説明

カッティングプロッタ

【課題】 カッティング処理したカッティングシートから余白部分を剥離する作業を不要として取扱いを容易化する。
【解決手段】 カッティングプロッタ1にサーマルプリンタ部4を設ける。プロッタ/プリンタ制御装置2は、プロッタ部3用のカッティングデータを演算する機能とサーマルプリンタ部4用にキャラクタのアウトライン外またはアウトライン内領域の塗り潰しデータを演算する機能を有している。サーマルプリンタ部4に感熱性粘着テープAを装填し、プロッタ部3にてカッティングしたカッティングシートSをサーマルプリンタ部4にセットして熱転写工程を行う。塗り潰しモードの設定に応じて、カッティングシートSの余白部分またはレタリング部分が感熱性粘着テープAへ転写され、カッティングシートSから不要部分が剥離される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カッティングシートから文字や図形を切抜くカッティングプロッタに関するものであり、特に、カッティング後のカッティングシートの取扱いを容易にしたカッティングプロッタに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】図5は従来のカッティングプロッタにより文字をカッティングした剥離紙付カッティングシートSを示し、表層のカッティングシートには入力データに応じた書体と寸法のレタリングシートLが切断処理されている。レタリングシートLをディスプレイとして使用する際は、先ずレタリングシートL以外の余白Mを裏面の剥離紙から剥し、カッティングシートSの表面に透明な粘着性アプリケーションシートを載せ、アプリケーションシートにレタリングシートLを転写して剥離紙を剥がす。そして、アプリケーションシートを目的の場所に貼ってアプリケーションシートの表面をスクィージにて摩擦し、レタリングシートLを接着対象面に接着してアプリケーションシートを剥がせば、対象面にレタリングシートLが残る。また、カッティングシートSからレタリングシートLを除去して余白Mをアプリケーションシートに転写し、余白Mを白抜きレタリングシートとして使用する場合もある。
【0003】上述した従来のシート転写工程においては、カッティングシートSに文字や記号をカッティングした後に剥離紙から不要部分を除去する作業に手間がかかる。特に、除去部分の面積が大きい場合は剥離に要する力が大きく、また、剥離した不要シートが剥離紙上のレタリング部分に貼りついて、レタリング部分も同時に剥離紙から剥がれることがあり、取扱いが容易ではないという問題がある。
【0004】そこで、カッティングシートの転写作業を容易化するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、入力された作図データに基づいて文字や記号のアウトラインデータを演算処理するカッティング制御部と、カッティングヘッドを駆動するカッティングヘッド駆動装置とを備え、アウトラインデータに基づいてカッティングヘッドを駆動してカッティングシートを切抜き、レタリングシートを作成するカッティングプロッタにおいて、作図領域における文字や記号のアウトラインの外側または内側の領域を塗り潰し指定する手段と、指定領域の塗り潰しデータを演算する手段と、塗り潰しデータに基づいて熱転写プリントを実行するサーマルプリンタ部とを備え、前記カッティングヘッドによりアウトラインカッティングしたカッティングシートと感熱性粘着テープとを重ね合わせて前記サーマルプリンタ部により熱転写プリント工程を実行することにより、前記カッティングシートの塗り潰し指定領域を前記感熱性粘着テープに転写することを特徴とするカッティングプロッタを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を図に従って詳述する。図1はカッティングプロッタ1のシステム構成を示し、プロッタ/プリンタ制御装置2とプロッタ部3とサーマルプリンタ部4とによって構成され、サーマルプリンタ部4はライン形サーマルヘッド5とプラテンローラ6とによってカッティングシートSと粘着テープカセットCに収容されている感熱性粘着テープAとを挟み、プラテンローラ6の回転によってカッティングシートSと感熱性粘着テープAとを送る形式のものである。
【0007】感熱性粘着テープAは、粘着剤の温度依存性を利用したものや、マイクロカプセル化した粘着剤を結合剤を用いてフィルムに塗着したもの等があり、常温では非粘着性で加熱すると粘着性が生じる特性を有している。また、この実施形態では感熱性粘着テープAを粘着テープカセットCに収容しているが、これに限らず、カセット形ではなくシートロール形の感熱性粘着テープをそのままサーマルプリンタ部4へ装填するように構成してもよい。
