説明

オゾン水の製造装置及び製造方法

【課題】装置構成が簡素で、製造コストを安価にすることができるとともに、高濃度のオゾン水を容易に製造することができるオゾン水の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】純水を純水配管2に流通させる純水供給手段3と、オゾンガスをオゾンガス配管4に流通させるオゾンガス供給手段5と、純水とオゾンガスとを吸引、混合してオゾン混合水として吐出する混合ポンプ6と、混合ポンプ6から吐出されたオゾン混合水を収容するオゾン水貯留槽7と、オゾン水貯留槽7の内圧を一定にする圧力制御手段8と、オゾン水貯留槽7内のオゾン水を、一旦排出して、混合ポンプ6により吐出されたオゾン混合水と混合してオゾン水貯留槽7へ循環させる循環配管9と、循環配管9において、循環するオゾン水と混合ポンプ6より吐出されたオゾン混合水とを吸引、混合する循環ポンプ10と、を有するオゾン水の製造装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水の製造装置及び製造方法に関し、オゾン水の製造、特に、高濃度のオゾン水を製造することができる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水は半導体製造における洗浄工程で利用されており、その製造には、電解法、放電法などの方法により製造したオゾンガスを被処理水(超純水)中に溶解させて製造されている。
【0003】
このとき、オゾンガスと被処理水を接触させ、被処理水中にオゾンガスを溶解させる手段としては、ポンプ吐出配管にエゼクタ等を設置してオゾンガスを吸引させて原料水とオゾンガスの混合溶解をする方法、例えば、エゼクタを用いて被処理水とオゾンガスとの混合水を形成し、この混合水を加圧ポンプによる加圧下にオリフィスアトマイザから溶解槽内に噴射してオゾンガスを微細気泡とした後、溶解槽内の内槽に滞留させる加圧式オゾン処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、エゼクタを用いずに、オゾンガスと被処理水とを気液混合し、これを一軸偏心ネジポンプ(回転容積型ポンプ)の回転により水を系内で循環送液しつつ、オゾナイザで生成したオゾンガスを原水供給管路に吸い込み、原水にオゾンガスを気泡懸濁させた状態で加圧オゾン溶解槽内に押し込み導入して、加圧オゾン水を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−225696号公報
【特許文献2】特開平6−63904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来の方法により得られるオゾン水は半導体製造におけるウェハの洗浄等に用いるには十分な濃度を有するものであったが、同様の半導体製造におけるリソグラフ工程におけるウェハ上に塗布したレジストを剥離する工程においては、さらなる高濃度のオゾン水が求められていた。
【0006】
ところが、従来方式である渦巻き式ポンプの吸引側に純水とオゾンガスを供給する方法では、被処理水に供給するオゾンガスの流量が制限され、体積比で、純水:オゾンガス=5:1以上となるような物理的に大流量のオゾンガスを供給することは不可能であった。ここでいう物理的に不可能とは、渦巻き式ポンプにおいてポンプ内部に気体を巻き込んだときにおきるキャビテーションが生じ、ポンプ内部が気体による空転を起こしてしまうことをいい、この状態になると、ポンプが純水を吸引できなくなるばかりでなく、過負荷によりモータが加熱しポンプ自体が使用不可能になってしまう可能性が高い。
【0007】
よって、渦巻き式ポンプでは、所定量以上のオゾンガス流量を供給することが困難であるため、オゾン水濃度を高くするためにオゾンガス流量を増やしても上限が低く、本発明において求めるような高濃度のオゾン水を製造するのは不可能であった。
また、それ以前に用いられていた溶解膜を用いる方法では、オゾンガスの流量は大きくでき高濃度のオゾン水を製造することができるが、溶解膜が非常に高価であるため製造装置が高価なものになってしまい、結局オゾン水の製造コストが増大してしまうという問題があった。
【0008】
