説明

オピオイド組成物中のアルファ,ベータ不飽和ケトンの減少方法

本発明は、オピオイド鎮痛剤組成物中のα,β−不飽和ケトンのレベルを減少させるための方法であって、ジイミド又はジイミド前駆体で水素化することによる方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド製品中のα,β−不飽和ケトンの量を減少させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイドアゴニストは、CNS及び他の組織における特定の飽和性オピオイド受容体でアゴニスト効果を発揮する。ヒトにおいて、オピオイドアゴニストは鎮痛を含む様々な効果のいずれかを生成し得る。
【0003】
オピウムから誘導される化合物であるテバインは、それ自体では医学上の用途を有してはいないものの、多くのオピオイドアゴニスト、例えば、オキシコドンを製造するための合成スキームおける出発物質として有用である。他のスキームにおいては、コデインを多くのオピオイドを製造するための出発物質として利用することができる。α,β−不飽和ケトンは多くの合成経路におけるオピオイド鎮痛剤の前駆体である。例えば、14−ヒドロキシコデイノンはオキシコドンの前駆体である。したがって、所定量のα,β−不飽和ケトンが不純物としてオピオイド鎮痛剤組成物中に存在する。
【0004】
テバインもしくは14−ヒドロキシ置換オピウム誘導体の製造方法は、例えば、米国特許第3,894,026号及び米国特許第4,045,440号に報告されている。
【0005】
オピウム誘導体の合成における初期工程であるコデインのコデイノンへの酸化は、EP 0889045、米国特許第6,008,355号及びJ. Am. Chem. Soc., 1051, 73, 4001 (Findlay)に報告されている。
【0006】
コデイノンの不飽和ケトンへの反応は米国特許第6,008,355号及びTetrahedron 55, 1999 (Coop and Rice)に報告されている。
【0007】
コデイノンのテバインへのメチル化は、Heterocycles, 1988, 49, 43-7 (Rice)及びEP0889045に報告されている。
【0008】
米国特許第6,177,567号は、ジフェニルシラン及びPd(Ph3P)/ZnCl2を用いる、もしくは次亜リン酸塩をPd/C触媒と共に酢酸水溶液中で用いる還元による、不飽和ケトンのオキシコドンへの水素化を記述する。
【0009】
Krabnigらは、「Optimization of the Synthesis of Oxycodone and 5-Methyloxycodone」 Arch. Pharm. (1996), 329(6), (325-326)において、不飽和ケトンの溶液を氷酢酸中でPd−C−触媒を用い、30psi、望ましい条件で水素化することを記述している。
【0010】
α,β−不飽和ケトンを水素化して対応する飽和ケトンを生成するための改良法を提供する、継続する必要性が当技術分野に存在する。
【0011】
本明細書で引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が全ての目的のために組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
オピオイド鎮痛剤組成物(例えば、塩酸オキシコドンAPI)中のα,β−不飽和ケトンの不純物レベルを減少させるための方法を提供することが、本発明のある実施態様の目的である。
【0013】
α,β−不飽和ケトン組成物(例えば、14−ヒドロキシ−コデイノン組成物)を対応する飽和ケトン組成物(例えば、オキシコドン組成物)に変換するための方法を提供することが、本発明のある実施態様の目的である。
【0014】
オピオイド鎮痛剤組成物(例えば、塩酸オキシコドンAPI)中の不純物としてのα,β−不飽和ケトンのレベルを減少させるための方法であって、その組成物をジイミド(H−N=N−H)もしくはジイミド前駆体(例えば、アゾジカルボン酸二カリウム)で水素化することによる方法を提供することが、本発明のある実施態様の目的である。
【0015】
α,β−不飽和ケトン組成物を対応する飽和ケトン組成物に変換する(例えば、不飽和ケトン組成物をオキシコドン組成物に変換する)ための方法であって、ジイミドもしくはジイミド前駆体での水素化による方法を提供することが、本発明のある実施態様の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
好ましい実施態様において、本発明の方法は、25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満のα,β−不飽和ケトンレベルを有するオピオイド鎮痛剤組成物を提供する。
【0017】
ある実施態様において、本発明は、25ppm未満のα,β−不飽和ケトンレベルを有するオピオイド鎮痛剤組成物の調製方法であって、100ppmより高いα,β−不飽和ケトンレベルを有するオピオイド組成物をジイミドもしくはジイミド前駆体で水素化してα,β−不飽和ケトンの量を25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満のレベルに減少させることを含む方法を対象とする。
