説明

カップを製造するためのプロセスおよび複数のカップ

本発明は、底部および底部に取り付けられた側壁を有するカップを製造するためのプロセスに関する。該側壁は、好ましくは、底部と反対側の該側壁の上端に巻リムを備えており、該側壁は、単一の層または複数の層を備えており、層の少なくとも1つは、紙材料、カートン、プラスチック、PLA、再生可能および/または生分解可能な資源および/または任意の他の同等の材料から作製されている。少なくとも1つの成形部が、側壁の層の少なくとも1つに形作られ、該成形部は、少なくとも部分的にリング状に形作られ、該成形部は、少なくとも部分的に側壁の周囲に延在し、該成形部は、内向きまたは外向きに配置され、該成形部は、各成形部の1つの縁が成形部の反対側の部分に接触するように、および/または各成形部の両縁が互いに接触し、かつ一緒に接合されるように、その高さが圧縮されるようになっている。本発明は、このプロセスによって製造されるカップにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、例えば、底部および底部に取り付けられた側壁を有するカップであって、側壁が、好ましくは、底部と反対側の側壁の上端に巻リムを備えている、カップを製造するための方法に関する。この容器は、単一または複数の側壁を備えており、側壁の少なくとも1つは、紙材料、プラスチック材料、PLA、再生可能および/または生分解可能材料および/または任意の他の同等の材料またはそれらの組合せから作製されるようになっている。
【背景技術】
【0002】
このようなカップは、先行技術においてよく知られている。先行技術においてこれまでに知られているカップは、いずれも、乏しい剛性しか有していないという欠点がある。このようなカップは、特に上端の領域において極めて不安定であり、容易に押し潰されるという問題を有している。
【0003】
これまでは、この欠点のために、用いられる材料厚みは、許容される下限を超えねばならなかった。高剛性を十分にもたらすために、比較的厚い材料が用いられねばならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、プロセスおよび前記プロセスによって製造される容器であって、該容器が高剛性を本来的に備えている、プロセスおよび前記プロセスによって製造される容器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、成形部、例えば、エンボス部を側壁内に設けることによって達成されることになる。該成形部は、少なくとも部分的に側壁の周囲に延在しており、該成形部は、内向きおよび/または外向きに配置されており、該成形部は、その高さが圧縮されている。
【0006】
この実施形態の開示は、本発明の他の実施形態に適用されてもよく、またはその逆に、本発明の他の実施形態が、この実施形態に適用されてもよい。
【0007】
圧縮された成形部、例えば、圧縮されたエンボス部によって、カップは、極めて大きい力がカップに加えられた場合にしか押し潰されることがない。
【0008】
本発明は、容器に関する。具体的には、容器は、飲料、特にコーヒまたは紅茶のような熱い飲料、または食料、特にスープ、マッシュなどが入れられるカップである。この容器は、好ましくは、紙、厚紙、ボール紙、繊維材料、プラスチック材料、PLA、再生可能および/または生分解可能な素材から得られる材料またはそれらの組合せから作製されている。さらに好ましくは、材料は、塑性変形可能、例えば、エンボス加工可能である。本発明の全ての部分は、この材料から作製されている。容器の個々の部分が、互いに異なる材料から作製されていてもよい。特に、液体および/または蒸気を受ける容器の部分の表面は、好ましくは、例えば、湿気、水、水溶液、油、および/または脂肪またはそれらの組合せに対する少なくとも一時的な耐性をこれらの部分にもたらす手段、特に、被膜、含浸材、フィルムなどを備えているとよい。好ましくは、前述の手段は、熱封止可能なものである。
【0009】
本発明による容器は、側壁を備えている。この側壁は、好ましくは、円錐形であり、さらに好ましくは、その上端に巻リムを有している。側壁は、好ましくは、平坦な断片から作製されるとよい。平坦な断片は、この後、その円錐形状に形成、好ましくは、巻装される。好ましくは、容器をその基部で閉じるために、側壁は、その下端にて底部に接続されるとよい。底部は、好ましくは、別の部品であり、容器の側壁の下端に取付けられ、さらに好ましくは、接着または熱封止されるようになっている。側壁および基部は、製品によって満たされる充填容積を画定することになる。
【0010】
