説明

オブジェクトの周囲にテキストをレイアウトする際のパスフィルアルゴリズムの適用

【課題】オブジェクトの周囲にテキストをレイアウトする際にパスフィルアルゴリズムを適用する。
【解決手段】除外領域(ER)を有するページ上に配置するテキストラインを含む電子文書(ED)を取得するステップと、ページの余白に対応する第一サブパスとページ上のERに対応する第二サブパスとを含むページのパスを取得するステップと、パスを入力したパスフィルアルゴリズムを用いて、余白及びERを除外したページ上の領域を計算するステップと、ページ上において、領域を計算した後に、ページ上のERと交差し、テキストラインの寸法を有するラインバンドを、選択するステップと、領域とラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定し、複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、ページをレンダリングするステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオブジェクトの周囲にテキストをレイアウトする際のパスフィルアルゴリズムの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
二次元平面上のパス内におけるフィル(例えば、色を用いたもの等)は、コンピューターグラフィックスにおける一般的な課題であり、これをどのように実行するかのアルゴリズム(すなわち、パスフィルアルゴリズム)は一般的であり、確立されている。通常これらのアルゴリズムを用いる結果、塗られる画素のスキャンラインが生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ワードプロセッサーやページレイアウトアプリケーション等の現在のソフトウェアアプリケーションにおいては、画像やグラフィック等の他のオブジェクトの周囲に密接して配置されたテキストを含むページを作成することができる。テキストによってオブジェクトの辺がすべて囲まれることがある。このような場合、各単語の完全性を保つ必要がある。あるページにこのようなオブジェクトが数多く存在し、これらのオブジェクトの形が任意のものであるとすると、テキストをどのようにレイアウトするかを決定するアルゴリズムは複雑となることがあり、このようなアルゴリズムはパスフィルアルゴリズムと異なって一般的ではなく、確立もされていない。これは、すなわち、このようなアルゴリズムを実現するためのコンピューターコードやハードウェアを書いたり維持したりするには多くの時間を浪費することになり、またエラーが発生しやすいものとなりうることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、ある側面によれば、本発明はページ上にテキストラインを配置する方法に関する。当該方法は除外領域(ER)を有するページ上に配置するテキストラインを含む電子文書(ED)を取得するステップと、前記ページの余白に対応する第一サブパスと前記ページ上のERに対応する第二サブパスとを含む前記ページのパスを取得するステップと、前記パスを入力したパスフィルアルゴリズムを用いて、前記余白及び前記ERを除外した前記ページ上の領域を計算するステップと、前記ページ上において、前記領域を計算した後に、前記ページ上の前記ERと交差し、前記テキストラインの寸法を有するラインバンドを、選択するステップと、前記領域と前記ラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定し、前記複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、前記複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、前記ページをレンダリングするステップと、を備える。
【0005】
一般に、ある側面によれば、本発明はページ上にテキストラインを配置する命令を含む、非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体に関する。当該命令は以下の機能を実行させる命令であって、除外領域(ER)を有するページ上に配置するテキストラインを含む電子文書(ED)を取得するステップと、前記ページの余白に対応する第一サブパスと前記ページ上のERに対応する第二サブパスとを含む前記ページのパスを取得するステップと、前記パスを入力したパスフィルアルゴリズムを用いて、前記余白及び前記ERを除外した前記ページ上の領域を計算するステップと、前記ページ上において、前記領域を計算した後に、前記ページ上の前記ERと交差し、前記テキストラインの寸法を有するラインバンドを、選択するステップと、前記領域と前記ラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定し、前記複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、前記複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、前記ページをレンダリングするステップと、を備える。
