説明

オゾン発生装置

【課題】本発明はオゾン発生装置に関し、より詳細には、小型かつ低コストで日常生活を送る上で存在が邪魔になることのないオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】放電ギャップ34を有するオゾン発生器30と、放電ギャップ34の周囲を囲み、発生したオゾンを所定方向に放出するために所定方向に開放されたオゾン放出部50とを有するオゾン発生ユニット60と、断面コの字状に形成され、コの字の開放側が下方に向くように建築物の入口上部に取り付け可能な筐体部20とを具備し、筐体部20内に、オゾン放出部50の開放部の開放側が下方を向くようにして、オゾン発生ユニット60が筐体部20の長手方向に並んで複数配置されていることを特徴とするオゾン発生装置10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオゾン発生装置に関し、より詳細には、小型かつ低コストで日常生活を送る上で存在が邪魔になることのないオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン発生器から発生させたオゾンを送風ファンにより発生させた風に乗せて室内に供給することにより室内空気を殺菌するといったオゾン発生装置の構成は広く知られている。このようにオゾン発生装置には、送風ファンが配設されていることが一般的であり、オゾン発生装置は室内の床面に設置されるタイプのものが多い。このようなオゾン発生装置としては、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−198142号公報
【特許文献2】特開2006−35204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2に開示されたオゾン発生装置は、室内の床面等に載置して用いられるものであり、オゾン発生装置の内部には、オゾンを発生するオゾン発生器と、発生させたオゾンを室内に放出するための送風ファンが配設されている。このように、送風ファンにより発生させたオゾンを室内に隅々まで分配させることができるため、室内全体を殺菌することが可能になるとしている。
しかしながら、オゾンは空気よりも比重が大きいため、送風ファンにより室内に放出させたとしても、重力の作用によりオゾンはすぐに床面に落下してしまう。このため実際には、オゾン発生装置の周辺にしかオゾンを供給できていないことも十分考えられる。このような事態を回避するためには、送風ファンの出力を高める必要があるが、オゾン発生装置が大型化してしまうという課題や、オゾン発生装置の消費電力が増加してしまうといった課題がある。また、床面に設置して用いるオゾン発生装置は、日常生活を行ううえでオゾン発生装置が邪魔になることもしばしば見受けられるといった課題もある。
【0005】
そこで本願発明者は、送風ファン等のオゾン放出手段を用いてオゾンを遠方に放出させることにより、室内全体をオゾンにより殺菌する形態よりも、室内に入る際に人間や物品にオゾンを確実に浴びせることで、室内の清浄化を行えばよいことに注目し、本願発明をなしえた。このようにオゾンを室内入り口の上側部分から供給することにより、送風ファンを不要とし、小型で消費電力が少なく、日常生活において邪魔になることがないオゾン発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため本願発明は以下の構成を有する。
すなわち、放電ギャップを有するオゾン発生器と、前記放電ギャップの周囲を囲み、発生したオゾンを所定方向に放出するために所定方向に開放されたオゾン放出部とを有するオゾン発生ユニットと、断面コの字状に形成され、コの字の開放側が下方に向くように建築物の入口上部に取り付け可能な筐体部とを具備し、前記筐体部内に、前記オゾン放出部の開放部の開放側が下方を向くようにして、前記オゾン発生ユニットが前記筐体部の長手方向に並んで複数配置されていることを特徴とするオゾン発生装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかるオゾン発生装置によれば、建築物の入口上部に配設され、オゾン放出部の開放側が下方に向けられたオゾン放出部を有するオゾン発生装置の構成を採用することにより、送風ファンを配設することなく、重力の作用により建築物の外部から建築物の内部(室内)に入る人物や物品に対して確実にオゾンを浴びせることができるため、確実に室内を清浄化することができる。また、送風ファンを不要としているため、消費電力が少なく小型なオゾン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態におけるオゾン発生装置の正面図である。
