説明

オーガロッド

【課題】
スクリューによる掘削土の共上がりを抑えつつ、攪拌混合能力を高め、さらに杭芯ずれ防止治具を用いた掘削孔の真直度保持が可能なオーガロッドを提供することを目的とする。
【解決手段】
掘削する孔の深さに応じて順次継ぎ足して回転駆動力を伝達する、長手方向にらせん翼が巻回されたオーガロッドであって、両端に、互いに嵌合する嵌合部、及び被嵌合部を有する所定の長さの軸部と、その軸部の長手方向の、所定間隔を隔てた複数個所の周面それぞれに、少なくとも半周にわたって正回転方向に巻回された、少なくとも二つのらせん翼と、を備え、掘削土を、多段階にわたり攪拌することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪穴を掘削する際に、オーガの回転駆動力を伝達するために用いるオーガロッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に杭を埋め込む際は、スクリューが巻回されたオーガロッドで削孔後、オーガロッドを引き抜き、掘削した孔に杭を埋め込むプレボーリング工法や、スクリューが巻回されたオーガロッドで杭の中空部を中堀りしながら杭を建て込み、その後にオーガロッドを引き抜く中堀工法が一般的に用いられている。しかしながら、これらの方法は、建て込む杭の容積又は中空部の容積と同量の掘削土を地上に排出しなければならないため、排土処理が問題となっている。また、N値の高い地層や砂礫層を掘削する際にはスクリューに粘土がこびり付いたり礫土が詰まり、施工時間に悪影響を及ぼしたり、掘削困難に陥ることがある。さらに、孔壁の強化を目的としてオーガロッドから吐出させたセメントミルク等を掘削土と攪拌混合する際に、連続的に巻回されたスクリューだけでは攪拌混合がうまくできない場合がある。その場合に、棒状の攪拌翼を装着する方法が採用しても、スクリューに沿って上昇する掘削土を抑える効果はほとんどないため、オーガの負荷の増加に対する攪拌能力の増加は限定的である。
そこで、オーガロッドに、掘削作用を受け持つ主スクリュー部と、それとは逆向に巻回した、主として攪拌作用を受け持つ副スクリュー部とを交互に複数装備し、土の上昇を抑えつつ攪拌し、スクリューに粘土がこびり付くのを抑制するオーガロッドが提案されている(特許文献1参照)。また、オーガロッドの外周面に、オーガスクリューを不連続に、複数配置し、多段階にわたって攪拌することで掘削土のN値を低下させる一方、オーガスクリューに沿って掘削土が上昇し、地表面に堆積するのを抑制したオーガロッドが提案されている(特許文献2参照)。
一方、オーガロッドで掘削した孔の真直度が低いと、所定の深さに杭を建て込むことが困難になることから、地表面に定着させた円形リングと、円形リングの中心にオーガスクリューの先端を保持し、スクリューの回転によって破壊可能な杭芯位置決め部材とからなる杭芯ずれ防止治具が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−21796号公報
【特許文献2】実開平5−47090号公報
【特許文献3】特開2001−164570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に記載された方法は、掘削土の共上がりを抑えるには有効であると考えられるが、特許文献1のように、逆向に巻回した副スクリュー部による混合能力は低いと思われる。また、主スクリュー部に比して副スクリュー部を小径にすると、副スクリュー部区間が杭芯ずれ防止治具を通過する際に、掘削孔の真直度が低下するおそれがある。また特許文献2の図1に記載されたオーガロッドは、スクリューが一回転したとき掘削土が一回攪拌されるので、攪拌混合能力をさらに高めるには、別の手段を採用する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑み、スクリューによる掘削土の共上がりを抑えつつ、攪拌混合能力を高め、さらに杭芯ずれ防止治具を用いた掘削孔の真直度保持が可能なオーガロッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のオーガロッドは、掘削する孔の深さに応じて順次継ぎ足して回転駆動力を伝達する、長手方向にらせん翼が巻回されたオーガロッドであって、両端に、互いに嵌合する嵌合部、及び被嵌合部を有する所定の長さの軸部と、上記軸部の長手方向の、所定間隔を隔てた複数個所の周面それぞれに、少なくとも半周にわたって正回転方向に巻回された、少なくとも二つのらせん翼と、を備え、掘削土を、多段階にわたり攪拌することを特徴とする。
ここで、上記複数個所の周面それぞれに、互いに半周遅れで巻回された二つのらせん翼を備えても、互いに120度遅れで巻回された三つのらせん翼を備えてもよい。
また、上記らせん翼それぞれは、上記周面それぞれに、一周にわたって巻回されても、上記周面それぞれに、半周にわたって巻回されても、上記周面それぞれに、四分の三周にわたって巻回されてもよい。
