説明

カスタムな表面化学を有するナノ粒子及び対応するコロイドの製造方法

以下の方法を包含する、分散剤中の結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の懸濁液の製造方法が記載される:
a)分散剤中の非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液を熱処理し、該粒子を結晶化及び/又は高密度化する工程、並びに、
b)工程a)の分散剤又は別の分散剤中の結晶化された及び/又は高密度化された表面修飾されていないナノスケールの粒子の懸濁液を機械的ストレスによって改質剤の存在下で活性化することにより、該粒子を改質剤によって表面修飾し、結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の懸濁液を得る工程。
生じたコロイドから分散剤が取除かれ、対応する粉末が得られ得る。本発明に従う方法によって、20nmより小さい平均粒径を有する高度に分散された粒子(これは、各々の意図された用途のためのテーラーメードの表面化学を伴ってシンプルな方法で供給され得る)を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤中の結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子のコロイド、並びに、これらの結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱水合成による1〜20nmの低ナノメーター範囲の粒度を有する結晶性ZrOコロイドの製造が長い間知られてきた。熱水条件下での凝集体(agglomerates)の形成は、安定化及び/又は表面ブロッキング物質によって実質的に妨げられ、それゆえ高度に分散したゾル又は改質されたZrO粒子が得られ得ると認識されている。
【0003】
そして、EP−A−0229657及びUS−A−4784794は、水性ジルコニウム含有前駆体(これは、水とのジルコニルクロライドの反応によって又は塩酸中でのジルコニウム塩の溶解によって得られる)の熱水反応による高度に分散された単斜晶系ZrOゾルの製造を記載する。それにより、10nmより小さい直径を有する針状又は楕円状ZrO粒子が得られる。この方法の欠点は、24hを超える熱水反応の非常に長い継続時間、1mol/リットルより低い希釈度、pH調整(これは、透析、イオン交換、限外濾過又は塩基の添加によって達成され得る)、並びに、続いて縮合が必要であることである。しかも、このプロセスは、水性HCl中で安定化されたZrOゾルの製造に限られている。表面修飾及びドーピングは記載されていない。また、強いせん断で機械的に活性化された表面修飾は意図されていない。
【0004】
US−A−5643497は、半導体製造のための研磨剤としての使用のための低い表面活性を有する安定な水性酸化ジルコニウムゾルの製造を記載している。この目的のために、20〜500nmの粒度を有するゾルから得られた酸化ジルコニウム粉末を焼成し(calcined)、次いで水溶性酸又は塩基の存在下で水に再分散させる。20〜1500nmの粒度を有する安定なZrOコロイドが得られる。欠点は、ミル中での粉砕が20〜100hかかり、それゆえ非経済的であることである。それゆえ、例えば、152nmの粒度を得るためには、96hのミル時間が必要である。20nmより小さい粒度を有する酸化ジルコニウムゾルを、この方法によって製造することはできない。
【0005】
US−A−5935275及びEP−A−0823885は、表面活性物質の使用によって、弱くアグロメレートされたナノスケール粒子の合成を記載している。表面ブロッキング物質の作用は、粒度を制御すること及びアグロメレーション(agglomeration)に対する立体的バリアを形成することである。この表面ブロッキング物質は、粒子の表面から取除かれ、別の表面修飾物質によって置換され得る。表面ブロッキング物質の除去は、非常に複雑である。この方法において、1〜100nmの範囲のナノスケール粒子が製造される。機械的に活性化された表面修飾は記載されていない。
【0006】
US−A−5234870は、水性の中性及び塩基性領域の溶媒中及び有機溶媒中で安定な透明な酸化ジルコニウムゾルの製造のための方法を記載している。しかしながら、キレート剤の存在下でジルコニルアンモニウムカーボネートから高温での加水分解によって製造されるゾルは非晶質であり、多くの分野に使用することはできない。強いせん断で機械的に活性化された表面修飾は、また、ここで意図されていない。
【0007】
H.K. Schmidt、 R. Nass、 D. Burgard 及びR. Nonningerは、「Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 520: pages 21 to 31」中で、タイトル「Fabrication of agglomerate−free nanopowders by hydrothermal chemical processing」で、表面ブロッキング物質としてのオレイン酸ポリエチレンオキサイドエステル(OPE)の存在下での水性アンモニア溶液を用いたZr(OPr)及びY(NOの沈殿及びそれに続く熱水結晶化によるナノスケールのイットリウム安定化ZrOの製造について記載している。この方法の欠点は、表面ブロッキング物質の複雑化な除去である。粉末は8nNaOH及びトルエン中で5h煮沸され、次に、得られた残渣は脱イオン水で数回洗浄される。続く修飾は、TODAとともに攪拌することによって達成される。強いせん断で機械的に活性化された表面修飾は、意図されていない。
【0008】
US−A−5037579は、酢酸ジルコニウム/氷酢酸溶液が160℃で酸化ジルコニウムゾルに変換される、酸化ジルコニウムゾルの製造のための熱水プロセスを記載している。この方法の利点は、スチールオートクレーブの使用を許容する酢酸溶液の使用である。60〜225nmの平均粒度を有するゾルが得られ、これらの粒子は2〜3nmの平均サイズを有するサブユニットの凝集体(agglomerates)を含む。0.2〜0.8mol/リットルの低いZrO濃度、変換されていない酢酸ジルコニウム及び過剰な氷酢酸の複雑な除去、並びに、限外濾過による続く濃縮がこの方法の欠点である。この方法は、酢酸で安定化された水性ZrOゾルの製造に限定されている。他の表面改質剤の使用又は粒子のドーピングは記載されていない。
【0009】
US−A−6376590は、7〜20nmの平均粒度を有すると言われているZrOゾルの製造を記載している。ジルコニウムポリエーテルカルボキシレート(これは、ジルコニウム塩とポリエーテルカルボン酸から得られる)から出発し、ZrOゾルが熱水加水分解によって得られる。一般的に、熱水反応は、175℃より上で16〜24h実施される。ZrO粒子は、対応するポリエーテルカルボン酸(即ち、反応中で遊離される酸は表面修飾成分を供給する)で表面修飾される。この方法の欠点は、粒子の表面修飾のために、遊離されたポリエーテルカルボン酸の一部のみが必要であることである。過剰な部分は複雑な手順によって除去されなければならない。また、ポリエーテルカルボン酸は他の表面修飾酸と交換され得るが、その使用は、同様に、複雑な作業を必要とする。粒子のドーピング又は強いせん断で機械的に活性化された表面修飾は記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、表面修飾された結晶性及び/又は高密度化されたドープされた又はドープされていないナノ粒子(特に、ZrOナノ粒子)或いは20nm以下の平均粒度を有するそのコロイド(これは、先行技術の様々な欠点を有さないが、高い収率及び各用途の更なる要求に特に適合し得る表面化学を伴い、加熱プロセスの間に、更なる工程によって続いて除去及び/又は交換されなければならない表面ブロッキング及び/又は安定化物質を必要としない、シンプル且つ経済的な方法で調製され得る)の製造を可能にすることである。本発明に従う方法は、また、粒子(特に、ZrO粒子)又はそのコロイドのドーピング、分散媒及び表面修飾に関して広い適用範囲を可能にするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、これは、シンプルな方法において且つ高収率で結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子のコロイドの懸濁液或いは分散剤の除去の後にはこれらの粒子の粉末が得られ得るという結果をもたらし、加熱又は熱水処理の後に粒子が未だ表面修飾されていないために表面修飾が単純な方法で行なわれ且つ続く適用について特別にテーラーメードである点において特に有利である、本発明の方法によって達成され得る。驚くべきことに、粒子の良好なデアグロメレーション(deagglomeration)又はデアグリゲーション(deaggregation)が工程b)で達成される。
【0012】
従って、本発明は、分散剤中の結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子又は粒子の懸濁液の製造方法を提供し、該方法は以下の工程を包含する:
a)分散剤中の非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液を熱処理し、該粒子を結晶化及び/又は高密度化する工程、並びに、
b)工程a)の分散剤又は別の分散剤中の結晶化された及び/又は高密度化された表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液を機械的ストレスによって改質剤の存在下で活性化し、該粒子を改質剤によって表面修飾し、結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の懸濁液を得る工程。
