説明

オーディオ装置

【課題】受信機間においてオーディオデータの出力状態を自動制御し得るオーディオ装置を提供する。
【解決手段】スピーカ装置20とSW30は、外部の通信装置からオーディオストリームデータを各々受信して放音を開始する。スピーカ装置20は、SW30と無線接続を行い、SW30の放音を制御するための放音制御情報を生成し、生成した放音制御情報に基づいて放音することを指示するコマンドをSW30に送信する。SW30は、スピーカ装置20から送信されたコマンドを受信し、当該コマンドに従って通信装置から受信したオーディオストリームデータを放音する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオデータを受信する受信機間において出力制御を行うオーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、オーディオアンプにサブウーファーが有線接続され、オーディオアンプからサブウーファーへオーディオ信号を伝送し、サブウーファーにおいて当該オーディオ信号の低域成分を抽出して出力するように構成されたオーディオシステムが開示されている。
このオーディオシステムのオーディオアンプには、サブウーファーの電源をオーディオアンプ側からコントロールするためのサブウーファー用の電源ボタンが設けられており、サブウーファー用の電源ボタンがユーザによって押下された場合には、オーディオアンプからサブウーファーに対し、可聴帯域のオーディオ信号の周波数より高い高周波信号をオーディオ信号と合成してサブウーファーに出力する。サブウーファーでは、合成信号から低域のオーディオ信号を抽出すると共に、高周波成分の信号を抽出することにより電源のオンオフを切替える。
このように、オーディオデータの送信側であるオーディオアンプから受信側であるサブウーファーの電源のオンオフを切替える等、送信機側から受信機を制御することは一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−140824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、同じオーディオデータを複数の受信機で受信し、同時に出力するような場合には、各受信機が出力する音のボリュームや音域をバランス良く調整する必要がある。例えば、一方の受信機がLチャネル、Rチャネルを担当し、他の受信機がサブウーファーの機能を担当する場合などは、これらの間でボリュームや音域の調整が必要になる。このような場合、上記従来技術のように、送信機側に各受信機をコントロールするための操作ボタンを設けて制御する構成とすることは、受信機毎に個別の調整が必要となり煩雑である。
本発明は、受信機間においてオーディオデータの出力状態を自動制御し得るオーディオ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係るオーディオ装置は、外部装置からブロードキャスト方式で送信されたオーディオストリームデータを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記オーディオストリームデータを放音する放音手段と、前記オーディオストリームデータを受信することができる他の装置の放音に関する放音制御情報を生成する生成手段と、前記他の装置を特定して前記生成手段により生成された前記放音制御情報を前記他の装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係るオーディオ装置は、請求項1の構成において、前記他の装置との接続状態を検出する検出手段を備え、前記生成手段は、前記検出手段により前記他の装置の接続が検出された場合に、前記放音制御情報を生成し、前記送信手段は、前記他の装置に対して、前記生成手段により生成された前記放音制御情報を送信することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係るオーディオ装置は、外部装置からブロードキャスト方式で送信されたオーディオストリームデータを受信する受信手段と、前記オーディオストリームデータを受信することができる他の装置から当該オーディオストリームデータの放音に関する放音制御情報を受信する放音制御情報受信手段と、前記放音制御情報受信手段により受信された前記放音制御情報に従って、前記受信手段により受信された前記オーディオデータを放音する放音手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の構成によれば、外部装置から送信されたオーディオストリームデータを自装置で受信して放音すると共に、当該オーディオストリームデータを受信することができる他の装置の放音について制御することができる。
【0009】
請求項2の構成によれば、オーディオストリームデータを受信することができる他の装置を確実に特定して放音を制御することができる。
【0010】