【図2】本実施形態におけるオゾン発生装置の平面図である。
【図3】本実施形態におけるオゾン発生装置の底面図である。
【図4】本実施形態におけるオゾン発生装置の左側面図である。
【図5】本実施形態におけるオゾン発生装置の右側面図である。
【図6】本実施形態におけるオゾン発生装置の使用形態の一例を示す正面図である。
【図7】図1〜図5に示したオゾン発生装置の一覧図である。
【図8】オゾン発生装置の各部名称および透明部分を示した参考底面図、参考左側面図、参考右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかるオゾン発生装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるオゾン発生装置の正面図である。図2は、本実施形態におけるオゾン発生装置の平面図である。図3は、本実施形態におけるオゾン発生装置の底面図である。図4は、本実施形態におけるオゾン発生装置の左側面図である。図5は、本実施形態におけるオゾン発生装置の右側面図である。
【0010】
本実施形態におけるオゾン発生装置10は、図1に示すように正面視横長の矩形状に形成されている。オゾン発生装置10は、前面および背面に配設された木製の薄板からなる遮蔽板22,24と、遮蔽板22,24により挟持された木製の板からなる天板26により、筐体部20が形成されている。図4および図5からも明らかなように筐体部20はコの字状の断面形状(側面視形状)をなしている。本実施形態においては、筐体部20をネジ止めにより組み立てているが、ネジ止めの他にも接着剤等の公知の接続手段を用いて筐体部20を形成することができる。
【0011】
筐体部20の内部空間には、オゾンを発生させるためのオゾン発生器30の本体部32を格納する格納ケース40と、オゾン発生装置30の放電ギャップ34の周囲を囲むように収容すると共に、放電ギャップ34から発生したオゾンを下方に向けて放出させるためのオゾン放出部50が配設されている。図3からも明らかであるが、筐体部20の内部空間には、オゾン発生器30、格納ケース40、オゾン放出部50とからなるオゾン発生ユニット60が筐体部20の長手方向に並んで3組が直列配置となるように収容されている。
【0012】
格納ケース40は、筐体部20の遮蔽板22,24の内壁面間に挟持させた状態で配設されている。より好ましくは、遮蔽板22,24の内壁面に接着剤等を塗布して、格納ケース40を接着剤に接着させればよい。このようにすることでオゾン発生器30が格納された格納ケース40が筐体部20から落下してしまうことがないため好都合である。また、遮蔽板22,24の下端部間に図示しないケース保持材を配設し、格納ケース40をケース保持材により保持させることもできる。
本実施形態におけるオゾン放出部50は断面が略コの字状に形成されている。オゾン放出部50は、コの字の開放側が筐体部20の下方を向くようにして筐体部20の内部に収容され、オゾン放出部50の頂部を筐体部20の天板26に当接させた状態で、オゾン放出部50の開放側の下面側からネジ止めすることにより筐体部20に固定されている。
【0013】
本実施形態においては、格納ケース40およびオゾン放出部50のそれぞれには、いわゆるペットボトルの底部が用いられている。ペットボトルの材料であるポリエチレンテレフタレートは、絶縁性に優れ、しかもオゾン耐性が良好であるため、オゾンが発生する部位に採用される部品材料として好都合である。また、ペットボトルの形状の一部を用いることにより格納ケース40およびオゾン放出部50を形成することにより、格納ケース40よびオゾン放出部50の成形装置も不要になるため、これらの製造コストを削減することができ、使用済みペットボトルの有効利用(リサイクル)にもつながり好都合である。
【0014】