この成形部は、当業者によって知られているどのような技術によって、例えば、折り畳み、または、どのような他の塑性変形法によって、作製されてもよい。好ましくは、成形部は、平坦な断片に(該断片が側壁の最終形状に成形、例えば、巻装される前に)導入されるとよい。さらに好ましくは、成形部は、エンボス部である。このエンボス部は、例えば、側壁に局部的に圧力を加え、側壁の材料を塑性変形させることによって作製されるものである。成形部は、当業者によって知られているどのような形状を有していてもよい。しかし、好ましくは、成形部は、特に軸力が側壁に加えられたときに、少なくとも部分的に圧縮可能であるとよい。好ましくは、成形部は、U字形状であるか、または、部分的に円の一部の形状を有している。成形部は、内向き、すなわち、容器の充填容積の方を向いていてもよいし、および/または外向き、すなわち、容器の充填容積から離れる方を向いていてもよい。しかし、外向きの成形部が好ましい。何故なら、外向きの成形部は、本発明の容器の充填容積を制約しないからである。成形部は、交互に内向き、および、外向きに配置されていてもよい。この交互配置は、好ましくは、釣合が取れるようになっている。成形部は、好ましくは、各成形部の1つの縁が同じ成形部の反対側の部分に接触するように、および/または各成形部の両縁が互いに接触し、かつ接合されるように、側壁の少なくとも1つの層内に形成されているとよい。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、成形部、成形金型および/または圧縮工具は、その成形中および/または圧縮中に空隙を生じさせることができるようになっている。このような空隙容積によって、極めて良好な絶縁効果を実現させることができる。
【0012】
本発明によれば、成形部、成形金型および/または圧縮工具は、圧縮後に平坦な輪郭を生じさせる能力を有しているとさらに好ましい。これによって、極めて高い剛性が得られることになる。とりわけ、平坦な輪郭は、ストッパまたはスペーサとして用いることができるという利点を有している。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、成形部は、圧縮中にリブが形成されるように形作られている。リブによって、カップの剛性を最大にすることができ、これによって、カップの望ましくない圧潰を避けることができる。
【0014】
本発明によれば、例えば、超音波、レーザ、または任意の他の熱源によって成形部を加熱し、これによって、圧縮を簡素化するようになっているとさらに好ましい。加熱された成形部が殆ど労力を費やすことなく圧縮可能であることが分かっている。
【0015】
本発明によれば、好ましくは、熱接合および/または冷接合、封止または接着、または任意の他の接合技術によって、成形部の縁を互いに接合するようになっているとさらに好ましい。接合技術として、機械的な接合技術も挙げられる。これによって、圧縮がその非圧縮状態に少なくとも部分的に戻らないことが確実なものになる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、被膜が少なくとも成形部の縁の領域に施されるようになっている。被膜は、好ましくは、縁を接合する熱封止材料から構成されている。
【0017】
被膜は、例えば、ポリエチレンである。これによって、被覆された領域は、流体に対して不浸透性であるのみならず、例えば、圧縮された成形部の縁を一緒に封止することも可能になる。好ましくは、封止材料は、再生可能な資源から得られるとよい。さらに、被膜は、全面またはその一部、少なくとも水、水分を含む物質、油および/または湿気に晒される表面に施されると好ましい。全面に施された被膜は、流体および湿気に対する保護をもたらすこともできる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、成形部は、縁が互いに近接して離間するように、および/または互いに重ね合わされ、好ましくは、平坦な面を形成するように圧縮されている。
【0019】
この圧縮および接合によって、側壁における成形部の縁間に均一面が得られる。もしこれらの接合された縁がカップの内面に形成されているなら、充填材料、特に、液体がこの圧縮された成形部内に浸透することが回避されることになる。
【0020】
本発明によれば、圧縮された成形部が内方または外方に突き出すリブを形成するようになっていると好ましい。このリブは、空隙容積を含んでおり、または平坦な面を形成している。この成形部は、単一側壁カップに用いられてもよいし、または多側壁カップの内側側壁または外側側壁に用いられてもよい。
【0021】
