとの反応によっても生成できる。エポキシポリマーが、エピクロロヒドリンとヒドロキシルポリマー(たとえばポリヒドロキシルプロピルアクリルアミド)との反応によっても調製できる。他のエポキシモノマー及びポリマーは、当業者により作成され、種々の長さと、種々の極性を備えたスペーサを有することができる。適切なモノマーの他の例は、米国特許第5763,629号に記載されている。
【0033】
エポキシ含有ポリマーは、ジエポキシドとヒドロキシル又はアミン含有ポリマーとを反応させることによっても合成できる。現段階では、1,4-ブタンジオルジグリシジル・エーテルとセファローズ(Sepharose)・ゲル・ビーズとを反応させることにより生成されるエポキシ活性のセファローズ(Sepharose)が、利用可能 (Sigma)である。これか又は他のジエポキシド、(たとえば、エチレン・グリコルジグリシジル・エーテル、ジエポキシオクタン又はジエポキシデカン)が、ポリエポキサイドの作成のためにアミン又はヒドロキシルポリマーのいずれかにより誘導体化するために使用できる。たとえば、ポリヒドロキシプロピルアクリルアミド又は光モノマーを含むコポリマーを、過剰な1,4-ブタンジオルジグリシジル・エーテルと反応させて、後に表面を固定化できるポリエポキシドの生成ができる。
【0034】
有用なエポキシ・モノマーが、次の一般式:
【0035】
【化1】

【0036】
[式中、RはCH又はHのいずれかであり、そしてXは非干渉ラジカル、好ましくは以下の群:
【0037】
【化2】

【0038】
(式中、m=2-6及びn=1-10);
【0039】
【化3】

【0040】
(式中、n=1-10);
【0041】
【化4】

【0042】
(式中、m=0又は1、及び);
【0043】
【化5】

【0044】
(式中、m=1-20及びn=1-10)、
から選択される非干渉ラジカルである]を含む。
【0045】
理論的に結合されることを意図することなく、エポキシ基が,誘導化されていないDNAを共有結合方式により固定化するため使用することができ、そしてシトシン及びアデニンなどのプリン及びピリミジン環のアミン基、又ヒドロキシル末端基との反応機構に起因するものと考えられれることが明らかになであろう。
【0046】
所望により本発明の試薬が、ポリマーの骨格に共有結合される1又は複数の潜在的なペンダント反応基(好ましくは光反応性)を移送する。光化学反応基が、本明細において画定され、そして好ましい反応基は、こうした特性を保持する条件下で貯蔵するには十分安定性がある。これらの開示は、本明細書に文献として組み入れられている開示文献とて、たとえば、米国特許第5,002,582号を参照。電気磁気スペクトラムの種々の地点に応答する潜在性反応基を、選択することができ、紫外部や可視部のスペクトルに応答(本明細書に「光化学反応性」と記載される)するものが特に好ましい。
【0047】
光反応基が、特異的にかけられた外部刺激に応答して、活性種の生成を受けることになり、その生成物が、たとえば同じか又は異なる分子によって提供されるように、隣接する化学構造体に共有結合する。光反応基が、蓄積(storage)状態の下では変化せず共有結合を保持するが、外部エネルギー源での活性化により他の分子と共有結合を形成する分子中の原子におけるこれらの反応基である。
【0048】
光化学反応基が、遊離基、特にニトレン、カルベンなどの活性種を、及び電気磁気エネルギーの吸収によるケトンの励起状態を生成する。光化学反応基は、電気磁気スペクトルの種々の部位に対し応答性を有するよう選択でき、たとえば、紫外部及び可視部スペクトルに応答性を有する光反応基が好ましく、そして「光化学基(photochemical group)又は「光基(photogroup)」として本明細書にしばしば言及されている。
【0049】
光反応性アリ−ルケトンでは、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン、及びアントロン様複素環(すなわち10の部位にN,O又はSを有するものなど複素環のアントロン類似物)、あるいはそれらの(たとえば置換を受けた環)置換誘導体などが好ましい。こうしたケトンの官能基が好ましい、その理由は、本明細書記載の活性化/不活性化/再活性化のサイクルを容易に受けることができるからである。ベンゾフェノンが、特に好ましい光反応成分であり、その理由は、最初に一重項の励起状態を形成し三重項状態に項間交差を受ける一重項の励起状態を最初に形成し、光化学的に励起することができる。この励起された三重項状態を、水素原子の引き抜きにより(たとえば支持表面から)炭素−水素結合に挿入することがで、したがって遊離対を生成する。その後遊離対が崩れると、新たな炭素-炭素結合を形成する。反応による結合(たとえば炭素−水素)が、結合のため利用できないと、紫外線で誘発されるベンゾフェノン基の励起は、可逆的であり、その分子がエネルギー源の取り出しにより、基底状態のエネルギー準位に戻る。ベンゾフェノン及びアセトフェノンなどの光活性化アリール・ケトンは、これらの反応基が水中で複数の反応を受け、そのため被覆効率の増大をもたらすから、特に重要である。そのため、光反応性アリール・ケトンが特に好ましい。
【0050】
