説明

オゾン滅菌装置

【課題】常時人が存在する空間に設置でき、オゾン濃度の上限管理を簡便に行うことができるオゾン滅菌装置を提供する。
【解決手段】オゾン滅菌装置1は、オゾンを生成するオゾン生成器を備えたオゾン発生装置2と、オゾン発生装置と信号・電源ケーブル4で連結されるオゾン濃度制御装置3と、を有し、オゾン濃度制御装置は、空気中のオゾン濃度を測定するためのオゾン濃度検出部14を備え、オゾン発生装置の起動の判断に用いるオゾン濃度の下限値および前記オゾン発生装置の停止の判断に用いるオゾン濃度の上限値がいずれも設定可能に形成され、オゾン濃度検出部が検出するオゾン濃度、設定された下限値および上限値を用いてオゾン生成器の起動および停止を行わせるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンを使用して室内環境の滅菌を行うオゾン滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年、秋から冬にかけて季節性のインフルエンザが流行する。また、近年、動物由来のウィルスが変異し新型のインフルエンザとして人に感染し、免疫を持たないために発病により危険な状態に陥る事態が起こりえることが深刻に懸念されている。
インフルエンザは、主に空気感染により拡大し、空気感染は、例えば病院等の待合室、レストラン、ホテルのロビーおよび図書館等の人が多く集まる閉鎖空間、人の出入りが激しい空間で生じやすい。
【0003】
空気中のウィルス等の滅菌は、消毒液の噴霧、塩素ガスの導入または紫外線の照射等が有効であるが、いずれの方法も、人が存在する空間に使用することはできない。これに対し、近年、空調装置(エアコン)にオゾン発生器を取り付け、空調しながらオゾンを室内の滅菌に利用する技術が多く見られる(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−79834号公報
【特許文献2】特開2003−294280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人が悪影響を受けない許容できるオゾンの濃度については、0.1ppm(100ppb)以下とする考え方が一般的であり、それ以上の濃度では、臭気が感じられ、呼吸器が刺激される。例示した特許文献1には、殺菌、脱臭等を行う付属するオゾン発生ユニットの駆動回路の故障により居住環境のオゾン濃度が上昇することを防止するために、オゾンの循環ファンとは別に室内の換気ファンの動作も制御する空調装置が開示されている。
【0006】
また、例示した特許文献2には、部屋に人が存在するか否かを人体センサーにより検知し、人が検知されたときに殺菌運転モードからリラクゼーションモードに切り換える空気調節装置が開示されている。
しかし、特許文献1に開示された技術は、室内換気扇の動作をも制御する大規模なものであり、簡便に滅菌対象空間に取り付け、または設置することができない。また、特許文献2に開示された技術は、人が存在しないときに滅菌を行うもので、人の出入りが激しく、常時人が存在する空間に適用することができない。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、常時人が存在する空間に設置でき、オゾン濃度の上限管理を簡便に行うことができるオゾン滅菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るオゾン滅菌装置は、オゾンを生成するオゾン生成器を備えたオゾン発生装置と、前記オゾン発生装置と信号・電源ケーブルで連結されるオゾン濃度制御装置と、を有し、前記オゾン濃度制御装置は、空気中のオゾン濃度を測定するためのオゾン濃度検出部を備え、前記オゾン発生装置の起動の判断に用いるオゾン濃度の下限値および前記オゾン発生装置の停止の判断に用いるオゾン濃度の上限値がいずれも設定可能に形成され、前記オゾン濃度検出部が検出するオゾン濃度、前記下限値および前記上限値を用いて前記オゾン生成器の起動および停止を行わせるように構成される。
【0009】
前記オゾン濃度制御装置は、前記下限値および前記上限値の複数の組合せの中から1つを選択する設定手段を有する。
好ましくは、前記設定手段に、ロータリースイッチが使用される。