本発明のさらに他の実施形態によれば、圧縮された成形部が、他の側壁、好ましくは、平らな側壁に対して、絶縁物として、またはスペーサとして機能するようになっていると好ましい。これによって、極めて高価なプロセスステップによってしか得られないすぐれた絶縁を達成することができる。
【0022】
本発明によれば、圧縮された成形部が側壁の剛性を高めるようになっていると、さらに好ましい。これによって、用いられる材料の量を著しく増すことなく、側壁を極めて頑丈、かつ剛性なものとすることができる。
【0023】
本発明によれば、圧縮された成形部が高摩擦掴み領域を形成するようになっているとさらに好ましい。
【0024】
これによって、単一側壁カップの場合においても、良好に絶縁されて掴むことができる掴み領域を得ることができる。この場合、表面特性(property)および表面肌理(texture,きめ、構造)によって、すべりが効果的に回避される。
【0025】
本発明によれば、カップが、エンボス加工可能および圧縮可能であるプラスチック材料、紙材料、カートン、および/または任意の他の繊維材料から作製されることがさらに好ましい。
【0026】
本発明によれば、成形部は、周方向リング、リング断片、螺旋体、螺旋断片などとして形成されるようになっているとさらに好ましい。これによって、多くの異なる光学的な技術的実施形態を実現することができる。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態によれば、少なくとも部分的に周方向に延在する成形部が底部の近くに配置され、積み重ね支持体として機能するようになっていると好ましい。この場合、成形部は、好ましくは、内向きに配置されている。
【0028】
(通常は側壁に配置される)このような積み重ね支持体を用いて、互いに重ねられた複数のカップが、殆どまたは全く互いに分離できないように一緒に押し込まれることを回避することができる。このような積み重ね支持体は、互いに重ねられたカップを自動的に分離することが意図される場合、特に有利である。本発明によれば、この成形部の上縁または下縁が他の縁よりもさらに内方に引き出されていると好ましい。これによって、カップのテーパに応じた棚を形成することができる。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態によれば、容器の垂直方向に並んで配置された複数の成形部が用いられると好ましい、この場合、好ましくは、成形部は、底部に向かうにつれて半径方向突出長さが短くなるようになっているとよい。これによって、積み重ね性が著しく改良され、および/または積み重ね高さが減少する。
【0030】
本発明によれば、カップは、第2の側壁を備えているとさらに好ましい。第2の側壁は、単層であってもよいし、または多層であってもよい。第2の側壁は、第1の側壁の周りに巻き付けされるか、または第1の側壁に被せられるようになっている。2つの側壁は、好ましくは、例えば、接着、封止によって、または機械的に互いに取り付けられるようになっている。これによって、外側の側壁を適所にスナップ嵌合させ、これによって、内側の側壁に緊密に取り付けることができる。
【0031】
本発明の他の発明、または好ましい実施形態によれば、第1の側壁および底部を有する容器であって、成形部である充填ラインを備えている、容器が提供されている。この実施形態の開示は、本発明の他の実施形態に適用されてもよいし、または、その逆に、本発明の他の実施形態が、この実施形態に適用されてもよい。
【0032】
本発明のこの実施形態によれば、第1の側壁は、成形部である充填ラインを備えている。この成形部は、第1の側壁における塑性変形による成形部、好ましくは、エンボス部である。好ましくは、この成形部は、少なくとも部分的に、好ましくは、全体的に第1の側壁の内周または外周に延在している。成形部は、内向き、すなわち、容器の充填容積に向かって配置されていてもよいし、または外向き、すなわち、容器の充填容積から離れる方に向かって配置されていてもよい。しかし、外向きの成形部が好ましい。何故なら、外向きの成形部は、本発明の容器の充填容積を制約しないからである。側壁における成形部の高さは、充填ラインが所望の充填容積を表すように選択されることになる。本発明の容器は、2つ以上の成形部、従って、2つ以上の充填ライン、例えば、紛体および/またはペレットで充填されることになる容積を示す下側の充填ライン、および紛体および/またはペレットに加えて、液体の量を示す高い充填ラインを有している。成形部は、全周に延在していてもよいし、または容器の側壁の周囲の一部にわたって延在していてもよい。
【0033】
