カテーテルシャフト及び製造方法
カテーテルアッセンブリーの製造方法は、一般的に、外層(20)及び内部強化層(30)を有するカテーテルシャフト(10)を用意する工程と、該カテーテルシャフト(10)の遠位セグメントを露出させるためにその遠位端(50)の全長から前記外層(20)の少なくとも一部を取り除く工程と、内側ジャケットセグメント(80)を用意する工程と、前記内側ジャケットセグメント(80)を前記カテーテルシャフト(10)の前記遠位セグメントの内面と軸的に係合させる工程と、外側ジャケットセグメント(25)を少なくとも前記カテーテルシャフト(10)の前記遠位セグメントの前記露出外部領域の周囲に提供する工程と、前記カテーテルシャフト(10)の前記遠位セグメントを、前記内側ジャケットセグメント(80)及び前記外側ジャケットセグメント(25)と結合させる工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明の請求項は、2007年12月31日出願の米国特許出願番号第11/967,784号(’784号出願)に基づいて優先権を主張する。’784号出願は、本明細書においてその全てが開示されるものとして、参照によりここに組み入れられる。
【0002】
a.発明の分野
本発明は、人体中で使用されるカテーテルに関する。特に、本発明は、カテーテルシャフトの製造性を向上するために、その長手方向軸に沿って様々な材料を組み込んでいる、多数のポリマー部分を用いたカテーテルアッセンブリーに関する。
【背景技術】
【0003】
b.背景技術
カテーテルは、留まるところを知らない数の医療処置に使用されている。例えば、いくつかの例を挙げると、カテーテルは、診断、治療及びアブレーション処置に使用されている。典型的には、カテーテルは、患者の血管を介して操作されて、意図する部位、例えば患者の心臓内へ到達される。カテーテルは、典型的には、1個又はより多くの電極を担持し、それらをアブレーションや、診断などに使用することができる。
【0004】
患者の血管を通って意図する部位までの経路は、長く曲がりくねっている場合が多々あるため、通常、操作力を比較的大きな距離を越えて伝達しなければならない。従って、カテーテルが、その基部端に付与される力によって、患者の血管内を押し進むのに十分な軸強度(例えば、柱部など)を有することが望ましい(「プッシャビリティ(pushability)」)。カテーテルが、基部端に付与されたトルクを遠位端まで送るようにするのが望ましい(「トルクアビリティ(torqueability)」)。プッシャビリティ及びトルクアビリティ(これらを総称して「操縦性」という)によって、医者がカテーテルを意図する部位へ操作し、カテーテルを適切に配向させることが可能となる。カテーテルが十分な可撓性を有しており、患者の血管に実質的に順応することができると同時に、その際にねじれを生じないこともまた望ましい。ねじれは、局所的な応力が材料の耐性強度を超える場合に、カテーテルの材料の一部が損傷した結果として生じることが多い。
【0005】
カテーテルの作業端がいったん所望の位置に移動されると、治療部位の状態によっては、カテーテルの遠位あるいは作業領域は、カテーテルのメインシャフトとは異なる可撓性、硬度、あるいは形状特性を有することが必要となることがある。
【0006】
プッシャビリティ、トルクアビリティ、可撓性、及び耐キンク性を具備するために、現存する多くのカテーテルは、金属線強化層で強化された工学ポリマー材料から作製される。しかしながら、カテーテルのメインシャフトに適したプッシャビリティ、トルクアビリティ、可撓性、及び耐キンク性の特性が、デバイスの作業端にとって適していない場合がある。そのため、カテーテルの先端には、カテーテル本体全体にわたるよりも様々な組み合わせの工学ポリマー材料及び強化線が要求され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
向上された可撓性、耐キンク性、及び操縦性を有すし、カテーテルの遠位作業端がメインシャフトとは異なるカスタマイズされた操縦性及び機械特性を有することを許容するカテーテルを提供することが望まれている、。
【0008】
カテーテルのメインシャフトとは異なる機械特性を有する遠位先端を有するカテーテルをより簡単に製造できることも望まれている。
【0009】
本発明の前述及びその他の局面、特徴、細部、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲の記載を参照し、さらに添付図面を参照することによって明らかになるであろう。
【0010】
ここで開示されるのは、カテーテルアッセンブリーの製造方法であり、概して、基部端、遠位端、外層、内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、露出外部領域を有するカテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、上記の外層の少なくとも一部を上記のカテーテルシャフトの遠位端の長さから(例えば、研磨又はレーザー除去によって)取り除く工程と、基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、上記の内側ジャケットを、上記のカテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に軸方向に係合させる工程と、上記のカテーテルシャフトの遠位セグメントの少なくとも露出外部領域の周囲に外側ジャケットセグメントを配する工程と、カテーテルシャフトの遠位セグメントを、内側ジャケットセグメント及び外側ジャケットセグメントに結合させる工程とを含む。外側ジャケットセグメント及び外層は、異なるデュロメーター硬度値を有する別の材料であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、カテーテルシャフトの露出された遠位セグメントの長さは、少なくとも内側ジャケットセグメントの長さと同じ長さである。
【0011】
任意に、カテーテルシャフトは、内層を含むことができる。内層の少なくとも一部は、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出内部領域を形成するようカテーテルシャフトの遠位端から除去されることができる。露出内部領域は、内側ジャケットセグメントの周囲に配置される。
【0012】
典型的には、カテーテルシャフトの外層、内側ジャケットセグメント、及び外側ジャケットセグメントは、溶融加工性ポリマーを含む。適当な材料には、限定されることなく、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、機能性ポリオレフィン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせのいずれかが挙げられる。その他の適当な材料には、それらに限定されないが、ポリアミドベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、ポリエステルベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、熱可塑性プラスチックポリウレタン、スチレン系熱可塑性プラスチックエラストマー、及びそれらの組み合わせのいずれかが挙げられる。外側ジャケットセグメントが、その長さに沿って異なる硬度を有することができる(例えば、異なる材料硬度の複数の長手方向セグメントを組み込むことによって)こともまた意図される。
【0013】
任意に、内側ジャケットセグメントは、それに作動可能に接続されたプルリングを、例えば内側ジャケットセグメントの基部端に含んでよい。
【0014】
方法はまた、外側ジャケットセグメントと、カテーテルシャフトの露出された遠位セグメントと、内側ジャケットセグメントとにエネルギーを付与して、実質的に単一なカテーテルシャフトを形成する工程を含んでもよい。エネルギーを付与する前に、熱収縮管が外側ジャケットセグメントの当たりに形成され得る。エネルギーは、外側ジャケットセグメントと、カテーテルシャフトの露出された遠位セグメントと、内側ジャケットセグメントとに、カテーテルシャフトの基部端が加熱しない方法で付与されることが望ましい。すなわち、カテーテルシャフトの遠位端から離間して配置されるカテーテルシャフトの外層の部分を加熱しない方法でエネルギーを付与することが望ましい。
【0015】
本発明の別の局面によれば、カテーテルアッセンブリーの形成方法は、第一の材料の外層及び内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、上記の外層の少なくとも一部を上記のカテーテルシャフトの長さから取り除く工程と、基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、上記のカテーテルシャフトの露出された遠位セグメントを、上記の内側ジャケットセグメントの基部端に軸方向に係合させる工程と、第二の材料の外側ジャケットセグメントを上記のカテーテルシャフトの露出された遠位セグメントの周囲に設ける工程と、上記のカテーテルシャフトを、上記の外側ジャケット及び上記の内側ジャケットセグメントに結合させること。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、カテーテルシャフトの内側強化層は、カテーテルシャフト、及び内側ジャケットセグメント及び外側ジャケットセグメントの長さ全体にわたって連続的に延びている。
【0017】
ここでまた開示されるのは、一般的に、次に工程を含む方法に従って形成されたカテーテルアッセンブリーである。方法は、基部端、遠位端、外層、及び内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、カテーテルシャフトのセグメントを露出させるために、上記の外層の少なくとも一部を上記のカテーテルシャフトの遠位端の長さから取り除く工程と、基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、上記のカテーテルシャフトの遠位端における上記の露出されたセグメントを、上記の内側ジャケットセグメントに、該内側ジャケットセグメントが該カテーテルシャフトの露出されたセグメント内でかつそれに近接して配置されるよう、軸方向に係合させる工程と、上記の露出されたカテーテルシャフトセグメントの周囲に外側ジャケットセグメントを形成して、該カテーテルシャフトを該内側ジャケットセグメントに作動可能に接続させる工程とを備える。当然ながら、外側ジャケットセグメントは、その長さに沿って異なる硬度、例えばカテーテルシャフトよりも低いデュロメーターを有することができる(例えば、カテーテルシャフトの外層)。また、内側ジャケットセグメントは、内側ジャケットセグメントの内層に取り付けられるプルリングを含むことができ、該プルリングは内側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフトを通って、カテーテルシャフトの基部端まで延びる複数のプルワイヤーに作動可能に接続されることもできることも意図される。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態において、カテーテルアッセンブリーは、軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内側強化層を有するカテーテルシャフトと、軸長部、基部端、及び遠位端を有する第二の材料の外側ジャケットセグメントであって、該第二の材料は上記の第一の材料とは異なり、上記のカテーテルシャフトはその遠位端において、上記の外側ジャケットセグメントに作動可能に接続され、上記のカテーテルシャフト及び上記の外側ジャケットセグメントの軸長部の全体にわたって延びる、上記のカテーテルシャフトの内側強化層を含む。当然ながら、外側ジャケットセグメントの軸長部は、異なるデュロメーター硬度の材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、外側ジャケットセグメントの軸長部は弓状形状を有し、任意に固定され、又は、可撓性を有していてもよい。
【0019】
本発明のまた別の実施形態において、カテーテルアッセンブリーの製造方法は、概して、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、露出外部領域を有するカテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、カテーテルシャフトの遠位端の長さから外層の少なくとも一部を取り除く工程と、上記の第一の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域の周囲に配する工程と、外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域に結合させる工程とを備える。
【0020】
外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域に結合させる工程は、外側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフトの遠位セグメントにエネルギーを付与する工程を含んでよい。カテーテルシャフトの基部端を加熱しない方法でエネルギーを付与することが望ましい。
【0021】
任意に、該方法は、内側ジャケットセグメントをカテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に配する工程と、内側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に結合させる工程とを含む。外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域に結合させる工程と、及び内側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に結合させる工程とは、外側ジャケットセグメント、内側ジャケットセグメント、及びカテーテルシャフトの遠位セグメントにエネルギーを付与する工程を含んでもよい。
【0022】
また別の実施形態において、本発明は、軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内側強化層を有するとともに、、カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、カテーテルシャフトの遠位端から外層が少なくとも一部取り除かれているカテーテルシャフトと、軸長部、基部端及び遠位端を有する、第一の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットとを含むカテーテルアッセンブリーであって、実質的に単一のカテーテルシャフトを形成するために、該外側ジャケットセグメントがカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれた外層の一部実質的に代替するように、カテーテルシャフトがその遠位セグメントにおいて外側ジャケットセグメントに作動可能に接続され、カテーテルシャフトの上記の内側強化層は、カテーテルシャフト及び外側ジャケットセグメントの軸長部の全体にわたって延びている、カテーテルアッセンブリーを提供する。当然ながら、第一の材料及び第二の材料は、異なるデュロメーター硬度値を有することができる。同様に、第一の材料が溶融加工性ポリマーであり、第二の材料が別の溶融加工性ポリマーであることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、カテーテルシャフトは、第三の材料の内層を含み、内側強化層は、外層と内層との間に挟まれる。そして軸長部、基部端、及び遠位端を有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、この内側ジャケットセグメントは、カテーテルシャフトの遠位端で内層に結合される。