また、高濃度のオゾン水を製造しようとするときには、オゾンによる部材の腐食等にも注意しなければならない。このとき回転容積型ポンプを用いる方法においてはポンプ内部の接液部全てを樹脂等で覆うのが困難であるため部材の寿命を長くすることが困難であり、また、所定流量以上のオゾンガスを混合するとキャビテーションが生じるため供給オゾンガス量が制限され、高濃度のオゾン水を製造することが困難であった。
【0009】
そこで、本願発明は、装置構成が簡素で、溶解膜を使用しないことで製造コストを安価にすることができるとともに、高濃度のオゾン水を容易に製造することができるオゾン水の製造方法及び製造装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のオゾン水の製造装置は、純水を純水配管に流通させる純水供給手段と、オゾンガスをオゾンガス配管に流通させるオゾンガス供給手段と、純水配管及びオゾンガス配管が吸引側に配設され、純水とオゾンガスとを吸引、混合してオゾン混合水として吐出する、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる混合ポンプと、混合ポンプから吐出されたオゾン混合水が流入し、オゾン水を収容するオゾン水貯留槽と、オゾン水貯留槽の内圧を一定にする圧力制御手段と、オゾン水貯留槽内のオゾン水を、一旦排出して、混合ポンプにより吐出されたオゾン混合水と混合してオゾン水貯留槽へ循環させる循環配管と、循環配管において、循環するオゾン水と混合ポンプより吐出されたオゾン混合水とを吸引、混合する、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる循環ポンプと、を有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のオゾン水の製造方法は、純水配管に純水を流通させる純水供給工程と、オゾンガス配管にオゾンガスを流通させるオゾンガス供給工程と、純水及びオゾンガスを、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる混合ポンプにより吸引し、純水とオゾンガスとを混合してオゾン混合水として吐出するオゾン混合工程と、オゾン混合水をオゾン水貯留槽に収容するオゾン水貯留工程と、オゾン水貯留槽の内圧を一定にする圧力制御工程と、オゾン水貯留槽内のオゾン水を、一旦排出させ、オゾン混合工程で吐出されたオゾン混合水と、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる循環ポンプにより吸引して混合し、オゾン水貯留槽へ循環させる循環工程と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオゾン水の製造装置及び製造方法によれば、簡易な装置構成で、かつ、低コストで、高濃度のオゾン水を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のオゾン水の製造装置及び製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるオゾン水の製造装置を示すものであり、このオゾン水の製造装置1は、純水配管2に純水を供給する純水供給手段3と、オゾンガス配管4にオゾンガスを供給するオゾンガス供給手段5と、純水とオゾンガスとを吸引して混合しオゾン混合水とする混合ポンプ6と、オゾン混合水を収容するオゾン水貯留槽7と、オゾン水貯留槽7の内圧を制御する圧力制御手段8と、オゾン水貯留槽7のオゾン水を一旦外部に排出し、これをオゾン水貯留槽7に循環させる循環配管9と、循環配管9において、オゾン水とオゾン混合水とを吸引して混合する循環ポンプ10と、から構成されているものである。
【0015】
ここで、純水配管2とオゾンガス配管4とは、混合ポンプ6の吸引側に設置され、純水とオゾンガスとが溶解膜等を介することなく直接接触して混合ポンプ6に吸引されるようになっている。
【0016】
純水配管2及びオゾンガス配管4は、通常の配管を使用できるが、純水配管2は、途中で純水とオゾンガスの接触によりオゾン水を流通させるものであるため、配管自体又は配管表面をオゾン耐性に優れた部材、例えば、四フッ化物、純チタン、石英等で製造されているものであることが好ましい。
【0017】