アジカ物(azides)は、光反応基の好ましい種別を形成し、フェニルアジド、及び特に4-フルオロ-3-ニトロフェニル・アジドなどのアリールアジド(CRN)、ベンゾイル・アジド及びp-メチルベンゾイル・アジドなどのアシル・アジド類(-CO-N)、エチル・アジドフォルメイト、フェニル・アジドフォルメイトなどのアジド・フォルメイト類(−O-CO-N),ベンゼン・スルフォニル・アジドなどのスルフォニル・アジド(-SO-N),及びジフェニル・フォスフォリル・アジド及びジエチル・フォスフォリル・アジドなどのフォスフォリル・アジド類((RO)PONを含む。ジアゾ化合物が光反応基の別の種別を構成し、ジアゾメタン及びジフェニル・ジアゾメタンなどのジアゾアルカン(-CHN)、ジアゾアセトフェノン及び1-トリフルオロメチル-1-ジアゾ-2-ペンタノンなどのジアゾケトン類(-CO-CHN)、t-ブチル・ジアゾアセテート及びフェニル・ジアゾアセテートなどのジアゾアセテート類(-O-CO-CHN)、及びt-ブチル・アルファ・ジアゾアセトアセテートなどのベーターケト・アルファ・ジアゾアセテート(-CO-CN-CO-O-)を含む。他の光反応基は、3-トリフルオロ-3-フェニルジアジリンなどのジアジリン類(-CHN)、及びケテン及びジフェニルケテンなどのケテン類(-CH=C=O)を含む。ベンゾフェノン及びアセトフェノンなどの光活性となり得るアリール・ケトンが、これらの反応基が水中で複数の再活性化を受け、そのため被覆効率の増大をもたらすことから、特に重要である。
【0051】
光反応基の活性化により、試薬分子が、たがいに共有結合され、及び/又は光反応基の残基を介し共有結合によって材料表面に共有結合される。例示的な光反応基、及び活性化によるこれらの残基を以下に示す。
【0052】
光反応性材料 反応基 残基の官能性
アリール・アジド類 アミン R-NH-R’
アシル・アジド類 アミド R-CO-NH-R’
アジドフォルメイト類 カルバメイト R-O-CO-NH-R’
スルフォニル・アジド類 スルホンアミド R-SO-NH-R’
ホスフォリル・アジド類 フォスフォロアミド (RO)PO-NH-R’
ジアゾアルカン類 新たなC-C結合
ジアゾケトン類 新たなC-C結合及びケトン
ジアゾアセテート類 新たなC-C結合及びエステル
ベータ・ケト・アルファ・ジアゾアセテート
新たなC-C結合及びベータ・ケトエステル
脂肪族アミン 新たなC-C結合
ジアジリン類 新たなC-C結合
ケテン 新しいC-C結合
光活性化ケトン 新しいC-C結合及びアルコール
コポリマーは、当業者に知られた技術を用い、上記エポキシ含有モノマーを使用して、調製することができる。2,2’アゾビス・イソブチルロニトリル(AIBN)などのアゾ重合開始剤又はベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物を用い、エポキシモノマー及びコモノマーは、ビニル基の遊離ラジカル重合を受けることが好ましい。重合化のために選択されるコモノマーは、最終的なポリマー生成物の性質に基づいて選択される。たとえば、エポキシ基を含んでいる光反応性ポリマーは、光反応基を含む1又は複数のモノマー、及びエポキシ基を含む1又は複数の第二のモノマーを含むモノマー混合体の使用により調製することができる。本発明のエポキシ官能化重合試薬が、予め形成されたポリマーの適切な誘導化により調製でき、又はより好ましくは所望の置換パターンを与えるために1組のコモノマーの重合化により所望の置換パターンを得ることができる。コモノマーを種々の割合に変えることが容易であり、ポリマーへの組み込みレベルを制御できることで、後者の方法が好ましい。
【0053】
最終ポリマー組成物が、重合化反応に投入されるモノマーとのモル比で制御できる。典型的には、エポキシ・モノマーが、重合化反応の総モノマー含量のうち比較的低いモルパーセントの光モノマーから成る組成物の残留物、及び核酸配列に対し光反応性も、熱化学的な反応性もないモノマーの残留物と共に使用される。こうしたモノマーの例は、アクリルアミド、アクリル酸、及びN-ビニルピロリドンを含むがそれに限定されない。使用モノマーの相対的な反応性により、骨格に沿ったモノマーの分布が、非常に無作為である。
【0054】
たとえば好ましい例において、試薬組成物が、約5モル%と約35モル%との間のエポキシ・モノマー(より好ましくは約10モル%と約20モル%との間);約0.1モル%と約5モル%との間の光モノマー(より好ましくは0.5モル%と約2モル%)、他のモノマーよりの残留物(100モル%に対して)より形成される。
【0055】
本発明は、有機シランで前処理された形状のスライド・ガラス、有機シランで前処理されたシリコン、水素化シリコン又はプラスチックなど、基材表面に標的分子を共有結合方法及びそのための試薬組成物を提供する。1つの実施例において、方法及び組成物は、マイクロウエル・プレートなどのプラスチック材料上に核酸プローブ固定のため、たとえば、ハイブリダイゼーション評価法の使用に用いられる。好ましい例において、方法及び組成物を、有機シランによる前処理ガラス、有機シランによる前処理シリコン、水素化シリコン又はプラスチックから(たとえば、ポリメチルメタクリレイト、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン又はポリプロピレン)で提供されたものなど実質的に平らな表面か、型成形された表面での使用に適応される。次に試薬組成物が、生物分子(たとえば核酸)などの標的分子を共有結合するために使用でき、さらにその生物分子が特異的な結合反応(たとえば、核酸をその相補鎖にハイブリダイズするため)のため使用できる。
