説明

オスメス共用端子及びそれを用いたコネクタ

【課題】コネクタハウジングの形状を簡素化できるオスメス共用端子と、それを用いたコネクタを提供する。
【解決手段】オスメス共用端子11は、オス端子部12とメス端子部13を、各々の中心軸線を平行にして、オス端子部12がメス端子部13の先端より先に突出するように軸線方向にずらして形成する。このオスメス共用端子11を、先端面が平らなコネクタハウジング18に、オス端子部12のみが当該コネクタハウジング18の先端面から突出し、メス端子部13は当該コネクタハウジング18内に位置するように組み込んでコネクタ17を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オス端子とメス端子を使い分ける必要のないオスメス共用端子と、それを用いたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の電気接続端子は、オス端子とメス端子で構成されている。このため電線を接続する場合には、一方の電線にオス端子を取り付け、他方の電線にメス端子を取り付ける必要があり、オス端子とメス端子の使い分けが面倒であった。
【0003】
この問題を解決するものとして、特許文献1には、オス端子部とメス端子部を各々の中心軸線が平行になるように隣り合わせに形成したオスメス共用端子が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−288148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のオスメス共用端子は、オス端子部の先端面とメス端子部の先端面が軸線方向の同じ位置にあるため、次のような問題のあることが判明した。すなわち、図4に示すように、オスメス共用端子1をコネクタハウジング4に組み込んでコネクタ5を構成する場合、コネクタハウジング4もオスメス共用でなければ意味がないため、一方の端子1のオス端子部2及びメス端子部3をそれぞれ相手方の端子1のメス端子部3及びオス端子部2と嵌合させるためには、コネクタハウジング4の先端部を、オス端子部2が露出し、メス端子部3が隠れるように、凹凸形状にする必要がある。このことは、コネクタハウジングの形状が複雑になり、コストアップや強度不足を招く要因となる。
【0006】
本発明の目的は、コネクタハウジングの形状、特にその先端面形状を簡素化できるオスメス共用端子と、それを用いたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明は、オス端子部とメス端子部を、各々の中心軸線を平行にして一体に形成したオスメス共用端子において、前記オス端子部とメス端子部を、オス端子部がメス端子部の先端より先に突出するように軸線方向にずらして形成したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係るコネクタは、上記構成のオスメス共用端子を、先端面が平らな又は先端面に若干の凹凸を有するコネクタハウジングに、オス端子部のみが当該コネクタハウジングの先端面から突出し、メス端子部は当該コネクタハウジング内に位置するように、組み込んだことを特徴とするものである。
【0009】
なお、ここでいう「若干の凹凸」とは、電気的接続に必要なオス端子部とメス端子部との嵌合長さが確保できる程度に軸線方向の段差が十分小さい凹凸を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るオスメス共用端子は、オス端子部とメス端子部を、オス端子部がメス端子部の先端より先に突出するように軸線方向にずらしてあるので、コネクタハウジングの先端面を平らにしても或いは先端面に若干の凹凸を設ける程度であれば、オス端子部のみをメス端子部との接続に必要な長さだけ突出させることができる。このためコネクタハウジングの形状を簡素化でき、コストダウン、強度アップを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔実施形態1〕 図1は本発明に係るオスメス共用端子の一実施形態を示す。このオスメス共用端子11は、オス端子部12とメス端子部13を、各々の中心軸線を平行にして、オス端子部12がメス端子部13の先端より先に突出するように軸線方向にずらして形成した点に特徴を有する。なお、14は電線16の被覆部をカシメるインシュレーションバレル部、15は電線16の導体部をカシメるワイヤバレル部である。
【0012】
このオスメス共用端子11で電気的接続を行うときは、一方の端子のオス端子部12及びメス端子部13をそれぞれ、他方の端子のメス端子部12及びオス端子部11と嵌合させればよい。したがって同一形状の端子で電気的接続を行うことができる。
【0013】
図2は本発明に係るコネクタの一実施形態を示す。このコネクタ17は、図1のオスメス共用端子11を、先端面が平らなコネクタハウジング18に、オス端子部12のみが当該コネクタハウジング18の先端面から突出し、メス端子部13は当該コネクタハウジング18内に位置するように、組み込んだものである。このようにすれば、同一構造のコネクタ17同士を嵌合させることで電気的接続を行うことができると共に、コネクタハウジング18は先端面が平らであるので、構造的にシンプルであり、低コストで製作できると共に、十分な強度を確保できる。
【0014】
〔実施形態2〕 図3は本発明に係るコネクタの他の実施形態を示す。このコネクタ17は、図1のオスメス共用端子11を、先端面に若干の凹凸を有するコネクタハウジング18に、オス端子部12のみが当該コネクタハウジング18の先端面から突出し、メス端子部13は当該コネクタハウジング18内に位置するように、組み込んだものである。コネクタハウジング18の先端面は、メス端子部13の部分よりもオス端子部12の部分を若干凹ませて、コネクタ17同士を嵌合するときに凹凸が噛み合うように形成されている。凹凸の軸線方向の段差は、電気的接続に必要なオス端子部12とメス端子部13の嵌合長さが確保できる程度に十分小さく設定されている。このような構成でも実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るオスメス共用端子の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1のオスメス共用端子を用いた、本発明に係るコネクタの一実施形態を示す透視図。
【図3】同じく本発明に係るコネクタの他の実施形態を示す透視図。
【図4】従来のオスメス共用端子を用いたコネクタの透視図。
【符号の説明】
【0016】
11:オスメス共用端子
12:オス端子部
13:メス端子部
16:電線
17:コネクタ
18:コネクタハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス端子部とメス端子部を、各々の中心軸線を平行にして一体に形成したオスメス共用端子において、前記オス端子部とメス端子部を、オス端子部がメス端子部の先端より先に突出するように軸線方向にずらして形成したことを特徴とするオスメス共用端子。
【請求項2】
請求項1記載のオスメス共用端子を、先端面が平らな又は先端面に若干の凹凸を有するコネクタハウジングに、オス端子部のみが当該コネクタハウジングの先端面から突出し、メス端子部は当該コネクタハウジング内に位置するように、組み込んだことを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−41476(P2008−41476A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215360(P2006−215360)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)