【0018】
ある実施態様において、本発明は、オピオイド鎮痛剤組成物の調製方法であって、α,β−不飽和ケトン組成物をジイミドもしくはジイミド前駆体で水素化して25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満のα,β−不飽和ケトンのレベルを有するオピオイド鎮痛剤組成物を生成することを含む方法を対象とする。
【0019】
本明細書に開示される全ての実施態様において、得られるオピオイド鎮痛剤組成物をジイミドもしくはジイミド前駆体でさらに水素化してα,β−不飽和ケトンの量をさらに減少させることができる。
【0020】
一実施態様において、出発物質はα,β−不飽和ケトンを100ppm以上の量で含有するオピオイド鎮痛剤組成物であり、最終オピオイド鎮痛剤組成物は25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満(例えば、約2ppm)のα,β−不飽和ケトンレベルを有する。別の実施態様においては、出発物質はα,β−不飽和ケトンを15ppmないし25ppmの量で含有するオピオイド鎮痛剤組成物であり、最終オピオイド鎮痛剤組成物は約10ppm未満又は約5ppm未満(例えば、約2ppm)のα,β−不飽和ケトンレベルを有する。別の実施態様においては、出発物質はα,β−不飽和ケトンを10ppmないし25ppmの量で含有するオピオイド鎮痛剤組成物であり、最終オピオイド鎮痛剤組成物は約5ppm未満のα,β−不飽和ケトンレベルを有する。
【0021】
ある実施態様において、この方法は得られるオピオイド鎮痛剤組成物を回収することをさらに含む。
【0022】
ある実施態様において、本発明は、オピオイド鎮痛剤組成物の調製方法であって、α,β−不飽和ケトン不純物を有する出発オピオイド鎮痛剤組成物をジイミド又はジイミド前駆体を用いて還流下で水素化することを含み、得られるオピオイド鎮痛剤組成物が出発組成物より低いα,β−不飽和ケトンのレベルを有する方法を対象とする。
【0023】
ある実施態様において、本発明の方法によって生成されるオピオイド鎮痛剤組成物はα,β−不飽和ケトンの0.25ppm、0.5ppm、1ppm、2ppm又は5ppmの下限を有する。
【0024】
本明細書で用いられる「ppm」という用語は「百万分率」を意味する。α,β−不飽和ケトンを参照するのに用いられるとき、「ppm」は特定の試料中のα,β−不飽和ケトンの百万分率を意味する。
【0025】
オキシコドン製品中のα,β−不飽和ケトンのレベルを決定する方法は、「14−ヒドロキシコデイノン及びコデイノンの検出方法(Methods For Detecting 14-Hydroxycodeinone and Codeinone)」と題する、同一出願人による2004年3月30日出願の米国仮出願第60/557,502号、同一出願人による2005年1月31日出願の米国仮出願第60/648,629号に従って行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の方法の水素化工程の実施に必要なジイミドは、反応媒体に直接添加することができ、アゾジカルボン酸二カリウム等のジイミド前駆体含有物から得ることができる。ある実施態様においては、アゾジカルボン酸の二カリウム塩を弱酸(例えば、ギ酸、酢酸もしくはシュウ酸)で分解することでジイミドをインサイチュ(in situ)で生成する。二カリウム塩は、アゾジカルボン酸ジアミド、アゾジカルボン酸ジメチルエステルもしくはアゾジカルボン酸ジエチルエステルを水酸化カリウム水溶液で加水分解することによって得ることができる。
【0027】
ある実施態様においては、二カリウム塩はアルコール(好ましくは、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノール)又は極性エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールモノメチルエーテルもしくはグリコールジメチルエーテル)に懸濁させることができる。オピオイド鎮痛剤もしくはα,β−不飽和ケトンをこの懸濁液に添加することができ、その反応混合物を約0℃ないし約80℃の範囲の反応温度で酸性化することができる。反応時間は、例えば、約5ないし約120分であり得る。ある実施態様においては、ジイミドを過剰に、例えば、オピオイド鎮痛剤もしくはα,β−不飽和ケトンの1モルあたり約3ないし約20モルで、用いる。
【0028】
本発明の方法は、反応の副生物(例えば、塩化カリウム、二酸化炭素及び窒素)が非毒性であるという利点を有する。
【0029】
ある実施態様において、本発明は、オピオイド鎮痛剤組成物(例えば、塩酸オキシコドンAPI)中のα,β−不飽和ケトンの量を減少させる方法であって、該オピオイド鎮痛剤組成物をジイミド又はジイミド前駆体で水素化することによる方法を対象とする。ある実施態様において、オピオイド鎮痛剤は式(I)の化合物:
【化7】