【0056】
支持表面は、その材料は、結晶性、熱可塑性樹脂(たとえば高密度及び低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アセタール樹脂、ナイロン、及び熱可塑性ポリエステル)及び非晶質熱可塑性樹脂(ポリカーボネート及びポリメチルメタクリレイト)から成る群から選択されるプラスチック材料を含むがそれに限定されない種々の材料から調製される。適切なプラスチック又はガラス材料が、剛性、表面の均一性、長期間に対する耐変形性、熱に対する耐劣化性などの所望の特性を組み合わせて提供される。
【0057】
本発明は、生物ポリマー等の生物分子及び核酸、タンパク質、多糖類から選択される特定物質の固定方法を提供し、その方法は、以下の工程を含み、すなわち:
a)表面を有する固体支持体を提供する工程、
b)1又は複数のエポキシ基を含み,そして所望による1又は複数の光反応基も含む試薬を提供する工程、
c)支持表面上に試薬を被覆して(たとえば、デップする、噴霧する、ロール被覆又はナイフによる被覆)、そして支持表面に重合試薬、たとえば光反応基を活性にすることによる共有結合する工程、
d)1又は複数の対応する熱化学反応基(たとえば、アミン、ヒドロキシル、スルフィドリル)を有する生物ポリマー(たとえば核酸、タンパク質、多糖類)を提供する工程、
e)結合したエポキシ基とその対応する反応基とを反応させることによる、支持体に生物ポリマーを結合させる工程、
f)残っている未反応エポキシ基(たとえばアミン試薬の使用による)を所望によりブロックする工程、及び
g)その意図する目的のため、たとえばハイブリット化に(たとえばアレイ用スライド上、又はマイクロプレート・ウエルにおいて)使用のため、核酸など生物分子を固定するために、生成物の被覆支持表面を使用する工程、を含んでいる。
【0058】
好ましい例において、本発明は、基材表面に標的分子を結合させる方法を提供する、その方法は、
a)標的分子上に対応する官能基と共有結合の形成に適応される1又は複数のペンダントエポキシ基を有する重合体の骨格を含む試薬組成物を提供する工程、
b)基材表面に試薬組成物を被覆及び固定する工程、
c)試薬組成物によって提供される対応するエポキシ基と熱化学的に反応性を有する1又は複数の官能基を有し、標的分子を含む溶液を提供する工程、
d)基材面の表面上に所定量の溶液(たとえば、試料の微小容量のスポットにおいて個別に分離された形成において)を塗布する工程、
e)試薬組成物により提供されるエポキシ基が、表面に標的分子を結合させるため、標的分子により提供される対応する官能基と共有結合を形成できるよう適切な条件下で組み合わせてインキュベートする工程、を含んでいる。
【0059】
好ましくは、被覆スライドの調製に使用するため、及び被覆されたスライドを使用するため、試薬が、
i)試薬被覆表面にスポットを個別に分離された形に、塗布されるよう標的分子を含む溶液の微量試料を可能にすること
ii)官能基とエポキシ基との間を反応させることにより結合試薬に試料容量中に存在する標的分子が共有結合できること、
iii)スポットの周辺領域に量標的分子の検知可能な過剰量ではなく、実質的に全ての未結合な標的分子をそのスポットが洗浄可能にする方法で表面の被覆、及び固定化されるよう適応される。
【0060】
好ましい例において、標的分子は、比較的低いイオン強度及びわずかにアルカリ性のpH(たとえば、150mMのリン酸緩衝液、pH8.5)の溶液にエポキシポリマー被覆表面に塗布することが好ましい。最適に結合することが、高湿度 (たとえば相対湿度が約75%)の表面にてインキュベートにより実現でき、それは、(室温で飽和NaClを含む)密封した貯蔵ボックス内に表面を数時間又は、最も好ましくは一昼夜置くことにより実現できる。次に過剰な未結合エポキシ基を、エタノールアミン50mM、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む溶液にて、0.1Mのトリス緩衝液、pH9、50℃で30分間ブロックした。次に、その表面を脱イオン水でリンスし、0.1%SDSを含む4Xの標準のクエン酸生理食塩水(「SSC」)(0.6MのNaCl+0.06Mのクエン酸ナトリウム)にて、50℃で約15から約60分間洗浄した。次にその表面を脱イオン水でリンスし、遠心分離にてスピン乾燥した。
【0061】
マイクロアレイを調製するために、たとえばマイクロアレイ表面に捕捉プローブ(capture probes) (たとえばオリゴヌクレオチド又はcDNA)を結合させるために使用する場合、そのスポット生成には、一般的にアレイ中におけるスポットを中心から中心間隔が約200μmから約500μm有するように形成するため適応されるプリンテング・ピンを用いて、こうした捕捉プローブ(capture probes)が、スポット当り約1ナノリットル以下の容量で表面に放出させる。溶液からDNAを結合させることと違って,被覆されたマイクロプレート・ウエルの表面上にて、アレイ中に極めて微小サイズのスポットにプリントされた核酸は、早く乾燥する傾向があり、これにより変数に変化を与え、核酸が支持部と接触し、そしてその指示部を結合する方法に影響を与える。プリンテング・ピンの設計及び取り扱いに加えてその他の要因としては、塩濃度、塩の型、及びプリンテング緩衝液中の湿潤剤;表面の疎水性/親水性の特性;核酸のサイズ及び/又は濃度;及び環境の乾燥性を含めスポット・サイズ及び/又は最終的ハイブリット化信号にも影響を及ぼす可能性もある。
