説明

オフセット印刷用洗浄剤およびオフセット印刷装置の洗浄方法

【課題】オフセット印刷用洗浄剤として、特定のアルキレングリコールエーテルと、水とを所定割合で用いることにより、インキおよび紙粉の洗浄性に優れるとともに、印刷版における画線部やエッチ液への悪影響が少ないオフセット印刷用洗浄剤を提供する。
【解決手段】アルキレングリコールエーテルと、水と、を含むオフセット印刷用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法であって、アルキレングリコールエーテルの水溶解性を、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値とするとともに、水100重量に対して、アルキレングリコールエーテルの配合量を400〜2000重量部の範囲内の値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷用洗浄剤およびそれを用いたオフセット印刷装置の洗浄方法に関する。特に、オフセット印刷装置におけるインキのみならず、紙粉除去性等に優れたオフセット印刷用洗浄剤およびそれを用いたオフセット印刷装置の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷用洗浄剤は、インキの洗浄性が要求されるのはもとより、近年における紙質の低下により、紙粉が発生しやすくなっており、オフセット印刷装置から、かかる紙粉の良好な除去性が望まれている。
ここで、洗浄除去を必要とする紙粉とは、ブランケット、圧胴、インキローラに付着するものであって、特に印刷方向に対して左右両端に付着堆積し、紙の切断面付近に多く発生することが確認されている。
また、紙粉の構成成分としては、製紙時に使用されるパルプ、でんぷん、サイズ剤、コート剤、およびインキ等の混合物であって、堆積すると硬くなり、それにより、ニップ圧のバランスを崩すこととなる。
一方、印刷の品質についても、きれいな肌色が要求されたり、より緻密な印刷品質が要求されたりするようになり、印刷版における画線部を損傷させずに、精度良く印刷可能なオフセット印刷用洗浄剤が望まれていた。
【0003】
そこで、このようなオフセット印刷用洗浄剤の一つとして、インキと紙粉を同時に洗浄可能で、乾燥性が良く、ブランケットの構成材料としてのゴム成分を膨潤させることなく、安価で、かつ作業性に優れたオフセット印刷機のブランケット用洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献1)。
かかるブランケット用洗浄剤によれば、芳香族核の水素添加用金属触媒を用いて、圧力30〜100kg/cm2、温度100〜300℃の条件下に、石油を核水素添加処理し、次いで、精密蒸留することにより得られた芳香族炭化水素含有量が3%以下であり、沸点が150〜200℃の範囲にある炭化水素混合物溶剤からなるブランケット用洗浄剤である。
【0004】
また、オフセット印刷機における圧胴汚れを簡便に除去することができる圧胴洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献2)。
より具体的には、炭素原子数16〜24の直鎖状不飽和脂肪酸を10質量%以上含有し、それに研磨剤や水を含有する乳化型圧胴洗浄剤であって、好適には、シリコーン化合物や界面活性剤をさらに含有する乳化型圧胴洗浄剤である。
【0005】
また、プロピレン系グリコールエーテルと、プロピレン系グリコールエーテルアセテートと、水と、を含む洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。
より具体的には、実施例の一例ではあるが、プロピレングリコールモノメチルエーテル25重量%と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60重量%と、水15重量%と、を含む洗浄剤組成物である。
【0006】
また、印刷機用洗浄剤として、炭化水素類、有機酸エステル、所定のグリコール化合物及び水を含有する印刷機用洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献4)。
より具体的には、炭化水素類20〜70重量%、有機酸エステル5〜55重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を20〜70重量%、水5〜55重量%を含有する印刷機用洗浄剤である。
【0007】
また、印刷機用洗浄剤として、炭素数1〜6の炭化水素基を有するグリコール化合物と、炭素数8〜18の炭化水素基を有するグリコール化合物と、多価アルコールと、水、とからなる印刷機用洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献5)。
【特許文献1】特開平6−184596号公報
【特許文献2】特開2008−80636号公報
【特許文献3】特開平9−59682号公報
【特許文献4】特開平11−80792号公報
【特許文献5】特許3698187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された炭化水素混合物溶剤からなるブランケット用洗浄剤は、紙粉除去性のレベルが不十分であって、また、水ローラ等の洗浄を実施した際に、エッチ液面に油滴を生じ、これに起因して印刷物に地汚れを発生させるという問題が見られた。