この成形部は、当業者によって知られているどのような技術によって、例えば、折り畳み、または、どのような他の塑性変形法によって、作製されてもよい。好ましくは、成形部は、ボール紙断面に(該断片が側壁の最終形状に形成、例えば、巻装される前に)導入されるとよい。さらに好ましくは、成形部は、エンボス部である。このエンボス部は、側壁に局部的に圧力を加えて側壁の材料を塑性変形させることによって作製されるものである。成形部は、当業者によって知られているどのような形状を有していてもよい。しかし、好ましくは、特に軸力が側壁に加えられたときに、少なくとも部分的に圧縮可能であるとよい。好ましくは、成形部は、U字形であり、または部分的に円の一部の形状を有している。
【0034】
好ましい実施形態では、成形部は、その高さが圧縮されている。すなわち、成形部の圧縮後、側壁は、その高さが減少する。成形部の高さが圧縮されることによって、好ましくは、成形部の半径方向長さが少なくとも部分的に大きくなる。さらに好ましくは、成形部の圧縮は、弾性的である。すなわち、変形力が取り外されるや否や、成形部は、少なくとも部分的にその元の形状に戻ろうとする。従って、本発明の好ましい実施形態では、変形された成形部は、バネとして機能する。
【0035】
本発明の他の好ましい実施形態では、成形部のフランジおよび/または縁は、圧縮された後、一緒に接合、好ましくは、接着または封止されている。本発明のこの好ましい実施形態は、成形部が少なくとも部分的に閉鎖され、充填ラインが狭幅のラインとして現れるという利点がある。
【0036】
他の好ましい実施形態では、本発明の容器は、第2の側壁を備えている。第2の側壁は、好ましくは、第1の側壁の周りに配置されている。この第2の側壁は、好ましくは、円錐状に形作られており、さらに好ましくは、平坦なボール紙断片から作製されており、平坦なボール紙は、この後、第1の側壁の周囲に形成、具体的には、巻装されるようになっている。好ましくは、第2の側壁は、1つ、好ましくは、2つ以上の接続点または接続領域において、第1の側壁および/または基部に接続されるとよい。この接続は、純粋に機械的に、または接着に基づいて、またはそれらの組合せによって、行われるようになっている。好ましくは、2つの側壁は、互いに接着または封止されるとよい。
【0037】
この好ましい実施形態では、特に、第2の側壁が、例えば、ユーザの手によって圧力を受けた場合であっても、第1の側壁と第2の側壁との間に空隙を維持するために、成形部は、第1の側壁と第2の側壁との間のスペーサとしても機能するようになっている。
【0038】
第2の側壁を利用して、成形部をそれらの圧縮状態に維持することができ、これによって、充填ラインは、細いラインとして目に見えることになる。加えて、2つの側壁は、好ましくは、2つ以上の異なる領域、特に、容器の2つ以上の異なる高さの箇所で接続されるとよい。成形部自体または第1の側壁の他の部分が、第2の側壁に接続されてもよい。圧縮力が解除された後、第2の側壁によって、圧縮された成形部がその元の形状に戻るのが阻止されることになる。
【0039】
以下、図面に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。この説明は、保護の範囲を制限するものではない。この説明は、全ての発明にそれぞれ適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】3つの外向きの成形部を備えるカップを示す図である。
【図2】圧縮された成形部を有する図1によるカップを示す図である。
【図3】圧縮された成形部の詳細な破断図である。
【図4】本発明による少なくとも1つの内向きの成形部を備えるカップの製造プロセスの概略図である。
【図5】互いに異なる圧縮された成形部であって、一方が空隙を有しており、他方が平坦リングである、圧縮された成形部の破断図である。
【図6】複数の外向きの成形部および積み重ね支持体として機能する1つの内向きの成形部を備えるカップであって、外向きの成形部が垂直方向に互いに位置ずれして配置されている、カップの図である。
【図7】互いに重ねられた2つのカップの破断図である。
【図8】本発明の容器の第1の実施形態を示す図である。
【図9】成形部の圧縮を示す図である。