【0062】
好ましい例において、試薬組成物が、活性スライド上に光化学的に固定される試薬組成物を有する、前記活性化したスライドの調製に使用することができる。そのスライドは、保存に対して安定性があり、誘導化されないか、又はアミンで誘導化されたDNAを固定することによるマイクロアレイの調製のために、より後の期日まで使用できる。表面に捕獲DNAを結合させることが、湿度の高い環境下において、pHを8-9にして行ない、次にDNA溶液を微小スポット形状にしてプリントする。
【0063】
本発明の活性化スライドを、製造及び処理方法、試薬、及びマイクロ・スポッテング・ロボット(たとえば,Cartesianから入手可能)及びマイクロ・スポッテング・デバイス(たとえば、Tele International社から入手可能な)などの装置を用いて、マイクロアレイを調製する場合従来の(たとえば、アミノをシリル化した)スライド・ガラスを取り換えるに特に適している。適切なスポッテング装置、及びその方法が、「ArrayIt」TMChipMaker3のスポッテング装置など商業的に入手可能である。この生成物が、48のプリンテング・ピンを用いて、固体基材 (たとえば、1インチx3インチの標準スライド)当り62,000もの試料を誘導する、初期マイクロ・スポッテング技術の改定版を表すと言われる。
【0064】
こうした装置を従来の(たとえば、ポリ-L-リシンで被覆されている)スライドと組み合せて、使用することは、技術的に十分に知られている。たとえば、米国特許第5,087,522号(Brownら)「Methods for Fabricating Microarrays of Biological Samples」、及び引用された本明細書の文献を参照、その各開示内容は文献により本明細書に組み入れられている。
【0065】
たとえば、本発明の方法及びシステムを用いて、被覆スライドガラスなどの基材を提供し、その表面を1又は複数のマイクロアレイを有するようにする。それぞれのマイクロアレイが、少なくとも10/cm(及び好ましくは、標的分子(たとえば、ポリヌクレオチド又はポリペプチド生物ポリマー))の少なくとも約100/cmの識別可能性の提供が好ましい。各はっきり識別できる標的分子とは1)、アレイ中の画定位置に別々に配置され、2)は、少なくとも10のサブユニットの長さを有し、3)は、約50アトモルと約10ナノモルとの間の画定量で存在する、及び4)は、約0.01から約100ナノリッターの容量範囲で選択された容量で配置される。アレイ内にあるこれらの領域(たとえば、個々別々のスポット)は、一般的に形状が円形であり、典型的な形が約75ミクロンと約1000ミクロンとの間にあり(そして、好ましくは約100と約200ミクロンとの間)にて可能である。この領域は、同じ距離だけ(たとえば中心から中心間隔まで約100ミクロンから約1000ミクロン)アレイの他の領域から隔てていることも好ましい。複数の分析する物特定領域は、各領域が単一、そして好ましくは相違することの好ましい分析物特定試薬(「標的分子」)を含むよう提供することができる。
【0066】
記載において示されれば、当業者は、関心ある標的分子の型による適切な試薬物を識別及び選択ができるであろう。標的分子は、プラスミドDNA,コスミドDNA,発現された配列タグ(ESTs),バクテリオファージDNA,ゲノムDNA(イースト菌、ウイルス、細菌、哺乳動物、昆虫を含むがそれに限定されない)、RNA,相補DNA(cDNA)、ペプチド核酸(PNA),及びオリゴヌクレオチドを含むがそれに限定されない。
【0067】
本発明にはさらに記載され、以下の非限定実施例を引用する。多くの変化が、本発明の精神を逸脱することなく、記載された実施例において作成可能なことが、当業者にも明らかであろう。従って、本発明の範囲が、請求項の言語の記載により実施例及びこれらの実施例に等価なものばかりか、本出願記載の実施例に限定されるべきでない。別の指示のない限り、全てのパーセントは、重量パーセントである。こうした例全体にわたって明示される種々の「化合物」の構造が、以下に含まれる化合物表1−3より見出だすことができる。
【実施例】
【0068】
実施例1
4-ベンゾイル安息香酸・クロライド(BBA-Cl)(化合物I)の調製
還流式コンデンサーとオーバヘッド撹拌器を備え、乾燥させた5リットルのモートン・フラスコ(Morton flask)に、4-ベンゾイル安息香酸(BBA)(1.0kg(4.42モル))を加え,その後塩化チオニル645ml(8.84モル)とトルエン725mlとを添加した。次にジメチルホルムアミド3.5mlを加え、その混合物を還流式に4時間加熱した。冷却後溶媒を減圧下により除去し、トルエン3×500mlを用いた3回の蒸発処理により、残留塩化チオニルを除去した。その生成物をトルエン:ヘキサンの比1:4にて再結晶し、オーブンで真空乾燥後、988g(91%の収率)を得た。生成物の融点が92-94℃であった。80MHz(H NMR(CDCl))での核磁気共鳴(NMR)分析では、所望の生成物、すなわち芳香族プロトン7.20-8.25(m、9H)と一致した。総化学シフト値は、テトラメチルシラン内部標準からppm下降領域(downfield)である。最終化合物が、たとえば、実施例3記載の光活性化(photoactivatable)ポリマー合成に使用されるモノマー調製の使用に貯蔵された。