本発明に用いる純水供給手段3は、純水製造装置等で製造した純水を純水配管2に流通させて、後述する混合ポンプ6にまで供給するものであり、純水製造装置そのものや製造した純水を貯留したタンクから純水配管2に流通させるようにしたポンプ等が挙げられる。
【0018】
オゾンガス供給手段5は、オゾナイザ等で製造したオゾンガスをオゾンガス配管4に流通させ、純水が供給される純水配管2にオゾンガスを直接供給するものであり、オゾナイザそのものが好適に挙げられる。ここで直接とは、エゼクタ等の純水にオゾンガスを溶解させるための特別の手段を用いないことを意味し、本発明においては、後述する混合ポンプ6を稼動させ、混合ポンプ6が純水等の流体を吸引する力を利用することで、オゾンガスを供給純水中に容易に引き込んで混合させることができる。
【0019】
次に、混合ポンプ6は、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなるものである。これらのポンプは、その表面がオゾン等の耐性に優れた樹脂、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレンの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂で加工されたものを用いることが好ましい。表面を加工することで高濃度のオゾンを用いた場合でもポンプ自体がオゾンにより腐食されることがない。
【0020】
また、この混合ポンプ6は、吸引側に純水配管2及びオゾンガス配管4が配設されており、純水及びオゾンガスを吸引、混合して、純水とオゾンガスが十分に混合されたオゾン混合水を吐出するものである。ここで、オゾン混合水とは、純水とオゾンガスとを混合することによりオゾンガスが純水中に溶解して製造されるオゾン水と一部余剰のオゾンガスとで構成されるものである。
【0021】
そして、この混合ポンプ6は、液体と気体の混合量を適宜調整することができ、高濃度のオゾン水を製造しようとする場合に混合ポンプ6の吸引側におけるオゾンガスの供給量を多くして、多量のオゾンガスを純水中に混合することができるものである。この点において、回転容積型ポンプに比べ、その量比は顕著であり、高濃度のオゾン水を製造する本発明における必須の構成要素である。
【0022】
さらに、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプは、その構成が簡易で、汎用されているため安価に入手することができ、これらポンプを用いることによりオゾン水の製造を低コストに抑えるのに効果的でもある。
【0023】
そして、この混合ポンプ6により、オゾナイザからのオゾンガスを安定して発生させてオゾン水を効率的に製造することができるようになっている。
【0024】
すなわち、オゾナイザは、その原理として、対向した電極間に高周波高電圧を印加することで、電極の間で無声放電が発生し、供給した酸素ガスの一部をオゾンガスとしているが、当然のことながら、供給する酸素ガスは定常的に流したほうが、オゾンガスの発生が安定し、かつその濃度を高く保つことができ、オゾンガス流量に脈動があった場合、オゾンガス濃度は1割から、2割程度減少してしまう。
【0025】
渦巻き式ポンプと比較してダイヤフラムポンプ又はベローズポンプは、その構造から、供給する流量に脈動を生じる。機種にもよるが、流量が多くなると、ポンプの内容量は増える分1分間当たりのストローク数(送液回数)は減ってしまい、脈動が増えることになる。
【0026】
例えば、オゾン水濃度を高濃度にするために、本装置に用いた後述の循環ポンプ10は、混合ポンプ6からの混合水と後述するオゾン水貯留槽7から循環されるオゾン水とを送液するものであるため、流量の多い機種を選定するが、1分間当りの送液回数(ストローク数)が、30〜40回程度になってしまう。この状態で、混合ポンプ6を用いない場合を仮定し、循環配管9にオゾンガスを供給すると、脈動によりオゾンガスが円滑に供給できない時間が長くなり、その影響でオゾナイザから発生するオゾンガス濃度が下がってしまう。
【0027】
そこで、循環配管9に連続的にオゾンガスを供給する際に、前段の混合ポンプ6として循環ポンプ10よりも小流量タイプのポンプを用いることで、供給するオゾンガス濃度を安定させることができる。例えば、小流量の機種としては、1分間当たりのストローク数が100回以上となるようなものを用いれば、オゾナイザへの影響を与えるような脈動がほとんど生じることがなくなり、これによりオゾンガス流量が安定し、オゾンガス濃度を減衰することなく供給することができる。
