説明

オープン・スケール構造の防縮ウール&カシミヤ

【課題】スケールを除去せず残したまま防縮性を発揮し、肌触りのよい、抜け毛の少ない、嵩高で、弾力のあるバルキー、イオン構造に富む多機能な防縮ウール構造を提供する。
【解決手段】発明的イオン気泡処理により、スケールを残し、その谷間奥部のC・M・Cの一部を溶解孔化し、スケールを開いたまま元に戻らないよう樹脂で固着充填して成るオープンスケール固定構造の防縮構造を提供する。更に、皮質部各繊維のC・M・C接合部や各繊維間充填物の一部を溶解孔化し、空気保有化し、かつ、各繊維内奥部を各々横縦方向に膨脹収縮バルキー化し、ミネラルイオン沈固着構造を構成すると共に、スケール谷間から皮質部内奥まで樹脂を固着充填して、オープン固定化、孔質化、空気保有化、バルキー化及びイオン化して多機能な防縮構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は、従来ウールやカシミヤに見られない防縮性の改質構造を提供する。即ち、各スケール先端を開き、各スケール谷間、奥部<皮質部内につながる部分>のC・M・C(=細胞膜複合体)の一部を溶解孔化し、その開いたままの谷間、奥部を樹脂(=固着剤)で固着充填して、元に戻らないよう固定するオープンなスケール(=Cuticleクチクル)構造を提供する。更に、スケール谷間奥部のC・M・C、即ち、皮質部(=Cortexコルテックス)との境界域に接合するC・M・C(=Cell Membrane Complex)の一部および各スケール内層間<エキソとエンド層の境界域>の一部を溶解孔化し、これを樹脂で固着充填して成る皮質部の外周囲にできるスケール内層の孔質構造を提供する。
【0002】
皮質部の各マクロ繊維群を接合するC・M・Cや、各マクロ繊維間を充填するマクロ繊維間物質Int−Mac及び細胞核残遺物N・Rの一部(アミノ酸)を溶解孔化し、更に、各ミクロ繊維周辺や内奥の一部(アミノ酸)を溶解孔化し、横、縦方向に膨脹収縮、バルキー化し、かつ、多量の空気層を保有し、浮力を発生して成るバルキーな皮質部構造を提供する。
【0003】
また、本発明イオン処理による各種溶液は各々、各スケール谷間から皮質部内奥へ順次、各繊維細胞を傷めず浸透し、本溶液の最終反応時、酸素やミネラルイオン<混合ガス>を大量に発生し、気泡となり、水分子を細分化する。或る気泡は、各々皮質部たんぱく質繊維表面に沈固着し、他の気泡は、特定たんぱく質アミノ酸を溶解孔化し、かつ、ミネラルイオン物質を固着する構造を構成する。更に、本発明で使用する樹脂油剤は、皮質内イオン固着構造により、その分子集団<水や油剤〜流状物>を細分化し、浸透性を増す為、皮質部内奥まで速やかに浸透拡散、固着充填する構造を構成する。以上、本発明は、従来の未加工、防縮加工、その他の加工ウール&カシミヤにない非常に優れた白さ、ソフト肌触り、空気(水分)保有性、保温性、撥水性、嵩高性、反発性、浸透性、染色性、抗菌性、イオン性、消臭性等を有する改質構造を提供する。
【背景技術】
【0004】
従来、実施される防縮構造は、ウールの収縮フェルト化の元凶であるスケールを化学、物理的方法で(一部又は全部を)剥離、除去し、樹脂で被膜し、その表面を平滑化するスケール・オフScale−Off構造である。即ち、強アルカリ<クロイ加工>処理や有機溶剤処理によるスケール外皮の剥離化であり、ポリマー系樹脂被膜によるスケール表面の被膜化、平滑化<Hercoset加工>である。他に、塩素処理含む酵素加工や、オゾン酸化剤を使い気泡発生装置によるスケールの溶解、剥離加工がある。これらは総て、防縮性はあるが、ウール本来の膨らみ、絡み、嵩高性を消失し、紡績性、保温性、弾力性など諸機能を低下させる構造であり、今後は、新世紀をリードする防縮構造の実現を期待する。
【0005】
先ず、ウールを細胞学的見地から考えると、皮質細胞Cortex86.6%と、これらを取り巻く表皮細胞Cuticle10.1%と、これらを接合する細胞膜複合体C・M・C3.3%に大別される。従来の防縮ウールはこのスケールCuticle細胞を剥離、除去するので、体積、重量はかなり減少するが、本発明ウールはスケールをそのまま残し、その先端を開き、その谷間のC・M・C(一部)だけを溶解固定する為、その体積、重量は殆ど減少しない。尚、C・M・C(Cell細胞Membrane膜状Complex複合体)の接合域(Inter−cellar Cement)は、エキソ〜エンド層の境界、エンド層〜皮質部の境界、皮質部内の各繊維集合体の境界に構成され、各々性質(性状)は異なるが、概して水分を含み膨潤し、染料、物質分子を繊維内部へ浸透拡散する<導水管>のような働きがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、実施される防縮加工は、防縮性に重点をおいたもので、スケールを除去、被膜する改質構造である。しかるに、本発明は、単繊維の絡みを強め、ウールの遊び毛、抜け毛を防止する課題を達成する為、スケールをそのまま残し、その先端、谷間を開き、奥部を溶解孔化し、そこを樹脂で固着充填、固定化し、絡み性の強い改質構造を提供する。更に、本樹脂加工に用いる樹脂(ゴム状固着剤)は、皮質内に固着するミネラルイオン(改質部)の働きで、その分子集団を細分化し、浸透力を増し、素早くスケール谷間から皮質内に浸透、固着充填する為、改質していないスケール表面層には、本樹脂が付着せず、従来の未加工ウールと変わらない毛羽立ち、絡みのある外観構造を提供する。