【0069】
実施例2
N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド・塩酸塩(APMA)の調製(化合物II)
ジクロロメタン1000ml中ににある1,3-ジアミノプロパン(diaminopropane)溶液1910g(25.77モル)を、12リットルのモートン・フラスコ(Morton Flask)に添加し、氷浴上に冷却した。次いで、ジクロルエタン250ml中、t-ブチル・フェニル・カルボネート1000g(5.15モル)溶液を、反応温度を15℃以下に維持する速度で、滴下により添加した。添加後その混合物を室温に加温し、2時間攪拌した。その反応混合物を、ジクロロメタン900mlと氷500g中にて希釈し、次に2.2Nの水酸化ナトリウム2500mlをゆっくり加えた。溶液が塩基性であることの確認試験後、その生成物を分液漏斗に移し、有機層を取り出し、別に抽出物#1として保持した。次に水溶液層を、ジクロロメタン1250mlで3回抽出し、各抽出物を別々の画分として保持した。次に4つの有機抽出物を、0.6N水酸化ナトリウムの単一として1250ml部により、画分#1から始め、画分#4まで順次継続して洗浄を進めた。この洗浄手順を、新しい1250ml部の0.6Nの水酸化ナトリウムにより2回繰り返した。次にその有機抽出物を混合し、硫酸ナトリウムにより乾燥させた。溶媒を一定重量にろ過、及び蒸発処理をして、さらに精製することなく使用されるN-モノ-t-BOC-1,3-ジアミノプロパン825gを得た。クロロホルム1020ml中、メタクリル酸無水物806g(5.23モル)溶液を、オーバヘッド撹拌器を備えた12リットルのモートン・フラスコ(Morton Flask)中に入れ、氷浴上にて冷却した。フェノチアジン60mgを抑制剤として添加し、次にクロロホルム825ml中、N-モノ-t-BOC-1,3-ジアミノプロパン825g(4.73モル)を滴下により添加した。添加速度を制御し、常時反応温度を10℃以下に維持した。添加が完了した後、氷浴槽を取り出し、その混合物をその状態において一昼夜攪拌した。その生成物を水2400mlにて希釈し、分液漏斗に移した。全体をよく混合した後、水溶液層が塩基性であると適切でないため、水溶液層を取り出し、そして有機層を2N水酸化ナトリウム2400mlにて洗浄した。次に有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過により乾燥剤を除去した。生成物と溶媒との混合重量が約3000gになるまで、1部のクロロホルム溶媒を、減圧下で除去した。次に、所望の生成物を、攪拌によるクロロホルム溶液中に11.0リットルのヘキサンをゆっくり添加して析出させ、その後4℃で1昼夜保存した。その生成物をろ過で単離し、固形物を、ヘキサン900mlとクロロホルム150mlとの混合溶液で2回リンスした。固形物を十分乾燥させて、N−[N’−(t−ブチルオキシカルボニル)−3−アミノプロピル]−メタクリルアミド900gを得、DSCで融点(m.p.)が85.8℃であった。NMR分光器による分析では、所望の生成物と一致した、すなわちH NMR(CDCl)アミドNHs6.30-6.80,4.55-5.10(m,2H),ビニル・プロトン5.65,5.20(m,2H),Nに隣接するメチレン2.90-3.45(m、4H)、メチル1.95(m、3H)、残っているメチレン1.50-1.90(m、2H)、及びt-ブチル1.4(s、9H)、であった。
【0070】
2リットルの3-首丸底フラスコには、オーバヘッド攪拌器とガス・スパージ・チューブが具備された。メタノール700mlをそのフラスコに加え、氷浴上にて冷却した。攪拌しながら、HClガスを、その溶媒中に、総計40分間に約5リットル/分の速度で導入(bubbled)した。最終HCL/MeOHの重量モル濃度を、指示薬としてフェノールフタレンを用い、1N水酸化ナトリウムの滴定することにより、8.5Mであると決定した。N−[N’−(t−ブチルオキシカルボニル)−3−アミノプロピル]−メタクリルアミド900gを、オーバヘッド撹拌器とガス排出用アダプターを備えた5リットルのモートン・フラスコ(Morton Flask)中に加え、次にメタノール溶媒1150mlを加えた。固形物の幾つかが、フラスコの溶媒中に残っていた。フェノチアジン30mgを、抑制剤として添加し、次に8.5MのHCl/MeOH溶液655ml(5.57モル)を添加した。その固形物質がガスの放出に伴いゆっくりと溶解したが、その反応物が発熱性でなかった。その混合物を室温で1昼夜攪拌し、確実に反応が完了するようにした。次に、どの固形物もろ過で取り出し、30mgのフェノチアジン添加物を加えた。次にその溶媒を、減圧下で除去し、得られた固形残留物を、減圧下の蒸発乾固体を伴い3X1000mlのイソプロパノールにより共沸処理した。最終的に、その生成物を、還流状態のイソプロパノール2000ml中に溶解し、酢酸エチル、4000mlを攪拌しながらゆっくりと加えた。その混合物をゆっくり冷却して、4℃で1昼夜保存した。化合物IIをろ過により分離し、一定の重量になるまで乾燥し、生成物630gを得て、DSCによる融点が124.7℃であった。NMR分光器による分析では、所望の生成物と一致した、すなわちH NMR(DO) ビニル・プロトン5.60,5.30(m,2H),アミドNに隣接するメチレン3.30(t、2H)、アミンNに隣接するメチレン2.95(t,2H),メチル1.90(m、3H)、残っているメチレン1.65-2.10(m、2H)である。最終化合物を、たとえば実施例3記載のように光活性可能ポリマーの合成に使用されるモノマー調製に使用するため保存した。
