説明

オゾン水供給方法およびオゾン水供給装置

【課題】ユースポイントでオゾン水使用量の変動が生じてもオゾン水濃度を一定に保持し、なおかつ、水の無駄を大幅に抑えること。
【解決手段】オゾン水供給装置1は、オゾンガス発生部5とオゾン溶解モジュール6とを含む高濃度オゾン水生成部と、該生成部で生成された所定の高濃度なオゾン水を、各ユースポイントUP1,UP2,UP3で必要とされる濃度と水量に調節するオゾン水調節機構7と、を備える。この機構7は、各配管20,21,22から高濃度オゾン水の一部を排水する排水管27と、該一部を排水した後の残りの高濃度オゾン水を希釈するように純水を前記の各配管内へ注入する注水管13b,13c,13dと、を備え、各ユースポイントで使用するオゾン水流量とオゾン濃度に応じて、オゾン水が該オゾン水流量とオゾン濃度を持つように、残りの高濃度オゾン水の量を決める各排水管27の排水量と、各注水管13b,13c,13dでの純水注入量とを調節可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を製造してユースポイントへ供給するオゾン水供給方法およびオゾン水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水は洗浄の分野でよく利用されており、オゾンガスを水に溶解して製造される。このため、オゾン水を製造するには、オゾンガスを発生させるプロセスと、該オゾンガスを水に溶解するプロセスとが必要である。
【0003】
また、オゾン水を使用する場所(ユースポイント)にオゾン水製造装置から一定の濃度のオゾン水を送水するとき、オゾン水製造装置内において、該ユースポイントで必要とされる水量の原水に所定量のオゾンガスを付与することが行われる。この場合、ユースポイントへのオゾン水送水量が変わるとオゾン水製造装置内の原水量も変わって、オゾン水の濃度の変動が起きてしまう。この濃度変動を防止するために、ユースポイント側での使用水量に応じてオゾン水製造装置内でオゾンガス発生量または原水量を調節することが考えられるが、上記2つのプロセスを経ることによる時間遅れの影響から、オゾン水の濃度を精度良く制御することは簡単ではない。
【0004】
そのため、ユースポイントで使用する最大水量を基に目的の濃度のオゾン水を製造してユースポイントへ送水し、該ユースポイントでのオゾン水使用量が減少した時でも最大水量送水時と同じ水量でオゾン水を製造し、ユースポイント側で余剰のオゾン水をそのまま捨てる方法がとられている。
【0005】
なお、特許文献1では、オゾン水製造装置で一定の高濃度のオゾン水を製造し、該高濃度オゾン水を希釈水で目的の濃度に調節した後にユースポイントへ送水する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−152803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにオゾン水の少量使用時でも最大水量送水時と同じ水量でオゾン水を製造し、ユースポイントで余剰分を捨てる方法では、水の無駄が多かった。
【0008】
なお、特許文献1に記載の方法では、ユースポイントで消費されるオゾン水量が減少したときにはオゾン水製造装置からユースポイントへのオゾン水送水量が減少し、ひいては送水時間が長くなる。このような送水時間の変動により、オゾン水中のオゾンの自己分解量が変動してしまうため、一定の濃度でオゾン水を送水することができない。ユースポイントまでオゾン水濃度を一定に保持するためには、送水時間が出来るだけ短くなるように、オゾン水を、ユースポイントで使用する最大水量に合わせて作り続ける必要がある。したがって、この方法においても余剰のオゾン水をユースポイントで捨てることになり、水の無駄が多いことが考えられる。
【0009】
本発明の目的は、上記背景技術の課題に鑑み、ユースポイントでオゾン水使用量の変動が生じてもオゾン水濃度を一定に保持し、なおかつ、水を無駄にしない、オゾン水供給装置およびオゾン水供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様の一つは、ユースポイントで必要とされるオゾン濃度よりも高い所定のオゾン濃度を持つ高濃度オゾン水を生成し、該高濃度オゾン水を純水で希釈して、該ユースポイントで必要とされるオゾン濃度のオゾン水に調節した後、該オゾン水を該ユースポイントへ供給するオゾン水供給方法に係るものである。
【0011】
このオゾン水供給方法において、本発明の特徴とするところは、生成した高濃度オゾン水の一部を排水し、その一部を排水した後の残りの高濃度オゾン水に純水を合流させる段階を有することである。さらに、この段階において、ユースポイントで使用するオゾン水流量とオゾン濃度に応じて、オゾン水が該オゾン水流量とオゾン濃度を持つように、残りの高濃度オゾン水の量と、残りの高濃度オゾン水へ合流させる純水の量とを調節することである。