【0007】
ウールは、毛根から毛先にしごくのと、反対方向にしごくのとで、摩擦力が違い、その表面摩擦係数(0.11対0.14)が指向性摩擦効果であるが、濡らして軽く力を加えると、平行→ねじれ→ワナ→二重三重の絡み→収縮→球形化(フエルト化現象)がある。また、紡毛(短繊維)ウールは、遊び毛、抜け毛の多い特徴がある。本発明は、この抜け毛を防止する為、スケール先端を開き、その谷間を樹脂で充填、固定化して、単繊維の絡み構造を確立するが、この開放、起立状のスケール固定構造が、毛根〜毛先間の指向性を上向きに転換し、スケールの表面摩擦効果を消失する構造であることを発見した。更に、本発明は、このスケール内層<エキソ〜エンド層境界>の一部を溶解孔化、軟化することで、スケールのフエルト化複合作用を抑止する(防縮性の)補助構造となる。
【0008】
従来の未加工、加工(防縮を含む)ウールはひとたび、繊維内に臭いや物質を取り込むと、それらを内部に閉じ込めてしまう性質がある。これは、従来未加工、防縮加工構造が有する各スケール谷間奥のC・M・Cや、皮質部各マクロ繊維群を接合するC・M・Cや、各マクロ繊維間を充填する物質に起因すると思われるが、本発明は、スケールC・M・Cや皮質部の一部を溶解孔化、イオン処理化し、そこを樹脂で充填する為、改質加工後は、臭いや各種物質(不組成、不用分)を容易に分解、中和、放出する改質構造を提供する。また、これら多孔質な活性構造は、生来、相互関係にある両性構造を一層活性化する為、各種香辛料(例、カフェイン)や悪臭(例、ニコチン)を速やかに分解、消臭、放出する構造となり、各繊維薬剤、樹脂、柔軟剤、2次加工物質、セラミックス、マイクロカプセル等を強力に染固着する内部構造を提供すると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本構造の独自性、新規性を裏付ける種々の試験結果や顕微鏡写真を掲載、分析し、本加工の実態、資料、文献を精査して、発明構造を立証する。さて、従来の防縮加工(クロイ)ウールは、図IV(側面写真)のようにスケールを除去、被膜、平滑化する構造であるが、本発明ウールは、図III−1(側面写真)の如く、スケールを残して先端を開き、その谷間空間を樹脂で固着充填する構造であり、本発明スケール外観は、未加工ウール外観(図1側面写真)と何ら変らないのに、耐洗濯性、防縮性があり、多くの優れた機能性を保有する。更に、スケール先端が上向き、ノコギリ状に浮き立つ形態や、スケール外皮に囲まれた皮質部各繊維の丸く膨れた、弾けんばかりのバルキー構造(図VI−1断面写真)は、歪に痩せた未加工ウールの断面写真(図V)と明らかに相違する。
【0010】
また、後述実験例1、2の如く、上向きに開き、起立するスケールエッジ構造は、従来防縮ウールにない、蓮の葉に似た細かい無数の産毛構造<柔らかい毛羽立ち形状>を呈し、水滴を長時間はじく撥水構造となる。その上、上向きに固定化するエッジ構造は、大量に空気層を溜める保温、保冷構造となる。また、本来、ウールやカシミヤスケールの<ノコギリ状の歯先>は(特に、水分を吸収すると)、肌に刺すようなチクチク感を生じるが、当該産毛構造はこれらを解消する構造となる。以上、本オープン構造は、防縮性、撥水性、保温性、嵩高性、空気保有性、軽量性、ソフトな肌触り感など多くの機能性を備える改質構造を提供する。
【0011】
因みに、未加工ウール&カシミヤ混梳毛糸(#1/60単糸かせ状で)を本O・S加工すると、その繊維径(糸の太さ)は処理前に比べ、横方向に倍近く膨らみ、それに伴い、その繊維長(糸の長さ)は1割近く短縮化する。これは、本イオン化処理によるスケール、C・M・C、皮質部各繊維の接合部や充填部の一部を溶解すると共に、皮質細胞の分子間、横結合ポリペプチド鎖<左右の側鎖=硫黄結合>が分裂、結合を起こして、皮質内部をバルキー(空気層保有)化する改質構造を提供する。
【0012】