【0024】
さらにその他の実施形態において、カテーテルシャフトは、第三の材料の内層を含み、内側強化層は、外層と内層との間に挟まれ、内層の少なくとも一部は、カテーテルシャフトの遠位セグメントにおいてカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれている。そして、軸長部、基部端、及び遠位端を有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、実質的に単一なカテーテルシャフトを形成するために、カテーテルシャフトは、内側ジャケットセグメントが実質的にカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれた内層の部分を代替するように、その遠位セグメントにおいて内側ジャケットセグメントに作動可能に接続される。第三の材料及び第四の材料は、異なるデュロメーター硬度値を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施形態の、強化カテーテルシャフトの長手方向における横断面図である。
【0026】
【図2】図2は、上記同様、カテーテルシャフトの遠位端から材料の外層が取り除かれた強化カテーテルシャフトの長手方向における横断面図である。
【0027】
【図2A】図2Aは、図2の実施形態のさらに材料の内層がカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれている変形例を示す。
【0028】
【図3】図3は、図1及び図2の強化カテーテルシャフトの等尺図であり、カテーテルシャフトの遠位端から取り除かれた外側材料も示している。
【0029】
【図4】図4は、強化カテーテルシャフトの内径にほぼ対応する外径を有する別のカテーテルセグメント又はチップの長手方向横断面図である。この特別な実施形態において、カテーテルセグメント又はチップは、内側ジャケットセグメント並びにプルリングを有する。
【0030】
【図5】図5及び図6は、強化カテーテルシャフト及び別のカテーテルセグメント又はチップを含む本発明の実施形態の長手方向における横断面図を示しており、別のカテーテルセグメント又はチップが強化カテーテルシャフト内で交換できるように示されている。
【0031】
【図7】図7は、図6に示される強化カテーテルシャフト及び別のカテーテルセグメント又はチップであって、嵌合されたシャフト部材の全周に配置された外側ジャケットセグメントをさらに有する場合の長手方向における横断面図である。
【0032】
【図8】図8は、図7の等尺の横断面図である。
【0033】
【図9】図9は、図7〜図8の外側ジャケットセグメントを、嵌合された内側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフト部材に結合させる、本発明の実施形態を描写している。
【0034】
【図10】図10は、単一構造体として結合された、強化カテーテルシャフトと、内側ジャケットセグメント、プルリング、及び外側ジャケットセグメントを含む別のカテーテルセグメント又はチップを示す、本発明の実施形態の長手方向における横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、心臓マッピング及びアブレーションのような公知の医療処置のための、人体の血管内での使用に適したカテーテルを提供する。本発明によるカテーテルシャフトを利用するカテーテルは、向上された操縦性、可撓性、及び耐キンク性を利点として具備する。以下の説明のために、本発明は、細長い、電気生理カテーテルと組み合わせて説明される。しかしながら、説明される特徴及び方法は、当業者に理解される限りにおいて多数のカテーテルに組み込むことができることが意図される。本発明に特に適したカテーテルの例には、それらに限定されないが、固定湾曲カテーテル、適合カテーテル、双方向カテーテル、可動性カテーテル、イントロデューサーカテーテル、診断カテーテル、及び潅注式及び非潅注式の両方のアブレーションカテーテルが挙げられる。
【0036】
上記で挙げたような多くの電気生理カテーテルは、身体の都合の良い箇所(例えば、大腿動脈)で同様の方法で血管内に導入される。いったん導入されると、カテーテルの最終的な標的が、心臓のような臓器である場合、最終標的組織に到達するまでの経路は、カテーテルの作業端が最終的に達成を意図することに関係なく、非常に類似している。そのため、血管の曲がりくねった経路を通って誘導するカテーテルのメインシャフトの機械特性は、標的のサイトへと押し進められているデバイスの種類に関わらず、同様のものとなる。例えば、カテーテルのメインシャフトは、典型的には、血管系の多くの分岐を通って曲がりそして転回させることができるような態様で、その長さ方向に沿って簡単に操作するのに十分な柔軟性と可撓性を有している。同時に、メインシャフトは、その基部端で押圧される際に、ねじれの影響を受けやすくなるほど柔軟であってはならない。また、血管壁のような障害物に接触した時に、ねじれに抵抗するための十分な硬度を有するべきである。
【0037】
操縦性、可撓性、及び耐キンク性を向上させるために、多くのカテーテルは、1つ又はより多くの強化層をそれらの構造中で利用する。例えば、Jaraczewski等の米国特許第4,817,613号明細書(以下、“Jaraczewski”)に開示されているガイドカテーテルは、粘性材料として可撓性管状部材と可撓性プラスチックケーシングの間に挟まれ、次いで硬化された一対の編組されたトルク伝達層を備える。しかしながら、Jaraczewskiはまた、ある程度において、可撓性はトルク伝達性を犠牲にして成り立つことを教示している。さらに、トルク伝達層の厚さに応じて、それらの層は、壁厚を増大させることができ、それにより所与のボアサイズに対するカテーテルの全径を増大させるか、あるいは、所与の全径に対するボア径を減少させることになる。
【0038】
対照的に、カテーテルがいったん血管内でその最終標的まで操作されると、カテーテルは、カテーテルの遠位作業端がそのメインシャフトとは異なる物理的及び機械的特性を有することが望ましいことがある。例えば、組織が呈する様々に異なる形状に簡単に適合可能な、非常に柔軟な先端をその作業端に有するマッピングカテーテルを提供することが望ましいことがある。別の状況では、人体の周知の部分の形状に適合できる、例えばループのような、より硬く、固定の形状を有するカテーテルの作業端を提供することが望ましいことがある。
【0039】
従って、カテーテルのメインシャフトを、特別のサイトに誘導可能とするのに必要な機械特性は、カテーテルの作業端又は先端に望ましい機械特性とは異なることがあり、また、著しく異なる場合もある。
【0040】
その長さ方向に沿って可変の機械特性を有する強化カテーテルを製造する伝統的な方法は、シャフト全体のリフロー処理を利用しており、これは製造するのに時間がかかり、かつ、高価である。本発明は、その長さ全体にわたって連続的な内部強化層、及びメインシャフトとは異なる機械特性を有する作業端又はチップを有するカテーテルを説明する。また、本発明によってさらに説明されるのは、カテーテルアッセンブリー全体を同時にリフローする必要のない、代替の製造方法である。
【0041】
図を参照して、電気生理カテーテルアッセンブリーについて説明される。カテーテルの構成要素は、それらが組み立てられた際に集合的に“カテーテルアッセンブリー”と呼ばれる。図全体にわたって、互いに軸的に接続される“カテーテルシャフト”及び“カテーテルセグメント”あるいは“チップ”を含むカテーテルアッセンブリーを参照する。これら構成要素の名称は単に便宜上のものであり、本発明の趣旨に内含されるセグメントの数や軸セグメントの相対的な長さを限定または示唆するものではない。例えば、“カテーテルシャフト”は、長さにおいて“カテーテルセグメント”や“チップ”より長いものである必要はない。同様に、“カテーテルセグメント”又は“チップ”は、カテーテルの最も遠位の部分である必要はない。
【0042】
図1に示されるような特定の実施形態に関して、カテーテルアッセンブリーは、外壁又は外層20、内壁又は内層35、基部端40、遠位端50、及びカテーテルシャフトの内側の長さを通って延びる内部強化層30を有する、押出し形成され、強化されたカテーテルシャフト10を含むことができる。
【0043】
外壁20及び内壁35は、任意に表面エッチングを含む、押出形成されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管(例えばTeflon(登録商標))のような溶融加工性ポリマー管であることができる。外壁20及び内壁35はまた、エッチングされたポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、及びその他の熱可塑性エラストマーを含むその他の溶融加工性ポリマーであることができるが、それらに限定されるものではない。そのようなエラストマーの一つが、Arkema, Inc.製のPebax(登録商標)である。Pebax 30D〜Pebax 7ODを含む、様々なデュロメーターのPebaxを使用することができるが、それらに限定されるものではない。特定の実施形態において、内壁35は、Pebax 60D〜Pebax 72Dを使用することができる。当然のことながら、当業者であれば、カテーテル10の特定の用途によってカテーテルシャフトの外壁20と内壁35に適当な材料をどのように選択するかを理解するであろう。
【0044】
内部強化層30は、編組金属線の管、あるいは当業者に周知のその他の強化材料であってよい。例えば、内部強化層は、代替として、炭素繊維、ポリマー繊維、ケブラー繊維、あるいは当業者に周知のその他材料の非金属ファイバーから作られることもできる。内部強化層中の繊維はまた、“編組”以外の方法で配置することができる。例えば、繊維は、管に対して任意の角度及びピッチでらせん状に巻き付けられることができる。巻き付けられた繊維は、相補的方向あるいは対照方向で巻き付けられた繊維の様々な層を多層状に組み合わせることもできる。繊維は、別の段階で巻き付けられるかあるいは編まれることができるが、実際に、既存のポリマー管中へ織り込まれることもできる。内部強化層は、位密閉された“管”を形成する必要がないこともまた、理解されるべきである。例えば、らせん状の巻き間に空隙を作るような方法で巻かれたらせん状の強化層も、本発明の趣旨に内含される。
【0045】
簡略化のため、図1に示される実施形態は、単一の外壁20及び内部強化層30の周囲の単一の内壁35を含む。しかしながら、外壁20及び内壁35は、異なる配置の任意の数に構成されることができることが意図されている。例えば、異なる径のポリマー管を、相互に同心的に配置し、内部強化層の周囲か又はその内部に配置し、そして内部強化層に対して溶融加工されることができる。同様に、いくつかの長さの別々の管を、末端同士接触させて内部強化層の周囲又はその内部に配置し、そして内部強化層に対して溶融加工されることができる。そのような技術は、所望の特徴に応じて、軸の一定箇所に異なるデュロメーター硬度やその他の機械特性を有する材料を導入するのに使用することができる。すなわち、そのような技術は、軸的に及び/又は径方向において可変する特徴を有するカテーテルシャフトを構成するのに使用することができる。
【0046】
図1に示される実施形態が、本発明の趣旨から逸脱することなく、内部強化層の内部に沿って延びる一組の外壁又は内壁をさらに含むこともまた理解されるべきである。従って、図1に示される実施形態における単一の外壁及び単一の内壁の描写は簡略化のためでだけであって、限定を意図するものではない。
【0047】
例えば、米国特許出願第11/967,219号明細書及び同第11/967,220号明細書は、本発明のカテーテルシャフトの構成に適し得る製造の多数の、異なる構造及び方法を記載している。これらの出願は、本明細書においてその全てが開示されるものとして、参照によりここに組み入れられる。
【0048】
本発明のカテーテルアッセンブリーの基本的な製造方法におけるさらなる工程が、図2〜図3に示されている。示される実施形態において、外層の部分はカテーテルシャフト10の遠位端から取り除かれているが、シャフトの全長にわたって内部強化層30との構造的整合性は維持されている。カテーテルシャフトの遠位端における外層の材料はレーザー、研削又はを残部よりも小さい外径を有する遠位端を作るその他同様の方法で取り除くことができる。本明細書の残部全体にわたって、材料が取り除かれたカテーテルシャフトの遠位端は、カテーテルシャフトの“露出部分”と称される。しかしながら、“露出部分”という用語の使用は、強化層30が実際に露出されている、という意味に解されるべきではない。実際、本発明の特定の実施形態においては、図2では示されていないが、外層20の部分は、強化層30が露出されたり、いずれかの方法で構造的に変更されたりしないよう、カテーテルシャフト10の軸長全体に残されている。
【0049】
図2Aは、図2のカテーテルシャフトの任意の変形例を示しており、内層35の部分及び外層20の部分が遠位端から取り除かれている。内層35の部分は、例えば、カテーテルシャフト10の部分に大きな可撓性を与えるように取り除くことができる。当然のことながら、外層20を取り除くことと同様、内層35の部分は、強化層30が、露出されたり、いずれかの方法で構造的に変更されたりしないよう、カテーテルシャフト10の軸長全体に残されていても良いことが意図されている。
【0050】
図4〜図10は、カテーテルアッセンブリーの“カテーテルセグメント”又は“チップ”要素60のアッセンブリーを示している。以下により詳細に説明するように、カテーテルセグメント又はチップ60(図10を参照)は、外側ジャケットセグメント25を露出されたカテーテルシャフト10の遠位セグメント上にリフローし、さらに任意に、内側ジャケットセグメント80がカテーテルシャフト10の露出された遠位セグメントの内部面に対してリフローすることによって形成される。マンドレル70上に構築されることにより、内側ジャケットセグメント80は、図4に示されるように、マンドレル70の周囲に形成される。例えば、内側ジャケットセグメント80は、個別に押出形成されてからマンドレル70の周囲に被せてもよいし、あるいは、マンドレル70に対してポリマーテープを巻き付けることによって形成することができる。内側ジャケットセグメント80は、単一のデュロメーター又は複数のデュロメーターを含むことができる。図1に説明されるカテーテルシャフトの構成と同様に、カテーテルセグメント又はチップ60の内側ジャケットセグメント80は、単一の層に限定する必要はない。カテーテルセグメント又はチップ60はまた、プルリング90及び付随する配線(図示しない)を含むことができる。図4に示されるように、プルリング90は、内側ジャケットセグメント80の周囲に設けられる。
【0051】
