説明

カップ式飲料自動販売機

【課題】商品選択ボタン等の自動販売機に本来備わる機能部材により、販売商品の調理工程の進捗等を表示し、製品のコストアップを抑制し、デザイン上の制約を少なくすることができるカップ式飲料自動販売機を提供する。
【解決手段】7セグメントLEDを複数並べて配備する金額表示器9と、商品を選択するための商品選択ボタン4と、商品選択ボタン4の操作により、商品選択ボタン4に対応する飲料の調理を開始する飲料調理部16と、飲料調理部16による当該飲料の調理工程の進捗に応じて、金額表示器9が備える複数の7セグメントLEDを予め設定した態様で、順番に点滅または点灯させる主制御部20と、を有することを特徴とするカップ式飲料自動販売機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を調理して販売するカップ式飲料自動販売機に関し、特にその飲料の販売に係る調理状況を表示するカップ式飲料自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のカップ式飲料自動販売機としては、先に出願公開された特開2006−277480号公報(特許文献1)や、実開平01―96086号公報(特許文献2)に記載されるようなものが知られている。ここで、特許文献1に記載される自動販売機は、調理する飲料の種類を選定する飲料選別手段と、調理すべき飲料の工程因子毎の時間を演算する因子取得手段と、この因子取得手段での因子を元に調理飲料の調理時間を演算する演算手段と、その演算手段で算出された飲料調理時間を格納しておく飲料調理演算時間保持手段と、を備え、飲料販売時にその飲料の調理時間を算出し、飲料の調理工程を表示するランプとともにその調理時間を表示するものである。これによれば、例えば飲料購入者などに商品の調理状況と、その出来上がりまでに待つ時間を知らせることができるカップ式自動販売機を提供することができる。
【0003】
また、特許文献2に記載の自動販売機は、複数の原料を調合して複数種類の商品を販売するカップ式自動販売機であって、複数の原料のそれぞれに対応して設けられた表示手段と、販売する商品に応じて原料が調合されるとき、その原料に対応した表示手段を駆動する表示制御手段とを備えたものである。これによれば、例えば商品の販売時に、その商品を調合するための原料の抽出状況の確認が可能で、販売商品の出来上がりの確認が容易なカップ式自動販売機を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−277480号公報
【特許文献2】実開平01−96086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、及び引用文献2に記載されるカップ式自動販売機においては、商品の調理工程や、商品の原料の調合状況を表示するために前述のような専用の表示器が設けられるから、製品のコストがアップする問題があった。また、そのような専用の表示器を配置する場所の確保が必要となり、デザイン上の制約が生じる問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に対応するため、自動販売機の本体前面に設けられた販売商品を選択するための商品選択ボタンや、商品購入のための投入金額や釣銭金額を表示する金額表示機など、自動販売機に本来備わる機能部材を利用して、販売する商品の調理工程の進捗や調理完了の表示を行うことにより、製品のコストアップを抑制し、また製品のデザイン上の制約を少なくすることができるカップ式飲料自動販売を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、カップ式飲料自動販売機において、7セグメントLEDを複数並べて配備する金額表示器と、商品を選択するための商品選択ボタンと、前記商品選択ボタンの操作により、当該商品選択ボタンに対応する飲料の調理を開始する飲料調理手段と、前記飲料調理手段による当該飲料の調理工程の進捗に応じて、前記金額表示器が備える複数の7セグメントLEDを予め設定した態様で、順番に点滅または点灯させる調理工程表示制御手段と、を有するものである。
【0008】