【0013】
得られる懸濁液は、好ましくはコロイド溶液又はコロイド又はゾルである。結晶性の表面修飾されたナノスケール粒子の粉末は、結晶性の表面修飾されたナノスケール粒子から分散剤を取除くことによって、粒子のアグロメレーション(agglomeration)又はアグリゲーション(aggregetion)を実質的に伴うことなく得られ得る。20nm以下の平均粒径を有するコロイド又は粉末は、本発明に従う方法によって得られ得る。
【0014】
結晶化及び/又は高密度化のために、ナノスケール出発粒子は、粒子が表面修飾されない又は表面修飾されないであろう方法で工程a)において熱処理にかけられる。それによってアグロメレートされた又はアグリゲートされた粒子が得られるが、驚くべきことに粒子のデアグロメレーション又はデアグレゲーションが工程b)において行なわれ、それによって20nm以下、さらには1nmより小さい平均粒径を有する粒子が得られ得る。
【0015】
工程b)において表面修飾されていない粒子から出発でき、それによって意図された用途にテーラーメード様式で表面修飾を適合させることができることは、特に好都合である。粒子上に存在する表面修飾の複雑な除去、及びそれに続く適当な基での官能基化(functionalization)は必要でない。
【0016】
第一に、この新規な方法によって、製造及び/又は結晶化において必要とされる表面改質剤の除去のような複雑なプロセス工程が回避され、第二に、適用に最適化された粉末又はコロイドが機械−化学的デアグロメレーション又はデアグリゲーション工程によって製造され得る。
【0017】
工程a)において、分散剤中の非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液が熱処理にかけられ、使用される条件下で粒子の表面修飾をもたらす改質剤は存在しない。改質剤がない場合、熱処理は常に、程度の差はあるが、粒子の著しいアグロメレーション/アグリゲーションをもたらす(ファンデルワールス力/粒子成長)。
【0018】
使用される粒子は、任意の所望の適当な物質の固体粒子又は固体状の粒子である。それらは、好ましくは、無機粒子である。無機粒子の例としては、元素、合金又は元素化合物の粒子である。無機粒子は、好ましくは、金属、合金、特に、金属化合物及び半導体元素の化合物(例えば、Si又はGe)或いはホウ素からなる。
【0019】
元素を含む粒子の例は、炭素(例えば、カーボンブラック又は活性炭素)の粒子であり、半導体(例えば、シリコン(テクニカル−グレードSi、フェロシリコン及び純粋なシリコンを含む)又はゲルマニウム)の粒子であり、或いは、金属(例えば、鉄(スチールを含む)、クロム、スズ、銅、アルミニウム、チタン、金又は亜鉛)の粒子である。合金を含む粒子の例は、青銅(bronze)又は真鍮(brass)の粒子であり得る。
【0020】
好ましい金属化合物及び半導体又はホウ素の化合物の例は、必要に応じて水和された酸化物であり、例えば、ZnO、CdO、SiO、GeO、TiO、アルミニウムコーティングされたルチル、ZrO、CeO、SnO、Al(全ての修飾において、特にコランダム、ベーマイト、AlO(OH)(水酸化アルミニウムを含む)として)、酸化マンガン、In、Y、La、酸化鉄(例えば、Fe)、CuO、Ta、Nb、V、MoO又はWO、BaO及びCaO、対応する混合酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、アンチモンスズ酸化物(ATO)、フッ素ドープスズ酸化物(fluorine−doped tin oxide)(FTO)、カルシウムタングステン、及び、ペロブスカイト構造を有するもの(例えば、BaTiO、BaSnO及びPbTiO)、カルコゲニド(例えば、硫化物(例えば、CdS、ZnS、PbS及びAgS)、セレン化物(例えば、GaSe、CdSe及びZnSe)及びテルル化物(例えばZnTe又はCdTe)、ハロゲン化物(例えば、AgCl、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CdI及びPbI)、炭化物(例えば、CdC又はSiC)、ケイ化物(例えば、MoSi)、ヒ化物(例えば、AlAs、GaAs及びGeAs)、アンチモン化物(例えば、InSb)、窒化物(例えば、BN、AIN、Si及びTi)、リン化物(例えば、GaP、InP、Zn及びCd)及び元素(特に、金属又はSi)のカーボネート、サルフェート、ホスフェート、シリケート、ジルコネート、アルミネート及びスタンネート(例えば、カルシウム及び/又はマグネシウムのカーボネート、シリケート(例えば、アルカリ金属シリケート、タルク、クレー(カオリン)又はマイカ)、並びに、バリウム又はカルシウムのサルフェート)である。好ましい粒子のさらなる例は、さらに、マグネタイト、マグヘマイト、スピネル(例えば、MgO・Al)、ムライト、エスコアライト(eskoalite)、ティアライト(tialite)、SiO・TiO、又はバイオセラミックス(例えば、カルシウムホスフェート及びヒドロキシアパタイト)である。それらはまた、ガラス又はセラミックスの粒子であってもよい。
【0021】
それらは、例えば、ガラス(例えば、ボロシリケートガラス、ソーダ石灰ガラス又はシリカガラス)、ガラスセラミック又はセラミック(例えば、酸化物SiO、BeO、Al、ZrO又はMgO、或いは、対応する混合酸化物、エレクトロセラミックス及びマグネトセラミックス(例えば、チタネート及びフェライト)或いは、非−酸化物セラミックス(例えば、シリコンナイトライド、シリコンカーバイト、ボロンナイトライド又はボロンカーバイト)をベースとする)の製造のために通常使用される粒子であり得る。それらは、また、充填剤又は染料としてはたらく粒子であってもよい。工業的に重要な充填剤は、例えば、SiOをベースとする充填剤であり、例えば、クオーツクリストバライト(quartz crystobalite)、トリポライト(tripolite)、ノバキュライト、珪藻土(kieselguhr)、シリカ、火成シリカ(pyrogenic silicas)、沈降シリカ(precipitated silicas)及びシリカゲル、シリケート(例えば、タルク、パイロフィライト、カオリン、マイカ、ムスコバイト(muscovite)、金雲母(phlogopite)、バーミキュライト、珪灰石(wollastonite)及びパーライト(perlites))、カーボネート(例えば、方解石(calcites)、ドロマイト(dolomites)、チョーク及び合成カルシウムカーボネート)、カーボンブラック、サルフェート(例えば、バライト及びギプス)、雲母状鉄鉱石(micaceous iron ore)、ガラス、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンである。
【0022】
これらの粒子の混合物を使用することもまた、可能である。粒子に特に好ましい材料は、酸化物粒子又は水和酸化物粒子であり、特に金属酸化物又は半金属酸化物、水和金属酸化物或いはその半金属酸化物又はその混合物である。Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Si、Sn、Pb、Bi、Ti、Zr、V、Mn、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ru、Zn、Ce、Y、Sc、Eu、In及びLaから選択される少なくとも1種の元素の酸化物又は水和酸化物或いはその混合物が、好ましくは使用される。特に好ましい例は、必要に応じて水和したZrO、TiO、SnO、ITO(インジウムスズ酸化物)、ATO(アンチモンドープスズ酸化物)、In、Y、CeO、BaTiO、SnTiO、ZnO、BaO及びCaOである。
【0023】
出発粒子の製造は、慣例的な方法、例えば、火炎熱分解、プラズマ法、気相縮合法、コロイド技術、沈殿法、ゾル−ゲルプロセス、制御された核生成及び成長プロセス、MOCVD法、及び(マイクロ)エマルジョン法によって実施され得る。これらの方法は、文献に詳細に記載されている。粒子は、好ましくは、ゾル−ゲル法又は沈殿法によって得られる。適当な粒子は、また、市販されている。それゆえ、例えば、市販のゾル(例えば、Nyacolからの酸化ジルコニウムゾル)が使用され得る。
【0024】
粒子はまた、好ましくは少なくとも1種の他の金属でドープされてもよい。ドーピングのために、任意の適当な金属化合物が粒子(例えば、酸化物、塩又は複合化合物(例えば、ハライド、ナイトレート、サルフェート、カルボキシレート(例えば、アセテート)又はアセチルアセトネート))の製造中に添加され得、これらは粒子の製造における分子前駆体として使用される。他の金属が化合物中で任意の適当な酸化状態を生じてもよい。金属化合物に適した金属の例は、W、Mo、Zn、Cu、Ag、Au、Sn、In、Fe、Co、Ni、Mn、Ru、V、Nb、Ir、Rh、Os、Pd及びPtである。ドーピングのために特に好ましい金属は、特にZrOについて、Mg、Ca、Y、Sc及びCeである。ドーピングのための金属化合物の具体例は、Y(NO・4HO、Sc(NO・6HO、WO、MoO、FeCl、酢酸銀、塩化亜鉛、塩化銅(II)、酸化インジウム(III)、酢酸スズ(IV)である。ドーピング金属対ベース化合物の元素(例えば、Zr)の原子比は、必要に応じて選択され得、たとえば、0.0005:1〜0.2:1である。
【0025】
粉末又は懸濁液形態の表面処理されていない粒子及び分散剤が出発物質として使用され得る。粉末は、分散剤中に懸濁される。分散剤はそのままで使用され得るか、或いは、分散剤は各々の目的により適した別の分散剤から既知の方法によって交換され得る。粒子は、溶解されている前駆体の沈殿によって、分散剤においてin situで得られ得る。得られる粒子は、表面修飾されていない非晶質又は半結晶性のナノスケール粒子である。
【0026】
