説明

オレフィン系樹脂組成物およびその製造方法

【課題】分散性の良好な、環状構造を有するオレフィン系樹脂およびヘテロ化合物からなる組成物を提供する。
【解決手段】下式で表される繰り返し単位を含む重合体と、含窒素複素環化合物を含む樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散性の良好な、環状構造を有するオレフィン系樹脂およびヘテロ原子又はヘテロ原子を有する基を有する化合物(以下、ヘテロ化合物と称する)からなる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系樹脂とヘテロ化合物とを混合することにより、オレフィン系樹脂にヘテロ化合物の有する種々の性質を付与できることが知られている。例えば特許文献1には環状オレフィン重合体に難燃性のヘテロ化合物を混合することによる、難燃性の環状オレフィン系樹脂組成物が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−64489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物においては、非極性の環状オレフィン重合体とヘテロ化合物との間の親和性が良好でないために、非極性の環状オレフィン重合体中へのヘテロ化合物の分散性が十分でないという問題があった。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題、すなわち、本発明の目的は、分散性の良好な、環状構造を有するオレフィン系樹脂およびヘテロ化合物からなる樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1種類の、下式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体と、下式(2)で表される化合物とを含む樹脂組成物である。

(1)
(ただし、上式(1)において、Z1、Z2、およびZ3は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、アシル基、エステル基、アミド基、イミノ基、オキシム基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、およびチオール基を表し、Z4、およびZ5はそれぞれ独立に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、およびアミノ基を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、およびZ5の少なくとも2つは、それぞれ独立していても良く、互いに結合していても良い。A1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシル基、エステル基、またはアミド基を表す。mは0または1であり、nは0〜20の整数である。)

(2)
(ただし、上式(2)において、Z6、Z7、およびZ8は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、オキシム基、カルボキシル基、水酸基、およびチオール基を表し、Z9、Z10、およびZ11はそれぞれ独立に、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、およびアミノ基を表し、かつ、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11の少なくとも2つは、ヘテロ原子またはヘテロ原子を有する基から選ばれ、かかる選ばれたZ6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11の少なくとも2つは、それぞれ独立していても良く、互いに結合していても良い。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、分散性の良好な、環状構造を有するオレフィン系樹脂およびヘテロ化合物からなる樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
式(1)および式(2)におけるZ1、Z2、Z3、Z6、Z7、およびZ8として、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、アシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、オキシム基、カルボキシル基、水酸基、およびチオール基を表す。
【0008】
式(1)および式(2)におけるZ4、Z5、Z9、Z10、およびZ11として、それぞれ独立に窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、およびアミノ基を表す。
【0009】
式(1)および式(2)においてZ1、Z2、Z3、Z6、Z7、およびZ8で表されるアシル基として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、およびピバロイル基のようなアシル基を例示することができる。
【0010】
式(1)および式(2)においてZ1、Z2、Z3、Z6、Z7、およびZ8で表されるエステル基として、メチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、n−ブチルエステル基、イソブチルエステル基、t−ブチルエステル基、ペンチルエステル基、n−ヘキシルエステル基、シクロヘキシルエステル基、ベンジルエステル基、およびフェニルエステル基のようなエステル基を例示することができる。
【0011】
式(1)および式(2)においてZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11で表されるアミノ基として、アミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−n−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−tert-ブチルアミノ基、およびN−ネオペンチルアミノ基のようなN−アルキルアミノ基;N−フェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基のようなN−アリールアミノ基;N−ベンジルアミノ基、N−フルオレニルメチルアミノ基のようなN−アラルキルアミノ基;N,N’−ジメチルアミノ基、N,N’−ジエチルアミノ基、N,N’−ジ−n−プロピルアミノ基、N,N’−ジイソプロピルアミノ基、N,N’−ジ−n−ブチルアミノ基、N,N’−ジイソブチルアミノ基、N,N’−ジ−tert-ブチルアミノ基、およびN,N’−ジネオペンチルアミノ基のようなN,N’−ジアルキルアミノ基;N,N’−ジフェニルアミノ基、N,N’−ジナフチルアミノ基のようなN,N’−ジアリールアミノ基;N,N’−ジベンジルアミノ基、N,N’−ビス(フルオレニルメチル)アミノ基のようなN,N’−ジアラルキルアミノ基を例示することができる。
【0012】
式(1)および式(2)においてZ1、Z2、Z3、Z6、Z7、およびZ8で表されるアミド基として、ホルミルアミド基、アセチルアミド基、プロピオニルアミド基、ブチリルアミド基、イソブチリルアミド基、ベンゾイルアミド基、およびピバロイルアミド基のようなアミド基;ホルミルイミドアミド基、アセチルイミドアミド基、プロピオニルイミドアミド基、ブチリルイミドアミド基、イソブチリルイミドアミド基、ベンゾイルイミドアミド基、およびピバロイルイミドアミド基のようなイミドアミド基;ならびに、ホルミルチオアミド基、アセチルチオアミド基、プロピオニルチオアミド基、ブチリルチオアミド基、イソブチリルチオアミド基、ベンゾイルチオアミド基、およびピバロイルチオアミド基のようなチオアミド基を例示することができる。
【0013】
式(1)および式(2)においてZ1、Z2、Z3、Z6、Z7、およびZ8で表されるイミノ基として、ホルミルイミノ基、アセチルイミノ基、プロピオニルイミノ基、ブチリルイミノ基、イソブチリルイミノ基、ベンゾイルイミノ基、およびピバロイルイミノ基のようなイミノ基を例示することができる。
【0014】
式(1)および式(2)においてZ1、Z2、Z3、Z6、Z7、およびZ8で表されるオキシム基として、ホルミルオキシム基、アセチルオキシム基、プロピオニルオキシム基、ブチリルオキシム基、イソブチリルオキシム基、ベンゾイルオキシム基、およびピバロイルオキシム基のようなオキシム基を例示することができる。