また、特許文献2に開示された乳化型圧胴洗浄剤は、紙粉除去性については優れているものの、含有された研磨剤が印刷版に飛散して、インキの付着量が減少し、色抜けになるという問題が見られた。
さらに、特許文献2に開示された乳化型圧胴洗浄剤は、界面活性剤を添加した場合、印刷版における画線部が消失したり、シリコーン化合物を添加した場合、印刷版に飛散して、インキの付着量が減少したりするという不具合も見られた。
【0009】
また、特許文献3に開示された洗浄剤組成物を、オフセット印刷用洗浄剤に用いた場合、洗浄剤に含まれるグリコール化合物等によって、印刷版における画線部が損傷しやすいという問題が見られた。
また、特許文献4に開示された印刷機用洗浄剤は、含有する炭化水素や有機酸エステルが洗浄時に給水ローラを経由してエッチ液に混入して濁らせたり、エッチ液面に油滴を発生させたりして、長期使用した場合には、地汚れという印刷不具合を発生させるという問題が見られた。
さらに、特許文献5に開示された洗浄剤は、洗浄剤に含まれるテトラプロピレングリコールイソオクチルエーテルが、洗浄時に水ローラを経由してエッチ液に混入して濁らせたり、エッチ液面に油滴を発生させたりして、長期使用した場合には地汚れという印刷不具合が発生するという問題が見られた。
【0010】
そこで、本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の水溶解性を有するアルキレングリコールエーテルと、水と、を含むとともに、アルキレングリコールエーテルの配合量を、水に対して、所定量の範囲内の値とすることによって、オフセット印刷装置の洗浄剤として、インキおよび紙粉をそれぞれ効率的に洗浄することができるとともに、印刷版における画線部を損傷させることなく、高品質のオフセット印刷画像が得られ、かつ、エッチ液を濁らせないことを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、諸特性のバランスに優れ、相反するインキおよび紙粉の洗浄性にそれぞれ優れるとともに、印刷版における画線部やエッチ液への悪影響が少ないオフセット印刷用洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、アルキレングリコールエーテルと、水と、を含むオフセット印刷用洗浄剤であって、アルキレングリコールエーテルの水溶解性を、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値とするとともに、水100重量に対して、アルキレングリコールエーテルの配合量を400〜2000重量部の範囲内の値とすることを特徴とするオフセット印刷用洗浄剤である。
すなわち、このようなオフセット印刷用洗浄剤であれば、インキおよび紙粉をそれぞれ効率的に洗浄することができるとともに、印刷版における画線部を損傷させることなく、高品質のオフセット印刷画像が得られ、かつ、エッチ液を濁らせないようにすることができる。
【0012】
また、本発明のオフセット印刷用洗浄剤を構成するにあたり、アルキレングリコールエーテルが、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このようなアルキレングリコールエーテルの種類であれば、沸点が比較的高く、取り扱い性に優れているばかりか、インキおよび紙粉をそれぞれ効率的に洗浄することができる。
【0013】
また、本発明のオフセット印刷用洗浄剤を構成するにあたり、オフセット印刷装置における版胴、ブランケット、インキローラ、水ローラ、あるいは圧胴の少なくとも一つを洗浄してなることが好ましい。
このようなオフセット印刷装置の構成の洗浄に対応できることによって、オフセット印刷用洗浄剤としての使い勝手が良好となり、使用価値を高めることができる。
【0014】
また、本発明の別の態様は、オフセット印刷用洗浄剤を用いてなるオフセット印刷装置の洗浄方法であって、以下の工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするオフセット印刷装置の洗浄方法である。
(1)水溶解性が、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値であるアルキレングリコールエーテルを、水100重量部に対して、400〜2000重量部の範囲で配合し、オフセット印刷用洗浄剤とする調整工程
(2)前記オフセット印刷用洗浄剤を用いて、前記オフセット印刷装置を洗浄する洗浄工程
このようなオフセット印刷用洗浄剤を用いてなるオフセット印刷装置の洗浄方法であれば、インキおよび紙粉をそれぞれ効率的に洗浄することができるとともに、印刷版における画線部を損傷させることなく、高品質のオフセット印刷画像が得られ、かつ、エッチ液を濁らせないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、アルキレングリコールエーテルと、水と、を含むオフセット印刷用洗浄剤であって、アルキレングリコールエーテルの水溶解性を、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値とするとともに、水100重量に対して、アルキレングリコールエーテルの配合量を400〜2000重量部の範囲内の値とすることを特徴とするオフセット印刷用洗浄剤である。
