説明

オーダエントリシステム、ハンディ端末、サーバ装置、及びコンピュータプログラム

【課題】 ハンディ端末のバイブレータを用いてアラームを行うに際し、適確にハンディ端末の所持者にアラームの内容を伝えることを可能とする。
【解決手段】 一実施形態におけるオーダエントリシステムは、注文データの入力を受け付けるハンディ端末を含み、前記ハンディ端末に設けられたバイブレータと、このバイブレータの複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件を記憶した条件記憶部と、この条件記憶部に記憶された条件が成立したとき、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させるコマンドを前記ハンディ端末に送信する通信部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、飲食店等で注文の受け付けに使用されるオーダエントリシステム、ハンディ端末、サーバ装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店などでは、客のオーダを入力するハンディ端末や、このハンディ端末で入力されたオーダを出力したり記憶管理するサーバ装置を有するオーダエントリシステムが使用されている。上記ハンディ端末は、当該端末の所持者に対し各種のアラームを行う機能を備えたものがある。現状において、この機能は、例えばハンディ端末のスピーカからビープ音や所定の音声を発することで実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−190131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように所持者の聴覚に訴える手段にてアラームを行う機能を実現すると、周囲の人々に迷惑であったり、店内が混雑していて騒がしいと聞こえなかったりすることがある。このような問題を解決する一手として、ハンディ端末にバイブレータを設け、このバイブレータの振動によってアラームを行う機能を実現する手法が考えられる。
【0005】
しかしながら、単にバイブレータを振動させるだけでは、そのアラームが何を示すものであるのかを確認するために、いちいちハンディ端末のディスプレイを見るなどの作業が必要となり、手間と時間が掛かってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態におけるオーダエントリシステムは、注文データの入力を受け付けるハンディ端末を含み、前記ハンディ端末に設けられたバイブレータと、このバイブレータの複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件を記憶した条件記憶部と、この条件記憶部に記憶された条件が成立したとき、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させるコマンドを前記ハンディ端末に送信する通信部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態に係るオーダエントリシステムの全体構成図。
【図2】同実施形態に係るサーバPCの要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係るハンディ端末の外観斜視図。
【図4】同実施形態に係るハンディ端末の要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態に係る振動パターンテーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図6】同実施形態に係るHT所持者テーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図7】同実施形態に係るサーバPCが実行する処理のフローチャート。
【図8】同実施形態に係るハンディ端末が実行する処理のフローチャート。
【図9】同実施形態に係るサーバPCに表示されるリストの一例を示す図。
【図10】同実施形態に係るハンディ端末に表示されるメッセージの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るオーダエントリシステムの全体構成図である。
【0009】
このオーダエントリシステムは、例えばレストランにて稼動するものであり、サーバPC1と、複数のハンディ端末2と、複数の無線基地局3と、キッチンプリンタ4とを備えている。これらのうち、サーバPC1、各無線基地局3、及びキッチンプリンタ4は、店舗内に設けられたLAN(Local Area Network)回線5に有線接続されている。なお、ハンディ端末2は、後述の説明において、ハンディターミナルHTとも言い、ハンディ端末2とハンディターミナルHTとは同義である。
【0010】
サーバPC1は、例えば当該店舗の事務室に設置され、客からの注文データの記憶管理や在庫管理などに使用されるパーソナルコンピュータである。各ハンディ端末2は、店員によって所持され、客からのメニュー品目の注文受け付けに使用される。各ハンディ端末2は、メニュー品目の注文を受け付けると、当該メニュー品目を示す情報や注文した客の座席を示す情報等を含む注文データを、無線通信により無線基地局3に送信する。各無線基地局3は、例えば当該店舗の天井に取り付けられ、ハンディ端末2から送信される注文データを受信すると、当該受信した注文データをLAN回線5を介してサーバPC1に送信する。注文データを受信したとき、サーバPC1は、当該注文データを記憶するとともに、当該注文データをLAN回線5を介してキッチンプリンタ4に送信する。
