説明

カブリトナー除去装置、画像形成装置、及びカラー画像形成装置

【課題】画像部のトナーを乱すことなく、かつ非画像部に付着するカブリトナーを回収できるカブリトナー除去装置、画像形成装置、カラー画像形成装置を提供すること。
【解決手段】帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を配設し、静電潜像が形成される感光体に対し、前記現像手段の下流側に位置し、カブリ除去用の静電潜像が形成されるカブリ除去感光体と、カブリ除去帯電手段と、カブリ除去露光手段と、カブリ除去クリーニング手段と、を有し、前記カブリ除去感光体上の静電潜像は、前記感光体上の静電潜像に対し、画像領域と非画像領域との電位が互いに反転する反転潜像として形成され、前記感光体上のトナー像と位相が合致するとき、電位差によって形成された電界により、前記感光体上の非画像領域に付着するカブリトナーを前記カブリ除去感光体上に引き寄せることを特徴とするカブリトナー除去装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置の感光体上に形成されるトナー像における非画像部のカブリを防止するためのカブリトナー除去装置、それを備えた画像形成装置、及びそれを備えたカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、非画像部にトナーが付着する、所謂「カブリ」という現象が生じる場合がある。特に長時間使用による現像剤の劣化時や、高温高湿時等の環境条件が悪いときにこの現象が顕著に現れる。
【0003】
感光体に静電潜像を形成し、顕像としてトナー像を形成する際の、帯電電位をV0、現像終了後の感光体の画像部に付着したトナー層の表面電位(画像部の電位)をVtで表すとき、|V0−Vt|をここではカブリマージンと称する。このカブリマージン|V0−Vt|が広くなるように、帯電電位V0及び画像部の電位Vtを設定すればカブリは低減されるが、代わりに感光体へのキャリア付着が増え、感光体の損傷及び画像不良を発生させる。従って、キャリア付着を回避するとともに、カブリを生じさせない技術が必要となる。
【0004】
カブリトナーを除去する技術として、感光体のトナー像が形成される部分に一様に電界を形成してカブリトナーを回収する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図9は、カブリトナー除去に対する従来技術として、特許文献1に記載された構成の概略を示す概略構成図である。特許文献1に開示された技術は、図9に示すように、感光体ドラム1と現像装置4の現像ローラ41との間に回転可能な電極部材40を設置し、バイアス電圧を印加して感光体ドラム1上の非画像部に付着したカブリトナーを除去するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−194376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この技術ではカブリトナーの除去とともに画像部のトナーも一部除去してしまい、トナー像の乱れや濃度低下を発生させる可能性があり、その回避とカブリトナーの回収とを両立させることは困難である。本発明の目的は、画像部のトナーを乱すことなく、かつ非画像部に付着するカブリトナーを回収できるカブリトナー除去装置、それを備えた画像形成装置、及びそれを備えたカラー画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0009】
1.周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を配設し、前記帯電手段及び前記露光手段により画像形成用の静電潜像が形成され、前記現像手段によりトナー像が形成される感光体に対し、
表面にカブリ除去用の静電潜像が形成され、前記感光体の回転方向における前記現像手段の下流側で前記転写手段の上流側に配置され、かつ前記感光体と表面が接し、かつ接触位置で同方向に同速度で回転するカブリ除去感光体と、
前記カブリ除去感光体を帯電するカブリ除去帯電手段と、
帯電された前記カブリ除去感光体を露光して前記カブリ除去用の静電潜像を形成するカブリ除去露光手段と、
前記カブリ除去感光体表面をクリーニングするカブリ除去クリーニング手段と、を有し、
前記カブリ除去感光体上に形成されるカブリ除去用の静電潜像は、前記感光体上に形成される画像形成用の静電潜像に対し、画像領域と非画像領域との電位が互いに反転し、前記感光体上のトナー像と位相が合致して重なり合い、前記感光体と前記カブリ除去感光体との間に形成された電界により、前記感光体上のトナー像における非画像領域に付着するカブリトナーを前記カブリ除去感光体上に引き寄せるように形成されていることを特徴とするカブリトナー除去装置。
