カップ部を有する衣類
【課題】左右カップ部の表面に設けたカシュクールによって、全体的にバストを掬い上げてソフトに包み、バストのボリュームアップを図りバストシルエットを美しく見せることができると共に、着用感に優れ外観美麗なカップ部を有する衣類を提供する。
【解決手段】左右カップ部２，２の表面側にカップ部２，２を覆うカシュクール７を設ける。カシュクール７の外側縁部８をカップ部２，２に縫着すると共に、内側縁部９と脇側縁部１０をカップ部２，２に縫着せず遊離させる。脇側縁部１０から延びる伸縮性吊り紐１１を、バック布４に取り付けられたストラップ５に固着する連結環１２を介してカップ部の上端部２ａに縫着する。
【解決手段】左右カップ部２，２の表面側にカップ部２，２を覆うカシュクール７を設ける。カシュクール７の外側縁部８をカップ部２，２に縫着すると共に、内側縁部９と脇側縁部１０をカップ部２，２に縫着せず遊離させる。脇側縁部１０から延びる伸縮性吊り紐１１を、バック布４に取り付けられたストラップ５に固着する連結環１２を介してカップ部の上端部２ａに縫着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ブラジャー、ボディスーツ、キャミソール、レオタード、水着などのバストカップ部を有する衣類に関するもので、さらに詳しくは、左右カップ部の表面に設けたカシュクールによってバストの形を美しく補整するカップ部を有する衣類に関するものである。
【０００２】
ここにおいて、本明細書における「カシュクール」とは、カップ部を有する衣類の前中心部で、左右布が交差して重ね合わさった着物のような打ち合わせタイプのもので、左右カップ部の表面を覆う布地のことをいう。
【背景技術】
【０００３】
従来から、上記のカップ部を有する衣類、例えば、その代表的なブラジャーは、通常、左右のカップ部と、そのカップ部の下に縫着されている土台布と、カップ部の外側部に縫着され脇部から背中にかけて延びているバック布と、ストラップとから構成されている。そして、カップ部の下辺湾曲部に沿って取り付けられた略Ｕ字状のワイヤーにより、バストの垂れ下がりや脇方向への流れを阻止し、上方に持ち上げてバストを形よく整えてシルエットを美しく見せると同時に、着用安定性が得られるようになっている。
【０００４】
このワイヤーブラジャーは、ワイヤーがカップ部の周縁に沿って縫着されているため、着用するとバック布に引っ張られ、カップ部が脇方向ヘ伸び、それに伴ってワイヤーも必然的に変形してバストの補整形態が崩れると共に、変形したワイヤーが肌に喰い込み圧迫感を与える問題が生じる。
【０００５】
上記のような欠点を解消するものとして、例えば、図３に示すようなブラジャー２１が知られている。すなわち、カップ部２２の下部から側部にかけて概略三日月状の布片２３を重ね合わせ、外側部２４を縫着し、内側部２５は縫着せず、その上端はストラップ２６に連結してある（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
また、別のものとして、例えば、図４に示すようなブラジャー３１も知られている。すなわち、カップ部３２の裏面側に、該カップ部３２の下縁湾曲部３３における底部から肩紐３４が接続される尖鋭端部３５にかけて帯状のパッド３６を沿設してある（例えば、特許文献２参照）。
【特許文献１】実用新案登録第２６００１８２号公報
【特許文献２】実開昭６２−１０１８０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、前者のブラジャー２１は、三日月状の布片２３がストラップ２６で引っ張られても、布辺２３が三日月状に形成されてあるから、下部の持ち上げ力が弱いのに対し、脇側部の持ち上げ力が強くなり、バスト全体を持ち上げることにならず、バストのシルエットを美しく補整することができなかった。また、カップ部２２の表面には三日月状の布片２３が現出することになり、ブラジャーで一番装飾を施して美麗にするカップ部の外観が不体裁になる問題点があった。
【０００８】
後者のブラジャー３１は、帯状パッド３６が突出部となっているため、バストに直接当たり、ごろついたり喰い込んだりして違和感が生じ着用感が損なわれる欠点があった。また、帯状パッド３６は、低部から脇部にかけて設けてあるが、バストを前中心部に寄せる作用や上向きに引き上げる作用は十分でなく、バストの形を美しく整えることができなかった。さらに、帯状パッド３６をカップ部３２の内面に設けると、カップ部３２の元の内容積を変えることになり、的確なサイズのカップにならず、カップの内容積にばらつきが生じるという問題も発生しかねなかった。
