説明

オストミーパウチとその製造方法、オストミーパウチの使用方法、オストミー装具

【課題】低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、オストミーパウチの使用方法およびオストミー装具を提供する。
【解決手段】排泄物を受け入れるための第1の開口部3を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部3の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記第1の袋体が内面に耐水層17を設け水中崩壊性基材18で裏打ちされた水中崩壊性シートからなり、前記第1のリング状フランジが前記第1の袋体と接合された面の反対側の面に耐水層19を設け水中崩壊性基材20で裏打ちされた水中崩壊性シートからなり、前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面に沿って前記水中崩壊性基材を覆う耐水性のバリアー部材26が設けられたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液や人体排泄物を収集するためのオストミーパウチに関し、とくに使用後に収集した排泄物とともに水洗トイレに投棄して処分できるオストミーパウチとその製造方法、およびこのオストミーパウチを利用したオストミー装具に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなオストミーパウチは、使用後にパウチから排泄物を排出して洗浄する不快な操作が不要なため長年待ち望まれているものの、これまで、英国ウエランドメデイカル社のみが商品化している状況であって、依然、普及には至っていない。
【0003】
特許文献1は上記ウエランドメデイカル社の商品に関するものである。この装具では、オストミーパウチは使用中の乾燥状態では所定の強度を有し、使用後はトイレの水流によって溶解や崩壊を生じて強度を失う水中崩壊性のポリビニルアルコールフィルムを基材とし、基材の内面には排泄物中の水分から保護するための耐水材料を積層している。しかし、使用後には内袋となる上記オストミーパウチだけでなく、面板、外袋を含めた装具のすべてを廃棄して交換する必要があるため、操作の簡便性、コスト面で問題がある。
【0004】
特許文献2は本出願人によるものであり、水溶性のフィルムを素材とした水洗トイレに流せるパウチを内袋とし、この内袋を面板に着脱可能な外袋に分離可能に収容することができる様々な形態の装具が開示されている。外袋には内袋を共通して排泄物を通過させるための開口のほか、内袋を取り出すための開閉可能な別の開口部を設けた例も開示されている。内袋の着脱は、例えば、内袋のフランジに粘着剤を設けて面板と結合させるもの、内袋の開口部をフレア状に形成しこのフレア部分を外袋と面板との嵌合部に挟み込むもの等がある。
【0005】
特許文献3は、水分散性の紙シートにプラスチックフィルムを積層した袋体を内袋とし、水不溶性の外袋と容易に剥離可能な接着剤によって一体化したものを、面板と着脱自在としたものである。使用後に内袋をトイレに投棄するためには外袋も破棄する必要がある。面板は再使用できるもののやはりコストアップが避けられない。
【0006】
特許文献4も面板に着脱可能な外袋に内袋を分離可能に収容するものである。面板と外袋とは粘着性のカップリング部によって着脱可能となっており、このカップリングの内周側に内袋のフランジ部を挟み込むようになっている。このため、内袋にグリップ面を成型した剥離性のライナーを取り付けて内袋のフランジと外袋のフランジとを位置決めしやすくし、外袋と内袋のフランジ同士を粘着的に結合した後、面板に結合させるようになっている。しかし内袋のフランジが小径であるにもかかわらず粘着的に結合されているため、使用後、排泄物が収容された状態において手を汚さずに内袋のフランジを摘んで取り外すには問題がある。
【0007】
特許文献5では、外袋の外周部にジッパーファスナーを取り付けて前面を広く開閉可能とし、内袋を面板に容易に着脱できるようにしたものである。しかし、外袋と面板が一体化され、かつ外袋の外周部にジッパーファスナーを取り付けた特殊な装具を必要とする。内袋には裂け目を設けたり、フランジの厚さを0.8mm以下にして水洗トイレで流れやすくしているが、欧米の大型の水洗トイレでは許容される可能性はあるものの、少なくとも日本国内では水洗トイレの目詰まりや家庭用浄化槽における分解性に疑問がある。
【0008】
特許文献6は面板と袋体が一体となったワンピース型のオストミーパウチである。袋体の基材を水溶性ポリビニルアルコールで構成し、面板は粘着層を親水性成分と疎水性成分とを含む皮膚保護剤で構成しバッキング材を水溶性高分子と生分解性樹脂の積層フィルムで構成することにより、水洗トイレの水流で崩壊しやすくしてある。ただし、外袋を使用しないため、安全性に問題がある。また、袋体の開口部に露出した水溶性ポリビニルアルコールフィルムの断面が使用中に排泄物に接触して破壊されるのを防止するため、この断面を含む部分をヒートシールして不溶化してある。このため、この不溶化された部分の投棄性に疑問がある。
【0009】
特許文献7も、袋体の開口に露出した水溶性ポリビニルアルコールフィルムの断面を保護するもので、この発明では袋体の開口部のエッジに対応して、面板にカラーを設け、前記エッジが使用中に排泄物に接しないようにしているが、このようなカラーだけではエッジの保護が万全とはいえない。またこの発明では外袋について記載も示唆もない。
【0010】
上述した問題を解決するため、本出願人は水中崩壊性シートを使用したオストミーパウチとその製造方法およびオストミー装具を提案した(特願2006−7494号)。
【0011】
【特許文献1】特表平8−503865公報
【特許文献2】特開平9−131365号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/113770号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/082271号パンフレット