【0010】
2.前記感光体と前記カブリ除去感光体とはともに正帯電感光体或いは負帯電感光体の同極性の関係であり、前記感光体上の画像形成用の静電潜像は画像領域を前記露光手段により露光することにより形成され、前記カブリ除去感光体上のカブリ除去用の静電潜像は前記画像領域以外の非画像領域を前記カブリ除去露光手段により露光することにより形成されることを特徴とする前記1に記載のカブリトナー除去装置。
【0011】
3.前記感光体と前記カブリ除去感光体とは一方が正帯電感光体で他方が負帯電感光体の逆極性の関係であり、前記感光体と前記カブリ除去感光体は、前記帯電手段及び前記カブリ除去帯電手段により相互に異なる極性で帯電され、
前記カブリ除去感光体の基体に電圧を印加するカブリ除去電圧印加手段を有し、前記カブリ除去感光体に前記カブリ除去帯電手段により帯電される極性と同極性の電圧を前記カブリ除去電圧印加手段により印加し、
前記感光体上の画像形成用の静電潜像は、前記感光体上の画像領域を前記露光手段により露光することにより形成され、前記カブリ除去感光体上のカブリ除去用の静電潜像も画像領域を前記カブリ除去露光手段により露光することにより形成されることを特徴とする前記1に記載のカブリトナー除去装置。
【0012】
4.前記感光体上の前記露光手段による露光位置から前記接触位置までの距離は、前記カブリ除去感光体上の前記カブリ除去感光体の露光位置から前記接触位置までの距離と同一であり、
前記露光手段は露光経路を分岐するハーフミラーを備え、該露光手段は前記カブリ除去露光を兼用していることを特徴とする前記3に記載のカブリトナー除去装置。
【0013】
5.前記感光体が円筒状部材で形成され、前記カブリ除去感光体がベルト状部材で形成されていることを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のカブリトナー除去装置。
【0014】
6.周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を配設し、画像形成用の静電潜像及びトナー像が形成される感光体と、
前記感光体の回転方向における前記現像手段の下流側で前記転写手段の上流側に配設される前記1から5のいずれか1項に記載のカブリトナー除去装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0015】
7.周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、及び一次転写手段をそれぞれに配設し、前記帯電手段及び前記露光手段により画像形成用の静電潜像が形成され、前記現像手段によりトナー像が形成される複数の感光体、
前記複数の感光体に接触しながら回転し、前記複数の感光体に形成されたトナー像が転写されてカラー画像が形成される中間転写体、及び、
前記中間転写体の回転方向における前記複数の感光体の下流側に配設され、前記中間転写体に形成されたカラー画像を記録紙に転写する二次転写手段、を有するカラー画像形成装置であって、
前記中間転写体の回転方向における前記複数の感光体の下流側で前記二次転写手段の上流側の位置で、かつ前記中間転写体に接触する位置に配設されるカブリトナー除去装置を有し、
前記カブリトナー除去装置は、
導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層を形成した感光体からなり、該感光層にカブリ除去用の静電潜像が形成され、前記中間転写体と表面が接し、かつ接触位置で同方向に同速度で回転するカブリ除去感光体と、
前記カブリ除去感光体表面を帯電するカブリ除去帯電手段と、
帯電された前記カブリ除去感光体表面を露光して前記カブリ除去用の静電潜像を形成するカブリ除去露光手段と、
前記カブリ除去感光体の基体に電圧を印加するカブリ除去電圧印加手段と、
前記カブリ除去感光体表面をクリーニングするカブリ除去クリーニング手段と、を有し、
前記カブリ除去感光体上に形成されるカブリ除去用の静電潜像は、前記中間転写体上の前記複数の感光体のいずれかによりトナー像が形成された画像領域に対応し、該トナー像と位相が合致して重なり合い、前記中間転写体と前記カブリ除去感光体との間に形成された電界により、前記中間転写体上のトナー像における画像領域以外の非画像領域に付着するカブリトナーを前記カブリ除去感光体上に引き寄せるように形成されていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、画像部のトナー像を乱すことなく、非画像部のカブリトナーを除去することができる。また、感光体上で画像部から散らされる散りトナーを除去することができ、画像のボケを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置本体A、原稿読み取り部Bから成る画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態についての構成及び動作を説明するための概略構成図である。