【0006】
一般に、ある側面によれば、本発明はページ上にテキストラインを配置するシステムに関する。当該システムは、ハードウェアプロセッサーと、ハードウェアプロセッサー上で実行され、テキストラインと除外領域(ER)とを含む電子文書のページ上のパスで、前記ページの余白に対応する第一サブパスと前記ERに対応する第二サブパスとを含むパスを定義するように構成された、パス生成モジュールと、ハードウェアプロセッサー上で実行され、前記パスに基づいて前記ページ上の領域を計算するように構成された、パスフィルモジュールと、前記プロセッサー上で実行され、前記ページ上の前記ERと交差し、前記テキストラインの寸法を有するラインバンドを選択し、前記領域と前記ラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定し、前記複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、前記複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、前記ページをレンダリングする、ように構成される、配置モジュールと、を備える。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下の明細書の記載及び添付されるクレームにおいて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の一以上の実施形態におけるシステムを表すブロック図を図示する。
【図2】図2は本発明の一以上の実施形態におけるあるページを図示する。
【図3】図3は本発明の一以上の実施形態におけるフローチャートを図示する。
【図4】図4は本発明の一以上の実施形態の一例を図示する。
【図5】図5は本発明の一以上の実施形態におけるコンピューターシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明する。整合性を図るため、各図面における類似の要素には同様の参照符号が付加される。
【0010】
以下の発明の詳細な説明においては、本発明のより深い理解を提供するためにいくつかの具体的詳細について説明がされる。しかし、これらの具体的詳細によらなくても本発明を実施しうることは当業者にとっては明らかであろう。その他の場面においては、不必要に複雑な説明を回避するため、周知の要素については詳細な説明が省略されている。
【0011】
一般に、本発明の実施形態によれば、ページ上のあらゆる形をした除外領域(例えば、クリップアート、写真、動画クリップ等)の周囲にテキストを配置する際にパスフィルアルゴリズムを用いるシステム及び方法が提供される。具体的には、各ページについて、ページの余白に対応する余白サブパス及びページ上の除外領域に対応する一以上の除外領域サブパスを含むベクターパスが取得される。テキストを配置するページ上の領域が、ベクターパスを入力したパスフィルアルゴリズムを用いて計算される。さらに、テキストライン毎にラインバンドが生成され、ページ上に配置される。ラインバンドはテキストラインと同じ高さを有し、テキストラインと同じ垂直位置に位置し、ページの幅全体にわたる。ラインバンドと上記領域とが交差する結果として形成される区分においてテキストラインのテキストを配置することができる。
【0012】
図1は本発明の一以上の実施形態におけるシステム(100)を図示する。図1に示されるように、上記システム(100)はページレンダリング装置(112)、演算装置(102)を含む複数の構成要素を備える。PRD(112)はプリンター、電子リーダー等により構成されうる。演算装置(102)はパーソナルコンピューター(PC)、デスクトップコンピューター、メインフレーム、サーバー、電話、キオスク、ケーブルボックス、PDA、電子リーダー、携帯電話、スマートフォン等により構成されうる。演算装置(102)とPRD(112)との間を直接接続しうる(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続等)。また、演算装置(102)とPRD(112)とは有線及び/又は無線部分を有するネットワーク(120)を通じて接続しうる。
【0013】
本発明の一以上の実施形態においては、PRD(112)は演算装置(102)に配置される。このような実施形態においては、PRD(112)は演算装置(102)に含まれる、EDをレンダリングするためのあらゆるハードウェア及びソフトウェアの組合せに対応しうる。
【0014】
本発明の一以上の実施形態においては、演算装置(102)はユーザーアプリケーションを実行する(104)。ユーザーアプリケーション(104)はユーザーによって実行されるソフトウェアアプリケーションであり、任意のページ数を有するED(例えば電子文書(106))を取得、入力、生成、表示及び/又は印刷するために構成される。よって、ユーザーアプリケーション(104)は、ワードプロセッサーアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、デスクトップパブリッシングアプリケーション、グラフィックスアプリケーション、写真プリントアプリケーション、インターネットブラウザー等によって構成されうる。ユーザーアプリケーション(104)によって新たなEDを生成するか及び/又は予め保存されたEDを取得しうる。
