説明

オゾン発生装置

【課題】高電圧発生回路の誤動作を未然に防止できるオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】オゾン発生装置では、低濃度オゾンを発生させる場合、高電圧発生回路は1.7秒間動作するように制御される。そこで、高電圧制御回路のCPUでは、高電圧発生回路が動作を開始してから2秒経過したか否かが判断される(S46)。さらに、2秒経過した場合(S46:YES)、コントローラからの制御信号が、オゾン発生の停止を指示するオフを指示するものであるか否かが確認される(S47)。そして、制御信号の信号パターンを構成する信号全てがオフでなければ(S48:NO)、高電圧発生回路の誤動作を生じる恐れがある。そこで、異常信号をPWM変換回路に出力(S49)して、誤動作している高電圧発生回路を停止させることで、高電圧発生回路の誤動作を未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生装置に関し、詳細には濃縮酸素を原料としてオゾンを発生するオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大気中の酸素を原料にしてオゾンを生成するオゾン発生装置が知られている。このオゾン発生装置は、一対の電極間に誘電体(ガラス、又はセラミックなど)が挟まれたオゾン発生電極を内蔵するオゾン発生器と、前記オゾン発生電極に印加する高電圧を発生する高電圧発生回路とを備えている。このオゾン発生装置では、オゾン発生器内に原料ガス(濃縮酸素)が供給され、高電圧発生回路によりオゾン発生電極に高電圧が印加されることによってオゾンが発生する。
【0003】
このようなオゾン発生装置から発生されるオゾンは、濃度によって殺菌能力が異なる。よって、利用分野によっては要求されるオゾン濃度が異なる。そこで、例えば、高圧電源部(高電圧発生回路)の出力を所定の目標値に制御することで、オゾン発生量を所定の目標値に制御する出力制御手段(コントローラ)を備えたオゾン発生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このオゾン発生装置では、出力制御手段から高圧電源部に制御信号が出力され、該制御信号に基づいて、高圧電源部が一対の放電電極(オゾン発生電極)に所定の電圧を印加することによって、オゾン発生量が調整されるようになっている。
【0004】
また、最近では、高電圧発生回路にマイコン(高電圧制御回路)が設けられ、該マイコンがコントローラから出力された制御信号を受信して、オゾン発生電極に印加する交流高電圧のduty比及び周波数を決定するオゾン発生装置も知られている。このタイプのオゾン発生装置では、マイコンとコントローラとの間が複数の入力信号線で接続され、コントローラから各入力信号線を介して出力された制御信号のオンオフ信号で構成された信号パターンをマイコンが認識する。さらに、制御信号のオンオフ信号の配列で構成される複数の信号パターンには、オゾン発生電極に印加する交流高電圧のduty比及び周波数がそれぞれ設定されている。そして、それら信号パターンをマイコンが認識することで、所定のduty比及び周波数に相当する交流高電圧を発生するように、高電圧発生回路の動作が制御されるようになっている。
【特許文献1】特開平11−349302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のオゾン発生装置では、コントローラが故障した場合、誤った制御信号が高電圧発生回路に出力されてしまい、高電圧発生回路の誤動作を引き起こす恐れがあるという問題点があった。また、高電圧発生回路にマイコンを備えた後者のようなオゾン発生装置でも、誤った制御信号が高電圧発生回路のマイコンに出力されてしまい、高電圧発生回路の誤動作を引き起こす恐れがあるという問題点があった。さらに、高電圧発生回路のマイコンが、コントローラから出力された信号パターンを誤認識した場合でも、同様な誤動作を引き起こす恐れがあるという問題点があった。このような高電圧発生回路の誤動作を引き起こした場合、例えば、オゾン発生装置のオゾン発生時間以外でもオゾンが発生されたり、また、低濃度のオゾンを発生させたい場合に、高濃度のオゾンが発生されてしまう等の恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、高電圧発生回路の誤動作を未然に防止できるオゾン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係るオゾン発生装置は、オゾン発生電極と、当該オゾン発生電極に電圧を印加する電圧印加手段と、当該電圧印加手段を制御する制御手段とを備え、当該制御手段から出力される制御信号のオンオフに基づいて、前記電圧印加手段を所定時間動作させるオゾン発生装置であって、前記電圧印加手段は、前記電圧印加手段が所定時間動作した後に、前記制御信号を検知する第1の検知手段と、当該第1の検知手段によって検知された前記制御信号のオンオフを判断する信号判断手段と、当該信号判断手段によって前記制御信号がオンと判断され、前記電圧印加手段が動作している場合に、前記電圧印加手段の動作を停止させる異常停止手段とを備えている。
【0008】
また、請求項2に係るオゾン発生装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記制御信号は、複数のオンオフ信号の組合せからなる信号パターンで構成され、当該信号パターンの種類に対応して、前記電圧印加手段の動作時間が各々設定され、前記電圧印加手段が前記動作時間だけ動作することによって、前記オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が調節され、前記異常停止手段は、前記信号判断手段によって、前記制御信号の信号パターンを構成する信号の少なくとも1つがオンと判断された場合、前記電圧印加手段の動作を停止させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係るオゾン発生装置によれば、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記制御手段は、前記オゾン発生電極に所定量以上のオゾンを発生させる場合に、前記電圧印加手段の動作開始直後に、前記制御信号を確認させるためのチェック時間を設定するチェック時間設定手段を備え、前記電圧印加手段は、前記電圧印加手段の動作開始前に、前記制御信号を検知する第2の検知手段と、当該第2の検知手段によって検知された前記制御信号に基づき、前記オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が、前記所定量以上か否かを判断するオゾン発生量判断手段と、当該オゾン発生量判断手段の判断に基づいて、前記第1の検知手段の検知タイミングを調整する検知タイミング調整手段とを備え、前記チェック時間は、前記電圧印加手段を動作させる第1のチェック時間と、当該第1のチェック時間後に動作を停止させる第2のチェック時間とで構成され、前記オゾン発生量判断手段が、前記オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が前記所定量以上と判断した場合、前記検知タイミング調整手段は、前記第1の検知手段の前記検知タイミングを、前記第2のチェック時間内における第1の検知タイミングと、前記電圧印加手段が前記動作時間動作した後の第2の検知タイミングとに調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るオゾン発生装置によれば、電圧印加手段では、第1の検知手段が、電圧印加手段が所定時間動作した後に制御信号を検知する。