【図3】本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態を感光体ドラム1に対向させたときの各部の電位の状態を表す模式図である。
【図4】本発明に係るカブリトナー除去装置30の第2の実施形態についての構成及び動作を説明するための概略構成図である。
【図5】本発明に係るカブリトナー除去装置30の第2の実施形態を感光体ドラム1に対向させたときの各部の電位の状態を表す模式図である。
【図6】本発明に係るカブリトナー除去装置を備えたカラー画像形成装置の実施形態を示す断面構成図である。
【図7】本発明に係るカブリトナー除去装置30の第3の実施形態についての構成及び動作を説明するための概略構成図である。
【図8】本発明に係るカブリトナー除去装置30の第3の実施形態を中間転写ベルト70に対向させたときの各部の電位の状態を表す模式図である。
【図9】カブリトナー除去に対する従来技術の構成の概略を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の画像形成装置の実施の形態について図1を用いて説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、画像形成装置本体A、原稿読み取り部Bから成る画像形成装置の構成図である。
【0020】
図示の画像形成装置本体Aは、感光体(感光体ドラム)1、帯電手段2、露光手段(画像書込手段)3、現像手段4、転写手段5、除電手段6、分離爪19、クリーニング手段8等から成る画像形成部と、定着手段9と、用紙搬送系と、から構成されている。
【0021】
用紙搬送系は、給紙カセット20、第1給紙手段21、中間ローラ22、搬送手段13、排紙手段25、及び手差し給紙手段15から成る第1搬送部と、記録紙Pを循環再給紙する循環再給紙部とから構成されている。
【0022】
給紙カセット20及び第1給紙手段21は、複数の給紙手段(図示の3段)により形成され、複数種のサイズの記録紙Pを収容して給紙する。用紙サイズは、操作部80による手動設定、又は用紙サイズ検知手段による自動用紙サイズ設定によって入力される。
【0023】
原稿読み取り部Bで読み取られた原稿の画像データはイメージセンサCCDにより読み込まれる。イメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光手段3に画像信号を送る。
【0024】
露光手段3、3A、3Bにおいては、レーザからの出力光が画像形成部の感光体1又はカブリ除去感光体ユニット31(後述)に照射され、潜像を形成する。
【0025】
画像形成部においては、感光体ドラム1の周囲に帯電手段2、露光手段(画像書込手段)3、3A、3B、現像手段4、転写手段5、除電手段6、分離爪19、クリーニング手段8等が配設され、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。
【0026】
本発明に係るカブリトナー除去装置30は、感光体ドラム1の回転方向における現像手段4の下流側で、転写手段5の上流側に配設されている。
【0027】
給紙カセット20、手差し給紙手段15から給送された記録紙Pは転写手段5により画像が転写される。画像を担持した記録紙Pは、定着手段9により定着され、排紙手段25から排出される。
【0028】
或いは搬送路切換手段24により循環再給紙部に送り込まれた片面画像処理済みの記録紙Pは反転搬送ローラ17により反転された後に再び画像形成部において両面画像処理された後、定着手段9によって定着処理され、排紙手段25により排出される。
【0029】
図2は、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態についての構成及び動作を説明するための概略構成図である。図3は、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態を感光体ドラム1に対向させたときの各部の電位の状態を表す模式図である。
【0030】
図2において、感光体ドラム1の周囲に帯電手段2、露光手段3A、現像手段4、転写手段5、及び除電手段6等が配設されており、本発明に係るカブリトナー除去装置30は、現像手段4と転写手段5との中間に配設されている。
【0031】