【特許文献5】特開2005−205216号公報
【特許文献6】特開2002−17766号公報
【特許文献7】特開平6−304197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来技術の問題を解決するとともに、前記特願2006−7494号に記載の発明を発展改良した、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、オストミーパウチの使用方法およびこのオストミーパウチを具備したオストミー装具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、上記課題は下記により達成される。排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記第1の袋体が内面に耐水層を設け水中崩壊性基材で裏打ちされた水中崩壊性シートからなり、前記第1のリング状フランジが前記第1の袋体と接合された面の反対側の面に耐水層を設け水中崩壊性基材で裏打ちされた水中崩壊性シートからなり、前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面に沿って前記水中崩壊性基材を覆う耐水性のバリアー部材が設けられていることを特徴とする(請求項1の発明)。
【0014】
上記発明の実施態様としては下記請求項2〜8の発明が好ましい。前記請求項1に記載のオストミーパウチにおいて、前記バリアー部材が前記第1の袋体と第1のリング状フランジの間に延在していることを特徴とする(請求項2の発明)。また、前記請求項1に記載のオストミーパウチにおいて、前記バリアー部材が熱可塑性樹脂を主成分とする組成物または熱可塑性樹脂と脆性付与成分とを主成分とする組成物からなることを特徴とする(請求項3の発明)。さらに、前記請求項1に記載のオストミーパウチにおいて、前記第1の袋体と前記第1のリング状フランジに設けた耐水層が熱可塑性樹脂を主成分とする組成物または熱可塑性樹脂と脆性付与成分とを主成分とする組成物からなることを特徴とする(請求項4の発明)。また、前記請求項1に記載のオストミーパウチにおいて、前記第1のリング状フランジに設けた耐水層が粘着剤からなることを特徴とする(請求項5の発明)。さらに、前記請求項1に記載のオストミーパウチにおいて、前記第1の袋体を構成する水中崩壊性基材が水中崩壊紙であって、前記第1の袋体の両側部に折り目が形成され、該折り目が形成されていない両側部が融着されてシールされていることを特徴とする(請求項6の発明)。また、前記請求項6に記載のオストミーパウチにおいて、前記折り目がガセットであることを特徴とする(請求項7の発明)。さらに、前記請求項6に記載のオストミーパウチにおいて、前記第1の袋体の折り目を形成した両側部の間の幅が前記第1のフランジの外径よりも狭いことを特徴とする(請求項8の発明)。
【0015】
また、オストミーパウチの製造方法の発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備し、前記第1の袋体と前記第1のリング状フランジが水中崩壊性基材の一面に熱可塑性樹脂からなる耐水層を設けた水中崩壊性シートからなるオストミーパウチの製造方法において、熱可塑性樹脂からなるリング状部材を準備し、前記袋体を構成すべき第1の開口が形成されたシート部材と前記第1のリング状フランジとを前記耐水層を設けた面を外側にかつ該シート部材の前記第1の開口部の周囲に同芯状に前記第1のリング状フランジを配置し、さらに前記熱可塑性樹脂からなるリング状部材を前記第1の開口部の内周面に接して同芯状に配置し、次いで前記熱可塑性樹脂からなるリング状部材を熱プレスして溶融させ前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面を覆って密着させ、次いで前記シート部材から袋体を形成することを特徴とする(請求項9の発明)。
【0016】
また、オストミーパウチの製造方法の上記とは異なる発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備し、前記第1の袋体と前記第1のリング状フランジが水中崩壊性基材の一面に熱可塑性樹脂からなる耐水層を設けた水中崩壊性シートからなるオストミーパウチの製造方法において、前記袋体を構成すべき第1の開口が形成されたシート部材と前記第1のリング状フランジとを前記耐水層を設けた面を外側にかつ該シート部材の前記第1の開口部の周囲に同芯状に前記第1のリング状フランジを接合し、該接合された前記シート部材と前記第1のフランジとを前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面に隣接するリング状のキャビテイを有する金型に配置し、前記リング状のキャビテイに熱可塑性樹脂を注入することにより前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面を前記熱可塑性樹脂によって覆って密着させ、次いで前記シート部材から袋体を形成することを特徴とする(請求項10の発明)。
【0017】
さらに、上記製造方法の発明の実施態様としては下記請求項11〜13の発明が好ましい。前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチの製造方法において、前記水中崩壊性基材が水中崩壊紙であって、前記シート部材を前記第1のリング状フランジの外周近傍の両側において折り目を形成し、該折り目を形成して近接した両端部の耐水層同士をヒートシールし、該折り目を形成しない他方の両端部の耐水層同士をヒートシールして袋体を形成することを特徴とする(請求項11の発明)。また、前記請求項11に記載のオストミーパウチの製造方法において、前記袋体の幅が前記第1のリング状フランジの外径よりも狭くなるように前記両側部に折り目を形成したことを特徴とする(請求項12の発明)。さらに、前記請求項11に記載のオストミーパウチの製造方法において、前記両端部に形成した折り目の少なくとも一方がガセットであることを特徴とする(請求項13の発明)。
【0018】
