説明

オゾン水生成装置

【課題】薄型化を図ることのできるオゾン水生成装置を提供する。
【解決手段】陽イオン交換膜21の一方の面に陽極電極22を圧接し、他方の面に陰極電極23を圧接し、陽極電極22及び陰極電極23に水を供給するとともに陽極電極22と陰極電極23との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成装置100は、陽極電極22及び陰極電極23が、それぞれ板状電極部と、板状電極部の表面に対して寝かせて接合した棒状電極部25,28とを備える。そして、陽極電極22の棒状電極部25及び陰極電極23の棒状電極部28の先端部が、各板状電極部24,27の平面方向へと延在し、延在した各棒状電極部25,28の先端部が各電極ターミナル254,284である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、産業用に普及しているオゾン水の製法は、大別して放電により生成したオゾンガスに溶解させるガス溶解法、電解により生成したオゾンガスを水に溶解させる電解ガス溶解法、電解面に原料水を直接接触させてオゾン水を生成させる直接電解法の3方式が実用されている。直接電解法は、ガス溶解法や電解ガス溶解法に比べて、より簡単な方法で高濃度のオゾン水を生成できると知られている。
このような直接電解法は、具体的には、ケーシング内を固形電解質膜によって陽極室と陰極室とに仕切り、陽極室側の固形電解室膜面に陽極電極を、陰極室側の固形電解質膜面に陰極電極をそれぞれ圧接して設けた装置を使用して、陽極室及び陰極室に水を供給するとともに陽極電極と陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成している。
上記直接電解法において使用する触媒電極に直流電圧を印加する場合、例えば図6(a),(b)に示すように、陽イオン交換膜501の一方の面に圧接した陽極電極502の厚さ方向に棒状電極503を設けてケーシング506の裏面に突出させ、陽イオン交換膜501の他方の面に圧接した陰極電極504側も同様に、厚さ方向に棒状電極505を設けてケーシング506の表面に突出させ、これら各棒状電極503,505を電極ターミナルとして、電源装置(図示しない)に接続している(例えば、特許文献1参照)。なお、図6(a)は、従来のオゾン水生成装置500を表面から見た際の透視図、図6(b)は、切断線VI−VIに沿って切断した際の矢視断面図である。図中、符号507は、ケーシング506内に原料水を供給する供給路、符号508は、ケーシング506で生成されたオゾン水が排出される排出路を示している。
【特許文献1】特開2004−315886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に示すように、触媒電極の厚さ方向において各電極に接続する電極棒を設けているため、厚さが極めて分厚い構造となり、装置自体が大型化するという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、薄型化を図ることのできるオゾン水生成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、例えば、図1〜図3に示すように、陽イオン交換膜21の一方の面に陽極電極22を圧接し、他方の面に陰極電極23を圧接し、前記陽極電極及び前記陰極電極に水を供給するとともに前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成装置100において、
前記陽極電極及び前記陰極電極は、それぞれ板状電極部24,27と、各板状電極部の前記陽イオン交換膜と反対側の面に対して寝かせて接合した棒状電極部25,28とを備え、
前記陽極電極の前記棒状電極部及び前記陰極電極の前記棒状電極部の先端部が、各板状電極部の平面方向へと延在し、延在した各棒状電極部の先端部が各電極ターミナル254,284であることを特徴とする。
【0005】
請求項1の発明によれば、陽極電極及び陰極電極は、それぞれ板状電極部と、板状電極部の表面に対して寝かせて接合した棒状電極部とを備え、陽極電極の棒状電極部及び陰極電極の棒状電極部の先端部が、各板状電極部の平面方向へと延在し、各電極ターミナルとされているので、従来のように陽極電極及び陰極電極の積層方向にそれぞれ表裏面に各電極ターミナルが突出している場合に比して、薄型化を図ることができる。
【0006】
請求項2の発明は、例えば、図4,図5に示すように、請求項1に記載のオゾン水生成装置において、