【0011】
キッチンプリンタ4は、当該店舗の調理場に設置され、サーバPC1から受信した注文データ等を印刷した調理票を発行する。調理人は、この調理票を参照して客の注文に係るメニュー品目を調理する。なお、客の飲食代金は、例えば図示せぬPOS(Point Of Sales)端末によって会計処理される。このPOS端末は、例えばLAN回線5に接続され、サーバPC1から会計対象の客の注文データを受信して飲食代金を算出し、会計が完了したときにはその旨をサーバPC1に知らせる。
【0012】
次に、サーバPC1の詳細な構成について説明する。図2は、サーバPC1の要部構成を示すブロック図である。
サーバPC1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備える。このCPU10には、アドレスバスやデータバス等のバスライン18を介してROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、時計回路13、通信ユニット14、キーボード15、ディスプレイ16、HDD(Hard Disk Drive)17等が接続されている。ROM11は、CPU10によって実行されるコンピュータプログラム等の固定的データを記憶している。
RAM12は、サーバPC1のメインメモリとして機能するものであり、処理場面に応じて各種の作業用記憶領域を生成する。時計回路13は、例えば年、月、日、時、分、秒の単位で時間を計時する。通信ユニット14には、上記LAN回線5が接続されている。通信ユニット14は、LAN回線5を介して各種のデータを無線基地局3やキッチンプリンタ4に送信する。
【0013】
キーボード15は、各種ファンクションキーやアルファベットキー、置数キー等で構成されている。ディスプレイ16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、キーボード15の操作等に応じて、注文データや在庫情報等を選択的に表示する。HDD17は、客からの注文履歴が蓄積保存されるデータベース、食材等の在庫情報からなるデータベース、振動パターンテーブル101、HT(ハンディターミナル)所持者テーブル102等を記憶している。振動パターンテーブル101及びHT所持者テーブル102のデータ構造に関しては、図5,図6の説明にて後述する。なお、ハンディターミナルHTとハンディ端末2は同義である。
【0014】
次に、ハンディ端末2の詳細な構成について説明する。図3は、ハンディ端末2の外観斜視図である。
ハンディ端末2は、本体部2aと、この本体部2aに対しヒンジを介して開閉自在に取り付けられた蓋体部2bとを備える。本体部2aには、メンブレンキー25や、例えばLCDであるディスプレイ27が設けられている。蓋体部2bには、メンブレンキー31が設けられている。メンブレンキー25,31は、メニュー品目を指定するための操作キーや置数キー等にて構成されている。
【0015】
図4は、ハンディ端末2の要部構成を示すブロック図である。本体部2aは、制御の中枢として機能するCPU20を備える。このCPU20には、アドレスバスやデータバス等のバスライン30を介してROM21、RAM22、時計回路23、無線通信ユニット24、上記メンブレンキー25、上記メンブレンキー31、上記ディスプレイ27、バイブレータ28、バッテリ29等が接続されている。なお、メンブレンキー31は、フレキシブル接続片26を介して、バスライン30に接続されている。ROM21は、CPU20によって実行されるコンピュータプログラム等の固定的データを記憶している。
RAM22は、ハンディ端末2のメインメモリとして機能するものであり、処理場面に応じて各種の作業用記憶領域を生成する。時計回路23は、例えば年、月、日、時、分、秒の単位で時間を計時する。無線通信ユニット24は、例えば最寄りの無線基地局3とのリンクを確立し、その無線基地局3に対し電波を介した無線通信により注文データ等を送信する。バイブレータ28は、CPU20からの指令に応じて、複数通りの振動パターンにて振動する。バッテリ29は、ハンディ端末2の各部に対して電源を供給する。バッテリ29は、ハンディ端末2の筐体に設けられたコネクタに商用交流電源等の外部電源が接続された際に充電される。
【0016】
次に、振動パターンテーブル101及びHT(ハンディターミナル)所持者テーブル102のデータ構造について説明する。図5は、振動パターンテーブル101のデータ構造例を示す模式図である。
【0017】
振動パターンテーブル101は、バイブレータ28の振動に関する情報が記述されるものであり、具体的には、「1」から昇順の振動パターンナンバ(No.)、振動パターン、メッセージ、条件、備考、対象者を対応付けたレコードによって構成されている。振動パターンの欄には、例えば「パターン1」(連続:ブルブルブル・・・)、「パターン2」(1回振動、1秒オフの繰返し:ブル・・・ブル・・・ブル・・・)、「パターン3」(2回振動、1秒オフの繰返し:ブルブル・・・ブルブル・・・ブルブル・・・)のように、振動の態様を示す情報(本例では振動回数と振動の停止期間)が記述される。
【0018】