【0071】
実施例3
N−[3−(4−ベンゾイルベンズアミド)プロピル]メタクリアミド(BBA−APMA)の調製(化合物III)
実施例2記載の一般的な方法により調製された化合物II120g(0.672モル)を、オーバヘッド攪拌器を備え、乾燥させた2リットルの3首丸底フラスコに加えた。フェノチアジン23-25mgを抑制剤として加え、次にクロオホルム800mlを添加した。懸濁液を、氷浴上により10℃以下に冷却し、実施例1記載の一般的な方法により調製の化合物I172.5g(0.705モル)を、固形物として加えた。クロロホルム50ml中に、トリエチルアミン207ml(1.485モル)を、1-1.5時間にわたり滴下により添加した。その氷浴を取り出し、周囲温度で2.5時間続けて攪拌した。次に生成物を、0.3NのHCL600ml,と0.07NのHCl2x300mlにより洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥後、クロロホルムを減圧下において除去し、そして各生成物を、重合化の防止のために各再結晶化中にフェノチアジン23-25mgを使用し、トルエン対クロロホルム比を4:1にて2回再結晶させた。化合物III の典型的な収率が90%、融点が147-151℃であった。NMR分光器による分析では、所望の生成物と一致した、すなわちH NMR(CDCl)芳香族プロトン7.2-7.95(m、9H)、アミドNH6.55(ブロード(broad)t,1H),ビニル・プロトン5.65,5.25(m,2H),アミドに隣接するメチレン N’s3.2-3.60(m,4H)、メチル1.95(s、3H)、残っているメチレン1.50-2.00(m、2H)である。最終化合物を、たとえば実施例5及び6記載のように光活性可能ポリマーの合成に使用するため貯蔵した。
【0072】
実施例4
スペース(spaced)エポキシド・モノマーの合成(化合物IV)
クロロホルム3mlにイソシアネイトエチルメタクリレート(1.0ml、7.04mモル)、グリシドル(0.50ml、7.51mモル)及びトリエチルアミン(50μl,0.27mモル)を加えた。この反応物を、室温にて一昼夜攪拌した。生成物をシリカ・ゲルカラム上で精製し、そしてその構造を、NMRで確認した。収率が293mg(18収量)であった。
【0073】
実施例5
アクリルアミド、BBA-APMA、とスペース(spaced)エポキシド・モノマーとのコーポリマーの合成(化合物V)
アクリルアミド(1.12gm,15.7mモル)、BBA-APMA(30mg,0.085mモル)とスペース(spaced)ポキシド・モノマー(化合物IV)(273μl,1.28mモル)とをテトラヒドロフラン(THF)15.6ml中に溶解した。この溶解のために、2,2’-アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)34mlとN,N,N’, N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)16μlを加えた。その溶液をヘリウムで4分間スパージし、その後アルゴンを上部空間部に加え、その後しっかりと蓋を閉めて、オーブン内を55℃にして一昼夜置いた。析出ポリマーを含む反応混合物を遠心分離にかけ、浮遊物を傾斜沈降(decanted)させた。残留物を、新しいTHF20mlで再懸濁、遠心分離、傾斜沈降(decanted)処理した。これを繰り返した後、ろ過し、さらにTHF10mlづつ2回でポリマーを洗浄した。ポリマーを、真空下で一定重量になるまで乾燥した。収量は1.477gmであった。
【0074】
実施例6
アクリルアミド、BBA-APMAとメタクリル酸グリシジルとのコ-ポリマーの調製(光PAポリエポキシド)(化合物VI)
アクリルアミド(7.1gm,99.35mモル)、BBA-APMA(0.414gm,1.18mモル)及び2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(「VAZO67」,0.262gm,1.4mモル)を、THF108ml中に溶解した。この溶液中に、メタクリル酸グリシジル2.4ml(17.7mモル)を加えた。この溶液をヘリウムにより4分間、次にアルゴンで4分間スパージし、その後しっかりと蓋を閉めて、混合しながら61℃で一昼夜加熱した。そのポリマーをろ過により採集し、次にメタノール中にて懸濁し、混合し、その後再度ろ過により採集し、そしてクロロホルムで洗浄して,次にオーブンを30℃で真空乾燥した。