【0016】
1.アルキレングリコールエーテル
(1)種類1
室温(25℃)における水溶解性として、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲で溶解するアルキレングリコールエーテルを用いることを特徴とする。すなわち、室温(25℃)で半水溶性を示すアルキレングリコールエーテルを用いることを特徴とする。
この理由は、このような半水溶性を示すアルキレングリコールエーテルであれば、所定割合で、水と混合使用することにより、インキおよび紙粉をそれぞれ効率的に洗浄することができるとともに、印刷版における画線部を損傷させることなく、高品質のオフセット印刷画像が得られ、かつ、エッチ液を濁らせることが少ないオフセット印刷用洗浄剤を提供することができるためである。
【0017】
すなわち、室温(25℃)における水溶解性が、水100重量部に対して3重量部未満であるアルキレングリコールエーテルを用いると、エッチ液に溶解しにくくなって、かかるエッチ液を汚染しやすくなるためである。
一方、室温(25℃)における水溶解性が、水100重量部に対して20重量部超であるアルキレングリコールエーテルを用いると、印刷版における画線部を損傷させ、薄くしたり、消失させたりするためである。
したがって、室温(25℃)における水溶解性として、水100重量部に対して、5〜18重量部の範囲で溶解するアルキレングリコールエーテルを用いることがより好ましく、6〜15重量部の範囲で溶解するアルキレングリコールエーテルを用いることがさらに好ましい。
【0018】
なお、この半水溶性の性質を利用して、水ローラに水がまだ付着しているような状態であってもインキを洗浄することができる。逆に言うと、水100重量部に対して20重量部超である水溶性のアルキレングリコールエーテルを用いた場合には、水ローラに付着した水が追添されることによって、インキの溶解性が乏しくなり、洗浄が困難となるためである。
【0019】
(2)種類2
また、所定の水溶性(半水溶性)を示すアルキレングリコールエーテルとしては、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0020】
例えば、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテルは、印刷版における画線部を損傷することなく、沸点も比較的低く、比較的乾燥が速いため、好ましいアルキレングリコールエーテルである。
すなわち、ブランケットや圧胴に対して、ウエス(廃布)等に洗浄剤を含浸させて手で面を洗浄する洗浄したり、またミストをノズルから吹きつけて洗浄し乾いた連続布で拭き上げる場合や、水ローラを同様にウエス等に洗浄剤を含浸させて手で面を洗浄することができる。
【0021】
また、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテルやジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテルは、印刷版における画線部を損傷することなく、沸点も比較的中程度であることから好ましいアルキレングリコールエーテルである。
すなわち、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテルやジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテルであれば、インキローラの洗浄にも特に好適に適用することができる。
【0022】
さらに、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテルやジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルは、印刷版における画線部を損傷することなく、沸点も比較的高沸点のため、好ましいアルキレングリコールエーテルである。すなわち、連続布に洗浄液を含浸させてその布をブランケットや圧胴に押し当てて洗浄する装置に適用でき、長期にわたって洗浄布が風にさらされても洗浄液が乾燥せず、良好な布状態を維持することができる。
【0023】
(3)沸点
また、アルキレングリコールエーテルの沸点を150〜350℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような沸点のアルキレングリコールエーテルであれば、取り扱いが容易であるばかりか、安全性が高まるためである。
したがって、アルキレングリコールエーテルの沸点を150〜280℃の範囲内の値とすることがより好ましく、150〜250℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0024】
(4)配合量