好ましくは、前記オゾン濃度制御装置による前記オゾン生成器の起動時期が、前記オゾン生成器が停止した後の前記オゾン濃度検出部が検出するオゾン濃度の低下過程から算出したオゾンの分解に関する定数を用いて判断されるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、常時人が存在する空間に設置でき、オゾン濃度の上限管理を簡便に行うことができるオゾン滅菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1はオゾン滅菌装置の外観図である。
【図2】図2はオゾン濃度制御装置の正面図である。
【図3】図3はオゾン濃度制御装置の側面図である。
【図4】図4はオゾン滅菌装置の構成図である。
【図5】図5は扉が明け放れた部屋のオゾン濃度変化を示す図である。
【図6】図6はオゾン濃度制御装置によるオゾン発生装置の制御のフローチャートである。
【図7】図7は他の方法を用いたオゾン濃度制御装置によるオゾン発生装置の制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1はオゾン滅菌装置1の外観図、図2はオゾン濃度制御装置3の正面図、図3はオゾン濃度制御装置3の側面図、図4はオゾン滅菌装置1の構成図である。
オゾン滅菌装置1は、オゾン発生装置2およびオゾン濃度制御装置3で構成される。
オゾン発生装置2は、オゾン生成器、ファンおよび入力部12等が金属製のケースに収容されて形成される。オゾン生成器は、電極間で放電させ生ずるプラズマによりオゾンを生成させるオゾン発生体である。オゾン生成器として短波長紫外線を発するオゾンランプを使用してもよい。オゾン生成器には、公知の技術を利用することができる。
【0013】
ファンは、オゾン発生体に空気を送り込み、発生したオゾンが含まれる空気を、前面の吹き出し口13から室内に送り出すものである。また、ファンは、オゾン発生体の表面に空気を送ることによりオゾン発生体の過熱を防止する役割も果たす。
入力部12は、信号・電源ケーブル4を通じて送られるオゾン濃度制御装置3からの制御信号によってオゾン生成器およびファンへの電源の供給および停止を行う、デジタルリレー等で形成される。
【0014】
オゾン滅菌装置1には、上記の他に、信号・電源ケーブル4を通じてオゾン濃度制御装置3に送られる電源生成用の変圧器、整流器等を備える。オゾン滅菌装置1は、屋内の床に置かれたとき転倒せずに自立可能に製作され、また金具により壁に取り付け可能となっている。オゾン滅菌装置1は、信号・電源ケーブル4によりオゾン濃度制御装置3に接続される。信号・電源ケーブル4はオゾン滅菌装置1とコネクタにより着脱可能に連結され、同様にオゾン濃度制御装置3ともコネクタにより着脱可能に連結される。
【0015】
オゾン濃度制御装置3は、オゾン滅菌装置1が置かれた空間(部屋)のオゾン濃度に応じて、オゾン発生体の稼働およびファンの稼働を制御するためのものである。
オゾン濃度制御装置3は、直方体のケースに取り付けられまたは収容されたオゾン濃度検出部14、記憶部15、演算部16、ロータリースイッチ11、表示部17および出力部18からなる。
【0016】
オゾン濃度検出部14は、空気中のオゾンの濃度を検出する機能を有し、感ガス素子としてインジウム−スズ複合酸化物が用いられた半導体センサである。
記憶部15は、演算部16に行わせる動作を手順化したプログラム(バイナリーコード)、演算部16の動作の過程で生ずるデータ、および予め設定された制御値を記憶する。記憶部15には、半導体によるRAMが使用される。
【0017】
演算部16は、オゾン滅菌装置1全体の動作を制御するものであり、演算部16にはマイクロプロセッサ(MPU)が使用される。
ロータリースイッチ11は、10ステップのものが使用される。ロータリースイッチ11のそれぞれのステップには、オゾン発生装置2におけるオゾン生成器の稼働を制御する目安となるオゾン濃度の上下限値が割り当てられ、ステップの設定コード(H/L)に応じたオゾン濃度の上下限値が記憶部15に記憶される。表1に、ロータリースイッチ11の各ステップに割り当てられたオゾン濃度の上下限値を示す。
【0018】
【表1】

【0019】
ロータリースイッチ11は、ケースの内部に設けられ、通常はネジ19で閉じられている扉20を開き操作される。
表示部17は、オゾン濃度検出部14が検出した室内(空気中)のオゾン濃度の表示、およびロータリースイッチ11により選択されたオゾン濃度の上下限値の表示を行う。