【0015】
1、Z2、Z3、Z4、およびZ5の少なくとも2つは、それぞれ独立していても良く、互いに結合していても良い。
また、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11の少なくとも2つは、ヘテロ原子またはヘテロ原子を有する基から選ばれ、かかる選ばれたZ6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11の少なくとも2つは、それぞれ独立していても良く、互いに結合していても良い。
【0016】
式(1)および式(2)中のZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10およびZ11と隣接する炭素原子との間の結合様式は、それぞれ独立に、結合に関与する各原子の原子価に支障の無い限りにおいて、一重結合または二重結合のいずれかである。
【0017】
式(1)中のA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11として、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシル基、エステル基、またはアミド基を例示することができる。これらの基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、スルホネート基、シリル基、シロキシ基、およびシアノ基のような置換基を有していてもよい。
【0018】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を例示することができる。
【0019】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアルキル基として、メチル基、エチル基およびn−ブチル基のような直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、およびネオペンチル基のような分岐状アルキル基;ならびに、シクロヘキシル基およびシクロオクチル基のような環状アルキル基を例示することができる。
【0020】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアラルキル基として、ベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,6−ジメチルベンジル基、9−フルオレニル、および3,5−ジメチルベンジル基を例示することができる。
【0021】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアリール基として、フェニル基、トリル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、およびメシチル基を例示することができる。
【0022】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシキ基およびn−ブトキシ基のような直鎖状アルコキシ基;イソプロポキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、およびネオペントキシ基のような分岐状アルコキシ基;ならびに、シクロヘキシロキシ基およびシクロオクチロキシ基のような環状アルコキシ基を例示することができる。
【0023】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアラルキルオキシ基として、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、2−メチルベンジロキシ基、3−メチルベンジロキシ基、4−メチルベンジルロキシ基、2,6−ジメチルベンジロキシ基、および3,5−ジメチルベンジロキシ基を例示することができる。
【0024】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアリールオキシ基として、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、2−n−プロピルフェノキシ基、2−イソプロピルフェノキシ基、2−n−ブチルフェノキシ基、2−イソブチルフェノキシ基、2−tert−ブチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、3−イソプロピルフェノキシ基、3−n−ブチルフェノキシ基、3−tert−ブチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−n−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、およびナフトキシ基を例示することができる。
【0025】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアミノ基として、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−n−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、およびN,N−ジ−n−ブチルアミノ基のような直鎖状アルキルアミノ基;N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ基、およびN,N−ジネオペンチルアミノ基のような分岐状アルキルアミノ基;ならびに、N,N−ジシクロヘキシルアミノ基およびN,N−ジシクロオクチルアミノ基のような環状アルキルアミノ基を例示することができる。
【0026】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアシル基として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、およびピバロイル基のようなアシル基を例示することができる。
【0027】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるエステル基として、メチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、n−ブチルエステル基、イソブチルエステル基、t−ブチルエステル基、ペンチルエステル基、n−ヘキシルエステル基、シクロヘキシルエステル基、ベンジルエステル基、およびフェニルエステル基のようなエステル基を例示することができる。
【0028】
式(1)においてA1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11で表されるアミド基として、エタンアミド基、N−n−ブチルエタンアミド基、N−メチルエタンアミド基、N−エチルエタンアミド基、N−n−ブチルヘキサンアミド基、イソプロパンアミド基、イソブタンアミド基、tert−ブタンアミド基、およびネオペンタンアミド基、シクロヘキサンアミド基およびシクロオクタンアミド基のようなアミド基を例示することができる。
【0029】
上記A1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11のうち6つ以上が水素原子、アルキル基、アラルキル基、およびアリール基のいずれかより選ばれることが好ましく、全てが水素原子、アルキル基、アラルキル基、およびアリール基のいずれかより選ばれることがより好ましい。
【0030】
式(1)において、mは0または1を、nは0〜20の整数を、それぞれ独立に例示することができる。
【0031】
本発明の樹脂組成物に用いることのできる重合体の製造方法は、例えば、特願2007−048395号に記載の閉環重合体の製造方法を用いることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物に用いることのできる重合体としては、単独重合体、エチレン共重合体、αオレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、および極性基含有モノマー共重合体を例示することができる。これらの重合体に任意のモノマーを加えても良い。
【0033】