【図10】圧縮された成形部を有する本発明の容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、側壁2および底部3を有するカップ1を示している。底部3と反対側の側壁2の上縁は、巻リム4を備えている。例示されている実施形態によれば、3つの外向きの周方向成形部5が、巻リム4の下方に配置されている。成形部5は、エンボス部である。本発明によれば、成形部5は、その高さが圧縮されている。この場合、圧縮された成形部は、図2に示されているように、外向きの平坦リング6を形成している。当業者であれば、図示されているよりも多いかまたは少ない成形部5が設けられていてもよいこと、および成形部は、内向きおよび/または外向きに配置されていてもよいことを理解するだろう。側壁2は、紙材料またはカートンから作製されており、内面にポリエチレンの被膜7を備えている。成形部5の圧縮中、好ましくは、少なくともこの被膜7が加熱され、成形部5の縁8の領域において、各成形部5のこれらの縁8が一緒に熱封止されるようになっているとよい。被膜7として、他の周知の封止材料、例えば、再生可能な資源から得られた封止材料を用いることもできる。被膜7は、容器の側壁の全面に施されてもよいし、またはその一部に施されてもよい。被膜7を全面に施すことによって、側壁2が液体充填材料によって吸湿することを回避することができる。縁8は、互いに接着されてもよいし、または互いに機械的に付着されてもよい。
【0042】
さらに、側壁2がプラスチック、PLA、および/または再生可能および/または生分解可能な資源から少なくとも部分的に作製されていると好ましい。
【0043】
縁8が接合されていることによって、リング6に圧縮されている成形部6が再び開くことが回避されることになる。さらに、カップ1の内面のリング6の領域において、比較的均一な面が得られる。充填材料、例えば、コーヒまたは紅茶のような飲料、清涼飲料、またはスープのような食料がリング6内に浸透することが回避される。
【0044】
さらに、リング6は、これによって、気密封止されている。圧縮中、リング6は、通常、完全に平坦に加圧されず、空隙容積9がリング6内に形成されることになる。加えて、適切な圧縮工具によって、リング6が完全に平坦に加圧されるようになっていると好ましい。
【0045】
リング6は、カップ1の側壁2を強化している。カップ1を保持している間の意図していない圧縮が回避されることになる。この構造的に増大した剛性によって、側壁2の材料厚みを薄くすることがさらに可能である。さらに、軟質材料を用いることも可能である。
【0046】
リング6は、側壁2を強化するのみならず、特に単一側壁カップ1に対して極めて良好な絶縁物としても機能する。これに関して、空隙容積9は、極めて良好な断熱部として役立つことになる。これによって、熱い、または冷たい飲料で満たされたカップを楽に保持することができる。加えて、リング6によって形成された肌理(きめ)によって、極めて良好なすべり抵抗がもたらされる。カップ1がユーザの手から不注意によってすべり落ちないことが確実なものになる。
【0047】
また、リング6は、他の側壁2に対してスペーサとして機能することもできる。例えば、この側壁の例として、第2の側壁、好ましくは、第2の外側側壁が挙げられる。3つ以上の側壁構成も好ましい。さらに、内側側壁および外側側壁の両方が成形部5および/またはリング6を備えることも可能である。さらに、例えば、外側側壁のリングが内向きに配置され、内側側壁のリングが外向きに配置されていると好ましい。
【0048】
縁8の接合部は、熱封止によって得られるのみならず、接着などによって得られてもよい。この目的のために、熱接着剤または冷接着剤を縁8の領域に施し、圧縮中または圧縮後に接合部をもたらすようにすることができる。また、封止材料と接着剤との組合せも好ましい。
【0049】
過剰な封止材料および/または接着剤を用いることによって、2つの縁8の接合をさらに滑らかにすることができる。
【0050】
成形部5を圧縮するために、例えば、超音波、レーザ、または他の熱源を用いて、該成形部を加熱してもよい。これによって、圧縮に必要な力を低減させることができる。さらに、封止材料がすでに軟化しているので、2つの縁8が互いに接触すると同時に接合部が生じることになる。
【0051】
好ましくは、図柄または装飾がカップ1の外側に施されてもよい。
【0052】
好ましくは、成形部5は、3mmの高さおよび2mmの深さを有している。他の寸法も可能である。寸法は、意図される剛性および使用される材料によって決められることになる。
【0053】
図4は、本発明によるカップの製造方法の他の実施形態を示している。図示されているカップ41の側壁42は、複数の内向きの成形部45、ここではエンボス部を備えている。これらの成形部45の1つは、底部3の近くに配置されている。この底部に最も近い成形部45は、リング46に圧縮されており、積み重ね支持部として機能するようになっている。
【0054】
複数のカップ41が互いに重ねられる場合、これらのカップの下縁が、このリング46に押し当たることになる。従って、上側のカップが、さらに押し下げられることが回避される。これによって、互いに重ねられたカップが互いに強く固着して完全にまたは殆ど抜き出すことができないことが阻止されることになる。