【0075】
実施例7
ポリエポキサイドにより被覆される顕微鏡スライドの調製
ソーダリム・ガラスの顕微鏡スライド(Erie Scientific,Portsmouth,New Hampshire)は、アセトン中各1%のp-トリルジメチルクロロシラン(T-Silane)とN-デシルジメチルクロロシラン(D-Silane,United Chemical Technologies,Bristol,Pennsylvania)との混合物中に、1分間デップしてシラン処理してある。
【0076】
空気乾燥後、上記スライドを、オーブン中、120℃で1時間硬化させた。次にそのスライドをアセトンにて洗浄し、脱イオン(DI)水によりデップした。さらにそのスライドをオーブン中で5-10分間乾燥した。
【0077】
化合物VIを、シラン処理したスライド上に噴霧(sprayed)し、次に、湿りを維持しながらDymaxランプ(10nmのバンドの国際光放射計上フィルタを通して335nmに計測されたように25mジュール/cm)を用いて照射し、水により洗浄し、乾燥させた。
【0078】
実施例8
光PA-ポリエポキシド被覆スライドによるマイクロアレイ(microarray)の調製及び使用
アクチン、グルコース・リン酸塩の脱水素酵素(GPDH)又はβ-ガラクトシターゼ遺伝子から誘導されたPCR産生物が、ChipMaker2のマイクロアレイ(microarray)スポッテング・ピン(Telechem international)を位置決めするためにX,Y,Z移動制御装置を用い、0.15M、0.1mg/mlのリン酸緩衝液中によりスライド上にプリントされた。そのスライドは、実施例7のように光PA-ポリエポキシドにより被覆されたものか、公開方法(米国特許第5,087522号(Brounら)「生物学的な試料としてのマイクロアレイ(microarray)の成形方法」及び本明細書に引用された文献を参照)で調製されたポリリシン・スライドかのいずれかである。プリントされたエポキシド・スライドを、室温で、相対湿度75%にして一昼夜インキュベートした。プリントされたポリリシンスライドは、紫外線(UV)で架橋されたものである。プリント後、エポキシドスライドを、pH9.0の0.1Mのトリス緩衝液中、エタノールアミン50mMによりブロックしそして洗浄した。β-ガラクトシターゼ・mRNAにより1:250,000にてスパイクされるか、プパイクされないかのいずれかの、Cy5の標識化した総RNAにより、両タイプのスライドをハイブリッドした。次にこのスライドをレザー・スキャナーにより走査してCy5の蛍光強度を測定した。
【0079】
【表1】

【0080】
実施例9
光-ポリエポキシド被覆スライドによるマイクロアレイ(microarray)の調製及び使用
ChipMaker2マイクロアレイ(microarray)スポッテング・ピン(Telechem international)を位置決めするためX,Y,Z移動制御装置を用い、アミン化されているか、アミン化されていないかいずれかのオリゴヌクレオチドを、0.15Mのリン酸緩衝液中0.8μMにより、スライド上にプリントした。そのスライドを、実施例7のように光PA-ポリエポキシドを用いるか、同じ方法による光-PA-PolyNOSか、公開方法(実施例8の文献を参照)によるポリリシンのいずれかを用いて被覆した。プリントされたエポキシド、及びNOSのスライドを、室温で、相対湿度を75%にして一昼夜インキュベートした。プリントされたポリリシン・スライドを、公開方法により進めた。このスライドを走査し、固定された捕獲オリゴ(oligos)のCy3蛍光強度を測定し、次に捕獲オリゴに対し相補的なCy5により標識化されたオリゴヌクレオチド(1pモル/スライド)を41℃で1昼夜ハイブリダイズした。そのスライドをレザー・スキャナーにより走査して、ハイブリダイズされたオリゴの蛍光強度を測定した。アミン−シランのスライドにより固定された捕獲オリゴ(capture oligo)量が、極めて少ないため、これらは、ハイブリット化されていない。
【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に標的分子を結合させるための試薬組成物であって、その試薬組成物が1または複数のペンダント・エポキシ基及び1または複数のペンダント光反応基を含む親水性重合体骨格を含んで成り、コポリマーが
(a)ペンダント・エポキシ基を有する1または複数のモノマーであって、ここで、該ペンダント・エポキシ基を有する1または複数のモノマーは、式:
【化1】

[式中、RはCHまたはHのいずれであり、そしてXは下記の基:
【化2】

(式中、m=2〜6及びn=1〜10である);
【化3】

(式中、n=1〜10である);
【化4】

(式中、m=0または1である);または
【化5】

(式中、m=1〜20及びn=1〜10である)
から選択される基である]
で表されるモノマー;
(b)1または複数の希釈モノマーであって、ここで、該希釈モノマーは、アクリル、ビニル、ナイロン、ポリウレタン及びポリエーテルから成る群から選択されるモノマー;及び
(c)適切な資源からエネルギーをかけて表面に試薬組成物を共有結合させるための1または複数の光反応基を含む1または複数のモノマー