(式中、
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;オキソ;ヒドロキシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルキル;及びC3−6シクロアルコキシからなる群より選択され;並びに
は水素;ヒドロキシル;もしくはアルコキシであり;
は、独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、ここで、7〜8位の結合が飽和であるとき、Rはオキソである。)
もしくはそれらの薬学的に許容し得る塩である。
【0030】
ある実施態様において、本発明は、ジイミド又はジイミド前駆体での水素化によりα,β−不飽和ケトン組成物をオピオイド鎮痛剤組成物に変換するための方法を対象とする。ある実施態様において、α,β−不飽和ケトンは式(II)の化合物:
【化8】

(式中:
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素、ヒドロキシルもしくはアルコキシであり;
は、独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルである。)
もしくはそれらの薬学的に許容し得る塩である。
【0031】
ある実施態様において、本発明は、オピオイド鎮痛剤組成物中のα,β−不飽和ケトンの量を減少させるための方法であって、該オピオイド鎮痛剤組成物をジイミド又はジイミド前駆体で水素化することによる方法を対象とし、ここで、該オピオイド鎮痛剤は式(III)の化合物:
【化9】

(式中、
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;オキソ;ヒドロキシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルコキシからなる群より選択され;並びに
は、水素;ヒドロキシル;アルコキシ;C1−8アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ及びジアルキルアミノからなる群の1〜3種で置換されたC1−8アルキルであり;
は、独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルである。)
もしくはそれらの薬学的に許容し得る塩である。
【0032】
ある実施態様において、本発明のオピオイド鎮痛剤は、オキシコドン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、コデイン、モルヒネ、ブプレノルフィン、それらの薬学的に許容し得る塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0033】
ある実施態様において、α,β−不飽和ケトンは14−ヒドロキシコデイノン;モルフィノン;コデイノン;7−アセチル−7,8−ジデヒドロ−6,14−エンドエタノールテトラヒドロテバイン;7,8−ジデヒドロナロキソン;7,8−ジデヒドロナトレキソン;7,8−ジデヒドロキシモルホン;それらの塩;及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0034】
ある実施態様においては、水素化は、約5PSIGから約200PSIG、又は約40PSIGから約60PSIGの圧力で行う。
【0035】
ある実施態様においては、水素化は、約20℃から約100℃、又は約40℃から約85℃の温度で行う。
【0036】
ある実施態様においては、水素化は、5未満、3未満又は1未満、例えば約0.5のpHで行う。
【0037】
ある実施態様において、水素化反応の合計反応時間は、α,β−不飽和ケトンの含有量を25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満のレベルに減少させるのに十分な持続期間である。実際の反応時間は、水素化系の温度及び効率に依存して変化し得る。水素化条件(例えば、温度及び圧力)に依存して、α,β−不飽和ケトンにおける望ましい減少を達成する合計反応時間は、例えば、約10分から約36時間であり得る。
【0038】
反応は溶媒、例えば、水;アルコール(例えば、イソプロパノール、メタノールもしくはエタノール);テトラヒドロフラン;芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン);エーテル(例えば、ジオキサン);アルカン酸のエステル(例えば、酢酸メチルもしくは酢酸エチル);アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、もしくは他のN−アルキル置換低級脂肪酸アミド);フルフラール;N−メチルピロリドン;ホルミルモルホリン;β−メトキシプロピオニトリル;又は上記溶媒のいずれか2種類以上の適当な混合液中で行うことができる。
【0039】
以下の例は本発明の様々な態様を説明する。それらはいかなる様態であっても請求の範囲を制限すると解釈されるものではない。