そして、信号判断手段がその制御信号のオンオフを判断する。ここで、通常であれば、電圧印加手段が所定時間動作した後であるので、正常であれば制御信号はオフであり、電圧印加手段は停止しているはずである。しかし、信号判断手段によってオンと判断された場合、電圧印加手段が誤って動作する恐れがあるので異常である。この場合、異常停止手段によって、電圧印加手段の動作が緊急停止されるので、誤ってオゾンが発生され続けてしまうような不具合を防止できる。
【0011】
また、請求項2に係るオゾン発生装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、信号判断手段によって、第1の検知手段によって検知された制御信号の信号パターンを構成する信号のオンオフを判断することができる。そして、信号判断手段によって、信号パターンを構成する信号の少なくとも1つがオンと判断された場合、電圧印加手段が誤って動作する恐れがあるので異常である。この場合、異常停止手段によって、電圧印加手段の動作が緊急停止されるので、オゾン発生量を調整できるオゾン発生装置においても、誤ってオゾンが発生され続けてしまうような不具合を防止できる。
【0012】
また、請求項3に係るオゾン発生装置によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、オゾン発生電極に所定量以上のオゾンを発生させる場合、このオゾン発生装置からは、殺菌性の高い高濃度オゾンが生成されることになる。この場合、制御手段では、チェック時間設定手段が、電圧印加手段の動作開始直後にチェック時間を設定する。チェック時間では、第1のチェック時間で電圧印加手段を動作させ、第2のチェック時間で電圧印加手段を停止させる。そして、チェック時間終了後は、残りの動作時間だけ、電圧印加手段を動作させる。一方、電圧印加手段では、オゾン発生量判断手段は、第2の検知手段によって検知された制御信号の信号パターンに基づいて、オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が所定量以上か否かを判断できる。そして、オゾン発生量判断手段が、オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が所定量以上と判断した場合、チェック時間が設定されていると予測できる。そこで、検知タイミング調整手段は、第1の検知手段の検知タイミングを調整する。まず、第2のチェック時間内に第1の検知タイミングを設定する。次いで、電圧印加手段が動作時間動作した後に、第2の検知タイミングを設定する。このように、高濃度オゾンを生成する場合は、第1の検知手段に制御信号を複数回にわたって検知させることにより、電圧印加手段が誤って動作するのを確実に防止できる。また、チェック時間中に制御信号を確認するので、電圧印加手段の動作開始後の早期段階で異常を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態であるオゾン発生装置1について、図面に基づいて説明する。図1は、オゾン発生装置1の構成を示したブロック図であり、図2は、オゾン発生装置1の電気的構成を示した構成図であり、図3は、オゾン濃度と信号パターンとの対応を示した説明図であり、図4は、ROM20bの記憶エリアを示す概念図であり、図5、RAM20cの記憶エリアを示す概念図であり、図6は、コントローラ10のCPU10aの制御動作を示すフローチャートであり、図7は、高電圧制御回路20のCPU20aの制御信号確認処理の制御動作を示すフローチャートであり、図8は、高電圧発生回路9の動作(低濃度オゾン発生時)を示すタイミングチャートであり、図9は、高電圧発生回路9の動作(高濃度オゾン発生時)を示すタイミングチャートである。
【0014】
なお、本実施形態のオゾン発生装置1は、図1,図2に示すように、オゾン発生電極4に高電圧を印加する高電圧発生回路9を備え、該高電圧発生回路9に設けられた高電圧制御回路20(図2参照)が、コントローラ10からの制御信号を所定のタイミングで検知して監視することにより、高電圧発生回路9の誤動作を確実に防止できる点に本発明の特徴を備えている。
【0015】
はじめに、本実施形態であるオゾン発生装置1の概略構成について説明する。図1に示すように、オゾン発生装置1は、空気を原料にして濃縮酸素を生成する酸素濃縮装置2と、当該酸素濃縮装置2の下流側に接続され、オゾン発生電極4を内部に備えると共に、酸素濃縮装置2で生成された濃縮酸素を原料としてオゾンを発生するオゾン発生器3と、当該オゾン発生器3に接続され、高電圧をオゾン発生電極4に印加する高電圧発生回路9と、当該高電圧発生回路9に保護ヒューズ7を介して接続された交流電源5と、酸素濃縮装置2及び高電圧発生回路9に接続されたコントローラ10と、当該コントローラ10に接続された運転スイッチパネル12とを主体に構成されている。
【0016】
なお、運転スイッチパネル12には、電源のオンオフを指示する電源スイッチ(図示外)、オゾン発生装置1の運転を指示する運転スイッチ(図示外)、低濃度オゾン及び高濃度オゾンの何れかを選択できる選択スイッチ(図示外)等が設けられている。
【0017】
次に、酸素濃縮装置2について説明する。図1に示す酸素濃縮装置2は、PSA方式(圧力変動吸着方式)の一般的な酸素濃縮装置である。このPSA方式の酸素濃縮装置は、吸着筒に充填された吸着剤に窒素ガスを吸着させ、吸着筒内の圧力を変動させることにより、吸着された窒素ガスを脱着して濃縮酸素を繰り返し生成することができる。そして、オゾン発生装置1に組み込まれた酸素濃縮装置2は、このようなPSA方式の特性を利用することにより、94〜96%濃度の濃縮酸素を生成することができる。なお、酸素濃縮装置2の濃縮酸素生成方式はPSA方式に限定されず、例えば、TSA(Thermal Swing Adsorption)方式でもよく、これ以外の方式でもよい。