ウール全重量の86.6%を占める皮質部構造について考えると、皮質部の74%は、<結晶部>のプロト、ミクロの集合マクロ繊維と、<非晶部>のマトリックスのケラチンたんぱく質Keratinousがある。その他の12.6%は、<非晶部>の細胞核残遺物Nuclear Remnantsとマクロ繊維間物質の、Non−Keratinous非ケラチンたんぱく質で、シスチン(Cystine)含量が少なく、親水性の<酸性及び塩基性>アミノ酸残基の多い物質Non−keratinousである。この内、塩基性アミノ酸残基は、酸性染料の染着座席であり、反応性染料の反応座席であるが、酸性アミノ酸残基も同様、一方の染着、反応座席を有する構造である。
【0013】
更に、ウールの化学的組成について考えると、ケラチンたんぱく質である<ミクロ、マトリックス>が82%であり、非ケラチンたんぱく質である<Cuエンド層3.6%、マクロ繊維間物質とN・R12.6%、C・M・Cδ層のIntercellar Ccment1%>が計17.2%であり、他に、非たんぱく質の<C・M・Cβ層〜脂質>が0.8%である。
【0014】
更に、ウールは、非晶部63%と、結晶部37%に分別され、非晶部は、Cuエンド層、C・M・CのSoluble protein、マクロ繊維間物質及び細胞核残遺物から成る非ケラチンたんぱく質(シスチン結合の低い部分を含む)から成り、他に、ケラチンたんぱく質のマトリックスMX<シスチン結合で高度に架橋化し、親水性アミノ酸残基が少ない>がある。また、結晶部は、非Helix構造とα−Helix構造(構成単位)が半分以上凝集して成るプロト繊維から成る。更に、プロトや、ミクロの表面構造は、親水性の<酸性および塩基性>アミノ酸残基に富み、水分や各種染料を多量に吸着する染着座席があり、各種染料の反応座席(量)の高い可溶化<低イオウ>たんぱく質がある。
【0015】
本発明の<イオン化気泡>による、本ウールの一部アミノ酸の溶解、抽出量は、合計2〜3%から4〜5%(O・W・F)前後である。これらは、本加工ウールの総重量(加工前、後)の量的変化を計測し、排出処理液(含有アミノ酸)を分析する必要がある。本発明の溶解対象は、C・M・Cの内、Soluble Protein(溶解性たんぱく質)の、δ−層Globular Protein(Cement material)1.0%O・W・Fが考えられる。他に、Unit cell membraneの脂質層は0.8%O・W・Fあり、これは二層のβ−層<Fibrous Protein及びLipid Leafletの複数部分>から成るが、溶解対象でない。次に、化学的抵抗性の高い細胞膜Resistant Membrane(非たんぱく質)は1.5%あるが、その対象ではない。
【0016】
本発明のイオン化気泡による溶解対象部分は、C・M・Cの非ケラチン(溶解性)たんぱく質Soluble Proteinδ−層1.0%<シスチン含量の少ない層1.1mol%>があり、その他、スケールエンド層に含まれる非ケラチンたんぱく質3.6%<シスチン含量の少ない層1.6mol%>がある。更に、皮質部のマクロ繊維間物質や細胞核残遺物に含まれる非ケラチンたんぱく質12.6%<シスチン含量の少ない層1.6mol%(分子量)>が溶解、抽出の対象と推測される。
【0017】
ウール総重量の10.1%を占めるスケール構造について考察する。図IXの如く、▲1▼最表面のエピEpi層は、0.1%である。化学的不活性たんぱく質、シスチン架橋の非常に高い層Ultra−cystine−rich layer、5nm(ナノメートル)の耐塩素・硫化ソーダ薄膜状、脂質層、水滴をはじく(撥水性)、最表面細孔部からエキソ内層へ湿気を通す(吸湿性)。次に、▲2▼エキソExo内層は、6.4%である。高度に架橋化し、膨潤し難く硬い構造の非晶性ケラチンたんぱく質、比較的高い層a−layerと低い層b−layerから成る。これらの層はエンド層(C・M・C)と接合し、バイメタル的にフエルト化複合作用を起こす。スケール両端は鋸の歯先の鋭い先端(肌に刺す部位)と、固い沈殿物構造の付け根を有する。
【0018】
▲3▼スケール最奥部のエンドEnd層は3.6%である。微小器官(結節部)や細胞核残遺物NRを含み、毛細管現象で水分を引き込む。シスチン含量少なく、親水性(塩基性や酸性)アミノ酸残基が多い、非ケラチンたんぱく質、水膨潤性が高く流動性に富む組織。エキソ層と連動してフエルト化複合作用を促す。また、エンド層のC・M・C側に、シスチン含量の高いβ−layer(脂質)が二層あり、皮質部細胞を保護するが、この二層の中間に、C・M・Cのδ−層Globular Protein1.0%が在り、本発明はこの部位を溶解、孔化し、沈固着すると推測される。因みに、このシスチン(アミノ酸の一つ)は六角板状の白い結晶体をなす。
【0019】