前記陽極電極及び前記陰極電極の各棒状電極部は、それぞれの板状電極部との接触部251,281が棒状電極の中心軸に対して平行に切断されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明によれば、陽極電極及び陰極電極の各棒状電極部は、それぞれの板状電極部との接触部が、棒状電極部の中心軸に対して平行に切断されているので、接触部の面積が大きくなり、棒状電極部をそれぞれの板状電極部に確実に固定することができる。
【0008】
請求項3の発明は、例えば、図2、図3に示すように、請求項1又は2に記載のオゾン水生成装置において、
凹部11aを有するケーシング11の前記凹部内に、前記陽極電極及び前記陰極電極が収容され、
前記ケーシングに、前記凹部内に収容された前記陽極電極及び前記陰極電極を覆う蓋部(例えば、外蓋13)が設けられ、
前記凹部の周囲を囲むようにして前記ケーシングと前記蓋部との間がシーリングされていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明によれば、凹部の周囲を囲むようにしてケーシングと蓋部との間がシーリングされているので、シーリングによってケーシングと蓋部との間の水密性が確保され、凹部内で発生したオゾン水等が外部に漏れるのを防止することができる。
【0010】
請求項4の発明は、例えば、図3、図4に示すように、請求項3に記載のオゾン水生成装置において、
前記陽極電極及び前記陰極電極の各棒状電極部は、前記ケーシングの外周面(例えば、上面11A)から外方に突出し、前記ケーシングの外周面と前記各棒状電極部との間がシーリングされていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明によれば、陽極電極及び陰極電極の各棒状電極部は、ケーシングの外周面から外方に突出し、ケーシングの外周面と各棒状電極部との間がシーリングされているので、この点においても水密性が確保され、凹部内で発生したオゾン水等が外部に漏れるのを防止することができる。
【0012】
請求項5の発明は、例えば、図3,図5に示すように、請求項3又は4に記載のオゾン水生成装置において、
前記陽極電極の前記陽イオン交換膜とは反対側の面に、攪拌手段(例えば、スタティックミキサー26)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明によれば、陽極電極の陽イオン交換膜とは反対側の面に、攪拌手段が設けられているので、攪拌手段によって、陽極電極から発生したオゾン微泡が水に確実に溶解されて、オゾン水生成効率を向上させることができる。
【0014】
請求項6の発明は、例えば、図1、図3に示すように、請求項3〜5のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置において、
前記ケーシングと前記蓋部とは、押しネジNによって押圧されて締結されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明によれば、ケーシングと蓋部とは、押しネジによって押圧されて締結されているので、押しネジによって押圧された押圧力が蓋部を介して触媒電極への圧接力を容易に調整することができる。
【0016】
請求項7の発明は、例えば、図3に示すように、請求項3〜6のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置において、
前記ケーシングには、前記凹部に通じ、生成されたオゾン水を排出するオゾン水排出路114が形成され、
前記オゾン水排出路内に、オゾン水の濃度を検出する濃度検出手段(例えば、濃度検出センサ117)が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明によれば、ケーシングには、凹部に通じ、生成されたオゾン水を排出するオゾン水排出路が形成され、オゾン水排出路内にオゾン水の濃度を検出する濃度検出手段が設けられているので、濃度検出手段によって設定した所定の濃度のオゾン水を生成することができる。
【0018】
請求項8の発明は、例えば、図1に示すように、請求項1〜7のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置において、
前記陽極電極及び前記陰極電極の各電極ターミナルが鉛直方向を向くように配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明によれば、陽極電極及び陰極電極の各電極ターミナルが鉛直方向を向くように配置されているので、設置した際に薄型化でき、装置内部がコンパクトに配置できるので見栄えも良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、陽極電極の棒状電極部及び陰極電極の棒状電極部の先端部が、各板状電極部の平面方向へと延在し、各電極ターミナルとされているので、薄型化を図れ、スペースの狭い箇所にも設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、オゾン水生成装置100の外観斜視図である。