請求項3の構成によれば、自装置において受信したオーディオストリームデータを受信することができる他の装置からの制御に従って放音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るオーディオシステムのシステム構成例を示す図である。
【図2】実施形態におけるスピーカ装置のブロック図である。
【図3】(a)は、スピーカ装置だけで放音を行う場合の設定情報のデータ例を示す図である。(b)は、スピーカ装置とサブウーファー装置とで放音を行う場合の設定情報のデータ例を示す図である。
【図4】実施形態におけるコマンドの構成例を示す図である。
【図5】実施形態におけるサブウーファー装置のブロック図である。
【図6】実施形態における通信装置のブロック図である。
【図7】実施形態に係るオーディオシステムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<概要>
図1は、本実施形態におけるオーディオシステムのシステム構成図である。図1に示すように、オーディオシステム1は、それぞれ通信機能を有するスピーカ装置20、低域の音を放音するサブウーファー装置(以下、SWと言う。)30、及び通信装置40を含んで構成されており、通信装置40とスピーカ装置20、通信装置40とSW30との間は無線リンクが確立されている。
【0013】
通信装置40は、携帯オーディオ機器41と通信モジュール42とで構成されており、両者は着脱自在になっている。携帯オーディオ機器41が通信モジュール42に装着されると、通信モジュール42は、携帯オーディオ機器41が出力する楽曲等のオーディオデータをパケット化し、通信モジュール42を介してブロードキャストでストリーム伝送する。スピーカ装置20とSW30は、通信装置40が出力するオーディオデータを受信し、予め設定されたボリューム値や帯域に従って放音する。
【0014】
スピーカ装置20は、オーディオデータの受信時においてSW30との間で無線リンクを確立して無線接続を行い、SW30において用いられるボリューム値や再生帯域を指示する放音制御情報を含む放音制御コマンドをSW30へ送信する。SW30においては、スピーカ装置20から送信された放音制御コマンドに従って、通信装置40から受信したオーディオデータを放音する。以下、各装置の詳細について説明する。
【0015】
<構成>
(スピーカ装置20の構成)
図2は、スピーカ装置20のブロック図であり、以下、図2に示す各部について説明する。無線通信部211は、通信制御部212の制御の下、他の装置との間で無線通信を行う。無線通信部211は電波の強度に応じた通信範囲内において通信接続可能な他の装置を検出して、物理層レベルでの無線リンクを確立する。また、無線通信部211は、通信装置40との間で無線リンクが確立して通信可能な状態となった場合には、通信装置40から送信されるオーディオストリームデータを受信して通信制御部212へ送出する。
【0016】
通信制御部212は、制御部214の制御の下、他の装置との無線リンクの確立や無線リンクの切断、無線リンクが確立された装置との間でデータの送受信を行う等の各種通信処理を行うよう無線通信部211を制御する機能と、受信したオーディオデータを音声処理部215へ送出する機能を有する。
記憶部213は、不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、自装置およびSW30の再生帯域を記憶するとともに、放音のボリュームを記憶する。ボリュームは、操作者が操作部218を操作することによって適宜値が変化するが、変化する毎に記憶部213に更新記憶されるようになっている。以下においては、再生帯域とボリュームを合わせて設定情報という。
【0017】
ここで、本実施形態における設定情報の例を図3に示す。図3(a)は、スピーカ装置20だけで放音を行う場合の設定情報のデータ例を示している。図3(a)に示すように、本実施形態では、ユーザ操作により現在設定されているボリューム値と、スピーカ装置20の再生帯域が記憶されている。この例では、「0」〜「255」の範囲で値をとるボリューム値として「125」が設定されており、再生帯域として30〜33kHzが設定されている。
また、図3(b)は、スピーカ装置20とSW30の双方で放音を行う場合の設定情報のデータ例を示している。図3(b)に示すように、この場合には、スピーカ装置20とSW30の各々のボリューム値と帯域が記述される。なお、帯域は、デフォルト値が決められているが、ユーザ操作によって帯域の変更ができるようになっている。
【0018】
なお、本実施形態では、設定情報のボリューム値と同じボリューム値がスピーカ装置20とSW30に設定される例について説明するが、スピーカ装置20に対するSW30のボリューム値の比率等が予め設定されている場合には、スピーカ装置20に現在設定されているボリューム値に対する、スピーカ装置20とSW30の比率に応じたボリューム値を各々設定するようにしてもよい。更に、上記の例では、ボリュームと帯域について設定されている例であるが、放音の遅延時間や音響効果に関する情報等が設定情報に含まれてもよい。
【0019】