また、所定の水溶性(半水溶性)を示すアルキレングリコールエーテルの配合量を、水100重量に対して、400〜2000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるアルキレングリコールエーテルの配合量が、400重量部未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためである。
すなわち、親油性のインキを効率的に洗浄することが困難となるとともに、オフセット印刷装置において、例えば、連続ロール紙を使用するような場合には、断紙のおそれが高まるためである。
一方、かかるアルキレングリコールエーテルの配合量が、2000重量部を超えた値になると、相対的に水の配合量が減少し、紙粉を効率的に洗浄することが困難となるとともに、拭き取り時における滑り性が低下するためである。
このように滑り性が低下すると、オフセット洗浄剤を含浸させた布を用いて、人がブランケットや版胴等を洗浄する場合、回転する胴に手を巻き込まれる危険性が生じたり、
オフセット洗浄剤を含浸させた連続布を用いて、ブランケットや版胴等を自動洗浄する場合、接触面でびびりが生じたりして、良好な洗浄ができなくなる。
また、洗浄時におけるインキローラの滑り性を良好とすることによって、洗浄時におけるローラ間や、ブランケットとローラ間の過剰な摩擦を低減し、ブランケットやインキローラの寿命を延ばすことができる。
したがって、所定の水溶性(半水溶性)を示すアルキレングリコールエーテルの配合量を、水100重量に対して、500〜1600重量部の範囲内の値とすることが好ましく、600〜1400重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0025】
2.水
また、水と、上述したアルキレングリコールアルキルエーテルと、を所定量で混合することにより、インキおよび紙粉の洗浄性に優れるとともに、印刷版における画線部やエッチ液への悪影響が少ないオフセット印刷用洗浄剤を提供することができる。
ここで、水の混合比率に関し、上述したように、水100重量部に対して、アルキレングリコールエーテルの配合量が400〜2000重量部の範囲内の値となるように、決定することが好ましく、500〜1600重量部の範囲内の値となるように、決定することがより好ましく、600〜1400重量部の範囲内の値となるように、決定することがさらに好ましい。
【0026】
すなわち、所定割合の水の配合によって、以下の特性を得ることができる。
1)洗浄時におけるブランケットやインキローラの滑りを付与することとなり、洗浄時におけるローラ間や、ブランケットとローラ間の過剰な摩擦を低減し、ブランケットやインキローラの寿命を延ばすことができる。
2)紙粉の除去において、紙粉の成分であるでんぷん等を膨潤させて洗浄効果を高めることができる。
【0027】
よって、オフセット印刷用洗浄剤における水の含有量が過度に少なくなると、紙粉の除去性が低下したり、滑りにくくなったりする。
一方、オフセット印刷用洗浄剤における水の含有量が過度に多くなると、インキの洗浄性が劣ったり、オフセット印刷装置において、例えば、連続ロール紙を使用するような場合には、断紙のおそれが高まるためである。
なお、オフセット印刷用洗浄剤における水の含有量を調節し、引火点を消失させることもでき、より安全性を高くすることもできる。
より具体的な一例をあげると、ジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル85重量部、水15重量部の組成の場合である。
【0028】
3.界面活性剤
また、オフセット印刷用洗浄剤は、界面活性剤を含むことができるが、その場合であっても、当該界面活性剤の含有量を、全体量に対して、3重量%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、このような所定量の界面活性剤であれば、インキおよび紙粉に対する洗浄性のさらなるバランスを採ることができるとともに、高品質のオフセット印刷画像が得られるためである。
すなわち、所定量以上添加すると、エッチ液を汚染したり、エッチ液の表面張力に影響を与えるおそれが生じるが、このような所定量の界面活性剤であれば、そのような問題の発生を抑制しつつ、高品質のオフセット印刷画像が得られる場合があるためである。
したがって、オフセット印刷用洗浄剤が界面活性剤を含む場合、その界面活性剤の含有量を、全体量に対して、0.01〜2重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
なお、界面活性剤の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル等に代表される非イオン系界面活性剤であることが好ましい。
【0030】
4.添加剤
また、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力等のさらなる調整や、多機能化あるいは長期保存性付与等のために、オフセット印刷用洗浄剤中に、表面張力低下剤(エチレングリコールモノヘキシルエーテル等)、スケール防止剤やキレート剤(グルコン酸ソーダ等)、防錆剤(炭酸アンモニウム等)、酸中和剤(テトラアルキルアンモニウムハイドライド、アンモニア等)、アルカリ中和剤(酢酸、ギ酸、塩酸等)、酸化還元剤(過酸化水素等)、酸化防止剤(ブチルヒドロトルエン等)、着色剤の少なくとも一つを添加することも好ましい。