具体的には、同形状の2本のペットボトルの底面から本体部分の所要範囲にわたって切り取って格納ケース片42,42を得る。この後、一方の格納ケース片42の内部空間にオゾン発生器30の本体部32を格納し、格納ケース片42,42の切り取り端部における開口部どうしを対向させ、いずれか一方の格納ケース片42の開口部に他方の格納ケース片42の開口部を変形させながら差し込んで互いを一体に組み付けることによりカプセル状の格納ケース40を形成している。オゾン発生器30の本体部32を横向き状態で格納ケース40に格納しているので、格納ケース40の方さ寸法(ひいてはオゾン発生装置10の高さ寸法)を抑えることができる点において好都合である。このように横長形状に配設された格納ケース40の一端部には連通孔44が形成されていて、連通孔44からオゾン発生器30の放電ギャップ34が格納ケース40の外部に繰り出されている。格納ケース40の外部に繰り出された放電ギャップ34は、周囲が囲まれた状態でオゾン放出部50に収容されている。
【0015】
また、オゾン放出部50については、ペットボトルの底面から本体部の所要範囲にわたって切り取ることにより形成されている。オゾン放出部50の側面部分には連通孔52が形成されていて、連通孔44から格納ケース40の外部に繰り出された放電ギャップ34は、連通孔52からオゾン放出部50の内部空間に繰り出されている。本実施形態においては、同形状の3本のペットボトルを用いて同じ寸法に切り取ったペットボトル片をそれぞれ格納ケース40、オゾン放出部50として用いている。
【0016】
図1,図3,図4,図5からも明らかであるが、本実施形態における格納ケース40とオゾン放出部50は、筐体部20の遮蔽板22,24の高さ寸法内に収容されているので、オゾン発生装置10を正面視してもオゾン発生器30、格納ケース40およびオゾン放出部50が見えることがないため、美観にも優れている。また、遮蔽板22,24は建築物の入口上部である玄関の鴨居と同様に木材により形成されているので、特に木造建築においては調和のとれた外観を呈することができる。
また、遮蔽板22,24の外側表面には、家紋や広告等を選択的に表示することができるように、装飾体表示部を配設しておくこともできる。
【0017】
本実施形態で用いているオゾン発生器30は、本体部32に電源である電池(図示せず)が配設されている。このように、オゾン発生器30の動力源を電池にすることで、電源のない屋外において、建築物をテント等にした場合であっても通常通りの使用ができる。このような用途としては、伝染病患者を一時的に隔離する必要がある場合などにおいて好都合である。なお、オゾン発生器30の動力源は電池に限らず、商用電源を用いることももちろん可能である。商用電源を用いる場合には、格納ケース40の内部と外部を連通させる第2の連通孔を設け、この部分に配線を施せばよい。
【0018】
本実施形態におけるオゾン発生装置10は以上のような構成を有している。次に、本実施形態で説明したオゾン発生装置10の具体的な使用方法について図面に基づいて説明を行う。図6は、本実施形態におけるオゾン発生装置の使用形態の一例を示す正面図である。
図6には、建築物の入口上部である玄関ENTにおける鴨居KMに、以上に説明したオゾン発生装置10を3つ直列配置に配設した状態が示されている。玄関ENTの間口広さに応じて適宜複数のオゾン発生装置10を配設することができる。鴨居KMへのオゾン発生装置10の取り付け方法は、オゾン発生装置10の底面側からネジで天板26を貫通させて鴨居KMに打ち込んで固定する方法や、オゾン発生装置10に図示しない取付金具を取り付けて、図示しない長押部分に吊り下げ金具の一端部を挿入させることにより、オゾン発生装置10を鴨居KMから吊下げたような状態で配設することもできる。このように本明細書においては、長押も鴨居KMの一部であるとしている。オゾン発生装置10のこのように建物の入り口である玄関ENTにオゾン発生装置10を配設することにより、玄関ENTから建物内に入る人や物品はまず、オゾン発生装置10により鴨居KMから入り口部分に向けて放出されたオゾンシャワーを浴びることになり、建物内へのウイルス等の進入が防止される。
【0019】
オゾン発生装置10のオゾン発生器30は公知のものを用いることができるので、ここではオゾン発生器30の詳細な説明は省略している。オゾン発生器30の電源は電池であるため、個々のオゾン発生器30から放出されるオゾン量はわずかではあるが、筐体部20内には、3つのオゾン発生器30が均等間隔に配設されているので、玄関ENTを通過する人や物品に付着したウイルスを殺菌するに十分な量のオゾンを放出することができる。また、オゾン発生器30の放電ギャップ34から発生したオゾンは、空気よりも比重が大きいことに加え、断面コの字形に形成されたオゾン放出部50がコの字状の開放側が下方に開口しているので、送風ファンがなくても全てのオゾンが鴨居KMから入り口部分に向けて放出されることになる。