このように、軸部周面の一定間隔を隔てた複数個所それぞれに、少なくとも二つのらせん翼が配設されているので、掘削ヘッドによって掘削された掘削土は、多段階にわたって、ロッドの回転数よりも多く攪拌されるので、土塊は細かく粉砕され、セメントミルク等は、掘削土と均一に混合される。また、らせん翼に沿って、掘削土は移動するが、らせん翼が巻回されていない個所で移動が抑えられるため、共上がりにより、掘削土が地表面に堆積するのを防止できる。
ここで、上記らせん翼は、一部に切欠部もしくは空所を有することが好ましく、また、上記らせん翼は、掘削する孔の孔壁に接する最大回転半径が等しいことも好ましい。
このように、らせん翼の一部に切り欠部もしくは空所を設ければ、粘性の高い掘削土などの攪拌能力が向上し、各らせん翼の最大回転半径が長手方向に均一であれば、地上に設置した杭芯ずれ防止治具をオーガロッドのらせん翼が通過する状態を観察することにより、掘削孔の真直度が保持されているか否かの判断が容易である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のオーガロッドによれば、所定の間隔を開けて複数個所に配設されたらせん翼により、掘削土の共上がりを抑える一方、複数個所それぞれに巻回された複数のらせん翼により、多段階にわたって、ロッドの回転数よりも多く攪拌されるので、セメントミルク等と掘削土との攪拌混合能力を高めることができる。また、各らせん翼の最大回転半径を等しくすることにより、杭芯ずれ防止治具を用いた掘削孔の真直度判断が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態のオーガロッドを接続した状態を示す正面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す正面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す平面図である。
【図4】図4は、第1の実施形態のオーガロッドにより孔を掘削する一例を示す図である。
【図5】図5は、第2の実施形態のオーガロッドを接続した状態を示す正面図である。
【図6】図6は、第2の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す正面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す平面図である。
【図8】図8は、第3の実施形態のオーガロッドを接続した状態を示す正面図である。
【図9】図9は、第3の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す正面図である。
【図10】図10は、第3の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す平面図である。
【図11】図11は、第4の実施形態のオーガロッドを接続した状態を示す正面図である。
【図12】図12は、第4の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す正面図である。
【図13】図13は、第4の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す平面図である。
【図14】図14は、第5の実施形態のオーガロッドを接続した状態を示す正面図である。
【図15】図15は、第5の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す正面図である。
【図16】図16は、第5の実施形態のオーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本実施形態のオーガロッドについて説明する。
[第1の実施形態]
図1から図3は、第1の実施形態のオーガロッドを示す図であり、図1は、オーガロッドを接続した状態を示す正面図、図2は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す正面図、図3は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す平面図である。
【0009】
図1に示す第1の実施形態のオーガロッド1は、一方の端に、六角形の嵌合部10aが、他方の端に嵌合部10aの嵌る被嵌合部10bがある、所定長の軸部10と、軸部10の長手方向、間隔M1を隔てた4箇所の周面17それぞれに、一周にわたって正回転方向Xに巻回された長さN1の4つの第一らせん翼11と、第一らせん翼11よりも半周遅れで巻回された長さN1の4つの第二らせん翼12と、を備えている。また、嵌合部10a及び被嵌合部10bには、ピンを挿入する共通の孔(図に現れない)を有するので、2つの軸部10を結合するときは、嵌合部10aを被嵌合部10bに嵌め込んだ後、その共通の孔にピンを挿入して、2つの軸部10相互を固定する。