また、オストミーパウチの使用方法の発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を設けた第1の袋体と該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチと、ストーマの周囲に固定され非接皮側に第1のリング状嵌合部を設けた面板と、該第1のリング状嵌合部に嵌合する第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなる外袋とを準備し、前記第1と第2のリング状フランジを同芯状に密着して配置して前記第1の袋体を前記第2の袋体の内部に収容し、前記第1と第2のリング状嵌合部を嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記第1のリング状フランジを前記面板に押圧して固定することを特徴とする(請求項14の発明)。また、前記請求項14に記載のオストミーパウチの使用方法において、前記オストミーパウチが請求項1〜8のいずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とする(請求項15の発明)。
【0019】
さらに、オストミー装具の発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を設けた第1の袋体と該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチと、ストーマの周囲に固定され非接皮側に第1のリング状嵌合部を設けた面板と、該第1のリング状嵌合部に嵌合する第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなる外袋とを具備し、前記第1と第2のリング状フランジを同芯状に密着して配置して前記第1の袋体を前記第2の袋体の内部に収容可能であり、前記第1と第2のリング状嵌合部を嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記第1のリング状フランジを前記面板に押圧して固定することを特徴とする(請求項16の発明)。また、前記請求項16に記載のオストミー装具において、前記オストミーパウチが請求項1〜8のいずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とする(請求項17の発明)。
【0020】
また、オストミー装具において、ストーマの周囲に固定され非接皮側に第1のリング状嵌合部を設けた面板と、該第1のリング状嵌合部に嵌合する第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなるパウチとを具備し、前記リング状内側フランジの径方向の幅が2〜10mmであり、前記第1と第2のリング状嵌合部を嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記面板を押圧することを特徴とする(請求項18の発明)。さらに、第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなるパウチであって、前記リング状内側フランジの径方向の幅が2〜10mmであり、前記第2のリング状嵌合部が面板に設けられた嵌合部と嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記面板を押圧することを特徴とする(請求項19の発明)。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来技術の問題を解決し、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、オストミーパウチの使用方法およびオストミー装具が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態について以下に述べる。なお、オストミーパウチやオストミー装具の具体的な構成や製造方法等については、後述する実施例の項で述べる。
【0023】
本発明のオストミーパウチは、水中崩壊紙や水溶性樹脂フィルムからなる水中崩壊性基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートを使用した袋体とフランジからなる。袋体は、2枚の水中崩壊性シートを周縁を互いに接合して袋状にしたものや、水中崩壊性シートがガセット状に形成されたものであって、一面に排泄物を受け入れるための開口部が設けられたものである。フランジは水中崩壊性のシート状基材をリング状に形成したものである。
【0024】
水中崩壊紙とは、繊維状のカルボキシメチルセルロースを抄紙するか、繊維状のセルロースを抄紙した後にカルボキシメチル化することによって、温水や冷水中で速やかに溶解する水溶紙、又は、水溶性バインダーを用いてセルロース繊維を抄紙して得られ、温水や冷水中でかき混ぜられてセルロース繊維が速やかに分散する水分散紙である。トイレットペーパー原紙を使用することもできる。袋体とフランジに使用する水中崩壊紙は、要求される柔軟性や強度、耐水材料の含浸しやすさ等に応じて、坪量、厚さ、水溶紙、水分散紙をそれぞれ適宜選択することができる。
【0025】
水溶性樹脂フィルムは周知のものであって、適度な水溶性を得られるように鹸化度が調整されたポリビニルアルコールフィルム、メチル/エチルセルロース等が使用できる。
【0026】
水中崩壊性基材に設けた耐水層とは、基材に裏打ちされた状態では排泄物と接触してもクラックやピンホールのない連続的な薄膜であって、耐水層同士はヒートシールが可能であり、水洗トイレの水流中に投棄されて裏打ちされた基材が崩壊したときは、速やかにバラバラに分解するか、少なくとも亀裂を生じるものである。さらに、公共下水道や家庭に個別に設置した浄化槽において容易に分解する生分解性を有するものが好ましい。
【0027】