【０００９】
本発明は、上記の問題点を解決することを課題として開発されたもので、左右カップ部の表面に設けたカシュクールによって、全体的にバストを掬い上げてソフトに包み、バストのボリュームアップを図りバストシルエットを美しく見せることができると共に、着用感に優れ外観美麗なカップ部を有する衣類を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、左右カップ部の表面側にカップ部を覆うカシュクールを設け、そのカシュクールの外側縁部をカップ部に縫着すると共に、内側縁部と脇側縁部をカップ部に縫着せず遊離させ、脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐を、バック布に取り付けられたストラップに固着する連結環を介してカップ部の上端部に縫着したことを特徴とするカップ部を有する衣類を開発し、採用した。
【００１１】
また、上記のように構成したカップ部を有する衣類において、前記カシュクールは、少なくとも縦方向に伸縮する生地で構成されていることを特徴とするカップ部を有する衣類、および前記カシュクールは、ドレープ性を有していることを特徴とするカップ部を有する衣類を開発し、採用した。
【発明の効果】
【００１２】
本発明のカップ部を有する衣類は、左右カップ部の表面に設けたカシュクールの外側縁部をカップ部に縫着し、内側縁部と脇側縁部をカップ部に縫着せず遊離してあるから、着用すると脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐と、バック布に取り付けたストラップとの吊り上げにより、カシュクールは全体的にバストを掬い上げ、ソフトに包みこむように持ち上げると共に、前中心部に寄せ上げられることから、ホールド感がありバストがボリュームアップしてバストシルエットを美しく見せることができる。
【００１３】
また、カシュクールの脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐がバック布に取り付けられるストラップに固着する連結環を介してカップ部の上端部に縫着されているから、伸縮性吊り紐とストラップのダブルの吊り上げ効果により、カップ部およびカシュクールが引き上げられバストアップすると共に、バストの垂れ下がりおよび脇側への流れを確実に阻止することができる。
【００１４】
さらに、カシュクールはカップ部の表面に設けてあるから、カップ内面は何ら影響を受けることがなく着用感が良好である。また、カシュクールは少なくとも縦方向に伸縮する生地であるから、カップ部の全体または一部を覆い隠すことができ装飾効果を高められる。さらに、カシュクールはドレープ性を有しているから、カップ部の表面がゆったりとひだの入った優美な外観となり、ドレッシーな効果と共に、優しさ、柔らかさなどを持つカップ部を有する衣類を演出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下に、本発明の実施形態をカップ部を有する代表的な衣類であるブラジャーについて説明するが、ブラジャーのみに限定されるものではなく、図示していないが、例えば、ボディスーツ、キャミソール、レオタード、水着などのバストを支えるカップ部を有し、バストの保形、整形などの造形機能を必要とする衣類であれば、いずれにも適用できるものである。
【００１６】
図１は本発明のカップ部を有する衣類の一つであるブラジャーを前面斜めから見た斜視図であり、図２は図１のＡ−Ａ線簡略断面図を示している。図１、図２において、１はブラジャー本体で、前面の左右に乳房を覆うカップ部２，２、そのカップ部２，２の中央に縫着されている土台布３、カップ部２，２の外側部に縫着され脇部から背中にかけて延びているバック布４、そのバック布４に取り付けられる伸縮テープのストラップ５とから構成されている。そして、上記両カップ部２，２の下辺湾曲部に沿ってカップ保形用芯材６が設けられている。
【００１７】
７は左右カップ部２，２の表面を覆い隠すカシュクールであり、ブラジャー１の前中心部で着物のように打ち合わせて連結されている。すなわち、前中心部で左右布７ａ、７ｂが互いに交差して重ね合わさっている。そして、カシュクール７の外側縁部８をカップ部２に縫着すると共に、内側縁部９と脇側縁部１０を縫着せず遊離させてある。
【００１８】
１１はカシュクール７の脇側縁部１０から一体に連設されたテープ状の伸縮性吊り紐で、その一端部をバック布４の上縁辺に取り付けられたストラップ５の端部に固着した連結環１２に通し、折り返してカップ部２の上端部２ａに縫着して取り付けてある。