【0028】
また、この混合ポンプ6により、脈動をほとんど生じさせずに循環ポンプ10へオゾン混合水を送液することができるため、本発明のオゾン水の製造装置内における流体の脈動を全体的に抑えることができ、オゾン水を安定して製造することができる。
【0029】
オゾン水貯留槽7は、オゾン混合水を収容するタンクであるが、製造されたオゾン水がユースポイントに供給される前に設けられたものである。ここで、オゾン水貯留槽7はオゾン水を貯留するものであるが、余剰のオゾンガスも併存したオゾン混合水という形で流入してくるため、オゾン水貯留槽7の内圧を一定に制御しながらオゾンガスを排気する気液分離の機能を有するものである。
【0030】
圧力制御手段8は、オゾン水貯留槽7の内圧を制御し、圧力を一定のものとしてオゾン水の製造条件を調節するものであり、さらに、オゾンガスの排気量を調節するものでもある。この圧力制御手段8により、オゾン水貯留槽7の内圧を大気圧より高く維持することが好ましく、内圧を大気圧よりも高くすることでオゾン水貯留槽7中のオゾン水からオゾンが排気オゾンガス(気相)側に出て行くのを抑制して、オゾン水濃度を高いまま維持することができる。
【0031】
圧力制御手段8から排出された、オゾンガスは、大気中に排気され系外に放出される。このとき、大気中への放出前にオゾンガスを分解することで環境を汚染することがないようにすることが好ましく、オゾンガス分解を行なうものとしては、紫外線照射手段、触媒等の公知の手段を用いることができる。
【0032】
また、オゾン水貯留槽7の内圧を利用し高濃度のオゾン水としているが、さらにこの内圧を利用してオゾン水貯留槽7に貯留されているオゾン水をユースポイントへと送水することもできる。このように、オゾン水貯留槽7の内圧を利用してオゾン水を供給するようにすれば、ダイヤフラムポンプやベローズポンプで生じる脈動の影響をほとんどうけずにオゾン水を供給することも出来る。
【0033】
循環配管9は、オゾン水貯留槽7に貯留されているオゾン水をオゾン水貯留槽7の外部に一旦排出した後、混合ポンプ6から吐出されるオゾン混合水と混合して、再度オゾン水貯留槽7へと収容するように循環させるものである。このとき循環は循環ポンプ10により行われ、循環するオゾン水も混合ポンプ6により吐出されたオゾン混合水も循環ポンプ10の吸引側から吸引され、循環ポンプ10の内部で十分に混合されるようになっている。
【0034】
このように、オゾン水を循環供給することにより、一度製造されたオゾン水を、再度オゾンガスと接触混合させて、より高濃度のオゾン水を製造することができる。そして、製造されたオゾン水を使用する場合には、オゾン水貯留槽7に接続されたオゾン水配管11を開放し、ユースポイントまでオゾン水を供給することができるようになっている。
【0035】
次に、オゾン水の製造装置1を用いたオゾン水の製造方法について説明する。
まず、純水配管2に純水供給手段3から純水を供給し、一方では、オゾンガス配管4にオゾンガス供給手段5からオゾンガスを供給する。
【0036】
このとき供給する純水は、例えば、抵抗率が10MΩ・cm以上であるような純度のものが挙げられ、その目的に応じて適した純度の純水を使用するようにすればよい。半導体製造のレジスト剥離に使用する場合には、例えば、抵抗率が18MΩ・cm以上の超純水であることが好ましい。
【0037】
また、ここで供給されるオゾンガスはその濃度が150〜300g/mであることが好ましく、その中でも200g/m以上であることが特に好ましい。
【0038】
このとき、純水とオゾンガスのそれぞれの供給流量は、高濃度オゾンガスの製造効率の観点から、純水:オゾンガスの体積比で1:0.5〜1:20の範囲であることが好ましく、1:0.5〜1:2であることがより好ましく、1:0.8〜1:1.2であることが特に好ましい。
【0039】
これら純水及びオゾンガスを配管中で直接接触させた後、混合ポンプ6により両者を吸引し、純水とオゾンガスとをポンプ内で十分に混合してオゾン混合水として吐出する。なお、ここでオゾン混合水は、上記したように、純水とオゾンガスとを混合することによりオゾンガスが純水中に溶解して製造されるオゾン水と一部余剰のオゾンガスとで構成されるものである。