本発明に係るオゾン水生成装置100は、原料水(例えば、水道水)が供給されるケーシング1内に触媒電極2を配置して構成したもので、触媒電極2に直流電圧を印加することによって微細オゾン気泡を発生させて、発生間近の微細オゾン気泡を水に溶解させることによりオゾン水を生成することのできる装置である。
【0022】
図2は、オゾン水生成装置100の分解斜視図、図3(a)は、オゾン水生成装置100を図1の表面側から見た際の透視図、図3(b)は、切断線III(b)−III(b)に沿って切断した際の矢視断面図、図3(c)は、切断線III(c)−III(c)に沿って切断した際の矢視断面図である。なお、以下の説明において、上下方向とは図2に示すZ方向を言い、左右方向とは図2に示すY方向を言い、表面や裏面は図2のXの方向から見た場合を基準とする。
図2及び図3に示すように、オゾン水生成装置00は、表面の略中央に矩形状の凹部11aが形成されたケーシング11と、凹部11a内に嵌め込まれる矩形状の中蓋12と、中蓋12を覆うとともに外蓋13を押圧することによって中蓋12とケーシング11とを固定する外蓋13とを備えている。
ケーシング11の凹部11a内には、触媒電極2が収容されている。触媒電極2は、陽イオン交換膜21と、陽イオン交換膜21の一方の面(図3(b)、裏面)に圧接された陽極電極22と、他方の面(図3(b)中、表面)に圧接された陰極電極23とを備えている。そして、凹部11a内に陽極電極22側が裏面となるように触媒電極2が配置されている。
【0023】
図4は、触媒電極2の分解斜視図であり、図5は、図4における要部拡大図である。
陽イオン交換膜(ナフイオン膜)21としては、従来公知のものを使用することができ、発生するオゾンに耐久性の強いフッ素系陽イオン交換膜を使用することができ、例えば厚さおよそ100〜300μmが好ましい。
【0024】
陽極電極22は、板状電極部24と、板状電極部24の陽イオン交換膜21と反対側の面(裏面)に寝かせて接合してなる棒状電極部25とから構成されている。陽極電極22としては、オゾン発生触媒機能を有した金属を使用し、この金属としては白金又は白金被覆金属を使用することが好ましい。
板状電極部24は、複数枚の格子状の電極241〜243が重ねられて構成されている。具体的には、陽イオン交換膜21側から順に、陽極触媒(マイクログレーチング又は織網)241、マイクログレーチング又はフラットロールマイクログレーチング242、グレーチング又は電極243が重ねられている。ここで、織網とは、細い線材を格子状に織ったものが挙げられ、グレーチングとは線材を溶接したような一体格子状のものが挙げられる。また、マイクログレーチング242は、触媒241が薄くて柔らかいために、棒状電極部25が直接溶接された電極243の凹凸から守るために使用しているものである。
なお、グレーチング中を通過することにより渦流を生じ、陽極電極22で発生したオゾン微泡を巻き込んで溶解を早めることができる。
【0025】
棒状電極部25は、長尺な略円柱状をなし、最も外側の格子状の電極243の裏面に接触する接触面251が、棒状電極部25の中心軸に平行に切断した平面となっている(図5に示す棒状電極部28を参照)。そして、この接触面251が格子状の電極243の裏面に、格子状の電極243の幅(短手)方向に沿って溶接されている。棒状電極部25は、図3(a)に示すように、ケーシング11の上面11Aから凹部11a内に貫通して形成された貫通穴11cに挿入されて、一方の端部が上面11Aから突出した状態でネジ252によって締結されている。
また、ケーシング11の上面11Aに突出する棒状電極部25は、ケーシング11との間の水密性を確保するためにシーリングされている。具体的には、棒状電極部25にOリング253(図3(a)、(c)参照)を嵌め込み、凹部11a内から貫通穴11cに棒状電極部25を挿入させた後、貫通穴11cに挿入したネジ252で締結することによって、凹部11aを形成する内壁面11dにOリング253が当接し、これによって貫通穴11cと棒状電極部25との間の水密性が確保されている。
【0026】