【００１９】
カシュクール７の素材としては、スパンデックスなどの弾性糸を混入し、少なくとも一方向に伸縮性のある布であれば特に限定されるものではなく、ワンウェイパワーネットやツーウェイパワーネットなどが挙げられるが、特に好ましくは伸びが縦、横方向に伸びるツーウェイパワーネットがよい。また、薄い生地で通気性が良好なドレープ性の良い生地が好適である。
【００２０】
ストラップ５の一端部にはフック１３を付けてあるから、バック布４の上縁辺に縫着された短テープ１４と係合させれば吊り上げることができるが、そのストラップ５を背中でクロスの状態あるいは平行の状態どちらでも可能となるが、クロスにすれば、バストアップしたバストが左右に広がることなく、十分に寄せ効果があると共に、ストラップ５が肩から落ち難くなり、また、背中に張りを感じて姿勢を意識させ美しい姿勢を意識させることができることから好ましいが、勿論平行の状態でも良い。
【００２１】
このように構成した本発明の実施形態の使用例を作用、効果と共に説明すると、ブラジャー１を着用すると、左右カップ部２，２の表面を覆っているカシュクール７の外側縁部８がカップ部２に縫着されているが、内側縁部９と脇側縁部１０は縫着されず遊離してあるから、ストラップ５と伸縮性吊り紐１１との引っ張りで、脇側縁部１０が斜め上方に引っ張られ、それに伴ってバストの下部から側部にかけて掬い上げてソフトに包み込まれると同時に、前中心側に引き寄せる作用が働きバストアップが図られる。
【００２２】
また、カシュクール７の脇側縁部１０から一体に連設された伸縮性吊り紐１１は連結環１２に通して半折して端部をカップ部上端部２ａに縫着することにより、カシュクール７とカップ部２を引き上げることになり、支持点が２箇所になってストラップ５を介して確実に吊持され、吊り上げ力が確実に伝わり、従来の肩紐1本の吊持と比べて、バストアップが図れバストラインが美しくなる。
【００２３】
さらに、カシュクール７は、カップ部を有する衣類の前中心部で着物のように打ち合わせて連結されていることから、バストをクロスして強調できるばかりでなく、左右のカップ部２，２がカシュクール７と一体になり、左右のバストを同じように補整できると共に、身体運動時などにおいて、バストの揺れ動きによるカップ部２，２の変形を防止することができ、下方への垂れ下がりや脇側への流れを充分に阻止できて形崩れを防止できる。
【００２４】
また、カシュクール７は、少なくとも縦方向に伸びる薄い生地で形成されてあるから、カップ部を全部または一部を覆ったとしても、胸元のレースやカップ部に施された刺繍模様などの装飾は薄生地を透して見えるのでカップ部の優美な外観を消すことがない。
【００２５】
以上、本発明の主要な実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２６】
本発明はブラジャーを始め、ボディスーツ、ブラスリップ、キャミソールなど女性用下着またはレオタード、水着などのカップ部を有する衣類として有効的に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施形態を示す前面の斜視図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線簡略断面図である。
【図３】従来例の簡略正面図である。
【図４】別の従来例の簡略斜視図である。
【符号の説明】
【００２８】
１ カップ部を有する衣類
２ カップ部
２ａ カップ部上端部
４ バック布
５ ストラップ
７ カシュクール
８ 外側縁部
９ 内側縁部
１０ 脇側縁部
１１ 伸縮性吊り紐
１２ 連結環
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ブラジャー、ボディスーツ、キャミソール、レオタード、水着などのバストカップ部を有する衣類に関するもので、さらに詳しくは、左右カップ部の表面に設けたカシュクールによってバストの形を美しく補整するカップ部を有する衣類に関するものである。
【０００２】
ここにおいて、本明細書における「カシュクール」とは、カップ部を有する衣類の前中心部で、左右布が交差して重ね合わさった着物のような打ち合わせタイプのもので、左右カップ部の表面を覆う布地のことをいう。
【背景技術】
【０００３】
