オストミーパウチとその製造方法およびオストミー装具
【課題】従来技術の問題を解決し、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、このオストミーパウチを具備したオストミー装具を提供する。
【解決手段】排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなるものとする。
【解決手段】排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液や人体排泄物を収集するためのオストミーパウチに関し、とくに使用後に収集した排泄物とともに水洗トイレに投棄して処分できるオストミーパウチ、およびこのオストミーパウチを利用したオストミー装具に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなオストミーパウチは、使用後にパウチから排泄物を排出して洗浄する不快な操作が不要なため長年待ち望まれているものの、現在のところ、ウエランドメデイカル社のみが商品化している状況であって、依然、普及には至っていない。
【0003】
特許文献1は上記ウエランドメデイカル社の商品に関するものである。水洗トイレに投棄して処分するため、使用中の乾燥状態では所定の強度を有し、トイレの水流によって溶解や崩壊を生じて強度を失う水中崩壊性の材料を基材とし、基材の内面には排泄物中の水分から保護するための耐水材料を積層している。しかし、使用後には面板を含めた装具のすべてを廃棄する必要があるためコスト面で問題がある。
【0004】
特許文献2は本出願人によるものであり、水溶性樹脂フィルムを素材とした水洗トイレに流せるパウチを内袋として、外袋に分離可能に収容する様々な形態が開示されている。例えば、内袋のフランジに粘着剤を設けて面板と結合させるもの、内袋の開口部をフレア状に形成しこのフレア部分を外袋と面板との嵌合部に挟み込むもの等がある。しかし、いずれも基本的な形態を示すにすぎず、前者においてはパウチを構成するための細部までは開示されておらず、また後者においては具体的には開口部がフレア状の特殊なパウチに限られている。
【0005】
特許文献3は、水分散性の紙シートにプラスチックフィルムを積層した袋体を内袋とし、水不溶性の外袋と二重構造にして面板と着脱自在としたものである。使用後に内袋をトイレに投棄するためには外袋も破棄する必要がある。面板は再使用できるもののやはりコストアップが避けられない。
【0006】
特許文献4は、面板の外袋が再使用可能となっており、剥離性のライナーを取り付けて内袋を外袋のフランジに位置決めしやすくなっている。しかし使用後、排泄物が収容された状態において手を汚さずに内袋を取り外すには問題がある。また、内袋は袋体の一端にある開口部にフランジを設けたものであって、使用可能な素材の選択、製造方法、不明な点がある。
【0007】
特許文献5では、外袋が面板に固定され、かつ外袋の前面を広く開閉して内袋を着脱する点で上述した問題は一応解決している。しかし、内袋に設けられたフランジについては、いずれの水洗トイレにおいても投棄できるかどうかは疑問である。
【0008】
特許文献6では、面板の粘着層を親水性成分と疎水性成分とを含む皮膚保護剤で構成することにより、水と接触して崩壊し得るようにしたものだが、いわゆるワンピース型のオストミーパウチに限られるものである。
【0009】
【特許文献1】特表平8−503865公報
【特許文献2】特開平9−131365号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/113770号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/082271号パンフレット
【特許文献5】特開2005−205216号公報
【特許文献6】特開2002−17766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の問題を解決し、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、このオストミーパウチを具備したオストミー装具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上記課題は下記により達成される。排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなることを特徴とする(請求項1の発明)。また、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅にほぼ等しく、かつ袋体の上縁が前記フランジの外周にほぼ重なるように配置されていることを特徴とする(請求項2の発明)。
【0012】
上記発明の実施態様としては、下記請求項3〜8の発明が好ましい。前記請求項2に記載のオストミーパウチにおいて、前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする(請求項3の発明)。また、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする(請求項4の発明)。さらに、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする(請求項5の発明)。また、前記請求項5に記載のオストミーパウチにおいて、前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする(請求項6の発明)。さらに、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする(請求項7の発明)。また、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする(請求項8の発明)。
【0013】
また、本発明の課題は下記によっても達成できる。排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなることを特徴とする(請求項9の発明)。さらに、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅よりも大であり、かつフランジの両側部から上部に亘る部分が前記袋体の外方となるように配置されていることを特徴とする(請求項10の発明)。
【0014】
上記発明の実施態様としては、下記請求項11〜16の発明が好ましい。前記請求項10に記載のオストミーパウチにおいて、前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする(請求項11の発明)。また、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする(請求項12の発明)。さらに、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする(請求項13の発明)。また、前記請求項13に記載のオストミーパウチにおいて、前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする(請求項14の発明)。さらに、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする(請求項15の発明)。また、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする(請求項16の発明)。
【0015】
オストミー装具の発明としては、身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、前記面板と前記オストミーパウチとの結合部が前記面板と前記外袋の結合部の内側であって、前記オストミーパウチが請求項1乃至8いずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とする(請求項17の発明)。また、前記請求項17に記載のオストミー装具において、前記外袋が前記面板に着脱可能に結合されることを特徴とする(請求項18の発明)。さらに、前記請求項17に記載のオストミー装具において、前記外袋が開閉自在な開口部を有することを特徴とする(請求項19の発明)。
【0016】
また、オストミー装具の上記とは異なる発明としては、身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、前記オストミーパウチが請求項9乃至16いずれか1項に記載のオストミーパウチであって、前記オストミーパウチの前記フランジが前記面板と前記外袋との結合部に挟み込まれることを特徴とする(請求項20の発明)。また、前記請求項20に記載のオストミー装具において、前記面板と前記外袋との結合部が嵌合からなることを特徴とする(請求項21の発明)。
【0017】
さらに、前記請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具において、前記オストミーパウチを構成する袋体の幅が外袋の開口部の内径とほぼ等しいことを特徴とする(請求項22の発明)。また、前記請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具において、前記オストミーパウチに排泄物を貯留したときに、当該排泄物を貯留した袋体の底部が外袋の底部に支持される長さであることを特徴とする(請求項23の発明)。
【0018】
また、前記とは異なるオストミーパウチの発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体とフランジが水中崩壊紙を基材とし、かつ前記第1または/および第2の開口部に露出した水中崩壊紙の断面または断面近傍にホットメルト組成物または撥水剤が含浸されてなることを特徴とする(請求項24の発明)。また、前記請求項24に記載のオストミーパウチにおいて、前記撥水剤がシリコーンであることを特徴とする(請求項25の発明)。
【0019】