本実施形態のオーガロッド1は、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用し、図1には、本実施形態のオーガロッド1を二本接続した状態が示されている。
ここで、本実施形態のオーガロッド1は、軸部10の長さL1が5mに設定され、40cmの間隔M1を隔てた4箇所の周面に、80cmの長さN1を有する第一らせん翼11と第二らせん翼12が、それぞれ配設されている。しかしながら、軸部10の長さL1、間隔M1、第一らせん翼11及び第二らせん翼12の長さN1、第一らせん翼11及び第二らせん翼12の配設箇所数それぞれは、必ずしも本実施形態で設定されている寸法又は箇所数に限る必要はなく、任意に設定することができる。
このように、本実施形態のオーガロッド1は、40cmの間隔M1を開けて、4箇所の周面に第一らせん翼11及び第二らせん翼12が配置されているので、掘削ヘッドにより掘削された掘削土は多段階にわたって攪拌混合され、土塊は次第に細かく粉砕される。このため、セメントミルク等は、掘削土と均一に混合される。また、掘削土は、第一らせん翼11及び第二らせん翼12に沿って移動するが、第一らせん翼11及び第二らせん翼12が巻回されていない個所で移動が抑えられるため、共上がりによって、掘削土が地表面に堆積するのを抑止できる。
【0010】
図2及び図3に示すように、本実施形態のオーガロッド1は、長さL1の軸部10の、間隔M1を隔てた4箇所の周面17に、第一らせん翼11と第二らせん翼12が、一周にわたって正回転方向Xに、互いに半周遅れで巻回されている。このため、オーガロッド1が一回転する間に、A位置の掘削土及びセメントミルクは、B位置を経由してC位置に、D位置の掘削土及びセメントミルクは、E位置を経由してF位置にそれぞれ移動する。このため、第一らせん翼11と第二らせん翼12が当接する位置の掘削土及びセメントミルクは、オーガロッド1が一回転する毎に、二度攪拌混合されるので、単一のらせん翼が巻回されたオーガロッドに較べて攪拌混合能力が向上する。
【0011】
図4は、第1の実施形態のオーガロッドにより孔を掘削する一例を示す図である。
図4に示すように、リーダマスト20の所定位置には、円筒形の杭芯ずれ防止治具22が固定設置され、また、リーダマスト20のリーダ21には、そのリーダ21を摺動し、昇降自在なオーガ装置23が設置されている。そして、オーガ装置23の回転駆動力伝達部には、掘削ヘッド(図に現れない)を回転させるオーガロッド1が結合されている。
本実施形態におけるオーガロッド1の軸部10は、長さL1が5mに設定されているので、掘削する孔の深さに応じて順次継ぎ足されるが、杭芯ずれ防止治具22の筒内を挿通させた上で継ぎ足される。また、本実施形態のオーガロッド1には、長さが80cmの第一らせん翼11と第二らせん翼12が40cm間隔で設けてあり、第一らせん翼11及び第二らせん翼12の最大回転半径は、全て等しいうえ、杭芯ずれ防止治具22の筒内径は、その最大回転半径よりも、わずかに大きく設定されている。
したがって、本実施形態のオーガロッド1が杭芯ずれ防止治具22の筒内を円滑に通過するか否かを観察していれば、オーガロッド1の最先端に結合された掘削ヘッドによって掘削された孔が真直であるか否かを判断することが容易である。
【0012】
[第2の実施形態]
第2の実施形態のオーガロッドは、第一らせん翼と第二らせん翼の最大回転半径が全て等しくなるように設定されている点、両端に、嵌合部と被嵌合部とを有し、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用する点は、第1の実施形態のオーガロッドと共通するが、軸部周面に巻き回される第一らせん翼及び第二らせん翼が相違する。したがって、共通する点は説明を省略し、相違点について説明する。
図5から図7は、第2の実施形態のオーガロッドを示す図であり、図5は、オーガロッドを接続した状態を示す正面図、図6は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す正面図、図7は、オーガロッド周面に巻回された第一らせん翼と第二らせん翼を示す平面図である。
【0013】
図5に示す第2の実施形態のオーガロッド2は、一方の端に、六角形の嵌合部10aが、他方の端に嵌合部10aの嵌る被嵌合部10bがある、所定長の軸部10と、軸部10の長手方向、間隔M2を隔てた5箇所の周面17それぞれに、半周にわたって正回転方向Xに巻回された長さN2の5つの第一らせん翼13と、第一らせん翼13よりも半周遅れで巻回された長さN2の5つの第二らせん翼14と、を備えている。また、嵌合部10a及び被嵌合部10bには、ピンを挿入する共通の孔(図に現れない)を有するので、2つの軸部10を結合するときは、嵌合部10aを被嵌合部10bに嵌め込んだ後、その共通の孔にピンを挿入して、2つの軸部10相互を固定する。
本実施形態のオーガロッド2は、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用し、図5には、本実施形態のオーガロッド2を二本接続した状態が示されている。