出力部18は、演算部16の指示によりオゾン生成器およびファンの制御信号を信号・電源ケーブル4を通してオゾン発生装置2に送出する。
【0020】
オゾン濃度制御装置3は、上記の他、パイロットランプ21を備える。パイロットランプ21はその点灯、点滅により、オゾン発生装置2の稼働状況のほか、室内のオゾン濃度の情報、オゾン発生装置2への指示内容等を管理者等に知らせる。
オゾン滅菌装置1は、除菌する空間の構造を考慮して、オゾン発生装置2が、例えば送出するオゾン含有空気が空間全体に拡がるのに適した位置、または外部への放出を防ぐことができる扉から離れた位置等に設置される。また、オゾン濃度制御装置3は、空間全体のオゾン濃度を代表して検出できる位置、オゾン濃度の設定上限値が高い場合には人の鼻、口の高さと同じ高さにする等、設置場所および条件に応じた適切な位置に配される。
【0021】
オゾン滅菌装置1による室内空間の除菌(滅菌)処理は、通常、オゾン濃度検出部14が検出するオゾン濃度が、ロータリースイッチ11により設定された上限値と下限値の範囲に収まるように、オゾン濃度制御装置3がオゾン生成器の起動および停止を交互に繰り返すことにより行われる。ファンは、オゾン生成器の起動と同時に起動され、オゾン生成器が停止された場合には、オゾン生成器が停止した後に、演算部16の内部タイマーにより所定時間経過後に停止される。オゾン滅菌装置1は、殺菌目的だけではなく、脱臭目的にも使用される。
【0022】
オゾン滅菌装置1は、ロータリースイッチ11によって、オゾン濃度の管理(制御)における上限値および下限値に種々の値を設定できる。そのため、オゾン滅菌装置1は、例えば開業医院の待合室に設置する場合に、小児科、産婦人科等の抵抗力の弱い人が集まる場所ではオゾン濃度の上限値を低くし、例えば人の滞在時間が短くかつ脱臭等を行いたいトイレには、オゾンの上限値を高くする等、設置環境に応じた最適なオゾン濃度の管理を簡便に行うことができる。
【0023】
さて、オゾン滅菌装置1は、病院、医院等の待合室、レストラン、ホテルのロビーおよび図書館等の不特定多数が利用する空間以外にも、住居の居間等への利用が可能であるが、いずれの空間においても、人が出入りするために扉等が開け閉めされる。図5は扉が明け放れた部屋のオゾン濃度変化を示す図である。
図5における実線によるオゾン濃度変化は、容積が約45m3の部屋でオゾン発生器を停止させた直後から扉1箇所を開放して内部のオゾン濃度の変化を測定したものである。図5における一点鎖線は、オゾン発生器を停止させた直後に一度扉を開放し、その後に扉を閉め閉鎖空間としたときの部屋内部のオゾン濃度を測定したものである。実線および一点鎖線は、オゾン発生器を停止させた直後のオゾン濃度がそれぞれ10ppmおよび5ppmである。図5における破線は、初期オゾン濃度100ppb、半減期15分の場合の経時オゾン濃度変化を示すものである。図5における横軸および縦軸の各数値は、破線のためのものであり、実線および一点鎖線にはこれらの数値は適用されない。
【0024】
なお、オゾンの半減期は、湿度、温度および環境の材質等により変化し、図5における実線の試験条件が半減期15分であるとするものではない。
図5における一点鎖線から、閉鎖された実空間において測定されるオゾン濃度の減少は、単純な曲線とならずに若干の振動を有し、さらに扉が開かれると、その後しばらくオゾン濃度は大きく変動することが推測される。
【0025】
オゾン滅菌装置1は、図5の一点鎖線で示される変化から、実空間においてもその空間が閉鎖された状態であれば、オゾン生成器をオンオフ制御することにより、オゾン濃度検出部14で検出されるオゾン濃度が設定上限値および下限値の範囲に収めることができる。
しかし、実空間では扉の開閉が行われることが多く、外気の進入により一時的にオゾン濃度が大きく減少し、しばらく後に空間全体を代表するオゾン濃度に回復する場合には、単なるオンオフ制御では、このオゾン濃度の変化により頻繁にオゾン生成器の起動、停止が繰り返される。このようなオゾン生成器の起動、停止の繰り返しは、上限値と下限値の差が小さい場合には高い頻度で生じ易く、下限値を設定した意義を失わせる。また、オゾン発生器を起動させずにそのまま放置すればオゾン濃度が設定値の範囲に収まるものを、オゾン生成器を頻繁に稼働させることは、無駄な電力を消費することになる。
【0026】