【0008】図2はカッティングプロッタ1の機能ブロック図であり、キーボード7またはホストコンピュータ等のデータ入力手段からインタフェース8を通じて入出力制御装置9へ入力された作図データは、CPU10、ROM11、RAM12によって構成されたプロッタ/プリンタ制御部13へ入力される。
【0009】キーボード7からプロッタ/プリンタ制御部13へ入力された文字や記号等の作図データは、プロッタ/プリンタ制御部13が表示部駆動回路14へデータを転送してLCDディスプレイ15によって表示される。
【0010】プロッタ部3は、X軸モータ駆動回路16、Y軸モータ駆動回路17、Z軸アクチュエータ駆動回路18と、X軸モータ19、Y軸モータ20、Z軸アクチュエータ21によって構成されている。
【0011】サーマルプリンタ部4は、サーマルヘッド駆動回路22、サーマルヘッド5、プラテンローラ駆動回路23、プラテンローラ駆動モータ24によって構成され、プロッタ部3とサーマルプリンタ部4はプロッタ/プリンタ制御装置2の入出力制御装置9へ接続されている。
【0012】プロッタ/プリンタ制御部13へ入力された作図データは、ROM11に格納されているアウトラインデータ演算プログラム25と塗り潰しデータ演算プログラム26にしたがって演算処理される。
【0013】CPU10は、入力された文字や記号等のキャラクタデータを文字間隔、文字サイズ、フォント指定等の書式設定データとアウトラインデータ演算プログラム25に基づいて文字や記号等のアウトラインを展開し、ストロークデータ形式のアウトラインデータを演算する。
【0014】そして、キーボード7により余白除去モードとキャラクタ除去モードのいずれかを選択して設定すると、モード設定にしたがって塗り潰しデータ演算プログラム26に基づき文字や記号等のアウトライン外またはアウトライン内の領域の塗り潰しドットデータを演算する。
【0015】余白除去モードを設定した場合は、アウトライン外領域の塗り潰しドットデータを生成し、キャラクタ除去モードを設定した場合は、アウトライン内領域の塗り潰しドットデータを生成して、アウトラインデータと塗り潰しドットデータとをRAM12へ格納する。
【0016】キーボード7からカッティング実行コードを入力すると、CPU10はRAM12に書込まれているアウトラインデータをプロッタ部3のX軸、Y軸、Z軸のそれぞれの駆動回路16,17,18へ出力し、X軸モータ19、Y軸モータ20、Z軸アクチュエータ21を同期駆動してカッティングシートSに文字や記号等のアウトラインカッティングを実行する。
【0017】アウトラインカッティングを終了したカッティングシートSをサーマルプリンタ部4にセットしてプリント実行コードを入力すると、サーマルプリンタ部4が起動して熱転写プリント工程に入る。熱転写プリント工程においてはプロッタ/プリンタ制御部13がプラテンローラ駆動モータ24の回転とライン形サーマルヘッド5への塗り潰しドットデータ転送とを同期制御し、図1に示すプラテンローラ2とライン形サーマルヘッド5とに挟まれているカッティングシートSと感熱性粘着テープAとを一体に送りつつプリントを実行する。
【0018】このとき、感熱性粘着テープAの加熱された部分に粘着力が生じてカッティングシートSに粘着し、感熱性粘着テープAが粘着テープカセットC内の巻取りリールに巻取られる際に、感熱性粘着テープAに貼付いたカッティングシートは剥離紙から剥離されて感熱性粘着テープAとともに巻取りリールに巻取られる。また、剥離紙から不要部分を剥離したカッティングシートがサーマルプリンタ部4の排紙口から排出される。
【0019】余白除去モードを設定した場合は、カッティングシートSのレタリングシートL以外の余白領域が感熱性粘着テープAへ転写され、図3に示すように、剥離紙RP上にレタリングシートLを残したカッティングシートSが排出される。
【0020】また、キャラクタ除去モードを設定した場合は、レタリングシートLのアウトライン内領域と等しい領域がサーマルヘッド5により加熱され、レタリングシートLが感熱性粘着テープAに転写されて剥離紙RPから剥離され、図4に示すように、剥離紙RP上に白抜きレタリングシートMを残したカッティングシートSが排出される。
【0021】このように、サーマルプリンタ部4により熱転写プリント工程を実行することにより、カッティングシートから不要部分を剥離して除去する手作業が不要となり、直ちにアプリケーションシートへの転写作業が行える。