耐水層に使用する材料には、熱可塑性樹脂であれば、例えば、低分子量アモルファスポリアルファオレフィンを主成分としたものを使用することができる。熱可塑性樹脂に脆性付与成分を混合した組成物を使用してもよい。この場合、熱可塑性樹脂にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」)、エチレン・ビニルアルコール共重合体等である。熱可塑性樹脂に脆性を付与する成分としては、例えば、熱可塑性樹脂の伸びを抑制し、引き裂き強度を低下させるものであればよく、タルク、シリカ、酸化チタン等の粉末、パラフィンワックス、カルナバウワックス等のワックス類、低分子量のポリマー等が挙げられる。熱可塑性樹脂と脆性付与成分との組み合わせは、EVAとパラフィンワックス、EVAとポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレートと分子量5,000程度の低分子量ポリカプロラクタン等がよい。
【0028】
水中崩壊性基材に耐水層を積層する方法は、ロールコーター、ダイコーター等のホットメルトコーターが使用するコーテイング、熱可塑性樹脂等のフィルムをラミネートする方法がある。
【0029】
本発明のオストミーパウチでは、袋体やフランジの排泄物を受け入れるための開口部の内周面、すなわち断面、に沿って耐水性のバリアー部材が設けられる。バリアー部材の構造は水中崩壊性基材に排泄物が接触しないような形状、配置のものであればよい。またバリアー部材に使用する材料は水中崩壊性シートの耐水層に使用されるものを使用することができる。
【0030】
フランジと袋体の接合にも水中崩壊性シートの耐水層に使用されるものを使用することができる。さらに、粘着剤を使用して接合することもでき、この場合、オストミーパウチが水中に投棄されて裏打ちされた基材が崩壊したときは、水洗トイレの水流によって投棄の直後にバラバラに分解するか、少なくとも亀裂を生じる適度な水溶性や崩壊性を有する水溶性粘着剤や水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を用いることもできる。
【0031】
水溶性粘着剤に使用する材料は、例えば、適度に水に溶解するポリ酢酸ビニル、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル系等の粘着剤を使用することができる。例えば、鹸化度が70〜100%ポリビニルアルコール100重量部、糖、アルカノールアミン、ポリエーテルポリオールから選択した水溶性可塑剤10〜160重量部、ポリエチレンイミン100〜150重量部を配合した水溶性粘着剤を使用することができる。また、水溶性ベースポリマー(メトキシエチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート及びスチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体)100部に対し、水溶性可塑剤(ヘキサオール)30部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)1部を配合した水溶性または水分散性の粘着剤を使用することもできる。
【0032】
また、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤とは、水分を吸収して粘着剤としての凝集力が弱くなり崩壊するものであって、疎水性成分としてスチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、ポリイソブチレン、親水性成分として、カラヤゴム、ペクチン、ゼラチン、水中に投棄したときに崩壊性を高めるために水溶性高分子として、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール、その他、石油系粘着付与剤等を配合することができる。
【0033】
本発明のオストミーパウチは次のようにして製造する。
1)水中崩壊性シートを打ち抜いて袋体を構成すべきシートとフランジとなるシートを作成する。
2)バリアー部材となるべきリング状部材を準備する。リング状部材は所定の熱可塑性樹脂からなり、外径が袋体とフランジの開口部に緩く嵌り、所定の太さを有するリングである。
3)次に、袋体を構成すべきシートとフランジとなるシートを、開口部を互いに同芯状に配置して重ねる。このときフランジと袋体を接合させてもよい。
4)次いでリング状部材を、その外周部が前記シートの開口部の内周面に接するように同芯状に配置する。
5)次いでこのリング状部材を熱プレスすると、リング状部材が溶融し開口部の内周面を覆って密着する。このため水中崩壊性基材の打ち抜かれた断面がバリアー部材で覆われる。またはリング状部材を所定の形状のものとして溶融させると同時にフランジと袋体を接合させてもよい。
6)熱プレスを使用しない場合は、予め袋体を構成すべきシートとフランジとなるシートとを接合させておき、これを金型に取り付けて開口部の周縁にバリアー部材の材料を射出して開口部の断面を覆う、いわゆるインサート成形法でもよい。
7)その後、袋体を構成すべきシートを折り畳みかつヒートシールして袋状に形成するとオストミーパウチが完成する。
【0034】
本発明のオストミーパウチは様々なオストミー装具に内袋として利用できるが、とくに好適な形態は、面板と外袋を着脱するための嵌合部の径方向内側の所定の領域において内袋のフランジを挟み込み、嵌合部が嵌合した際の押圧力を利用して固定するものである。このため、面板と外袋は、互いを着脱させるための嵌合部の径方向内側に内袋のフランジを挟み込み、かつ嵌合部が嵌合した際の押圧力を利用して固定することができる構造を有するものとなる。
【0035】
このように面板と外袋の嵌合部の径方向内側にあって内袋のフランジを挟み込んで固定するものとしては、例えば、本出願人による実公平7−15542号公報の第3、4図に示される袋体に設けたリング状シール片19と面板に設けたリング状テーパー部5、またこれも本出願人による特願2005−120868号「嵌合装置及び同嵌合装置を備える排泄物収容装具」の明細書および図面に示されたリング状内側フランジ/リング状シール突起とリング状シール部でもよい。後者の場合、装具を大型化することなく確実に内袋を固定するには、リング状内側フランジの押圧部の径方向の幅が2.0〜10mm、好ましくは3.0〜6.0mmとするとよい。