これによれば、前記7セグメントLEDを備える金額表示器により、販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、7セグメントLEDを備える金額表示器により、販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができる。すなわち、自動販売機に本来備わる金額表示器を利用して、販売する商品の調理工程の進捗状況や調理完了の表示を行うことができる。これにより、従来例のように販売飲料の調理状況を表示する特別な表示手段を必要としないから、製品のコストアップを抑制し、また製品のデザイン上の制約が生じないカップ式飲料自動販売を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用するカップ式飲料自動販売機の外観を示す正面図である。
【図2】本発明を適用するカップ式飲料自動販売機の制御構成を示す制御ブロック図である。
【図3】本発明を適用するカップ式飲料自動販売機において、顧客が飲料を購入する場合の飲料の(商品選択ボタンに係る)販売動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明を適用するカップ式飲料自動販売機において、販売飲料の調理工程の進捗に応じて点灯、点滅する商品選択ボタンのランプの動作を順に示す状態図である。
【図5】本発明を適用するカップ式飲料自動販売機において、顧客が飲料を購入する場合の飲料の(表示器の7セグメントLEDに係る)販売動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用するカップ式飲料自動販売機において、販売飲料の調理工程の進捗に応じて点灯、点滅する表示器の7セグメントLEDの動作を順に示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明を適用するカップ式飲料自動販売機の外観を示す正面図である。図に示すようにこのカップ式飲料自動販売機は、本体1前面を覆う前扉2を備え、前扉2の前面には、販売する飲料を種類別に展示するフレーバーラベル3a〜3fと、その販売飲料を砂糖入りやミルク入り等の嗜好別に選択する複数の飲料選択ボタン(商品選択ボタン)4a〜4fと、販売飲料を取り出すための取出口5と、飲料の販売金額に応じた硬貨を投入する硬貨投入口6と、投入硬貨や釣銭の返却を行う硬貨返却レバー7と、投入硬貨や釣銭硬貨を返却する硬貨返却口8と、硬貨の投入金額や装置の稼動状態を表示する表示器(金額表示器)9と、販売飲料を調理するときその飲料原料の調合度合いを指定する飲料原料増減ボタン10a〜10cと、手持ちのカップ等の容器を用いて販売飲料の提供を受ける場合に操作するマイカップボタン11等が設けられている。
【0012】
さらに詳述すると、フレーバーラベル3a、3bに対応して種類の異なる飲料(例えば、コヒー、紅茶)を選択する飲料選択ボタン4a、4bは、それぞれ、調味料を調合しない飲料(例えばブラック)を選択する飲料選択ボタン4aa、4baと、砂糖入り飲料を選択する飲料選択ボタン4ab、4bbと、クリーム入り飲料を選択する飲料選択ボタン4ac、4bcと、砂糖とクリームの両方入りの飲料を選択する飲料線選択ボタン4ad、4bdの4つに区分されて設けられている。また、飲料選択ボタン4a〜4fは、その内部に点灯するランプを備えている。
【0013】
また、表示器は7セグメントLEDを複数並べて備え、数字やアルファベットが表示可能である。
【0014】
また、飲料原料増減ボタン10a〜10cは、クリームの量を増加する飲料原料増加ボタン10aaとその量を減量する飲料原料減量ボタン10abと、砂糖の量を増加する飲料原料増加ボタン10baとその量を減量する飲料原料減量ボタン10bbと、コーヒー、紅茶等の原料を増加する飲料原料増加ボタン10caとその量を減量する飲料原料減量ボタン10cbとにそれぞれ区分されて設けられている。
【0015】
また、マイカップボタン11が操作されると、本体1内からカップが取出口5に供給されず、手持ちのカップ等の容器を取出口5に載置して飲料容器として利用することができる。
【0016】
図2は、本発明を適用するカップ式飲料自動販売機の制御構成を示す制御ブロック図である。図において、金銭処理装置15は、硬貨投入口6から投入された硬貨の真偽や種別を識別し、飲料調理部(飲料調理手段)16は飲料選択ボタン4a〜4fにより選択された飲料を調理し、記憶部19は飲料選択ボタン4a〜4fにより選択された飲料を飲料調理部16により調理するためのプログラム等を記憶し、主制御部(調理終了表示制御手段)20はこれらの制御構成全体を制御するものである。
【0017】