図2の説明に戻る。制御部214は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含んで構成されており、CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムをRAMにロードして実行することにより、スピーカ装置20の各部を制御する機能を有する。特に、制御部214は、通信装置40からオーディオデータを受信した際に、設定情報に記憶されているSW30のボリューム値や帯域の設定情報を抽出してコマンドで指示する機能を有する。
【0020】
ここで、本実施形態で用いるコマンドの構成例について図4を用いて説明する。図4は、スピーカ装置20からSW30に対して送信する放音制御コマンドの一例を示す図である。図4に示すように、放音制御コマンドデータは、例えば16バイトで構成されており、ヘッダー部とコマンド部とが含まれている。
【0021】
ヘッダー部には、コマンドのシーケンスナンバーを示すopcodeと、コマンドデータのデータ長と、送信する装置を示す宛先NodeIDと、送信元の装置を示す送り元NodeIDとが含まれている。宛先NodeIDと送り元NodeIDは、SW30とスピーカ装置20の間でデータのやりとりを行う際に各装置のIDが設定される。本実施形態では、これらのIDは、通信装置40と無線リンクが確立された際に、各装置を識別するIDとして通信装置40により割り当てられる。
【0022】
また、コマンド部は、機器ID、コントロールID、Data0・・・Data6のデータ部を含んで構成されている。機器IDには、SWの機器種別を示す情報が設定される。また、コントロールIDは、コマンドの実体を示す情報、例えば、ボリューム値変更の通知や、帯域の設定指示などを表す情報が設定される。データ部には、各コマンドIDに対応するコマンドで指示する内容のデータが設定される。
【0023】
図2に戻り、スピーカ装置20の構成の説明を続ける。音声処理部215は、DSP(Digital Signal Processor)等で構成されており、制御部214の制御の下、スピーカ装置20の放音制御情報に基づいて、通信制御部212から送出されたオーディオデータからスピーカ装置20の再生帯域に対応するオーディオデータを抽出する等の音響処理を行ってDA変換して増幅部216へ送出する機能を有する。
【0024】
増幅部216は、音声処理部215が出力したオーディオ信号を増幅し、放音部217に出力させる。放音部217は、本実施形態においては複数のスピーカによってスピーカアレイが構成され、オーディオ信号の各チャンネルに対応した音響ビームを出力する。
【0025】
操作部218は、ユーザからの指示を入力するための操作子(ボタン、つまみ、スイッチを含む)を有し、操作子に対するユーザ操作に応じた操作信号を出力する。例えば、ユーザは、ボリュームを調節するつまみを操作することでスピーカ装置20において現在設定されているボリュームを変更することができる。表示部219は、制御部214の制御の下、スピーカ装置20を操作するためのメニュー画面や設定情報の変更を行う設定画面などを表示する機能を有する。次に、SW30の構成について説明する。
【0026】
(SW30の構成)
図5は、SW30の構成を示すブロック図である。無線通信部311は、通信制御部312の制御の下、上述した無線通信部211と同様に、他の装置との間で無線通信を行う機能を有する。
【0027】
また、通信制御部312は、上述した通信制御部212と同様、無線通信部311による各種通信処理を制御する機能を有する。音声処理部313は、SW30において設定された再生帯域に基づき、無線通信部311から送出されたオーディオデータから低域のオーディオデータを抽出するなどの音響処理を行い、処理後のオーディオデータを放音部314へ送出する機能を有する。
【0028】
放音部314は、音声処理部313により出力されたオーディオデータの楽音波形信号を設定されたボリューム値に応じた増幅率で増幅する増幅回路と、増幅した楽音波形信号を放音するスピーカとを有する。
【0029】
(通信装置40の構成)
図6は、通信装置40の構成を示すブロック図である。図6に示すように、通信装置40は、携帯オーディオ機器41および通信モジュール42を含んで構成されている。携帯オーディオ機器41は、電池等の電源部(図示略)から電力が供給されており、通信モジュール42は、インターフェース416と421を介して接続されている。本実施形態では、通信モジュール42は、携帯オーディオ機器41と接続されることで、携帯オーディオ機器41内の電源部(図示略)から電力が供給される構成となっているが、通信モジュール42内の各部に電力を供給する電池が通信モジュール42内部に設けられていてもよい。以下、各装置の各部について説明する。
【0030】
携帯オーディオ機器41は、制御部411、記憶部412、操作部413、表示部414、音声出力部415、及びインターフェース416を含んで構成されている。制御部411は、CPU、ROM、及びRAMを含んで構成されており、CPUは、ROMから制御プログラムをRAMに読み出して実行することにより、携帯オーディオ機器41の各部を制御する機能を有する。具体的には、通信モジュール42がインターフェース416に接続された際には、後述する記憶部412内のオーディオデータのうち、ユーザによって選択されたオーディオデータをインターフェース416に送出し、通信モジュール42へ出力する。