【0040】
このときオゾン混合水は、混合ポンプ6で加圧され循環配管9に供給され、循環するオゾン水と共に循環ポンプ10に吸引され十分に混合されて、再び加圧状態となって吐出されオゾン水貯留槽7に収容される。このとき、オゾン水貯留槽7の内圧は循環ポンプによる吐出圧力により上昇する。
【0041】
オゾン水貯留槽7において上昇した内圧は、圧力制御手段8により過剰のオゾンガスを排気することで一定の内圧に調整することができるようになっている。ここではオゾン水貯留槽7の内圧を大気圧よりも高い状態に維持し、これを利用して、オゾン水貯留槽7内のオゾン水は、その濃度を高く維持できるようになっており、また、オゾン水配管11を通じてユースポイントにオゾン水の供給ができるようにもなっている。なお、このときのオゾン水貯留槽7の内圧は、0.15〜0.5MPaの範囲とすることが好ましく、0.3〜0.5MPaであることがより好ましい。
【0042】
このオゾン水貯留槽7においては、混合ポンプ6より循環配管9を通してオゾン混合水としてオゾン水及び余剰のオゾンガスが常に供給されるため、オゾン水をユースポイントへ供給してもオゾン水貯留槽7の内圧が下がることも、貯留槽内部のオゾン水量が減ることもなく、常時オゾン水を製造し供給することができる。
【0043】
また、オゾン水貯留槽7の内圧を利用し高濃度のオゾン水とし、この内圧を利用してオゾン水貯留槽7に貯留されているオゾン水をユースポイントへと送水するが、さらに、オゾン水貯留槽7の内圧でオゾン水を供給するようにすれば、ダイヤフラムポンプやベローズポンプで生じる脈動の影響をほとんどうけずにオゾン水を供給することが出来る。
【0044】
また、オゾン水貯留槽7に貯留されているオゾン水は、オゾン水貯留槽7の外部に一旦排出された後、混合ポンプ6から吐出されるオゾン混合水と混合して、再度オゾン水貯留槽7へと収容するように循環され、このように、オゾン水を循環供給することにより、一度製造されたオゾン水を、再度オゾンガスと接触混合させて、より高濃度のオゾン水を製造することができる。この接触回数を多くするための循環させるオゾン水の流量は純水供給手段からの純水供給量の1.5〜6倍であることが好ましく、2〜4倍であることがより好ましい。
【0045】
また、この実施形態において、純水配管2に、酸又は炭酸ガス等を少量添加してオゾン水のpHを下げるpH調整手段を設けてもよく、この場合、オゾン水を高濃度で維持し易くなる。そして、本実施形態のオゾン水の製造装置は循環配管9を有するため、系内に添加した酸又は炭酸ガスは結果として循環されるので、純水配管2ではなく、オゾン水貯留槽7に酸又は炭酸ガスを直接注入するようにしてもよい。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
図1で説明した構成を有するオゾン水の製造装置を用い、供給するオゾンガス流量を変動させたときの実施例を以下に示す。
純水供給手段3である超純水製造装置から水温24.5℃、抵抗率18MΩ・cm以上の水質の超純水を5L/分供給した。供給圧は、0.2MPaであった。この超純水には炭酸ガスを300mL/分で供給してpH4.5程度となるようにした。
また、オゾンガス供給手段5であるオゾナイザよりオゾンガスをオゾンガス配管4を通じて供給した。オゾナイザは、住友精密工業株式会社製(型式:GR−RG)のものを用いて、酸素ガスを供給してオゾンガスを製造するものである。オゾンガスは、供給する酸素ガスから製造するため、体積は若干減少するものの酸素ガス流量とオゾンガス流量はほぼ等しいものである。
このときの酸素ガスの供給流量は、1L/分、6L/分及び9L/分の3条件で行った。
【0047】
オゾンガス濃度は、オゾナイザの標準能力である250g/mの発生能力条件とし、オゾンガス圧力は、最大使用圧力である0.2MPaとした。さらに、循環配管8の流量を、15L/分の条件として試験を行なった。
【0048】
オゾン水貯留槽7に設けた圧力制御手段8によって、貯留槽の内圧を0.4MPaの条件となるように制御し、この条件下で、オゾン水貯留槽7で製造されたオゾン水濃度をオゾン水濃度計(堀場アドバンスドテクノ株式会社製、型式:CZ−300i)で調べたところ、図2に示すグラフが得られた。
【0049】