ウール総重量の3.3%を占めるC・M・C構造について考察すると、C・M・Cは各スケール谷間、奥部に在り、スケールの開閉機能を司る。このC・M・Cは、他に各マクロ繊維群の細胞膜接合域に存在する。さて、C・M・Cは組成的に、約25%の脂質と、約30%(ウール総重量の1%に当る)のシスチン含量の低いたんぱく質(本発明で溶解するアミノ酸)と、約45%の非常に化学的抵抗性の高い細胞膜(Resistant Membrane)から成る。また、構造的に、δ−層(染色性、活性、非ケラチン層に富む)Intercellar Cemntと、β−層(不染色性、不活性、Resist−M、脂質層に富む)の電車軌道構造を有するが、β−層はUnit cell membrane75Å(オングストローム)大の二層、Unit Cell膜はFibrous Protein25ÅとBimolecular Lipid leafiet12.5Åの2葉片分子から成る。(δ−層:Globular Protein接着物質1.0%は、この二層の中間部に在る)。一般的に、C・M・Cは、染料、物質分子の浸透、拡散、染固着を阻害する主な要因であるが、今日まで、この改質<ピンポイント>技術が確立せず、その意味で、この分野の先駆的成功例である。
【0020】
さて、本O・S加工糸によるパイル編み縫製済みセーター(完成品)は、公的機関で防縮性ありの合格判定を受け、同じO・S加工わた、糸、編地(半製品)がフエルトボール(球形化)試験で、防縮性なしの不合格判定を受ける。これは何れも同じ公的機関の結果であるが、現行のフエルトボール試験は、わた状態で<平行→ねじれ→ワナ→二重三重からみ→収縮→球形化>試験して、その形状(球状か半球状、束状か半束状)を判定するが、一方、完成品(通常の使用状態で)はそのままで試験する為、何ら変化なく本製品の防縮性は合格する。唯、本製品は堅牢な改質構造でない為、試験法の違いで、防縮性に限界があると判明した。
【0021】
つまり、本O・S構造は、各スケールを開き、その極狭な谷間壁面と、奥底部を樹脂で充填し、各スケールの指向性を転換固定化し、防縮性を実現する改質構造であるが、このスケールオープン固定化は、その谷間壁面と、奥部(C・M・C改質部)を充填する局所的な固定構造である為、その防縮性は頑強でなく不完全である。つまり、このスケール先端、谷間に化学的物理的圧力(衝撃)が加わると、直ちに、各先端に毛羽が発生し、各谷間が毛羽で被われ、その起立状態は倒伏し、元の指向性(フエルト化)構造に逆戻りする。現O・S構造の防縮性が<限定的>である由縁である。また、本発明イオン気泡固着<改質>構造は、本樹脂加工を施す際、<ミネラルイオン物質による分子結合の細分化により>、本樹脂の油性(分子集団)を細分化し、浸透力を増し、皮質部内奥へ速やかに浸透拡散、固着充填構造を実現する。
【0022】
さて、本O・S構造が如何なる条件下でも完全防縮性を確立する為、各スケールの先端(部分)除去を行なう。即ち、各スケール先端<70〜50%>を溶解し(図IIの状態)、然る後、本O・S加工を実施してオープン・スケール・ウォッシャブル(O・S・W)構造を完成する。つまり、各スケールは先端70〜50%を限度として、先端除去〈未公表の発明的製法〉を行ない、その後、残りスケール<30〜50%>をO・S加工でオープン化、孔質バルキー化して、最後、樹脂で固着充填して成る防縮O・S・W構造(図III−2、図VI−2)を完成する。
【0023】
さて、本加工で使われる樹脂固着剤は、本O・S加工でイオン処理されたスケール谷間奥部や皮質部各繊維内奥へ、速やかに浸透拡散、固着充填するので、スケール表面部への樹脂固着はほとんど見られない。更に、本O・S・W構造も同様で、スケールの部分除去にかかわらず、膨らみ、嵩高、凹凸、絡み性があり、従来防縮ウール(例、クロイ加工、Eウール加工、エコウオッシュ21加工他)より優れた嵩高性、紡績性、消臭性、抗菌性、浸透性、速乾性等を有する多機能な防縮ウール&カシミヤを提供する。因みに、O・S・W起毛製品の、洗濯後の乾燥時間は大いに短縮化し、速乾性の良い防縮ウールを提供する。また、従来の防縮(クロイ加工)ウールを本発明イオン処理で、各スケール谷間奥部のC・M・Cや、各マクロ繊維群を接合するC・M・Cや、各繊維間を充填する物質やN・Rの一部を溶解孔化し、オープン、孔質、バルキー化する為、従来にない嵩高、膨らみのある、多機能な防縮ウール構造を提供する。
【0024】
さて、一般的なウール(メリノ)の内部構造について考察するが、最深奥部は髄細胞(システイン含量が少ない)があり、その周囲に1ユニット4本の計3ユニット12本のプロト極小繊維PF(Proto Fibril)がある。各1ユニットの各1本のプロトは、<長さ52.7Åオングストローム>の非Helix構造部と、左・右回り螺旋状のCoiled−Coil Rope2本或は3本のα−Helix構造部<長さ148.6Å>一対から成り、3ユニット(計12本のプロト繊維)が螺旋階段状に1回転する集合体の、ミクロ小繊維MF(Micro Fibril)1本を構成する。
【0025】