【0018】
次に、オゾン発生器3について説明する。図1に示すオゾン発生器3は、筐体(図示外)の内側に、濃縮酸素を原料にしてオゾンを発生するオゾン発生電極4を備えている。そして、その筐体には、酸素濃縮装置2から濃縮酸素が供給される供給口(図示外)と、オゾン発生電極4で生成されたオゾンを外部に放出するための放出口(図示外)とが各々設けられている。
【0019】
また、オゾン発生電極4の構造は、図示しないが、所定の厚みを有する板状の第1誘電体基板、当該第1誘電体基板の上面に形成された誘導電極、当該誘導電極を埋設するように、第1誘電体基板の上面に貼り合わされ、第1誘電体基板よりも薄く形成された板状の第2誘電体基板、当該第2誘電体基板の上面に形成された放電電極、当該放電電極の表面を保護するために、ペースト状に覆設された絶縁性保護層などから構成され、各部材が順に積層された状態となっている。なお、このオゾン発生電極4は、沿面放電型のオゾン発生電極であるが、これに限定されない。
【0020】
次に、オゾン発生器3におけるオゾン生成原理について説明する。図1に示すように、まず、オゾン発生器3に、酸素濃縮装置2によって生成された濃縮酸素が、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4に供給される。そして、高電圧発生回路9によって、オゾン発生電極4を構成する放電電極と誘導電極とに高電圧が印加される。すると、放電電極の周囲に沿って沿面放電が発生し、オゾン発生電極の周囲の空間に存在する濃縮酸素中に電子が放出される。そして、濃縮酸素中に存在する安定した酸素分子(O)に、放出された電子が衝突することにより、1つの酸素分子(O)が2つの酸素原子(O)に各々解離する。そして、解離して生成された各酸素原子(O)が、酸素雰囲気中の他の酸素分子(O)と結合することによりオゾン(O)が生成する。
【0021】
次に、高電圧発生回路9について説明する。図1に示すように、高電圧発生回路9は、交流電源5に、保護ヒューズ7を介して接続されている。そして、交流電源5からは、AC100Vの交流が供給されるが、オゾン発生器3のオゾン発生電極4にオゾンを発生させるのに必要な高電圧は、例えば6kVp−pである。そのため、高電圧発生回路9によって、交流電源5から供給される交流電圧100Vを、6kVp−pまでに昇圧する。なお、後述するが、図2に示すように、この高電圧発生回路9は、PWM変換回路22、FET駆動回路23、整流用シリコンダイオードブリッジ15、電解コンデンサ16、トランス18及びスイッチング用FET(電界効果トランジスタ)19、高電圧制御回路20によって構成されている。なお、図1,図2に示す高電圧発生回路9が、「電圧印加手段」に相当する。
【0022】
次に、コントローラ10について説明する。図2に示すように、コントローラ10は、中央演算処理装置としてのCPU10aを中心に相互に接続されたROM10b、RAM10c及びI/Oインタフェイス10dを備えている。そして、RAM10cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出し・書き込み可能なメモリであり、ROM10bは内蔵されている各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリである。
【0023】
また、I/Oインタフェイス10dには、6本の入力信号線30、及び2本の出力信号線40の各一端側が接続されている。そして、それら各信号線の反対側の各他端側は、後述する高電圧制御回路20のI/Oインタフェイス20dに接続されている。なお、入力信号線30は、CPU10aから高電圧制御回路20のCPU20aに向かって制御信号を出力するための信号線である。一方、出力信号線40は、高電圧制御回路20のCPU20aからCPU10aに向かって各種信号を出力するための信号線である。これら信号線により、コントローラ10と高電圧制御回路20との間が電気的に接続され、制御信号や、異常信号等の各種信号の入出力が行われる。
【0024】
さらに、I/Oインタフェイス10dには、運転スイッチパネル12が電気的に接続されている。これにより、運転スイッチパネル12の操作(例えば、電源のオンオフ、オゾン発生装置1の運転のオンオフ、低濃度オゾン及び高濃度オゾンの選択等)にかかる指示信号は、CPU10aに入力される。また、I/Oインタフェイス10dには、酸素濃縮装置2が電気的に接続され、CPU10aからの制御信号が出力される。なお、図1,図2に示すコントローラ10が、「制御手段」に相当する。
【0025】
次に、高電圧発生回路9の電気的構成について説明する。図2に示すように、交流電源5(例えば、100V)には、保護ヒューズ7を介して整流用シリコンダイオードブリッジ15が接続されている。そして、その整流用シリコンダイオードブリッジ15のプラス出力側にはアースに接続された電解コンデンサ16と、トランス18とが各々接続されている。これにより、平滑化された電圧がトランス18に印加される。また、そのトランス18にはスイッチング用FET19のドレイン側が接続され、そのソース側はアースに接続され、ゲート側には、FET駆動回路23の出力側が接続されている。またFET駆動回路23にはPWM変換回路22が接続され、該PWM変換回路22には、高電圧制御回路20が接続されている。
【0026】
次に、高電圧発生回路9における高電圧の発生原理について概略的に説明する。図2に示すように、まず、コントローラ10から、6本の入力信号線30を介して、高電圧発生回路9に制御信号が出力される。すると、高電圧制御回路20では、その制御信号に基づき、オゾン発生電極4に印加する高電圧のduty比、周波数等のPWM制御条件を決定する。次いで、高電圧制御回路20からPWM変換回路22に向かって、前記制御条件にかかる運転信号が出力される。さらに、PWM変換回路22では、入力された運転信号がPWM制御信号に変換され、FET駆動回路23に出力される。次いで、そのPWM制御信号に基づいて、FET駆動回路23からスイッチング用FET19に向かって電流が供給される。さらに、このスイッチング用FET19のスイッチング作用によって、トランス18の一次側に断続的に電流が流れる。これにより、トランス18の2次側に接続されたオゾン発生器3のオゾン発生電極4に高電圧(例えば、6kVp−p)が印加される。こうして、オゾン発生電極4にオゾンが発生し、オゾン発生器3の放出口からオゾンが放出される。
【0027】