オストミーパウチの製造方法の発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備したオストミーパウチであり、前記袋体がフランジに近接した第1のシートとフランジから遠い側に配置される第2のシートの周縁を互いにヒートシールされてなり、前記フランジがシート状部材からなり、かつその外径が前記袋体の幅よりも大であるオストミーパウチの製造方法において、
(1)前記フランジと前記第1のシートを前記第1と第2の開口部を囲んで接合する第1ステップと、
(2)第1のステップにおいて接合されたフランジと第1のシートとの間に前記第1と第2の開口部をさらに囲むように断熱シートを挿入する第2ステップと、
(3)さらに第2のシートを重ねてシール金型を押し当てることにより第1と第2の2枚のシートの周縁を互いにヒートシールして袋体を形成する第3ステップと
からなることを特徴とする(請求項26の発明)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来技術の問題を解決し、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、このオストミーパウチを具備したオストミー装具が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について以下に述べる。なお、オストミーパウチやオストミー装具の具体的な構成や製造方法等については、後述する実施例の項で述べる。
【0022】
本発明は水中崩壊性のシート状基材を使用するものである。本発明のオストミーパウチは袋体とフランジからなり、袋体は、水中崩壊性の2枚のシートを周縁を互いに接合して袋状にしたものや、水中崩壊性のシートがガゼット状に形成されたものであって、一面に排泄物を受け入れるための開口部が設けられたものである。本発明のフランジは水中崩壊性のシート状部材を円環状等に形成したものである。
【0023】
水中崩壊紙とは、繊維状のカルボキシメチルセルロースを抄紙するか、繊維状のセルロースを抄紙した後にカルボキシメチル化することによって、温水や冷水中で速やかに溶解する水溶紙、又は、水溶性バインダーを用いてセルロース繊維を抄紙して得られ、温水や冷水中で速やかに分散する水分散紙である。トイレットペーパー原紙を使用することもできる。また同様に水溶性または水分散性を示す不織布でもよい。袋体とフランジに使用する水中崩壊紙は、要求される柔軟性や強度、耐水材料の含浸しやすさ等に応じて、坪量、厚さ、水溶紙、水分散紙をそれぞれ適宜選択することができる。
【0024】
水溶性樹脂フィルムは周知のものであって、適度な水溶性を得られるように鹸化度が調整されたポリビニルアルコールフィルム、メチル/エチルセルロース等が使用できる。
【0025】
水溶性のシート状基材に設けた耐水層とは、基材に裏打ちされた状態では排泄物と接触してもクラックやピンホールのない連続的な薄膜であって、ヒートシールが可能であり、オストミーパウチが水中に投棄されて裏打ちされた基材が崩壊したときは、水洗トイレの水流によって投棄の直後にバラバラに分解するか、少なくとも亀裂を生じるものである。さらに、公共下水や浄化槽において容易に分解する生分解性を有するものが好ましい。
【0026】
耐水層に使用する材料として熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、低分子量アモルファスポリアルファオレフィン等を使用することができる。
【0027】
また熱可塑性樹脂に脆性付与成分を混合した組成物を使用してもよい。この場合、熱可塑性樹脂はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」)、エチレン・ビニルアルコール共重合体等である。
【0028】
熱可塑性樹脂に脆性を付与する成分としては、例えば、熱可塑性樹脂の伸びを抑制し、引き裂き強度を低下させるものであればよく、タルク、シリカ、酸化チタン等の粉末、パラフィンワックス、カルナバウワックス等のワックス類、低分子量のポリマーが挙げられる。
【0029】
熱可塑性樹脂と脆性を付与する成分との組成物としては、EVAとパラフィンワックス、EVAとポリ乳酸、ポリエチッレンテレフタレートと分子量5,000程度の低分子量ポリカプロラクタン等がよい。
【0030】
水溶性のシート状基材に熱可塑性樹脂等を積層する方法はコーテイング、フィルムをラミネートする方法があるが、コーテイングの場合は、ロールコーター、ダイコーター等のホットメルトコーターが使用できる。
【0031】
本発明においてはフランジと袋体とを水中崩壊性の結合剤を用いてオストミーパウチとする。水中崩壊性の結合剤とは、使用中には必要な結合強度を有し、トイレの水流に投棄されたとこには溶解または分散する粘着性または接着性の結合剤である。
【0032】
水中崩壊性の結合剤として、耐水層と同様な熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂に脆性成分を配合した組成物を用いてヒートシールして接合することができる。ヒートシールする際は、溶融したホットメルト組成物を水中崩壊紙の表面から浸透させて袋体とフランジとを強固に接合させるだけでなく、裏面に至るまで厚さ方向に開口部の断面近傍に含浸させて開口部断面を排泄物の水分から保護することができる。この場合、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂とワックスからなる組成物は、袋体の耐水層の材料よりも低融点の材料を使用することにより、予め設けられた熱可塑性樹脂の耐水層を損なうことなく水中崩壊紙同士をヒートシールさせることができる。
【0033】
フランジと袋体とホットメルト組成物を用いてヒートシールして接合する場合、フランジと袋体の大きさの関係によっては後述するヒートシール方法によって達成される。
【0034】
水中崩壊性の結合剤として水溶性粘着剤や水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を用いることもできる。この場合の水溶性粘着剤は適度な水溶性を有するものである。フランジの袋体と反対側の面に粘着剤を設けて面板との着脱を行う粘着カップリングの場合には、袋体との接合に使用する粘着剤は粘着強度が粘着カップリング用のものより高いものを使用する。
【0035】
水溶性粘着剤に使用する材料は、例えば、適度に水に溶解するポリ酢酸ビニル、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル系等の粘着剤を使用することができる。例えば、鹸化度が70〜100%ポリビニルアルコール100重量部、糖、アルカノールアミン、ポリエーテルポリオールから選択した水溶性可塑剤10〜160重量部、ポリエチレンイミン100〜150重量部を配合した水溶性粘着剤を使用することができる。また、水溶性ベースポリマー(メトキシエチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート及びスチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体)100部に対し、水溶性可塑剤(ヘキサオール)30部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)1部を配合した水溶性または水分散性の粘着剤を使用することもできる。
【0036】
また、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤とは、水分を吸収して粘着剤としての凝集力が弱くなり崩壊するものであって、疎水性成分としてスチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、ポリイソブチレン、親水性成分として、カラヤゴム、ペクチン、ゼラチン、水中に投棄したときに崩壊性を高めるために水溶性高分子として、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール、その他、石油系粘着付与剤を配合することができる。
【0037】
水中崩壊性シートの基材が水中崩壊紙の場合には、排泄物が通過する開口部の断面または断面近傍にホットメルト組成物または撥水剤を含浸させて、排泄物中の水分による崩壊から保護するとよい。
【0038】
水中崩壊紙の断面に含浸させるホットメルト組成物または撥水剤には、水中崩壊紙を構成する繊維の隙間に浸透し、開口を形成する断面の水に対する接触角を大きくし、例えば、撥水性を向上させることにより、水中崩壊紙を構成するカルボキシメチルセルロース化された繊維や、セルロース繊維を結合した水溶性バインダーと、排泄物中の水分との接触を最小化することにより水中崩壊紙を保護するものである。
【0039】
含浸されたホットメルト組成物とは、前述したフランジと袋体をヒートシールする際に含浸した熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物である。
【0040】
撥水剤には、例えば、常温で含浸させることのでき、水中崩壊紙の表面から浸透しやすいジメチルシリコーンオイル、とくに繊維の表面に結合しやすいSi−H結合を持ったメチルハイドロジェンシリコーンオイルが適用できる。またポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、流動パラフィン等も使用できる。
【0041】
撥水剤を断面から含浸させる方法は例えば、以下のとおりである。まず、フランジと袋体をヒートシール、粘着剤、接着剤等で接合する。次いで、シリコーンを含浸したフェルトをフランジ側から開口部の断面に沿って押し付けることによってシリコーンを水中崩壊紙に移行させることができる。
【0042】
フランジとして水溶性のシート状基材に水溶性粘着剤や水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層したものを用いて面板と着脱可能とした粘着カップリング用のオストミーパウチとすることができる。
【0043】
上記粘着剤はフランジの片面に装着に必要な強度に応じた面積に設ければよい。また、少なくとも開口部に隣接した内周部に亘って設けることにより、使用中に、フランジとフランジが装着された面との隙間に排泄物が侵入して、排泄物の水分によりフランジが崩壊することを防止したり、また、使用後に取り外す際に、フランジが装着された面に付着した排泄物を除去する煩わしい操作を不要にすることができる。また上記粘着剤の厚さは0.05〜1mmとすることにより被粘着面の表面状態にかかわらず確実な接合を実現することができる。