各ミクロ小繊維MF(結晶相)は、直径75〜80Å、長さ1μm(ミクロン)で、シスチン含量の少ない、親水性の<酸性や塩基性>アミノ酸残基の多い、染着性の高い低イオウたんぱく質がある。その外周囲に、大量のマトリックスMX(非晶質、シスチン結合で高度に架橋化し、親水性のアミノ酸残基の少ない、染着性の低い高イオウたんぱく質や、高グリシン・チロシンたんぱく質)があり、(擬)六方状充填構造をとる。
【0026】
マクロ繊維MAC(直径0.1〜0.3μm、長さ10〜15μm)は、各ミクロMF(結晶性)と各マトリックスMX(非晶性)の多数集合体から成るが、マクロ長軸の周りにミクロ繊維が傾斜して<螺旋構造の>配列で、MX部の少ない、(密な)塩基性色素を吸着し易い親塩基性オルソ層(MFとMXの凝集体)を形成する。他に、(疎な)酸性色素を吸着し易い親酸性パラ層や、両者境界にある両性メゾ層の、各マクロ凝集層の集合体を皮質細胞(幅2〜7μm、長さ約95〜100μm)と言う。さて、これら各繊維層のミクロMFの密度(疎、密)や、マトリックスMXの充填(多、少)構造は、ウールのちぢれ(クリンプ)や、他の物理現象を引き起こす重要部分であることが知られている。
【0027】
ところで、各マクロ繊維群は細胞膜C・M・Cで接合、集束され、或は、各マクロ繊維間は、インターマクロ繊維物質Inter−Macro Fibrillar MaterialやN・Rで充填されるが、本O・S加工はこれら物質の一部をイオン気泡処理するものであるが、ここにおいて、本加工の実際を<模擬実験>で明白に説明すれば、透明の広口ビーカーに当該試料(原毛ウールわた)を容れ、特願2002−162725号通り、順次、各溶液を投入、浸透拡散すると、水分を含み、この試料はいったんビーカー底部に沈むが、最終の溶液投入により、酸素やミネラルイオン(混合ガス)が大量発生し、気泡化した後、次の瞬間、本試料が水面上に浮き上がる現象を検分する。これは明らかに、スケール谷間奥部<C・M・C>の一部が溶解孔化し、皮質部内の各繊維間の一部が溶解孔化し、多くの孔質構造、即ち、多量の空気層構造を形成し、空気保有により比重が軽くなり、大きな浮力を生じたことに拠ると推測される。
【0028】
また、ウール皮質部は、多数のパラ細胞(好酸性+極)、オルソ細胞(好塩基性−極)、メゾ細胞(両性+−極)の各層が区分、整列、凝集して成る+−電極構造であるが、各層は本発明イオン処理による化学反応で、大量のミネラル+−イオンや酸素の混合ガスを発生させ、気泡化し、皮質部各繊維面に着床(沈固着)し、各繊維の一部として濃密なイオン固着構造を形成するが、これらは強力な活性イオン発生源となり、また、通電構造をなし、強力な電極反応を起こし、電気反応を促す構造となる。
【作用】
【0029】
本O・S構造は、スケールエッジを立て、単繊維の絡みを強めるので、紡毛、梳毛共、その紡績性は良好で、むしろ、その過大な膨らみ、空気抵抗の為、従来の紡績下撚り回数ではスリップして、撚りが戻り、想定より撚りが甘くなると考えられる。そこで、通常の数値でない下撚りの強撚化、即ち、通常の3割増しを目途に実施するが、その結果、多くの優れた機能性をもつ良質なO・S加工糸を実現する。このO・S強撚糸による本製品を公的機関で試験して、洗濯後の寸法安定、形状変化が少なく、柔らかい風合いを維持する防縮ウール&カシミヤを完成する。
【0030】
本O・S構造の織物用梳毛糸は、通常の下撚り数500〜560回より3割増し(650回強撚)でも硬くならず、柔らかい風合いを維持する。又、O・S構造のニット用紡毛糸は、通常の下撚り数260〜280回より強撚の350回/mでも、後述実験例5のごとく、#2/26の下撚り450回(強撚)でも、そのカシミヤセーター(完成品)の耐洗濯性は5回洗濯でも風合いが柔らかく、寸法が安定し、防縮性があり、抗ピル性が3.5級である。また、本O・S・W構造のカシミヤ毛布用紡毛糸#2/10も、下撚り430回(強撚化)でも、その起毛毛布(完成品)は、公的試験でI〜4回の苛酷な洗濯条件に収縮せず、寸法が安定し、風合いが柔らかく、抗ピル性3級を獲得する。消臭性(アンモニア)も未加工品より10倍も高い数値を記録し、しかも、洗濯後の乾燥時間が大幅に短縮化し、速乾性のある防縮構造を完成する。
【0031】
本O・S構造の紡績調合油の吸収性は通常より大きく、その上、過剰吸収分は、本構造の性質上、皮質部からスケール外部へ容易に排出する特徴がある。これは、実際の紡績現場で発見するが、通常通り、油剤(量)を本O・S原毛に投入(混綿)し、カード、篠揉み工程のあと、通常の下撚り(遠心分離装置による)加工を施した所、この繊維内部から多量の粘液性の油脂が放出され、給糸ノズル附近に付着する(通常有り得ない)事件が起こる。偶然、通常見られない内部構造を発見し、本構造が優れた吸油性、保油性、放油性をもつことを確認する。
【0032】