なお、本実施形態では、オゾン発生電極4に印加する高電圧の周波数及びduty比は全て一定に設定され、オゾン発生電極4に印加される高電圧の印加時間が調整される。これにより、オゾン発生電極4から発生するオゾン発生量が調整される。即ち、オゾン発生量が調整されることから、結果的にオゾン濃度が調整される。また、オゾン発生装置1では、オゾン濃度は、低濃度(オゾン発生量が所定量未満)と高濃度(オゾン発生量が所定量以上)の2種類が設定されている。そして、低濃度オゾンを発生させる場合は、高電圧の印加時間は1.7秒、高濃度オゾンを発生させる場合は、高電圧の印加時間は15分に設定される。なお、この印加時間の調整は、コントローラ10によって行われている。
【0028】
次に、高電圧制御回路20について説明する。図2に示すように、高電圧制御回路20は、中央演算処理装置としてのCPU20aを中心に相互に接続されたROM20b、RAM20c及びI/Oインタフェイス20dを備えている。そして、RAM20cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出し・書き込み可能なメモリであり、ROM20bは内蔵されている各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリである。なお、CPU20aには図示外のタイマが接続されている。
【0029】
また、I/Oインタフェイス20dには、PWM変換回路22が電気的に接続され、さらに、6本の前記入力信号線30及び2本の出力信号線40の各他端側が接続されている。この構成により、コントローラ10のCPU10aからの制御信号がCPU20aに入力され、該制御信号に基づいて、PWM制御条件が決定される。さらに、その決定された制御条件に基づいて、CPU20aからPWM変換回路22に運転信号が出力される。また、CPU20aは、出力信号線40を介すことによって、コントローラ10のCPU10aに対してエラー等の異常信号を出力することもできる。
【0030】
次に、6本の入力信号線30を介して出力される制御信号について説明する。図2に示す6本の入力信号線30を介して高電圧制御回路20に出力される制御信号は、オンオフ信号である。よって、高電圧制御回路20のCPU20aには、6つのオンオフ信号が同時に入力される。これにより、CPU20aに入力された制御信号は、6つのオンオフ信号の組合せ(配列)からなる1つの信号パターンとして構成されている。
【0031】
ここで、信号パターンについて説明する。図3に示すように、本実施形態では、信号1から信号6までのオンオフ信号の配列により、3種類の信号パターンが設定されている。この3種類の信号パターンは、低濃度オゾンの発生を示す信号パターン、高濃度オゾンの発生を示す信号パターン、オゾン発生の停止を示す信号パターンで構成されている。例えば、低濃度オゾンの発生を示す信号パターンは、信号1から信号6に向かって「オン」、「オフ」、「オフ」、「オフ」、「オン」、「オフ」である。また、高濃度オゾンの発生を示す信号パターンは、信号1から信号6に向かって「オフ」、「オン」、「オン」、「オン」、「オン」、「オフ」である。さらに、オゾン発生の停止を示す信号パターンは、信号1から信号6までの全てが「オフ」である。
【0032】
このように、高電圧制御回路20のCPU20aは、コントローラ10からの制御信号を、これら3種類の信号パターンに照らし合わせて判断することで、オゾン発生器3において、低濃度オゾンを発生するか、高濃度オゾンを発生するか、又はオゾン発生を停止するかの判断ができる。なお、本実施形態では、説明の便宜上、信号パターンを3種類だけ設定したが、さらに複数の信号パターンを設けてもよいことは言うまでもない。
【0033】
次に、ROM20bの各記憶エリアについて説明する。図4に示すように、ROM20bには、CPU20aが実行するプログラムを記憶したプログラム記憶エリア201、制御信号の信号パターンと、それに対応したオゾン濃度(高濃度オゾン、低濃度オゾン)との関係を示したオゾン濃度テーブルを記憶するオゾン濃度テーブル記憶エリア202等の各記憶エリアが設けられている。
【0034】
次に、RAM20cの各記憶エリアについて説明する。図5に示すように、RAM20cには、6本の入力信号線30から出力された信号1から信号6までのオンオフの状態を示す6つの信号線フラグを記憶する信号線フラグ記憶エリア221、後述する検知タイミング設定処理で設定された制御信号の検知時間を記憶する検知時間設定記憶エリア222等が設けられている。
【0035】
まず、信号線フラグ記憶エリア221について説明する。この信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から6までに対応する信号線フラグが各々設定され、例えば、入力信号線30の信号1が「オン」と判断された場合には、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に記憶された信号1に対応したフラグに「1」が記憶されて「オン」とされる。また、信号2が「オフ」と判断された場合には、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に記憶された信号2に対応したフラグに「0」が記憶されて「オフ」とされる。なお、信号3から6の場合も同様である。これにより、例えば、低濃度オゾンを発生する制御信号が出力された場合、信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から信号6に向かって「1」、「0」、「0」、「0」、「1」、「0」が設定される。
【0036】
次に、検知時間設定記憶エリア222について説明する。この検知時間設定記憶エリア222には、後述する検知タイミング設定処理(図7:S33,S43)で設定された制御信号の検知時間が記憶される。そして、高電圧制御回路20のCPU20aで行われる検知タイミング設定処理において、低濃度オゾン発生指示の場合は、高電圧発生回路9の動作開始から2秒後に制御信号を確認するように設定される。さらに、高濃度オゾン発生指令の場合は、高電圧発生回路9の動作開始から2秒後と16分後の2回の検知タイミングで、制御信号を確認するように設定される。そして、これらの検知時間が、検知時間設定記憶エリア222に記憶される。
【0037】
次に、コントローラ10によるオゾン発生装置1のメインの制御動作について、図6のフローチャートと、図8及び図9に示すタイミングチャートに基づいて説明する。図6に示すように、まず、運転スイッチパネル12の電源スイッチ(図示外)がオンされると、初期設定がなされる(S10)。次いで、運転スイッチ(図示外)がオンされたか否かが判断される(S11:YES)。ここで、運転スイッチがオンされない間は(S11:NO)、S11に戻って、判断が繰り返される。
【0038】
そして、運転スイッチがオンされたと判断された場合は(S11:YES)、酸素濃縮装置2の運転が開始される(S12)。ここでは、酸素濃縮装置2に内蔵されたポンプを駆動させることで、吸着筒内(図示外)で濃縮酸素が生成され、オゾン発生器3内のオゾン発生電極4に濃縮酸素が供給される。