さらに、板状電極部24の裏面で、かつ、棒状電極部25の外周面には、攪拌手段としてのスタティックミキサー26が配置されている。スタティックミキサー26は、例えば、板状電極部24側の面が山形状となるように複数の凹凸26aが形成されたトレンチ構造をなした板状部材261,262である。このようなスタティックミキサー26は、棒状電極部25の左右にそれぞれ分割して設けられており、棒状電極部25は、左右に分割された二つの板状部材261,262の間に配置されている。このようにスタティックミキサー26を設けることによって、供給された水が攪拌されて、水へのオゾン微泡の溶解を促進させている。
【0027】
陰極電極23は、陽極電極22と同様に、板状電極部27と、板状電極部27の陽イオン交換膜21と反対側の面(表面)に寝かせて接合してなる棒状電極部28とから構成されている。陰極電極23としては、白金、銀、チタン等の金属や薄い銀製金網の表面に塩化銀被覆を施したものを使用することが好ましい。
板状電極部27は、複数枚の格子状の電極271〜273が重ねられて構成されている。具体的には陽イオン交換膜21側から順に、陰極触媒(マイクログレーチング又は織網)271、マイクログレーチング又はフラットロールマイクログレーチング272、グレーチング又は電極273が重ねられている。また、各格子状の電極271〜273間を水流が通過するようになっている。また、マイクログレーチング272は、触媒271が薄くて柔らかいために、棒状電極部28が直接溶接された電極273の凹凸から守るために使用しているものである。
【0028】
棒状電極部28は、図5に示すように、陽極電極22の棒状電極部25と同様に長尺な略円柱状をなし、格子状の電極273の表面に接触する接触面281が棒状電極部28の中心軸に平行に切断した平面となっている。そして、この接触面281が格子状の電極273の表面に、格子状の電極273の幅(短手)方向に沿って溶接されている。
また、棒状電極部28は、図3(a)に示すように、ケーシング11の上面11Aから凹部11a内に貫通して形成された貫通穴11eに挿入されて、一方の端部が上面11Aから突出した状態でネジ282によって締結されている。
さらに、ケーシング11の上面11Aに突出する棒状電極部28は、ケーシング11との間の水密性を確保するためにシーリングされている。陽極電極22の棒状電極部25と同様にして、棒状電極部28にOリング283(図3(a)、(c)参照)を嵌め込み、凹部11a内から貫通穴11eに棒状電極部28を挿入させた後、ネジ282で締結することによって、凹部11aを形成する内壁面11dにOリング283が当接し、これによって貫通穴11eと棒状電極部28との間の水密性が確保されている。
【0029】
以上のようにスタティックミキサー26に、陽極電極22の複数枚の格子状の電極241〜243、陽イオン交換膜21及び陰極電極23の複数枚の格子状の電極271〜273が順に重ねられて平板状に形成され、これら陽イオン交換膜21、陽極電極22及び陰極電極23が密着して圧接されている。
【0030】
中蓋12は、図2及び図3(b)に示すように、凹部11a内に配置された触媒電極2を覆うようにして、ケーシング11に嵌め込まれている。中蓋12は、凹部11a内に嵌め込まれて、凹部11aに収容された陰極電極23の板状電極部27の表面を覆う矩形状の凸部121と、この凸部121に形成されて陰極電極23の棒状電極部28が嵌め込まれる溝部122とを有している。
そして、陰極電極23の棒状電極部28と陽極電極22の棒状電極部25とは、それぞれの板状電極部24,27の表面に沿って水平に延在し、一端部がケーシング11の上面11Aから、該上面11Aに対して略垂直となるように突出している。この上面11Aから突出した陽極電極22の棒状電極部25及び陰極電極23の棒状電極部28の先端部が、電極ターミナル254,284とされ、電源装置(図示しない)の出力端が電気的に接続されて、直流電圧が印加されている。各棒状電極部25,28の電極ターミナル254,284は、導線(図示しない)を介して電源装置に接続され、陽極電極22と陰極電極23間に印加する直流電圧は、例えば6〜15ボルトが好ましい。
【0031】
また、ケーシング11には、凹部11a内に配置された触媒電極2に原料水を供給するための原料水供給路111が形成されている。原料水供給路111は、ケーシング11の表面11Bを貫通して形成された原料水供給口112から下方に延在した後、凹部11a側に向けて延在した側断面視略L字状をなしている。原料水供給口112には、図1に示すようにケーシング11の表面11Bに突出する接続部113が取り付けられ、この接続部113に、原料水供給管(図示しない)が取り付けられるようになっている。さらに、原料水供給管には、例えば、図示しないが水が貯留されたタンクに接続された定吐出圧の小型ポンプや水道栓に連結されている。