本O・S構造は、殆どの染料薬剤、助剤を素早く浸透拡散し、高度に染着する作用がある。これはオープン、孔質、バルキー構造と共に、酸性、塩基性皮質構造と各+−イオン固着構造による為、と考えられる。つまり、この皮質部イオン化構造は、染色加工後に現われる、優れた抗菌性効果(黄色ブドウ球菌の静菌活性値2.7)を保有する染色構造を提供する。更に、本O・S構造は、各種草木染めを媒染剤(アルミ、銅、鉄、クロム等)なしで鮮明に染色し、公的機関40時間以上の(長ければ長いほど良い)耐光染色堅牢度試験に5級未満の結果を得る構造である。
【0033】
また、本O・Sスケールの環状孔質構造は、スケール表面層が不透明なガラス状構造を呈し、濃色染めがメランジ調になる特徴がある。これは染料の殆どが速やかに皮質部内奥に浸透拡散、染固着する為、スケール表面層に染料が及ばず、染着し難い現象が起こる。つまり、スケール内層(皮質部との境界域)に存する環状孔質構造が、皮質部の染色性や染着速度を著しく速める効果がある。更に、外部からの紫外線を効果的にカットし、発色性(深み)、耐光堅牢性、鮮明性(濁り無さ)を高める効果もある。この構造は、非ケラチンたんぱく質のC・M・C、Int−Mac、NR、MF(表面)/Mx境界域の一部を改質する為、各染料(物質)は従来にない染色構造を構成し、高い機能性を発揮する。
【0034】
さて、本O・S染色構造は通常ウールと異なる。即ち、その構造的特徴は、従来の<初期染着の遅い>ウールに比べ、浸透、拡散、染固着速度が非常に速く、敏感な為、最初からPHを下げないで、初期染浴は、酸性<PH5>でなく、中性<PH7>か弱アルカリ<PH7〜8>でスタートする。また、染色途中、均染化の為、染着速度を抑える追酸処理(酸性化)が必要である。また、従来の染色温度(80〜100℃)でなく、低温染色(40℃〜60℃)が可能で、染着時間(濃、淡共)は短く、濃色でも60分程度あればよい。特に、低温染色が必要な獣毛混(ウール/カシミヤ)製品には最適な染色構造である。更に、本O・S製品はいったん5分程度ボイル(煮沸)、水洗すると、本製品内に塩素系物質が無くなり、良好な染色(特に草木染め)が可能となる。また、染色加工(染料)残液が少ないのも特徴的構造である。
【0035】
従来、ウールやカシミヤの白度を上げる加工として、種々の漂白(酸、アルカリ、酵素、過酸化水素、酸化還元等)熱処理があるが、何れも処理後の繊維がカサついたり、硬くなる欠点がある。本O・S処理製品は、ブラックライトの中で、他のどの加工、未加工品よりも、青白く強い輝きを放ち、白さの優れた発明構造を呈する。しかも、本O・S加工後の被加工品は更に長時間、本イオン処理液槽に漬け置いても、本ウールは損傷せず、ますます白く柔らかい嵩高な製品に改質する。このイオン処理溶液がウールに優しい溶液であり、皮質内部に豊富なミネラルイオンを固着化し、反応構造を構成するので、脱色作用が働くと推測される。
【0036】
本O・S構造が媒染剤なしで草木染料と完全に染固着するのは、皮質部内に塩素系の有害物質が存在しないからである。つまり、硫化水素、ホルムアルデヒド、アンモニア、酢酸、重クロム酸カリウム等、各種加工時の不組成、未染着、不用物を分離、放出し、中和、分解する為である。
【0037】
本O・S構造は、紡毛紡のみならず梳毛紡にも適用され、かつ、羊毛(ウール)のみならず獣毛(カシミヤ、ビキューナ、キャメル、アンゴラ)、その他動物繊維(例、数種類のアミノ酸たんぱく質から成るシルク)、木綿、テンセル等(各混紡糸を含め)、多孔質、多層な天然繊維にも広く適用される発明構造(製法)である。また、本O・S加工は化学溶剤によるイオン化気泡処理である為、本加工用の使用水は、この気泡発生(反応)を促す水質でなければならない。特に、本使用水に含まれる金気(鉄分)は、本発明のイオン化(気泡発生)を致命的に阻害(破壊)するので、本加工中の本加工機への混入をゼッタイ防止する必要がある。
【0038】
本発明加工の場合、本使用水の水質(硬水、軟水、地下水や工業用水)が悪いと、<特に金気(鉄分)が混入すると>スケールは開かない、バルキー化しない、イオン化しない特徴がある。また、中国その他水質の悪い国では、金気の混入防止以外に、更に、[特願2002−181197]の、[パワフルな機能を有するマイナスイオン活性水](最適品−ウセナ活性水)のような加工助剤を、本加工初期段階から本使用水(特に硬水)に注入し、<イオン処理した水>で加工処理する必要がある。
【実施例】
【0039】
【実験例1】
大阪府立産業技術総合研究所
[試験報告書]NO02−01805平成14年10月7日発行
<試験材料>堺商工会議所提供 試料名 羊毛トップ
<試験項目>比容積(かさ高性)、吸水性(速度)、引張り強さ、伸び率
<試験方法>かさ高性 JIS L1095A法による。
吸水性 JIS L1907(沈降法)に準ずる。
試験片は試料の糸を直径2.2cmの円筒に巻き取り、かせ状とする。巻き取る長さは60cmとした。
<試験結果>