その場合、添加剤の種類にもよるが、通常、かかる添加剤の添加量を、オフセット印刷用洗浄剤の全体量に対して、0.005〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
【0031】
なお、水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルのアルキルエステル類、アルコール類、アルコールのアルキルエステル類、およびその他の水溶性溶剤も、その配合量が少量であれば、例えば、全体量に対して、20重量%以下の値であれば、添加剤として、配合することも好ましい。
【0032】
5.諸特性
(1)沸点
また、オフセット印刷用洗浄剤の沸点を有する場合、その沸点を100〜350℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、安全性が高くなって、その取り扱いが容易になるためである。したがって、オフセット印刷装置に対して、当該洗浄剤を吹き付けて使用したような場合であっても、オフセット印刷装置を迅速かつ安全に除去することができる。
但し、オフセット印刷用洗浄剤の沸点が過度に高くなると、自然乾燥性が著しく低下する場合がある。
したがって、オフセット印刷用洗浄剤の沸点を100〜280℃の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜250℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、オフセット印刷用洗浄剤の沸点は、アルキレングリコールアルキルエーテルの含有量(相対的に水の含有量)や、使用するアルキレングリコールアルキルエーテルの種類等の変更によって、所定範囲内の値に調整することができる。
【0033】
(2)表面張力
また、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力を25〜35mN/mの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力の値を制限することにより、オフセット印刷装置の各構成部品に対する濡れ性をさらに向上させることができ、結果として、インキおよび紙粉をそれぞれ効率的に洗浄することができる。
より具体的には、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力が25mN/m未満の値になると、洗浄後のブランケットの表面張力が低下したり、インキに水が混入し易くなり、印刷面ににじみが生じる場合があるためである。
一方、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力が35mN/mを超えた値になると、ブランケット上での洗浄剤のぬれ広がりが低下し、洗浄性にむらが発生する場合があるためである。
【0034】
したがって、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力を26〜33mN/mの範囲内の値とすることがより好ましく、28〜32mN/mの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、オフセット印刷用洗浄剤の表面張力は、上述したように、アルキレングリコールアルキルエーテルの含有量(相対的に水の含有量)や、使用するアルキレングリコールアルキルエーテルの種類の変更等によって、所定範囲内の値に調整することができる。
【0035】
(3)引火点
また、オフセット印刷用洗浄剤が引火点を有する場合、その引火点を21〜140℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、オフセット印刷装置に対して、当該洗浄剤を吹き付けて使用したような場合であっても、オフセット印刷装置に付着するインキを迅速かつ安全に除去することができる。
但し、オフセット印刷用洗浄剤の引火点が過度に高くなると、自然乾燥性が著しく低下する場合がある。
したがって、オフセット印刷用洗浄剤の引火点を21〜140℃の範囲内の値とすることがより好ましく、41〜100℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
そして、オフセット印刷用洗浄剤の引火点を40℃以上の値とすることにより、法定上の防爆設備とする制約がなくなるため、処理装置をさらに小型化できるという利点も得られる。
なお、オフセット印刷用洗浄剤の引火点は、アルキレングリコールアルキルエーテルの含有量(相対的に水の含有量)や、使用するアルキレングリコールアルキルエーテルの種類等の変更によって、所定範囲内の値に調整することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、オフセット印刷用洗浄剤を用いてなるオフセット印刷装置の洗浄方法であって、以下の工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするオフセット印刷装置の洗浄方法である。
(1)水溶解性が、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値であるアルキレングリコールエーテルを、水100重量部に対して、400〜2000重量部の範囲で配合し、オフセット印刷用洗浄剤とする調整工程