【0055】
この実施形態に示されている他の成形部45も圧縮されていると好ましい。さらに、これらの成形部が外向きに配置されていると好ましい。
【0056】
2つの例示的実施形態のどのような組合せ、例えば、側壁2,42のそれぞれへの、どのような配置5,45も考えられる。
【0057】
側壁2,42は、それぞれ、互いに異なる材料から作製されていてもよい。プラスチック材料または任意の他の繊維材料を用いることも考えられる。
【0058】
封止材料は、どのような熱封止被膜、封止ワックス、などであってもよい。再生可能な資源から得られた封止材料も考えられる。これらの材料の内、とりわけ、PLAなどが挙げられる。
【0059】
成形部5、45は、それぞれ、一緒になって1つのリング6のみを形成する断片から構成されることもさらに考えられる。とりわけ、成形部5,45が、それぞれ、螺旋状または螺旋断面状に形作られるかまたはリング状部分を備えることも考えられる。
【0060】
さらに、好ましくはカップの上側領域内にそれぞれ配置された複数の成形部5,45が位置および高さを異ならせることも考えられる。これによって、底部の近くに位置する成形部は、それぞれ、より内側に位置し、従って、より小さい深さを備えることになる。図6に示されているような、この構成によって、複数のカップの積み重ね性が改良されることになる。積み重ね高さが最小になるように、カップを互いに押し込むことができる。にもかかわらず、これらのカップは、容易に抜き出すことができる。
【0061】
さらに、外側の任意選択的な多層側壁2がカップの周りに巻き付けられ、それぞれ、成形部5,45と係止することも考えられる。また、外側側壁がカップの外側に被せられることも可能である。
【0062】
さらに、内側側壁が平坦面を有し、外側側壁が1つ、または複数の成形部5,45を備えることも考えられる。
【0063】
図8は、その左側に本発明の容器1を示しており、その右側に容器1の第1の側壁2の拡大部分図を示している。第1の側壁2は、その上端にリム4を備えており、その下端にて基部8に接続されている。第1の側壁2および基部8は、本発明の容器の充填容積14を画定している。第1の側壁2は、この場合、(円錐形状に形成されており、両端が一緒に接着されている)平坦なボール紙断片から作製されている。第1の側壁は、その頂部の近くに、外向き、すなわち、充填容積から離れる方を向いて配置された成形部5を備えている。この成形部は、塑性的に、すなわち、塑性変形、例えば、エンボス加工によって、第1の側壁に組み入れられている。成形部5の内面の一部、特に、縁11は、容器のユーザが見ることができるものであり、充填ライン12を表している。
【0064】
充填ライン12が配置されている高さHは、所望の充填容積に従って自在に選択することができる。本発明の容器は、2つ以上の成形部、従って、2つ以上の充填ラインを備えることができる。ここでは、成形部5は、第1の側壁2内に導入された後に圧縮されており、側面13および/または縁11が接合、好ましくは、接着または封止されており、これによって、成形部をその圧縮状態に保持している。成形部5が圧縮され、かつ圧縮状態で固定されていることによって、充填ラインは、極めて細く、好ましくは、少なくとも極めてわずかな液体しか成形部内に進入しない。充填ライン12は、本発明の容器の内径を減少させることがない。
【0065】
成形部5の圧縮が、図9a−9cに示されている。これらの図は、成形部5,10の高さの圧縮を示している。図9aは、第1の側壁2内に塑性的に導入された後の成形部、ここでは、エンボス部5を示している。この成形部は、この後、軸力Fによって圧縮され、これによって、成形部の高さhが減少する。図9bは、圧縮の第1の状態を示している。しかし、この状態は、最終状態とすることができる。図9cは、図9bと比較して、エンボス部5のさらなる圧縮を示している。この状態では、成形部5の縁12が互いに重なり合っているか、または少なくとも互いに隣接している。この状態では、図9bによる実施形態と比較して、成形部の高さhは、さらに一層減少している。成形部5を圧縮状態に保持するために、成形部の側面13および/または縁11を互いに付着、好ましくは、接着または封止することができる。
【0066】