出発粒子の製造のため、溶媒中に溶解されている粒子の分子前駆体は、例えば、縮合及び/又は沈殿反応に供される。分子前駆体は、例えば、加水分解性の化合物、塩又は可溶性の水酸化物であってもよい。固体粒子への変換は、例えば、わずかに可溶性の化合物が形成される沈殿反応によって行なわれ得る。粒子は、好ましくは、分子前駆体の溶液に水を添加することによって及び/又はpHを変化させることによって得られる。沈殿に必要とされるpHの確立は、原則的に、各溶媒中で可溶性の任意の塩基性又は酸性化合物を用いることによって達成され得る。
【0027】
粒子の製造についての様々な可能性が、例としてZrOの製造を用いて以下に説明される。他の必要に応じて水和された元素の酸化物の粒子は、その元素の対応する化合物(Zrが、各場合で所望の元素又は2又はそれ以上の元素の混合物により置換され得る)の使用に対して同様に製造され得る。
【0028】
酸化ジルコニウムのための前駆体の例は、以下で議論する。さらなる分子前駆体の例は、Y(NO(必要に応じて水和されている、Yのための);酢酸亜鉛、酢酸マンガン;FeCl、FeCl(酸化鉄のため);Al(NO(Alのための);SnCl、SbCl(酸化スズ又はATOのための);アルミニウムアルコラート(例えば、Al(OBu)、チタニウムアルコキシド(例えば、Ti(OPr))(アルミニウムコーティングされたルチルのため);Ba(OH)、チタニウムアルコキシド(例えば、チタニウムテトラプロポキシド(バリウムチタネートのための);NaWO、カルシウムカルボキシレート(例えば、Ca(OPr)(カルシウムタングステートのための);或いはInCl、SnCl(ITOのための)である。
【0029】
Zrについて使用可能な分子前駆体の例は、ZrO(NO、ZrCl又はジルコニウムアルコラート(Zr(OR)(ここで、Rはアルキル、好ましくはC−C−アルキルである)。ドーパントの例は前述されている。
【0030】
ZrO又は水和されたZrOの非晶質又は半結晶性のナノスケール粒子は、好ましくは、pHを変化させることによって及び/又は水の添加によって、溶液又はゾル(この溶液又はこのゾルは、分子化合物又は塩のような適当な形態でジルコニウムを含有する)から沈殿される。ドープされた粒子が製造される場合には、ゾル又は溶液はさらに1又はそれ以上のドーピング元素を含有し(分子前駆体の形態でも同様である)、これらは例えば酸化物又は水和された酸化物として沈殿され得る。ドーピング元素は、例えば、ガラス又はセラミックの製造に適したものであり、例えばMg、Ca、Y、Sc及びCeである。
【0031】
ジルコニウム含有溶液又はジルコニウム含有ゾルは、両方とも、水性であってもよいし非水性(有機)であってもよい。水性出発溶液は、溶解された形態でZrを含有する分子前駆体及びドーピング元素を必要に応じて含む分子前駆体を含有し、その前駆体は、酸化又は水和された酸化Zr(必要に応じてドープされている)としてpHを変化させることによって沈殿され得る。対応する非水性溶液は、pH変化を用いることなく例えばシンプルに水を添加することによって沈殿され得る対応する分子前駆体を含有し得る。
【0032】
酸化物又は水和された酸化物として沈殿され得るジルコニウム含有分子前駆体、並びに、必要に応じて、ドーピングのためのさらなる沈殿可能な元素を含有する分子前駆体は、水性出発溶液中で好ましくは加水分解性を示す塩である;非水性溶液中では、加水分解性の化合物、特に加水分解性の有機金属化合物が好ましい。単純な塩溶液に加え、水性ゾル(これは、例えば短鎖アルコール(例えばC−Cアルコール)中で溶解する金属アルコキシドを水の添加により加水分解することによって調製され得る)を使用することも可能である。
【0033】
加水分解性化合物からのナノスケール粒子の製造のための一般的な方法は、ゾル−ゲルプロセスである。ゾル−ゲルプロセスにおいて、加水分解性の化合物は、通常、(必要に応じて酸性又は塩基性の触媒下で)水で加水分解され、且つ、必要に応じて少なくとも部分的に縮合される。加水分解及び/又は縮合反応は、前駆体としてはたらくヒドロキシル基、オキソ基及び/又はオキソ架橋を有する化合物又は縮合物の形成を導く。化学量論的な量の水を使用することができるが、より少ない又はより多い量の水も使用することができる。生じたゾルは、適当なパラメーター(例えば、縮合の程度、溶媒又はpH)によって、コーティング組成物に所望される粘度に調整され得る。ゾル−ゲルプロセスの更なる詳細については、例えば、C.J. Brinker, G.W. Scherer: “Sol−Gel Science - The Physics and Chemistry of Sol−Gel−Processing”, Academic Press, Boston, San Diego, New York, Sydney (1990)に記載される。
【0034】
工程a)において使用されるナノスケール粒子の平均粒径は、本発明に従うプロセスによって得られる粒子のものよりも大きくてもよい。粒子は次に通常アグロメレートされた又はアグリゲートされた形態で存在するため、少なくても工程a)が行なわれた後にはより大きい粒子が一般的に存在する。ナノスケール粒子は、1μmより小さい平均粒径を有する。工程a)において使用されるナノスケール粒子は、好ましくは、0.2μmより小さい平均粒子を有する。
【0035】
工程a)において使用されるナノスケール粒子は、非晶質又は半結晶性である。さらに、工程a)において使用されるナノスケール粒子は、表面修飾されていない(即ち、表面上に改質剤が存在しない)。
【0036】
任意の所望の溶媒は、もしそれが処理される粒子を溶解しない又は実質的に溶解しない場合には、分散剤として使用され得る。適当な分散剤は、好ましくは水又は有機溶媒から処理される粒子に応じて選択されるが、無機溶媒(例えば、二硫化炭素)も考えられる。
【0037】
特に好ましい分散剤は、水、特に脱イオン水である。適当な有機分散剤は、極性及び非極性並びに非プロトン性溶媒である。これらの例は、アルコール(例えば、1〜8の炭素原子を有する脂肪族及び脂環式アルコール(特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール及びシクロヘキサノール)、ケトン(例えば、1〜8の炭素原子を有する脂肪族及び脂環式ケトン(特に、アセトン、ブタノン及びシクロヘキサノン)、エステル(例えば、エチルアセテート及びグリコールエステル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン、グリコールエーテル(例えば、モノ−、ジ−、トリ−及びポリグリコールエーテル)、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコール)、アミド及び他の窒素化合物(例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、N−メチルピロリドン及びアセトニトリル)、スルホキシド、スルホン(例えば、スルホラン及びジメチルスルホキシド)、ニトロ化合物(例えば、ニトロベンゼン)、ハロハイドロカーボン(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、カーボンテトラクロリド、トリクロロエテン、テトラクロロエテン、エチレンクロリド、クロロフルオロカーボン)、例えば5〜15の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン、シクロヘキサン、ベンジン、石油エーテル、メチルシクロヘキサン、デカリン、テルペン溶媒、ベンゼン、トルエン及びキシレン)である。このような分散剤の混合物も当然使用され得る。
【0038】
好ましく使用される有機分散剤は、脂肪族及び脂環式アルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール)、グリコール(例えば、エチレングリコール)並びに脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン並びにトルエン、o−、m−及びp−キシレン)である。特に好ましい分散剤は、エタノール及びトルエンである。
【0039】
ナノスケール粒子の懸濁液は、上記方法の1つによって形成又は提供された後に、ナノスケール粒子の高密度化及び/又は結晶化をもたらす条件に供される。具体的な条件(例えば、温度、圧力及び時間は、もちろん、例えば使用される粒子のタイプ及び特徴に依存し、且つ、溶媒、手順、さらには互いに依存する。粒子の高密度化及び/又は結晶化については、当業者は、その技術的な知識に基づき、各々の場合について好都合な条件を選択することができる。熱処理は、好都合には、懸濁液又は正確には分散剤が実質的に液相を保つ条件下で実施される(即ち、結晶化/高密度化は、液相中で行なわれる)。
【0040】
結晶化及び/又は高密度化のために、懸濁液は、高温及び必要に応じて高圧に曝される。この処理は、好ましくは、存在する溶媒の臨界データより下で実施される。高温は、当然ながら、溶媒が分解されない又はわずかな程度までしか分解されないことを確実にしなければならない。この処理は、バッチプロセス及び連続方式の両方によって実施され得る。反応の時間は、実質的に、連続的に操作するシステムの使用によって短縮され得る。一般的に、処理の時間は、例えば、1分〜3日又は1分〜24hであり得る。処理の時間は、特に連続プロセスにおいて、1分〜2時間、好ましくは5分〜60分、特に好ましくは10分〜30分の範囲である。
【0041】
熱処理に関し、高温は、概して、少なくとも60℃、特に好ましくは少なくとも80℃(例えば、120℃〜400℃)の温度を意味していると理解される。熱処理は、特に好ましくは150〜350℃の範囲の温度で行なわれる。使用される圧力は、周囲圧力(ambient pressure)又は超大気圧(superatmospheric pressure)、例えば1〜300barの範囲であり得る。熱処理は、好ましくは、1barより大きい高圧で行なわれる。圧力は、例えば、少なくとも約5barである。約10〜300barの高圧が好ましく使用される。