【0012】
また、本発明の他の態様は、ユースポイントで必要とされるオゾン濃度よりも高い所定のオゾン濃度を持つ高濃度オゾン水を生成する高濃度オゾン水生成部と、該高濃度オゾン水を配管に流しつつ純水で希釈して、該ユースポイントで必要とされるオゾン濃度のオゾン水にするオゾン水調節機構と、を有し、該オゾン水を該ユースポイントへ供給するオゾン水供給装置に係る。
【0013】
このオゾン水供給装置において、本発明の特徴とするところは、上記オゾン水調節機構が、配管から高濃度オゾン水の一部を排水する排水部と、該一部を排水した後の残りの高濃度オゾン水を希釈するように純水をその配管内へ注入する注水部と、を備えることである。さらに上記オゾン水調節機構は、ユースポイントで使用するオゾン水流量とオゾン濃度に応じて、オゾン水がそのようなオゾン水流量とオゾン濃度を持つように、残りの高濃度オゾン水の量を決める前記排水部の排水量と、注水部での純水注入量とを調節するものである。
【0014】
上記のような各態様では、所定の濃度のオゾン水を生成し、それを純水で希釈して規定濃度にしてユースポイントへ供給するとき、その純水で希釈されるオゾン水は、ユースポイントで必要とされるオゾン濃度よりも高い所定のオゾン濃度を持つように製造される。そして、ユースポイントで必要とされるオゾン水の流量が減った時には、希釈前の所定濃度のオゾン水の一部のみを排水し、その排水後のオゾン水に、ユースポイントで必要とされるオゾン濃度に見合った割合の純水を混合させる。これにより、ユースポイントでの使用水量が変動してもユースポイントでのオゾン濃度の変動は起こらない。さらに、排水するオゾン水は希釈前の所定濃度のオゾン水の一部に限られ、希釈用の純水は全量がユースポイントでの消費に充てられるため、水の無駄を大幅に抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユースポイントでオゾン水使用量の変動が生じてもオゾン水濃度を一定に保持することができ、なおかつ、水の無駄を大幅に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例によるオゾン水供給装置を模式的に示す配管図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施例によるオゾン水供給装置を模式的に示す配管図である。この図に示されるように本実施例のオゾン水供給装置1は、オゾン水を製造して複数のユースポイントUP1,UP2,UP3へ供給するために、オゾン水供給装置1の筐体と各ユースポイントUP1,UP2,UP3とを繋ぐ複数の給水管2,3,4を備える。
【0019】
オゾン水供給装置1の筐体内部には、オゾンガスを発生させるオゾンガス発生部5と発生したオゾンガスを水に溶解させるオゾン溶解モジュール6とを含む高濃度オゾン水生成部と、オゾン溶解モジュール6を経て生成されたオゾン水を、各ユースポイントUP1,UP2,UP3で必要とされるオゾン濃度および水量に調節するオゾン水調節機構7と、が配備されている。
【0020】
オゾン水供給装置1の筐体外側面には、筐体内に純水を導入する純水入口8、筐体内に炭酸ガス(CO2)を導入するCO2入口9や、ユースポイントUP1,UP2,UP3ごとに濃度と水量が調節されたオゾン水を筐体内から導出するオゾン水出口10,11,12が配設されている。
【0021】
純水入口8とオゾン水調節機構7が配管13で接続されて、純水がオゾン水調節機構7に供給可能になっている。さらに、その配管13の途中で分岐した配管13aがオゾン溶解モジュール6の上部に接続されて、純水がオゾン溶解モジュール6にも供給されるようになっている。配管13aには流量調節弁14と純水圧センサー15が設置されている。さらに、配管13の、配管13aに分岐する前の配管部分には、純水の送水圧を設定するブースターポンプ33と純水の送水圧を計る純水圧センサー34とが設置されている。これらにより、オゾン溶解モジュール6側とオゾン水調節機構7側へそれぞれ流す純水の流量を制御している。
【0022】
オゾンガス発生部5はオゾンガスを所定量生成するもので、そのオゾンガスの発生方式に関しては任意である。例えばオゾンガス発生方式には、酸素ガスを高電圧で無声放電する方式、純水を電気分解する方式、酸素ガスに185nmの紫外線を照射する方式などを採用することができる。
【0023】
このようなオゾンガス発生部5とオゾン溶解モジュール6の下部とは配管16を介して接続されている。これにより、オゾンガス発生部5による所定量のオゾンガスは、オゾン溶解モジュール6内に供給される所定流量の純水と合流し、純水に溶解して所定のオゾン濃度のオゾン水(以下、高濃度オゾン水と呼ぶ。)になる。その純水へのオゾンガスの溶解方法については任意であるが、本例では溶解膜を使った方式が採用されている。具体的には、本例のオゾン溶解モジュール6は筒状の容器の内部に多数の中空糸膜の束が収容されたもので、容器内の中空糸膜を通してオゾンガスと純水とが接触することでオゾン水が生成されるようになっている。その他、純水にオゾンガスを注入しミキサーで混合して溶解させる方式、純水中にオゾンガスをバブリングして溶解させる方式などを採用することもできる。