【0015】
本発明の一以上の実施形態においては、ED(106)の各ページは一以上のテキストライン(例えば、題名、見出し、段落、一文、一単語、署名ブロック等)及び/又は0以上の除外領域(例えば、クリップアート、写真、スキャンされた画像、動画クリップ、音声クリップ等)を有する。一般に、「除外領域」という用語に該当するのは、クリップアート、写真、動画クリップ等に占められるためテキストを配置することができないページ上の領域である。よって、ED(106)によりページの余白、ページ上のテキストラインの位置(すなわち、座標)(明示又はより一般に黙示による)、テキストラインの寸法(例えば高さ及び/又は幅)、テキストラインのテキストのフォントタイプ、フォントスタイル、フォントサイズ、等が特定されうる。同様に、ED(106)により、除外領域の位置(すなわち、座標)、除外領域の寸法(すなわち、高さ、幅)等が特定されうる。ED(106)によって特定される除外領域の位置は、ページに関して、テキスト内のマーカーに関して、段落又は(水平位置付けのために)欄などのテキスト構造に関して、又はテキストの特定のレイアウトに従ったその他の態様に関して特定されうる。
【0016】
本発明の一以上の実施形態においては、ED(106)は文書用マークアップ言語(例えば、ODF、OOXML、HTML等)を用いて表現/定義される。よって、ED(106)内のページ、テキストライン及び除外領域の性質/特性は(すなわち、位置、寸法、フォントサイズ、フォントスタイル、余白等)、文書用マークアップ言語のタグ内の特性として記録されうる。また、ED(106)の表示又は印刷を正しく行うためにこれらの性質/特性が必要となる。
【0017】
本発明の一以上の実施形態においては、PRD(112)はパス生成モジュール(114)を含む。パス生成モジュール(114)は、ED(106)のページ上のパス(すなわち、ベクターパス)を定義するように構成される。パスは一般にページの余白に対応する外部閉鎖サブパス(すなわち、余白サブパス)に加え、ページの除外領域に対応する一以上の閉鎖サブパス(すなわち、除外領域サブパス)を含む。本発明の一以上の実施形態においては、余白サブパス及び一以上の除外領域サブパスは矩形をしている。なお、代わりに余白サブパス及び一以上の除外領域サブパスはあらゆる形でありうる。複数の除外領域は余白サブパスと無関係である必要がなく、余白サブパスに含まれる必要もない。本発明の一以上の実施形態においては、余白サブパスと除外領域サブパスとでは逆の方向が割り当てられる。例えば、余白サブパスには反時計回り方向が割り当てられる一方、一以上の除外領域サブパスには時計回り方向が割り当てられうる。
【0018】
本発明の一以上の実施形態においては、PRD(112)はパスフィルモジュール(118)を含む。パスフィルモジュール(118)はベクターパスとフィル規則を入力し、テキストを配置することができるページ上の領域を出力するように構成される。本発明の一以上の実施形態においては、フィル規則は反時計回りに回転数+1を有するページ上の点集合に対応する。よって、パスフィルモジュール(118)にはベクターパスとフィル規則に基づいて領域を計算するパスフィルアルゴリズムが含まれうる。当業者であれば、本明細書により、サブパスに割り当てられたフィル規則及び/又は方向が用いられるパスフィルアルゴリズムに応じて修正/変換される必要がありうることが理解されるであろう。
【0019】
図2は本発明の一以上の実施形態におけるページ(205)を示す。図2に示すように、ページ(205)にはページ(205)の余白(250)に対応する余白サブパス(210)が含まれる。ページ(205)にはページ(205)上の複数の除外領域(すなわち、除外領域I(220)、除外領域II(222))に対応する複数の除外領域サブパス(すなわち、除外領域サブパスA(212)、除外領域サブパスB(214)、等)が含まれる。ページ(205)のベクターパスには余白サブパス(210)及び複数の除外領域サブパス(212、214)が含まれる。上述のように、各除外領域(220、222)は、クリップアート、写真、動画クリップ等により占められるためテキストを配置することができない、ページ上のあらゆる形をした領域に対応する。また、上述のように、余白サブパス(210)と除外領域サブパス(212、214)とでは異なった方向が割り当てられる(すなわち、反時計回り、時計回り等)。
【0020】
本発明の一以上の実施形態においては、領域(209)はパスフィルモジュール(118)によって計算され、ページ(205)上のテキストラインを配置することができる部分に対応する。具体的には、領域(209)はパスに関して回転数+1を有するページ(205)上の各点に対応する。
【0021】