【0031】
また、記憶部412は、例えばハードディスク、不揮発性メモリなどの記憶手段であって、楽曲や映像等のコンテンツデータや、コンテンツを再生する際のボリューム値等の情報を記憶する。操作部413は、ユーザが操作を行うための操作子を有し、操作子に対するユーザ操作に応じて、その操作内容を示す信号を制御部411へ送出する機能を有する。この操作子は、例えば、回転操作可能な操作子等であり、操作子の時計回りの回転操作によりボリューム値を増加させたり、反時計回りの回転操作によりボリューム値を減少させる等を指示することができる。
【0032】
表示部414は、液晶等のディスプレイで構成されており、制御部411の制御の下、動画や静止画等の画像を表示する機能を有する。音声出力部415は、ヘッドホンなどの放音手段を接続する接続端子を有し、制御部411から入力されるオーディオ信号を放音手段から出力する機能を有する。インターフェース416は、通信モジュール42等の外部機器と接続し、外部機器との間でやりとりされるデータを仲介する接続端子である。
【0033】
次に通信モジュール42の構成について説明する。通信モジュール42は、インターフェース421、無線通信部422、及び通信制御部423を含んで構成されている。
無線通信部422と通信制御部423は、上述したスピーカ装置20の無線通信部211及び通信制御部212と同様の機能を有し、外部装置との間で無線通信を行う機能を有する。
【0034】
また、インターフェース421は、携帯オーディオ機器41のインターフェース416と同様、外部機器と接続し、接続された機器との間でデータの授受を仲介する接続端子である。本実施形態では、携帯オーディオ機器41と接続され、携帯オーディオ機器41からオーディオデータを受け取って無線通信部422へ送出する。
【0035】
<動作>
次に、本実施形態のオーディオシステム1の動作について説明する。通信装置40、スピーカ装置20、SW30の電源がオンされ、通信装置40から、マスタとして機能するためのマスタ要求がブロードキャスト送信される。スピーカ装置20、SW30はマスタが通信範囲内にあるかどうかを検索し、通信装置40のマスタ要求を受信すると、通信装置40との間にリンク確立する。
そして、通信装置40の通信モジュール42により、スピーカ装置20とSW30に対して各々を識別するIDが割当てられ、各装置に対し、割当てたIDと通信モジュール42を識別するIDとを含む接続要求信号が送信される。スピーカ装置20とSW30は、割当てられたIDを自装置内に記憶し、接続要求信号に対する応答信号を通信装置40に対して送信する。これにより通信装置40とスピーカ装置20、及び、通信装置40とSW30の間で無線通信可能な状態となり、通信装置40からスピーカ装置20とSW30に対してオーディオデータのストリーム伝送が可能となる状態に遷移する。ここで、携帯オーディオ機器41において、ユーザ操作によりオーディオデータが選択されて再生指示がなされると、通信装置40からスピーカ装置20とSW30に対してオーディオデータのストリーム伝送が開始される。
以下、上記の状態においてスピーカ装置20とSW30が行う動作について、図7の動作フローを用いて説明する。
【0036】
スピーカ装置20は、通信装置40からオーディオデータを順次受信し、記憶部213に記憶されている設定情報に従った再生帯域に対応するオーディオデータを抽出してAD変換してオーディオ信号を生成する。増幅部216は、オーディオ信号を、設定情報に設定されているボリューム値に応じた増幅率で増幅し放音部217に送出する。この場合、図3(a)に示す設定情報に基づいて再生帯域が決められるため、中高域のオーディオデータの放音が開始される(ステップS11)。
【0037】
一方、SW30においても、スピーカ装置20と同様に、通信装置40からオーディオデータを順次受信し、音声処理部313において、受信したオーディオデータから低域のオーディオデータを抽出し、予め設定されている増幅率に従ってオーディオ信号を増幅し、放音部314から放音する(ステップS21)。これにより、SW30からは低域のオーディオデータが放音される。このときの帯域は、SW30において予め設定されているデフォルトの帯域である。なお、デフォルトの帯域に変えて前回設定された帯域を用いてもよい。
【0038】
一方、スピーカ装置20の制御部214は、通信制御部212を制御して無線通信部211から無線接続可能なSW30の検出を行うための検出信号を出力する。この検出信号には、スピーカ装置20のIDを示す情報が含まれる(ステップS12)。
SW30は、ステップS12においてスピーカ装置20から送信された検出信号を、無線通信部311を介して受信した場合には(ステップS22:YES)、その検出信号に対して、SW30に割当てられたIDを示す情報を含む応答信号をスピーカ装置20へ送信する(ステップS23)。この処理によってスピーカ装置20とSW30とは無線通信が可能な状態となる。