【0024】
高濃度オゾン水には、製造したオゾン水中のオゾンの自己分解を抑えるために、炭酸ガスが添加されていてもよい。そのため本例では、オゾンガス発生部5とオゾン溶解モジュール6とを接続している配管16の途中に、CO2入口9に接続された配管17が接続され、これにより、炭酸ガス入りの高濃度オゾン水を生成できるようになっている。
【0025】
また、オゾン溶解モジュール6の下部には配管18が接続されており、この配管18は、オゾン溶解モジュール6を経た高濃度オゾン水をオゾン水調節機構7へ送水する。配管18は、高濃度オゾン水のオゾン濃度を計測する溶存オゾン濃度計19を備えている。これにより、配管18を通る高濃度オゾン水のオゾン濃度が所定の値になるように、オゾンガス発生部5が発生するオゾンガス量、およびオゾン溶解モジュール6内に供給される純水量が制御可能になっている。このオゾン溶解モジュール6への純水供給量については、純水入口8からオゾン溶解モジュール6へ純水を送る配管13aの流量調節弁14および純水圧センサー15等を用いて制御可能である。
【0026】
上記のオゾン水調節機構7について詳述する。
【0027】
オゾン水調節機構7は、各ユースポイントへのオゾン水出口10,11,12に接続された複数本(本例では3本)のオゾン水調節配管20,21,22を有する。これらのオゾン水調節配管は上記の1本の配管18から分岐された配管である。それぞれのオゾン水調節配管20,21,22には、流量計23、流量調節弁24、および溶存オゾン濃度計25がこの順番に流れ方向に沿って設置されている。
【0028】
各オゾン水調節配管20,21,22の流量計23の前段には、高濃度オゾン水の一部を排水する排水管27が接続されている。この排水管27には、高濃度オゾン水の排水量を所定の値にするために、流量計28と流量調節弁29がこの順番に排水方向に沿って配置されている。
【0029】
さらに、各オゾン水調節配管20,21,22の、流量調節弁24と溶存オゾン濃度計25の間には、純水入口8に接続された配管13から分岐した配管13b,13c,13dが接続されている。各配管13b,13c,13dは高濃度オゾン水を純水により目的の水量および濃度のオゾン水に希釈する役割を果たすものである。高濃度オゾン水を希釈する純水の量を制御するために、各配管13b,13c,13dにも流量計31と流量調節弁32がこの順番に流れ方向に沿って配置されている。
【0030】
尚、上記した各排水管27はオゾン水分解器30に繋がっていてもよい。オゾン水分解器30は高濃度オゾン水に紫外線(254nmのUV)を照射し、高濃度オゾン水中のオゾンを分解処理した後、オゾンを含まない水をオゾン水供給装置1の外へ送出する。また、オゾンを含まなくなった水を純水入口8に送水して再利用してもよい。
【0031】
また、上述したオゾンガス発生部5、流量調節弁14,24,29,32、流量計23,28,31、溶存オゾン濃度計19,25、オゾン水分解器30、ブースターポンプ33、純水圧センサー15,34等は、制御部35によって監視され、かつ各ユースポイントで必要とされるオゾン水の量と濃度を基に制御される。そのため、各ユースポイントUP1,UP2,UP3には、オゾン水の流量と濃度を計測し、この計測結果を信号にして制御部35に出力する計測器(不図示)が設置されている。流量調節弁14,24,29,32は流量を無段階で制御できるものである。
【0032】
また、高濃度オゾン水を希釈する純水が流れる各配管13b,13c,13dには、その希釈水に含まれる過酸化水素を除去する機構を備えていてもよい。これにより、製造したオゾン水中のオゾンが過酸化水素で分解されてしまうことを防止することができる。
【0033】
次に、図1を参照しながら、オゾン水製造装置1を用いた、ユースポイントへのオゾン水の供給方法を説明する。
【0034】
ユースポイントUP1で必要とされるオゾン水のオゾン濃度が5ppmである場合を想定する。また、本例のオゾン水製造装置1は、オゾン溶解モジュール6で、ユースポイントUP1で必要とされるオゾン濃度よりも高い濃度のオゾン水(オゾン濃度:50ppm)を生成し、この高濃度オゾン水を配管18でオゾン水調節機構7に送り、オゾン水調節機構7にて純水で10倍に希釈して、目的の濃度(5ppm)のオゾン水にするものとする。
【0035】