ここで、本実施形態のオーガロッド2は、軸部10の長さL2が5mに設定され、40cmの間隔M2を隔てた5箇所の周面に、56cmの長さN2を有する第一らせん翼13と第二らせん翼14が、それぞれ配設されている。しかしながら、軸部10の長さL2、間隔M2、第一らせん翼13及び第二らせん翼14の長さN2、第一らせん翼13及び第二らせん翼14の配設箇所数それぞれは、必ずしも本実施形態で設定されている寸法又は箇所数に限る必要はなく、任意に設定することができる。
このように、本実施形態のオーガロッド2は、40cmの間隔M2を隔てて、4箇所の周面に第一らせん翼13及び第二らせん翼14が配置されているので、掘削ヘッドにより掘削された掘削土は多段階にわたって攪拌混合され、土塊は次第に細かく粉砕される。このため、セメントミルク等は、掘削土と均一に混合される。また、掘削土は、第一らせん翼13及び第二らせん翼14に沿って移動するが、第一らせん翼13及び第二らせん翼14が巻回されていない個所で移動が抑えられるため、共上がりによって、掘削土が地表面に堆積するのを抑止できる。
【0014】
図6及び図7に示すように、本実施形態のオーガロッド2は、長さL2の軸部10の、間隔M2を隔てた5箇所の周面17に、第一らせん翼13と第二らせん翼14が、一周にわたって正回転方向Xに、互いに半周遅れで巻回されている。このため、オーガロッド2が半回転する間に、A位置の掘削土及びセメントミルクはB位置に、C位置の掘削土及びセメントミルクはD位置に、それぞれ移動する。したがって、オーガロッド2が半回転する間に、第一らせん翼13と第二らせん翼14が当接する位置の掘削土及びセメントミルクは、二度攪拌混合されるので、単一のらせん翼が巻回されたオーガロッドに較べて攪拌混合能力が向上する。
【0015】
[第3の実施形態]
第3の実施形態のオーガロッドは、第一らせん翼と第二らせん翼の最大回転半径が全て等しくなるように設定されている点、両端に、嵌合部と被嵌合部とを有し、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用する点は、第1の実施形態のオーガロッドと共通するが、第一らせん翼及び第二らせん翼が切欠き部を有する点などが相違する。したがって、共通する点は説明を省略し、相違点について説明する。
図8から図10は、第3の実施形態のオーガロッドを示す図であり、図8は、オーガロッドを接続した状態を示す正面図、図9は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す正面図、図10は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼及び第二らせん翼を示す平面図である。
【0016】
図8に示す第3の実施形態のオーガロッド3は、一方の端に、六角形の嵌合部10aが、他方の端に嵌合部10aの嵌る被嵌合部10bがある、所定長の軸部10と、軸部10の長手方向、間隔M3を隔てた四箇所の周面17それぞれに、3/4周にわたって正回転方向Xに巻回された長さN3の4つの第一らせん翼11と、第一らせん翼15よりも半周遅れで巻回された長さN3の4つの第二らせん翼16と、を備えている。また、嵌合部10a及び被嵌合部10bには、ピンを挿入する共通の孔(図に現れない)を有するので、2つの軸部10を結合するときは、嵌合部10aを被嵌合部10bに嵌め込んだ後、その共通の孔にピンを挿入して、2つの軸部10相互を固定する。
本実施形態のオーガロッド3は、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用し、図8には、本実施形態のオーガロッド3を二本接続した状態が示されている。
ここで、本実施形態のオーガロッド3は、軸部10の長さL3が5mに設定され、40cmの間隔M3を隔てた4箇所の周面に、80cmの長さN3を有する第一らせん翼15と第二らせん翼16が、それぞれ配設されている。しかしながら、軸部10の長さL3、間隔M3、第一らせん翼15及び第二らせん翼16の長さN3、第一らせん翼15及び第二らせん翼16の配設箇所数それぞれは、必ずしも本実施形態で設定されている寸法又は箇所数に限る必要はなく、任意に設定することができる。
このように、本実施形態のオーガロッド3は、40cmの間隔M3を隔てて、4箇所の周面に第一らせん翼15及び第二らせん翼16が配設されているので、掘削ヘッドにより掘削された掘削土は多段階にわたって攪拌混合され、土塊は次第に細かく粉砕される。このため、セメントミルク等は、掘削土と均一に混合される。また、掘削土は、第一らせん翼15及び第二らせん翼16に沿って移動するが、第一らせん翼15及び第二らせん翼16が巻回されていない個所で移動が抑えられるため、共上がりによって、掘削土が地表面に堆積するのを抑止できる。
【0017】
図9及び図10に示すように、本実施形態のオーガロッド3は、長さL3の軸部10の、間隔M3を隔てた4箇所の周面17に、第一らせん翼15と第二らせん翼16が、3/4周にわたって、互いに半周遅れで正回転方向Xに巻回されている。また、第一らせん翼15及び第二らせん翼16それぞれには、1/4周から2/4周目にかけて切欠部15a、16aが設けてある。