従来から、上記のカップ部を有する衣類、例えば、その代表的なブラジャーは、通常、左右のカップ部と、そのカップ部の下に縫着されている土台布と、カップ部の外側部に縫着され脇部から背中にかけて延びているバック布と、ストラップとから構成されている。そして、カップ部の下辺湾曲部に沿って取り付けられた略Ｕ字状のワイヤーにより、バストの垂れ下がりや脇方向への流れを阻止し、上方に持ち上げてバストを形よく整えてシルエットを美しく見せると同時に、着用安定性が得られるようになっている。
【０００４】
このワイヤーブラジャーは、ワイヤーがカップ部の周縁に沿って縫着されているため、着用するとバック布に引っ張られ、カップ部が脇方向ヘ伸び、それに伴ってワイヤーも必然的に変形してバストの補整形態が崩れると共に、変形したワイヤーが肌に喰い込み圧迫感を与える問題が生じる。
【０００５】
上記のような欠点を解消するものとして、例えば、図３に示すようなブラジャー２１が知られている。すなわち、カップ部２２の下部から側部にかけて概略三日月状の布片２３を重ね合わせ、外側部２４を縫着し、内側部２５は縫着せず、その上端はストラップ２６に連結してある（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
また、別のものとして、例えば、図４に示すようなブラジャー３１も知られている。すなわち、カップ部３２の裏面側に、該カップ部３２の下縁湾曲部３３における底部から肩紐３４が接続される尖鋭端部３５にかけて帯状のパッド３６を沿設してある（例えば、特許文献２参照）。
【特許文献１】実用新案登録第２６００１８２号公報
【特許文献２】実開昭６２−１０１８０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、前者のブラジャー２１は、三日月状の布片２３がストラップ２６で引っ張られても、布辺２３が三日月状に形成されてあるから、下部の持ち上げ力が弱いのに対し、脇側部の持ち上げ力が強くなり、バスト全体を持ち上げることにならず、バストのシルエットを美しく補整することができなかった。また、カップ部２２の表面には三日月状の布片２３が現出することになり、ブラジャーで一番装飾を施して美麗にするカップ部の外観が不体裁になる問題点があった。
【０００８】
後者のブラジャー３１は、帯状パッド３６が突出部となっているため、バストに直接当たり、ごろついたり喰い込んだりして違和感が生じ着用感が損なわれる欠点があった。また、帯状パッド３６は、低部から脇部にかけて設けてあるが、バストを前中心部に寄せる作用や上向きに引き上げる作用は十分でなく、バストの形を美しく整えることができなかった。さらに、帯状パッド３６をカップ部３２の内面に設けると、カップ部３２の元の内容積を変えることになり、的確なサイズのカップにならず、カップの内容積にばらつきが生じるという問題も発生しかねなかった。
【０００９】
本発明は、上記の問題点を解決することを課題として開発されたもので、左右カップ部の表面に設けたカシュクールによって、全体的にバストを掬い上げてソフトに包み、バストのボリュームアップを図りバストシルエットを美しく見せることができると共に、着用感に優れ外観美麗なカップ部を有する衣類を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、左右カップ部の表面側にカップ部を覆うカシュクールを設け、そのカシュクールの外側縁部をカップ部に縫着すると共に、内側縁部と脇側縁部をカップ部に縫着せず遊離させ、脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐を、バック布に取り付けられたストラップに固着する連結環を介してカップ部の上端部に縫着したことを特徴とするカップ部を有する衣類を開発し、採用した。
【００１１】
また、上記のように構成したカップ部を有する衣類において、前記カシュクールは、少なくとも縦方向に伸縮する生地で構成されていることを特徴とするカップ部を有する衣類、および前記カシュクールは、ドレープ性を有していることを特徴とするカップ部を有する衣類を開発し、採用した。
【発明の効果】
【００１２】
本発明のカップ部を有する衣類は、左右カップ部の表面に設けたカシュクールの外側縁部をカップ部に縫着し、内側縁部と脇側縁部をカップ部に縫着せず遊離してあるから、着用すると脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐と、バック布に取り付けたストラップとの吊り上げにより、カシュクールは全体的にバストを掬い上げ、ソフトに包みこむように持ち上げると共に、前中心部に寄せ上げられることから、ホールド感がありバストがボリュームアップしてバストシルエットを美しく見せることができる。
【００１３】