また、ケーシング11には、触媒電極2によって生成されたオゾン水を排出するためのオゾン水排出路114が形成されている。オゾン水排出路114は、ケーシング11の表面11Bを貫通して形成されたオゾン水排出口115から下方に延在した後、凹部11a側に向けて延在した側断面視略L字状をなしている。オゾン水排出口115には、図1に示すように、ケーシング11の表面11Bに突出する接続部116が取り付けられ、この接続部116に、オゾン水排出管(図示しない)が取り付けられるようになっている。オゾン水排出管には、例えば図示しないが、ケーシング11内で生成された水素水を貯留するタンクに接続するためのポンプやノズル等に連結されている。
上記原料水供給口112は、ケーシング11の長手方向一端部側(図3(a)中、右側)に設けられ、オゾン水排出口115は、ケーシング11の長手方向他端部側(図3(a)中、左側)に設けられている。
また、オゾン水排出路114には、生成したオゾン水のオゾン濃度を検出する濃度検出センサ(濃度検出手段)117が設けられている。
【0032】
濃度検出センサ117は、検出電極(図示しない)と電位測定の基準となる比較電極(図示しない)、これら検出電極及び比較電極の一方の端部に結線して電位を測定する電位差計(図示しない)等から構成されている。検出電極及び比較電極は、ケーシング11の上面11A側からオゾン水排出路114内にねじ込まれたネジ118の先端に固定されており、これによって検出電極及び比較電極がオゾン水排出路114を流れるオゾン水に接触するようになっている。そして、オゾン水に接触することで、検出電極のオゾン濃度変化による検出電極と比較電極との電位差を検出して濃度を測定する。
検出電極としては、例えば白金や金等からなる電極を使用し、比較電極としては銀や塩化銀を使用することが好ましい。
このようにして検出されたオゾン濃度に基づいて、オゾン水生成装置100内の制御部(図示しない)が予め設定されたオゾン濃度と一致するように、電源装置に陽極電極22及び陰極電極23間に印加する電圧を制御している。
【0033】
また、ケーシング11の表面11Bには、凹部11aの周囲を囲むように略矩形状の溝部11bが形成されており、この溝部11b内にOリング119が嵌め込まれている。Oリング119によってケーシング11の表面11Bに、後述の外蓋13が設置された場合に、ケーシング11の表面11Bと外蓋13の裏面との間がシーリングされ、耐圧性及び水密性に優れたものとされる。
【0034】
外蓋13は、略矩形状をなした板状で、中蓋12の表面よりも大きく、ケーシング11の表面11Bよりも小さい。外蓋13の長手方向両側縁部(図3中、左右両側縁部)には、原料水供給口112及びオゾン水排出口115に取り付けられた接続部113及び接続部116の外周面の一部が係合する係合部131a,131bがそれぞれ形成されている。
また、外蓋13の略中央部には、中蓋12を押圧する押しネジNが、外蓋13の表面13Bから突出して取り付けられており、押しネジNの頭部をねじ込むことによって中蓋12を押圧し、中蓋12がケーシング11の凹部11aに収容された触媒電極2を押圧するようになっている。したがって、押しネジNの押圧力を調整することで、触媒電極2の圧接力を変化させることができる。また、押しネジNの頭部と中蓋12との間に、ピストン又はピポット124を介在させて、かつ、ピストン又はピポット124の周囲にクッション部材としてOリング123を介在させて押圧させることが好ましい。ピストン又はピポット124としては、例えば、図中に示すように、大きさの異なる二つの円柱部材が重ねられてなる形状のものが挙げられる。すなわち、Oリング123により水密を保持するとともに力学的に自動調芯の機能を有する点で好ましい。なお、陽イオン交換膜21自体に弾力があり、中蓋12を介して直接押圧しても所期の目的を達成することはできる。
【0035】
さらに、外蓋13の表面13Bの周縁部には、複数のボルトBが所定間隔で設けられ、外蓋13とケーシング11とを締結している。さらに、外蓋13及び中蓋12には、外蓋13及び中蓋12をそれぞれ貫通して凹部11a内の陰極電極23の格子状の電極271〜273に通じる陰極水排出路141及び陰極水供給路144が形成されている。陰極水排出路141は、外蓋13の表面13Bを貫通して形成された陰極水排出口142を有し、この陰極水排出口142には、外蓋13の表面13Bに突出して陰極水を外部に排出するためのパイプ143(図1参照)が取り付けられている。陰極水供給路144は、外蓋13の表面13Bを貫通して形成された陰極水供給口145を有し、この陰極水供給口145には、外蓋13の表面13Bに突出して陰極水を外部から供給するためのパイプ146(図1参照)が取り付けられている。なお、原料水供給路111は、陰極電極23及び陽極電極22に共通して原料水を供給することができるので、陰極水供給路144は、陽極電極22側と陰極電極23側とに分けて供給したい場合に使用することができる。