図1に戻って、本発明の一以上の実施形態においては、PRD(112)には配置モジュール(116)が含まれる。配置モジュール(116)はED(106)におけるテキストラインを特定し、ED(106)において指定される性質/特性からテキストラインの寸法(すなわち、高さ及び/又は幅)を特定及び/又は計算し、テキストラインに基づいてページ上のラインバンドを選択及び配置し(以下に詳述)、ラインバンドを用いてページ上の複数の区分を特定し(以下に詳述)、複数の区分の中にテキストラインのテキストを配置(以下に詳述)するように構成される。
【0022】
本発明の一以上の実施形態においては、西洋言語の場合、ラインバンドはテキストラインと同じ高さを有し、テキストラインの垂直位置に対応するページ上の垂直位置に配置される、水平ストリップに対応する。よって、垂直位置は上部余白の下又は前にページ上に配置されたテキストラインの下、又はED(106)により特定又は計算されるあらゆる位置となりうる。
【0023】
一方、垂直テキストレイアウトの場合(例えば特定の東洋言語)、ラインバンドはテキストラインと同じ幅を有し、テキストラインの水平位置に対応するページ上の水平位置に配置される、垂直ストリップに対応しうる。よって、水平位置は余白に隣接し、又は前にページ上に配置されたテキストラインに隣接し、又はED(106)により特定又は計算されるあらゆる位置となりうる。
【0024】
本発明の一以上の実施形態においては、配置モジュール(116)によって特定された一以上の区分は、ラインバンドとパスフィルモジュール(118)によって計算された領域が交差する部分に対応する。本発明の一以上の実施形態においては、複数の区分の中にテキストラインのテキストを配置するには、言語の規則に従ってテキストラインを分割することが必要となる(例えば、改行、ハイフンに関する規則等)。
【0025】
図3は本発明の一以上の実施形態に関する処理を説明するフローチャートを示す。図3に図示される処理は図1を参照して上述したシステム(100)を用いて実現しうる。本発明の異なった実施形態においては、図3に示される一以上のステップは省略、反復及び/又は異なった順序で実行しうる。よって、本発明の実施形態は図3に示される、各ステップの具体的な順序及び配列に限定されるとすべきではない。
【0026】
まず、EDが取得される(ステップ302)。EDはEDのページ上に配置される一以上のテキストラインを有する。また、ページにはテキストを配置することができないページ上の領域に対応する一以上の除外領域が含まれうる。除外領域はクリップアート、写真、動画クリップ又はその他のメディアによって占められうる。
【0027】
上述のように、ED(106)は文書用マークアップ言語(例えばODF、OOXML等)を用いて表現/定義されうる。よって、ED(106)におけるページ、テキストライン及び除外領域の性質(すなわち、特性)は(すなわち、位置、寸法、フォントサイズ、フォントスタイル、余白等)、文書用マークアップ言語のタグ内の特性として記録されうる。
【0028】
ステップ304において、ページのベクターパスが取得される。ベクターパスにはページの余白に対応する余白サブパスが含まれる。また、ベクターパスにはページ上の一以上の除外領域に対応する一以上の除外領域サブパスが含まれる。上述のように、複数の除外領域は余白サブパスと無関係である必要はなく、余白サブパスに含まれる必要もない。また、本発明の一以上の実施形態においては余白サブパスと除外領域サブパス(又は複数の除外領域サブパス)とでは逆の方向が割り当てられる。例えば、余白サブパスには反時計回り方向が割り当てられるのに対して、一以上の除外領域サブパスには時計回り方向が割り当てられうる。
【0029】
ステップ306において、ベクターパスに基づいて余白及び除外領域(又は複数の除外領域)を除いたページ上の領域が計算される。具体的には、当該領域はベクターパス及びフィル規則を入力したフィルパスアルゴリズムの出力である。余白サブパスに反時計回り方向が割り当てられ、一以上の除外領域に時計回り方向が割り当てられる本発明の実施形態においては、フィル規則は回転数+1を有するページ上の点集合に対応する。
【0030】
ステップ308において、EDのテキストラインが選択される。また、選択されたテキストラインに対応するラインバンドがページ上に配置される。本発明の一以上の実施形態において、ラインバンドはテキストラインの対応する寸法に合致する寸法(例えば、高さ及び/又は幅)を有する。例えば、水平ラインバンドの場合、水平ラインバンドの高さがテキストラインの高さに対応する。垂直ラインバンドの場合、垂直ラインバンドの幅がテキストラインの幅に対応する。また、ページ上の水平/垂直ラインバンドの位置はページ上のテキストラインの水平/垂直位置に対応する。例えば、位置はページの余白の下/隣又は前に配置されたテキストラインの下/隣、又はEDによって特定されたあらゆる位置としうる。
【0031】
ステップ310において、ページ上の一以上の区分が特定される。具体的には、一以上の区分は、領域とラインバンドとの間で交差の処理を実行することによって特定される(すなわち、区分(又は複数の区分)=領域∩ラインバンド)。当業者であれば、本明細書により、ラインバンドが一以上の除外領域と交差する場合、交差の処理により複数の区分(すなわち、除外領域(又は複数の除外領域)の両側の区分)が作成されるであろうことを理解するであろう。同様に、ラインバンドがいずれの除外領域も交差しない場合、交差の処理により余白の内側にページにわたって一区分のみが作成されるであろう。