また、カシュクールの脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐がバック布に取り付けられるストラップに固着する連結環を介してカップ部の上端部に縫着されているから、伸縮性吊り紐とストラップのダブルの吊り上げ効果により、カップ部およびカシュクールが引き上げられバストアップすると共に、バストの垂れ下がりおよび脇側への流れを確実に阻止することができる。
【００１４】
さらに、カシュクールはカップ部の表面に設けてあるから、カップ内面は何ら影響を受けることがなく着用感が良好である。また、カシュクールは少なくとも縦方向に伸縮する生地であるから、カップ部の全体または一部を覆い隠すことができ装飾効果を高められる。さらに、カシュクールはドレープ性を有しているから、カップ部の表面がゆったりとひだの入った優美な外観となり、ドレッシーな効果と共に、優しさ、柔らかさなどを持つカップ部を有する衣類を演出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下に、本発明の実施形態をカップ部を有する代表的な衣類であるブラジャーについて説明するが、ブラジャーのみに限定されるものではなく、図示していないが、例えば、ボディスーツ、キャミソール、レオタード、水着などのバストを支えるカップ部を有し、バストの保形、整形などの造形機能を必要とする衣類であれば、いずれにも適用できるものである。
【００１６】
図１は本発明のカップ部を有する衣類の一つであるブラジャーを前面斜めから見た斜視図であり、図２は図１のＡ−Ａ線簡略断面図を示している。図１、図２において、１はブラジャー本体で、前面の左右に乳房を覆うカップ部２，２、そのカップ部２，２の中央に縫着されている土台布３、カップ部２，２の外側部に縫着され脇部から背中にかけて延びているバック布４、そのバック布４に取り付けられる伸縮テープのストラップ５とから構成されている。そして、上記両カップ部２，２の下辺湾曲部に沿ってカップ保形用芯材６が設けられている。
【００１７】
７は左右カップ部２，２の表面を覆い隠すカシュクールであり、ブラジャー１の前中心部で着物のように打ち合わせて連結されている。すなわち、前中心部で左右布７ａ、７ｂが互いに交差して重ね合わさっている。そして、カシュクール７の外側縁部８をカップ部２に縫着すると共に、内側縁部９と脇側縁部１０を縫着せず遊離させてある。
【００１８】
１１はカシュクール７の脇側縁部１０から一体に連設されたテープ状の伸縮性吊り紐で、その一端部をバック布４の上縁辺に取り付けられたストラップ５の端部に固着した連結環１２に通し、折り返してカップ部２の上端部２ａに縫着して取り付けてある。
【００１９】
カシュクール７の素材としては、スパンデックスなどの弾性糸を混入し、少なくとも一方向に伸縮性のある布であれば特に限定されるものではなく、ワンウェイパワーネットやツーウェイパワーネットなどが挙げられるが、特に好ましくは伸びが縦、横方向に伸びるツーウェイパワーネットがよい。また、薄い生地で通気性が良好なドレープ性の良い生地が好適である。
【００２０】
ストラップ５の一端部にはフック１３を付けてあるから、バック布４の上縁辺に縫着された短テープ１４と係合させれば吊り上げることができるが、そのストラップ５を背中でクロスの状態あるいは平行の状態どちらでも可能となるが、クロスにすれば、バストアップしたバストが左右に広がることなく、十分に寄せ効果があると共に、ストラップ５が肩から落ち難くなり、また、背中に張りを感じて姿勢を意識させ美しい姿勢を意識させることができることから好ましいが、勿論平行の状態でも良い。
【００２１】
このように構成した本発明の実施形態の使用例を作用、効果と共に説明すると、ブラジャー１を着用すると、左右カップ部２，２の表面を覆っているカシュクール７の外側縁部８がカップ部２に縫着されているが、内側縁部９と脇側縁部１０は縫着されず遊離してあるから、ストラップ５と伸縮性吊り紐１１との引っ張りで、脇側縁部１０が斜め上方に引っ張られ、それに伴ってバストの下部から側部にかけて掬い上げてソフトに包み込まれると同時に、前中心側に引き寄せる作用が働きバストアップが図られる。
【００２２】
また、カシュクール７の脇側縁部１０から一体に連設された伸縮性吊り紐１１は連結環１２に通して半折して端部をカップ部上端部２ａに縫着することにより、カシュクール７とカップ部２を引き上げることになり、支持点が２箇所になってストラップ５を介して確実に吊持され、吊り上げ力が確実に伝わり、従来の肩紐1本の吊持と比べて、バストアップが図れバストラインが美しくなる。