本発明の容器の代替的実施形態が、図10に示されている。ここでは、容器は、2つの成形部5,10、従って、2つの充填ライン12を備えている。下側充填ラインは、容器に入れられることになる紛体、またはペレットの量を示すのに利用することができる。上側の充填ラインは、容器に入れられることになる液体の量を示すものである。成形部5,10を図9a,9bに示されているそれらの圧縮状態に保持するために、第2の側壁15が利用されている。これは、成形部を圧縮し、成形部をそれらの圧縮状態に保持すると共に、第2の側壁を第1の側壁に成形部5,10の先端において直接接続するか、または図3に示されているように、第2の側壁を第1の側壁にリム4および第1の側壁の下端において接続することによって、行われる。この接続部16,17が剛性を有している限り、成形部5,10は、第2の側壁3によって、それらの圧縮状態に保持されることになる。成形部5,10は、第1の側壁と第2の側壁との間のスペーサとしても機能し、例えば、ユーザによって圧力が第2の側壁に加えられても、2つの側壁間の空隙18が保持されることになる。
【符号の説明】
【0067】
1 容器、カップ
2 側壁、第1の側壁
3 底部
4 巻リム
5 成形部、エンボス部
6 圧縮された成形部、リング、平坦リング
7 被膜
8 成形部の縁
9 空隙、空隙容積
10 第2の成形部、第2のエンボス部
11 成形部の縁
12 自然の充填ライン
13 側面
14 充填容積
15 側壁、第2の側壁
16 接続部
17 接続部
41 容器、カップ
42 容器の側壁、カップ
45 成形部、エンボス部
46 圧縮された成形部、リング、平坦リング
F 成形部への圧縮力、軸力
h 成形部の高さ
H 成形部が配置されている容器の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および前記底部に取り付けられた側壁を有する容器を製造するためのプロセスであって、前記側壁は、好ましくは、前記底部の反対側の前記側壁の上端に巻リムを備えており、前記容器は、単一の側壁または複数の側壁を備えており、前記側壁の少なくとも1つは、紙材料、カートン、プラスチック、PLA、再生可能および/または生分解可能な資源、および/または任意の他の同等の材料から作製されている、プロセスにおいて、少なくとも1つの成形部が少なくとも1つの側壁内に設けられ、前記成形部は、少なくとも部分的に前記側壁の周囲に延在し、前記成形部は、内向きおよび/または外向きに配置され、前記成形部は、その高さが圧縮されるようになっていることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記成形部、エンボス金型および/または圧縮工具は、前記成形部の圧縮中に、空隙容積を生じるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記周方向成形部、エンボス金型および/または圧縮工具は、前記成形部の圧縮中に、平坦な輪郭を生じるようになっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記成形部は、リブが前記圧縮中に形成されるように、形作られるようになっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記成形部は、超音波、レーザ、または任意の他の熱源によって加熱され、これによって、前記圧縮の準備がなされるようになっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記成形部の縁は、熱接合または冷接合、熱封止、または任意の他の接合技術によって一緒に接合されるようになっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
被膜が少なくとも前記成形部の前記縁の領域に施されるようになっており、前記被膜は、前記縁を接合する熱封止材料から構成されていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記成形部は、前記縁が近接して離間され、その後、平坦面を形成するように、圧縮されるようになっていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
底部および前記底部に取り付けられた側壁を備えている容器であって、前記側壁は、好ましくは、前記底部の反対側の前記側壁の上端に巻リムを備えており、前記容器は、単一の側壁または複数の側壁を備えており、前記側壁は、紙材料、カートン、プラスチック、PLA、再生可能および/または生分解可能な資源、および/または任意の他の同等の材料から作製されている、容器において、少なくとも1つの成形部が前記側壁内に形作られており、前記成形部は、少なくとも部分的にリング状に形作られており、前記成形部は、少なくとも部分的に前記側壁の周囲に延在しており、前記成形部は、内向きまたは外向きに配置されており、前記成形部は、その高さが圧縮されていることを特徴とする容器。
【請求項10】