ここで、ユースポイントUP1で使われる、5ppmの濃度のオゾン水の流量が20L/minであるときは、配管18から分岐された3本の配管の一つである配管20に2L/minの流量の高濃度オゾン水(オゾン濃度:50ppm)が送られ、かつ、18L/minの流量の純水が純水入口8から配管13,13bを介して配管20中に注入される。この結果、50ppmの濃度の高濃度オゾン水が、20L/min(2+18=20)の水量のオゾン水になるとともに、10倍((2+18)÷2=10)に希釈されて5ppmの濃度のオゾン水になる。目的の流量と濃度(20L/min、5ppm)になったオゾン水はオゾン水出口10よりユースポイントUP1へ供給される。
【0036】
配管18中の高濃度オゾン水が3本の配管20〜22に例えば三等分される場合、上記のように2L/minの流量の高濃度オゾン水を配管20に送るためには、オゾン溶解モジュール6から配管18へ送る高濃度オゾン水の流量は6L/minにされる。また、高濃度オゾン水を希釈する上記18L/minの流量の純水は、配管13bの流量計31と流量調節弁32を用いて設定される。さらに、配管13bに18L/minの流量の純水が流れるだけでなく、他の配管13a、13c,13dにも所定の流量の純水が流れた上で、6L/minの流量の高濃度オゾン水が配管18に流れるように、配管13の流量調節弁14やブースターポンプ33も駆動される。
【0037】
上記2L/minの流量の高濃度オゾン水が配管20に流れていることは、流量計23と流量調節弁24を用いて保たれている。さらに、上記18L/minの流量の純水を配管20中に注入した後に5ppmの濃度のオゾン水になったかは、溶存オゾン濃度計25を用いて監視される。
【0038】
尚、上記の流量と濃度(20L/min、5ppm)のオゾン水を製造する場合には、排水管27は流量調節弁29によって閉じられ、高濃度オゾン水の一部は排水されていないことにする。
【0039】
次に、ユースポイントUP1で必要とされるオゾン水の流量が20L/minから2L/minに減った時、5ppmの濃度のオゾン水が変動しないように以下の制御が行われる。
【0040】
ユースポイントUP1で使用するオゾン水量の変動は、ユースポイントUP1に設置されている計測器(不図示)により監視されており、オゾン水の使用量が20L/minから2L/minになったことが制御部35へ送信される。制御部35は5ppmのオゾン水濃度が変動しないように、上記2L/minのオゾン水量を基に高濃度オゾン水とこれを希釈する純水の混合比率(水量の割合)を0.2:1.8にする。
【0041】
そのため、配管20に送られた2L/minの流量の高濃度オゾン水(オゾン濃度:50ppm)の一部(1.8L/min)が、排水管27より排水される。この排水量(1.8L/min)は流量計23,28と流量調節弁24,29を用いて調節される。そして、排水した後の残りの流量(0.2L/min)の高濃度オゾン水に、1.8L/minの流量の純水が純水入口8から配管13,13bを介して注入される。この結果、50ppmの濃度の高濃度オゾン水が、2L/min(0.2+1.8=2)の水量のオゾン水になるとともに、10倍((0.2+1.8)÷0.2=10)に希釈されて5ppmの濃度のオゾン水になる。目的の流量と濃度(2L/min、5ppm)になったオゾン水はオゾン水出口10よりユースポイントUP1へ供給される。また、排水した高濃度オゾン水はオゾン水分解器30でオゾンが分解処理されてオゾン水の製造用水として再利用することが可能である。
【0042】
尚、高濃度オゾン水を希釈する上記1.8L/minの流量の純水は、配管13bの流量計31と流量調節弁32を用いて設定される。さらに、配管13bに1.8L/minの流量の純水が流れるだけでなく、他の配管13a、13c,13dにも所定の流量の純水が流れた上で、6L/minの流量の高濃度オゾン水が配管18に流れるように、配管13の流量調節弁14やブースターポンプ33も駆動制御される。
【0043】
従来技術では、ユースポイントで必要なオゾン水の流量が20L/minから2L/minに減った時は5ppmのオゾン水濃度が変動しないように、ユースポイントで18L/minのオゾン水をユースポイントで捨てていた。これに対し、本発明では、捨てるオゾン水は高濃度オゾン水の一部の水量(1.8L/min)に限られ、高濃度オゾン水を希釈する純水は全量がユースポイントでの消費に充てられるため、水の無駄を大幅に抑えることができる。
【0044】
以上、ユースポイントUP1へ所定の流量および濃度のオゾン水を供給する例を説明したが、他のユースポイントUP2,UP3などに対しても、ユースポイントUP1へのオゾン水供給方法と同じように目的の流量および濃度のオゾン水を製造して供給することができる。
【0045】
また、本例のオゾン水製造装置1は高濃度オゾン水とこれを希釈する純水の混合割合(水量の割合)が1:9、すなわち10倍希釈であるものとしたが、本発明はこれに限られない。高濃度オゾン水とこれを希釈する希釈水の混合割合(水量の割合)は1倍希釈より多い倍率に相当する割合の中で変更可能であればよい。