第一らせん翼15及び第二らせん翼16に沿って移動する掘削土及びセメントミルクは、オーガロッド3が3/4回転する間に、A位置のものは、B位置を経由してC位置に、D位置のものは、E位置を経由してF位置にそれぞれ移動するので、第一らせん翼15及び第二らせん翼16が当接する位置の掘削土及びセメントミルクは、その間に、6/4回攪拌混合される。一方、切欠部15a、16aを通過する掘削土及びセメントミルクは、そこに残置されるため、第一らせん翼15及び第二らせん翼16に沿って移動する掘削土及びセメントミルクとは確実に分離される。このため、切り欠部15a、16aを設けない場合に比べて、混合攪拌能力がさらに向上する。特に、掘削土の粘性が高い場合には、その粘性の高い掘削土が第一らせん翼15及び第二らせん翼16に付着するのを抑制しつつ、混合攪拌することが可能である。
本実施形態の第一らせん翼15及び第二らせん翼16それぞれには、1/4周から2/4周にかけて切欠部15a、16aを設けているが、切欠部15a、16aは、必ずしも1/4周から2/4周の間に設ける必要はなく、任意の位置に設けることができる。また、必ずしも切欠部15a、16aである必要はなく、本発明の空所に相当する円形の穴を、少なくとも一個所設けることにしてもよい。
【0018】
[第4の実施形態]
第4の実施形態のオーガロッドは、らせん翼の最大回転半径が全て等しくなるように設定されている点、両端に、嵌合部と被嵌合部とを有し、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用する点は、第1の実施形態のオーガロッドと共通するが、軸部の長手方向、4箇所の周面それぞれに、3つのらせん翼を有する点が相違する。したがって、共通する点は説明を省略し、相違点について説明する。
図11から図13は、第4の実施形態のオーガロッドを示す図であり、図11は、オーガロッドを接続した状態を示す正面図、図12は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す正面図、図13は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す平面図である。
【0019】
図11に示す第4の実施形態のオーガロッド4は、一方の端に、六角形の嵌合部10aが、他方の端に嵌合部10aの嵌る被嵌合部10bがある、所定長の軸部10と、軸部10の長手方向、間隔M4を隔てた4箇所の周面17それぞれに、半周にわたって正回転方向Xに巻回された長さN4の4つの第一らせん翼31と、第一らせん翼31よりも120度遅れで巻回された長さN4の4つの第二らせん翼32と、第二らせん翼32よりも120度遅れで巻回された長さN4の4つの第三らせん翼33と、を備えている。また、嵌合部10a及び被嵌合部10bには、ピンを挿入する共通の孔(図に現れない)を有するので、2つの軸部10を結合するときは、嵌合部10aを被嵌合部10bに嵌め込んだ後、その共通の孔にピンを挿入して、2つの軸部10相互を固定する。
したがって、本実施形態のオーガロッド4は、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用され、図11には、本実施形態のオーガロッド4が二本接続された状態を示している。
ここで、本実施形態のオーガロッド4は、長さL4が5mに設定され、40cmの間隔M4を開けて、4箇所の周面に、80cmの長さN4を有する第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33が、それぞれ配設されている。しかしながら、オーガロッドの長さL4、間隔M4、第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33の長さN4、第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33の配設箇所数それぞれは、必ずしも本実施形態で設定されている寸法又は箇所数に限る必要はなく、任意に設定することができる。
このように、本実施形態のオーガロッド4は、40cmの間隔M4を隔てて、4箇所の周面に第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33が配設されているので、掘削ヘッドにより掘削された掘削土は多段階にわたって攪拌混合され、土塊は次第に細かく粉砕される。このため、セメントミルク等は、掘削土と均一に混合される。また、掘削土は、第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33に沿って移動するが、第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33が巻回されていない個所で移動が抑えられるため、共上がりによって、掘削土が地表面に堆積するのを抑止できる。