オゾン滅菌装置1は、このようなオゾン生成器の頻繁な起動、停止を防止し、電力消費量を削減するために、オゾン発生装置2の稼働を次のように行わせる。
図6はオゾン濃度制御装置3によるオゾン発生装置2の制御のフローチャートである。
オゾン滅菌装置1は、オゾン発生装置2の電源スイッチ22を入れることにより起動される。オゾン発生装置2は、オゾン生成器およびファンが稼働を開始し、吹き出し口13から生成したオゾンを含む空気が室内に送り出される。同時に、オゾン濃度制御装置3のパイロットランプが点灯される。オゾン濃度検出部14は、オゾン滅菌装置1が設置された空間(部屋)のオゾン濃度を測定し、測定したオゾン濃度がロータリースイッチ11で設定された制御上限値に達したら、オゾン生成器を停止させる。この後、パイロットランプ21は、測定したオゾン濃度が制御上限値を超える間点滅され、オゾン濃度が制御上限値を下回ったときに消灯される。
【0027】
オゾン濃度制御装置3は、この後もファンの稼働を継続させ、オゾン生成器の停止後所定時間経過した後にファンを停止させる。
オゾン濃度制御装置3によるオゾン生成器およびファンの起動、オゾン濃度Csのサンプリング等の、オゾン濃度Csが上限値に達するまでの動作は、図6に記載されたS9〜S12の処理で行われる。
【0028】
オゾン濃度検出部14で検出されたオゾン濃度Csがオゾン濃度の上限値を超えると、オゾン濃度制御装置3は、演算部16が内部タイマーをリセットし(タイマー経過時間を0とする)、同時にオゾン濃度検出部14が検出するオゾン濃度を初期オゾン濃度Ciとして記憶する(S1)。オゾン濃度は、微少時間に複数サンプリングされるオゾン濃度の平均が採用される。以後のサンプリングされたオゾン濃度は、これと同様に複数の数値の平均である。
【0029】
オゾン滅菌装置1は、起動された後の一定時間内(S2でNO)では、オゾン発生装置2がオゾン濃度制御装置3の制御を受けずにオゾンを生成する。一定時間(設定時間)とは、通常5分が設定されるが、オゾン生成器および設置される空間の大きさ等により、5分以上または5分以下に設定される場合がある。
一定時間が経過すると(S2でYES)、オゾン濃度検出部14からサンプリングされるオゾン濃度データ(複数の平均値)を積算するカウンタNc、および仮半減期Tを積算する積算半減期Ts(メモリ)をリセット(Nc=0、Ts=0)する(S3)。
【0030】
このときから、一定時間間隔でオゾン濃度Csがサンプリングされる。サンプリングされたオゾン濃度Cs、そのときの経過時間Stおよび初期オゾン濃度Ciが、半減期の計算式(1)を変形した式(2)に当てはめてられ、仮半減期Tが算出される(S4)。
Cs=Ci×(1/2)St/T ・・・ (1)
T=St×Ln(1/2)÷Ln(Cs/Ci) ・・・ (2)
算出された仮半減期Tは積算半減期Tsに加算され(S4)、カウンタNc値とともに記憶部15に保存される(S5)。
【0031】
続いて、オゾン濃度Csがオゾン濃度の制御下限値と比較され(S6)、制御下限値よりも高い場合(S6でYES)には、オゾン生成器の停止状態が維持されて、次のオゾン濃度のサンプリング(S4)が行われる。オゾン濃度Csのサンプリング(S4)は、例えば5秒ごとに行われる。ここで、オゾン濃度Csと比較されるオゾン濃度の制御下限値とは、表1の「下限値」のいずれかの、ロータリースイッチ11で設定された値である。
【0032】
サンプリングされたオゾン濃度Csがオゾン濃度の制御下限値よりも低い場合(S6でNO)、記憶された積算半減期Tsとカウンタ値Ncとから仮半減期の平均値(「平均半減期Tav」という)が求められ、式(3)により仮オゾン濃度Cが算出される(S7)。
C=Ci×(1/2)St/Tav ・・・ (3)
算出された仮オゾン濃度Cはオゾン濃度の制御下限値と比較され(S8)、制御下限値よりも高い場合(S8でYES)には、オゾン生成器の停止状態が維持され、次のオゾン濃度のサンプリング(S4)が行われる。
【0033】
サンプリングされたオゾン濃度Csがオゾン濃度の制御下限値よりも低い場合(S8でNO)、オゾン濃度制御装置3は、オゾン生成器およびファンを起動させ(S9)、パイロットランプ21を点灯させる。
以後、オゾン生成器は、オゾン濃度検出部14が検出するオゾン濃度が制御上限値を超えるまで稼働する(S10,S11)。
【0034】