メッセージの欄には、例えば「至急スタッフルームへ集合してください。」、「厨房へ来て下さい。」、「休憩時間です。」のように、振動中にハンディ端末2のディスプレイ27に表示すべきメッセージが記述される。条件の欄には、例えば「操作入力IP1」(操作入力IP1がなされたときに振動させる)、「操作入力IP2」(操作入力IP2がなされたときに振動させる)、「14:00到来」(14:00になったときに振動させる)のように、振動を開始するための条件が記述される。備考の欄には、例えば「緊急連絡」、「連絡」、「アラーム」のように、そのレコードに基づく振動を目的別に区分する情報が記述される。対象者の欄には、例えば「フロア責任者」、「担当者」のように、そのレコードに基づく振動により報知すべき相手の身分を示す情報が記述される。
【0019】
図6は、HT所持者テーブル102のデータ構造例を示す模式図である。HT所持者テーブル102は、ハンディ端末2の所持者の氏名とその所持者の身分を設定したものであり、HT識別番号、HT所持者、身分を対応付けたレコードによって構成されている。
【0020】
HT識別番号の欄には、例えば「HT001」、「HT002」、「HT003」のように、各ハンディ端末2の識別番号が記述される。HT所持者の欄には、例えば「担当者A」、「担当者B」、「担当者C」のように、HT識別番号の欄に記述されたハンディ端末2を所持する店員の氏名が記述される。身分の欄には、例えば「担当者」、「フロア責任者」のように、HT所持者の欄に記述された担当者の身分が記述される。
【0021】
上記のような構成の振動パターンテーブル101及びHT所持者テーブル102は、例えばサーバPC1を操作して内容変更が可能であり、一日の店舗業務が開始される際にサーバPC1から各ハンディ端末2に配信され、各ハンディ端末2のRAM12にも記憶される。
【0022】
次に、本実施形態に係るオーダエントリシステムの特徴的な動作について説明する。図7は、サーバPC1が実行する処理のフローチャートであり、図8は各ハンディ端末2が実行する処理のフローチャートである。なお、サーバPC1の動作は、CPU10がROM11に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで実現され、ハンディ端末2の動作は、CPU20がROM21に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで実現される。
【0023】
サーバPC1のCPU10は、先ずHDD17に記憶された振動パターンテーブル101の各レコードに含まれる条件の欄を参照し、各条件の成否をチェックする(ステップS101)。なお、ここではサーバPC1側でチェック可能な条件として、振動パターンナンバ「1」「2」「3」「6」「7」「8」のレコードに記述された「操作入力IP1」「操作入力IP2」「14:00到来」「操作入力IP3」「操作入力IP4」「操作入力IP5」をチェックするものとする。各操作入力IP1〜IP5は、例えば事務室に所在する店員や管理者がキーボード15を操作することで入力される。したがって、CPU10は、キーボード15から操作入力がなされているならば、その入力が「操作入力IP1」「操作入力IP2」「操作入力IP3」「操作入力IP4」「操作入力IP5」と一致するか否かを判定することで、これら条件の成否をチェックできる。また、CPU10は、時計回路13によって計時される時刻を参照することで「14:00到来」の条件の成否をチェックできる。
【0024】
各条件の成否をチェックしたならば、CPU10は、成立した条件の有無を判定する(ステップS102)。成立した条件がないならば(ステップS102のNo)、CPU10は、ステップS101に戻って再び各条件の成否をチェックする。
【0025】
一方、各条件のうちのいずれかが成立したならば(ステップS102のYes)、CPU10は、振動パターンテーブル101を参照して、成立した条件に係るレコードの対象者の欄に記述された身分を特定する(ステップS103)。さらに、CPU10は、特定した身分と一致する身分が記述されたレコードを、HDD17に記憶されたHT所持者テーブル102から特定し、特定したレコードに記述されたHT識別番号で示されるハンディ端末2を、振動を指令する対象に決定する(ステップS104)。
【0026】
CPU10は、このように決定したハンディ端末2を宛先として、通信ユニット14に振動を指令するコマンドを送信させる(ステップS105)。このコマンドは、例えば指令対象のハンディ端末2のHT識別番号と、ステップS101にて成立した条件に係るレコードに記述された振動パターンナンバとを用いて構成される。通信ユニット14から送信された上記コマンドは、無線基地局3に中継され、同コマンドに含まれるHT識別番号で示されるハンディ端末2に送られる。なお、振動を指令する対象として決定されたハンディ端末2が複数ある場合には、それら各ハンディ端末2に対して上記コマンドが送信される。
【0027】
次に、CPU10は、上記コマンドの送信先であるハンディ端末2の所持者を示すリストを生成して(ステップS106)、ディスプレイ16に表示させる(ステップS107)。このときディスプレイ16に表示されるリストの一例を、図9に示す。このリスト160は、「操作入力IP1」がなされたことにより振動パターンナンバ「1」のレコードの条件が成立した場合に生成・表示されるリストである。この場合、振動パターンナンバ「1」のレコードの対象者の欄に記述された身分「フロア責任者」「担当者」の店員、すなわち「担当者A」「担当者B」「担当者C」「担当者D」「フロア責任者E」「フロア責任者F」が所持するハンディ端末2に対し、上記コマンドが送信される。したがって、リスト160には、店員の氏名「担当者A」「担当者B」「担当者C」「担当者D」「フロア責任者E」「フロア責任者F」が配置される。