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態は、カブリ除去感光体ユニット31、カブリ除去帯電手段32、カブリ除去露光手段3B、カブリ除去除電手段36、及びカブリ除去クリーニング手段38等からなる。カブリ除去感光体ユニット31は、ベルト状部材からなるベルト状感光体31aと、ベルト状感光体31aを巻回して回転駆動するベルト保持ローラ31b、31c等からなる。感光体ドラム1にベルト状感光体31を介して接触するベルト保持ローラ31bは、例えば発泡性の軟質樹脂等からなる弾性部材が望ましく用いられる。
【0032】
感光体ドラム1は、負帯電型の感光体からなり、帯電手段2により表面に均一な電荷を付与された後、露光手段3Aによりレーザの出力光LBAを照射され、静電潜像が形成される。
【0033】
ベルト状感光体31aは、感光体ドラム1と同極性の負帯電型の感光体からなり、カブリ除去帯電手段32により均一な電荷を付与された後、カブリ除去露光手段3Bによりレーザの出力光LBBを照射され、感光体ドラム1に対する反転潜像が形成される。ここでいう反転潜像とは、感光体ドラム1上に形成される静電潜像に対して画像領域と非画像領域との電位が互いに反転するカブリ除去用の静電潜像のことである。ここで画像領域とは、画像データに基づいて露光手段3Aにより露光を行い、トナー像を形成する領域(トナー付着部)のことであり、非画像領域とは、トナー像を形成する領域以外の領域のことである。例えば、トナーにより文字を形成する場合には当該文字の部分は画像領域であり、文字以外の背景は非画像領域である。また、ベルト状感光体31aでは感光体ドラム1と位相を合致させた際に、感光体ドラム1の画像領域、非画像領域に対応する領域を同様にベルト状感光体31aにおける画像領域、非画像領域と称している。
【0034】
本発明の感光体の層構成は特に限定されないが、負帯電感光体においては、導電性基体上に下引層(UCL)、その上に機能分離した感光層の電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)を順に設けた上に保護層を塗設した構成を採るのが好ましい。正帯電感光体では、前記負帯電感光体層構成の内、電荷発生層と電荷輸送層の順を逆にした構成を採ることが好ましい。
【0035】
図3において、符号のV0は、帯電手段2により帯電された直後の感光体ドラム1表面における帯電電位を表し、Viは、レーザの出力光LBAに照射された露光後の感光体画像部の電位(以下、露光時電位という)を表す。また、Vtは、現像DCバイアス電圧を付与されて現像された後、感光体の画像部に付着したトナー層の表面電位(以下、画像部の電位ともいう)を表す。一方、V1は、カブリ除去帯電手段32により帯電された直後のベルト状感光体31a表面における画像部の電位を表し、V2は、レーザの出力光LBAに照射された後のベルト状感光体31a表面における非画像部の電位を表す。
【0036】
感光体ドラム1は、帯電手段2により帯電され、感光体ドラム1表面が帯電電位V0(実施形態では−500V)に帯電される。次いで露光手段3Aにより感光体ドラム1表面の画像部がレーザの出力光LBAに照射され、露光時電位Vi(実施形態では−50V)となり、静電潜像が形成される。更に現像手段4により現像バイアスが現像ローラに印加され、帯電電位V0との電位差によって形成された電界によりトナーが現像手段4から感光体ドラム1の画像部に移動され、形成されるトナー層の電位は画像部の電位Vt(実施形態では−250V)となる。
【0037】
一方、ベルト状感光体31aは、カブリ除去帯電手段32により帯電され、ベルト状感光体31a表面が画像部の電位V1(実施形態では−300V)に帯電される。次いでカブリ除去露光手段3Bによりベルト状感光体31a表面の非画像部がレーザの出力光LBBに照射され、非画像部の電位V2(実施形態では−50V)となり、感光体ドラム1に対して画像部と非画像部との電位が反転するカブリ除去用の静電潜像が形成される。
【0038】
なお、入力された画像データに基づいて露光手段3Aは露光を行う。そして露光手段3Bは、同じ画像データに基づいて露光手段3Aとはネガポジの関係となるように信号を反転させたパターンの露光を感光体ドラム1とベルト状感光体31aの接触位置で位相が合うように、タイミングを取って行っている。このようにすることにより現像手段4により表面にトナー像を形成された感光体ドラム1が回転を継続してベルト状感光体31aの位置に達するとき、感光体ドラム1上のトナー像とベルト状感光体31a上の静電潜像との位相が合致し、互いに重なりながら回転する。感光体ドラム1とベルト状感光体31aとは、互いに接触するニップ部において、同方向に同速度で回転する。
【0039】
次に、感光体ドラム1及びベルト状感光体31aにおけるトナーTn及びカブリトナーTkの動作について説明する。
【0040】