本発明の樹脂組成物に用いることのできる単独重合体としては、例えば、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独重合体、N−メチル−5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独重合体、6−((2E)−2−プロペニル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン単独重合体、6−((2E)−2−ペンテニル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン単独重合体、ならびに4−アリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン単独重合体のような不飽和結合を1つ有する単量体の重合体;5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ペンテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ヘプテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−オクテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、
【0034】
また、5−アリル−5−((2E)−2−ノネニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ドデニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、5−アリル−5−((2E)−2−メチル−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、N−メチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、N−メチル−5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン単独閉環重合体、4,4−ジアリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン単独閉環重合体、4−アリル−4−((2E)−2−ブテニル)−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン単独閉環重合体、6−(ジアリルメチル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン単独閉環重合体、ならびに6−(アリル((2E)−2−ブテニル)メチル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン単独閉環重合体のような不飽和結合を2つ以上有する単量体の単独閉環重合体を例示することができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物に用いることのできるエチレン共重合体としては、例えば、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ペンテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ヘプテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−オクテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ノネニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ドデニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、
【0036】
また、5−アリル−5−((2E)−2−メチル−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、N−メチル−5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、N−メチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、N−メチル−5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体、4−アリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/エチレン共重合体、4,4−ジアリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/エチレン共重合体、4−アリル−4−((2E)−2−ブテニル)−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/エチレン共重合体、2−(N−アリルアミノ)−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/エチレン共重合体、2−(N,N−ジアリルアミノ)−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/エチレン共重合体、2−(N−アリル−N−((2E)−2−ブテニル)アミノ)−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/エチレン共重合体を例示することができる。
【0037】
本発明の樹脂組成物に用いることのできるαオレフィン共重合体としては、例えば、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ペンテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ヘプテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−オクテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ノネニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ドデニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−メチル−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、N−メチル−5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、
【0038】
また、N−メチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、N−メチル−5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/プロピレン共重合体、4−アリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/プロピレン共重合体、4,4−ジアリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/プロピレン共重合体、4−アリル−4−((2E)−2−ブテニル)−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/プロピレン共重合体、2−(N−アリルアミノ)−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/プロピレン共重合体、2−(N,N−ジアリルアミノ)−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/プロピレン共重合体、2−(N−アリル−N−((2E)−2−ブテニル)アミノ)−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/プロピレン共重合体、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ブテン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ブテン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ブテン共重合体、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ペンテン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ペンテン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ペンテン共重合体、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ヘキセン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ヘキセン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/1−ヘキセン共重合体、を例示することができる。