【実験例2】
財団法人日本紡績検査協会(生活用品試験センター)
[試験証明書]試験番号02619291 2002年8月30日
<試験材料>瀧定大阪(株)提出
試料名(品名・品番)
▲1▼、2/48 12G 2PLY 西陣式(染色後)OS加工
▲2▼、2/48 12G 2PLY 鵜瀬式(染色後)OS加工
3、F8008 クロイ 12G−2P 天竺
4、F8008 レギュラー 14G−1P ゴム
<試験項目>温度測定
<試験方法>提出された試料を二つ折りにし、その中心に熱伝対温度センサーを取り付け、更に二つ折りにする。恒温恒湿器を用いて20℃x40%RHの環境で2時間処理した後、直ちに20℃x90%RHの環境に変化させた時の温度変化を1分毎に30分測定する。
<試験結果>

【実験例3】
(財)毛製品検査協会 中部検査所
[試験報告書]平成15年11月11日発行
<試験材料>(株)フジイコーポレーション提供
品名 カシミヤ100%紡毛セーター
品番 P13119
<物性試験>防縮性
<試験方法>JISL1076 A法(1C1)5時間
<試験結果>耐洗濯性(寸法変化)は下記の通り


【実験例4】
(財)日本繊維製品品質技術センター[生地品質検査報告書]1110F34平成16年1月19日発行
<試験材料>グランビル有限会社 提供
品名 カシミヤ100%
▲1▼紡毛26番双▲2▼そ毛48番双▲3▼そ毛48番双
品番▲1▼OS−100▲2▼OS−300▲3▼OSW−400
1<物性試験>ピリング性(物性:▲1▼不合格▲2▼不合格▲3▼合格)
<試験方法>JISL1076 A法5時間
<試験結果>▲1▼2.5級▲2▼2.5級▲3▼4級(ピルの脱落あり)
2<物性試験>吸水性(撥水性に準ず)
<試験方法>滴下法
<試験結果>▲1▼3分以上 ▲2▼3分以上 ▲3▼35秒
【実験例5】
(財)日本繊維製品品質技術センター西部事業所
<試験材料>グランビル有限会社提供 平成16年5月10日発行
品名カシミヤ100%
紡毛糸26番双(下撚り450回上撚り220回)
品番LOT40274編み生地ピンク
1<物性試験>寸法変化率:5回繰返し後のデータ 通常水道水(冷水)でネットに入れて実施(物性〜合格)
たて(ウエール)−1.2% よこ(コース)−2.0%
2<物性試験>ピリング(級)3.5 (ピルの脱落あり)
【実験例6】
(財)日本繊維製品品質技術センター西部事業所
<試験材料>グランビル有限会社提供 平成16年5月10日発行
品名:カシミヤ100%
紡毛糸26番双(下撚り340回上撚り250回)
品番LOT40275編み生地ブルー
1<物性試験>寸法変化率:5回繰返し後のデータ、通常水道水(冷水)でネットに入れて実施(物性〜合格)
たて(ウエール)+0.7% よこ(コース)−2.2%
2<物性試験>ピリング(級)2(ピルの脱落あり)
【実験例7】
(財)日本紡績検査協会 [試験証明書]
<試験材料>瀧定大阪(株)提供 2002年9月6日
<試験項目>抗菌性試験
<試験菌株>黄色ぶどう球菌
<試験方法>JIS L1902 定量試験による
<試験結果>