【0039】
さらに、運転スイッチパネル12の選択スイッチ(図示外)の操作により、高濃度オゾンの発生指示があったか否かが判断される(S13)。そして、低濃度オゾンの発生指示であった場合(S13:NO)、高電圧発生回路9が動作を開始して、低濃度オゾン発生運転がなされる(S19)。
【0040】
ここで、S19の低濃度オゾン発生運転について説明する。図8に示すように、まず、図8に示すt1タイミングで、低濃度オゾンの発生を示す制御信号が高電圧制御回路20に向かって出力される。すると、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から信号6に向かって「1」、「0」、「0」、「0」、「1」、「0」が設定される。そして、本実施形態では、高電圧のduty比及び周波数は全て同じであるので、PWM変換回路22に運転信号が出力され、高電圧発生回路9が動作を開始する。さらに、上記した高電圧の発生原理に基づき、高電圧発生回路9で高電圧が発生され、オゾン発生電極4に高電圧が印加される。よって、オゾン発生器3内にオゾンが発生される。
【0041】
次いで、t1タイミングから1.7秒後のt2タイミングで、オゾン発生停止の制御信号が、高電圧制御回路20のCPU20aに向かって出力される。すると、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から信号6に向かって「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」が設定される。そして、PWM変換回路22に停止信号が出力され、高電圧発生回路9の動作が停止する。これにより、オゾン発生電極4に高電圧が印加されないため、オゾン発生が停止する。
【0042】
そして、この一連の動作は、所定時間毎に繰り返される。よって、引き続きt4タイミングで、低濃度オゾンの発生を示す制御信号が、高電圧制御回路20に向かって出力される。さらに、t4タイミングから1.7秒後のt5タイミングで、オゾン発生停止の制御信号が高電圧制御回路20のCPU20aに向かって出力される。このように、運転スイッチがオンされている間は、オゾン発生器3の放出口からオゾンが供給される。また、この低濃度オゾン発生運転では、後述する高濃度オゾン発生運転に比べ、高電圧発生回路9の動作時間が短い。そのため、オゾン発生電極4から発生するオゾン発生量は少なめとなり、結果的に低濃度オゾンが生成される。
【0043】
次に、運転スイッチがオフされたか否かが判断される(S20)。そして、運転スイッチがオフされるまでは(S20:NO)、S19に戻り、低濃度オゾン発生運転が継続される。そして、運転スイッチがオフされたと判断された場合は(S20:YES)、オゾン発生停止の制御信号が、高電圧制御回路20のCPU20aに向かって出力され、オゾン発生運転が停止され(S17)、さらに、酸素濃縮装置2が停止される(S18)。その後は、S11に戻り、処理が繰り返される。
【0044】
一方、運転スイッチパネル12の選択スイッチの操作により、高濃度オゾンの発生指示があった場合(S13:YES)、まず、チェック時間設定処理がなされる(S14)。このチェック時間とは、殺菌性の高い高濃度オゾンを発生させる場合に、コントローラ10からの制御信号が正常であるか否かのチェックを、オゾン発生開始直後の早期段階で、高電圧制御回路20のCPU20aにさせるための時間である。そして、チェック時間は、高電圧を発生して、オゾン発生電極4に高電圧を印加する第1のチェック時間と、当該第1のチェック時間後に、高電圧の発生を一時的に停止させる第2のチェック時間とで構成されている。なお、本実施形態では、チェック時間は5秒間に設定され、第1のチェック時間は1秒間、第2のチェック時間は4秒間に設定されている。さらに、チェック時間の設定及び解除は、コントローラ10のRAM10cに記憶される。そして、このチェック時間設定処理(S14)が終了したら、続いて、高濃度オゾン発生運転がなされる(S15)。
【0045】
次に、S15の高濃度オゾン発生運転について説明する。図9に示すように、高濃度オゾン発生運転は、p1からp5までの15分間が設定されるが、S14のチェック時間設定処理によってチェック時間が設定されているので、高電圧発生回路9が動作を開始するp1タイミングからp4タイミングまでの5秒間は、チェック運転がなされる。
【0046】
チェック運転では、まず、p1タイミングで、高濃度オゾンの発生を示す制御信号が、高電圧制御回路20に向かって出力される。この時、高電圧制御回路20のRAM20cの信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から信号6に向かって「1」、「0」、「0」、「0」、「0」、「1」が設定される。すると、高電圧発生回路9の動作が開始され、オゾン発生電極4に高電圧が印加され、オゾン発生器3の放出口からオゾンが供給される。次いで、p1タイミングから1秒後のp2タイミングで、オゾン発生停止を示す制御信号が、高電圧制御回路20のCPU20aに向かって出力される。この時、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から信号6に向かって「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」が設定される。すると、高電圧発生回路9の動作が停止され、オゾン発生電極4に高電圧が印加されないので、オゾンの発生が停止する。さらに、p2タイミングから4秒後のp4タイミングで、再度、高濃度オゾンの発生を示す制御信号が、高電圧制御回路20に向かって出力される。この時、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221には、信号1から信号6に向かって「1」、「0」、「0」、「0」、「0」、「1」が設定される。よって、高濃度オゾン発生運転が再び開始される。
【0047】
このようにチェック運転では、高電圧発生回路9を、第1のチェック時間(1秒間)だけ動作させ、その後に第2のチェック時間(4秒間)だけ停止させる。そして、本実施形態では、この第2のチェック時間内での制御信号が、オゾン発生停止を示すものであることを、高電圧制御回路20のCPU20aに確認させることで、コントローラ10の制御信号が正常か否かを判断できる。なお、この高電圧制御回路20のCPU20aによる制御信号確認処理(図7参照)については後述する。
【0048】