この結果から、オゾナイザに供給する酸素ガス量、すなわち、純水に供給するオゾンガス量を多くすることで、製造されるオゾン水の濃度を高濃度にすることが可能であることがわかった。
【0050】
従来の渦巻き式ポンプでは、供給する純水の体積に対して最大20%の気体、つまり酸素ガス量として、純水の供給流量5L/分とした場合は、その20%である1L/分しか供給できないが、本発明においては、20%である1L/分のオゾンガスを安定して供給でき、このとき45〜60mg/Lの濃度域のオゾン水を製造することができた。
【0051】
さらに、純水供給量と同等の5L/分以上の酸素ガス供給流量である、6L/分、9L/分が供給可能であり、このとき、製造されるオゾン水のオゾン濃度を120〜150mg/Lの範囲とすることができ、従来では困難であった100mg/L以上の高濃度オゾン水の製造を実現することが出来た。
【0052】
(実施例2)
図1で説明した構成を有するオゾン水の製造装置を用い、供給する酸素ガス濃度を変動させた実施例を以下に示す。
実施例1と同様に、超純水製造装置から水温24.5℃、抵抗率18MΩ・cm以上の水質の超純水を5L/分供給した。超純水の供給圧は、0.2MPaとした。炭酸ガスは、超純水に300mL/分で供給した。
【0053】
オゾナイザに供給される酸素ガスの流量を6L/分及び9L/分の2条件で行い、それぞれオゾンガス濃度を100〜280g/mの範囲で変動させていった。このとき、循環流量は、20L/分、オゾン水貯留槽7の内圧を0.4MPaで制御してオゾン水を製造した。この条件下でオゾン水を製造し、実施例1と同様にオゾン水濃度を測定したところ、図3に示すグラフが得られた。
【0054】
このとき、酸素ガス流量9L/分、オゾンガス濃度260g/mの条件においてオゾン水濃度として、180mg/L近くに達する非常に高濃度オゾン水を製造できることがわかった。
【0055】
また、この結果から、高濃度のオゾン水を得るためには、高濃度のオゾンガスと、多量の酸素ガス流量が必要であることがわかった。しかしながら、オゾンガス濃度は、市販製品であるオゾナイザの性能に依存し、上限に限界があるため、高濃度のオゾン水を製造するためには、必然的に、大量の酸素ガスを供給しなければならない。
【0056】
したがって、従来式である渦巻きポンプを用いたオゾン水製造では、多量の酸素ガスを吸引できないため、本発明のような高濃度オゾン水を製造することは不可能であることが確認できた。
【0057】
(実施例3)
図1で説明した構成を有するオゾン水の製造装置を用い、循環流量を変動させた実施例を以下に示す。
実施例1と同様に、超純水製造装置から水温24.5℃、抵抗率18MΩ・cm以上の水質の超純水を5L/分供給した。超純水の供給圧は、0.2MPaとした。炭酸ガスは、超純水に300mL/分で供給した。
【0058】
オゾナイザより供給される酸素ガスの流量を6L/分、オゾンガス濃度を250g/mとして供給した。
【0059】
オゾン水貯留槽の内圧を0.35MPaの条件下で、濃度250g/mの酸素ガスの供給量を6L/分とし、オゾン水貯留槽から純水中に循環させるオゾン水の循環流量を7〜27Lまで変化させ、実施例1と同様にオゾン水濃度を測定し、その結果を図4に示した。
【0060】
これにより、オゾン水の循環流量は、純水の供給量5L/分の4倍量である20L/分程度で最も高い168mg/Lの高濃度に達し、それ以上の循環量としてもオゾン水濃度はほぼ変動せず、一定の値となった。
【0061】
以上の実施例から、本発明のオゾン水製造装置及び方法は、ベローズポンプ又はダイヤフラムポンプを混合、循環させる手段に用いることで、従来式である渦巻き式ポンプでは不可能であった多量のオゾンガスを純水と接触させ混合することができ、かつ、オゾン水貯留槽で循環させながらオゾンガスと再接触をさせることで、高濃度のオゾン水を得ることが可能となった。
【0062】
また、従来式であった高価なガス溶解膜を用いるのではなく、安価な、混合ポンプ、循環ポンプ、オゾン水貯留槽などを用いた本発明は、効果的に純水中にオゾンガスを溶解させることができる、コストパフォーマンスの高いオゾン水の製造装置及び製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るオゾン水の製造装置の概略構成図である。
【図2】実施例1における酸素ガス流量の変動によるオゾン水濃度の変化を示す図である。