【0039】
スピーカ装置20の制御部214は、SW30から応答信号を受信した場合、つまり、SW30を検出した場合には(ステップS13:YES)、記憶部213に記憶されている図3(b)に示す設定情報からSWに関する情報を抽出して放音制御情報を生成する(ステップS14)。
【0040】
制御部214は、設定情報の変更があるか否かを判定する(ステップS15)。例えば、ユーザによりボリューム等の設定を変更する操作が操作部218を介して行われていれば(ステップS15:YES)、ステップS14に戻り、設定情報を更新し、更新した設定情報から放音制御情報を生成する。
そして、設定情報の変更が無い場合、または設定情報の更新を行った後に再度の変更がない場合は(ステップS15:NO)、ステップS16に進む。この場合、図4のコマンドにおいて、SW30に割当てられたIDを宛先NodeIDに設定し、コントロールIDに帯域の設定指示を示す情報を設定し、SW30の帯域を示す放音制御情報をデータ部に設定した放音制御コマンドを生成してSW30に送信する。また、ボリューム値に変更があった場合には、コントロールIDにボリューム値変更の通知を示す情報を設定し、SW30のボリューム値を示す放音制御情報をデータ部に設定した放音制御コマンドも生成してSW30に送信する(ステップS16)。
【0041】
制御部214は、図3(b)に示す設定情報に応じた帯域、ボリュームとなるように音声処理部215を制御する。これにより、SWがあるときに応じて設定された帯域のオーディオ信号がスピーカ装置20から放音される。(ステップS17)。
【0042】
一方、SW30の通信制御部312は、無線通信部311を介してスピーカ装置20から放音制御コマンドを受信した場合には(ステップS24:YES)、受信した放音制御コマンドを音声処理部313へ送出する。そして、音声処理部313において、無線通信部311を介して順次受信しているオーディオデータから、放音制御コマンドで指示された帯域のオーディオデータを抽出し、放音制御コマンドで指示されたボリューム値に応じた増幅率でオーディオデータの楽音波形信号を増幅して放音部314より出力する(ステップS25)。
【0043】
なお、ステップS13において、スピーカ装置20の制御部214は、SW30からの応答信号を受信できず、SW30を検出できない場合には(ステップS13:NO)、ステップS11の処理を継続して行うことにより、スピーカ装置20の設定情報に従ったオーディオデータの放音が継続される。
【0044】
また、ステップS22において、SW30の無線通信部311を介して検出信号が受信されなかった場合(ステップS22:NO)、又は、ステップS24において、SW30の通信制御部312が、無線通信部311を介してスピーカ装置20から放音制御コマンドを受信しなかった場合には(ステップS24:NO)、ステップS21の処理を継続して行うことにより、SW30はデフォルト(または前回)で設定されたボリュームと帯域のオーディオ信号を放音する。
【0045】
なお、ステップS22で「YES」となるまでは、放音を行わないようにミュート処理をしてもよい。
【0046】
このように、本実施形態では、SW30が存在するときと存在しないときとで、スピーカ装置20の再生帯域が自動的に切り替わり、さらに、通信装置40から送信されるオーディオデータをスピーカ装置20とSW30とで放音する場合に、スピーカ装置20がSW30に対して放音に関するボリュームや帯域の制御情報を指示することで、スピーカ装置20とSW30のボリュームや帯域がバランス良く自動調整される。
【0047】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、以下の変形例も含まれる。
【0048】
(1)上述した実施形態では、スピーカ装置20及びSW30は通信装置40からオーディオデータを各々受信して放音する例について説明したが、通信装置40以外からスピーカ装置20が取得したオーディオデータをSW30に送信するようにしてもよい。このような場合の例としては、例えば、スピーカ装置20に有線接続されたDVDプレーヤー等からオーディオデータを取得してSW30に送信するようにしてもよい。また、スピーカ装置20において音源等を備えている場合には、スピーカ装置20においてオーディオデータを生成してSW30に送信してもよいし、予め記憶部213に記憶されているオーディオデータを読み出してSW30に送信するようにしてもよい。
なお、上記の場合におけるスピーカ装置20とSW30との無線接続は、ユーザによってオーディオデータを取得する操作が行われた際に、スピーカ装置20の制御部214においてSW30の検出を行い、SW30と無線リンクを確立する。SW30に対する放音制御情報を含む放音制御コマンドの送信は、SW30と無線リンクが確立したときに、図7のステップS14と同様、スピーカ装置20とSW30の放音制御情報を生成し、放音制御情報を含む放音制御コマンドをSW30へ送信すると共に、取得したオーディオデータをパケット化してSW30に逐次送信する。この場合、例えば、オーディオデータとコマンドデータは時分割で送信するように構成してもよい。