【0042】
例えば、ナノスケール粒子を含有する懸濁液は、好ましくは、さらなる前処理を行なうことなく耐圧容器中に導入され、必要に応じて適当な圧力及び適当な温度で処理される。好都合なことに、内因的な圧力が高められる(即ち、特に溶媒の沸点より上での加熱によって閉じられた耐圧容器又はオートクレーブ中で圧力が高められる)。
【0043】
処理は、通常、リオサーマル(lyothermal)であり、好ましくは熱水処理である。熱水処理は、一般的に、超大気圧下での(例えば、溶媒の沸点より高い温度及び1barより高い圧力での)水性溶液又は懸濁液の熱処理を意味すると理解される。水性溶液において、分散剤は、水からなるか又は好ましくは実質的に水を含む。
【0044】
結晶性及び/又は高密度化された粒子は、工程a)に従う処理によって非晶質又は半結晶性の粒子から得られる。結晶性の相に加え、半結晶性の粒子は非晶質の相も含む(即ち、非晶質領域を検出することができる)。結晶性の粒子は、実質的に全部に結晶性の相を含む(即ち、実質的に、非晶質フラクションが存在しないか又は検出可能な非晶質フラクションが存在しない)。ここで、高密度化された粒子は、大部分について又は好ましくは実質的に最大の範囲で高密度化された粒子である(即ち、それらの化学構造に基づいて、さらなる高密度化が不可能である)。ナノ粒子は、例えば粒子の外側領域において、X線のラインの広がりをもたらす秩序の低い領域(less ordered regions)を有してもよい。これらの領域は、本発明のプロセスによって高密度化され得る。
【0045】
結晶化及び高密度化は、しばしば互いを引き起こす。従って、高密度化は、しばしば、結晶化と関係している。結晶化の場合、通常、高密度化も起こる。本発明に従って、結晶性の表面修飾されたナノスケール粒子が好ましく得られる(即ち、粒子は、実質的に非晶質フラクションを含まない)。熱処理は、粒子を結晶化するために、工程a)において行なわれる。得られる結晶性の粒子は、次いで、工程b)において表面修飾される。上記に説明したように、このような結晶化は、しばしば、粒子の高密度化とも関係している。
【0046】
粒子中の結晶性及び非晶質相のフラクションは、X線回折図に基づき調査され得る。結晶性粒子の場合において、通常、個々のピークが突き出すようなベースラインを検出することができる。例えば、結晶性相の異なる特性を有する粒子のX線回折図は、Ullmanns, Encyclopadie der technischen Chemie [Encyclopaedia of Industrial Chemistry], Verlag Chemie, 4th edition, Vol.5, pages 256及び257に示されている。当業者は、非晶質フラクションが、なお、粒子中で測定可能であるか否かを確立することができる。
【0047】
図1は、プロセスのための出発粒子として使用されたZrO粒子のX線回折図を示す。この図は、非晶質相が粒子中に存在することを示している。例えば、約30°のハンプ(hump)は、粒子が結晶性相も含むことを示している。それゆえ、粒子は半結晶性である。図2は、結晶性の粒子が工程a)に従う結晶化の後に得られた図1の粒子のX線回折図を示す。結晶性の粒子は、図において、例えば約30°、50°及び60°でピークを与える。
【0048】
結晶化された及び/又は高密度化された表面修飾されていないナノスケール粒子は、この方法で分散剤中の懸濁液として得られ、そして通常は程度の差はあるがアグロメレートされるか又はアグリゲートされる。懸濁液は直接的にそのまま使用され得るか、或いは別の分散剤がより適している場合には工程b)において分散剤の交換後に使用され得る。工程a)の後に得られた懸濁液中で少なくとも部分的に又は完全にプロセス副産物を取除くため、中間精製工程を行なうこともできる。精製工程において、分散剤は、好ましくは、少なくとも部分的にフレッシュな分散剤(これは、前のものと同じてあってもよいし、異なるものであってもよい)で置換される。
【0049】
必要に応じて行なわれる精製工程において、高密度化された及び/又は結晶化された粒子の懸濁液はプロセス副産物(例えば、アルコキシドの加水分解によって形成されるアルコール、或いは、塩溶液が使用されるときに形成するイオン不純物)から分離され、必要であれば濃縮又は乾燥される。プロセス副産物の除去は、単純に溶媒を(部分的にでも)取除くか又は交換することによって実施され得る。当業者に知られる全ての方法が、この目的に適している。
【0050】
ナノ粒子がその等電点でアグロメレートする(agglomerate)又はフロキュレートする(flocculate)特性から出発することが好ましい。この目的のため、熱処理から得られた懸濁液は、対応する等電pHにおかれ、フロキュレートされる。この調製は、酸及び塩基によって行なわれる。プロセス副産物を含む上清は、ナノスケール粒子の沈降の後に取除かれる。このように得られた高固体沈降産物はナノスケール粒子を含有しており、希釈懸濁液は再び例えば蒸留水を添加することによって得られる。フロキュレーション及び上清の除去を包含するプロセスは、必要に応じて、プロセス副産物が除去される又は実質的に除去されるまで繰り返される。
【0051】
この方法において、高固体ナノスケール粒子を有機溶媒中に含有する高純度の懸濁液又は好ましくは水性懸濁液を製造することができる。これらから、例えば蒸留又はフリーズドライのような方法により有機溶媒又は水を完全に取除くことによって、粉末を製造することができる。粒子を含有する高純度の水性懸濁液から、非水性懸濁液を製造することも可能である。これは、例えば溶媒交換のような方法によって実施され得る。
【0052】
工程b)において、結晶化された及び/又は高密度化され表面修飾されたナノ粒子の懸濁液又はコロイドは、工程a)において得られた結晶化された及び/又は高密度化された表面修飾されていないナノスケール粒子(これは、必要に応じて精製工程又は分散剤交換に供される)から、表面改質剤の存在下において強いせん断を伴う機械的活性化プロセスに懸濁液を供することによって、製造される。特定の表面修飾、及びそれに加えてアグロメレーションに対する粒子の安定化は、この手順で実施される。通常、粒子のデアグロメレーション又はデアグリゲーションもまた行なわれる。粒子の粉末は、生じるコロイドから、分散剤を除去することによって得られ得る。
【0053】
粒子は、改質剤の存在下において分散剤中で機械的に活性化される(即ち、粒子又は粉砕された粒子上での改質剤の相互作用が、改質剤の存在下における機械的活性化で起こる(好ましくは、化学結合))。この機械的活性化の間、概して、デアグロメレーション又はデアグリゲーション(即ち、微粉化(comminution))も起こる。この機械的エネルギーインプットは、特に、粒子が表面修飾されるほど高い。機械的ストレス下でのこのような反応は、また、化学機械的反応についても参照される。
【0054】
粒子の内部においてこの形態で見ることができない基が、通常粒子の表面に存在していることは、当業者に知られている。これらの表面基は通常、概して相対的に反応性の官能基である。例えば、残余原子価(residual valencies)(例えば金属酸化物粒子の場合にはヒドロキシル基及びオキシ基のような、又は、例えば金属硫化物の場合にはチオール基及びチオ基のような、又は、例えば窒化物の場合にはアミノ、アミド及びイミド基のような)が表面基としてこのような粒子上に存在する。
【0055】
粒子の表面と強く相互作用し得る全ての化合物又は界面活性剤は、改質剤として使用され得る。1より多くの表面修飾物質、例えば、前記物質の少なくとも2種の混合物を使用することもできる。プロセスの改変において、使用される改質剤はまた同時に分散剤として作用し、それゆえ同化合物が両方のために使用されてもよい。
【0056】
改質剤は、好ましくは、少なくとも機械的活性化の条件下で粒子の表面基と化学結合を形成し得る少なくとも1種の官能基を有する。化学結合は、好ましくは、改質剤と粒子との間の共有、イオン又は配位結合であるが、水素架橋結合であってもよい。配位結合は、錯体形成として理解される。それゆえ、ブレンステッド又はルイスに従う酸/塩基反応、錯体形成又はエステル化が改質剤の官能基と粒子との間で起こり得る。
【0057】
改質剤が含有する官能基は、好ましくは、カルボキシル基、酸クロリド基、エステル基、ニトリル又はイソニトリル基、OH基、SH基、エポキシド基、無水物基(anhydride group)、酸アミド基、一級、二級または三級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性基(以下で説明されるSi−OR基)又はC−H−酸性基(β−ジカルボニル化合物中のような)。
【0058】
改質剤は、また、1より多くのこのような官能基を含有してもよい(例えば、ベタイン、アミノ酸又はEDTA中のように)。
【0059】
粒子の表面基と化学結合を形成し得る少なくとも1種の官能基に加えて、改質剤は、通常、官能基を介する改質剤の連結の後に粒子の表面を修飾する分子比を有する。分子基又はその部分は、例えば、疎水性であっても親水性であってもよいし、或いは、この方法において官能基化するための(即ち、例えば、環境の観点から、コロイド粒子を安定化する、適合化する(compatibilize)、不活性化する又は再活性化するための)第二の官能基を有してもよい。この方法において、本発明に従って得られるコロイド粒子には、この分子基による官能基又は表面官能基化が与えられる。本発明によって、所望の用途に適合し且つテーラーメード表面化学を有するナノスケール粒子を得ることができる。システムに依存して、通常、共有結合、イオン結合及び錯体結合が粒子をカップリングするために存在するが、水素架橋結合も適当である。