【0022】また、他の実施形態としては、感熱性粘着テープをアプリケーションシートとして利用するものがある。この場合は、図1に示したサーマルプリンタ部4を粘着テープカセットCを使用する構成に代えて、図示は省略するがロール形感熱性粘着テープを使用する構成とし、プロッタ/プリンタ制御部の熱転写モード設定機能を、前述したものとは逆に余白除去モードによってアウトラインカッティングデータからアウトライン内領域の塗り潰しドットデータを生成し、キャラクタ除去モードではアウトライン外領域の塗り潰しドットデータを生成するように構成する。
【0023】上記のように構成することにより、アウトラインカッティングを終了したカッティングシートSをサーマルプリンタ部4にセットしてプリント工程を実行すると、余白除去モードではレタリングシートLが感熱性粘着テープAに転写されて剥離紙RPから剥離され、レタリングシートLを転写した感熱性粘着テープAとレタリングシートLを剥離したカッティングシートSが取り出される。
【0024】また、キャラクタ除去モードを設定した場合は、レタリングシートLのアウトライン外領域が感熱性粘着テープAに転写されて剥離紙RPから剥離され、白抜きレタリングシートMを転写した感熱性粘着テープAと、白抜きレタリングシートMを剥離したカッティングシートSとに分離される。
【0025】そして、裏面にレタリングシートLまたは白抜きレタリングシートMを転写した感熱性粘着テープAを目的の場所にセットしてスクィージで感熱性粘着テープAの表面を摩擦すればレタリングシートLまたは白抜きレタリングシートMが目的の場所に転写され、レタリングシートLや白抜きレタリングシートMを剥離紙RPからアプリケーションシートへ転写する作業が不要になる。
【0026】尚、本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、例えば、カッティングプロッタ部とプリンタ部とを一体に連結してカッティングとプリントとを連続的に実行するように構成する等、本発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカッティングプロッタは、キャラクタのアウトラインをカッティングしたカッティングシートの余白部分をサーマルプリンタ部により粘着テープに転写して剥離紙から剥離するので、従来のカッティングプロッタによって作成したカッティングシートとは異なり、余白部分の剥離作業が不要となり、また、剥離した不要部分が周囲のものや剥離紙上の必要部分に貼りつくこともない。したがって、作業労力の軽減、作業時間の短縮に効果を発揮するとともに、取扱いが著しく容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカッティングプロッタのシステム構成解説図。
【図2】図1のカッティングプロッタの機能ブロック図。
【図3】図1のカッティングプロッタにより文字外領域を除去したカッティングシートの平面図。
【図4】図1のカッティングプロッタにより文字領域を除去したカッティングシートの平面図。
【図5】カッティングプロッタによりカッティングしたカッティングシートの平面図。
【符号の説明】
1 カッティングプロッタ
2 プロッタ/プリンタ制御装置
3 プロッタ部
4 サーマルプリンタ部
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
13 プロッタ/プリンタ制御部
25 アウトラインデータ演算プログラム
26 塗り潰しデータ演算プログラム
A 感熱性粘着テープ
C 粘着テープカセット
S カッティングシート
L レタリングシート
M 余白(白抜きレタリングシート)
RP 剥離紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力された作図データに基づいて文字や記号のアウトラインデータを演算処理するカッティング制御部と、カッティングヘッドを駆動するカッティングヘッド駆動装置とを備え、アウトラインデータに基づいてカッティングヘッドを駆動してカッティングシートを切抜き、レタリングシートを作成するカッティングプロッタにおいて、作図領域における文字や記号のアウトラインの外側または内側の領域を塗り潰し指定する手段と、指定領域の塗り潰しデータを演算する手段と、塗り潰しデータに基づいて熱転写プリントを実行するサーマルプリンタ部とを備え、前記カッティングヘッドによりアウトラインカッティングしたカッティングシートと感熱性粘着テープとを重ね合わせて前記サーマルプリンタ部により熱転写プリント工程を実行することにより、前記カッティングシートの塗り潰し指定領域を前記感熱性粘着テープに転写することを特徴とするカッティングプロッタ。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図2】
image rotate


【図5】
image rotate