【0032】
ステップ312において、ラインバンドに対応する、ページ上の部分は区分毎にテキストラインのテキストを配置することによってレンダリングされる。よって、改行、ハイフン等の規則に基づいてテキストを分割する必要がありうる(すなわち、第一区分にはテキストの第一部、第二区分にはテキストの第二部等)。規則はテキストラインのテキストの言語及びEDに特定されたパラメーターによるので、これらに応じて異なったものとなる。
【0033】
ステップ314において、EDがさらにページ上に配置するテキストラインを有するかが判断される。EDがさらにページ上に配置するテキストラインを有すると判断されると、処理はステップ308に戻る。全てのテキストラインが配置されたと判断されると、処理は終了する。
【0034】
図3では一つのステップ(すなわち、ステップ306)において領域全体の計算を実行するとしているが、当業者であれば、本明細書により、本発明のその他の実施形態においては、領域が複数のステップにおいて計算しうることを理解するであろう。具体的には、特定のテキストラインについては、テキストラインに対応するラインバンドの周辺の範囲内における領域の区分についてのみ計算が実行される。そして、交差の処理は直近に計算された区分及びラインバンドを用いて実行される。
【0035】
図4は本発明の一以上の実施形態における一例を示す。具体的には、図4はED(図示せず)のページ(405)を示す。ページ(405)は余白(480)及び複数の除外領域(すなわち、除外領域I(420)、除外領域II(422))を有する。上述のように、除外領域はクリップアート、写真、動画クリップ又はその他の種類のメディアによって占められる、ページ(405)上の領域に対応し、除外領域は通常テキストを配置することができないページ上の領域である。ページ(405)上の領域(409)は余白サブパス(410)及び複数の除外領域サブパス(すなわち、除外領域サブパスA(412)、除外領域サブパスB(414))を含むベクターパスを入力したパスフィルアルゴリズムによって計算される。上述のように、領域(409)はテキストを配置することができるページ(405)上の領域に対応する。
【0036】
引き続き図4の例を参照すると、ED(図示せず)には複数のテキストラインが含まれる。テキストラインの高さ及び位置(すなわち、座標)はEDにおいて明確に特定されるか、EDの数値から計算されうる。ラインバンドA(450)はED内のテキストライン(「テキストラインA」)に対応する。具体的には、ラインバンドA(450)の垂直位置(すなわち、y0、y1)はテキストラインAの垂直位置に対応する。ラインバンドA(450)の高さ(すなわち、|y1−y0|)はテキストラインAの高さに対応する。図4に示すように、ラインバンドA(450)は除外領域I(420)にわたる。図4に示すように、ラインバンドA(450)と領域(409)が交差する結果、区分A(452)と区分B(454)が形成され、これらは除外領域I(420)の両側に位置する。よって、テキストラインAの第一部分は区分A(452)に配置され、テキストラインAの第二部分は区分B(454)に配置されうる。テキストラインAを第一部分と第二部分とに分割する点は区分A(452)及び区分B(454)の幅並びにテキストラインの言語の改行及びハイフンに関する規則に基づく。
【0037】
ラインバンドB(456)はED内のテキストライン(「テキストラインB」)に対応する。具体的には、ラインバンドB(456)の垂直位置(すなわち、y2、y3)はテキストラインBの垂直位置に対応する。ラインバンドB(456)の高さ(すなわち、|y3−y2|)はテキストラインBの高さに対応する。図4に示すように、ラインバンドB(456)はいずれの除外領域(420、422)にもわたらない。よって、ラインバンドB(456)と領域(409)が交差する結果、区分C(458)が形成され、区分C(458)は余白(480)の内側のページ全体にわたる。よって、テキストラインBのテキストは区分C(458)に配置される。
【0038】
本発明の実施形態において、一以上の、以下にあげられる効果が認められる:テキストレイアウトの問題をパスフィルの問題と考えることによって解決することが可能となる、公知のパスフィルアルゴリズムを用いて画像やグラフィック等の他のオブジェクトの周囲に密接してテキストをレイアウトすることが可能となる、任意の形を有するオブジェクトの周囲にテキストをレイアウトする方法を判断する際にエラーが発生しやすいアルゴリズムの使用を回避することが可能となる等。
【0039】