【0028】
上記のようなリストを表示させた後、CPU10は、上記コマンドを送信したハンディ端末2からの確認通知を待つ(ステップS108のNo)。確認通知は、後述のステップS214にてハンディ端末2から送信されるものであり、この確認通知には送信元のハンディ端末2のHT識別番号が含まれている。
【0029】
通信ユニット14を介していずれかのハンディ端末2から確認通知を受信すると(ステップS108のYes)、CPU10は、上記リストにおいて、当該通知に含まれるHT識別番号に対応するハンディ端末2の所持者を、確認通知を未受信のハンディ端末2の所持者から識別化する(ステップS109)。この識別化は、例えば図9に示した「確認済み」なる文字を、確認通知を受信したハンディ端末2の所持者の氏名の横に表記することで行えばよい。その他にも、確認通知を受信したハンディ端末2の所持者の氏名の彩色を変更したり、消去すること等で、上記識別化を行ってもよい。上記識別化を行った後、CPU10は、上記リストにて示された所持者のうち、確認通知を未受信の者が存在するか否かを判定する(ステップS110)。未受信の者が存在するならば、CPU10は、ステップS107,S108に戻り、次の解除通知の受信を待つ。一方、確認通知を未受信の者が存在しない場合(ステップS110のNo)、CPU10は、上記リストをディスプレイ16の画面上から消去して(ステップS111)、ステップS101に戻る。以上でバイブレータ28の振動に関し、サーバPC1が実行する一連の処理の説明を終了する。
【0030】
次に、ハンディ端末2の動作について説明する。ハンディ端末2のCPU20も、図8のフローチャートに示すように、RAM22に記憶された振動パターンテーブル101の各レコードに含まれる条件の欄を参照し、各条件の成否をチェックする(ステップS201)。なお、ここではハンディ端末2側でチェック可能な条件として、振動パターンナンバ「4」「5」のレコードに記述された「電池残量20%」「リンク解除」をチェックするものとする。電池残量は、バッテリ29から供給される電圧の値をバッテリ29に併設された電圧計にて検査することで確認できる。そして、CPU20は、バッテリ29の残量が最大充電時の20%に達しているか否かを判定することで、「電池残量20%」の条件の成否をチェックできる。また、CPU20は、無線通信ユニット24と無線基地局3とのリンクが確立しているか否かを判定することで「リンク解除」の条件の成否をチェックできる。
【0031】
各条件の成否をチェックしたならば、CPU20は、成立した条件の有無を判定する(ステップS202)。成立した条件があるならば(ステップS202のYes)、CPU20は、成立した条件に係るレコードの対象者の欄に記述された身分を特定する(ステップS203)。さらに、CPU20は、RAM22に記憶されたHT所持者テーブル102を参照し、自機のHT識別番号のレコードに記述された身分と、ステップS203にて特定した身分とが一致するか否かを判定する(ステップS204)。そして、一致するならば(ステップS204のYes)、CPU20は、RAM22にフラグFを生成し、その値を「0」とする(ステップS205)。一方、一致しないならば(ステップS204のNo)、ステップS201に戻って再び各条件の成否をチェックする。
【0032】
ステップS202にて成立した条件がないならば(ステップS202のNo)、CPU20は、サーバPC1がステップS105にて送信するコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS206)。受信していないならば(ステップS206のNo)、ステップS201に戻って再び各条件の成否をチェックする。一方、無線通信ユニット24を介してサーバPC1から上記コマンドを受信しているならば(ステップS206のYes)、CPU20は、RAM22にフラグFを生成し、その値を「1」とする(ステップS207)。
【0033】
ステップS205、あるいはステップS207の後、CPU20は、バイブレータ28を振動させるとともに(ステップS208)、当該バイブレータ28の振動に対応するメッセージをディスプレイ27に表示させる(ステップS209)。これらの処理において、ステップS205を経てステップS208に到達している場合、CPU20は、ステップS201にて成立した条件に係るレコードに記述された振動パターンに従ってバイブレータ28を動作させ、同レコードに記述されたメッセージをディスプレイ27に表示させる。また、ステップS207を経てステップS208に到達している場合、CPU20は、サーバPC1から受信したコマンドに含まれる振動パターンナンバを参照し、このナンバに対応するレコードをRAM22に記憶された振動パターンテーブル101から特定して、特定したレコードに記述された振動パターンに従ってバイブレータ28を動作させ、同レコードに記述されたメッセージをディスプレイ27に表示させる。
【0034】
ステップS209にて表示されるメッセージの一例を、図10に示す。図示したものは、振動パターンナンバ「1」の振動パターン「パターン1」にてバイブレータ28を動作させる際のメッセージ「至急スタッフルームへ集合して下さい。」の表示例である。メッセージは、ポップアップ270内に表示される。ポップアップ270内には、メンブレンキー25,31によって操作可能なOKボタン271が配置されている。ポップアップ270が表示されている間は、OKボタン271の操作に関わる入力を除き、メンブレンキー25,31からの入力が無効化される。OKボタン271が操作されると、ポップアップ270が消去される。