【図3】実施例2における酸素ガス濃度の変動によるオゾン水濃度の変化を示す図である。
【図4】実施例3における循環流量の変動によるオゾン水濃度の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1…オゾン水の製造装置、2…純水配管、3…純水供給手段、4…オゾンガス配管、5…オゾンガス供給手段、6…混合ポンプ、7…オゾン水貯留槽、8…圧力制御手段、9…循環配管、10…循環ポンプ、11…オゾン水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を純水配管に流通させる純水供給手段と、
オゾンガスをオゾンガス配管に流通させるオゾンガス供給手段と、
前記純水配管及び前記オゾンガス配管が吸引側に配設され、純水とオゾンガスとを吸引、混合してオゾン混合水として吐出する、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる混合ポンプと、
前記混合ポンプから吐出された前記オゾン混合水を収容するオゾン水貯留槽と、
前記オゾン水貯留槽の内圧を一定にする圧力制御手段と、
前記オゾン水貯留槽内のオゾン水を、一旦排出して、前記混合ポンプにより吐出されたオゾン混合水と混合して前記オゾン水貯留槽へ循環させる循環配管と、
前記循環配管において、前記循環するオゾン水と前記混合ポンプより吐出されたオゾン混合水とを吸引、混合する、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる循環ポンプと、
を有することを特徴とするオゾン水の製造装置。
【請求項2】
前記純水配管内又は前記オゾン水貯留槽内に、炭酸ガスを添加することができる炭酸ガス添加手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のオゾン水の製造装置。
【請求項3】
純水配管に純水を流通させる純水供給工程と、
オゾンガス配管にオゾンガスを流通させるオゾンガス供給工程と、
前記純水及び前記オゾンガスを、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる混合ポンプにより吸引し、純水とオゾンガスとを混合してオゾン混合水として吐出するオゾン混合工程と、
前記オゾン混合水をオゾン水貯留槽に収容するオゾン水貯留工程と、
前記オゾン水貯留槽の内圧を一定にする圧力制御工程と、
前記オゾン水貯留槽内のオゾン水を、一旦排出させ、前記オゾン混合工程で吐出されたオゾン混合水と、ダイヤフラムポンプ又はベローズポンプからなる循環ポンプにより吸引して混合し、前記オゾン水貯留槽へ循環させる循環工程と、
を有することを特徴とするオゾン水の製造方法。
【請求項4】
前記純水配管内又は前記オゾン水貯留槽内に炭酸ガスを添加する炭酸ガス添加工程を有することを特徴とする請求項3記載のオゾン水の製造方法。
【請求項5】
前記オゾンガス濃度が、150〜300g/mであり、前記純水と前記オゾンガスとの供給流量が、1:0.5〜1:2の割合であることを特徴とする請求項3又は4記載のオゾン水の製造方法。
【請求項6】
前記循環工程におけるオゾン水の循環流量が、前記純水供給工程において供給される純水の流量に対して1.5〜6倍であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載のオゾン水の製造方法。
【請求項7】
前記オゾン水貯留槽の内圧を0.15〜0.5MPaとすることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項記載のオゾン水の製造方法。
【請求項8】
製造されるオゾン水濃度が、120〜200mg/Lであることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項記載のオゾン水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−112979(P2009−112979A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290958(P2007−290958)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】