そして、p4タイミングでチェック運転終了後、残りの895秒間は、高電圧発生回路9が動作するので、オゾン発生器3の放出口からオゾンが供給される。そして、この一連の動作は、所定時間毎に繰り返される。また、この高濃度オゾン発生運転では、低濃度オゾン発生運転に比べ、高電圧発生回路9の動作時間が長い。そのため、オゾン発生電極4から発生するオゾン発生量は多めとなり、結果的に高濃度オゾンが生成される。
【0049】
次いで、運転スイッチがオフされたか否かが判断される(S16)。そして、運転スイッチがオフされるまでは(S16:NO)、S15に戻り、高濃度オゾン発生運転が継続される。そして、運転スイッチがオフされたと判断された場合は(S16:YES)、オゾン発生停止の制御信号が、高電圧制御回路20のCPU20aに向かって出力される。すると、高電圧発生回路9の動作が停止されるので、オゾン発生運転が停止される(S17)。なお、これと同時に、S14のチェック時間設定処理で設定されたチェック時間はリセットされ、RAM10cに記憶される。そして、酸素濃縮装置2が停止され(S18)、S11に戻り、処理が繰り返される。なお、高電圧発生回路9を停止させる前に、酸素濃縮装置2を停止させてもよい。
【0050】
次に、高電圧制御回路20による制御信号確認処理について、図7に示すフローチャートと、図8及び図9に示すタイミングチャートを参照して説明する。図7に示すように、まず、コントローラ10のCPU10aから制御信号を受信したか否かが判断される(S30)。そして、制御信号を受信した場合は(S30:YES)、信号確認がなされる(S31)。この信号確認では、RAM20cに設けられた信号線フラグ記憶エリア221の各信号1から6に相当する各信号線フラグの配列が確認される。なお、制御信号を受信していない場合は(S30:NO)、S30に戻り、判断が繰り返される。
【0051】
次いで、受信された制御信号が、高濃度オゾンの発生を示す指示か否かが判断される(S32)。ここでは、ROM20bのオゾン濃度テーブル記憶エリア202に記憶されたオゾン濃度テーブルに基づき、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に記憶された各信号1から6までに相当する信号線フラグの配列が、高濃度オゾン発生を示すものか、低濃度オゾン発生を示すものかが判断される。
【0052】
そして、受信された制御信号が、低濃度オゾン発生を示すものと判断された場合は(S32:NO)、検知タイミング設定処理が行われる(S43)。この検知タイミング設定処理は、コントローラ10のCPU10aからの制御信号を確認する検知時間を設定するためのものである。この場合、高電圧発生回路9は、低濃度オゾンを発生するために、オゾン発生電極4に印加する高電圧を1.7秒間発生するように動作するので、高電圧が発生してから2秒後には、高電圧発生回路9の動作は停止しているはずである。これにより、制御信号の検知時間は、高電圧発生回路9の動作開始から2秒後に設定され、RAM20cの検知時間設定記憶エリア222に記憶される。そして、タイマカウンタkの目的到達時間として設定される。
【0053】
次いで、オゾン発生動作が開始されたか否かが判断される(S44)。ここでは、高電圧発生回路9の動作が開始され、オゾン発生電極4に高電圧が印加されたか否かが判断される。そして、高電圧発生回路9の動作がt1タイミングで開始され、オゾン発生動作が開始された場合は(S44:YES)、タイマカウンタkがリセットされ、同時にスタートされる(S45)。このタイマカウンタkは、CPU20aに接続されたタイマ(図示外)の出力によってカウントがなされる。なお、オゾン発生の動作がまだ開始されていないと判断された場合は(S44:NO)、S44に戻り、処理が繰り返される。
【0054】
さらに、高電圧発生回路9の動作が開始され、オゾン発生が開始されてから2秒経過したか否かが判断される(S46)。なお、この2秒は、S43の検知タイミング設定処理で設定された検知時間である。ここで、2秒経過していないと判断された場合は(S46:NO)、S46に戻り、処理が繰り返される。そして、t3タイミングで、2秒経過したと判断された場合は(S46:YES)、高電圧発生回路9では、オゾン発生電極4に高電圧を1.7秒間印加し、既に、t2タイミングを経過して、コントローラ10のCPU10aからオゾン発生停止の制御信号が出力されて動作が停止しているはずである。
【0055】
そこで、t3タイミングで、信号確認がなされる(S47)。そして、前記したように、コントローラ10のCPU10aからはオゾン発生停止の制御信号が出力され、高電圧発生回路9の動作は停止しているはずである。よって、制御信号の信号パターンの全てがオフになっているか否かが判断される(S48)。なお、ここでは、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に記憶された各信号線のフラグの配列が全て「0」になっているか否かが判断される。そして、制御信号の信号パターンを構成する信号の全てがオフになっている場合は(S48:YES)、コントローラ10からの制御信号は正常であると判断できるので、S30に戻り、引き続き、信号待機状態となる。
【0056】
また、制御信号の信号パターンを構成する信号の1つでもオンになっている場合は(S48:NO)、この制御信号はオゾン発生停止の指示ではないので、コントローラ10からの制御信号は異常である。このような症状が引き起こされた原因として、第1に、コントローラ10の故障が考えられる。これにより、誤った制御信号が高電圧制御回路20に出力された可能性がある。第2に、高電圧制御回路20による制御信号の誤認識が考えられる。この場合、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に、各信号1から信号6までに相当する各フラグが誤って記憶された可能性がある。
【0057】
これらの原因により、高電圧発生回路9は動作し続け、オゾン発生電極4に高電圧が印加されている恐れがある。すると、オゾン発生器3の放出口からはオゾンが供給され続けてしまう。そこで、異常停止信号が、PWM変換回路22に出力される(S49)。これにより、高電圧発生回路9の動作が緊急停止される。さらに、コントローラ10のCPU10aに異常信号を出力することによって、CPU10aから酸素濃縮装置2に停止信号が出力される。これにより、高電圧発生回路9の誤動作を未然に防止できる。また、低濃度オゾンを発生したいにも関わらず、オゾンが発生され続け、高濃度オゾンが生成されてしまうようなトラブルも未然に防止できる。
【0058】