【0060】
疎水性分子基は、適当な環境において、不活性条件又は反発作用(repulsion)の生成をもたらし得る、例えばアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル又はフッ素含有アルキル基であり得る。親水基の例は、ヒドロキシル、アルコキシ又はポリエーテル基である。改質剤の必要に応じて存在する第二官能基は、例えば、酸性、塩基性又はイオン性の基であり得る。それは、選択された反応体との化学反応に適した官能基であるかもしれない。第二官能基は、粒子への結合のための官能基として適当なものと同様であり得るので、そこで述べられた例が参照される。第二官能基の別の例は、エポキシド、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アクリレート又はメタクリレート基である。このタイプの2又はそれ以上の同一又は異なる官能基が存在してもよい。
【0061】
改質剤は、望ましくは、500以下、好ましくは400以下、特に200以下の分子量を有する。化合物は、好ましくは、標準条件下で液体である。これらの化合物が有する官能基は、主として固体粒子の表面基に及び環境との所望の相互作用下に依存する。分子量は、また、新たに形成される粒子表面への分散に重要な役割を果たす。小さい分子量は、表面のより迅速な占有をもたらし、それゆえ再結合を減少させる。
【0062】
従って、適当な改質剤の例は、飽和又は不飽和モノ又はポリカルボン酸、対応する酸無水物、酸クロリド、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、モノ及びポリアミン、β−ジカルボニル(例えば、β―ジケトン)、シラン並びに粒子の表面基を反応し得る官能基を有する金属化合物である。特に好ましく使用される改質剤は、シラン、カルボン酸、β−ジカルボニル、アミノ酸及びアミンである。これらの化合物の炭素鎖は、O、S又はNH基によって割り込まれてもよい。1又はそれ以上の改質剤が使用され得る。
【0063】
好ましい飽和又は不飽和モノ−及びポリ−カルボン酸(好ましくはモノカルボン酸)は、1〜24の炭素原子を有するものであり、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ステアリン酸及び対応する酸無水物、酸クロリド、酸エステル及び酸アミド(例えば、カプロラクタム)である。これら前記のカルボン酸は、例えば、炭素鎖がO、S又はNH基によって割り込まれているものも含む。エーテルカルボン酸、例えば、モノ及びポリエーテルカルボン酸及び対応する酸無水物、酸クロリド、酸エステル及び酸アミド(例えば、メトキシ酢酸、3,6−ジオキサヘプタン酸及び3,6,9−トリオキサデカン酸が特に好ましい。
【0064】
好ましいモノ及びポリアミンの例は、一般式Q3−nNHのもの(ここで、n=0、1又は2であり、基Qは互いに独立して1〜12、特に1〜6、特に好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びブチル)、並びに、6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリール又はアラルキル(例えば、フェニル、ナフチル、トリル及びベンジル)を表す)、並びに、一般式YN(−Z−NH)−Yのポリアルキレンアミン(ここで、Yは独立してQ又はHであり、Qは先に定義された通りであり、yは1〜6、好ましくは1〜3の整数であり、Zは1〜4、好ましくは2又は3の炭素原子を有するアルキレン基である)である。具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンである。
【0065】
好ましいβ−ジカルボニル化合物は、4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、ジケトン(例えばアセチルアセトン、2,4−ヘキサン−ジオン、3,5−ヘプタンジオン)、アセト酢酸、C−C−アルキルアセトアセテート(例えば、エチルアセトアセテート)、ジアセチル及びアセトニルアセトンである。
【0066】
アミノ酸の例は、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンである。
【0067】
好ましく使用されるシランは、少なくとも1の非加水分解性基又はヒドロキシル基を有し;少なくとも1の非加水分解性の基を更に有する加水分解性オルガノシランが特に好ましく使用される。好ましいシランは、一般式(I)を有する:
SiX(4−a) (I)
(ここで、基Rは、同一又は異なって、非加水分解性基を表し、基Xは、同一又は異なって、加水分解性基又はヒドロキシル基を表し、aは1、2又は3の値を有する。aの値は、好ましくは1である。
【0068】
一般式(I)において、互いに同一であってもよいし異なってもよい加水分解性基Xは、例えば、水素又はハロゲン(F、Cl、Br又はI)、アルコキシ(好ましくはC1−6−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシ)、アリールオキシ(好ましくはC6−10−アリールオキシ、例えばフェノキシ)、アシルオキシ(好ましくはC1−6−アシルオキシ、例えば、アセトキシ又はプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくはC2−7−アルキルカルボニル、例えば、アセチル)、アミノ、好ましくは1〜12、特に1〜6の炭素原子を有するモノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである。好ましい加水分解性基は、ハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基である。特に好ましい加水分解性基は、C1−4−アルコキシ基、特にメトキシ及びエトキシである。
【0069】
互いに同一であってもよいし異なってもよい非加水分解性の基Rは、官能基を有する又は有さない非加水分解性基Rであり得る。
【0070】
官能基を有さない非加水分解性基Rは、例えば、アルキル(好ましくは、C1−8−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル又はシクロへキシル)、アルケニル(好ましくは、C2−6−アルケニル、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル及びブテニル)、アルキニル(好ましくは、C2−6−アルキニル、例えば、アセチレニル及びプロパルギル)、アリール(好ましくは、C6−10−アリール、例えば、フェニル及びナフチル)及び対応するアルカリール及びアラルキル(例えば、トリル、ベンジル及びフェネチル)である。基R及びXは、必要に応じて、例えばハロゲン又はアルコキシのような1又はそれ以上の慣例的な置換基を有し得る。アルキルトリアルコキシシランが好ましい。例は、以下のとおりである:
CHSiCl、CHSi(OC、CHSi(OCH、CSiCl、CSi(OC、CSi(OCH、CSi(OC、(CO)SiCCl、(CHSiCl、(CHSi(OC、(CHSi(OH)、CSi(OCH、CSi(OC、CCHCHSi(OCH、(CSiCl、(CSi(OC、(i−CSiOH、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CH−Si(OC、CH=CHSi(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、n−C13−CH−CH−Si(OC及びn−C17−CH−CH−Si(OC
【0071】
官能基を有する非加水分解性基Rは、官能基として、例えば、エポキシド(例えば、グリシジル又はグリシジルオキシ)、ヒドロキシ、エーテル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアニリノ、アミド、カルボキシル、アクリロイル、アクリロイルオキシ、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ、メルカプト、シアノ、アルコキシ、イソシアネート、アルデヒド、アルキルカルボニル、酸無水物及びリン酸基を含み得る。これらの官能基は、酸素又はNH基によって割り込まれ得るアルキレン、アルケニレン又はアリーレン架橋基を介してケイ素原子に結合する。架橋基は、望ましくは、1〜18、好ましくは1〜8、特に1〜6の炭素原子を含む。
【0072】
前記の二価の架橋基及び必要に応じて存在する置換基は、アルキルアミノ基の場合、例えば、前述の1価のアルキル、アルケニル、アリール、アルカリール又はアラルキル基から誘導される。基Rは、当然ながら、1より多くの官能基も有する。
【0073】
官能基を有する非加水分解性の基Rの好ましい例は、グリシジル−又はグリシジルオキシ−(C1−20)−アルキレン基(例えば、β−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシブチル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシル、及び2−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)エチル、(メト)アクリロイルオキシ−(C1−6)−アルキレン基(例えば、(メト)アクリロイルオキシメチル、(メト)アクリロイルオキシエチル、(メト)アクリロイルオキシプロピル又は(メト)アクリロイルオキシブチル)及び3−イソシアナトプロピル基である。特に好ましい基は、γ−グリシジルオキシプロピル及び(メト)アクリロイルオキシプロピルである。((メト)アクリロイルは、メタクリロイル又はアクリロイルを表している。)