【0044】
フランジに上記粘着剤を設けたオストミーパウチを外袋に分離可能に収容する場合、その形状は次のようなものとなる。外袋と面板が互いに着脱可能であり、かつ外袋と面板の結合部の内側に本発明のフランジを装着する場合には、フランジの外径が前記袋体の幅にほぼ等しいか又は小さく形成され、かつフランジの外周の上縁と前記袋体の上縁はほぼ重なるように互いに配置されている。例えば、袋体の上部をほぼ半円形状とし、袋体の上縁よりもわずかに内側にフランジの外周の上縁が配置される。このような形状とすることにより後述するようにオストミー装具にスムースに装着することができる。また外袋が面板に固定され、かつ外袋の開閉可能な開口部として、例えば前面が広く開放されるような構造の場合には、フランジの外径が袋体の幅よりも小であってフランジが袋体の内側に配置される一般的なオストミーパウチと同様な構造とすることができる。
【0045】
水溶性のシート状基材の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してフランジとし、このフランジの外周部を、オストミー装具の外袋と面板との機械的な結合部に挟み込んで使用する嵌合カップリング用オストミーパウチとすることができる。上記熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物は材料、特性とも袋体の耐水層とほぼ同様なものである。外袋と面板との機械的な結合部とは、例えば、リング状の嵌合部が利用できる。利用可能なリング状の嵌合部とは、例えば、前述した特許文献2に示されている。フランジはオストミー装具に装着したときに外袋と面板との機械的な結合部に挟み込まれる大きさを有するものであれば、外側の形状は円形でも矩形でもよい。
【0046】
オストミー装具の外袋と面板との機械的な結合部として、例えば、リング状の嵌合部が利用できる。また、外袋と面板との機械的な結合部として、外袋のフランジの一部が面板の一部に圧接された部分を利用することもできる。例えば、実公平7−15542号公報の第4図に示されるシール片19とリング状テーパー部4との圧接部でもよい。かりに、同公報に記載の外科用吻合装置をそのまま利用する場合には、同公報記載の袋体16に本発明のオストミーパウチを収容し、シール片19とリング状テーパー部4との圧接部にフランジの外周を挟み込めばよい。
【0047】
嵌合カップリング用オストミーパウチでは、上述したように外袋の嵌合部またはシーリング部にフランジを挟み込むため、必然的にフランジの外径は袋体の幅よりも大となる。フランジが矩形の場合はフランジの横幅が袋体の幅よりも大となる。そしてフランジと袋体とは、フランジの両側部から上部に亘る部分が袋体の外側にはみ出すように配置される。またフランジを構成する熱可塑性樹脂等は嵌合部等に挟み込まれてその形状に応じて破断することなく屈曲可能な柔軟性を有する材料、厚さのものである。排泄物によるフランジのダメージを防止するため、熱可塑性樹脂等を設ける領域は、フランジの内周から嵌合部やシーリング部分までの領域である。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
本発明の第1の実施例を図1〜5に沿って説明する。図1は第1の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図(a)及び正面図(b)、図2は第1の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図、図3は同じく貼り合わせた後に撥水剤が含浸された拡大断面図、図4は第1の実施例のオストミーパウチを内袋として面板に装着したオストミー装具の側断面図、図5は図4のオストミー装具の内袋と外袋を面板から分離した状態を示す側断面図である。
【0049】
図1において、1は袋体、2はフランジ、3は開口部、3aは第1の開口部、3bは第2の開口部、4はフランジと袋体の接合部を示す。
図1に示すとおり、内袋の形状は、袋体1の幅が全長に亘ってフランジとほぼ等しく、かつフランジ2と袋体1の上端ではエッジがほとんど重なるように構成され、全体として上部が半円状、下部が矩形状となっている。また後述する外袋に対しては、袋体の幅が外袋の開口から挿入できるように開口の直径とほぼ同じか、わずかに細くなっており、内袋の袋体の長さはフランジから下方が外袋とほぼ同じかわずかに短くなっている。
【0050】
袋体1は、水中崩壊性シートとして、三島製紙(株)製「水溶紙」品種30MDP、坪量30g/m2に、EVAに全重量の40重量%のパラフィンワックスを配合したホットメルト組成物を、塗工量20g/m2の厚さにダイコーテイングしたシートを使用する。
【0051】
フランジ2は、三島製紙(株)製「水溶紙」品種120MDP、坪量120g/m2の袋体の反対側の面に厚さ約50μmに水溶性粘着剤を粘着層として設けた。水溶性粘着剤は鹸化度が85mol%ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピル化スターチ、ポリエチレンイミンを配合したものをホットメルトコートした。
【0052】
次に、図2、3に示すようにフランジの接合と撥水剤の含浸を行う。まず、袋体の開口部の外周面に前記粘着層と同じ水溶性粘着剤を溶融してリング状に形成し、ただちに前記フランジと貼りあわせた。なお、剥離紙上に溶剤に溶かした水溶性粘着剤をリング状に形成し、溶剤を飛ばしてから、袋体の開口部の外周面上に転写してから、同様にフランジを貼り合わせてもよい。
【0053】
次に、東芝シリコーン(株)製シリコーンオイル、製品名TSG484をトルエンで希釈しフェルトに含浸させ、フランジ側から開口の内周に沿って押し付け、シリコーンを水溶紙の露出した断面から含浸させた。このとき粘着剤の粘着性が過度に低下しないように注意が必要である。
【0054】
図4は第1の実施例のオストミーパウチを内袋10としてさらに外袋5を具備したオストミー装具である。面板6の身体に取り付ける側と反対側には、外袋5を取り付けるための結合部7と、この結合部の内周に第1の実施例のオストミーパウチを取り付けるための結合部として面板から浮き上がらせたフローテイングフランジ8と内袋10の水溶性粘着剤が取り付けられるランデイング部9が設けられている。外袋5はポリオレフィン系の多層の防臭フィルム部材からなり開口部には嵌合部が設けられている。なお嵌合部とは面板6に設けた環状の凹部または凸部と外袋5に設けた環状の凸部または凹部とをスナップフィットする周知の構造である。
【0055】
図5に内袋10を外袋5に着脱する際の一つの状態を示す。このオストミー装具を使用するには、まず、外袋5の開口部から内袋10を挿入し、次いで内袋、外袋の順に面板6に結合させる。使用後は外袋、内袋の順に結合を解除し、外袋の開口部から内袋を取り出して水洗トイレに投棄する。
【0056】
第1の実施例では、内袋の形状が、袋体の幅が全長に亘ってフランジとほぼ等しく、かつフランジと袋体の上端ではエッジがほとんど重なるように構成されているため、挿入、取り出しに際して外袋の開口部に干渉して破損することなく安全にかつ容易に操作を行うことができる。また袋体の幅が全長に亘ってフランジとほぼ等しく形成されているため、排泄物を袋体全体に亘って効率よく貯留することができる。さらに内袋の袋体の長さはフランジから下方が外袋とほぼ同じかわずかに短くなっているため内袋に排泄物を貯留したときの荷重を外袋にも支持させることができる。さらに、面板からフランジを着脱したり、袋体を外袋から取り出すときに操作を容易にするため、フランジまたは袋体に水溶紙からなるタブを取り付けてもよい。
【0057】
(実施例2)
本発明の第2の実施例を図6〜13に沿って説明する。図6は第2の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図(a)、正面図(b図)、図7は第2の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図、図8は同じくヒートシールによって同時に耐水処理された状態を示す拡大断面図、図9〜11は第2の実施例のオストミーパウチをヒートシールによって組み立てるときの各ステップを順に示す工程図、図12は図10の工程で使用される断熱シートの平面図、図13は第2の実施例のオストミーパウチを内袋としてオストミー装具に組み込んだ側断面図である。
【0058】
図6に第2の実施例のオストミーパウチの形状を示す。このオストミーパウチは、袋体1が全体として上部を半円状として幅が一定のほぼ長方形になっており、開口部3を囲んで袋体の上端近傍を含む環状にフランジとの接合部4が設けられている。フランジ2はフランジと袋体とを重ねたときにフランジの外周部が袋体の外側にはみ出すように構成されている。
【0059】
袋体1は、水中崩壊性シートとして、三島製紙(株)製「水溶紙」品種30MDP、坪量30g/m2に、EVAに全重量の40重量%のパラフィンワックスを配合したホットメルト組成物を、塗工量20g/m2の厚さにダイコーテイングしたシートを使用した。
【0060】
フランジ2は、三島製紙(株)製「水溶紙」品種120MDP、坪量120g/m2の袋体の反対側の面に同じくEVAに全重量の40重量%のパラフィンワックスを配合したホットメルト組成物を、塗工量20G/m2の厚さにダイコーテイングした。
【0061】
次に図7、8に示すように、袋体1を構成するフランジ側のシートの開口部の外周に、リング状に形成したホットメルト組成物を用いて、フランジ2をヒートシールで接合した。使用したホットメルト組成物はEVAとパラフィンワックスを主成分とし、耐水層に使用したものよりも融点が低いものを使用することが好ましい。ヒートシールしたときにホットメルト組成物がフランジと袋体それぞれの水溶紙の厚さ方向に浸透し断面の全面に亘って含浸した。
【0062】
袋体を構成するフランジ側のシートとフランジとを接合した後に、開口部を穿孔してもよい。またホットメルト組成物を含浸させた後に、さらに開口部に撥水剤を塗布して含浸させてもよい。
【0063】
次に、袋体を構成するため2枚のシートの周縁をヒートシールして袋体を形成する。ヒートシールされる袋体の外縁とフランジがほぼ重なり合うため、以下の方法で行う。