【0036】
以上のように構成されたオゾン水生成装置100は、使用時には、例えば図1に示すように、各電極ターミナル254,284が上方向(鉛直方向)を向くようにして配置される。このように各電極ターミナル254,284が上方向を向くように配置することにより、設置した際に薄型化でき、装置内部がコンパクトに配置できるので見栄えが良い。
【0037】
次に、上述の構成からなるオゾン水生成装置100を使用したオゾン水生成方法について説明する。
原料水供給路111を介して水をケーシング11内に供給して、陽極電極22の板状電極部24及び陰極電極23の板状電極部27に水を連続接触させる。このとき、陰極水供給路144を使用して陰極電極23側に水を連続接触させても良い。同時に電源装置を駆動させることによって、陽極電極22及び陰極電極23の各電極ターミナル254,284を介して陽極電極22と陰極電極23との間に所定の電圧を印加する。この通電により水が電気分解されて、陽極電極22側にはオゾン気泡が発生し、陰極電極23側には水素気泡が発生する。発生したオゾン気泡は水に溶解してオゾン水となり、オゾン水排出路114を通ってオゾン水排出管からケーシング11の外部へ排出される。一方、水素気泡は水に溶解して水素水となり、陰極水流路141を通ってパイプ143からケーシング11の外部に排出される。
【0038】
また、通電中に、同時に濃度検出センサ117によってオゾン水排出路114内のオゾン水濃度が測定され、制御部は、予め設定されたオゾン濃度となるように電源装置の出力を行うことによって、陽極電極22及び陰極電極23間の電圧が制御される。以上のようにして設定濃度のオゾン水が生成される。
【0039】
以上、本発明の実施の形態によれば、陽極電極22は、板状陽極部24と、板状電極部24の裏面に対して寝かせて接合した棒状電極部25とを備え、陰極電極23は、板状電極部26と、板状電極部27の表面に対して寝かせて接合した棒状電極部28とを備え、各棒状電極部25,28の先端部が、板状電極部24,26の平面方向へと延在してケーシング11の上面11Aに突出し、突出した先端部が各電極ターミナル254,284とされているので、従来のように陽極電極及び陰極電極の積層方向にそれぞれ表裏面に各電極ターミナルが突出している場合に比して、薄型化を図ることができる。
また、陽極電極22及び陰極電極23の各棒状電極部25,28は、それぞれの板状電極部24,26との接触部251,281が、棒状電極部25,28の中心軸に対して平行に切断されているので、接触部251,281の面積が大きくなり、棒状電極部25,28をそれぞれの板状電極部24,27に確実に固定することができる。
さらに、陽極電極22の陽イオン交換膜21とは反対側の面に、スタティックミキサー26が設けられているので、陽極電極22から発生したオゾン微泡が水に確実に溶解されて、オゾン水生成効率を向上させることができる。
ケーシング11の凹部11aの周囲を囲むようにしてケーシング11の表面11Bと外蓋13の裏面との間がOリング191によってシーリングされているので、ケーシング11と外蓋13との間の水密性が確保され、凹部11a内で発生したオゾン水等が外部に漏れるのを防止することができる。
また、陽極電極22及び陰極電極23の各棒状電極部25,28は、ケーシング11の上面11Aから外方に突出し、ケーシング11の上面11Aと各棒状電極部25,28との間がシーリングされているので、この点においても水密性が確保され、凹部11a内で発生したオゾン水等が外部に漏れるのを防止することができる。
ケーシング11と外蓋13とは、押しネジNによって押圧されて締結されているので、押しネジNによって押圧された押圧力が外蓋13及び中蓋12を介して触媒電極2への圧接力を容易に調整することができる。
ケーシング11には、凹部11aに通じ、生成されたオゾン水を排出するオゾン水排出路114が形成され、オゾン水排出路114内にオゾン水の濃度を検出する濃度検出センサ117が設けられているので、濃度検出センサ117によって設定した所定の濃度のオゾン水を生成することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、陽極電極22及び陰極電極23の各板状電極部24,27を構成する格子状の電極241〜243、271〜273は、それぞれ三枚ずつとしたが、これに限られるものではなく、その枚数は適宜変更可能である。具体的には、電極242及び電極272は必ずしも必要ではなく、省略しても良い。また、電極241及び電極271の代わりに、電極243及び電極273にそれぞれ白金等の触媒を被覆して使用しても良い。