【００２３】
さらに、カシュクール７は、カップ部を有する衣類の前中心部で着物のように打ち合わせて連結されていることから、バストをクロスして強調できるばかりでなく、左右のカップ部２，２がカシュクール７と一体になり、左右のバストを同じように補整できると共に、身体運動時などにおいて、バストの揺れ動きによるカップ部２，２の変形を防止することができ、下方への垂れ下がりや脇側への流れを充分に阻止できて形崩れを防止できる。
【００２４】
また、カシュクール７は、少なくとも縦方向に伸びる薄い生地で形成されてあるから、カップ部を全部または一部を覆ったとしても、胸元のレースやカップ部に施された刺繍模様などの装飾は薄生地を透して見えるのでカップ部の優美な外観を消すことがない。
【００２５】
以上、本発明の主要な実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２６】
本発明はブラジャーを始め、ボディスーツ、ブラスリップ、キャミソールなど女性用下着またはレオタード、水着などのカップ部を有する衣類として有効的に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の実施形態を示す前面の斜視図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線簡略断面図である。
【図３】従来例の簡略正面図である。
【図４】別の従来例の簡略斜視図である。
【符号の説明】
【００２８】
１ カップ部を有する衣類
２ カップ部
２ａ カップ部上端部
４ バック布
５ ストラップ
７ カシュクール
８ 外側縁部
９ 内側縁部
１０ 脇側縁部
１１ 伸縮性吊り紐
１２ 連結環
【特許請求の範囲】
【請求項１】
左右カップ部の表面側にカップ部を覆うカシュクールを設け、そのカシュクールの外側縁部をカップ部に縫着すると共に、内側縁部と脇側縁部をカップ部に縫着せず遊離させ、脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐を、バック布に取り付けられたストラップに固着する連結環を介してカップ部の上端部に縫着したことを特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項２】
前記カシュクールは、少なくとも縦方向に伸縮する生地で構成されていることを特徴とする請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項３】
前記カシュクールは、ドレープ性を有していることを特徴とする請求項１または２に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項１】
左右カップ部の表面側にカップ部を覆うカシュクールを設け、そのカシュクールの外側縁部をカップ部に縫着すると共に、内側縁部と脇側縁部をカップ部に縫着せず遊離させ、脇側縁部から延びる伸縮性吊り紐を、バック布に取り付けられたストラップに固着する連結環を介してカップ部の上端部に縫着したことを特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項２】
前記カシュクールは、少なくとも縦方向に伸縮する生地で構成されていることを特徴とする請求項１に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項３】
前記カシュクールは、ドレープ性を有していることを特徴とする請求項１または２に記載のカップ部を有する衣類。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−２５０５６（Ｐ２００８−２５０５６Ａ）
【公開日】平成２０年２月７日（２００８．２．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１９９１０９（Ｐ２００６−１９９１０９）
【出願日】平成１８年７月２１日（２００６．７．２１）
【出願人】（５０２２５６０９９）株式会社ルシアン (4)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年２月７日（２００８．２．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年７月２１日（２００６．７．２１）
【出願人】（５０２２５６０９９）株式会社ルシアン (4)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]