前記圧縮された成形部は、内向きおよび/または外向きに配置されたリブを形成しており、前記リブは、空隙容積を備えているか、または平坦面を形成していることを特徴とする請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記圧縮された成形部は、他の側壁、好ましくは、平らな側壁に対する絶縁物またはスペーサであることを特徴とする請求項9または10に記載の容器。
【請求項12】
前記圧縮された成形部は、それらの接合部において実質的に平坦になるように、一緒に接合されていることを特徴とする請求項9,または10,または11に記載の容器。
【請求項13】
前記成形部を備える前記側壁は、熱封止材料から構成されているか、または熱封止材料によって被覆されていることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
前記圧縮された成形部は、前記側壁の剛性を増大させることになることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
前記圧縮された成形部は、高摩擦掴み領域を形成することになることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の容器。
【請求項16】
前記容器は、エンボス加工可能および圧縮可能であるプラスチック、紙材料、カートンおよび/または任意の他の材料、または繊維材料から作製されていることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の容器。
【請求項17】
前記成形部は、周方向リング、リング断片、螺旋体、螺旋断片、などとして形成されていることを特徴とする請求項9〜16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
少なくとも部分的に周方向にある成形部が、前記底部の近くに配置されており、積み重ね支持体として機能するようになっており、前記成形部は、好ましくは、内向きに配置されていることを特徴とする請求項9〜17のいずれか1項に記載の容器。
【請求項19】
この成形部の上端または下端は、他の端よりもさらに内側に引き出されていることを特徴とする請求項18に記載の容器。
【請求項20】
垂直方向に並んで配置された複数の成形部が用いられ、前記成形部は、前記底部に向かうにつれて、好ましくは、より内方にずれ、好ましくは、より小さい深さを備えていることを特徴とする請求項9〜19のいずれか1項に記載の容器。
【請求項21】
前記容器は、第2の側壁を備えており、前記第2の側壁は、単層または多層とすることができ、前記第2の側壁は、前記第1の側壁の周りに巻き付けられているかまたは前記第1の側壁に被せられており、好ましくは、前記第1の側壁に機械的に係止されていることを特徴とする請求項9〜20のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
第1の側壁および基部を有している、好ましくは、先行する請求項9〜21の1つに記載の容器であって、成形部である充填ラインを備えていることを特徴とする容器。
【請求項23】
前記成形部は、その高さ(h)が圧縮されていることを特徴とする請求項22に記載の容器。
【請求項24】
前記成形部の側面および/または縁が、一緒に付着、好ましくは、接着または封止されていることを特徴とする先行する請求項の1つに記載の容器。
【請求項25】
前記成形部の圧縮された形状は、第2の側壁によって固定されていることを特徴とする請求項23または24に記載の容器。
【請求項26】
第2の側壁が、1つの接続点、好ましくは、2つの接続点において、前記第1の側壁および/または前記基部に接続されていることを特徴とする請求項25に記載の容器。
【請求項27】
前記成形部は、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間のスペーサとして作用するようになっていることを特徴とする先行する請求項9〜26の1つに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−532071(P2012−532071A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518805(P2012−518805)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004071
【国際公開番号】WO2011/003568
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006343)