(2)オフセット印刷用洗浄剤を用いて、オフセット印刷装置を洗浄する洗浄工程
【0037】
1.調整工程
半水溶性のアルキレングリコールエーテルと、水とを、所定量の割合で配合し、オフセット印刷用洗浄剤とする調整工程である。
なお、オフセット印刷用洗浄剤の態様としては、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0038】
2.洗浄工程
(1)洗浄対象
オフセット印刷装置を対象とする。例えば、図1や図2に、対象として典型的なオフセット印刷装置(片面印刷用、両面印刷用)をそれぞれ示す。
すなわち、図1や図2に示すオフセット印刷装置10、30における版胴14、ブランケット12、インキローラ16、水ローラ18、あるいは圧胴13の少なくとも一つを洗浄してなることが好ましい。
この理由は、このようなオフセット印刷装置の構成の洗浄に対応できることによって、オフセット印刷用洗浄剤としての使い勝手が良好となり、使用価値を高めることができるためである。
なお、オフセット印刷装置には、所定画像を1枚づつの紙に対して印刷する方式のオフセット毎葉装置と、ロール状の紙を高速で印刷する方式のオフセット輪転装置があるが、いずれもオフセット印刷装置の一態様として、洗浄対象となる。
【0039】
(2)洗浄条件
また、オフセット印刷装置の洗浄条件については、特に制限されるものではなく、例えば、オフセット印刷用洗浄剤を吹付けたり、オフセット印刷用洗浄剤に浸漬したり、あるいは、オフセット印刷用洗浄剤を含浸させた布等を、オフセット印刷装置の構成部品にこすりつけても良い。
【0040】
例えば、比較的乾燥性の速いオフセット印刷用洗浄剤の場合、より具体的には、一例であるが、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル90重量%と、水10重量%とからなるオフセット印刷用洗浄剤の場合、ブランケットや圧胴を洗浄するに際して、布等にオフセット印刷用洗浄剤を含浸させて手洗い洗浄したり、霧状のスプレーミストを噴霧して布で拭き上げたりすることが好ましい。
【0041】
また、かかる比較的乾燥性の速いオフセット印刷用洗浄剤は、水ローラの洗浄にも好ましく適用することができ、水ローラがまだ水に濡れていたとしても、良好に洗浄することができる。また、水ローラの洗浄に適用したとしても、エッチ液の白濁が少ないという効果を得ることができる。
【0042】
一方、比較的乾燥性が遅いオフセット印刷用洗浄剤の場合、より具体的には、一例であるが、ジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル90重量%と、水10重量%とからなるオフセット印刷用洗浄剤の場合、ブランケットや圧胴を洗浄するにあたり、予め洗浄剤を含浸させた連続した布を自動的にブランケットや圧胴に押し当てて自動洗浄することが好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0044】
[実施例1]
1.オフセット印刷用洗浄剤の作成
表1に示す配合組成であって、所定温度のオフセット印刷用洗浄剤を作成した。すなわち、攪拌装置および加熱装置を備えた2Lの蓋付き容器内に、900gのジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル(沸点:212℃、水100重量部に対して、19重量部溶解)と、100gの水と、を収容した後、攪拌装置を用いて10分間攪拌し、実施例1のオフセット印刷用洗浄剤を得た。
【0045】
2.オフセット印刷用洗浄剤の評価
(1)印刷版の耐性評価(評価1)
図1に示すオフセット印刷装置に使用される印刷版における画線部に対して、オフセット印刷用洗浄剤を滴下して、そのまま30分間放置した。
次いで、オフセット印刷用洗浄剤による印刷版の耐性評価を、以下の基準に沿って、目視にて行った。
◎:画線部の消失が全く観察されず、実用上問題がない。
○:画線部の消失がほとんど観察されず、実用上問題がない。
△:画線部の消失が一部観察されたが、実用上許容範囲である。
×:画線部が消失し、実用上、使用できない。
【0046】
(2)水ローラの洗浄性評価(評価2)
オフセット印刷装置で、24時間、所定画像を連続印刷した。その後、インキおよびエッチ液の付着した水ローラを、オフセット印刷用洗浄剤を含浸させた布で手洗いし、以下の基準に沿って、水ローラの洗浄性評価を目視にて行った。
◎:水ローラに付着したインキを軽い力で、迅速に洗浄除去することができる。
○:水ローラに付着したインキを洗浄するのに強い力が必要だが、インキを洗浄除去することができる。
△:水ローラに付着したインキを洗浄するのに強い力が必要であって、ほとんどのインキを洗浄除去することができる。
×:強い力で洗浄しても、水ローラに付着したインキを洗浄除去することが困難である。
【0047】
(3)インキローラの洗浄性評価(評価3)
オフセット印刷装置を用いて、1週間、所定画像を連続印刷した。その後、オフセット印刷用洗浄剤によるインキローラの洗浄性評価を、以下の基準に沿って、インキおよび紙粉それぞれについて、目視にて行った。