対応するシランの具体例は、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N’−(2’−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]−トリメトキシシラン、ビス(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メト)アクリロイルオキシ-プロピルトリエトキシシラン及び3−(メト)アクリロイルオキシプロピルトリ−メトキシシラン。
【0074】
さらに、少なくとも幾つかの場合において、フッ素で置換される有機基を有するシランを使用することも可能である。このようなシランは、WO 92/21729に詳細に記載されている。この目的のために少なくとも1の非加水分解性基を有する加水分解性シランを使用することができ、これは以下の一般式を有する:
Rf-(R)SiX(3−b) (II)
(ここで、X及びRは、式(I)において定義されるとおりであり、Rfは、炭素原子(好ましくは、少なくとも2の原子(好ましくはエチレン基)によりSiから隔てられている)に結合する1〜30のフッ素原子を有する非加水分解性基であり、bは0、1又は2である。)。Rは、特に、官能基を有さない基であり、好ましくはアルキル基(例えば、メチル又はエチル)である。Rf基は、脂肪族炭素原子に結合する好ましくは3〜25、特に3〜18のフッ素原子を含む。Rfは、好ましくは、3〜20の炭素原子を有するフッ素化アルキル基であり、例えば、CFCHCH−、CCHCH−、n−C13CHCH−、i−COCHCHCH−、n−C17CHCH−及びn−C1021−CHCH−である。
【0075】
使用され得るフルオロシランの例は、CFCHCHSiCl(CH)、CFCHCHSiCl(CH、CFCHCHSi(CH)(OCH、C−CHCH−SiZ、n−C13−CHCHSiZ、n−C17−CHCH−SiZ、n−C1021−CHCHSiZ(Z=OCH、OC又はCl)、i−CO−CHCHCH−SiCl(CH)、n−C13−CHCH−Si(OCHCH、n−C13−CHCH−SiCl(CH)及びn−C13−CHCH−SiCl(CHである。
【0076】
シランは既知の方法によって調製され得る; W. Noll, “Chemie und Technologie der Silicone” [Chemistry and technology of the silicones], Verlag Chemie GmbH, Weinheim/Bergstrasse (1968)を参照のこと。
【0077】
官能基を有する金属化合物の例は、元素周期表の主族III〜V及び/又は副族II〜IVからの金属Mの金属化合物である。Al、Ti又はZrの化合物が好ましい。これらの例は、RMX4−c(M=Ti又はZr及びc=1、2、3)であり、ここでX及びRは式(I)において上記で定義されており、1のR又は複数のRが一緒になって錯化剤(例えば、β−ジカルボニル化合物又は(モノ)カルボン酸)を表すことも可能である。アルコキシ基の幾つかが錯化剤(例えば、β−ジカルボニル化合物又はカルボン酸、好ましくはモノカルボン酸)によって置換されたジルコニウム及びチタニウムテトラアルコレートが好ましい。
【0078】
界面活性剤は、また、改質剤として使用され得る。界面活性剤はミセルを形成し得る。上記で述べた改質剤は、大部分について界面活性剤ではない(即ち、それらは、高濃度でもミセルを形成しない)。この性質は、純粋な分散剤に関する。粒子の存在下において、改質剤は、当然、本発明に従って記載される粒子との化学的な相互作用を受ける。当業者に知られている全ての慣例的な界面活性剤が使用され得る。通常、界面活性剤でない改質剤(例えば、上記で述べられたもの)が好ましい。
【0079】
処理される粒子を溶解しないか又は実質的に溶解せず、且つ、使用される改質剤に不活性であるか又は実質的に不活性であるという条件で、任意の所望の溶媒を分散剤として使用してもよい。工程a)について言及される溶媒は、例として示され得る。しばしば、同じ溶媒中で工程a)及びb)を行なうことが適当である。
【0080】
本発明に従って使用される物質は、任意の所望される順序で、互いに混合され得る。混合は、機械的活性化のための装置の中で又は予め隔離された容器(例えば、ミキサー)の中で直接的に行なわれ得る。好ましくは、他のさらなる添加物は添加されない(即ち、混合物は、少なくとも1種の分散剤、少なくとも1種の改質剤(これは、特別な場合には分散剤に相当し得る)及び粒子からなる)。必要に応じて混合される添加剤の例は、消泡剤、圧力助剤(press auxiliaries)、有機結合剤、光触媒、染色組成物(color−imparting composition)、焼結助剤、保存剤及びレオロジー添加剤(rheological additives)である。添加剤の添加は、それらが更なるプロセッシングに必要である場合にのみ必要である。これらの添加剤は、それゆえ、本発明に従うプロセッシングの後であっても添加され得る。事前の添加の利点は、微粉砕(milling)の結果として得られる均一な混合物にあり得る。
【0081】
結果として、強いせん断が機械的活性化のためにもたらされ、表面修飾された粒子が得られるという結果がもたらされる。強いせん断を伴う機械的に活性化されたプロセスは、慣例的且つ既知の装置(例えば、粉砕(comminution)、混練(kneading)又はミリング(milling)のための装置)を用いて行われ得る。適当な装置の例は、分散機、ターボ攪拌機、ジェット分散機、ロールミル、ミルおよびニーダーである。ニーダー及びミルが好ましく使用される。ミル及びニーダーの例は、ボールミル、ロッドミル、タンブリングミル、コーンミル、チューブミル、自己粉砕ミル(autogenous mill)、プラネタリーミル、振動ミル及び攪拌ボールミルのような緩やかなミリングツール(loose milling tools)を有するミルである。
【0082】
各システムのための適当な温度は、必要に応じて、当業者によって確立され得る。機械的に活性化されたプロセスは、好ましくは、室温又は周囲温度(例えば、15〜30℃)で行なわれる(即ち、加熱は行なわれない)。機械的活性化が結果的に懸濁液の加熱をもたらすかも知れない。これは望ましいかもしれない。しかしながら、必要な場合には冷却も可能である。通常、冷却ユニットが使用され、溶媒の沸点までの温度上昇が防止される。通常の手順において、機械的活性化の間、周囲温度から70℃又は60℃まで、好ましくは50℃より低い周囲温度までの温度に達する。温度は、好ましくは、使用される溶媒の沸点より低い。
【0083】
機械的活性化の時間は、特に、使用される懸濁液の固体含量、分散剤及び表面改質剤に依存し、数分から数日であり得る。
【0084】
活性化のための機械的ストレスは、また、2段階又は複数段階の実施形態において生成され得る。これは、例えば、上流工程及び下流工程からなり得、これは各工程において又は少なくとも1工程(例えば、最終工程)においてのみ存在することを可能にする。例えば、粉砕媒体(grinding medium)を用いる微粉砕(milling)の場合、比較的きめの粗い粉砕媒体を用いた上流のミル処理工程は、最終工程のための最適な効率のよい出発粒度を達成するために加えられ得る。
【0085】
その強いせん断で機械的に活性化されたプロセスを受ける懸濁液の粒子含量は、とりわけ、使用される装置に依存する。ニーダーの場合、粒子含量は、概して、懸濁液の98体積%〜50体積%である。ミルを使用する場合、粒子含量は、概して、懸濁液の60体積%以下である。粒子/改質剤重量比は、概して、100:1〜100:35、特に100:2〜100:25及び特に好ましくは100:4〜100:20である。
【0086】
粉砕空間(grinding space)に存在する粒子/粉砕媒体比は、必然的に、懸濁液の固体含量、並びに、使用される粉砕ボールでの占有の程度及び粉砕ボールの嵩密度の程度に起因する。
【0087】
機械的活性化プロセスは、例えばマイクロ波及び/又は超音波によるさらなるエネルギーインプット(作用している機械的エネルギーに加えて)によって促進され得る(これらの2つの方法を同時に用いることもできる)。分散剤へのエネルギーインプットは、機械的活性化のための装置中で直接的に実施されるが、プロダクト循環(product circulation)において装置の外側で実施されてもよい。
【0088】
このプロセスは、ワンパス操作又はマルチパス操作(振り子法)において或いは循環法によって連続的に、並びに、バッチ操作においてバッチ式で行なわれ得る。
【0089】
活性化剤の存在下における機械的活性化の結果として、改質剤は、少なくとも比例して化学的に粒子に結合し、これは、通常同時にデアグロメレート及び/又はデアグリゲートされる。
【0090】
工程b)の後、高度に分散された表面修飾された100nmより小さいナノスケール粒子が得られ得る。得られる粒子の平均粒径は、概して、50nm以下、好ましくは30nm以下、特に好ましくは20nm以下である。本発明に従うプロセスによって、約1nmより小さい平均粒径又は平均最小寸法を有する、表面修飾された結晶性及び/又は高密度化されたドープされた又はドープされていないナノ粒子又はコロイドを製造することさえ可能である。
【0091】
ここで、他に言及されない限り、平均粒径は、体積平均(d50値)に基づく粒径を意味すると理解され、UPA(Ultrafine Particle Analyzer, Leeds Northrup (laser optical, dynamic laser light scattering)が測定に使用される。非常に小さい(例えば、3.5nmより小さい)粒子の測定については、電子顕微鏡法を用いた(例えばHR−TEMを介する)定量画像分析を用いることもできる。これらの方法では画像平面中の粒径が測定されるので、値がUPAにより測定された値と異なるかもしれない(UPA測定は、平均三次元直径とみなされ得る粒径を与えるため)。粒径は、時々、粒度とも呼ばれる。