ジイミド還元の予言的実施例(Prophetic Examples of Diimide Reductions)
【0040】
磁気式攪拌器、添加漏斗、ジャケット冷却器及びNスウィープが取り付けられたジャケット装着250mLフラスコ内に、3.13g(10.0ミリモル)の14−ヒドロキシコデイノン、20mLの水及び13.8g(300ミリモル)のギ酸を入れる。次に、生じる透明の攪拌溶液を5〜10℃に冷却し、25mLの水中に19.4g(100ミリモル)のアゾジカルボン酸二カリウムの溶液を2時間にわたって慎重に添加する。この溶液を気体の放出が止むまで攪拌する。次いで、その溶液を、25%アンモニア水を添加することによってpHを10以下(pH〜10)に調整する。5〜10℃で1時間攪拌した後、白色固体を集め、水で数回洗浄する。次に、その白色固体を15mLの2−プロパノールに80℃で懸濁させ、37%塩酸水溶液を添加することによって明確に酸性とする。次いで、その透明溶液を室温に冷却した後、0〜5℃に冷却する。生じる白色結晶をフィルター上に集め、2−プロパノール10mLで洗浄する。次に、その湿性固体を真空中、50℃、湿性N流中で乾燥させ、オレフィン性不純物を含まない塩酸オキシコドン一水和物を得る。
【0041】
ジイミド還元剤は、ヒドラジン又はヒドラジン水和物から、O、H又は空気の存在下、銅触媒(例えば、酢酸もしくは硫酸銅(II))又は鉄錯体(例えば、フェロシアン酸カリウム)の存在下で、生成させることもできる。他の遷移金属を用いることもできる。
【0042】
α−β−不飽和ケトンは、ジイミド還元の良好な基質ではないため、超大過剰を必要とするが、ケトンは一般には還元されず、かつ試薬は安価であり、それがこれを実施可能な手段とする。この手段は、限定はされず、このクラスの化合物の全てのものに適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オピオイド鎮痛剤組成物中のα,β−不飽和ケトンの量を減少させるための方法であって、α,β−不飽和ケトン不純物を有する出発オピオイド鎮痛剤組成物をジイミド、ジイミド前駆体又はそれらの組み合わせを用いて適切な溶媒中で水素化し、その結果生じる、前記出発組成物より低いα,β−不飽和ケトンのレベルを有するオピオイド鎮痛剤組成物を生成することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ジイミド前駆体がアゾジカルボン酸二カリウムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水素化を還流下で行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群より好ましく選択されるアルコールである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記オピオイド鎮痛剤組成物を水素化後に回収することをさらに含み、好ましくは、該回収工程が前記オピオイド鎮痛剤組成物を結晶化することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記オピオイド鎮痛剤が式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;オキソ;ヒドロキシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルキル;及びC3−6シクロアルコキシからなる群より選択され;並びに
は水素;ヒドロキシル;もしくはアルコキシであり;
は、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり;
ここで、7〜8位の結合が飽和であるとき、Rはオキソである。)
又はそれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
オピオイド鎮痛剤が式(III)の化合物:
【化2】

(式中、
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;オキソ;ヒドロキシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルコキシからなる群より選択され;並びに
は、水素;ヒドロキシル;アルコキシ;C1−8アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ及びジアルキルアミノからなる群の1〜3種で置換されたC1−8アルキルであり;
は、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルである。)
又はそれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記オピオイド鎮痛剤がオキシコドン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、コデイン、モルヒネ、ブプレノルフィン、それらの薬学的に許容し得る塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記水素化が、25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満のα,β−不飽和ケトンレベルを有するオピオイド鎮痛剤組成物を生成する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記α,β−不飽和ケトンが式(II)の化合物:
【化3】

(式中:
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素、ヒドロキシルもしくはアルコキシであり;
は、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルである。)
又はそれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
オピオイド鎮痛剤組成物の製造方法であって、α,β−不飽和ケトン組成物をジイミド、ジイミド前駆体又はそれらの組み合わせを用いて適切な溶媒中で水素化し、オピオイド鎮痛剤組成物を形成することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記ジイミド前駆体がアゾジカルボン酸二カリウムである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記水素化を還流下で行う、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群より好ましく選択されるアルコールである、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記オピオイド鎮痛剤組成物を水素化後に回収することをさらに含み、好ましくは、該回収工程が前記オピオイド鎮痛剤組成物を結晶化することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記α,β−不飽和ケトンが式(II)の化合物:
【化4】

(式中:
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素、ヒドロキシルもしくはアルコキシであり;
は、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルである。)
又はそれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記オピオイド鎮痛剤が式(I)の化合物:
【化5】

(式中、
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;オキソ;ヒドロキシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルキル;及びC3−6シクロアルコキシからなる群より選択され;並びに
は水素;ヒドロキシル;もしくはアルコキシであり;
は、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり;
ここで、7〜8位の結合が飽和であるとき、Rはオキソである。)
又はそれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記オピオイド鎮痛剤が式(III)の化合物:
【化6】

(式中、
Rは、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;C1−8アルキル;C3−6シクロアルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルコキシ;2−(4−モルホリニル)エチル;ベンジルオキシカルボニル;(RC(O)−;フェニル(C1−3)アルキル;並びにC1−8アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、ジアルキルアミノ及びシアノからなる群の1〜3種で置換されたフェニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素;オキソ;ヒドロキシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルコキシからなる群より選択され;並びに
は、水素;ヒドロキシル;アルコキシ;C1−8アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ及びジアルキルアミノからなる群の1〜3種で置換されたC1−8アルキルであり;
は、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジルである。)
又はそれらの薬学的に許容し得る塩である、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記オピオイド鎮痛剤がオキシコドン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、コデイン、モルヒネ、ブプレノルフィン、それらの薬学的に許容し得る塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記水素化が、25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満又は約5ppm未満のα,β−不飽和ケトンレベルを有するオピオイド鎮痛剤組成物を生成する、請求項11記載の方法。

【公表番号】特表2008−531626(P2008−531626A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557403(P2007−557403)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001798
【国際公開番号】WO2006/094672
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)