【0049】
(2)上述した実施形態では、通信装置40からオーディオデータの受信時にスピーカ装置20においてSW30の検出を行う例について説明したが、例えば、スピーカ装置20と通信装置40との間で無線リンクが確立したときや、スピーカ装置20の電源がオンにされたとき等、オーディオデータの受信前にSW30の検出を行うようにしてもよい。
【0050】
(3)上述した実施形態では、SW30が放音する帯域やボリューム値を放音制御情報として指示するコマンドをスピーカ装置20からSW30へ送信する例について説明したが、帯域又はボリューム値の少なくとも1つをコマンドで指示するようにしてもよいし、帯域とボリューム値以外に、SW30の放音をスピーカ装置20の放音より遅延させる遅延時間の情報等、SW30の放音に関する制御情報をコマンドに含むようにしてもよい。
【0051】
(4)上述した実施形態では、通信装置40からオーディオデータを受信する受信機は、スピーカ装置20とSW30である例について説明したが、受信機は3台以上であってもよい。このような場合には、受信機の中からコマンドを送信するマスタ装置を選出し、コマンドを送信するマスタ装置が他の受信機の検出を行って無線リンクを確立する。
そして、マスタ装置により、マスタ装置に設定されているボリューム値等の設定情報に応じて、各受信機のボリューム値等の放音制御情報を生成し、放音制御情報を他の各受信機に対してコマンドで指示するように構成する。なお、コマンドを送信するマスタ装置の選出は、ユーザ操作による手動で行ってもよいし、例えば、受信機に有線接続されている機器数や機器種別、又は受信機に設けられている機能に応じてマスタ装置として振舞うか否かを定める等の、予め定められたアルゴリズムに従ってマスタ装置を自動選出するようにしてもよい。
【0052】
(5)上述した実施形態では、スピーカ装置20がSW30を検出した場合に、検出したSW30のIDを設定した放音制御情報を含むコマンドを送信する例について説明したが、SW30を検出する処理を行わずに、オーディオデータを受信可能な機器を示す情報を機器IDに設定した放音制御コマンドをブロードキャストで送信するようにしてもよい。この場合、SW30は、ブロードキャストで送信された放音制御コマンドの機器IDに設定された情報が自装置の機器を示すものであれば、放音制御コマンドを受信し、放音制御コマンドに従って通信装置40から受信しているオーディオデータを放音する。
【符号の説明】
【0053】
1・・・オーディオシステム、20・・・スピーカ装置、30・・・サブウーファー装置、40・・・通信装置、41・・・携帯オーディオ機器、42・・・通信モジュール、211,311,422・・・無線通信部、212,312,423・・・通信制御部214,412・・・記憶部、214,411・・・制御部、215,313・・・音声処理部、216・・・増幅部、217,314・・・放音部、218,413・・・操作部、219,414・・・表示部、311・・・無線通信部、415・・・音声出力部、416,421・・・インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置からブロードキャスト方式で送信されたオーディオストリームデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記オーディオストリームデータを放音する放音手段と、
前記オーディオストリームデータを受信することができる他の装置の放音に関する放音制御情報を生成する生成手段と、
前記他の装置を特定して前記生成手段により生成された前記放音制御情報を前記他の装置へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
前記他の装置との接続状態を検出する検出手段を備え、
前記生成手段は、前記検出手段により前記他の装置の接続が検出された場合に、前記放音制御情報を生成し、
前記送信手段は、前記他の装置に対して、前記生成手段により生成された前記放音制御情報を送信することを特徴とする請求項1記載のオーディオ装置。
【請求項3】
外部装置からブロードキャスト方式で送信されたオーディオストリームデータを受信する受信手段と、
前記オーディオストリームデータを受信することができる他の装置から当該オーディオストリームデータの放音に関する放音制御情報を受信する放音制御情報受信手段と、
前記放音制御情報受信手段により受信された前記放音制御情報に従って、前記受信手段により受信された前記オーディオデータを放音する放音手段と
を備えることを特徴とするオーディオ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−55440(P2011−55440A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205029(P2009−205029)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】