本発明の実施形態は、用いられるプラットフォームを問わず、事実上あらゆる種類のコンピューターにおいて実現することができる。例えば、図5に示すように、コンピューターシステム(500)には、一以上のプロセッサー(又は複数のプロセッサー)(502)、関連するメモリー(504)(例えば、ランダムアクセスメモリー(RAM)、キャッシュメモリー、フラッシュメモリー等)、記憶装置(506)(例えば、ハードディスク、コンパクトディスクドライブやデジタルビデオディスク(DVD)ドライブ等の光学ドライブ、フラッシュメモリースティック等)及び現在のコンピューター(図示せず)において一般的ないくつかのその他の要素及び機能が含まれる。本発明の一以上の実施形態においては、プロセッサー(502)はハードウェアである。例えば、プロセッサーは集積回路でありうる。コンピューターシステム(500)はキーボード(508)、マウス(510)、又はマイクロフォン(図示せず)等の入力手段を有しうる。また、コンピューターシステム(500)はモニター(512)(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、ブラウン管(CRT)モニター等)等の出力手段を有しうる。コンピューターシステム(500)はネットワークインターフェース接続(図示せず)を介してネットワーク(514)(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)、又はその他の種類のネットワーク)に接続されうる。本発明の一以上の実施形態においては、様々な種類のコンピューターシステムが存在し、上述の入力及び出力手段はその他の形式を取りうる。一般に、コンピューターシステム(500)は少なくとも本発明の実施形態を実施するのに必要な最低限の処理、入力及び/又は出力手段を有する。
【0040】
さらに、本発明の一以上の実施形態においては、上述のコンピューターシステム(500)の一以上の要素は遠隔地に位置し、ネットワーク上で他の要素と接続しうる。また、本発明の実施形態は複数のノードを有する分散システムにおいて実現することができ、本発明の各部分(例えば、データ構造、変換モジュール、レイアウトエンジン等)は分散システム内の異なるノードに配置されうる。本発明のある実施形態においては、ノードはコンピューターシステムに対応する。また、ノードは関連する物理メモリーを有するプロセッサーに対応しうる。また、ノードは共有メモリー及び/又は資源を有するプロセッサー又はプロセッサーのマイクロコアに対応しうる。さらに、本発明の実施形態を実行するためのコンピューターに読取可能なプログラムコードの形式であるソフトウェア命令を、コンパクトディスク(CD)、ディスケット、パンチカード、テープ、メモリー、又はその他のコンピューターに読取可能な記憶装置等の非一時的な、コンピューターに読取可能な記憶装置に一時的に又は永久に保存することができる。
【0041】
本発明は限られた数の実施形態により説明されたが、当業者は本明細書により本発明の範囲を逸脱することなく、その他の実施形態を考案することが可能であることを理解するであろう。よって、本発明の範囲は添付されたクレームのみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ上にテキストラインを配置する方法であって、
除外領域(ER)を有するページ上に配置するテキストラインを含む電子文書(ED)を取得するステップと、
前記ページの余白に対応する第一サブパスと前記ページ上のERに対応する第二サブパスとを含む前記ページのパスを取得するステップと、
前記パスを入力したパスフィルアルゴリズムを用いて、前記余白及び前記ERを除外した前記ページ上の領域を計算するステップと、
前記ページ上において、前記領域を計算した後に、前記ページ上の前記ERと交差し、前記テキストラインの寸法を有するラインバンドを、選択するステップと、
前記領域と前記ラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定するステップと、
前記複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、前記複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、前記ページをレンダリングするステップと、を備える。
【請求項2】
前記ラインバンドは水平ラインバンドであり、前記寸法は前記テキストラインの高さであり、前記複数の区分は水平区分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一サブパスは反時計回り方向であり、前記第二サブパスは時計回り方向であり、前記パスフィルアルゴリズムには正数1の回転数に対応するフィル規則を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ERはデジタル写真である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ERはクリップアートである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記テキストラインの前記第一部分と前記テキストラインの前記第二部分とを、前記テキストラインの言語のハイフネーション規則に基づいて、特定するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一区分及び前記第二区分は前記ERの両側に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ページ上にテキストラインを配置する、以下の機能を実行させる命令を含む非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体であって、