内側ジャケットセグメント80に適した材料には、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、機能性ポリオレフィン、ポリアミドベース熱可塑性プラスチックエラストマー、ポリエステルベース熱可塑性プラスチックエラストマー、スチレン系熱可塑性プラスチックエラストマー、機能性熱可塑性プラスチックオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、イオン性熱可塑性プラスチックエラストマー、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に適した材料には、Pebax(登録商標) 6033、Pellethane 2163−60、Pellethane 2163 65D、Fusabond(登録商標)N MN493D、Fusabond(登録商標)E MBlOOD、Fusabond(登録商標)P M613−05、及びPebax(登録商標) 6833が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0052】
図4の特定の実施形態は、遠位に視野外に延びる長さを有する内側ジャケットセグメント80を示しているが、完成されたカテーテルアッセンブリーのカテーテルセグメント又はチップ60によって、内側ジャケットセグメント80の遠位に延びる様々な長さが許容されうることが明白に意図される。例えば、内側ジャケットセグメントの長さは、図4に示される内側ジャケットセグメント80の長さよりも短くてよく、また、例えば、一実施形態においては、内側ジャケットセグメント80は、内側ジャケットセグメント80がプルリングのいずれかの側部を若干超えて軸線上を延びる(例えば、プルリングの軸長の約10%〜約50%)ような比較的短い長さであってよい。内側ジャケットセグメント80の厚さ及び/又は材料は、所望の特徴に依存して適合させるか、あるいは、異ならせてもよい。
【0053】
上述したように、内側ジャケットセグメント80がその一部に含まれるカテーテルセグメント又はチップは、マッピング又はアブレーション用に設計されることができる。それは、特定の標的生体構造に適合するように固定された形状を有するか、あるいは、接触するどのような形状に対しても適合する形状であることができる。それは双方向性であってもよく、ないしは可動性であってよく、そして追加的にプルリング又はワイヤーも含んでよい。電極、センサー又はその他の機器並びにそれらの要素を支持するのに必要な導体類又はリードを収容してもよい。潅注又はその他の目的のために使用可能な複数のルーメンもまた、特に意図される。要約すると、本発明の趣旨では、カテーテルセグメント又はチップが意図される用途の要求によってのみ限定されるため、カテーテルアッセンブリーのカテーテルセグメント又はチップに対する設計の融通性の最大量を与えることが特に意図される。
【0054】
図5〜図6を参照すると、本発明の一態様による製造プロセスのさらなる工程が示されている。内側ジャケットセグメント80及びカテーテルシャフト10は組み合わせられ、カテーテルシャフト10の遠位端50は、内側ジャケットセグメント80の上に被せられる。これにより、カテーテルシャフト50の内部強化層30が、内側ジャケットセグメント80を密接に囲む(プルリング90が設けられる場合には、これも同様に囲まれる)。
【0055】
図7〜図8における本発明の一態様によるさらなる工程は、露出されたカテーテルシャフト/内側ジャケットセグメントの組み合わせ全体上に被せられる外側ジャケットセグメント25の配置を示している。外側ジャケットセグメント25は、カテーテルシャフト10の外層20と同じ材料を含むことができ、そして、これと類似の厚さであってよい。しかしながら、カテーテルセグメント又はチップに望まれる物理的特性に応じて、それらを同じ又は同様とする必要はない。しかしながら、外側ジャケットセグメント25が、互いに効果的に結合可能であるという意味で、外層20及び内部強化層30と化学的に適合性であることが概して意図されている。本発明の趣旨内で、外側ジャケットセグメント25は、異なる長さ及び硬度を持つセグメントとして構成され、外側ジャケットの長手方向セクションの異なる部分にに異なる物理特性を与えることができる。典型的に、外側ジャケットセグメント25は、外層20とは異なるデュロメーター硬度を有する異なる材料から形成される。遠位端において、露出された遠位セグメントを形成するために外層20の一部を取り除き、そして、それを外側ジャケットセグメント25に含まれる異なるデュロメーター硬度を有する異なる材料で置き換えることにより、カテーテルシャフト10の遠位カテーテルセグメント又はチップ60の湾曲形状をカスタマイズすることができる。これは、シャフトアッセンブリー全体の代わりにカテーテルセグメント又はチップ60の領域中の要素だけをリフローすることによって、有利に行うことができる。同様に、内層35の一部を、遠位端(図2Aを参照)で取り除き、異なるデュロメーター硬度を有する異なる材料を有する内側ジャケットセグメント80で置き換えることで、カテーテルシャフト10の遠位カテーテルセグメント又はチップ60の湾曲形状をカスタマイズすることができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態において、熱収縮性チューブの層(図示しない)は、図9における矢印で示すような力を与えるために外側ジャケットセグメント25の上に配置される。熱収縮材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やフッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)のようなフッ化ポリマー又はポリオレフィン材料であることが好ましい。熱収縮性チューブの代わりとして、カテーテルアッセンブリーは、次の加工の前に適当な成形型内に配置することができる。熱収縮性チューブ又は適当な成形型のいずれかは、一般的に“形状保持構造”と称され、それが溶融加工の間、カテーテルアッセンブリーの全体形状(すなわち、略円形の軸方向断面図)を保持するために、このように称されている。
【0057】
図9に示すように、カテーテルアッセンブリーは、その後溶融加工されてよい。“リフロー結合”と称される場合の多いプロセスにおいて、エネルギー(例えば、無線周波数エネルギー又は熱エネルギー)が、例えば、カテーテルアッセンブリーの外側ジャケットセグメント25等のカテーテルアッセンブリーに与えられて、外側ジャケットセグメント25、外壁20及び内壁35の露出部分、内部強化層30、及び内側ジャケットセグメント80が結合される。熱収縮性チューブは、外側ジャケットセグメント25、内部強化層30、外壁20、内壁35、及び内側ジャケットセグメント80より高い溶融温度を有するため、溶融加工の間、熱収縮性チューブはその管形状を維持しながら収縮する。与えられたエネルギーと、熱収縮性チューブによって及ぼされる圧力の組み合わせは、溶融された外側ジャケットセグメント25、外壁20、内壁35、及び内側ジャケットセグメント80を強制的に流動させ、カテーテルアッセンブリーの外周に再配分させ、内部強化層30の周りでそれらをともに溶融させる。リフロープロセスはまた、プリング90の周りのアッセンブリーを溶融する。リフロープロセスは、遠位端50の付近の外壁20と内壁35の局部的な部分だけを溶融することにより、カテーテルシャフト10の残存部分(基部端40を含む)が加熱されず、そして溶融されないことが理解される。
【0058】
カテーテルアッセンブリーがいったん冷却されると、マンドレル70は、完成されたカテーテルアッセンブリーを通って延びる中央ルーメン(図10)を残して取り除くことができる。任意に、熱収縮性チューブもまた、外層20及び外側ジャケットセグメント25がカテーテルアッセンブリーの最も外側の層になるように取り除くことができる。
【0059】
図10は、リフロー結合プロセスの終了後のカテーテルアッセンブリーを示している。すなわち、図10は、本発明の実施形態に従って形成されたカテーテルアッセンブリーの長手方向横断面を示している。当業者であれば、上述のリフロー結合プロセスの結果、外側ジャケットセグメント25並びに外部側において取り除かれていない外層20、内側ジャケットセグメント80、並びに内部側に存在する内層35の材料が、カテーテルシャフト10内に導入された同じ連続する内部強化層30を完全に封入することを理解するであろう。これらの構成要素のリフロー結合プロセスは、外側ジャケットセグメント25及び内側ジャケットセグメント80の材料の選択に基づいて、カテーテルシャフト10の残部とは典型的に異なる所望の材料特性を有する遠位カテーテルセグメント又はチップ60を形成する。内部強化層30は、カテーテルアッセンブリーの長さ全体にわたって連続しており、外層20、外側ジャケットセグメント25、内層35、及び内側ジャケットセグメント80の材料の間のインターフェース(例えば、結合部)は、デッドスペースや材料の空隙を有しておらず、実質的に継ぎ目がないという利点を有する。これは、カテーテルアッセンブリーの材料が亀裂すること、及びその他の欠陥の可能性を低減する。図10は、単なる概略的な例示のために、リフロープロセス後のカテーテルセグメント60中の内側ジャケットセグメント80の材料及び内層30の別個の領域を示している。実際には、材料が溶融し、凝固してカテーテルセグメント60の結合された内層を形成した後の材料の明確な描写はない。同様に、外層20が完全に取り除かれず、そして外層20の一部がカテーテルセグメント60中に残存する場合、リフロープロセスの間に外側ジャケットセグメント25と結合されて、結合されたカテーテルセグメント60の外層を形成する。
【0060】
当業者であれば、本発明の製造方法が、構造的に連続したカテーテルアッセンブリーを製造する方法で、非常に様々な種類のカテーテルセグメント及びチップをカテーテルシャフトへの取り付けを行うことによってこれまでの方法を向上させることを認識するであろう。従って、一組の製造プロセス及び設備を、血管を通って心臓まで治療器具を送るのに必要な比較的長いカテーテルシャフトの製作に使用することができる。その後に、種々の作業に必要とされる多種多様なカテーテルセグメント及びチップの製作に、比較的小規模で、より特化された製造プロセス及び設備を用いることができる。カテーテルセグメント又はチップだけを、カテーテルシャフトの露出された内部強化層上にリフローさせることにより、構造的に連続したカテーテルアッセンブリーを、比較的迅速に、かつ安価にモジュールとして組み立てることができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、カテーテルアッセンブリーがX線不透過であることが望ましい場合がある。そのため、一つ又はより多くの外層20、外側ジャケットセグメント25、内側ジャケットセグメント80又は内層35が、X線不透過性フィラーを含むことが意図される。適当なX線不透過性フィラーには、硫化バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、酸塩化ビスマス、タングステン、タンタル、白金、金、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。X線不透過性のナノクレイもまた使用できる。X線不透過性フィラーを使用する代わりに、あるいは、X線不透過性フィラーの使用に加えて、X線不透過性マーカー(図示せず)を、カテーテルアッセンブリーに含ませることができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施例をある程度の具体性を有して上記に説明してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく数多くの変更を開示の実施形態に行うことができるであろう。例えば、本発明に従って形成されたカテーテルは、様々な寸法及び、以下に限定されないが、心房性細動の治療及び心房性頻脈の治療を含む、様々な用途を有することができる。
【0063】
本明細書において様々なポリマーについて言及しなたが、ポリエチレン;ポリエチレンイミド;ポリプロピレン;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はTeflon(デラウェア州のDuPont,Wilmington);超高分子量(UHMW)ポリエチレン;高密度ポリエチレン(HDPE);ポリイミド;ポリアリールエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリウレタン;ポリプロピレン;配向性ポリプロピレン;ポリエチレン;結晶化ポリエチレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート;ポリエステル;ポリオキシメチレン又はDelrin(デラウェア州ウィルミントンのDuPont);ポリアミド−イミド(PAI)又はTORLON(Solvay Advance Polymers, Alpharetta, GA);ポリオキシメチレン(POM)、アセタール樹脂、又はDelrin(デラウェア州ウィルミントンのDuPont);及びポリ塩化ビニリデンフルオリド又はKynar(Atochem Corporation)を含む、如何なる数のポリマーも、医療用デバイス及びカテーテル用途に使用することが示唆される。当業者であれば、望ましい可撓性及び潤滑特性を達成するのに適当なポリマー又はポリマーの組み合わせを選択することに精通している。いくつかの例において、Atofina Chemicalsの登録商標であるPebax(登録商標)のようなポリエーテルブロックアミド−PEBAのような可撓性のエラストマーが、本発明での、及び当該分野で公知の、特にカテーテルの外部被覆のための、及び特にDurometer D又はShore D scaleに従って硬度を変える方法で使用するのに好ましいポリマーである。
【0064】
当業者であればまた、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の変更をカテーテルアッセンブリーに行うことができることも理解するであろう。例えば、カテーテルアッセンブリーは、2006年12月29日出願の米国特許出願第11/647,313号明細書(‘313号出願)に記載されるように、可動性にすることができる。あるいは、例えば2006年12月28日出願の米国特許出願第11/646,578号明細書(’578号出願)に記載されるように埋設された内部要素と共に形成することができる。‘313号出願と’578号出願の両出願は、本明細書においてその全てが開示されるものとして、参照によりここに組み入れられる。
【0065】
さらに、本発明によるカテーテルは、代替的な技術を用いて製造できることが意図される。
【0066】
全ての方向に関する言及(例えば、上部、下部、上方、下方、左、右、左側、右側、頂部、底部、上に、下に、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、読み手が本発明を理解するのを助けるための識別目的でのみ使用されており、特に、位置、配向、あるいは本発明の使用を限定するものではない。結合に関する言及(例えば、取り付けられた、連結された、接続されたなど)は広く解釈されるべきであり、そして要素の接続間の中間部材と、要素間の相対移動を含み得る。そのようなものとして結合に関する言及は、2つの要素が直接接続されており、相互に固定した関係であると推察する必要はない。
【0067】
上述の説明に含まれる、又は添付図面に示される全ての事項は、例示的なものだけであると解釈されなければならず、限定されるものではないことが意図される。細部又は構造における変更は、特許請求の範囲に定義されるような本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができる。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明の請求項は、2007年12月31日出願の米国特許出願番号第11/967,784号(’784号出願)に基づいて優先権を主張する。’784号出願は、本明細書においてその全てが開示されるものとして、参照によりここに組み入れられる。
【0002】