を含む混合物を反応させることにより形成され、ここで、前記エポキシ基が標的分子上の対応する官能基と共有結合を形成するために適合されている試薬組成物。
【請求項2】
前記試薬が、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジル(allylglycidyl)エーテル及びビニルグリシジルエーテルから成る群から選択される1または複数のモノマーの重合化で形成されるポリマーを含む、請求項1記載の試薬組成物。
【請求項3】
【化6】

(式中、x=0.1〜5モル%、y=2〜30モル%及びz=65〜97.9モル%である);または
【化7】

(式中、x=0.1〜5モル%、y=2〜30モル%及びz=65〜97.9モル%である)
を含む、請求項2に記載の試薬組成物。
【請求項4】
基材表面に標的分子を結合させるための試薬組成物であって、その試薬組成物が1または複数のペンダント・エポキシ基及び1または複数のペンダント光反応基を有する親水性重合体骨格を含んで成り、コポリマーが
(a)ジエポキシドとヒドロキシルまたはアミン含有ポリマーとの反応により合成されたポリマーであって、ここで、該ジエポキシドは、1,4−ブタンジオルジグリシジル・エーテル、エチレン・グリコール、ジグリシジル・エーテル、ジエポキシオクタン及びジエポキシデカンから選択されるポリマー;及び
(b)適切な資源からエネルギーをかけて表面に試薬組成物を共有結合させるための1または複数の光反応基を含む1または複数のモノマー
を含む混合物を反応させることにより形成され、ここで、前記1または複数のエポキシ基が標的分子の対応する官能基と共有結合を形成するために適合されている試薬組成物。
【請求項5】
前記標的分子が核酸を含み、その表面が、有機シランによる前処理ガラス、有機シランによる前処理シリコン、水素化ケイ素またはプラスチックから形成された支持体の表面を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の試薬組成物。
【請求項6】
前記核酸が、誘導体化されていない核酸を含む、請求項5記載の試薬組成物。
【請求項7】
記誘導体化されていない核酸がオリゴヌクレオチドを含む、請求項6記載の試薬組成物。
【請求項8】
前記標的分子が核酸であり、そして前記光反応基が、光反応性アリール・ケトンを含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の試薬組成物。
【請求項9】
標的分子を基材表面に結合させる方法であって、その方法が:
a)請求項1〜8のいずれか1項記載の試薬組成物を提供する工程、
b)基材表面上に試薬組成物を被覆し、固定化する工程、
c)試薬組成物により提供される対応するエポキシ基と熱化学的な反応性のある1または複数の官能基を有する標的分子を含む溶液を提供する工程、
d)基材表面に所定量の溶液を塗布する工程、及び
e)標的分子を前記表面に結合させるため、標的分子により提供される対応する官能基と、試薬組成物により提供されるエポキシ基とを、共有結合の形成できるようにする工程、
を含む方法。
【請求項10】
前記方法が、スライドの表面上での核酸の1または複数のマイクロアレイ(microarray)の調製に用いられ、そして各マイクロアレイ(microarray)が、長さが少なくとも10ヌクレオチドを有する少なくとも約10/cmの識別可能な核酸を提供し、前記核酸が、それぞれ個別に分離した領域で、約50アトモルと約10ナノモルとの間の画定量で、スポットされる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
その領域が、一般的に円形であり、75ミクロンと1000ミクロンとの間の径を有し、アレイにおける中心そばの他の領域から、中心まで約100ミクロンから約1000ミクロンの間隔で離れている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項記載の試薬組成物の結合残基により被覆された平坦な支持表面を含む活性化されたスライド。
【請求項13】
a)請求項1〜8のいずれか1項記載の試薬組成物を提供する工程、
b)基材表面上に試薬組成物を被覆し、固定する工程、
c)試薬組成物により提供されるエポキシ基と熱化学的な反応性のある1または複数の官能基を有する核酸を含む標的分子を含む溶液を提供する工程、
d)溶液の1つまたは複数の個別に分離された小容量溶液の試料スポットを基質の表面に塗布する工程、及び
e)標的分子を上記表面に結合させるため、試薬組成物により提供されるエポキシ基が、標的分子により提供される対応する官能基と共有結合の形成できるようにする工程、
を含む方法により調製されるマイクロアレイ。

【公開番号】特開2012−78364(P2012−78364A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258895(P2011−258895)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2001−566048(P2001−566048)の分割
【原出願日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願人】(506112683)サーモディクス,インコーポレイティド (50)
【Fターム(参考)】