【0036】
内袋となるオストミーパウチのフランジの寸法は、外径が前記リング状内側フランジの内径よりも大であり、かつフランジの実質的な内径となるフランジと袋体の接合部の外径より小であれば、リング状内側フランジがフランジや袋体と無用な干渉を生じることなくフランジを面板に押し当てることができる。また面板の嵌合部が面板の非接皮面や前記リング状シール部から突出した部分に設けられているため、フランジの外径はこの突出部の内径とほぼ等しいか、または小であれば、フランジが面板と無用な干渉を生じることがない。
【0037】
また、内袋、面板、外袋の寸法関係を満足するものであれば、内袋の形態は本発明のように袋体の一面に開口部を形成し、かつ開口部の内周にバリアー部材を設けたものに限られず、例えば、フランジが袋体の開口部をフレア状に整形したものや、袋体の端部を開口部としてこの開口部の周囲にシート状のフランジを付設したものでもよい。
【0038】
内袋のフランジと袋体を構成する水中崩壊性基材が水中崩壊紙である場合には、基材に腰があるため、次のような利便性が得られる。すなわち、外袋を面板から取り外して内袋の袋体を収納すると、内袋の基材に腰があるため、外袋のフランジが内袋のフランジと袋体とによって挟まれ、内袋のフランジは外袋のフランジの表面に密着する。この状態で内袋のフランジを外袋のフランジの表面に沿ってスライドさせれば内袋のフランジを外袋のフランジに同芯状に位置決めすることができる。内袋のフランジを同芯状に位置決めした外袋を面板に結合させれば、このとき同時に内袋を面板に装着することができる。
【0039】
内袋は外袋と面板の間に単に挟み込まれているため、使用後に面板と外袋の結合を解除すると、内袋はそのまま面板から離脱する。かりに使用中にフランジと面板の間に液状の排泄物が浸入し、浸入した排泄物の毛細管力によってフランジと面板が固着した場合には、外袋の外側から内袋の袋体の一部を把持することにより内袋は面板から離脱させることができる。外袋から内袋を取り出すにはフランジの外側を摘むだけでもよく、または外袋のフランジ部を折り曲げることにより、内袋の袋体の上部を外袋のフランジ部の開口から突き出させてもよい。
【0040】
本発明のオストミーパウチは、面板と外袋を着脱するための嵌合部の径方向内側に内袋のフランジを挟み込む形態に限らず、本出願人による特願2006−7494号「オストミーパウチとその製造方法およびオストミー装具」の明細書、図面に示すように嵌合部にそのままフランジを挟み込ませたものであってもよい。さらに、フランジの耐水層として粘着剤層を設け、このフランジの粘着剤層を面板のランデイング部に着脱させることにより、オストミーパウチを面板に着脱可能なものとすることはいうまでもない。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
図1〜2は本発明のオストミーパウチの製造プロセス、図3〜5は熱プレスを用いたフランジと袋体の接合及びバリアー部材の形成プロセス、図6は射出成形によるバリアー部材の形成プロセス、図7は完成したオストミーパウチを示す。
【0042】
本発明のオストミーパウチを製造工程に沿って説明する。まず製造工程の全体を説明する。シート1は水中崩壊紙として三島製紙(株)製「水溶紙」品種30MDP、坪量30g/m2に、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」という)を主成分としてパラフィンワックスを全重量の40重量%配合したホットメルト組成物を、塗工量20g/m2の厚さにダイコートした耐水層を設け、袋体を構成すべき形状に打ち抜いたものである。フランジ2は水中崩壊紙として三島製紙(株)製「水溶紙」品種120MDP、坪量120g/m2に、シート1と同じ材料、厚さの耐水層を設け、所定のリング状に打ち抜いたものである。
【0043】
まずシート1、フランジ2を後述する熱プレス等によって耐水層が形成されていない面同士で接合し、このとき同時、または接合した後に、バリアー部材を設ける(図1(a))。次いで、シート1の長手方向にフランジ2の内側に対応した位置で図上下の両側を折り込んでガセット4,5を形成する(図1(b))。折り曲げられて重なった先端部6a,7aをさらに折り曲げて、先端部6b,7bを対向させる(図2(a))。先端部6b,7bの対向した面には熱可塑性樹脂の耐水層が設けられているため、この面をヒートシールしてシート1を筒状にする。次に開放したままとなっている図左右の両端部8,9をヒートシールして図上下にガセットを有する袋体10として完成する(図2(b))。完成したオストミーパウチについては後述する(図7)。
【0044】
前述したシート1、フランジ2を熱プレスを用いて接合するとともに開口部の内周面にバリアー部材を設ける方法について説明する。バリアー部材となる成型シート25は耐水層17,19と同じ材料から成り、開口部の縁に重なるような外径、内径を有し、内周部を厚く外周部を薄くした断面を有するリング状の部材である。金型の受け台14上にフランジ2、成型シート25、シート1の順に載置し、ガラスクロスPTFEシート13を敷いて上金型11を配置する(図3)。
【0045】
加熱した上金型11を下降させると、成型シート25の厚い内周部が押し潰されて横方向に拡がり、水溶紙18,20の断面を覆うとともに耐水層17,19の開口部に接した部分と一体となって開口部の内周面全体を覆う。同時に水溶紙18,20に挟まれた成型シート25の外周部が両者を接合する。加熱した上金型11が圧接した耐水層17の部分は潰されて薄くなり、上金型11のコーナー部12で過度な盛り上がり21を生じたり破断やピンホールを生じさせたりする場合があるため、上金型11のコーナー部12は面取りしておくとよい。上金型11、成型シート25、シート1に空気がトラップされるとトラップされた空気が逃げ出す際に耐水層17にピンホールが生成するおそれがあるため、前述したようにガラスクロスPTFEシートを敷いて、ガラスクロスPTFEシート表面の凹凸に沿って空気を緩やかに逃がすとよい(図4)。熱プレスが完了すると開口部3の縁に沿ってバリアー部材26が覆い耐水層17,19と一体となって水溶紙18,20に固定された構造となる(図5)。予めシート1とフランジ2をホットメルト接着剤等で接着しておき外径が開口部の直径とほぼ等しい成型シートを用いて熱プレスしてもよい。