【実験例8】
大阪府立産業技術総合研究所 [報告書]
<試験材料>佐野紡績株式会社 提供 平成16年11月19日
試料名:OSW10C100
<試験項目>ピリング
<試験方法>JISL1076A法による。(処理時間:10時間)
<試験結果>3級(毛羽乱れあり、ピルの脱落あり。)
【実験例9】
大阪府立産業技術総合研究所
<試験材料>佐野紡績株式会社 提供 平成16年11月19日
試料名:OSW10C100
<試験項目>寸法変化
<試験方法>JISL1909法による。
同一の試料を用いて4回繰返し洗濯を行ない、1回洗濯を行うごとに、洗濯前を基準として寸法変化率を求めた。
洗濯処理方法:JISL0217103番による。
<試験結果>寸法変化率(%)
たて方向 よこ方向
1回洗濯後 −2.0 13.5
2回洗濯後 −2.0 15.5
3回洗濯後 −2.0 17.5
4回洗濯後 −1.5 19.5
註;寸法変化率において(−)記号は収縮を示す。
【実験例9】
大阪府立産業技術総合研究所
<試験材料>佐野紡績株式会社 提供 平成16年12月2日
試料名:カシミヤ100%毛布:OSW10C100ブラウン
SN10C100アイボリー
<試験項目>化学試験(繊維系消臭及びガス吸着機構評価試験)
<試験方法>20℃−65%RH恒温恒湿の室内で行う。
消臭試験各5Lテドラーバッグに空気3Lと各2g毛布(試料)を入れ、アンモニア臭気ガス(初発濃度50ppm)を注入密閉、24時間後のテドラーバッグ内のガス濃度をガス検知管(測定範囲0.5〜78ppm、検知限度0.2ppm)で測定。
<試験結果>試験は2回行い、その平均値を示す。
24時間後
空試験 32ppm
OSW10C100ブラウン 検知限度以下
SN10C100アイボリー 2ppm
【発明の効果】
【0040】
本O・Sイオン処理法で投入される主要な溶液は、わが国食品衛生法に記載される食品添加物の指定商品である。また、各溶液の中で、危険な溶液(塩素剤を含む)があっても、その取り扱い業者(プロ)が本製法規定を遵守し、(自動ミキシング装置や自動注入装置の活用で)全く危険はなく、しかも、各溶液は本加工機への投入直後から、塩素剤は塩素イオン化され、毒は毒を以って制すの安全、安心な加工処理液と成る。また、ひとたび、各溶液の混合が完結すれば、たちまち有益なミネラルイオン処理液となり、公的機関の分析値通り、準療養泉(温泉用)となり、また、上水に希釈すれば、人に優しい有用な健康飲料水となる発明イオン処理液である。
【0041】
本O・S構造は、スケールのオープン化と皮質部のバルキー化で、単繊維の膨らみ、弾力性が大きくなり、単繊維同志の絡みが強くなり、抜け毛、遊び毛が少なくなる。そこで、使用頻度の高いループパイルやカットパイルのカーペット及びカーシート等の、遊び毛、抜け毛は殆ど完全に無くなる。更に、本O・Sウール製品はその周辺の臭い(例、ニコチン)を素早く中和、分解、消臭し、かつ、その臭いが本製品自身に付着しないので、エコ・ウールと呼ぶに相応しい製品となる。また、従来の防縮加工ウールは、ウールだけにしか適用されない限定的な発明構造(製法)であるが、本O・S(O・S・W)加工ウールは、ウールのみならずカシミヤ、キャメル、シルク、木綿、テンセル等(各種混紡糸を含む)に広く適用される汎用的発明構造(製法)である。
【図面の簡単な説明】
【図I】未加工ウールの側面写真
【図II】新防縮加工ウールの側面写真
【図III−1】O・S加工ウール&カシミヤの側面写真
【図III−2】O・S・W加工ウール&カシミヤの側面写真
【図IV】従来防縮加工(クロイ)ウールの側面写真
【図V】未加工ウール&カシミヤの断面写真
【図VI−1】O・S加工ウール&カシミヤの断面写真
【図VI−2】O・S・W加工ウール&カシミヤの断面写真
【図VII】一般的なウール構造図
【図VIII】カシミヤO・S加工と同未加工の嵩高比較写真(1kg)
【図IX】スケール(クチクル層Cuticle layer)の概略図
【図I】

【図II】

【図III−1】

【図III−2】

【図IV】

【図V】

【図VI−1】

【図VI−2】

【図VII】

【図VIII】

【図IX】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
この発明は、各スケールの先端を開き、その谷間奥部のC・M・Cの一部を溶解、孔化し、その開いたままの谷間奥部を樹脂で固着充填し、元に戻らないよう固定して成るスケールオープン構造を特徴とする防縮ウール&カシミヤ。
【請求項2】
この発明は、請求項1に加え、各スケール内層と皮質部境界域のC・M・Cの一部を溶解孔化し、皮質部の外周囲に形成する細孔層を樹脂で固着充填して成るスケール内層孔質構造を特徴とする改質ウール&カシミヤ。
【請求項3】
この発明は、請求項1、2に加え、皮質部各繊維群を接合するC・M・Cや、各繊維間を充填するマクロ繊維間物質や、N・Rの一部を溶解孔化し、各ミクロ繊維周辺、内奥部を膨脹収縮バルキー化、空気保有化し、イオン固着化して、更に、これを樹脂で固着充填して成る皮質部バルキー、イオン構造を特徴とする改質ウール&カシミヤ。
【請求項4】
請求項1、2、3の発明は、出願番号[特願2002−162725号]の[物性の優れたウールと、その製造法](出願日2002.6.4)や、[特願2002−181197]の[パワフルな機能を有するマイナスイオン活水](出願日2002.6.21)に基づくイオン化気泡処理を特徴とする改質構造に関する。