すなわち、かかる洗浄性評価は、オフセット印刷装置を稼動させながら、所定量のオフセット印刷用洗浄剤をインキロールに対して、かけ流し続け、インキローラからインキおよび紙粉が洗浄除去されるまでの運転時間によった。
なお、参考として、図3(a)〜(b)に、インキローラの洗浄前後における表面状態の写真を示す。
◎:10分以内で洗浄除去可能である。
○:15分以内で洗浄除去可能である。
△:20分以内で洗浄除去可能である。
×:洗浄除去に20分以上かかるか、または洗浄除去することができない。
【0048】
(4)ブランケットの洗浄性(評価4)
オフセット印刷装置において、2日間、石油系洗浄剤(コスモペトロテック社製、ペトロゾールP−1S)を用いてブランケットを適宜洗浄しながら、所定画像を印刷した。
次いで、オフセット印刷用洗浄剤を含浸させた布でブランケットを手拭き洗浄して、オフセット印刷用洗浄剤によるブランケットの洗浄性評価を、インキおよび紙粉それぞれについて、以下の基準に沿って、目視にて行った。
すなわち、オフセット印刷装置を稼動させながら、オフセット印刷用洗浄剤を含浸させた布で、ブランケットを拭き、かかるブランケットが何回転する間に、インキおよび紙粉がそれぞれ洗浄除去できるか評価した。
なお、参考として、図4(a)〜(b)に、ブランケットの洗浄前後における表面状態の写真を示す。
◎:1回転で洗浄除去することができる。
○:2回転で洗浄除去することができる。
△:3回転で洗浄除去することができる。
×:洗浄除去に4回転以上かかるか、または洗浄することができない。
【0049】
(5)エッチ液の耐性評価(評価5)
水ローラ洗浄性評価後、水ローラを回転させながら、その際のエッチ液の耐性評価を、以下の基準に沿って、エッチ液を満たしている給水用水船の状態を目視にて行った。
◎:エッチ液が全体として透明である。
○:エッチ液が全体としてほとんど透明である。
△:エッチ液が全体として一時的に白濁しているが、すぐに透明になる。
×:エッチ液が白濁しており、エッチ液面に油滴が浮遊している状態である。
【0050】
(6)断紙耐性評価(評価6)
オフセット印刷装置を用いて、塗工紙ロール2本分に対して、所定画像を連続印刷し、次いで、ブランケットの自動洗浄を実施するサイクルを1サイクルとして、5サイクル繰り返した。その後、以下の基準で、オフセット印刷用洗浄剤による断紙耐性評価を行った。
◎:5サイクル中、1回も断紙がなかった。
○:5サイクル中、1回断紙した。
△:5サイクル中、2回断紙した。
×:5サイクル中、3回以上断紙した。
【0051】
[実施例2〜7]
実施例2〜7では、実施例1に準拠して、表1に示す配合組成のオフセット印刷用洗浄剤を作成するとともに、諸特性の測定を行った。評価結果を表2に示す。
【0052】
なお、表1に示すように、実施例2では、半水溶性のアルキレングリコールエーテルとして、所定量のプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル(沸点:170℃、水100重量部に対して、6重量部溶解)を用いた。
【0053】
また、実施例3では、半水溶性のアルキレングリコールエーテルとして、所定量のプロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル(沸点:153℃、水100重量部に対して、17重量部溶解)を用いた。
【0054】
また、実施例4では、半水溶性のアルキレングリコールエーテルとして、所定量のジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル(沸点:229℃、水100重量部に対して、5重量部溶解)を用いた。
【0055】
また、実施例5および6では、半水溶性のアルキレングリコールエーテルとして、所定量(80重量%、95重量%)のエチレングリコールジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル(沸点:250℃以上、水100重量部に対して、8重量部溶解)をそれぞれ用いた。
【0056】
さらに、実施例7では、半水溶性のアルキレングリコールエーテルとして、所定量のトリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル(沸点:274℃、水100重量部に対して、3重量部溶解)及びジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(沸点:250℃以上、水100重量部に対して、8重量部溶解)の混合物を用いた。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

評価1:印刷版耐性評価
評価2:水ローラの洗浄性評価
評価3:インキローラの洗浄性評価
評価4:ブランケットの洗浄性評価
評価5:エッチ液耐性評価
評価6:断紙耐性評価
【0059】
[比較例1〜6]
比較例1〜6では、実施例1に準拠して、表1に示す配合組成のオフセット印刷用洗浄剤を作成するとともに、諸特性の測定を行った。評価結果を表2に示す。