なお、オゾン発生装置10に配設するオゾン発生器30(オゾン発生ユニット60)の配設数は3以外の数であってもよいのはもちろんである。
【0020】
以上に説明したように、本実施形態におけるオゾン発生装置10によれば、空気よりも比重の大きいオゾンの性質を利用し、オゾン発生器30により発生させたすべてのオゾンを人や物品の出入り口に供給させることができるため、運転時における動力コストを大幅に削減することができる。また、オゾン発生器30の構成も簡易な構成であると共に耐久性に優れていることからも、メンテナンス頻度が低く、筐体部20以外の構成部品の交換も容易であり、総じてランニングコストを低コスト化することができる。
【0021】
本実施形態においては、外観形状を和風住宅に調和させるため、筐体部20を木材により形成した実施形態について説明しているが、この形態に限定されるものではなく、合成樹脂や金属により筐体部20を形成することももちろん可能である。
また、本実施形態においては、格納ケース40およびオゾン放出部50を遮蔽板22,24の高さ内に収まるように形成しているが、特にオゾン放出部50については、遮蔽板22,24の下端部からはみ出す高さ寸法に形成してもよい。このようにオゾン放出部50の高さ寸法を増やすことにより、オゾンの放出先を限定させることも可能である。
また、格納ケース40およびオゾン放出部50は必ずしも同じ形状のペットボトルを用いる必要はなく、格納ケース40とオゾン放出部50は別々のペットボトルを用いることもできるし、それぞれをポリエチレンテレフタレートやこれと同等の絶縁性およびオゾン耐性を有する材料を用いて成形することも可能である。
【0022】
また、本願発明の技術的範囲は、以上に示した実施形態に限定されるものではなく、明細書注意記載したすべての構成を適宜組み合わせた形態であっても本願発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
【0023】
図7は、図1〜図5に示したオゾン発生装置の一覧図である。本実施形態におけるオゾン発生装置の背面図は、正面図と等しくあらわれるため省略している。図8は、各部の名称および透明部分を示す参考底面図、参考左側面図、参考右側面図である。底面図および左側面図にあらわれている破線は、透明な部材から透視して見える線である。底面図、左側面図、右側面図にあらわれている格納ケースおよびオゾン放出部は、ペットボトルの底部と本体部分の一部を所要範囲に切り取ることにより形成したものである。すなわち、格納ケースおよびオゾン放出部はそれぞれ透明材料により形成されている。
【符号の説明】
【0024】
10 オゾン発生装置
20 筐体部
22,24 遮蔽板
26 天板
30 オゾン発生器
32 本体部
34 放電ギャップ
40 格納ケース
42 格納ケース片
44,52 連通孔
50 オゾン放出部
60 オゾン発生ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ギャップを有するオゾン発生器と、前記放電ギャップの周囲を囲み、発生したオゾンを所定方向に放出するために所定方向に開放されたオゾン放出部とを有するオゾン発生ユニットと、
断面コの字状に形成され、コの字の開放側が下方に向くように建築物の入口上部に取り付け可能な筐体部とを具備し、
前記筐体部内に、前記オゾン放出部の開放部の開放側が下方を向くようにして、前記オゾン発生ユニットが前記筐体部の長手方向に並んで複数配置されていることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
前記オゾン放出部はポリエチレンテレフタレートにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記オゾン放出部はペットボトルの底部により形成されていることを特徴とする請求項1記載のオゾン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−84434(P2011−84434A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238491(P2009−238491)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(309034892)
【Fターム(参考)】