【0039】
本発明の樹脂組成物に用いることのできる環状オレフィン共重合体として、例えば、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/シクロペンテン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/シクロペンテン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/シクロペンテン共重合体、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/シクロヘキセン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/シクロヘキセン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/シクロヘキセン共重合体、を例示することができる。
【0040】
本発明の樹脂組成物に用いることのできる極性基含有モノマー共重合体としては、例えば、5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、N−メチル−5−アリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、6−((2E)−2−プロペニル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、6−((2E)−2−ペンテニル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、ならびに4−アリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体のような不飽和結合を1つ有する単量体を含む共重合体;
【0041】
また、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/2,2−ジアリル−シクロヘキサン−1,3−ジオン共重合体、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/2,2−ジアリルインダン−1,3−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ペンテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、
【0042】
また、5−アリル−5−((2E)−2−ヘプテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−オクテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ノネニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−ドデニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−メチル−2−へキセニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、5−アリル−5−((2E)−2−メチル−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、
【0043】
また、N−メチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、N−メチル−5−アリル−5−((2E)−2−ブテニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、4,4−ジアリル−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、4−アリル−4−((2E)−2−ブテニル)−2,6(1H,3H,4H,5H)−ピリジンジオン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、6−(ジアリルメチル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体、ならびに6−(アリル((2E)−2−ブテニル)メチル)−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン/5,5−ジアリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン共重合体のような不飽和結合を2つ以上有する単量体を含む共重合体を例示することができる。
【0044】
本発明の樹脂組成物に用いることのできる共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも良い。また、共重合体を構成する各単量体の組成は、それぞれ独立に、任意に設定することができる。
【0045】
本発明の樹脂組成物に用いることのできるヘテロ化合物は特に限定されないが、好ましくは含窒素化合物であり、たとえば、2−カルボキシルピリジン、2−カルバモイルピリジン、2,6−ジアミノピリジン、6−アミノ−2−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,4,6−トリアミノピリジン、6−ヒドロキシ−2,4−ジヒドロキシピリジン、およびN−シアノ−2,4,6−トリアミノピリジン、のようなピリジン系化合物;2,4−ジアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、4,6−ジアミノ−2−ヒドロキシピリミジン、6−アミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、N−シアノ−2,4,6−トリアミノピリミジン、4,6−ジアミノ−2−グアニルピリミジン、6−アミノ−2,4−ジグアニルピリミジン、ウラシル、およびチミン、のようなピリミジン系化合物;
【0046】
また、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン、6−アミノ−2,4−ジヒドロキシ−1,3,5−トリアジン、N−シアノ−2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−グアニル−1,3,5−トリアジン、6−アミノ−2,4−ジグアニル−1,3,5−トリアジン、N−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、および1,3,5−トリアジン−2,4,6−イミン、のようなトリアジン系化合物;グアニン、2,5,8−トリアミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン、のような多環式含窒素化合物;シアノグアニジン、ジシアノジアミジン、グアニジン、ビグアニド、トリグアニド、テトラグアニド、ペンタグアニド、ビウレット、トリウレット、テトラウレット、ペンタウレット、アロファン酸、のような鎖状含窒素化合物を例示することができる。
【0047】
上記ヘテロ原子を含む化合物は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、エステル基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、オキシム基、チオール基、アルキルチオ基、スルホネート基、およびシアノ基などの置換基を有していてもよく、またこれらの互変異性体を含み、なおかつ、これらのいずれか2つ以上の組み合わせについても例示することができる。これらの中でも、環状構造を有する含窒素化合物がより好ましく、さらに好ましくはピリミジン化合物およびトリアジン化合物である。
【0048】
本発明の樹脂組成物においては、重合体とヘテロ化合物とが相互に作用していて良い。好ましい相互作用の形態としては水素結合を例示することができ、該相互作用の確認の目安としては、たとえば、オイルからゴム、ゴムから固体と言った形態変化や、耐溶剤性などの特性に変化があること、および、有機溶媒中での粘度上昇あるいは有機溶媒中での化学ゲルの形成などの溶液挙動の変化、ならびに、核磁気共鳴分光法または赤外分光法による水素結合性シグナルの出現の確認、などを例示することができる。