図3は、図1、図2に示されるカップ式飲料自動販売機において、顧客が飲料を購入する場合の飲料の販売動作を示すフローチャートである。先ず、顧客が硬貨投入口6から販売飲料に対応する金額の硬貨を投入し、ステップ1で、その販売飲料に対応する飲料選択ボタン例えば4abが操作されると、ステップ2で、選択された飲料選択ボタン4abに対応する情報が主制御部20に入力される。そして、その飲料選択ボタン4abに設けられたランプが図4(a)に示すように点滅する。そうすると、ステップ3で、コーヒー、紅茶等の飲料の種類や、砂糖やミルク等の嗜好別の調合が判別され、それらの情報が記憶部19に記憶される。ついでステップ4で、当該記憶情報に基づいて、飲料調理部16により飲料の調理が開始される。そして、飲料の調理の進捗に応じて、主制御部20は飲料選択ボタン4a〜4fを点灯させる。例えば、飲料カップが取出口5に提供されると、ステップ5でフレーバーラベル3aに対応する3つの飲料選択ボタン4aa,4ac,4adのランプが図4(b)に示すように点灯(飲料選択ボタン4abは点滅)し、続いて、コーヒー、砂糖、ミルク等の飲料原料がその飲料カップに投入されると、ステップ6でフレーバーラベル3bに対応する4つの飲料選択ボタン4ba,4bb,4bc,4bdのランプが図4(c)に示すように点灯し、さらに飲料カップに湯の供給が開始されると、ステップ7でフレーバーラベル3c、3d、3e、3fに対応するそれぞれの飲料選択ボタン4c,4d,4e,4fのランプが図4(d)に示すように注湯量に応じて順に点灯し、その後にステップ8で飲料カップへの湯の供給が停止して販売飲料の調理が終了すると、ステップ9で全ての飲料選択ボタン4a〜4fのランプが図4(e)に示すように所定時間点滅し、飲料の販売動作が終了する。
【0018】
以上のように、本発明のカップ式飲料自動販売機は、飲料の調理工程の進捗に応じて複数の商品選択ボタン4a〜4fのランプを、主制御部20により予め設定された順序で点灯させることにより、販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができる。ここで、商品選択ボタン4a〜4fのランプの点灯に変えて、そのランプを点滅させても、同様に販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができる。また、さらに簡易的な飲料の調理工程の表示方法としては、上記のステップ4〜ステップ6までの動作を省略し、販売飲料に対応する飲料選択ボタン例えば4abが操作されると、その飲料選択ボタン4abに設けられたランプが点滅し、販売飲料の調理が終了すると、全ての飲料選択ボタン4a〜4fのランプが所定時間点灯または点滅し、飲料の販売動作が終了するように動作させることも可能である。
【0019】
次に、前述の図3で示すものと異なる他の実施形態の飲料の販売動作を示す。図5は、この他の飲料の販売動作を示すフローチャートである。この実施形態においては、先ず、顧客が硬貨投入口から販売飲料に対応する金額の硬貨を投入し、ステップ101で、その販売飲料に対応する飲料選択ボタン例えば4abが操作されると、ステップ102で選択された飲料選択ボタン4abに対応する情報が主制御部20に入力される。そして、その飲料選択ボタン4abに設けられたランプが図4(a)に示すように点滅する。そうすると、ステップ103で、コーヒー、紅茶等の飲料の種類や、砂糖やミルク等の嗜好別の調合が判別され、それらの情報が記憶部19に記憶される。ついでステップ104で、当該記憶情報に基づいて、飲料調理部16により飲料の調理が開始される。そして、飲料の調理の進捗に応じて、主制御部20は表示器9に複数並べて備えられた7セグメントLEDを点灯させる。例えば、飲料カップが取出口5に提供されると、ステップ105で表示器9の左端に設けられた7セグメントLED(9a)を図6(a)に示すように「−」の状態に点灯し、続いて、コーヒー、砂糖、ミルク等の飲料原料がその飲料カップに投入されると、ステップ106で表示器9の左端から二番目に設けられた7セグメントLED(9b)を図6(b)に示すように「−」の状態に点灯し、さらに飲料カップに湯の供給が開始されると、ステップ107で表示器9の左端から三番目と右端に設けられた7セグメントLED(9c,9d)が図6(c)に示すように注湯量に応じて順に「−」の状態に点灯し、その後にステップ108で、飲料カップへの湯の供給が停止して販売飲料の調理が終了すると、ステップ109で表示器9が、全ての7セグメントLED(9a〜9d)により図6(d)に示すように「End」の態様を点灯して所定時間表示し、飲料の販売動作が終了する。このように、飲料の調理工程の進捗に応じて表示器9の7セグメントLEDを、主制御部20により予め設定された順序で点灯させることにより、販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができる。