なお、表1に示すように、比較例1および2では、アルキレングリコールエーテルとして、所定量(75重量%、97重量%)の半水溶性のジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(沸点250℃以上、水100重量部に対して、8重量部溶解)を用いた。
【0060】
また、比較例3では、アルキレングリコールエーテルとして、水溶性のジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点190℃、水に任意溶解)を用いた。
また、比較例4では、アルキレングリコールエーテルとして、難水溶性のジエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル(沸点259℃、水100重量部に対して、1.7重両部溶解)を用いた。
【0061】
また、比較例5では、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテルおよびスワゾール1000(炭化水素溶剤、沸点161〜179℃、水に不溶)を用いた。
また、比較例6では、スワゾール1800(炭化水素溶剤、沸点195〜245℃、水に不溶)のみを用いた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、オフセット印刷用洗浄剤として、特定のアルキレングリコールエーテルと、水とを所定割合で用いることにより、インキおよび紙粉の洗浄性に優れるとともに、印刷版における画線部やエッチ液への悪影響が少ないオフセット印刷用洗浄剤を提供することが可能となった。
すなわち、本発明によれば、以下のような効果が得られるようになった。
(1)インキおよび紙粉の良好な洗浄性を確保することができる。
(2)研磨剤を実質的に含有せず、印刷版やブランケット、インキローラ等を物理的に傷つけることがない。
(3)完全非水溶性の炭化水素や植物油などの油分を実質的に含まないでも所定の洗浄性が得られることから、エッチ液に混入して白濁したり、油滴となって液面に浮遊し、エッチ液を汚染したりすることが少ない。
(4)界面活性剤を実質的に含まないでも所定の洗浄性が得られることから、印刷版におけるにおける画線部の色を薄くしたり、消失させたり、またブランケットの表面状態を変化させたり、エッチ液の表面張力を変化させたり、さらにはインキの過乳化を起こさせることが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】オフセット印刷装置を説明するために供する図である。
【図2】別なオフセット印刷装置を説明するために供する図である。
【図3】(a)〜(b)は、オフセット印刷用洗浄剤によるブランケットに対する洗浄効果を説明するための洗浄前後における表面写真(倍率×200)である。
【図4】(a)〜(b)は、オフセット印刷用洗浄剤によるインキローラに対する洗浄効果を説明するための洗浄前後における表面写真(倍率×200)である。
【符号の説明】
【0064】
10:片面印刷用オフセット印刷装置
12、12a、12b:ブランケット
13:圧胴
14、14a、14b:印刷版
15a、15b:インキ装置(インキつぼ)
16、16a、16b:インキローラ
18、18a、18b:水ローラ
22、22a、22b:湿し装置(水上げローラ、給水用水船)
30:両面印刷用オフセット印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレングリコールエーテルと、水と、を含むオフセット印刷用洗浄剤であって、
前記アルキレングリコールエーテルの水溶解性を、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値とするとともに、
前記水100重量に対して、前記アルキレングリコールエーテルの配合量を400〜2000重量部の範囲内の値とすることを特徴とするオフセット印刷用洗浄剤。
【請求項2】
前記アルキレングリコールエーテルが、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用洗浄剤。
【請求項3】
オフセット印刷装置における印刷版、ブランケット、インキローラ、水ローラ、あるいは圧胴の少なくとも一つを洗浄してなることを特徴とする請求項1または2に記載のオフセット印刷用洗浄剤。
【請求項4】
オフセット印刷用洗浄剤を用いてなるオフセット印刷装置の洗浄方法であって、以下の工程(1)〜(2)を含むことを特徴とするオフセット印刷装置の洗浄方法。
(1)水溶解性が、水100重量部に対して、3〜20重量部の範囲内の値であるアルキレングリコールエーテルを、水100重量部に対して、400〜2000重量部の範囲で配合し、オフセット印刷用洗浄剤とする調整工程
(2)前記オフセット印刷用洗浄剤を用いて、前記オフセット印刷装置を洗浄する洗浄工程

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−138277(P2010−138277A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315606(P2008−315606)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000123491)化研テック株式会社 (15)
【Fターム(参考)】