一方、受信した制御信号が、高濃度オゾンの発生を示す指示と判断された場合(S32:YES)、低濃度オゾン発生時と同様に、検知タイミング設定処理が行われる(S33)。この場合、高電圧発生回路9の動作時間は15分間に設定されているが、同時にチェック時間も設定されている。そして、殺菌性の高い高濃度オゾンを発生するので、高電圧発生回路9の誤動作を生じると危険性を伴う。そのため、制御信号の確認を慎重に行うのが好ましい。そこで、この検知タイミング設定処理では、高電圧発生回路9の動作開始から2秒後のp3タイミングと、16分後のp6タイミングとの2回の検知タイミングが設定される。そして、RAM20cの検知時間設定記憶エリア222には、2秒と、16分の検知時間が各々記憶され、タイマカウンタkの目的到達時間として設定される。
【0059】
次いで、オゾン発生動作が開始されたか否かが判断される(S34)。そして、高電圧発生回路9の動作が開始され、p1タイミングで、オゾン発生動作が開始された場合は(S34:YES)、タイマカウンタkがリセットされ、同時にスタートされる(S35)。なお、オゾン発生動作がまだ開始されていないと判断された場合は(S34:NO)、S34に戻り、処理が繰り返される。
【0060】
次いで、高電圧発生回路9の動作が開始され、オゾン発生が開始されてから2秒経過したか否かが判断される(S36)。なお、この2秒は、S33の検知タイミング設定処理で設定された検知時間である。そして、まだ2秒経過していないと判断された場合は(S36:NO)、S36に戻り、処理が繰り返される。さらに、p3タイミングで、2秒経過したと判断された場合は(S36:YES)、高電圧発生回路9では、チェック時間における第1のチェック時間がp2タイミングで終了し、第2のチェック時間中(p2〜p4)に相当する。よって、既に、p2タイミングを経過しているので、コントローラ10のCPU10aからは、オゾン発生停止の制御信号が出力され、高電圧発生回路9の動作は停止されているはずである。
【0061】
そこで、p3タイミングで、信号確認がなされる(S37)。そして、前記したように、コントローラ10のCPU10aからはオゾン発生停止の制御信号が出力されているはずであるので、制御信号の信号パターンの全てがオフになっているか否かが判断される(S38)。なお、ここでは、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に記憶された各信号線のフラグの配列が全て「0」になっているか否かが判断される。そして、制御信号の信号パターンを構成する信号の全てがオフになっている場合は(S38:YES)、制御信号は正常であると判断できる。
【0062】
一方、制御信号の信号パターンを構成する信号の1つでもオンになっている場合は(S38:NO)、制御信号は異常であると判断できる。よって、異常停止信号が、PWM変換回路22に出力されることで(S42)、高電圧発生回路9の動作が緊急停止される。また、コントローラ10のCPU10aにも異常信号が出力されることによって、酸素濃縮装置2が緊急停止される。これにより、高電圧発生回路9の誤動作を未然に防止できる。このように、殺菌性の高い高濃度オゾンを発生する場合、オゾン発生開始直後の早期段階で、コントローラ10のCPU10aからの制御信号を確認することで、コントローラ10の不具合を早期に発見することができる。
【0063】
次に、p4タイミングで、高電圧発生回路9の動作が再び開始され、オゾン発生動作が開始されてから16分経過したか否かが判断される(S39)。なお、この16分は、S33の検知タイミング設定処理で設定された検知時間である。そして、16分経過していないと判断された場合は(S39:NO)、S39に戻り、処理が繰り返される。さらに、p6タイミングで、16分経過したと判断された場合は(S39:YES)、高電圧発生回路9は、オゾン発生電極4に高電圧を15分間だけ印加するので、既に、p5タイミングを経過しているので、コントローラ10のCPU10aからはオゾン発生停止の制御信号が出力され、高電圧発生回路9の動作は停止されているはずである。
【0064】
そこで、p6タイミングで、信号確認がなされる(S40)。そして、制御信号の信号パターンの全てがオフになっているか否かが再度判断される(S41)。なお、ここでも、RAM20cの信号線フラグ記憶エリア221に記憶された各信号線のフラグの配列が全て「0」になっているか否かが判断される。そして、制御信号の信号パターンを構成する信号の全てがオフになっている場合は(S41:YES)、制御信号は正常であると判断できる。よって、S30に戻り、信号待機状態となる。
【0065】
一方、制御信号の信号パターンを構成する信号の1つでもオンになっている場合は(S41:NO)、制御信号は異常である。よって、異常停止信号が、PWM変換回路22に出力されることで(S42)、高電圧発生回路9の動作が緊急停止される。また、コントローラ10のCPU10aに異常信号にも出力されることによって、酸素濃縮装置2が緊急停止される。これにより、高電圧発生回路9の誤動作を未然に防止できる。
【0066】
なお、図6に示すS13,S14の処理を行うCPU10aが、「チェック時間設定手段」に相当し、図7に示すS31の処理を行うCPU20aが、「第2の検知手段」に相当し、S32の判断処理を行うCPU20aが、「オゾン発生量判断手段」に相当し、S37,S47の処理を行うCPU20aが、「第1の検知手段」に相当し、S38,S48の判断処理を行うCPU20aが、「信号判断手段」に相当し、S42,S49の処理を行うCPU20aが、「異常停止手段」に相当し、S33,S43の処理を行うCPU20aが、「検知タイミング調整手段」に相当する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態のオゾン発生装置1は、高電圧発生回路9に設けられた高電圧制御回路20が、高電圧発生回路9が停止されるべき時点での制御信号を確認することで、高電圧発生回路9の誤動作を確実に防止できる。例えば、低濃度オゾンを発生させる場合、高電圧発生回路9は1.7秒間動作するように制御されるが、高電圧発生回路9が動作を開始してから2秒後に、制御信号がオフを指示するものであるか否かを、高電圧制御回路20のCPU20aに確認させる。もし、この時点での制御信号がオフを示すものでなければ、高電圧発生回路9が誤動作し、オゾンが発生され続けてしまう等の不具合を生じる。よって、異常信号をPWM変換回路22に出力して、高電圧発生回路9を停止させることで、高電圧発生回路9の誤動作を未然に防止できる。さらに、コントローラにも異常信号を出力することで、酸素濃縮装置2を停止させることもできる。
【0068】
一方、高濃度オゾンを発生させる場合、高電圧発生回路9の動作開始直後にチェック時間が設定される。このチェック時間中には、高電圧発生回路9を停止させる第2のチェック時間が設けられている。そして、その第2のチェック時間内の所定タイミングで、制御信号がオゾン発生停止を示すものであるか否かを、高電圧制御回路20のCPU20aに確認させる。さらに、例えば、高濃度オゾンを発生させる場合、高電圧発生回路9は15分間動作するように制御されるが、動作を開始してから16分後に、制御信号を同様に確認することで、高濃度オゾンの発生の場合は、より慎重に高電圧発生回路9の誤動作を未然に防止できる。