a.発明の分野
本発明は、人体中で使用されるカテーテルに関する。特に、本発明は、カテーテルシャフトの製造性を向上するために、その長手方向軸に沿って様々な材料を組み込んでいる、多数のポリマー部分を用いたカテーテルアッセンブリーに関する。
【背景技術】
【0003】
b.背景技術
カテーテルは、留まるところを知らない数の医療処置に使用されている。例えば、いくつかの例を挙げると、カテーテルは、診断、治療及びアブレーション処置に使用されている。典型的には、カテーテルは、患者の血管を介して操作されて、意図する部位、例えば患者の心臓内へ到達される。カテーテルは、典型的には、1個又はより多くの電極を担持し、それらをアブレーションや、診断などに使用することができる。
【0004】
患者の血管を通って意図する部位までの経路は、長く曲がりくねっている場合が多々あるため、通常、操作力を比較的大きな距離を越えて伝達しなければならない。従って、カテーテルが、その基部端に付与される力によって、患者の血管内を押し進むのに十分な軸強度(例えば、柱部など)を有することが望ましい(「プッシャビリティ(pushability)」)。カテーテルが、基部端に付与されたトルクを遠位端まで送るようにするのが望ましい(「トルクアビリティ(torqueability)」)。プッシャビリティ及びトルクアビリティ(これらを総称して「操縦性」という)によって、医者がカテーテルを意図する部位へ操作し、カテーテルを適切に配向させることが可能となる。カテーテルが十分な可撓性を有しており、患者の血管に実質的に順応することができると同時に、その際にねじれを生じないこともまた望ましい。ねじれは、局所的な応力が材料の耐性強度を超える場合に、カテーテルの材料の一部が損傷した結果として生じることが多い。
【0005】
カテーテルの作業端がいったん所望の位置に移動されると、治療部位の状態によっては、カテーテルの遠位あるいは作業領域は、カテーテルのメインシャフトとは異なる可撓性、硬度、あるいは形状特性を有することが必要となることがある。
【0006】
プッシャビリティ、トルクアビリティ、可撓性、及び耐キンク性を具備するために、現存する多くのカテーテルは、金属線強化層で強化された工学ポリマー材料から作製される。しかしながら、カテーテルのメインシャフトに適したプッシャビリティ、トルクアビリティ、可撓性、及び耐キンク性の特性が、デバイスの作業端にとって適していない場合がある。そのため、カテーテルの先端には、カテーテル本体全体にわたるよりも様々な組み合わせの工学ポリマー材料及び強化線が要求され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
向上された可撓性、耐キンク性、及び操縦性を有すし、カテーテルの遠位作業端がメインシャフトとは異なるカスタマイズされた操縦性及び機械特性を有することを許容するカテーテルを提供することが望まれている、。
【0008】
カテーテルのメインシャフトとは異なる機械特性を有する遠位先端を有するカテーテルをより簡単に製造できることも望まれている。
【0009】
本発明の前述及びその他の局面、特徴、細部、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲の記載を参照し、さらに添付図面を参照することによって明らかになるであろう。
【0010】
ここで開示されるのは、カテーテルアッセンブリーの製造方法であり、概して、基部端、遠位端、外層、内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、露出外部領域を有するカテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、上記の外層の少なくとも一部を上記のカテーテルシャフトの遠位端の長さから(例えば、研磨又はレーザー除去によって)取り除く工程と、基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、上記の内側ジャケットを、上記のカテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に軸方向に係合させる工程と、上記のカテーテルシャフトの遠位セグメントの少なくとも露出外部領域の周囲に外側ジャケットセグメントを配する工程と、カテーテルシャフトの遠位セグメントを、内側ジャケットセグメント及び外側ジャケットセグメントに結合させる工程とを含む。外側ジャケットセグメント及び外層は、異なるデュロメーター硬度値を有する別の材料であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、カテーテルシャフトの露出された遠位セグメントの長さは、少なくとも内側ジャケットセグメントの長さと同じ長さである。
【0011】
任意に、カテーテルシャフトは、内層を含むことができる。内層の少なくとも一部は、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出内部領域を形成するようカテーテルシャフトの遠位端から除去されることができる。露出内部領域は、内側ジャケットセグメントの周囲に配置される。
【0012】
典型的には、カテーテルシャフトの外層、内側ジャケットセグメント、及び外側ジャケットセグメントは、溶融加工性ポリマーを含む。適当な材料には、限定されることなく、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、機能性ポリオレフィン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせのいずれかが挙げられる。その他の適当な材料には、それらに限定されないが、ポリアミドベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、ポリエステルベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、熱可塑性プラスチックポリウレタン、スチレン系熱可塑性プラスチックエラストマー、及びそれらの組み合わせのいずれかが挙げられる。外側ジャケットセグメントが、その長さに沿って異なる硬度を有することができる(例えば、異なる材料硬度の複数の長手方向セグメントを組み込むことによって)こともまた意図される。
【0013】
任意に、内側ジャケットセグメントは、それに作動可能に接続されたプルリングを、例えば内側ジャケットセグメントの基部端に含んでよい。
【0014】
方法はまた、外側ジャケットセグメントと、カテーテルシャフトの露出された遠位セグメントと、内側ジャケットセグメントとにエネルギーを付与して、実質的に単一なカテーテルシャフトを形成する工程を含んでもよい。エネルギーを付与する前に、熱収縮管が外側ジャケットセグメントの当たりに形成され得る。エネルギーは、外側ジャケットセグメントと、カテーテルシャフトの露出された遠位セグメントと、内側ジャケットセグメントとに、カテーテルシャフトの基部端が加熱しない方法で付与されることが望ましい。すなわち、カテーテルシャフトの遠位端から離間して配置されるカテーテルシャフトの外層の部分を加熱しない方法でエネルギーを付与することが望ましい。
【0015】
本発明の別の局面によれば、カテーテルアッセンブリーの形成方法は、第一の材料の外層及び内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、上記の外層の少なくとも一部を上記のカテーテルシャフトの長さから取り除く工程と、基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、上記のカテーテルシャフトの露出された遠位セグメントを、上記の内側ジャケットセグメントの基部端に軸方向に係合させる工程と、第二の材料の外側ジャケットセグメントを上記のカテーテルシャフトの露出された遠位セグメントの周囲に設ける工程と、上記のカテーテルシャフトを、上記の外側ジャケット及び上記の内側ジャケットセグメントに結合させること。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、カテーテルシャフトの内側強化層は、カテーテルシャフト、及び内側ジャケットセグメント及び外側ジャケットセグメントの長さ全体にわたって連続的に延びている。
【0017】
ここでまた開示されるのは、一般的に、次に工程を含む方法に従って形成されたカテーテルアッセンブリーである。方法は、基部端、遠位端、外層、及び内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、カテーテルシャフトのセグメントを露出させるために、上記の外層の少なくとも一部を上記のカテーテルシャフトの遠位端の長さから取り除く工程と、基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、上記のカテーテルシャフトの遠位端における上記の露出されたセグメントを、上記の内側ジャケットセグメントに、該内側ジャケットセグメントが該カテーテルシャフトの露出されたセグメント内でかつそれに近接して配置されるよう、軸方向に係合させる工程と、上記の露出されたカテーテルシャフトセグメントの周囲に外側ジャケットセグメントを形成して、該カテーテルシャフトを該内側ジャケットセグメントに作動可能に接続させる工程とを備える。当然ながら、外側ジャケットセグメントは、その長さに沿って異なる硬度、例えばカテーテルシャフトよりも低いデュロメーターを有することができる(例えば、カテーテルシャフトの外層)。また、内側ジャケットセグメントは、内側ジャケットセグメントの内層に取り付けられるプルリングを含むことができ、該プルリングは内側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフトを通って、カテーテルシャフトの基部端まで延びる複数のプルワイヤーに作動可能に接続されることもできることも意図される。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態において、カテーテルアッセンブリーは、軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内側強化層を有するカテーテルシャフトと、軸長部、基部端、及び遠位端を有する第二の材料の外側ジャケットセグメントであって、該第二の材料は上記の第一の材料とは異なり、上記のカテーテルシャフトはその遠位端において、上記の外側ジャケットセグメントに作動可能に接続され、上記のカテーテルシャフト及び上記の外側ジャケットセグメントの軸長部の全体にわたって延びる、上記のカテーテルシャフトの内側強化層を含む。当然ながら、外側ジャケットセグメントの軸長部は、異なるデュロメーター硬度の材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、外側ジャケットセグメントの軸長部は弓状形状を有し、任意に固定され、又は、可撓性を有していてもよい。
【0019】
本発明のまた別の実施形態において、カテーテルアッセンブリーの製造方法は、概して、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内側強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、露出外部領域を有するカテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、カテーテルシャフトの遠位端の長さから外層の少なくとも一部を取り除く工程と、上記の第一の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域の周囲に配する工程と、外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域に結合させる工程とを備える。
【0020】
外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域に結合させる工程は、外側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフトの遠位セグメントにエネルギーを付与する工程を含んでよい。カテーテルシャフトの基部端を加熱しない方法でエネルギーを付与することが望ましい。
【0021】
任意に、該方法は、内側ジャケットセグメントをカテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に配する工程と、内側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に結合させる工程とを含む。外側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの露出外部領域に結合させる工程と、及び内側ジャケットセグメントを、カテーテルシャフトの遠位セグメントの内面に結合させる工程とは、外側ジャケットセグメント、内側ジャケットセグメント、及びカテーテルシャフトの遠位セグメントにエネルギーを付与する工程を含んでもよい。
【0022】
また別の実施形態において、本発明は、軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内側強化層を有するとともに、、カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、カテーテルシャフトの遠位端から外層が少なくとも一部取り除かれているカテーテルシャフトと、軸長部、基部端及び遠位端を有する、第一の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットとを含むカテーテルアッセンブリーであって、実質的に単一のカテーテルシャフトを形成するために、該外側ジャケットセグメントがカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれた外層の一部実質的に代替するように、カテーテルシャフトがその遠位セグメントにおいて外側ジャケットセグメントに作動可能に接続され、カテーテルシャフトの上記の内側強化層は、カテーテルシャフト及び外側ジャケットセグメントの軸長部の全体にわたって延びている、カテーテルアッセンブリーを提供する。当然ながら、第一の材料及び第二の材料は、異なるデュロメーター硬度値を有することができる。同様に、第一の材料が溶融加工性ポリマーであり、第二の材料が別の溶融加工性ポリマーであることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、カテーテルシャフトは、第三の材料の内層を含み、内側強化層は、外層と内層との間に挟まれる。そして軸長部、基部端、及び遠位端を有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、この内側ジャケットセグメントは、カテーテルシャフトの遠位端で内層に結合される。
【0024】
さらにその他の実施形態において、カテーテルシャフトは、第三の材料の内層を含み、内側強化層は、外層と内層との間に挟まれ、内層の少なくとも一部は、カテーテルシャフトの遠位セグメントにおいてカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれている。そして、軸長部、基部端、及び遠位端を有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、実質的に単一なカテーテルシャフトを形成するために、カテーテルシャフトは、内側ジャケットセグメントが実質的にカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれた内層の部分を代替するように、その遠位セグメントにおいて内側ジャケットセグメントに作動可能に接続される。第三の材料及び第四の材料は、異なるデュロメーター硬度値を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施形態の、強化カテーテルシャフトの長手方向における横断面図である。