さらに、陽イオン交換膜21は一枚としたが、二枚以上を重ねて使用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るオゾン水生成装置100の外観斜視図である。
【図2】オゾン水生成装置100の分解斜視図である。
【図3】(a)は、オゾン水生成装置100を図1の表面側から見た際の透視図、(b)は、切断線III(b)−III(b)に沿って切断した際の矢視断面図、(c)は、切断線III(c)−III(c)に沿って切断した際の矢視断面図である。
【図4】触媒電極2の分解斜視図である。
【図5】図4における要部拡大図である。
【図6】従来例のオゾン水生成装置500を示したものであり、(a)は、表面から見た際の透視図、(b)は、切断線VI−VIに沿って切断した際の矢視断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11 ケーシング
11a 凹部
11A 上面(外周面)
13 外蓋(蓋部)
21 陽イオン交換膜
22 陽極電極
23 陰極電極
24,27 板状電極部
25,28 棒状電極部
26 スタティックミキサー(攪拌手段)
100 オゾン水生成装置
114 オゾン水排出路
117 濃度検出センサ(濃度検出手段)
251,261 接触部
254,284 電極ターミナル
N 押しネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン交換膜の一方の面に陽極電極を圧接し、他方の面に陰極電極を圧接し、前記陽極電極及び前記陰極電極に水を供給するとともに前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成装置において、
前記陽極電極及び前記陰極電極は、それぞれ板状電極部と、各板状電極部の前記陽イオン交換膜と反対側の面に対して寝かせて接合した棒状電極部とを備え、
前記陽極電極の前記棒状電極部及び前記陰極電極の前記棒状電極部の先端部が、各板状電極部の平面方向へと延在し、延在した各棒状電極部の先端部が各電極ターミナルであることを特徴とするオゾン水生成装置。
【請求項2】
前記陽極電極及び前記陰極電極の各棒状電極部は、それぞれの板状電極部との接触部が棒状電極部の中心軸に対して平行に切断されていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水生成装置。
【請求項3】
凹部を有するケーシングの前記凹部内に、前記陽極電極及び前記陰極電極が収容され、
前記ケーシングに、前記凹部内に収容された前記陽極電極及び前記陰極電極を覆う蓋部が設けられ、
前記凹部の周囲を囲むようにして前記ケーシングと前記蓋部との間がシーリングされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオゾン水生成装置。
【請求項4】
前記陽極電極及び前記陰極電極の各棒状電極部は、前記ケーシングの外周面から外方に突出し、前記ケーシングの外周面と前記各棒状電極部との間がシーリングされていることを特徴とする請求項3に記載のオゾン水生成装置。
【請求項5】
前記陽極電極の前記陽イオン交換膜とは反対側の面に、攪拌手段が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のオゾン水生成装置。
【請求項6】
前記ケーシングと前記蓋部とは、押しネジによって押圧されて締結されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置。
【請求項7】
前記ケーシングには、前記凹部に通じ、生成されたオゾン水を排出するオゾン水排出路が形成され、
前記オゾン水排出路内に、オゾン水の濃度を検出する濃度検出手段が設けられていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置。
【請求項8】
前記陽極電極及び前記陰極電極の各電極ターミナルが鉛直方向を向くように配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−189968(P2008−189968A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24094(P2007−24094)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000226150)日科ミクロン株式会社 (29)
【出願人】(591145874)水青工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】