【0046】
また上記の実施例では、オゾン水調節機構7を構成するオゾン水調節配管20,21,22の各々について、一のオゾン水調節配管中から高濃度オゾン水の一部を排水する排水部(排水管27)と、排水後の高濃度オゾン水を希釈する純水をその一のオゾン水調節配管中へ注入する注水部(配管13b,13c,13d)とが一組用意されているが、上記排水部と注水部の組は送水方向において複数組設けられていてもよい。上記排水部と注水部の組を一のオゾン水調節配管に複数用意することにより、それぞれの組で高濃度オゾン水と純水との混合比率を予め変えられるので、オゾン水を供給するユースポイント先に対してオゾン水濃度の変更を多段に実施することができる。
【0047】
なお、本願発明について実施例を示して説明したが、本願発明は上記の実施例に限定されるものではない。本願発明の形や細部には、本願発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 オゾン水供給装置
2、3、4 給水管
5 オゾンガス発生部
6 オゾン溶解モジュール
7 オゾン水調節機構
8 純水入口
9 CO2入口
10、11、12 オゾン水出口
13、13a〜13d、16〜18、20〜22 配管
14、24、29、32 流量調節弁
15、34 純水圧センサー
23、28、31 流量計
19、25 溶存オゾン濃度計
27 排水管
30 オゾン水分解器
33 ブースターポンプ
UP1,UP2,UP3 ユースポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユースポイントで必要とされるオゾン濃度よりも高い所定のオゾン濃度を持つ高濃度オゾン水を生成し、該高濃度オゾン水を純水で希釈して、該ユースポイントで必要とされるオゾン濃度のオゾン水に調節した後、該オゾン水を該ユースポイントへ供給するオゾン水供給方法において、
前記生成した高濃度オゾン水の一部を排水し、該一部を排水した後の残りの高濃度オゾン水に純水を合流させる段階を有し、
前記段階では、前記ユースポイントで使用するオゾン水流量とオゾン濃度に応じて、前記オゾン水が該オゾン水流量とオゾン濃度を持つように、前記残りの高濃度オゾン水の量と、前記残りの高濃度オゾン水へ合流させる純水の量とを調節することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオゾン水供給方法において、
前記残りの高濃度オゾン水の量と前記残りの高濃度オゾン水へ合流させる純水の量との混合割合を調節して、該純水により前記残りの高濃度オゾン水を希釈するときの倍率を調節することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のオゾン水供給方法において、
前記生成した高濃度オゾン水のオゾン濃度を計測し、この計測結果に基づいて、前記所定のオゾン濃度を持つ高濃度オゾン水を生成するのに必要なオゾンガスの発生量を制御することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のオゾン水供給方法において、
前記高濃度オゾン水の生成に使用する原水に、オゾンの自己分解を抑制する材料を添加することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のオゾン水供給方法において、
前記残りの高濃度オゾン水へ合流させた純水により前記残りの高濃度オゾン水を希釈した後のオゾン水のオゾン濃度を計測し、この計測結果が前記ユースポイントで必要とされるオゾン濃度になるように、前記残りの高濃度オゾン水の量と前記残りの高濃度オゾン水へ合流させる純水の量との混合割合を調節することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のオゾン水供給方法において、
排水した前記一部に紫外線を照射し、前記一部に含まれているオゾンを分解処理することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項7】
請求項6に記載のオゾン水供給方法において、
紫外線を照射した後の前記一部を、前記高濃度オゾン水の生成に使用する原水として再利用することを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のオゾン水供給方法において、
前記ユースポイントが複数存在する場合、前記残りの高濃度オゾン水の量と前記残りの高濃度オゾン水へ合流させる純水の量との調節を、前記ユースポイントごとに必要とされるオゾン水流量とオゾン濃度に応じて行うことを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項9】