【0049】
本発明の樹脂組成物においては、上記相互作用のために該樹脂組成物中における該化合物の分散性が良好である。本発明の樹脂組成物は、溶液状態または溶融状態のいずれの状態においても均一に分散しており、好ましくは溶液状態または溶融状態において透明である。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、少なくとも1種類の重合体、および、少なくとも1種類のヘテロ化合物の組み合わせを混合することにより製造方法することができる。
【0051】
本発明の製造方法において用いることのできる重合体は、重量平均分子量が1,000〜10,000,000の範囲であり、分子量分布は1.0〜10.0の範囲であり、融点またはガラス転移点を0〜200℃の範囲に1つ以上有する。
【0052】
本発明の製造方法において用いることのできる重合体とヘテロ化合物の割合は、重合体100重量部に対しヘテロ化合物が0.0001〜1000重量部の範囲であり、好ましくは重合体100重量部に対してヘテロ化合物が0.01〜100重量部の範囲である。
【0053】
本発明における樹脂組成物の製造方法として、バッチ式または連続式の溶融混連、および、適当な溶媒を使用しての溶液またはスラリー混合を例示することができる。溶媒として、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンのような炭化水素溶媒や、ジクロロメタンおよびクロロホルムのようなハロゲン化溶媒を例示することができる。
【0054】
本発明における樹脂組成物の製造温度は特に限定されず、一般に−50〜350℃であり、好ましくは0〜200℃である。
本発明における樹脂組成物の製造にかかる時間は特に限定されず、一般に1分から72時間である。
本発明の樹脂組成物は、目的に応じて、各種の公知の添加剤を加えても良い。また、公知の樹脂を加えても良い。また、本発明の樹脂組成物は、公知の成形方法で成形してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[参考例1]5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン/エチレン共重合体の合成
三方コックの付いた25mlシュレンク管に5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(0.146g、0.7mmol;東京化成工業社製)を加え、凍結脱気した後、エチレンで置換した。一方、クロロ(メチル)[N,N’−(1,2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム(9.86mg、0.015mmol;「レクエ・デ・トラボ・チミク・ドゥ・ペイバ(Recueil des Travaux Chimiques de Pays−Bas)」、第113巻、1994年、88ページを参考に合成した)およびナトリウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート(15.95mg、0.018mmol;「オルガノメタリクス(Organometallics)」第11巻、1992年、3920ページを参考に合成した)の入った25mLシュレンク管に脱水塩化メチレン(0.75mL;関東化学社製)を加え、5分間撹拌した。このようにして調製したカチオン性パラジウムの塩化メチレン溶液0.5mL(パラジウム錯体が0.01mol)をシリンジで5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオンの入った25mLシュレンク管に移し、エチレンのバルーンを三方コックに付け、エチレン圧1MPaとして室温で10時間撹拌した。反応後、反応混合系をメタノール(約100mL)に注ぐことによって共重合体を単離し、回収した。0.384gの共重合体が得られ、共重合体中の5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合組成は2mol%であり、数平均分子量(Mn)は11600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。得られた共重合体は室温では固体であった。0℃〜200℃の範囲にガラス転移点は検出されなかった。得られた結果を表1に示す。
【0056】
上記の数平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記の条件で測定した。また、検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
測定機 :JASCO社製(デガッサー:DG−980−50、ポンプ:PU−980、オートサンプラー:AS−950、カラムオーブン:CO−966、RI検出器:RI−930、UV検出器:UV−975)
カラム :昭和電工(株)製のShodex−806L×2本
測定温度:40℃
溶媒 :クロロホルム
サンプル濃度:1mg/1ml
【0057】
上記の共重合体組成は、1H−NMR(日本電子社製LA−500)を用いて、以下の条件で求めた。
測定溶媒:クロロホルム−d1
測定温度:室温
試料濃度:50mg/0.5ml
基準物質:クロロホルム−d1(7.26ppm)
【0058】
[実施例1]エチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体、および、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンからなる樹脂組成物
5mLガラス製容器にエチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体(5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン導入率=2%、Mn=11600、Mw/Mn=1.81)100mgにトルエン1.0mLを加え、ポリマーを完全に溶解させた。単独ではトルエンに不溶の2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン1.0mgを重合体溶液に加え、120℃で1時間攪拌したところ、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンが溶解して均一な溶液となった。このことより、樹脂組成物中において2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンが均一に分散していることが示された。更に、得られた溶液を室温まで冷却すると、透明なゲルが得られた。このゲルは容器を逆さにしても落下しない程度の強度を有するものであった。得られたゲルを100℃加熱すると再び均一な溶液となった。このような可逆的なゲル化挙動より、エチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体および2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンからなる樹脂組成物中に水素結合による架橋構造が存在することが示された。
【0059】
[実施例2]エチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体、および、5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジンからなる樹脂組成物
オイル状のエチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体(5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン導入率=1mol%、Mn=9200、Mw/Mn=1.67)0.11gにトルエン1mLを加えて調製したポリマー溶液に、5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジン4mgを加え、90℃で5分間加熱してから室温で30分間撹拌したところ、溶液粘度が上昇した。得られた溶液からトルエンを減圧留去した後、エタノールでポリマーを析出させたところ、ゴム様固体が得られた。得られた固体を1H−NMR(CDCl3)で分析したところ、通常、水素結合していない5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジンであれば4.5ppm付近に比較的線幅の狭いシグナルを与えるところ、5.8ppm付近に水素結合した5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジンのN−H結合に由来するブロードなシグナルのみが観測された。これらのことより、エチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体と5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジンからなる樹脂組成物中に水素結合による架橋構造が存在することが示された。