【0064】
(1)まず、袋体を構成すべき2枚のシートのうちフランジ側のシートとフランジをヒートシールする(図9)。
(2)次に、フランジとこのフランジにヒートシールされたシートとの隙間にガラスクロスからなる断熱シートを挿入し、さらに袋体を構成すべき2枚のシートのうちのもう一方のシートと重ねる(図10)。
断熱シートは上記貼りあわせ部が入る開口が形成され、一端に割れ目を入れてある。(図12)。この割れ目を開いて前記隙間に断熱シートを挟み込む。
(3)次に高温度になったヒートシール金型を押し付けて周縁部をヒートシールする。フランジは断熱シートによって高温から遮蔽されるため袋体のヒートシールによる影響を受けることなく袋体の周縁部がヒートシールされる(図11)
【0065】
ヒートシール金型の圧力を均等に受けるため、フランジと袋体はシリコンゴム等の弾性シート上に載置するとよい。断熱シートの割れ目に対応する部分ではシール金型の圧力が不均等となるおそれがあるため使用するフランジと袋体の素材に応じた弾力性のある弾性シートを使用すればよい。
【0066】
図13に第2の実施例のオストミーパウチを内袋としてオストミー装具に組み込んだ側断面図を示す。図13において、2はフランジ、5は外袋、6は面板、7aは面板の嵌合部、7bは面板の嵌合部7aと対になる外袋の嵌合部、10は内袋で前記第2の実施例のオストミーパウチある。
このオストミー装具には内袋10を除いて市販のオストミー装具が利用可能である。この場合の使用できる市販のオストミー装具とは、嵌合部を有し、例えば、嵌合部を設けたフランジの内径が内袋の袋体の幅よりも大きく、かつ嵌合部の外径が内袋のフランジよりも小径であればよい。内袋は外袋の開口部から内部に挿入され、嵌合部に内袋のフランジを挟み込んで装着し、使用後は嵌合部を解除し、内袋を開口部から取り出して水洗トイレに投棄すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図及び正面図。
【図2】第1の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図。
【図3】図2における開口部が貼り合わされた後に撥水剤が含浸された拡大断面図。
【図4】第1の実施例のオストミーパウチを内袋として面板に装着したオストミー装具の側断面図。
【図5】図4のオストミー装具の内袋と外袋を面板から分離した状態を示す側断面図。
【図6】第2の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図及び正面図。
【図7】第2の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図。
【図8】図7における開口部がヒートシールによって同時に耐水処理された状態を示す拡大断面図。
【図9】第2の実施例のオストミーパウチをヒートシールによって組み立てるときの第1工程を示す図。
【図10】図9に続く第2工程を示す図。
【図11】図10に続く第3工程を示す図。
【図12】図10の工程で使用される断熱シートの平面図。
【図13】第2の実施例のオストミーパウチを内袋としてオストミー装具に組み込んだ側断面図。
【符号の説明】
【0068】
1:袋体、2:フランジ、3:開口部、3a:第1の開口部、3b:第2の開口部、4:フランジと袋体の接合部、5:外袋、6:面板、7:面板と外袋の結合部、7a:面板の嵌合部、7b:外袋の嵌合部、8:フローテイングフランジ、9:ランデイング部、10:内袋、11:前側シート、12:後側(フランジ側)シート、20:断熱材シート、21:シール金型。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液や人体排泄物を収集するためのオストミーパウチに関し、とくに使用後に収集した排泄物とともに水洗トイレに投棄して処分できるオストミーパウチ、およびこのオストミーパウチを利用したオストミー装具に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなオストミーパウチは、使用後にパウチから排泄物を排出して洗浄する不快な操作が不要なため長年待ち望まれているものの、現在のところ、ウエランドメデイカル社のみが商品化している状況であって、依然、普及には至っていない。
【0003】
特許文献1は上記ウエランドメデイカル社の商品に関するものである。水洗トイレに投棄して処分するため、使用中の乾燥状態では所定の強度を有し、トイレの水流によって溶解や崩壊を生じて強度を失う水中崩壊性の材料を基材とし、基材の内面には排泄物中の水分から保護するための耐水材料を積層している。しかし、使用後には面板を含めた装具のすべてを廃棄する必要があるためコスト面で問題がある。
【0004】
特許文献2は本出願人によるものであり、水溶性樹脂フィルムを素材とした水洗トイレに流せるパウチを内袋として、外袋に分離可能に収容する様々な形態が開示されている。例えば、内袋のフランジに粘着剤を設けて面板と結合させるもの、内袋の開口部をフレア状に形成しこのフレア部分を外袋と面板との嵌合部に挟み込むもの等がある。しかし、いずれも基本的な形態を示すにすぎず、前者においてはパウチを構成するための細部までは開示されておらず、また後者においては具体的には開口部がフレア状の特殊なパウチに限られている。
【0005】
特許文献3は、水分散性の紙シートにプラスチックフィルムを積層した袋体を内袋とし、水不溶性の外袋と二重構造にして面板と着脱自在としたものである。使用後に内袋をトイレに投棄するためには外袋も破棄する必要がある。面板は再使用できるもののやはりコストアップが避けられない。
【0006】
特許文献4は、面板の外袋が再使用可能となっており、剥離性のライナーを取り付けて内袋を外袋のフランジに位置決めしやすくなっている。しかし使用後、排泄物が収容された状態において手を汚さずに内袋を取り外すには問題がある。また、内袋は袋体の一端にある開口部にフランジを設けたものであって、使用可能な素材の選択、製造方法、不明な点がある。
【0007】
特許文献5では、外袋が面板に固定され、かつ外袋の前面を広く開閉して内袋を着脱する点で上述した問題は一応解決している。しかし、内袋に設けられたフランジについては、いずれの水洗トイレにおいても投棄できるかどうかは疑問である。
【0008】
特許文献6では、面板の粘着層を親水性成分と疎水性成分とを含む皮膚保護剤で構成することにより、水と接触して崩壊し得るようにしたものだが、いわゆるワンピース型のオストミーパウチに限られるものである。
【0009】
【特許文献1】特表平8−503865公報
【特許文献2】特開平9−131365号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/113770号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/082271号パンフレット
【特許文献5】特開2005−205216号公報
【特許文献6】特開2002−17766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の問題を解決し、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、このオストミーパウチを具備したオストミー装具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上記課題は下記により達成される。排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなることを特徴とする(請求項1の発明)。また、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅にほぼ等しく、かつ袋体の上縁が前記フランジの外周にほぼ重なるように配置されていることを特徴とする(請求項2の発明)。
【0012】
上記発明の実施態様としては、下記請求項3〜8の発明が好ましい。前記請求項2に記載のオストミーパウチにおいて、前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする(請求項3の発明)。また、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする(請求項4の発明)。さらに、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする(請求項5の発明)。また、前記請求項5に記載のオストミーパウチにおいて、前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする(請求項6の発明)。さらに、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする(請求項7の発明)。また、前記請求項1又は2に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする(請求項8の発明)。
【0013】
また、本発明の課題は下記によっても達成できる。排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなることを特徴とする(請求項9の発明)。さらに、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅よりも大であり、かつフランジの両側部から上部に亘る部分が前記袋体の外方となるように配置されていることを特徴とする(請求項10の発明)。
【0014】
上記発明の実施態様としては、下記請求項11〜16の発明が好ましい。前記請求項10に記載のオストミーパウチにおいて、前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする(請求項11の発明)。また、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする(請求項12の発明)。さらに、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする(請求項13の発明)。また、前記請求項13に記載のオストミーパウチにおいて、前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする(請求項14の発明)。さらに、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする(請求項15の発明)。また、前記請求項9又は10に記載のオストミーパウチにおいて、前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする(請求項16の発明)。