【0020】
図11及び図12に示すように、本実施形態のオーガロッド4は、長さL4の軸部10の、間隔M4を隔てた4箇所の周面17に、第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33が、半周にわたって正回転方向Xに、互いに120度遅れで巻回されている。このため、オーガロッド4が半回転する間に、A位置の掘削土及びセメントミルクはB位置に、C位置の掘削土及びセメントミルクはD位置に、E位置の掘削土及びセメントミルクはF位置に、それぞれ移動する。したがって、オーガロッド4が一回転する間に、第一らせん翼31、第二らせん翼32、及び第三らせん翼33が当接する位置の掘削土及びセメントミルクは、三度攪拌混合されるので、単一のらせん翼が巻回されたオーガロッドに較べて格段に攪拌混合能力が向上する。
ここで、本実施形態のオーがロッド4は、軸部10の長手方向、同じ箇所の周面を半周にわたり、互いに120度遅れの3つのらせん翼が巻回されているが、必ずしも3つに限る必要はなく、互いに90度遅れの4つのらせん翼が巻回されていても、あるいはそれ以上の数のらせん翼が巻回されていてもよい。さらに、各らせん翼の周面への巻回し角度は、必ずしも半周に限る必要はなく、例えば3/4周であっても、それ以上であってもよい。
【0021】
[第5の実施形態]
第5実施形態のオーガロッドは、らせん翼の最大回転半径が全て等しくなるように設定されている点、両端に、嵌合部と被嵌合部とを有し、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用する点は、第1の実施形態のオーガロッドと共通するが、軸部の長手方向、3箇所の周面それぞれに、3つのらせん翼を有し、それぞれのらせん翼に円形の穴が開いている点が相違する。したがって、共通する点は説明を省略し、相違点について説明する。
図14から図16は、第5の実施形態のオーガロッドを示す図であり、図14は、オーガロッドを接続した状態を示す正面図、図15は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す正面図、図16は、オーガロッドの周面に巻回された第一らせん翼、第二らせん翼、及び第三らせん翼を示す平面図である。
【0022】
図14に示す第5の実施形態のオーガロッド5は、一方の端に、六角形の嵌合部10aが、他方の端に嵌合部10aの嵌る被嵌合部10bがある、所定長の軸部10と、軸部10の長手方向、間隔M5を隔てた3箇所の周面17それぞれに、一周にわたって正回転方向Xに巻回された長さN5の3つの第一らせん翼34と、その第一らせん翼34よりも120度遅れで巻回された長さN5の3つの第二らせん翼36と、その第二らせん翼35よりもさらに120度遅れで巻回された長さN5の3つの第三らせん翼36と、を備えている。
また、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれには、1/3周目、2/3周目及び3/3周目にかけてそれぞれ円形の穴(本発明の空所に相当する。)34a、35a、36aが設けてある。
さらに、嵌合部10a及び被嵌合部10bには、ピンを挿入する共通の孔(図に現れない)を有するので、2つの軸部10を結合するときは、嵌合部10aを被嵌合部10bに嵌め込んだ後、その共通の孔にピンを挿入して、2つの軸部10相互を固定する。
本実施形態のオーガロッド5は、削孔する孔の深さに応じて順次継ぎ足して使用し、図14には、本実施形態のオーガロッド4を二本接続した状態が示されている。
ここで、本実施形態のオーガロッド5は、軸部10の長さL5が5mに設定され、間隔M5が40cmに設定された3箇所の周面それぞれに、長さN5が120cmの第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれが配設されている。しかしながら、軸部10の長さL5、間隔M5、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36の長さN5、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36の配設箇所数それぞれは、必ずしも本実施形態で設定されている寸法又は箇所数に限る必要はなく、任意に設定することができる。
このように、本実施形態のオーガロッド5には、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36がそれぞれ間隔M5を隔てて配設されているので、掘削土は多段階にわたって攪拌混合される。このため、土塊は細かく粉砕され、セメントミルク等は、掘削土と均一に混合される。また、掘削土は、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36に沿って移動するが、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36が巻回されていない個所で移動が抑えられるため、共上がりによって、掘削土が地表面に堆積するのを抑止できる。