【0092】
平均粒径は、また、時々、平均最小直径(これは、より小さいものに応じて、平均直径、平均高さ又は幅であり得る)とも称される。例えば、平均最小寸法は、球状粒子については平均粒径であり、ラメラ粒子については平均高さである。ここでも、平均最小寸法は、体積平均に関する。
【0093】
この最小寸法を測定するための方法及びこれらの方法の詳細については、当業者に知られている。使用されるさらなる方法は、例えば、X線ディスク遠心である。
【0094】
ナノ粒子は、分散剤を取除くことによって、生じる表面修飾されたドープされた及びドープされていないコロイドから粉末として得られ得る。任意の既知の方法、例えば、蒸発、遠心又は濾過が除去に使用され得る。
【0095】
結合された改質剤分子は、粒子の特性が制御され得る官能基化を通じて、得られる粒子の表面に存在する。次いで、粒子は同じ又は別の適当な分散剤中に再び取られ、アグリゲーションは比較的に少ないか又は全く観察されず、それゆえ平均粒径が実質的に保たれ得る。
【0096】
表面修飾された結晶性及び/又は高密度化されドープされた又はドープされていないナノスケール粒子又はコロイドは、既知の方法によってさらに仕上げられる(work up)。例えば、それらは他の表面改質剤と反応され得るか又はそれらは有機又は水性溶媒中に分散され得、且つ、可溶性のポリマー、オリゴマー又は有機モノマー又はゾル或いは添加剤(例えば、上記に述べたもの)が混合され得る。このような混合、仕上げ操作又は表面修飾された結晶性及び/又は高密度化されドープされた及びドープされていないナノ粒子又はコロイドそれ自体が、例えば、コーティング又はモールディングの製造或いは他の用途に使用される。
【発明の効果】
【0097】
表面修飾された結晶性及び/又は高密度化されドープされた又はドープされていないナノ粒子又はコロイド或いはこれらを含む混合物の使用の可能性がある分野の例としては、特に相当するZrO粒子については、鋳物、フィルム、膜及びコーティングの製造、或いは、コンパウンド又はハイブリッド物質の製造が挙げられる。製品(特にコーティング又は層)は、例えば低エネルギー表面を有するコーティングとして、或いは耐摩耗性の、酸素イオン伝導性の、殺菌性の、光触媒性の、微小構造可能な又は微小構造の、ホログラフィーの、導電性の、UV吸収性の、フォトクロミックな及び/又はエレクトロクロミックミック製品又は層として、非常に広範な目的に役立ち得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0098】
以下の実施例は、本発明の更なる説明を提供する。
【実施例1】
【0099】
1720gのY(NO・4HO及び25.5kgのジルコニウムプロピレートの混合物を12.8kgのエタノール中に溶解した。生じた溶液を攪拌しながら室温にて32kgのアンモニア水溶液(pH10−11)に滴下した。添加の終了後、懸濁液を、240℃の温度及び50barの圧力にて、連続的に作動している管状リアクター中で熱処理した。リアクター中の懸濁液の平均滞留時間は、少なくとも30分である。このように得られた懸濁液を、攪拌しながらアンモニア溶液の添加によりpH7.8−8.3に調整したところ、攪拌の終了後に沈降が起こった。上清を除去した。再び、攪拌しながら蒸留水を添加し、pHを再び7.8−8.3に調整した。この洗浄プロセスを、上清の伝導性が<10μSの値に到達するまで繰り返した。上清を除去し、固体含有懸濁液を得、フリーズドライした。このフリーズドライ粉末の約900gを最初に2−ロールニーダー(最大充填体積2リットル)に導入した。50gの水及び135gのTODA(3,6,9−トリオキサデカン酸)の添加後、高い粘性のペーストを混練により得た。この高粘性物質を<55℃の温度で約6時間混練した。これにより、TODAで表面修飾されており且つ4−8nm(TEM)の平均粒度及びd50=13nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrO(立方晶系、4molのYで安定化された)の83%の重量濃度(strength by weight)ペーストを得た。
【実施例2】
【0100】
実施例1で調製されたペースト(83重量%のZrO)の1085gを機械攪拌によって715gの水中で分散させた。これにより、TODAで表面修飾されており且つ4−8nm(TEM)の平均粒度及びd50=14nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrO(立方晶系、4molのYで安定化された)の50%重量濃度懸濁液を得た。
【実施例3】
【0101】
実施例1で調製されたペースト(83重量%のZrO)の1085gをフリーズドライすることにより粉末に変換した。これにより、TODAで表面修飾されており且つ4−8nm(TEM)の平均粒度及びd50=16nm(UPA)の平均粒径を有するナノスケールZrO粉末(立方晶系、4molのYで安定化された)を得た。
【実施例4】
【0102】
970gのエタノール、実施例1からのフリーズドライ粉末の400g及び30gのアセチルアセトンを反応容器に入れ、機械攪拌で30分間混合した。得られた混合物を、攪拌ボールミル中で6hの間微粉砕した(Drais Pearl Mill PML−H/V、酸化ジルコニウムに合わせた粉砕空間、総粉砕空間体積(gross grinding space volume)1.2 l、4100rpm、1700gの粉砕ボール(ジルコニウムシリケート)、ボール直径0.3−0.4mm、循環内法(encirculation method)による連続的操作)。これにより、アセチルアセトンで表面修飾されており且つ4−8nm(TEM)の平均粒度及びd50=12nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrO(立方晶系、4molのYで安定化された)の40%重量濃度懸濁液を得た。
【実施例5】
【0103】
6.4kgのエタノールを25.5kgのジルコニウムプロピレートに添加し、32 kgの水性のわずかにアンモニアを含む溶液(pH=8)に室温にて攪拌しながら滴下した。添加の終了後、懸濁液を240℃の温度及び50barの圧力にて連続的に作動している管状リアクター中で熱処理した。リアクター中の懸濁液の平均滞留時間は、少なくとも30分である。このように得られた懸濁液を、攪拌しながらのアンモニア溶液の添加によりpH7.8−8.3に調整したところ、攪拌の終了後に沈降が起こった。上清を取除いた。蒸留水を攪拌しながら再び添加し、pHを再びpH=7.8−8.3に調整した。この洗浄プロセスを、上清の伝導性が<10μSの値に到達するまで繰り返した。上清を除去し、続く遠心により40重量%の固体含量を有する高固体ペーストを得た。60gのTODAをこのペーストの1kgに添加し、機械攪拌を30分実施した。得られた懸濁液を攪拌ボールミル中で4hの間微粉砕した(Drais Pearl Mill PML−H/V、酸化ジルコニウムに合わせた粉砕空間、総粉砕空間体積1.2 l、4100rpm、1700gの粉砕ボール(ジルコニウムシリケート)、ボール直径0.3−0.4mm、循環法(circulation method)による連続操作)。これにより、TODAで表面修飾されており且つ8−10nm(TEM)の平均粒度及びd50=13nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrOの37.7重量%懸濁液を得た。
【実施例6】
【0104】
実施例5で調製された40%重量濃度ZrOペーストの1kgをフリーズドライした。60gのN−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸を、600gの水においてそこから得られた粉末に添加し、機械攪拌を30分行なった。得られた混合物を攪拌ボールミル中で6hの間微粉砕した(Drais Pearl Mill PML−H/V、酸化ジルコニウムに合わせた粉砕空間、総粉砕空間体積1.2 l、4100rpm、1700gの粉砕ボール(ジルコニウムシリケート)、ボール直径0.3−0.4mm、循環法による連続操作)。これにより、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸で表面修飾されており且つ8−10nm(TEM)の平均粒度及びd50=11nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrOの37.7重量%懸濁液を得た。
【実施例7】
【0105】
実施例5において得られた40%重量濃度懸濁液の2.5kgをフリーズドライした。そこから生じた粉末を最初に2−ロールニーダー(最大充填体積2リットル)に導入した。50gの水及び150gのTODAの添加後、高い粘性のペーストを混練により得た。この高粘性物質を<55℃の温度で約6時間混練した。これにより、TODAで表面修飾されており且つ8−10nm(TEM)の平均粒度及びd50=18nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrOの83%重量濃度ペーストを得た。
【実施例8】
【0106】
実施例7で調製されたペースト(83重量%のZrO)の1200gを、機械攪拌によって1300gの水中で分散させた。これにより、TODAで表面修飾されており且つ8−10nm(TEM)の平均粒度及びd50=18nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrOの40%重量濃度懸濁液を得た。
【実施例9】
【0107】