【0015】
オストミー装具の発明としては、身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、前記面板と前記オストミーパウチとの結合部が前記面板と前記外袋の結合部の内側であって、前記オストミーパウチが請求項1乃至8いずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とする(請求項17の発明)。また、前記請求項17に記載のオストミー装具において、前記外袋が前記面板に着脱可能に結合されることを特徴とする(請求項18の発明)。さらに、前記請求項17に記載のオストミー装具において、前記外袋が開閉自在な開口部を有することを特徴とする(請求項19の発明)。
【0016】
また、オストミー装具の上記とは異なる発明としては、身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、前記オストミーパウチが請求項9乃至16いずれか1項に記載のオストミーパウチであって、前記オストミーパウチの前記フランジが前記面板と前記外袋との結合部に挟み込まれることを特徴とする(請求項20の発明)。また、前記請求項20に記載のオストミー装具において、前記面板と前記外袋との結合部が嵌合からなることを特徴とする(請求項21の発明)。
【0017】
さらに、前記請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具において、前記オストミーパウチを構成する袋体の幅が外袋の開口部の内径とほぼ等しいことを特徴とする(請求項22の発明)。また、前記請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具において、前記オストミーパウチに排泄物を貯留したときに、当該排泄物を貯留した袋体の底部が外袋の底部に支持される長さであることを特徴とする(請求項23の発明)。
【0018】
また、前記とは異なるオストミーパウチの発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、前記袋体とフランジが水中崩壊紙を基材とし、かつ前記第1または/および第2の開口部に露出した水中崩壊紙の断面または断面近傍にホットメルト組成物または撥水剤が含浸されてなることを特徴とする(請求項24の発明)。また、前記請求項24に記載のオストミーパウチにおいて、前記撥水剤がシリコーンであることを特徴とする(請求項25の発明)。
【0019】
オストミーパウチの製造方法の発明としては、排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備したオストミーパウチであり、前記袋体がフランジに近接した第1のシートとフランジから遠い側に配置される第2のシートの周縁を互いにヒートシールされてなり、前記フランジがシート状部材からなり、かつその外径が前記袋体の幅よりも大であるオストミーパウチの製造方法において、
(1)前記フランジと前記第1のシートを前記第1と第2の開口部を囲んで接合する第1ステップと、
(2)第1のステップにおいて接合されたフランジと第1のシートとの間に前記第1と第2の開口部をさらに囲むように断熱シートを挿入する第2ステップと、
(3)さらに第2のシートを重ねてシール金型を押し当てることにより第1と第2の2枚のシートの周縁を互いにヒートシールして袋体を形成する第3ステップと
からなることを特徴とする(請求項26の発明)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来技術の問題を解決し、低コストかつ実用性に優れたオストミーパウチとその製造方法、このオストミーパウチを具備したオストミー装具が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について以下に述べる。なお、オストミーパウチやオストミー装具の具体的な構成や製造方法等については、後述する実施例の項で述べる。
【0022】
本発明は水中崩壊性のシート状基材を使用するものである。本発明のオストミーパウチは袋体とフランジからなり、袋体は、水中崩壊性の2枚のシートを周縁を互いに接合して袋状にしたものや、水中崩壊性のシートがガゼット状に形成されたものであって、一面に排泄物を受け入れるための開口部が設けられたものである。本発明のフランジは水中崩壊性のシート状部材を円環状等に形成したものである。
【0023】
水中崩壊紙とは、繊維状のカルボキシメチルセルロースを抄紙するか、繊維状のセルロースを抄紙した後にカルボキシメチル化することによって、温水や冷水中で速やかに溶解する水溶紙、又は、水溶性バインダーを用いてセルロース繊維を抄紙して得られ、温水や冷水中で速やかに分散する水分散紙である。トイレットペーパー原紙を使用することもできる。また同様に水溶性または水分散性を示す不織布でもよい。袋体とフランジに使用する水中崩壊紙は、要求される柔軟性や強度、耐水材料の含浸しやすさ等に応じて、坪量、厚さ、水溶紙、水分散紙をそれぞれ適宜選択することができる。
【0024】
水溶性樹脂フィルムは周知のものであって、適度な水溶性を得られるように鹸化度が調整されたポリビニルアルコールフィルム、メチル/エチルセルロース等が使用できる。
【0025】
水溶性のシート状基材に設けた耐水層とは、基材に裏打ちされた状態では排泄物と接触してもクラックやピンホールのない連続的な薄膜であって、ヒートシールが可能であり、オストミーパウチが水中に投棄されて裏打ちされた基材が崩壊したときは、水洗トイレの水流によって投棄の直後にバラバラに分解するか、少なくとも亀裂を生じるものである。さらに、公共下水や浄化槽において容易に分解する生分解性を有するものが好ましい。
【0026】
耐水層に使用する材料として熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、低分子量アモルファスポリアルファオレフィン等を使用することができる。
【0027】
また熱可塑性樹脂に脆性付与成分を混合した組成物を使用してもよい。この場合、熱可塑性樹脂はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」)、エチレン・ビニルアルコール共重合体等である。
【0028】
熱可塑性樹脂に脆性を付与する成分としては、例えば、熱可塑性樹脂の伸びを抑制し、引き裂き強度を低下させるものであればよく、タルク、シリカ、酸化チタン等の粉末、パラフィンワックス、カルナバウワックス等のワックス類、低分子量のポリマーが挙げられる。
【0029】
熱可塑性樹脂と脆性を付与する成分との組成物としては、EVAとパラフィンワックス、EVAとポリ乳酸、ポリエチッレンテレフタレートと分子量5,000程度の低分子量ポリカプロラクタン等がよい。
【0030】
水溶性のシート状基材に熱可塑性樹脂等を積層する方法はコーテイング、フィルムをラミネートする方法があるが、コーテイングの場合は、ロールコーター、ダイコーター等のホットメルトコーターが使用できる。
【0031】
本発明においてはフランジと袋体とを水中崩壊性の結合剤を用いてオストミーパウチとする。水中崩壊性の結合剤とは、使用中には必要な結合強度を有し、トイレの水流に投棄されたとこには溶解または分散する粘着性または接着性の結合剤である。
【0032】
水中崩壊性の結合剤として、耐水層と同様な熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂に脆性成分を配合した組成物を用いてヒートシールして接合することができる。ヒートシールする際は、溶融したホットメルト組成物を水中崩壊紙の表面から浸透させて袋体とフランジとを強固に接合させるだけでなく、裏面に至るまで厚さ方向に開口部の断面近傍に含浸させて開口部断面を排泄物の水分から保護することができる。この場合、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂とワックスからなる組成物は、袋体の耐水層の材料よりも低融点の材料を使用することにより、予め設けられた熱可塑性樹脂の耐水層を損なうことなく水中崩壊紙同士をヒートシールさせることができる。
【0033】
フランジと袋体とホットメルト組成物を用いてヒートシールして接合する場合、フランジと袋体の大きさの関係によっては後述するヒートシール方法によって達成される。
【0034】
水中崩壊性の結合剤として水溶性粘着剤や水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を用いることもできる。この場合の水溶性粘着剤は適度な水溶性を有するものである。フランジの袋体と反対側の面に粘着剤を設けて面板との着脱を行う粘着カップリングの場合には、袋体との接合に使用する粘着剤は粘着強度が粘着カップリング用のものより高いものを使用する。
【0035】
水溶性粘着剤に使用する材料は、例えば、適度に水に溶解するポリ酢酸ビニル、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル系等の粘着剤を使用することができる。例えば、鹸化度が70〜100%ポリビニルアルコール100重量部、糖、アルカノールアミン、ポリエーテルポリオールから選択した水溶性可塑剤10〜160重量部、ポリエチレンイミン100〜150重量部を配合した水溶性粘着剤を使用することができる。また、水溶性ベースポリマー(メトキシエチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート及びスチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体)100部に対し、水溶性可塑剤(ヘキサオール)30部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)1部を配合した水溶性または水分散性の粘着剤を使用することもできる。