【0035】
ステップS208にてバイブレータ28を振動させ、ステップS209にてディスプレイ27にメッセージを表示させた状態で、CPU20は、バイブレータ28の振動の解除操作、すなわちOKボタン271の操作を待つ(ステップS210のNo)。OKボタン271が操作されると(ステップS210のYes)、CPU20は、バイブレータ28の振動を停止させ(ステップS211)、ディスプレイ27からメッセージ(ポップアップ270)を消去する(ステップS212)。
【0036】
その後、CPU20は、RAM22に生成したフラグFの値を判定する(ステップS213)。フラグFの値が「0」であるならば(ステップS213の「0」)、CPU20は、ステップS201に戻って再び各条件の成否をチェックする。一方、フラグFの値が「1」であるならば(ステップS213の「1」)、CPU20は、無線通信ユニット24によりサーバPC1宛に、自機のHT識別番号を含む確認通知を送信する(ステップS214)。この確認通知は、無線基地局3に中継されて、サーバPC1に送られる。確認通知を送信した後、CPU20は、ステップS201に戻って再び各条件の成否をチェックする。
【0037】
以上で各ハンディ端末2がバイブレータ28の振動に関して実行する一連の処理の説明を終了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るオーダエントリシステムにおいては、ハンディ端末2のバイブレータ28の複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、バイブレータ28を振動させるための条件が振動パターンテーブル101に記述され、いずれかの条件が成立したときに当該成立した条件に対応する振動パターンにてバイブレータ28を振動させる。このような構成であれば、ハンディ端末2の所持者は、バイブレータ28の振動パターンから、当該振動がどのような連絡事項、あるいはアラームを示しているのかを容易に把握できる。
【0039】
さらに、ハンディ端末2の所持者(操作者)の身分がHT所持者テーブル102に記述され、振動パターンテーブル101にも上記条件に加えて連絡あるいはアラームの対象者の身分が記述されている。そして、いずれかの条件が成立したとき、当該条件とともに振動パターンテーブル101に記述された身分とHT所持者テーブル102に記述された身分とが一致するハンディ端末2のバイブレータ28を振動させる。このような構成であれば、特定の身分の者に対する連絡やアラームが可能となり、無駄な連絡やアラームが省略されるので、店舗における業務が効率化される。
【0040】
また、バイブレータ28を振動させるための条件のチェックは、サーバPC1及びハンディ端末2の双方で行い(ステップS101、S201)、サーバPC1側のチェックで条件が成立したならばサーバPC1の制御の下でハンディ端末2のバイブレータ28が振動し(ステップS105、S208)、ハンディ端末2側のチェックで条件が成立したならばハンディ端末2の制御の下でバイブレータ28が振動する(ステップS208)。このように、本実施形態においてはサーバPC1及びハンディ端末2の双方に振動制御部としての機能を実現させている。したがって、サーバPC1とハンディ端末2との通信が途切れた場合などでも、振動パターンテーブル101に記述された条件が成立した場合には、その条件に応じたパターンにてバイブレータ28を振動させることができる。
上記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0041】
上記実施形態では、サーバPC1及びハンディ端末2で振動条件の成否をチェックし、条件が成立したならば対象のハンディ端末2のバイブレータ28を振動させる場合を例示した。しかしながら、条件のチェックや振動の制御は、サーバPC1及びハンディ端末2のいずれか一方でのみなされてもよいし、他の装置、例えば無線基地局3や、インターネット等を介してオーダエントリシステムに接続された他のサーバ等によってなされてもよい。
【0042】
図5,図6に示した振動パターンテーブル101やHT所持者テーブル102のデータ構造は一例であり、その内容に種々の変更を加えてもよい。例えば、振動パターンを8つではなくより少数、あるいは多数設定してもよいし、それぞれの振動パターンや振動を行う条件を他のものに変更してもよい。また、ハンディ端末2の所持者の身分を、「担当者」と「フロア責任者」の2つからさらに増やしてもよい。
【0043】
上記実施形態では、OKボタン271が操作されるとバイブレータ28の振動が停止し(ステップS212)、ディスプレイ27からメッセージが消去されるとした(ステップS212)。しかしながら、例えばハンディ端末2に設けられたサイドキーのように、ディスプレイ27を見なくても操作できる入力手段をハンディ端末2に設け、この入力手段が操作されたときにバイブレータ28の振動が停止し、ディスプレイ27からメッセージが消去されるようにしてもよい。このようにすれば、ディスプレイ27をいちいち見なくても振動の解除等が行える。
【0044】