【0046】
バリアー部材はインサート成型法によっても設けることができる。図6はシート1とフランジ2を接合したサブアセンブリー31をセットしたところである。インサート成型用金型は、円筒状の上金型33と、上金型33の下部と同芯状に嵌合するリング状の下金型34とからなる。上金型33の内周面には溶融した樹脂を射出するノズル孔36が等間隔に配置されている。シート1とフランジ2は、接合部32で示すように、予めホットメルト接着剤等で接着してサブアセンブリー31としておく。サブアセンブリー31のフランジ2側を下金型34の凹部34aに載せ、次いで上金型33を下降させると、上金型33、下金型34、サブアセンブリー31によってキャビテイ35が形成される。この状態でノズル孔36からキャビテイ35に溶融した熱可塑性樹脂を射出してサブアセンブリー31と一体に開口部の断面を覆わせる。
【0047】
上述した製造プロセスによって完成したオストミーパウチは、袋体10の短辺方向ではフランジ2が袋体10よりも突出し、長辺方向では袋体10がフランジ2の外周よりも突出している(図7(a))。開口部3を通る断面図(図7(b))および上端から見た図(図7(c))によれば、袋体10が膨らんだ状態ではガセット4,5によって開口部の付近では背面10aまでの奥行きが、ガセット4,5がない場合の奥行きに比べて増加していることが容易に推測できるであろう。
【0048】
(実施例2)
図8は本発明のオストミー装具の面板(図8(a))と外袋(図8(b))、図9は面板(図9(a))と外袋に内袋として実施例1のオストミーパウチを収容したところ(図9(b))、図10は内袋と外袋を面板に装着したところを示す図である。図9,10では内袋の袋体と識別しやすくするため外袋の袋体を点線で図示してある。実施例2で使用する面板と外袋については特願2005−120868号の明細書と図面を参照することができる。
【0049】
まず、本発明のオストミー装具全体を、着脱の手順に沿って説明する。面板41は基板42の接皮側に皮膚保護材43が積層され、基板42の非接皮側には開口部44の周囲において固定され外周部は浮き上がらせたいわゆるフローテイングフランジとよばれるリング状シール部45が設けられ、皮膚保護材43、基板42、リング状シール部45には共通する開口部44が形成されている。リング状シール部45の上面46の外周には外袋51と結合するための嵌合部を形成したリング状の突起47が設けられている。外袋51は排泄物を受け入れる開口部56、面板41と結合するための嵌合部が形成されたリング状のフランジ52、袋体53からなる。フランジ52には嵌合部から径方向内方および面板に向けて延びるリング状内側フランジ54が設けられている。内袋61はフランジ62、袋体63からなり、袋体63は上方の部分のみがガセットに応じて上端部68、69の2箇所を図示しているが下端も同様である。
【0050】
実施例1のオストミーパウチを面板41に取り付けるには、まず、外袋に内袋として実施例1のオストミーパウチを取り付ける。外袋51の開口部56から内袋61の袋体63をフランジ62から下方の部分だけを挿入する。次いで、内袋61の袋体63のフランジ62から上方の部分68,69を折り曲げて、外袋51の袋体53の内部に入れる。このとき外袋51と内袋61は全体に二重構造となり、内袋61はフランジ62と袋体63の基材である水溶紙に適度な硬さがあるため、内袋61のフランジ62は外袋51のリング状内側フランジ45に密着する。内袋61のフランジ62は接触面が平坦なシート状のため、外袋51のリング状内側フランジ54に密着したまま、スライドさせて同芯状に位置を整合させることができる。
【0051】
内袋61のフランジ62の外径は面板41のリング状突起部47の内径よりも小さく設定されているから、外袋51のフランジ52に設けた嵌合部を面板41のリング状突起部47に設けた嵌合部と結合させることにより、面板41と外袋51が結合するとともに、内袋61のフランジ62はリング状内側フランジ54とリング状シール部45に挟まれて固定されることにより面板41と内袋61が結合する。
【0052】
使用後は、面板41と外袋51の結合を解除して、内袋61と外袋51を一体のまま面板41から取り外す。外袋51のフランジ52の紙面に垂直方向の2箇所を親指と人指し指で挟んで、フランジ52の開口部から内袋61のフランジ62が突き出すように折り曲げる。外袋51のフランジ52の両側を把持してこの状態を維持したまま、内袋61の袋体63上部を背面から押して外袋51の開口部56から突き出す。突き出た袋体63の上端をつまんで外袋51から取り出し、内袋61を水洗トイレに投棄する。面板41の汚れを清掃して、前述したように新しい内袋を外袋とともに取り付ける。
【0053】
結合部の詳細を説明する。
図11は内袋を外袋に取り付けた状態で、面板に装着する前の状態の結合部の詳細、図12は外袋と内袋を面板に装着した結合部の詳細を示す。説明のため図11,12とも径方向に比べて軸方向が拡大して図示されている。
【0054】
図11によれば、面板41には、リング状突起部47には嵌合のための一対の凸部が設けられ、リング状シール部45の開口部44に近い内周部には、リング状シール部45を基板42にヒートシールしたときの押圧によって凹部48、凸部49が形成されている(図11(a))。
外袋51のフランジ52には嵌合のための一対の凹部が設けられ、嵌合部から径方向内側にリング状内側フランジ54が延び、その先端部55は肉厚の厚い突起状の断面となっている(図11(b))。リング状内側フランジ54はリング状シール部を押圧する面に沿って径方向の幅(W1)が4.1mm、嵌合部から突出した先端部55までの幅(W2)が3.0mm、内径が60mmである(図11(c))。
内袋61のフランジ62は外径が70mm、袋体63との接合部の外径が54mmである。内袋61は、外袋51に取り付けた状態ではフランジ62の中央部がいくぶん外袋の内部に引き込まれた形状となるが、リング状内側フランジ54とその先端部55が、内袋61のフランジ62と袋体63の楔状の隙間に入り込み、このためフランジ62がリング状内側フランジ54に密着して前述した位置合わせを遂行することができる。