【0036】
また、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤とは、水分を吸収して粘着剤としての凝集力が弱くなり崩壊するものであって、疎水性成分としてスチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、ポリイソブチレン、親水性成分として、カラヤゴム、ペクチン、ゼラチン、水中に投棄したときに崩壊性を高めるために水溶性高分子として、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール、その他、石油系粘着付与剤を配合することができる。
【0037】
水中崩壊性シートの基材が水中崩壊紙の場合には、排泄物が通過する開口部の断面または断面近傍にホットメルト組成物または撥水剤を含浸させて、排泄物中の水分による崩壊から保護するとよい。
【0038】
水中崩壊紙の断面に含浸させるホットメルト組成物または撥水剤には、水中崩壊紙を構成する繊維の隙間に浸透し、開口を形成する断面の水に対する接触角を大きくし、例えば、撥水性を向上させることにより、水中崩壊紙を構成するカルボキシメチルセルロース化された繊維や、セルロース繊維を結合した水溶性バインダーと、排泄物中の水分との接触を最小化することにより水中崩壊紙を保護するものである。
【0039】
含浸されたホットメルト組成物とは、前述したフランジと袋体をヒートシールする際に含浸した熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物である。
【0040】
撥水剤には、例えば、常温で含浸させることのでき、水中崩壊紙の表面から浸透しやすいジメチルシリコーンオイル、とくに繊維の表面に結合しやすいSi−H結合を持ったメチルハイドロジェンシリコーンオイルが適用できる。またポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、流動パラフィン等も使用できる。
【0041】
撥水剤を断面から含浸させる方法は例えば、以下のとおりである。まず、フランジと袋体をヒートシール、粘着剤、接着剤等で接合する。次いで、シリコーンを含浸したフェルトをフランジ側から開口部の断面に沿って押し付けることによってシリコーンを水中崩壊紙に移行させることができる。
【0042】
フランジとして水溶性のシート状基材に水溶性粘着剤や水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層したものを用いて面板と着脱可能とした粘着カップリング用のオストミーパウチとすることができる。
【0043】
上記粘着剤はフランジの片面に装着に必要な強度に応じた面積に設ければよい。また、少なくとも開口部に隣接した内周部に亘って設けることにより、使用中に、フランジとフランジが装着された面との隙間に排泄物が侵入して、排泄物の水分によりフランジが崩壊することを防止したり、また、使用後に取り外す際に、フランジが装着された面に付着した排泄物を除去する煩わしい操作を不要にすることができる。また上記粘着剤の厚さは0.05〜1mmとすることにより被粘着面の表面状態にかかわらず確実な接合を実現することができる。
【0044】
フランジに上記粘着剤を設けたオストミーパウチを外袋に分離可能に収容する場合、その形状は次のようなものとなる。外袋と面板が互いに着脱可能であり、かつ外袋と面板の結合部の内側に本発明のフランジを装着する場合には、フランジの外径が前記袋体の幅にほぼ等しいか又は小さく形成され、かつフランジの外周の上縁と前記袋体の上縁はほぼ重なるように互いに配置されている。例えば、袋体の上部をほぼ半円形状とし、袋体の上縁よりもわずかに内側にフランジの外周の上縁が配置される。このような形状とすることにより後述するようにオストミー装具にスムースに装着することができる。また外袋が面板に固定され、かつ外袋の開閉可能な開口部として、例えば前面が広く開放されるような構造の場合には、フランジの外径が袋体の幅よりも小であってフランジが袋体の内側に配置される一般的なオストミーパウチと同様な構造とすることができる。
【0045】
水溶性のシート状基材の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してフランジとし、このフランジの外周部を、オストミー装具の外袋と面板との機械的な結合部に挟み込んで使用する嵌合カップリング用オストミーパウチとすることができる。上記熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物は材料、特性とも袋体の耐水層とほぼ同様なものである。外袋と面板との機械的な結合部とは、例えば、リング状の嵌合部が利用できる。利用可能なリング状の嵌合部とは、例えば、前述した特許文献2に示されている。フランジはオストミー装具に装着したときに外袋と面板との機械的な結合部に挟み込まれる大きさを有するものであれば、外側の形状は円形でも矩形でもよい。
【0046】
オストミー装具の外袋と面板との機械的な結合部として、例えば、リング状の嵌合部が利用できる。また、外袋と面板との機械的な結合部として、外袋のフランジの一部が面板の一部に圧接された部分を利用することもできる。例えば、実公平7−15542号公報の第4図に示されるシール片19とリング状テーパー部4との圧接部でもよい。かりに、同公報に記載の外科用吻合装置をそのまま利用する場合には、同公報記載の袋体16に本発明のオストミーパウチを収容し、シール片19とリング状テーパー部4との圧接部にフランジの外周を挟み込めばよい。
【0047】
嵌合カップリング用オストミーパウチでは、上述したように外袋の嵌合部またはシーリング部にフランジを挟み込むため、必然的にフランジの外径は袋体の幅よりも大となる。フランジが矩形の場合はフランジの横幅が袋体の幅よりも大となる。そしてフランジと袋体とは、フランジの両側部から上部に亘る部分が袋体の外側にはみ出すように配置される。またフランジを構成する熱可塑性樹脂等は嵌合部等に挟み込まれてその形状に応じて破断することなく屈曲可能な柔軟性を有する材料、厚さのものである。排泄物によるフランジのダメージを防止するため、熱可塑性樹脂等を設ける領域は、フランジの内周から嵌合部やシーリング部分までの領域である。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
本発明の第1の実施例を図1〜5に沿って説明する。図1は第1の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図(a)及び正面図(b)、図2は第1の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図、図3は同じく貼り合わせた後に撥水剤が含浸された拡大断面図、図4は第1の実施例のオストミーパウチを内袋として面板に装着したオストミー装具の側断面図、図5は図4のオストミー装具の内袋と外袋を面板から分離した状態を示す側断面図である。
【0049】
図1において、1は袋体、2はフランジ、3は開口部、3aは第1の開口部、3bは第2の開口部、4はフランジと袋体の接合部を示す。
図1に示すとおり、内袋の形状は、袋体1の幅が全長に亘ってフランジとほぼ等しく、かつフランジ2と袋体1の上端ではエッジがほとんど重なるように構成され、全体として上部が半円状、下部が矩形状となっている。また後述する外袋に対しては、袋体の幅が外袋の開口から挿入できるように開口の直径とほぼ同じか、わずかに細くなっており、内袋の袋体の長さはフランジから下方が外袋とほぼ同じかわずかに短くなっている。
【0050】
袋体1は、水中崩壊性シートとして、三島製紙(株)製「水溶紙」品種30MDP、坪量30g/m2に、EVAに全重量の40重量%のパラフィンワックスを配合したホットメルト組成物を、塗工量20g/m2の厚さにダイコーテイングしたシートを使用する。
【0051】
フランジ2は、三島製紙(株)製「水溶紙」品種120MDP、坪量120g/m2の袋体の反対側の面に厚さ約50μmに水溶性粘着剤を粘着層として設けた。水溶性粘着剤は鹸化度が85mol%ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピル化スターチ、ポリエチレンイミンを配合したものをホットメルトコートした。
【0052】
次に、図2、3に示すようにフランジの接合と撥水剤の含浸を行う。まず、袋体の開口部の外周面に前記粘着層と同じ水溶性粘着剤を溶融してリング状に形成し、ただちに前記フランジと貼りあわせた。なお、剥離紙上に溶剤に溶かした水溶性粘着剤をリング状に形成し、溶剤を飛ばしてから、袋体の開口部の外周面上に転写してから、同様にフランジを貼り合わせてもよい。
【0053】
次に、東芝シリコーン(株)製シリコーンオイル、製品名TSG484をトルエンで希釈しフェルトに含浸させ、フランジ側から開口の内周に沿って押し付け、シリコーンを水溶紙の露出した断面から含浸させた。このとき粘着剤の粘着性が過度に低下しないように注意が必要である。
【0054】
図4は第1の実施例のオストミーパウチを内袋10としてさらに外袋5を具備したオストミー装具である。面板6の身体に取り付ける側と反対側には、外袋5を取り付けるための結合部7と、この結合部の内周に第1の実施例のオストミーパウチを取り付けるための結合部として面板から浮き上がらせたフローテイングフランジ8と内袋10の水溶性粘着剤が取り付けられるランデイング部9が設けられている。外袋5はポリオレフィン系の多層の防臭フィルム部材からなり開口部には嵌合部が設けられている。なお嵌合部とは面板6に設けた環状の凹部または凸部と外袋5に設けた環状の凸部または凹部とをスナップフィットする周知の構造である。
【0055】
図5に内袋10を外袋5に着脱する際の一つの状態を示す。このオストミー装具を使用するには、まず、外袋5の開口部から内袋10を挿入し、次いで内袋、外袋の順に面板6に結合させる。使用後は外袋、内袋の順に結合を解除し、外袋の開口部から内袋を取り出して水洗トイレに投棄する。
【0056】