ユースポイントで必要とされるオゾン濃度よりも高い所定のオゾン濃度を持つ高濃度オゾン水を生成する高濃度オゾン水生成部と、該高濃度オゾン水を配管に流しつつ純水で希釈して、該ユースポイントで必要とされるオゾン濃度のオゾン水にするオゾン水調節機構と、を有し、該オゾン水を該ユースポイントへ供給するオゾン水供給装置において、
前記オゾン水調節機構は、
前記配管から前記高濃度オゾン水の一部を排水する排水部と、
前記一部を排水した後の残りの高濃度オゾン水を希釈するように前記純水を前記配管内へ注入する注水部と、を備え、
前記ユースポイントで使用するオゾン水流量とオゾン濃度に応じて、前記オゾン水が該オゾン水流量とオゾン濃度を持つように、前記残りの高濃度オゾン水の量を決める前記排水部の排水量と、前記注水部での純水注入量とを調節することを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載のオゾン水供給装置において、
前記オゾン水調節機構は、
前記残りの高濃度オゾン水の量と前記配管内への純水の注入量の割合を調節して、前記配管内へ注入された純水により前記残りの高濃度オゾン水を希釈するときの倍率を調節することを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載のオゾン水供給装置において、
前記ユースポイントには、オゾン水の流量と濃度を計測し、この計測結果を信号にして出力する計測器が設置されており、前記排水部での排水と前記注水部での純水注入は前記信号により行われることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記ユースポイントが複数存在し、それぞれの前記ユースポイントに対応して前記配管が用意されており、それぞれの前記配管には前記高濃度オゾン生成部で生成された高濃度オゾン水が流れることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記配管には、前記排水部と前記注水部の組が高濃度オゾン水の流れ方向に沿って複数組設けられていることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記排水部と前記注水部はそれぞれ、前記排水部の排水量と前記注水部での純水注入量を無段階に調節するコントロール弁を備えることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記生成した高濃度オゾン水のオゾン濃度を計測する溶存オゾン濃度計を有し、該溶存オゾン濃度計の計測結果に基づいて、前記所定のオゾン濃度を持つ高濃度オゾン水を生成するのに必要なオゾンガスの発生量を制御することを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項16】
請求項9から15のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記高濃度オゾン水の生成に使用する原水に、オゾンの自己分解を抑制する材料を添加することが可能にされていることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項17】
請求項9から16のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記配管内へ注入された純水で前記残りの高濃度オゾン水を希釈した後のオゾン水のオゾン濃度を計測する別の溶存オゾン濃度計を有し、該溶存オゾン濃度計の計測結果が前記ユースポイントで必要とされるオゾン濃度になるように、前記オゾン水調節機構は前記残りの高濃度オゾン水の量と前記配管内への純水の注入量の割合を調節することを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項18】
請求項9から17のいずれか1項に記載のオゾン水供給装置において、
前記排水部から排水された前記一部に紫外線を照射し、前記一部に含まれているオゾンを分解処理するオゾン水分解器を備えることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項19】
請求項18に記載のオゾン水供給装置において、
紫外線を照射した後の前記一部を、前記高濃度オゾン水の生成に使用する原水として再利用することが可能にされていることを特徴とするオゾン水供給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−213743(P2012−213743A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81835(P2011−81835)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】