【0020】
ここで、7セグメントLEDの点灯に変えて、それを点滅状態としても、同様に販売飲料の調理工程の進捗状況を当然に表示することができる。また、さらに簡易的な飲料の調理工程の表示方法としては、上記のステップ104〜ステップ106までの動作を省略し、販売飲料に対応する飲料選択ボタン例えば4abが操作されると、その飲料選択ボタン4abに設けられたランプが点滅し、販売飲料の調理が終了すると、表示器9が「End」の態様を点灯または点滅して所定時間表示し、飲料の販売動作が終了するように動作させることも可能である。
【0021】
以上のように、本実施形態のカップ式飲料自動販売機によれば、(イ)商品選択ボタン4a〜4fのランプの点滅により、販売飲料の調理が終了したことを表示することができ、また、(ロ)7セグメントLEDを備える金額表示器により「End」の態様を表示することにより、販売飲料の調理が終了したことを表示することができ、また、(ハ)複数の商品選択ボタン4a〜4fのランプを予め設定された順序で点灯、または点滅させることにより、販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができ、また、(ニ)複数の7セグメントLEDを備える金額表示器において、その7セグメントLEDを所定の態様で、予め設定された順序に点灯または点滅させることにより、販売飲料の調理工程の進捗状況を表示することができる。すなわち、自動販売機に本来備わる商品選択ボタン4a〜4fや金額表示器9を利用して、販売する商品の調理工程の進捗状況や調理完了の表示を行うことができる。これにより、従来例のように販売飲料の調理状況を表示する特別な表示手段を必要としないから、製品のコストアップを抑制し、また製品のデザイン上の制約が生じないカップ式飲料自動販売を提供することができる。
【0022】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示すカップ式飲料自動販売機にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、商品選択ボタンを点灯、点滅させる順序や、表示器が備える7セグメントLEDの表示態様等は、本実施の形態に限定されるものではなく、状況に応じて自在に設定してももちろん良い。
【符号の説明】
【0023】
4aa,4ab,4ac,4ad 飲料選択ボタン(商品選択ボタン)
4ba,4bb,4bc,4bd 飲料選択ボタン(商品選択ボタン)
4c 飲料選択ボタン(商品選択ボタン)
4d 飲料選択ボタン(商品選択ボタン)
4e 飲料選択ボタン(商品選択ボタン)
4f 飲料選択ボタン(商品選択ボタン)
9 表示器(金額表示器)
9a 7セグメントLED
9b 7セグメントLED
9c 7セグメントLED
9d 7セグメントLED
16 飲料調理部(飲料調理手段)
20 主制御部(調理終了表示制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7セグメントLEDを複数並べて配備する金額表示器と、商品を選択するための商品選択ボタンと、前記商品選択ボタンの操作により、当該商品選択ボタンに対応する飲料の調理を開始する飲料調理手段と、前記飲料調理手段による当該飲料の調理工程の進捗に応じて、前記金額表示器が備える複数の7セグメントLEDを予め設定した態様で、順番に点滅または点灯させる調理工程表示制御手段と、を有することを特徴とするカップ式飲料自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101723(P2013−101723A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−46333(P2013−46333)
【出願日】平成25年3月8日(2013.3.8)
【分割の表示】特願2007−110062(P2007−110062)の分割
【原出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】