【0060】
[参考例2]1−ヘキセン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体の合成
クロロ(メチル)[N,N’−(1,2−ジヒドロアセナフチレン−1,2−ジイリデン)ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン−κN)]パラジウム1当量と5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン1当量から構成される1:1錯体(0.01mmol,17mg)の0.5mL塩化メチレン溶液の入ったシュレンクフラスコに、1−ヘキセン(0.7mmol,0.08mL)を加え、−20℃で1.5日間反応させたところ、1−ヘキセンは完全に反応した。反応溶液をメタノールに注ぎ、さらにメタノールから再沈殿を行うことによって、ポリマーが得られた(5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオンの導入率=1mol%,Mn=8200,Mw/Mn=1.12)。
【0061】
[実施例3]1−ヘキセン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体、および、5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノ−1,3−ピリミジンからなる樹脂組成物
参考例2で得られた重合体(30mg、5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオンユニット:3.65μmol相当)とCDCl3(0.65mL)の入ったNMRチューブに、重合体中の5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオンユニット1当量に対し、5−ヘキシル−2,4,6−トリアミノピリミジン(Hexyl−TAP)を0.1当量から8当量まで段階的に加え、Hexyl−TAPのNH2に起因するシグナルのシフトを1H−NMRで観察した。重合体中の5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオンユニット1当量に対して、Hexyl−TAPを2当量加えた時点でほぼ平衡に到達した。また、8当量のHexyl−TAPが入ったポリマー混合溶液を室温で一週間置いたところ、均一な溶液からゲル状固体に変わった。
【0062】
[比較例1]ポリエチレン、および、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンからなる樹脂組成物
実施例1におけるエチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体(5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン導入率=2%、Mn=11600、Mw/Mn=1.81)の代わりにポリエチレン(5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン導入率=0%、Mn=11000、Mw/Mn=1.66)
100mgを用いた実験を実施した。加熱開始後3時間経過しても2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンは殆ど溶解せず、また、溶液を室温に冷却してもゲルは生成しなかった。
【0063】
[比較例2]エチレン/N,N’−ジメチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体、および、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンからなる樹脂組成物
実施例1におけるエチレン/5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体(5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン導入率=2%、Mn=11600、Mw/Mn=1.81)の代わりにエチレン/N,N’−ジメチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン共重合体(N,N’−ジメチル−5,5−ジアリル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン導入率=4%、Mn=16600、Mw/Mn=1.88)100mgを用いた実験を実施した。加熱開始後10時間経過しても2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンは殆ど溶解せず、また、溶液を室温に冷却してもゲルは生成しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の、下式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体と、下式(2)で表される化合物とを含む樹脂組成物。

(1)
(ただし、上式(1)において、Z1、Z2、およびZ3は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、アシル基、エステル基、アミド基、イミノ基、オキシム基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、およびチオール基を表し、Z4、およびZ5はそれぞれ独立に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、およびアミノ基を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、およびZ5の少なくとも2つは、それぞれ独立していても良く、互いに結合していても良い。A1、A2、A3、A4、A5、A6、A9、A10、およびA11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシル基、エステル基、またはアミド基を表す。mは0または1であり、nは0〜20の整数である。)

(2)
(ただし、上式(2)において、Z6、Z7、およびZ8は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、オキシム基、カルボキシル基、水酸基、およびチオール基を表し、Z9、Z10、およびZ11はそれぞれ独立に、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、およびアミノ基を表し、かつ、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11の少なくとも2つは、ヘテロ原子またはヘテロ原子を有する基から選ばれ、かかる選ばれたZ6、Z7、Z8、Z9、Z10、およびZ11の少なくとも2つは、それぞれ独立していても良く、互いに結合していても良い。)
【請求項2】
請求項1に記載の式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体が、式(1)で表される繰り返し単位と、オレフィンに由来する繰り返し単位とを含む共重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体と式(2)で表される化合物とが水素結合を形成している請求項1または2に記載の樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−67960(P2009−67960A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240623(P2007−240623)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】