【0069】
さらに、コントローラ10から高電圧制御回路20には、6本の入力信号線30を介して制御信号が出力される。これにより、CPU20aに入力された制御信号は、6つのオンオフ信号の組合せ(配列)からなる1つの信号パターンとして構成されている。そして、信号パターンは3種類設定され、低濃度オゾンの発生を示す信号パターン、高濃度オゾンの発生を示す信号パターン、オゾン発生の停止を示す信号パターンで構成されている。これにより、高電圧制御回路20のCPU20aは、コントローラ10からの制御信号を、これら3種類の信号パターンに照らし合わせて判断することで、オゾン発生器3において、低濃度オゾンを発生するか、高濃度オゾンを発生するか、又はオゾン発生を停止するかの判断ができる。即ち、CPU20aは、チェック時間が設定されたか否かを予測できる。これにより、検知タイミング設定処理では、オゾン濃度に応じて検知タイミングを設定することができるので、オゾン発生器3で発生されるオゾン濃度に応じて、制御信号の確認ができ、高電圧発生回路9の誤動作を確実に防止できる。
【0070】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、信号パターンを3種類設定したが、これより多くても少なくてもよい。さらに、信号パターンを多数設定し、該複数の信号パターンに対し、duty比、周波数をそれぞれ変えて設定してもよい。また、duty比は一定で、周波数のみを変えて信号パターンを設定してもよく、その反対でもよい。
【0071】
さらに、全てオン信号からなる信号パターンを、テスト用の制御信号として使用してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、duty比及び周波数を一定にして、高電圧発生回路9の動作時間を変えることによって、オゾン発生量が調整され、オゾン濃度が調整されているが、duty比及び周波数の少なくとも何れかを変えることによって、オゾン濃度を調整してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のオゾン発生装置は、オゾンを発生させるオゾン発生装置に限らず、オゾン水を発生するオゾン水製造装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】オゾン発生装置1の構成を示したブロック図である。
【図2】オゾン発生装置1の電気的構成を示した構成図である。
【図3】オゾン濃度と信号パターンとの対応を示した説明図である。
【図4】ROM20bの記憶エリアを示す概念図である。
【図5】RAM20cの記憶エリアを示す概念図である。
【図6】コントローラ10のCPU10aの制御動作を示すフローチャートである。
【図7】高電圧制御回路20のCPU20aの制御信号確認処理の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】高電圧発生回路9の動作(低濃度オゾン発生時)を示すタイミングチャートである。
【図9】高電圧発生回路9の動作(高濃度オゾン発生時)を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 オゾン発生装置
4 オゾン発生電極
9 高電圧発生回路
10 コントローラ
10a CPU
20 高電圧制御回路
20a CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生電極と、当該オゾン発生電極に電圧を印加する電圧印加手段と、当該電圧印加手段を制御する制御手段とを備え、当該制御手段から出力される制御信号のオンオフに基づいて、前記電圧印加手段を所定時間動作させるオゾン発生装置であって、
前記電圧印加手段は、
前記電圧印加手段が所定時間動作した後に、前記制御信号を検知する第1の検知手段と、
当該第1の検知手段によって検知された前記制御信号のオンオフを判断する信号判断手段と、
当該信号判断手段によって、前記制御信号がオンと判断され、前記電圧印加手段が動作している場合に、前記電圧印加手段の動作を停止させる異常停止手段と
を備えていることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
前記制御信号は、複数のオンオフ信号の組合せからなる信号パターンで構成され、
当該信号パターンの種類に対応して、前記電圧印加手段の動作時間が各々設定され、
前記電圧印加手段が前記動作時間だけ動作することによって、前記オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が調節され、
前記異常停止手段は、前記信号判断手段によって、前記制御信号の信号パターンを構成する信号の少なくとも1つがオンと判断された場合、前記電圧印加手段の動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記オゾン発生電極に所定量以上のオゾンを発生させる場合に、前記電圧印加手段の動作開始直後に、前記制御信号を確認させるためのチェック時間を設定するチェック時間設定手段を備え、
前記電圧印加手段は、
前記電圧印加手段の動作開始前に、前記制御信号を検知する第2の検知手段と、
当該第2の検知手段によって検知された前記制御信号に基づき、前記オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が、前記所定量以上か否かを判断するオゾン発生量判断手段と、
当該オゾン発生量判断手段の判断に基づいて、前記第1の検知手段の検知タイミングを調整する検知タイミング調整手段と
を備え、
前記チェック時間は、前記電圧印加手段を動作させる第1のチェック時間と、当該第1のチェック時間後に動作を停止させる第2のチェック時間とで構成され、
前記オゾン発生量判断手段が、前記オゾン発生電極から発生するオゾン発生量が前記所定量以上と判断した場合、
前記検知タイミング調整手段は、前記第1の検知手段の前記検知タイミングを、
前記第2のチェック時間内における第1の検知タイミングと、
前記電圧印加手段が前記動作時間動作した後の第2の検知タイミングと
に調整することを特徴とする請求項2に記載のオゾン発生装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−91531(P2007−91531A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283423(P2005−283423)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】