第1の実施例では、内袋の形状が、袋体の幅が全長に亘ってフランジとほぼ等しく、かつフランジと袋体の上端ではエッジがほとんど重なるように構成されているため、挿入、取り出しに際して外袋の開口部に干渉して破損することなく安全にかつ容易に操作を行うことができる。また袋体の幅が全長に亘ってフランジとほぼ等しく形成されているため、排泄物を袋体全体に亘って効率よく貯留することができる。さらに内袋の袋体の長さはフランジから下方が外袋とほぼ同じかわずかに短くなっているため内袋に排泄物を貯留したときの荷重を外袋にも支持させることができる。さらに、面板からフランジを着脱したり、袋体を外袋から取り出すときに操作を容易にするため、フランジまたは袋体に水溶紙からなるタブを取り付けてもよい。
【0057】
(実施例2)
本発明の第2の実施例を図6〜13に沿って説明する。図6は第2の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図(a)、正面図(b図)、図7は第2の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図、図8は同じくヒートシールによって同時に耐水処理された状態を示す拡大断面図、図9〜11は第2の実施例のオストミーパウチをヒートシールによって組み立てるときの各ステップを順に示す工程図、図12は図10の工程で使用される断熱シートの平面図、図13は第2の実施例のオストミーパウチを内袋としてオストミー装具に組み込んだ側断面図である。
【0058】
図6に第2の実施例のオストミーパウチの形状を示す。このオストミーパウチは、袋体1が全体として上部を半円状として幅が一定のほぼ長方形になっており、開口部3を囲んで袋体の上端近傍を含む環状にフランジとの接合部4が設けられている。フランジ2はフランジと袋体とを重ねたときにフランジの外周部が袋体の外側にはみ出すように構成されている。
【0059】
袋体1は、水中崩壊性シートとして、三島製紙(株)製「水溶紙」品種30MDP、坪量30g/m2に、EVAに全重量の40重量%のパラフィンワックスを配合したホットメルト組成物を、塗工量20g/m2の厚さにダイコーテイングしたシートを使用した。
【0060】
フランジ2は、三島製紙(株)製「水溶紙」品種120MDP、坪量120g/m2の袋体の反対側の面に同じくEVAに全重量の40重量%のパラフィンワックスを配合したホットメルト組成物を、塗工量20G/m2の厚さにダイコーテイングした。
【0061】
次に図7、8に示すように、袋体1を構成するフランジ側のシートの開口部の外周に、リング状に形成したホットメルト組成物を用いて、フランジ2をヒートシールで接合した。使用したホットメルト組成物はEVAとパラフィンワックスを主成分とし、耐水層に使用したものよりも融点が低いものを使用することが好ましい。ヒートシールしたときにホットメルト組成物がフランジと袋体それぞれの水溶紙の厚さ方向に浸透し断面の全面に亘って含浸した。
【0062】
袋体を構成するフランジ側のシートとフランジとを接合した後に、開口部を穿孔してもよい。またホットメルト組成物を含浸させた後に、さらに開口部に撥水剤を塗布して含浸させてもよい。
【0063】
次に、袋体を構成するため2枚のシートの周縁をヒートシールして袋体を形成する。ヒートシールされる袋体の外縁とフランジがほぼ重なり合うため、以下の方法で行う。
【0064】
(1)まず、袋体を構成すべき2枚のシートのうちフランジ側のシートとフランジをヒートシールする(図9)。
(2)次に、フランジとこのフランジにヒートシールされたシートとの隙間にガラスクロスからなる断熱シートを挿入し、さらに袋体を構成すべき2枚のシートのうちのもう一方のシートと重ねる(図10)。
断熱シートは上記貼りあわせ部が入る開口が形成され、一端に割れ目を入れてある。(図12)。この割れ目を開いて前記隙間に断熱シートを挟み込む。
(3)次に高温度になったヒートシール金型を押し付けて周縁部をヒートシールする。フランジは断熱シートによって高温から遮蔽されるため袋体のヒートシールによる影響を受けることなく袋体の周縁部がヒートシールされる(図11)
【0065】
ヒートシール金型の圧力を均等に受けるため、フランジと袋体はシリコンゴム等の弾性シート上に載置するとよい。断熱シートの割れ目に対応する部分ではシール金型の圧力が不均等となるおそれがあるため使用するフランジと袋体の素材に応じた弾力性のある弾性シートを使用すればよい。
【0066】
図13に第2の実施例のオストミーパウチを内袋としてオストミー装具に組み込んだ側断面図を示す。図13において、2はフランジ、5は外袋、6は面板、7aは面板の嵌合部、7bは面板の嵌合部7aと対になる外袋の嵌合部、10は内袋で前記第2の実施例のオストミーパウチある。
このオストミー装具には内袋10を除いて市販のオストミー装具が利用可能である。この場合の使用できる市販のオストミー装具とは、嵌合部を有し、例えば、嵌合部を設けたフランジの内径が内袋の袋体の幅よりも大きく、かつ嵌合部の外径が内袋のフランジよりも小径であればよい。内袋は外袋の開口部から内部に挿入され、嵌合部に内袋のフランジを挟み込んで装着し、使用後は嵌合部を解除し、内袋を開口部から取り出して水洗トイレに投棄すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図及び正面図。
【図2】第1の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図。
【図3】図2における開口部が貼り合わされた後に撥水剤が含浸された拡大断面図。
【図4】第1の実施例のオストミーパウチを内袋として面板に装着したオストミー装具の側断面図。
【図5】図4のオストミー装具の内袋と外袋を面板から分離した状態を示す側断面図。
【図6】第2の実施例のオストミーパウチの全体を示す側断面図及び正面図。
【図7】第2の実施例のオストミーパウチのフランジと袋体の開口部における貼り合わせ前の拡大断面図。
【図8】図7における開口部がヒートシールによって同時に耐水処理された状態を示す拡大断面図。
【図9】第2の実施例のオストミーパウチをヒートシールによって組み立てるときの第1工程を示す図。
【図10】図9に続く第2工程を示す図。
【図11】図10に続く第3工程を示す図。
【図12】図10の工程で使用される断熱シートの平面図。
【図13】第2の実施例のオストミーパウチを内袋としてオストミー装具に組み込んだ側断面図。
【符号の説明】
【0068】
1:袋体、2:フランジ、3:開口部、3a:第1の開口部、3b:第2の開口部、4:フランジと袋体の接合部、5:外袋、6:面板、7:面板と外袋の結合部、7a:面板の嵌合部、7b:外袋の嵌合部、8:フローテイングフランジ、9:ランデイング部、10:内袋、11:前側シート、12:後側(フランジ側)シート、20:断熱材シート、21:シール金型。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項2】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅にほぼ等しく、かつ袋体の上縁が前記フランジの外周にほぼ重なるように配置されていることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項3】
前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項2に記載のオストミーパウチ。
【請求項4】
前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項5】
前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項6】
前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項5に記載のオストミーパウチ。
【請求項7】
前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項8】
前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項9】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項10】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅よりも大であり、かつフランジの両側部から上部に亘る部分が前記袋体の外方となるように配置されていることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項11】
前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項10に記載のオストミーパウチ。
【請求項12】
前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項13】
前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項14】
前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項13に記載のオストミーパウチ。
【請求項15】
前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項16】
前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項17】
身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、
前記面板と前記オストミーパウチとの結合部が前記面板と前記外袋の結合部の内側であって、前記オストミーパウチが請求項1乃至8いずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とするオストミー装具。
【請求項18】
前記外袋が前記面板に着脱可能に結合されることを特徴とする請求項17に記載のオストミー装具。
【請求項19】
前記外袋が開閉自在な開口部を有することを特徴とする請求項17に記載のオストミー装具。
【請求項20】