【0026】
【図2】図2は、上記同様、カテーテルシャフトの遠位端から材料の外層が取り除かれた強化カテーテルシャフトの長手方向における横断面図である。
【0027】
【図2A】図2Aは、図2の実施形態のさらに材料の内層がカテーテルシャフトの遠位端から取り除かれている変形例を示す。
【0028】
【図3】図3は、図1及び図2の強化カテーテルシャフトの等尺図であり、カテーテルシャフトの遠位端から取り除かれた外側材料も示している。
【0029】
【図4】図4は、強化カテーテルシャフトの内径にほぼ対応する外径を有する別のカテーテルセグメント又はチップの長手方向横断面図である。この特別な実施形態において、カテーテルセグメント又はチップは、内側ジャケットセグメント並びにプルリングを有する。
【0030】
【図5】図5及び図6は、強化カテーテルシャフト及び別のカテーテルセグメント又はチップを含む本発明の実施形態の長手方向における横断面図を示しており、別のカテーテルセグメント又はチップが強化カテーテルシャフト内で交換できるように示されている。
【0031】
【図7】図7は、図6に示される強化カテーテルシャフト及び別のカテーテルセグメント又はチップであって、嵌合されたシャフト部材の全周に配置された外側ジャケットセグメントをさらに有する場合の長手方向における横断面図である。
【0032】
【図8】図8は、図7の等尺の横断面図である。
【0033】
【図9】図9は、図7〜図8の外側ジャケットセグメントを、嵌合された内側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフト部材に結合させる、本発明の実施形態を描写している。
【0034】
【図10】図10は、単一構造体として結合された、強化カテーテルシャフトと、内側ジャケットセグメント、プルリング、及び外側ジャケットセグメントを含む別のカテーテルセグメント又はチップを示す、本発明の実施形態の長手方向における横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、心臓マッピング及びアブレーションのような公知の医療処置のための、人体の血管内での使用に適したカテーテルを提供する。本発明によるカテーテルシャフトを利用するカテーテルは、向上された操縦性、可撓性、及び耐キンク性を利点として具備する。以下の説明のために、本発明は、細長い、電気生理カテーテルと組み合わせて説明される。しかしながら、説明される特徴及び方法は、当業者に理解される限りにおいて多数のカテーテルに組み込むことができることが意図される。本発明に特に適したカテーテルの例には、それらに限定されないが、固定湾曲カテーテル、適合カテーテル、双方向カテーテル、可動性カテーテル、イントロデューサーカテーテル、診断カテーテル、及び潅注式及び非潅注式の両方のアブレーションカテーテルが挙げられる。
【0036】
上記で挙げたような多くの電気生理カテーテルは、身体の都合の良い箇所(例えば、大腿動脈)で同様の方法で血管内に導入される。いったん導入されると、カテーテルの最終的な標的が、心臓のような臓器である場合、最終標的組織に到達するまでの経路は、カテーテルの作業端が最終的に達成を意図することに関係なく、非常に類似している。そのため、血管の曲がりくねった経路を通って誘導するカテーテルのメインシャフトの機械特性は、標的のサイトへと押し進められているデバイスの種類に関わらず、同様のものとなる。例えば、カテーテルのメインシャフトは、典型的には、血管系の多くの分岐を通って曲がりそして転回させることができるような態様で、その長さ方向に沿って簡単に操作するのに十分な柔軟性と可撓性を有している。同時に、メインシャフトは、その基部端で押圧される際に、ねじれの影響を受けやすくなるほど柔軟であってはならない。また、血管壁のような障害物に接触した時に、ねじれに抵抗するための十分な硬度を有するべきである。
【0037】
操縦性、可撓性、及び耐キンク性を向上させるために、多くのカテーテルは、1つ又はより多くの強化層をそれらの構造中で利用する。例えば、Jaraczewski等の米国特許第4,817,613号明細書(以下、“Jaraczewski”)に開示されているガイドカテーテルは、粘性材料として可撓性管状部材と可撓性プラスチックケーシングの間に挟まれ、次いで硬化された一対の編組されたトルク伝達層を備える。しかしながら、Jaraczewskiはまた、ある程度において、可撓性はトルク伝達性を犠牲にして成り立つことを教示している。さらに、トルク伝達層の厚さに応じて、それらの層は、壁厚を増大させることができ、それにより所与のボアサイズに対するカテーテルの全径を増大させるか、あるいは、所与の全径に対するボア径を減少させることになる。
【0038】
対照的に、カテーテルがいったん血管内でその最終標的まで操作されると、カテーテルは、カテーテルの遠位作業端がそのメインシャフトとは異なる物理的及び機械的特性を有することが望ましいことがある。例えば、組織が呈する様々に異なる形状に簡単に適合可能な、非常に柔軟な先端をその作業端に有するマッピングカテーテルを提供することが望ましいことがある。別の状況では、人体の周知の部分の形状に適合できる、例えばループのような、より硬く、固定の形状を有するカテーテルの作業端を提供することが望ましいことがある。
【0039】
従って、カテーテルのメインシャフトを、特別のサイトに誘導可能とするのに必要な機械特性は、カテーテルの作業端又は先端に望ましい機械特性とは異なることがあり、また、著しく異なる場合もある。
【0040】
その長さ方向に沿って可変の機械特性を有する強化カテーテルを製造する伝統的な方法は、シャフト全体のリフロー処理を利用しており、これは製造するのに時間がかかり、かつ、高価である。本発明は、その長さ全体にわたって連続的な内部強化層、及びメインシャフトとは異なる機械特性を有する作業端又はチップを有するカテーテルを説明する。また、本発明によってさらに説明されるのは、カテーテルアッセンブリー全体を同時にリフローする必要のない、代替の製造方法である。
【0041】
図を参照して、電気生理カテーテルアッセンブリーについて説明される。カテーテルの構成要素は、それらが組み立てられた際に集合的に“カテーテルアッセンブリー”と呼ばれる。図全体にわたって、互いに軸的に接続される“カテーテルシャフト”及び“カテーテルセグメント”あるいは“チップ”を含むカテーテルアッセンブリーを参照する。これら構成要素の名称は単に便宜上のものであり、本発明の趣旨に内含されるセグメントの数や軸セグメントの相対的な長さを限定または示唆するものではない。例えば、“カテーテルシャフト”は、長さにおいて“カテーテルセグメント”や“チップ”より長いものである必要はない。同様に、“カテーテルセグメント”又は“チップ”は、カテーテルの最も遠位の部分である必要はない。
【0042】
図1に示されるような特定の実施形態に関して、カテーテルアッセンブリーは、外壁又は外層20、内壁又は内層35、基部端40、遠位端50、及びカテーテルシャフトの内側の長さを通って延びる内部強化層30を有する、押出し形成され、強化されたカテーテルシャフト10を含むことができる。
【0043】
外壁20及び内壁35は、任意に表面エッチングを含む、押出形成されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管(例えばTeflon(登録商標))のような溶融加工性ポリマー管であることができる。外壁20及び内壁35はまた、エッチングされたポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、及びその他の熱可塑性エラストマーを含むその他の溶融加工性ポリマーであることができるが、それらに限定されるものではない。そのようなエラストマーの一つが、Arkema, Inc.製のPebax(登録商標)である。Pebax 30D〜Pebax 7ODを含む、様々なデュロメーターのPebaxを使用することができるが、それらに限定されるものではない。特定の実施形態において、内壁35は、Pebax 60D〜Pebax 72Dを使用することができる。当然のことながら、当業者であれば、カテーテル10の特定の用途によってカテーテルシャフトの外壁20と内壁35に適当な材料をどのように選択するかを理解するであろう。
【0044】
内部強化層30は、編組金属線の管、あるいは当業者に周知のその他の強化材料であってよい。例えば、内部強化層は、代替として、炭素繊維、ポリマー繊維、ケブラー繊維、あるいは当業者に周知のその他材料の非金属ファイバーから作られることもできる。内部強化層中の繊維はまた、“編組”以外の方法で配置することができる。例えば、繊維は、管に対して任意の角度及びピッチでらせん状に巻き付けられることができる。巻き付けられた繊維は、相補的方向あるいは対照方向で巻き付けられた繊維の様々な層を多層状に組み合わせることもできる。繊維は、別の段階で巻き付けられるかあるいは編まれることができるが、実際に、既存のポリマー管中へ織り込まれることもできる。内部強化層は、位密閉された“管”を形成する必要がないこともまた、理解されるべきである。例えば、らせん状の巻き間に空隙を作るような方法で巻かれたらせん状の強化層も、本発明の趣旨に内含される。
【0045】
簡略化のため、図1に示される実施形態は、単一の外壁20及び内部強化層30の周囲の単一の内壁35を含む。しかしながら、外壁20及び内壁35は、異なる配置の任意の数に構成されることができることが意図されている。例えば、異なる径のポリマー管を、相互に同心的に配置し、内部強化層の周囲か又はその内部に配置し、そして内部強化層に対して溶融加工されることができる。同様に、いくつかの長さの別々の管を、末端同士接触させて内部強化層の周囲又はその内部に配置し、そして内部強化層に対して溶融加工されることができる。そのような技術は、所望の特徴に応じて、軸の一定箇所に異なるデュロメーター硬度やその他の機械特性を有する材料を導入するのに使用することができる。すなわち、そのような技術は、軸的に及び/又は径方向において可変する特徴を有するカテーテルシャフトを構成するのに使用することができる。
【0046】
図1に示される実施形態が、本発明の趣旨から逸脱することなく、内部強化層の内部に沿って延びる一組の外壁又は内壁をさらに含むこともまた理解されるべきである。従って、図1に示される実施形態における単一の外壁及び単一の内壁の描写は簡略化のためでだけであって、限定を意図するものではない。
【0047】
例えば、米国特許出願第11/967,219号明細書及び同第11/967,220号明細書は、本発明のカテーテルシャフトの構成に適し得る製造の多数の、異なる構造及び方法を記載している。これらの出願は、本明細書においてその全てが開示されるものとして、参照によりここに組み入れられる。
【0048】
本発明のカテーテルアッセンブリーの基本的な製造方法におけるさらなる工程が、図2〜図3に示されている。示される実施形態において、外層の部分はカテーテルシャフト10の遠位端から取り除かれているが、シャフトの全長にわたって内部強化層30との構造的整合性は維持されている。カテーテルシャフトの遠位端における外層の材料はレーザー、研削又はを残部よりも小さい外径を有する遠位端を作るその他同様の方法で取り除くことができる。本明細書の残部全体にわたって、材料が取り除かれたカテーテルシャフトの遠位端は、カテーテルシャフトの“露出部分”と称される。しかしながら、“露出部分”という用語の使用は、強化層30が実際に露出されている、という意味に解されるべきではない。実際、本発明の特定の実施形態においては、図2では示されていないが、外層20の部分は、強化層30が露出されたり、いずれかの方法で構造的に変更されたりしないよう、カテーテルシャフト10の軸長全体に残されている。
【0049】
図2Aは、図2のカテーテルシャフトの任意の変形例を示しており、内層35の部分及び外層20の部分が遠位端から取り除かれている。内層35の部分は、例えば、カテーテルシャフト10の部分に大きな可撓性を与えるように取り除くことができる。当然のことながら、外層20を取り除くことと同様、内層35の部分は、強化層30が、露出されたり、いずれかの方法で構造的に変更されたりしないよう、カテーテルシャフト10の軸長全体に残されていても良いことが意図されている。
【0050】
図4〜図10は、カテーテルアッセンブリーの“カテーテルセグメント”又は“チップ”要素60のアッセンブリーを示している。以下により詳細に説明するように、カテーテルセグメント又はチップ60(図10を参照)は、外側ジャケットセグメント25を露出されたカテーテルシャフト10の遠位セグメント上にリフローし、さらに任意に、内側ジャケットセグメント80がカテーテルシャフト10の露出された遠位セグメントの内部面に対してリフローすることによって形成される。マンドレル70上に構築されることにより、内側ジャケットセグメント80は、図4に示されるように、マンドレル70の周囲に形成される。例えば、内側ジャケットセグメント80は、個別に押出形成されてからマンドレル70の周囲に被せてもよいし、あるいは、マンドレル70に対してポリマーテープを巻き付けることによって形成することができる。内側ジャケットセグメント80は、単一のデュロメーター又は複数のデュロメーターを含むことができる。図1に説明されるカテーテルシャフトの構成と同様に、カテーテルセグメント又はチップ60の内側ジャケットセグメント80は、単一の層に限定する必要はない。カテーテルセグメント又はチップ60はまた、プルリング90及び付随する配線(図示しない)を含むことができる。図4に示されるように、プルリング90は、内側ジャケットセグメント80の周囲に設けられる。
【0051】
内側ジャケットセグメント80に適した材料には、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、機能性ポリオレフィン、ポリアミドベース熱可塑性プラスチックエラストマー、ポリエステルベース熱可塑性プラスチックエラストマー、スチレン系熱可塑性プラスチックエラストマー、機能性熱可塑性プラスチックオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、イオン性熱可塑性プラスチックエラストマー、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に適した材料には、Pebax(登録商標) 6033、Pellethane 2163−60、Pellethane 2163 65D、Fusabond(登録商標)N MN493D、Fusabond(登録商標)E MBlOOD、Fusabond(登録商標)P M613−05、及びPebax(登録商標) 6833が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0052】
図4の特定の実施形態は、遠位に視野外に延びる長さを有する内側ジャケットセグメント80を示しているが、完成されたカテーテルアッセンブリーのカテーテルセグメント又はチップ60によって、内側ジャケットセグメント80の遠位に延びる様々な長さが許容されうることが明白に意図される。例えば、内側ジャケットセグメントの長さは、図4に示される内側ジャケットセグメント80の長さよりも短くてよく、また、例えば、一実施形態においては、内側ジャケットセグメント80は、内側ジャケットセグメント80がプルリングのいずれかの側部を若干超えて軸線上を延びる(例えば、プルリングの軸長の約10%〜約50%)ような比較的短い長さであってよい。内側ジャケットセグメント80の厚さ及び/又は材料は、所望の特徴に依存して適合させるか、あるいは、異ならせてもよい。