【0055】
図12によれば、フランジ45の凸部がフランジ52の凹部に嵌合し、この際、リング状内側フランジ54とその先端部55がフランジ62をリング状シール部45に向けて押圧することにより、内袋61は面板41に結合される。先端部55は肉厚に成型されているため、押圧によって捲れあがることなく、強固にフランジ62を挟み込むことができる。またリング状シール部45には凸部49が存在するため、フランジ62には凸部49が押圧して押圧部においてシールされた状態となり、これによって液状の排泄物がフランジ62と凸部49との接触部より外周側へ浸出することを遮断することができる。
【0056】
(実施例3)
図13は本発明のオストミーパウチ(71)の他の実施例の平面図である。粘着フランジ72、袋体73は実施例1と同様に水中崩壊紙に耐水層を積層した水中崩壊性シートからなり、袋体73は前側と後側の2枚のシートからなり、フランジ72の外側の面には適度な水溶性を有する粘着剤が耐水層として設けられている。このオストミーパウチを製造するには、まず、袋体73を構成する2枚のシートのうち開口部74が形成された後側シートと粘着フランジ72とを重ね、実施例1と同様にして熱プレスまたはインサート成型により開口部74の断面を熱可塑性樹脂で覆うとともにフランジと後側シートとを接合する。次いで後側シートに前側シートを重ね周囲75をヒートシールして袋体73とすることにより完成する。このオストミーパウチはフランジの粘着剤層をオストミー装具の面板に着脱させて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のオストミーパウチの製造プロセスを示す図。
【図2】本発明のオストミーパウチの図1の後の製造プロセスを示す図。
【図3】熱プレスを用いたフランジと袋体の接合及びバリアー部材の形成プロセスを示す図。
【図4】図3の後の形成プロセスを示す図。
【図5】フランジと袋体の接合及びバリアー部材の形成が完了した状態を示す図。
【図6】射出成形によるバリアー部材の形成プロセスを示す図。
【図7】完成したオストミーパウチを示す図。
【図8】本発明のオストミー装具の面板と外袋を示す図。
【図9】本発明の外袋に内袋として実施例1のオストミーパウチを収容したところを示す図。
【図10】内袋と外袋を面板に装着したところを示す図。
【図11】内袋を外袋に取り付けた状態で、面板に装着する前の状態の結合部の詳細を示す図。
【図12】外袋と内袋を面板に装着した結合部の詳細を示す図。
【図13】本発明のオストミーパウチの他の実施例の平面図。
【符号の説明】
【0058】
1:シート、2:フランジ、3,44,56,74:開口部、4,5:ガセット、10,53,63,73:袋体、11:熱プレス用上金型、17,19:耐水層、18,20:水溶紙、25:成型シート、26:バリア部材、27,32:接合部、31:サブアセンブリー、33:上金型、34:下金型、35:キャビテイ、36:ノズル孔、41:面板、42:基板、43:皮膚保護材、45:リング状シール部、47:リング状突起部、51:外袋、52:リング状フランジ、54:リング状内側フランジ、55:リング状内側フランジの先端部、61:内袋、62:フランジ、71:オストミーパウチ、72:粘着フランジ、75:ヒートシール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記第1の袋体が内面に耐水層を設け水中崩壊性基材で裏打ちされた水中崩壊性シートからなり、
前記第1のリング状フランジが前記第1の袋体と接合された面の反対側の面に耐水層を設け水中崩壊性基材で裏打ちされた水中崩壊性シートからなり、
前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面に沿って前記水中崩壊性基材を覆う耐水性のバリアー部材が設けられていることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項2】
前記バリアー部材が前記第1の袋体と第1のリング状フランジの間に延在していることを特徴とする請求項1に記載のオストミーパウチ。
【請求項3】
前記バリアー部材が熱可塑性樹脂を主成分とする組成物または熱可塑性樹脂と脆性付与成分とを主成分とする組成物からなることを特徴とする請求項1に記載のオストミーパウチ。
【請求項4】
前記第1の袋体と前記第1のリング状フランジに設けた耐水層が熱可塑性樹脂を主成分とする組成物または熱可塑性樹脂と脆性付与成分とを主成分とする組成物からなることを特徴とする請求項1に記載のオストミーパウチ。
【請求項5】
前記第1のリング状フランジに設けた耐水層が粘着剤からなることを特徴とする請求項1に記載のオストミーパウチ。
【請求項6】
前記第1の袋体を構成する水中崩壊性基材が水中崩壊紙であって、前記第1の袋体の両側部に折り目が形成され、該折り目が形成されていない両側部が融着されてシールされていることを特徴とする請求項1記載のオストミーパウチ。
【請求項7】
前記折り目がガセットであることを特徴とする請求項6記載のオストミーパウチ。
【請求項8】
前記第1の袋体の折り目を形成した両側部の間の幅が前記第1のフランジの外径よりも狭いことを特徴とする請求項6記載のオストミーパウチ。
【請求項9】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備し、前記第1の袋体と前記第1のリング状フランジが水中崩壊性基材の一面に熱可塑性樹脂からなる耐水層を設けた水中崩壊性シートからなるオストミーパウチの製造方法において、
熱可塑性樹脂からなるリング状部材を準備し、
前記袋体を構成すべき第1の開口が形成されたシート部材と前記第1のリング状フランジとを前記耐水層を設けた面を外側にかつ該シート部材の前記第1の開口部の周囲に同芯状に前記第1のリング状フランジを配置し、
さらに前記熱可塑性樹脂からなるリング状部材を前記第1の開口部の内周面に接して同芯状に配置し、