除外領域(ER)を有するページ上に配置するテキストラインを含む電子文書(ED)を取得するステップと、
前記ページの余白に対応する第一サブパスと前記ページ上のERに対応する第二サブパスとを含む前記ページのパスを取得するステップと、
前記パスを入力したパスフィルアルゴリズムを用いて、前記余白及び前記ERを除外した前記ページ上の領域を計算するステップと、
前記ページ上において、前記領域を計算した後に、前記ページ上の前記ERと交差し、前記テキストラインの寸法を有するラインバンドを、選択するステップと、
前記領域と前記ラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定するステップと、
前記複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、前記複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、前記ページをレンダリングするステップと、を備える。
【請求項9】
前記ラインバンドは水平ラインバンドであり、前記寸法は前記テキストラインの高さであり、前記複数の区分は水平区分である、請求項8に記載の非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体。
【請求項10】
前記第一サブパスは反時計回り方向であり、前記第二サブパスは時計回り方向であり、前記パスフィルアルゴリズムには正数1の回転数に対応するフィル規則を入力する、請求項8に記載の非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体。
【請求項11】
前記ERはデジタル写真である、請求項8に記載の非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記ERはクリップアート画像である、請求項8に記載の非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記テキストラインの前記第一部分と前記テキストラインの前記第二部分とを、前記テキストラインの言語のハイフネーション規則に基づいて、特定するステップの機能を実行させる命令をさらに備える、請求項8に記載の非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記第一区分及び前記第二区分は前記ERの両側に存在する、請求項8に記載の非一時的でコンピューターに読取可能な記憶媒体。
【請求項15】
ページ上にテキストラインを配置するシステムであって、
ハードウェアプロセッサーと、
ハードウェアプロセッサー上で実行され、テキストラインと除外領域(ER)とを含む電子文書のページ上のパスで、前記ページの余白に対応する第一サブパスと前記ERに対応する第二サブパスとを含むパスを定義するように構成された、パス生成モジュールと、
ハードウェアプロセッサー上で実行され、前記パスに基づいて前記ページ上の領域を計算するように構成された、パスフィルモジュールと、
前記プロセッサー上で実行され、
前記ページ上の前記ERと交差し、前記テキストラインの寸法を有するラインバンドを選択し、
前記領域と前記ラインバンドとの交差に基づいて、複数の区分を特定し、
前記複数の区分のうちの第一区分にはテキストラインの第一部分を配置し、前記複数の区分のうちの第二区分にはテキストラインの第二部分を配置して、前記ページをレンダリングする、
ように構成される、配置モジュールと、
を備える。
【請求項16】
前記パス生成モジュールと、前記パスフィルモジュールと、前記配置モジュールはプリンター上に設けられる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ラインバンドは水平ラインバンドであり、前記寸法は前記テキストラインの高さであり、前記複数の区分は水平区分である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第一サブパスは反時計回り方向であり、前記第二サブパスは時計回り方向であり、前記パスフィルアルゴリズムには正数1の回転数に対応するフィル規則を入力する、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記ERはデジタル写真である、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記配置モジュールは、前記テキストラインの前記第一部分と前記テキストラインの前記第二部分とを、前記テキストラインの言語のハイフネーション規則に基づいて、特定することをさらに備えるように構成される、請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−99097(P2012−99097A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−232399(P2011−232399)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】