身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、
前記オストミーパウチが請求項9乃至16いずれか1項に記載のオストミーパウチであって、前記オストミーパウチの前記フランジが前記面板と前記外袋との結合部に挟み込まれることを特徴とするオストミー装具。
【請求項21】
前記面板と前記外袋との結合部が嵌合からなることを特徴とする請求項20に記載のオストミー装具。
【請求項22】
前記オストミーパウチを構成する袋体の幅が外袋の開口部の内径とほぼ等しいことを特徴とする請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具。
【請求項23】
前記オストミーパウチに排泄物を貯留したときに、当該排泄物を貯留した袋体の底部が外袋の底部に支持される長さであることを特徴とする請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具。
【請求項24】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体とフランジが水中崩壊紙を基材とし、かつ前記第1または/および第2の開口部に露出した水中崩壊紙の断面または断面近傍にホットメルト組成物または撥水剤が含浸されてなることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項25】
前記撥水剤がシリコーンであることを特徴とする請求項24に記載のオストミーパウチ。
【請求項26】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備したオストミーパウチであり、前記袋体がフランジに近接した第1のシートとフランジから遠い側に配置される第2のシートの周縁を互いにヒートシールされてなり、前記フランジがシート状部材からなり、かつその外径が前記袋体の幅よりも大であるオストミーパウチの製造方法において、
(1)前記フランジと前記第1のシートを前記第1と第2の開口部を囲んで接合する第1ステップと、
(2)第1のステップにおいて接合されたフランジと第1のシートとの間に前記第1と第2の開口部をさらに囲むように断熱シートを挿入する第2ステップと、
(3)さらに第2のシートを重ねてシール金型を押し当てることにより第1と第2の2枚のシートの周縁を互いにヒートシールして袋体を形成する第3ステップと
からなることを特徴とするオストミーパウチの製造方法。
【請求項1】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項2】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に水溶性粘着剤または水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅にほぼ等しく、かつ袋体の上縁が前記フランジの外周にほぼ重なるように配置されていることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項3】
前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項2に記載のオストミーパウチ。
【請求項4】
前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項5】
前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項6】
前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項5に記載のオストミーパウチ。
【請求項7】
前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項8】
前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオストミーパウチ。
【請求項9】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水中崩壊紙の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水中崩壊紙の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項10】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体が水溶性のシート状基材の一面に耐水層を設けた水中崩壊性シートからなり、前記フランジが水溶性のシート状基材の一面に熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物を積層してなり、前記フランジの外径が前記袋体の幅よりも大であり、かつフランジの両側部から上部に亘る部分が前記袋体の外方となるように配置されていることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項11】
前記水溶性のシート状基材が水中崩壊紙または水溶性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項10に記載のオストミーパウチ。
【請求項12】
前記耐水層が熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物からなることを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項13】
前記袋体とフランジが、水中崩壊性の結合剤を介して貼り合わせられていることを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項14】
前記水中崩壊性の結合剤が、水溶性粘着剤、水と接触して崩壊する成分で構成した粘着剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と脆性成分との組成物のいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項13に記載のオストミーパウチ。
【請求項15】
前記袋体が上部をほぼ半円状に形成されたことを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項16】
前記袋体の幅がほぼ全長に亘り等しく形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のオストミーパウチ。
【請求項17】
身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、
前記面板と前記オストミーパウチとの結合部が前記面板と前記外袋の結合部の内側であって、前記オストミーパウチが請求項1乃至8いずれか1項に記載のオストミーパウチであることを特徴とするオストミー装具。
【請求項18】
前記外袋が前記面板に着脱可能に結合されることを特徴とする請求項17に記載のオストミー装具。
【請求項19】
前記外袋が開閉自在な開口部を有することを特徴とする請求項17に記載のオストミー装具。
【請求項20】
身体に取り付けるための面板と、前記面板に着脱可能に結合され排泄物を貯留するオストミーパウチと、前記面板に結合され該オストミーパウチを内部に分離可能に収容する外袋を具備したオストミー装具において、
前記オストミーパウチが請求項9乃至16いずれか1項に記載のオストミーパウチであって、前記オストミーパウチの前記フランジが前記面板と前記外袋との結合部に挟み込まれることを特徴とするオストミー装具。
【請求項21】
前記面板と前記外袋との結合部が嵌合からなることを特徴とする請求項20に記載のオストミー装具。
【請求項22】
前記オストミーパウチを構成する袋体の幅が外袋の開口部の内径とほぼ等しいことを特徴とする請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具。
【請求項23】
前記オストミーパウチに排泄物を貯留したときに、当該排泄物を貯留した袋体の底部が外袋の底部に支持される長さであることを特徴とする請求項17乃至21いずれか1項に記載のオストミー装具。
【請求項24】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備するオストミーパウチにおいて、
前記袋体とフランジが水中崩壊紙を基材とし、かつ前記第1または/および第2の開口部に露出した水中崩壊紙の断面または断面近傍にホットメルト組成物または撥水剤が含浸されてなることを特徴とするオストミーパウチ。
【請求項25】
前記撥水剤がシリコーンであることを特徴とする請求項24に記載のオストミーパウチ。
【請求項26】
排泄物を受け入れるための第1の開口部を一面に設けた袋体と、前記第1の開口部の周囲に取り付けられ第2の開口部を有するフランジとを具備したオストミーパウチであり、前記袋体がフランジに近接した第1のシートとフランジから遠い側に配置される第2のシートの周縁を互いにヒートシールされてなり、前記フランジがシート状部材からなり、かつその外径が前記袋体の幅よりも大であるオストミーパウチの製造方法において、
(1)前記フランジと前記第1のシートを前記第1と第2の開口部を囲んで接合する第1ステップと、
(2)第1のステップにおいて接合されたフランジと第1のシートとの間に前記第1と第2の開口部をさらに囲むように断熱シートを挿入する第2ステップと、
(3)さらに第2のシートを重ねてシール金型を押し当てることにより第1と第2の2枚のシートの周縁を互いにヒートシールして袋体を形成する第3ステップと
からなることを特徴とするオストミーパウチの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−185425(P2007−185425A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7494(P2006−7494)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
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