実施例7で調製されたペースト(83重量%のZrO)の1200gをフリーズドライによって粉末に変換した。これにより、TODAで表面修飾されており且つ8−10nm(TEM)の平均粒度及びd50=20nm(UPA)の平均粒径を有するナノスケールZrO粉末を得た。
【実施例10】
【0108】
3200gの蒸留水を攪拌容器中に最初に導入した。2550gのジルコニウムプロピレートを640gのエタノールと混合し、攪拌しながら室温にて水に滴下した。7200mlの沈殿された懸濁液を10リットルのバッチオートクレーブ中に導入した。オートクレーブを10barの圧力で窒素を用いて3回フラッシュする。懸濁液を10barのアドミッション圧力(N)で230℃の温度にて3hの間オートクレーブする。圧力は約50barである。このように得られた懸濁液を、攪拌しながらのアンモニア溶液の添加によりpH=7.8−8.3に調整したところ、攪拌の終了後に沈降が起こった。上清を除去した。蒸留水を攪拌しながら再び添加し、pHをpH=7.8−8.3に再び調整した。この洗浄プロセスを、上清の伝導性が<10μSの値に到達するまで繰り返した。上清を除去し、固体含有懸濁液を得、フリーズドライした。このフリーズドライされた粉末の900gを最初に2ロールニーダー(最大充填体積2リットル)に導入した。50gの水及び112.5gのTODAの添加後、高い粘性のペーストを混練により得た。この高粘性物質を<55℃の温度で約8時間混練した。混練された物質を、機械攪拌により735.5gの水中で分散させた。これにより、TODAで表面修飾されており且つ8−12nm(TEM)の平均粒度及びd50=18nm(UPA)の平均粒径を有する、ナノスケールZrOの50%重量濃度懸濁液を得た。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明に従うプロセスについて出発物質として使用されるZrO粒子のX線回折図を示す。
【図2】図2は、本発明の熱処理後の図1のZrO粒子のX線回折図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を包含する、分散剤中の結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の懸濁液の製造方法:
a)分散剤中の非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液を熱処理し、該粒子を結晶化及び/又は高密度化する工程、並びに、
b)工程a)の分散剤又は別の分散剤中の結晶化された及び/又は高密度化された表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液を機械的ストレスによって改質剤の存在下で活性化することにより、該粒子を改質剤によって表面修飾し、結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の懸濁液を得る工程。
【請求項2】
工程a)における熱処理が高圧下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
熱処理が少なくとも60℃の温度で行なわれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
熱処理が少なくとも5barの圧力で行なわれることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
表面修飾のための改質剤が粒子の表面に化学的に結合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
機械的活性化が、懸濁液の強いせん断のための装置(例えば、微粉砕(comminution)装置、混練(kneading)装置又はミリング(milling)装置)によって達成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
分散機、ターボ攪拌機、ジェット分散機、ロールミル、ミル又はニーダーが機械的活性化のために使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
機械的活性化が、外部加熱を用いることなく行なわれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
機械的活性化が、1、2又はそれ以上の段階で行なわれ、該段階の少なくとも1つが改質剤の存在下で行なわれることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
機械的活性化が、懸濁液への更なるエネルギーインプットによって促進されることを特徴とする(更なるエネルギーインプットは、強いせん断のための装置の内側又は外側で達成され得る)、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
更なるエネルギーインプットが超音波によって及び/又はマイクロ波によって達成されることを特徴とする(更なるエネルギーインプットは、また、超音波及びマイクロ波によって同時に達成され得る)、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
分散剤が、また、改質剤として使用されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
工程b)における粒子対改質剤の重量比が100:1〜100:35であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
工程b)の後に得られる粒子の平均直径が20nm以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
工程a)によって得られた懸濁液を精製し、工程b)が行なわれる前に少なくとも部分的にプロセス副産物を取除くことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
精製のために懸濁液中の粒子をフロキュレートし、生じた上清を取除き且つ沈降産物をフレッシュな分散剤で希釈し、プロセス副産物を含有する使用済み分散剤を少なくとも部分的に交換することを特徴とする(精製プロセスは、数回繰り返され得る)、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程a)の非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の出発懸濁液が、
I)分散剤中の粒子の分子前駆体を縮合及び/又は沈殿反応にかけること、
II)分散剤中で非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の粉末を懸濁すること、或いは、
III)非晶質又は半結晶性の表面修飾されていないナノスケール粒子の懸濁液の分散剤を、所望の分散剤と交換すること、
によって得られることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
粒子がドープされた又はドープされていない粒子であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
粒子が酸化物粒子又は水和酸化物粒子であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
粒子が、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Si、Sn、Pb、Sb、Bi、Ti、Zr、V、Mn、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ru、Zn、Ce、Y、Sc、Eu、In及びLaから選択される少なくとも1種の元素又はその混合物の化合物、好ましくは酸化物又は水和酸化物を含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
粒子がZrO、TiO、アルミニウムコーティングされたルチル、SnO、Al-2、ITO(インジウムスズ酸化物)、ATO(アンチモンドープスズ酸化物)、In、Y、CeO、ZnO、酸化マンガン、酸化鉄、BaO若しくはCaO、又は、そのドープ酸化物(例えば、BaTiO、SnTiO及びカルシウムタングステン)、並びに/或いは、その水和酸化物又はその混合物であることを特徴とする、請求項19及び20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
粒子がドープされた又はドープされていないZrOであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
結晶性粒子が、工程a)の熱処理の結果としての結晶化によって得られることを特徴とする、先の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
分散剤中の粒子の懸濁液が請求項1〜22のいずれか1項の方法によって製造され、且つ、該分散剤が取除かれることを特徴とする、結晶性及び/又は高密度化され表面修飾されたナノスケール粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−515747(P2008−515747A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533960(P2007−533960)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010643
【国際公開番号】WO2006/037591
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(500449008)ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク (22)
【Fターム(参考)】