【0053】
上述したように、内側ジャケットセグメント80がその一部に含まれるカテーテルセグメント又はチップは、マッピング又はアブレーション用に設計されることができる。それは、特定の標的生体構造に適合するように固定された形状を有するか、あるいは、接触するどのような形状に対しても適合する形状であることができる。それは双方向性であってもよく、ないしは可動性であってよく、そして追加的にプルリング又はワイヤーも含んでよい。電極、センサー又はその他の機器並びにそれらの要素を支持するのに必要な導体類又はリードを収容してもよい。潅注又はその他の目的のために使用可能な複数のルーメンもまた、特に意図される。要約すると、本発明の趣旨では、カテーテルセグメント又はチップが意図される用途の要求によってのみ限定されるため、カテーテルアッセンブリーのカテーテルセグメント又はチップに対する設計の融通性の最大量を与えることが特に意図される。
【0054】
図5〜図6を参照すると、本発明の一態様による製造プロセスのさらなる工程が示されている。内側ジャケットセグメント80及びカテーテルシャフト10は組み合わせられ、カテーテルシャフト10の遠位端50は、内側ジャケットセグメント80の上に被せられる。これにより、カテーテルシャフト50の内部強化層30が、内側ジャケットセグメント80を密接に囲む(プルリング90が設けられる場合には、これも同様に囲まれる)。
【0055】
図7〜図8における本発明の一態様によるさらなる工程は、露出されたカテーテルシャフト/内側ジャケットセグメントの組み合わせ全体上に被せられる外側ジャケットセグメント25の配置を示している。外側ジャケットセグメント25は、カテーテルシャフト10の外層20と同じ材料を含むことができ、そして、これと類似の厚さであってよい。しかしながら、カテーテルセグメント又はチップに望まれる物理的特性に応じて、それらを同じ又は同様とする必要はない。しかしながら、外側ジャケットセグメント25が、互いに効果的に結合可能であるという意味で、外層20及び内部強化層30と化学的に適合性であることが概して意図されている。本発明の趣旨内で、外側ジャケットセグメント25は、異なる長さ及び硬度を持つセグメントとして構成され、外側ジャケットの長手方向セクションの異なる部分にに異なる物理特性を与えることができる。典型的に、外側ジャケットセグメント25は、外層20とは異なるデュロメーター硬度を有する異なる材料から形成される。遠位端において、露出された遠位セグメントを形成するために外層20の一部を取り除き、そして、それを外側ジャケットセグメント25に含まれる異なるデュロメーター硬度を有する異なる材料で置き換えることにより、カテーテルシャフト10の遠位カテーテルセグメント又はチップ60の湾曲形状をカスタマイズすることができる。これは、シャフトアッセンブリー全体の代わりにカテーテルセグメント又はチップ60の領域中の要素だけをリフローすることによって、有利に行うことができる。同様に、内層35の一部を、遠位端(図2Aを参照)で取り除き、異なるデュロメーター硬度を有する異なる材料を有する内側ジャケットセグメント80で置き換えることで、カテーテルシャフト10の遠位カテーテルセグメント又はチップ60の湾曲形状をカスタマイズすることができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態において、熱収縮性チューブの層(図示しない)は、図9における矢印で示すような力を与えるために外側ジャケットセグメント25の上に配置される。熱収縮材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やフッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)のようなフッ化ポリマー又はポリオレフィン材料であることが好ましい。熱収縮性チューブの代わりとして、カテーテルアッセンブリーは、次の加工の前に適当な成形型内に配置することができる。熱収縮性チューブ又は適当な成形型のいずれかは、一般的に“形状保持構造”と称され、それが溶融加工の間、カテーテルアッセンブリーの全体形状(すなわち、略円形の軸方向断面図)を保持するために、このように称されている。
【0057】
図9に示すように、カテーテルアッセンブリーは、その後溶融加工されてよい。“リフロー結合”と称される場合の多いプロセスにおいて、エネルギー(例えば、無線周波数エネルギー又は熱エネルギー)が、例えば、カテーテルアッセンブリーの外側ジャケットセグメント25等のカテーテルアッセンブリーに与えられて、外側ジャケットセグメント25、外壁20及び内壁35の露出部分、内部強化層30、及び内側ジャケットセグメント80が結合される。熱収縮性チューブは、外側ジャケットセグメント25、内部強化層30、外壁20、内壁35、及び内側ジャケットセグメント80より高い溶融温度を有するため、溶融加工の間、熱収縮性チューブはその管形状を維持しながら収縮する。与えられたエネルギーと、熱収縮性チューブによって及ぼされる圧力の組み合わせは、溶融された外側ジャケットセグメント25、外壁20、内壁35、及び内側ジャケットセグメント80を強制的に流動させ、カテーテルアッセンブリーの外周に再配分させ、内部強化層30の周りでそれらをともに溶融させる。リフロープロセスはまた、プリング90の周りのアッセンブリーを溶融する。リフロープロセスは、遠位端50の付近の外壁20と内壁35の局部的な部分だけを溶融することにより、カテーテルシャフト10の残存部分(基部端40を含む)が加熱されず、そして溶融されないことが理解される。
【0058】
カテーテルアッセンブリーがいったん冷却されると、マンドレル70は、完成されたカテーテルアッセンブリーを通って延びる中央ルーメン(図10)を残して取り除くことができる。任意に、熱収縮性チューブもまた、外層20及び外側ジャケットセグメント25がカテーテルアッセンブリーの最も外側の層になるように取り除くことができる。
【0059】
図10は、リフロー結合プロセスの終了後のカテーテルアッセンブリーを示している。すなわち、図10は、本発明の実施形態に従って形成されたカテーテルアッセンブリーの長手方向横断面を示している。当業者であれば、上述のリフロー結合プロセスの結果、外側ジャケットセグメント25並びに外部側において取り除かれていない外層20、内側ジャケットセグメント80、並びに内部側に存在する内層35の材料が、カテーテルシャフト10内に導入された同じ連続する内部強化層30を完全に封入することを理解するであろう。これらの構成要素のリフロー結合プロセスは、外側ジャケットセグメント25及び内側ジャケットセグメント80の材料の選択に基づいて、カテーテルシャフト10の残部とは典型的に異なる所望の材料特性を有する遠位カテーテルセグメント又はチップ60を形成する。内部強化層30は、カテーテルアッセンブリーの長さ全体にわたって連続しており、外層20、外側ジャケットセグメント25、内層35、及び内側ジャケットセグメント80の材料の間のインターフェース(例えば、結合部)は、デッドスペースや材料の空隙を有しておらず、実質的に継ぎ目がないという利点を有する。これは、カテーテルアッセンブリーの材料が亀裂すること、及びその他の欠陥の可能性を低減する。図10は、単なる概略的な例示のために、リフロープロセス後のカテーテルセグメント60中の内側ジャケットセグメント80の材料及び内層30の別個の領域を示している。実際には、材料が溶融し、凝固してカテーテルセグメント60の結合された内層を形成した後の材料の明確な描写はない。同様に、外層20が完全に取り除かれず、そして外層20の一部がカテーテルセグメント60中に残存する場合、リフロープロセスの間に外側ジャケットセグメント25と結合されて、結合されたカテーテルセグメント60の外層を形成する。
【0060】
当業者であれば、本発明の製造方法が、構造的に連続したカテーテルアッセンブリーを製造する方法で、非常に様々な種類のカテーテルセグメント及びチップをカテーテルシャフトへの取り付けを行うことによってこれまでの方法を向上させることを認識するであろう。従って、一組の製造プロセス及び設備を、血管を通って心臓まで治療器具を送るのに必要な比較的長いカテーテルシャフトの製作に使用することができる。その後に、種々の作業に必要とされる多種多様なカテーテルセグメント及びチップの製作に、比較的小規模で、より特化された製造プロセス及び設備を用いることができる。カテーテルセグメント又はチップだけを、カテーテルシャフトの露出された内部強化層上にリフローさせることにより、構造的に連続したカテーテルアッセンブリーを、比較的迅速に、かつ安価にモジュールとして組み立てることができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、カテーテルアッセンブリーがX線不透過であることが望ましい場合がある。そのため、一つ又はより多くの外層20、外側ジャケットセグメント25、内側ジャケットセグメント80又は内層35が、X線不透過性フィラーを含むことが意図される。適当なX線不透過性フィラーには、硫化バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、酸塩化ビスマス、タングステン、タンタル、白金、金、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。X線不透過性のナノクレイもまた使用できる。X線不透過性フィラーを使用する代わりに、あるいは、X線不透過性フィラーの使用に加えて、X線不透過性マーカー(図示せず)を、カテーテルアッセンブリーに含ませることができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施例をある程度の具体性を有して上記に説明してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく数多くの変更を開示の実施形態に行うことができるであろう。例えば、本発明に従って形成されたカテーテルは、様々な寸法及び、以下に限定されないが、心房性細動の治療及び心房性頻脈の治療を含む、様々な用途を有することができる。
【0063】
本明細書において様々なポリマーについて言及しなたが、ポリエチレン;ポリエチレンイミド;ポリプロピレン;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はTeflon(デラウェア州のDuPont,Wilmington);超高分子量(UHMW)ポリエチレン;高密度ポリエチレン(HDPE);ポリイミド;ポリアリールエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリウレタン;ポリプロピレン;配向性ポリプロピレン;ポリエチレン;結晶化ポリエチレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート;ポリエステル;ポリオキシメチレン又はDelrin(デラウェア州ウィルミントンのDuPont);ポリアミド−イミド(PAI)又はTORLON(Solvay Advance Polymers, Alpharetta, GA);ポリオキシメチレン(POM)、アセタール樹脂、又はDelrin(デラウェア州ウィルミントンのDuPont);及びポリ塩化ビニリデンフルオリド又はKynar(Atochem Corporation)を含む、如何なる数のポリマーも、医療用デバイス及びカテーテル用途に使用することが示唆される。当業者であれば、望ましい可撓性及び潤滑特性を達成するのに適当なポリマー又はポリマーの組み合わせを選択することに精通している。いくつかの例において、Atofina Chemicalsの登録商標であるPebax(登録商標)のようなポリエーテルブロックアミド−PEBAのような可撓性のエラストマーが、本発明での、及び当該分野で公知の、特にカテーテルの外部被覆のための、及び特にDurometer D又はShore D scaleに従って硬度を変える方法で使用するのに好ましいポリマーである。
【0064】
当業者であればまた、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の変更をカテーテルアッセンブリーに行うことができることも理解するであろう。例えば、カテーテルアッセンブリーは、2006年12月29日出願の米国特許出願第11/647,313号明細書(‘313号出願)に記載されるように、可動性にすることができる。あるいは、例えば2006年12月28日出願の米国特許出願第11/646,578号明細書(’578号出願)に記載されるように埋設された内部要素と共に形成することができる。‘313号出願と’578号出願の両出願は、本明細書においてその全てが開示されるものとして、参照によりここに組み入れられる。
【0065】
さらに、本発明によるカテーテルは、代替的な技術を用いて製造できることが意図される。
【0066】
全ての方向に関する言及(例えば、上部、下部、上方、下方、左、右、左側、右側、頂部、底部、上に、下に、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、読み手が本発明を理解するのを助けるための識別目的でのみ使用されており、特に、位置、配向、あるいは本発明の使用を限定するものではない。結合に関する言及(例えば、取り付けられた、連結された、接続されたなど)は広く解釈されるべきであり、そして要素の接続間の中間部材と、要素間の相対移動を含み得る。そのようなものとして結合に関する言及は、2つの要素が直接接続されており、相互に固定した関係であると推察する必要はない。
【0067】
上述の説明に含まれる、又は添付図面に示される全ての事項は、例示的なものだけであると解釈されなければならず、限定されるものではないことが意図される。細部又は構造における変更は、特許請求の範囲に定義されるような本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
基部端、遠位端、外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、
露出外部領域を有する、該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの遠位端の長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と;
前記内側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの内面と軸方向に係合させる工程と、
少なくとも前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出た外部領域の周囲に前記外側ジャケットセグメントを配する工程と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントを、前記内側ジャケットセグメント及び前記外側ジャケットセグメントと結合させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記外側ジャケットセグメント及び前記外層が、異なるデュロメーター硬度値を有する異なる材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カテーテルシャフトが、内層をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの露出内部領域を形成するために、前記内層の少なくとも一部を前記カテーテルシャフトの遠位端から取り除く工程とをさらに含み、