上記実施形態では、サーバPC1のCPU10がROM11に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、ハンディ端末2のCPU20がROM21に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、バイブレータ28の振動に関わる処理を実現するとした。しかしながら、これに限らず上記コンピュータプログラムを所定のネットワークからサーバPC1やハンディ端末2にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをサーバPC1やハンディ端末2にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROMやUSBメモリ等を利用でき、かつサーバPC1やハンディ端末2に内蔵あるいは接続されたデバイスが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態はどのようなものであってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能は、サーバPC1やハンディ端末2内部のオペレーティングシステム等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 サーバPC
2 ハンディ端末
3 無線基地局
10、20 CPU
11、21 ROM
16、27 ディスプレイ
28 バイブレータ
101 振動パターンテーブル
102 HT(ハンディターミナル)所持者テーブル
160 リスト
270 ポップアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文データの入力を受け付けるハンディ端末を含むオーダエントリシステムであって、
前記ハンディ端末に設けられたバイブレータと、
このバイブレータの複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件を記憶した条件記憶部と、
この条件記憶部に記憶された条件が成立したとき、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させるコマンドを前記ハンディ端末に送信する通信部と、
を備えていることを特徴とするオーダエントリシステム。
【請求項2】
前記ハンディ端末の操作者の身分を記憶した身分記憶部をさらに備え、
前記条件記憶部には、前記複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件と、前記ハンディ端末の操作者の身分とが記憶され、
前記通信部は、前記条件記憶部に記憶された条件が成立し、かつ当該条件とともに記憶された身分と前記身分記憶部によって記憶された前記ハンディ端末の操作者の身分とが一致する場合、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させるコマンドを前記ハンディ端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のオーダエントリシステム。
【請求項3】
注文データの入力を受け付けるハンディ端末であって、
バイブレータと、
このバイブレータの複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件を記憶した条件記憶部と、
この条件記憶部に記憶された条件が成立したとき、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させる振動制御部と、
を備えていることを特徴とするハンディ端末。
【請求項4】
当該ハンディ端末の操作者の身分を記憶した身分記憶部をさらに備え、
前記条件記憶部には、前記複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件と、当該ハンディ端末の操作者の身分とが記憶され、
前記振動制御部は、前記条件記憶部に記憶された条件が成立し、かつ当該条件とともに記憶された身分と前記身分記憶部によって記憶された操作者の身分とが一致する場合、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させることを特徴とする請求項3に記載のハンディ端末。
【請求項5】
注文データの入力を受け付けるハンディ端末が備えるバイブレータの複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件を記憶した条件記憶部と、
この条件記憶部に記憶された条件が成立したとき、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させるコマンドを前記ハンディに送信する通信部と、
を備えていることを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
注文データの入力を受け付けるハンディ端末に、
当該ハンディ端末に設けられたバイブレータの複数通りの振動パターンのそれぞれに対し、前記バイブレータを振動させるための条件を記憶した条件記憶部を参照し、この条件記憶部に記憶された条件が成立したとき、当該成立した条件に対応する振動パターンにて前記バイブレータを振動させる振動制御機能、
を実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−37418(P2013−37418A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170744(P2011−170744)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】