【0023】
図9及び図10に示すように、本実施形態のオーガロッド3は、軸部10長手方向の、間隔M3を隔てたそれぞれの周面17に、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれが一周にわたって正回転方向Xに巻回されている。また、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれには、円形の穴34a、35a、36aが設けてある。
したがって、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれに沿って移動する掘削土及びセメントミルクは、オーガロッド3が一回転する間に、A位置のものは、B位置を経由してC位置に、D位置のものは、E位置を経由してF位置に、G位置のものは、H位置を経由してI位置に、それぞれ移動し、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36が当接する位置の掘削土及びセメントミルクは、その間に、三度攪拌混合される。一方、円形の穴34a、35a、36aを通過する掘削土及びセメントミルクは、落下、あるいは残置されるため、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36に沿って移動する掘削土及びセメントミルクの一部は分離される。そのため、円形の穴34a、35a、36aが設けられていない場合に比べて、混合攪拌能力がさらに向上する。
本実施形態の第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれには、1/3周目、2/3周目及び3/3周目にかけて円形の穴34a、35a、36aが設けられているが、円形の穴34a、35a、36aは、必ずしも1/3周目、2/3周目及び3/3周目に設ける必要はなく、任意の位置に設けてもよい。また、必ずしも円形の穴34a、35a、36aとする必要はなく、第一らせん翼34、第二らせん翼35、及び第三らせん翼36それぞれの任意の位置に切欠部を設けてもよい。
また、本実施形態のオーがロッド5は、軸部10の長手方向、同一箇所の周面に、互いに120度遅れの3つのらせん翼が一周にわたり巻回されているが、らせん翼は、3つに限る必要はなく、4つのらせん翼を互いに90度遅れで巻回しても、あるいはそれ以上の数のらせん翼を巻回してもよい。さらに、軸部周面にらせん翼を巻回す範囲は、半周に限る必要はなく、例えば3/4周であっても、あるいは一周以上であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1,2,3,4,5 オーガロッド
10 軸部
10a 嵌合部
10b 被嵌合部
11,13,15,31,34 第一らせん翼
12,14,16,32,35 第二らせん翼
15a,16a 切欠部
17 周面
20 リーダマスト
21 リーダ
22 杭芯ずれ防止治具
23 オーガ装置
34a,35a,36a 円形の穴
33,36 第三らせん翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削する孔の深さに応じて順次継ぎ足して回転駆動力を伝達する、長手方向にらせん翼が巻回されたオーガロッドであって、
両端に、互いに嵌合する嵌合部、及び被嵌合部を有する所定の長さの軸部と、
前記軸部の長手方向の、所定間隔を隔てた複数個所の周面それぞれに、少なくとも半周にわたって正回転方向に巻回された、少なくとも二つのらせん翼と、を備え、掘削土を、多段階にわたり攪拌することを特徴とするオーガロッド。
【請求項2】
前記らせん翼は、一部に切欠部もしくは空所を有することを特徴とするオーガロッド。
【請求項3】
前記複数個所の周面それぞれに、互いに半周遅れで巻回された二つのらせん翼を備えたことを特徴とする請求項2記載のオーガロッド。
【請求項4】
前記複数個所の周面それぞれに、互いに120度遅れで巻回された三つのらせん翼を備えたことを特徴とする請求項2記載のオーガロッド。
【請求項5】
前記らせん翼それぞれは、前記周面それぞれに、一周にわたって巻回されたことを特徴とする請求項3又は4記載のオーガロッド。
【請求項6】
前記らせん翼それぞれは、前記周面それぞれに、半周にわたって巻回されたことを特徴とする請求項3又は4記載のオーガロッド。
【請求項7】
前記らせん翼は、前記周面それぞれに、四分の三周にわたって巻回されたことを特徴とする請求項3又は4記載のオーガロッド。
【請求項8】
前記らせん翼は、掘削する孔の孔壁に接する最大回転半径が何れも等しいことを特徴とする請求項1から7のうち何れか1項記載のオーガロッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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