前記露出内部領域が前記内側ジャケットセグメントの周囲に配置される
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントの長さが、少なくとも前記内側ジャケットセグメントの長さと同じ長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カテーテルシャフトの前記外層が、溶融加工性ポリマーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記除去工程が、研削する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記除去工程が、レーザーによる除去工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記内側ジャケットセグメントが、溶融加工性ポリマーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記外側ジャケットセグメントが、その長さに沿って異なる硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記内側ジャケットセグメントが、作動可能にそれに接続されたプルリングをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実質的に一体のカテーテルシャフトを形成するために、前記外側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントと、前記内側ジャケットセグメントとにエネルギーを付与する工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギーを付与する工程の前に、前記外側ジャケットセグメントに対して熱収縮性チューブを形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記外側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントと、前記内側ジャケットセグメントとに、前記カテーテルシャフトの前記基部端を加熱しない方法でエネルギーを付与する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
カテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
第一の材料の外層及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意供する工程と、
該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントを前記内側ジャケットセグメントの基部端と軸方向に係合させる工程と、
第二の材料の外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントの周囲に設ける工程と、
前記カテーテルシャフトを、前記外側ジャケットセグメント及び前記内側ジャケットセグメントと結合させる工程と
を含む、方法。
【請求項16】
前記カテーテルシャフトの前記内部強化層が、前記カテーテルシャフト及び前記内側ジャケットセグメント及び外側ジャケットセグメントの全長にわたって連続的に延びている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記外側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記内部強化層と、前記内側ジャケットセグメントとに、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から離れて配置される前記カテーテルシャフトの前記外層の部分を加熱しない方法でエネルギーを付与する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の材料及び前記第二の材料が、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、機能性ポリオレフィン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の材料及び前記第二の材料が、ポリアミドベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、ポリエステルベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、熱可塑性プラスチックポリウレタン、スチレン系熱可塑性プラスチックエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
基部端、遠位端、外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、
該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの遠位端の長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、
前記内側ジャケットセグメントが、前記カテーテルシャフトの前記露出されたセグメント内でかつそれに近接して位置するように、前記カテーテルシャフトの遠位端において前記露出されたセグメントを前記内側ジャケットセグメントと軸方向に係合させる工程と、
前記カテーテルシャフトと前記内側ジャケットセグメントを作動可能に接続するために、前記露出されたカテーテルシャフトセグメントの周囲に、外側ジャケットセグメントを形成する工程と
を含む方法によって形成された、カテーテルアッセンブリー。
【請求項21】
前記外側ジャケットセグメントが、その長さに沿って異なる硬度を有する、請求項20に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項22】
前記外側ジャケットセグメントが、前記カテーテルシャフトよりも低いデュロメーターを有する、請求項20に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項23】
前記内側ジャケットセグメントは、該内側ジャケットセグメントの内層に取り付けられたプルリングをさらに含む、請求項20に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項24】
前記プルリングは、前記内側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフトを通って前記カテーテルシャフトの基部端まで延びる複数のプルワイヤーに接続される、請求項23に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項25】
軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトと、
軸長部、基部端、及び遠位端を有し、前記第一の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットセグメントと
を含むカテーテルアッセンブリーであって、
前記カテーテルシャフトは、その遠位端において前記外側ジャケットセグメントの前記基部端に作動可能に接続され、
前記カテーテルシャフトの前記内部強化層は、前記カテーテルシャフトの軸長部及び前記外側ジャケットセグメントの全体にわたって延びている、カテーテルアッセンブリー。
【請求項26】
前記外側ジャケットセグメントの前記軸長部が、異なるデュロメーター硬度の材料をさらに含む、請求項25に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項27】
前記外側ジャケットセグメントの前記軸長部が、弓形形状を有する、請求項25に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項28】
前記外側ジャケットセグメントの前記弓形形状が固定されている、請求項27に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項29】
前記外側ジャケットセグメントの前記弓形形状が可撓性を有する、請求項27に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項30】
カテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、
露出外部領域を有する、該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの遠位端の長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
第二の材料の外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域の周囲に配する工程と、
前記外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域に結合させる工程と
を含む、方法。
【請求項31】
前記外側ジャケットセグメントを、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域に結合させる工程が、前記外側ジャケットセグメント及び前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントにエネルギーを付与する工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記エネルギーが、前記カテーテルシャフトの前記基部端を加熱しない方法で付与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの内面に内側ジャケットセグメントを配する工程と、
該内側ジャケットセグメントを、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記内面に結合させる工程と
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域に結合させる工程、及び前記内側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記内面に結合させる工程が、前記外側ジャケットセグメントと、前記内側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントとにエネルギーを付与する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトであって、該外層の少なくとも一部が、該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、該カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれている、カテーテルシャフトと、
軸長部、基部端、及び遠位端を有する前記第位置の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットセグメントと
を含むカテーテルアッセンブリーであって、
実質的に一体のカテーテルシャフトを形成するために、前記カテーテルシャフトは、その遠位セグメントにおいて、前記外側ジャケットセグメントが前記カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれた前記外層の部分を代替するように、前記外側ジャケットセグメントに作動可能に接続され、
前記カテーテルシャフトの前記内部強化層が、前記カテーテルシャフト及び前記外側ジャケットセグメントの軸長部の全体にわたって延びている、
カテーテルアッセンブリー。
【請求項36】
前記第一の材料と前記第二の材料が異なるデュロメーター硬度値を有する、請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項37】
前記第一の材料が溶融加工性ポリマーであり、前記第二の材料が別の溶融加工性ポリマーである、請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項38】
前記カテーテルシャフトが第三の材料の内層を含み、前記内部強化層は、前記外層と前記内層との間に挟まれ、軸長部と、基部端と、遠位端とを有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、前記内側ジャケットセグメントが前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントにおいて前記内層に結合されている、請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項39】
前記カテーテルシャフトが第三の材料の内層を含み、前記内部強化層が、前記外層と前記内層との間に挟まれ、前記内層の少なくとも一部が、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントにおいて前記カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれており、
軸長部と、基部端と、遠位端とを有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、
実質的に一体のカテーテルシャフトを形成するために、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれた前記内層の部分に代替するように、前記カテーテルシャフトがその遠位セグメントにおいて前記内側ジャケットセグメントに作動可能に接続される、
請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項40】
前記第三の材料と前記第四の材料が異なるデュロメーター硬度値を有する、請求項39に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項1】
カテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
基部端、遠位端、外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、
露出外部領域を有する、該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの遠位端の長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と;
前記内側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの内面と軸方向に係合させる工程と、
少なくとも前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出た外部領域の周囲に前記外側ジャケットセグメントを配する工程と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントを、前記内側ジャケットセグメント及び前記外側ジャケットセグメントと結合させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記外側ジャケットセグメント及び前記外層が、異なるデュロメーター硬度値を有する異なる材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カテーテルシャフトが、内層をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの露出内部領域を形成するために、前記内層の少なくとも一部を前記カテーテルシャフトの遠位端から取り除く工程とをさらに含み、