次いで前記熱可塑性樹脂からなるリング状部材を熱プレスして溶融させ前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面を覆って密着させ、
次いで前記シート部材から袋体を形成することを特徴とするオストミーパウチの製造方法。
【請求項10】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた第1の袋体と、該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備し、前記第1の袋体と前記第1のリング状フランジが水中崩壊性基材の一面に熱可塑性樹脂からなる耐水層を設けた水中崩壊性シートからなるオストミーパウチの製造方法において、
前記袋体を構成すべき第1の開口が形成されたシート部材と前記第1のリング状フランジとを前記耐水層を設けた面を外側にかつ該シート部材の前記第1の開口部の周囲に同芯状に前記第1のリング状フランジを接合し、
該接合された前記シート部材と前記第1のフランジとを前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面に隣接するリング状のキャビテイを有する金型に配置し、
前記リング状のキャビテイに熱可塑性樹脂を注入することにより前記第1の開口部と前記第1のリング状フランジとの内周面を前記熱可塑性樹脂によって覆って密着させ、
次いで前記シート部材から袋体を形成することを特徴とするオストミーパウチの製造方法。
【請求項11】
前記水中崩壊性基材が水中崩壊紙であって、前記シート部材を前記第1のリング状フランジの外周近傍の両側において折り目を形成し、該折り目を形成して近接した両端部の耐水層同士をヒートシールし、該折り目を形成しない他方の両端部の耐水層同士をヒートシールして袋体を形成することを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチの製造方法。
【請求項12】
前記袋体の幅が前記第1のリング状フランジの外径よりも狭くなるように前記両側部に折り目を形成したことを特徴とする請求項11に記載のオストミーパウチの製造方法。
【請求項13】
前記両端部に形成した折り目の少なくとも一方がガセットであることを特徴とする請求項11に記載のオストミーパウチの製造方法。
【請求項14】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を設けた第1の袋体と該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチと、
ストーマの周囲に固定され非接皮側に第1のリング状嵌合部を設けた面板と、
該第1のリング状嵌合部に嵌合する第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなる外袋とを準備し、
前記第1と第2のリング状フランジを同芯状に密着して配置して前記第1の袋体を前記第2の袋体の内部に収容し、
前記第1と第2のリング状嵌合部を嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記第1のリング状フランジを前記面板に押圧して固定することを特徴とするオストミーパウチの使用方法。
【請求項15】
前記オストミーパウチが請求項1〜8のいずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とする請求項14に記載のオストミーパウチの使用方法。
【請求項16】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を設けた第1の袋体と該第1の袋体の前記第1の開口部の周囲に同芯状に接合された第1のリング状フランジとを具備するオストミーパウチと、
ストーマの周囲に固定され非接皮側に第1のリング状嵌合部を設けた面板と、
該第1のリング状嵌合部に嵌合する第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなる外袋とを具備し、
前記第1と第2のリング状フランジを同芯状に密着して配置して前記第1の袋体を前記第2の袋体の内部に収容可能であり、
前記第1と第2のリング状嵌合部を嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記第1のリング状フランジを前記面板に押圧して固定することを特徴とするオストミー装具。
【請求項17】
前記オストミーパウチが請求項1〜8のいずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とする請求項16に記載のオストミー装具。
【請求項18】
ストーマの周囲に固定され非接皮側に第1のリング状嵌合部を設けた面板と、
該第1のリング状嵌合部に嵌合する第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなるパウチとを具備し、
前記リング状内側フランジの径方向の幅が2〜10mmであり、前記第1と第2のリング状嵌合部を嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記面板を押圧することを特徴とするオストミー装具。
【請求項19】
第2のリング状嵌合部と該第2のリング状嵌合部から径方向内側に延在するリング状内側フランジとを有する第2のリング状フランジと該第2のリング状フランジに取り付けられた第2の袋体からなるパウチであって、
前記リング状内側フランジの径方向の幅が2〜10mmであり、前記第2のリング状嵌合部が面板に設けられた嵌合部と嵌合したときに前記リング状内側フランジが前記面板を押圧することを特徴とするパウチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−316(P2008−316A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172342(P2006−172342)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】