オゾン生成器の停止後のオゾン生成器の再起動の条件を上記のように定めることにより、オゾン生成器の頻繁な起動、停止の繰り返しを防止することができ、適切なオゾン濃度制御および消費電力の削減を実現することができる。
ところで、実際に空間のオゾン濃度の減少を測定した結果である図5の実線および一点鎖線からは、オゾンの分解速度はオゾン濃度によらず一定(直線的にオゾン濃度が減少)、つまり実環境では、オゾンの分解速度はオゾン濃度に関して0次であるとも考えられる。
【0035】
このことを利用し、オゾン濃度制御装置3によるオゾン発生装置2の制御は、上記した式(1)〜(3)に換えて以下に示す式(4)〜(6)を用いることができる。
Cs=−K×St+Ci ・・・ (4)
K=(Ci−Cs)÷St ・・・ (5)
C=−Kav×St+Ci ・・・ (6)
式(4),(6)において、Kは(反応)定数、KavはKの平均値である。
【0036】
式(4),(6)はオゾンの分解に関する0次の反応速度式であり、式(5)は式(4)を変形したものである。式(4)〜(6)を用いたオゾン濃度制御装置3によるオゾン発生装置2の制御のフローチャートを図7に示す。
式(4)〜(6)を用いるオゾン発生装置2の制御は、図6に示される制御における仮半減期Tに換えて仮(反応)定数Kを式(5)から算出し、図6に示される制御における積算半減期Tsに換えて積算(反応)定数Ksを記憶し、および仮オゾン濃度Cを式(6)により算出する点で、図6に示されるオゾン発生装置2の制御と異なる。
【0037】
図7に示されるオゾン発生装置2の制御は、式(4)〜(6)を用いる点を除き、図6に示されるものと同一である。また、式(4)〜(6)を用いるオゾン発生装置2の制御は、式(1)〜(3)を用いるオゾン発生装置2の制御と同様に、オゾン生成器の頻繁な起動、停止の繰り返しを防止することができ、適切なオゾン濃度制御および消費電力の削減を実現することができる。
【0038】
上述の実施形態において、オゾン滅菌装置1、およびオゾン滅菌装置1の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、オゾンを使用して室内環境の滅菌を行うオゾン滅菌装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 オゾン滅菌装置
2 オゾン発生装置
3 オゾン濃度制御装置
4 信号・電源ケーブル
11 ロータリースイッチ(設定手段)
14 オゾン濃度検出部
Kav 平均反応定数(オゾンの分解に関する定数)
Tav 仮半減期の平均(オゾンの分解に関する定数)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンを生成するオゾン生成器を備えたオゾン発生装置と、
前記オゾン発生装置と信号・電源ケーブルで連結されるオゾン濃度制御装置と、を有し、
前記オゾン濃度制御装置は、
空気中のオゾン濃度を測定するためのオゾン濃度検出部を備え、
前記オゾン発生装置の起動の判断に用いるオゾン濃度の下限値および前記オゾン発生装置の停止の判断に用いるオゾン濃度の上限値がいずれも設定可能に形成され、
前記オゾン濃度検出部が検出するオゾン濃度、前記下限値および前記上限値を用いて前記オゾン生成器の起動および停止を行わせるように構成された
ことを特徴とするオゾン滅菌装置。
【請求項2】
前記オゾン濃度制御装置は、
前記下限値および前記上限値の複数の組合せの中から1つを選択する設定手段を有する
請求項1に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項3】
前記設定手段は、ロータリースイッチである
請求項2に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項4】
前記オゾン濃度制御装置による前記オゾン生成器の起動時期が、
前記オゾン生成器が停止した後の前記オゾン濃度検出部が検出するオゾン濃度の低下過程から算出したオゾンの分解に関する定数を用いて判断されるように構成された
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたオゾン滅菌装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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