前記露出内部領域が前記内側ジャケットセグメントの周囲に配置される
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントの長さが、少なくとも前記内側ジャケットセグメントの長さと同じ長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カテーテルシャフトの前記外層が、溶融加工性ポリマーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記除去工程が、研削する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記除去工程が、レーザーによる除去工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記内側ジャケットセグメントが、溶融加工性ポリマーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記外側ジャケットセグメントが、その長さに沿って異なる硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記内側ジャケットセグメントが、作動可能にそれに接続されたプルリングをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実質的に一体のカテーテルシャフトを形成するために、前記外側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントと、前記内側ジャケットセグメントとにエネルギーを付与する工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギーを付与する工程の前に、前記外側ジャケットセグメントに対して熱収縮性チューブを形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記外側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントと、前記内側ジャケットセグメントとに、前記カテーテルシャフトの前記基部端を加熱しない方法でエネルギーを付与する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
カテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
第一の材料の外層及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意供する工程と、
該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントを前記内側ジャケットセグメントの基部端と軸方向に係合させる工程と、
第二の材料の外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記露出された遠位セグメントの周囲に設ける工程と、
前記カテーテルシャフトを、前記外側ジャケットセグメント及び前記内側ジャケットセグメントと結合させる工程と
を含む、方法。
【請求項16】
前記カテーテルシャフトの前記内部強化層が、前記カテーテルシャフト及び前記内側ジャケットセグメント及び外側ジャケットセグメントの全長にわたって連続的に延びている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記外側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記内部強化層と、前記内側ジャケットセグメントとに、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から離れて配置される前記カテーテルシャフトの前記外層の部分を加熱しない方法でエネルギーを付与する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の材料及び前記第二の材料が、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、機能性ポリオレフィン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の材料及び前記第二の材料が、ポリアミドベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、ポリエステルベースの熱可塑性プラスチックエラストマー、熱可塑性プラスチックポリウレタン、スチレン系熱可塑性プラスチックエラストマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
基部端、遠位端、外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、
該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの遠位端の長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
基部端及び遠位端を有する内側ジャケットセグメントを用意する工程と、
前記内側ジャケットセグメントが、前記カテーテルシャフトの前記露出されたセグメント内でかつそれに近接して位置するように、前記カテーテルシャフトの遠位端において前記露出されたセグメントを前記内側ジャケットセグメントと軸方向に係合させる工程と、
前記カテーテルシャフトと前記内側ジャケットセグメントを作動可能に接続するために、前記露出されたカテーテルシャフトセグメントの周囲に、外側ジャケットセグメントを形成する工程と
を含む方法によって形成された、カテーテルアッセンブリー。
【請求項21】
前記外側ジャケットセグメントが、その長さに沿って異なる硬度を有する、請求項20に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項22】
前記外側ジャケットセグメントが、前記カテーテルシャフトよりも低いデュロメーターを有する、請求項20に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項23】
前記内側ジャケットセグメントは、該内側ジャケットセグメントの内層に取り付けられたプルリングをさらに含む、請求項20に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項24】
前記プルリングは、前記内側ジャケットセグメント及びカテーテルシャフトを通って前記カテーテルシャフトの基部端まで延びる複数のプルワイヤーに接続される、請求項23に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項25】
軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトと、
軸長部、基部端、及び遠位端を有し、前記第一の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットセグメントと
を含むカテーテルアッセンブリーであって、
前記カテーテルシャフトは、その遠位端において前記外側ジャケットセグメントの前記基部端に作動可能に接続され、
前記カテーテルシャフトの前記内部強化層は、前記カテーテルシャフトの軸長部及び前記外側ジャケットセグメントの全体にわたって延びている、カテーテルアッセンブリー。
【請求項26】
前記外側ジャケットセグメントの前記軸長部が、異なるデュロメーター硬度の材料をさらに含む、請求項25に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項27】
前記外側ジャケットセグメントの前記軸長部が、弓形形状を有する、請求項25に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項28】
前記外側ジャケットセグメントの前記弓形形状が固定されている、請求項27に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項29】
前記外側ジャケットセグメントの前記弓形形状が可撓性を有する、請求項27に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項30】
カテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトを用意する工程と、
露出外部領域を有する、該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために該カテーテルシャフトの遠位端の長さから前記外層の少なくとも一部を取り除く工程と、
第二の材料の外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域の周囲に配する工程と、
前記外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域に結合させる工程と
を含む、方法。
【請求項31】
前記外側ジャケットセグメントを、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域に結合させる工程が、前記外側ジャケットセグメント及び前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントにエネルギーを付与する工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記エネルギーが、前記カテーテルシャフトの前記基部端を加熱しない方法で付与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの内面に内側ジャケットセグメントを配する工程と、
該内側ジャケットセグメントを、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記内面に結合させる工程と
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記外側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記露出外部領域に結合させる工程、及び前記内側ジャケットセグメントを前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントの前記内面に結合させる工程が、前記外側ジャケットセグメントと、前記内側ジャケットセグメントと、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントとにエネルギーを付与する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
軸長部、基部端、遠位端、第一の材料の外層、及び内部強化層を有するカテーテルシャフトであって、該外層の少なくとも一部が、該カテーテルシャフトの遠位セグメントを露出させるために、該カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれている、カテーテルシャフトと、
軸長部、基部端、及び遠位端を有する前記第位置の材料とは異なる第二の材料の外側ジャケットセグメントと
を含むカテーテルアッセンブリーであって、
実質的に一体のカテーテルシャフトを形成するために、前記カテーテルシャフトは、その遠位セグメントにおいて、前記外側ジャケットセグメントが前記カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれた前記外層の部分を代替するように、前記外側ジャケットセグメントに作動可能に接続され、
前記カテーテルシャフトの前記内部強化層が、前記カテーテルシャフト及び前記外側ジャケットセグメントの軸長部の全体にわたって延びている、
カテーテルアッセンブリー。
【請求項36】
前記第一の材料と前記第二の材料が異なるデュロメーター硬度値を有する、請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項37】
前記第一の材料が溶融加工性ポリマーであり、前記第二の材料が別の溶融加工性ポリマーである、請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項38】
前記カテーテルシャフトが第三の材料の内層を含み、前記内部強化層は、前記外層と前記内層との間に挟まれ、軸長部と、基部端と、遠位端とを有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、前記内側ジャケットセグメントが前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントにおいて前記内層に結合されている、請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項39】
前記カテーテルシャフトが第三の材料の内層を含み、前記内部強化層が、前記外層と前記内層との間に挟まれ、前記内層の少なくとも一部が、前記カテーテルシャフトの前記遠位セグメントにおいて前記カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれており、
軸長部と、基部端と、遠位端とを有する第四の材料の内側ジャケットセグメントをさらに含み、
実質的に一体のカテーテルシャフトを形成するために、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から取り除かれた前記内層の部分に代替するように、前記カテーテルシャフトがその遠位セグメントにおいて前記内側ジャケットセグメントに作動可能に接続される、
請求項35に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項40】
前記第三の材料と前記第四の材料が異なるデュロメーター硬度値を有する、請求項39に記載のカテーテルアッセンブリー。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−507664(P2011−507664A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540804(P2010−540804)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087511
【国際公開番号】WO2009/088697
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(506257180)セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド (57)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087511
【国際公開番号】WO2009/088697
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(506257180)セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド (57)
【Fターム(参考)】
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