感光体ドラム1上の画像部のトナーTnは、ベルト状感光体31aの画像部の電位V1と感光体ドラム1の露光時電位Viとの電位差によって形成された電界により感光体ドラム1に押しつけられ、形成されるトナー層の電位は画像部の電位Vtとなる。また、感光体ドラム1上の非画像部に付着するカブリトナーTkは、ベルト状感光体31aの非画像部の電位V2と感光体ドラム1の帯電電位V0との電位差によって形成された電界により、ベルト状感光体31aの非画像部に引き寄せられる。その後、ベルト状感光体31aの非画像部に引き寄せられたカブリトナーTkは、カブリ除去クリーニング手段38により除去される。
【0041】
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態によれば、露光手段3Aとカブリ除去露光手段3Bとが別体であるため、感光体ドラム1上のトナー像とベルト状感光体31aの静電潜像との位相を合致させることが容易に行えるという利点がある。
【0042】
なお、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態では、感光体ドラム1とベルト状感光体31aとが、ともに負帯電感光体であるという構成であったが、ともに正帯電感光体としても本発明の適用が可能である。
【0043】
図4は、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第2の実施形態についての構成及び動作を説明するための概略構成図である。図5は、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第2の実施形態を感光体ドラム1に対向させたときの各部の電位の状態を表す模式図である。
【0044】
図4及び図5において、第2の実施形態は第1の実施形態に類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0045】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点の1つは、感光体ドラム1とベルト状感光体31aとの感光体の帯電極性が異なる逆極性の感光体で構成されている点である。即ち、感光体ドラム1が負帯電感光体であるのに対し、ベルト状感光体31aは正帯電感光体である。なお、感光体ドラム1とベルト状感光体31aとの感光体の帯電極性を入れ換えることも可能である。
【0046】
異なる点のもう1つは、感光体ドラム1とベルト状感光体31aとをレーザの出力光で照射する画像部と非画像部との領域が異なる点である。即ち、それぞれの感光体を照射する領域が、第1の実施形態では画像部と非画像部とに分かれているが、第2の実施形態ではハーフミラー3A2が配設されており、レーザの出力光がLBA、LBBの2つに分岐されて、どちらも画像部を照射している点である。即ち、ハーフミラー3A2を用いることにより、露光手段3Aは1つで感光体ドラム1及びベルト状感光体31aに対する露光を同時に行っている。
【0047】
第2の実施形態においては、感光体ドラム1上のトナー像とベルト状感光体31aの静電潜像との位相を合致させるため、各々のレーザの出力光LBA、LBBの入射位置から感光体ドラム1とベルト状感光体31aのニップ部までの距離を同一にする必要がある。即ち、両者のニップ部の中心位置から、感光体ドラム1上のレーザの出力光LBAの入射位置までの距離と、ベルト状感光体31a上のレーザの出力光LBBが入射される位置までの距離とを一致させる必要がある。
【0048】
異なる点の他の1つは、ベルト状感光体31aの初期電位の違いである。第1の実施形態では、ベルト状感光体31aをカブリ除去帯電手段32によりマイナスの高圧(実施形態では−300V)に帯電させている。その後の露光では画像部は露光されないため、マイナスの高圧がそのまま残される。これに対し、第2の実施形態ではカブリ除去帯電手段32によりベルト状感光体31aの電位がプラスの高圧(実施形態では+350V)を印加され、かつカブリ除去電圧印加手段31dによりベルト状感光体31aの基体にマイナスの高圧(実施形態では−300V)を印加されている。このプラスとマイナスの電位が相殺されて、ベルト状感光体31aの非画像部にはカブリ除去用の帯電電位Vj0(実施形態では+50V)が付与されている。
【0049】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、現像手段4におけるトナーTnは、ベルト状感光体31a画像部の電位V4と露光時電位Viとが形成する電界により、感光体ドラム1の画像部に押しつけられ、形成されるトナー層の電位は画像部の電位Vtとなる。また、感光体ドラム1上の非画像部に付着するカブリトナーTkは、ベルト状感光体31aの非画像部の電位V3と感光体ドラム1の帯電電位V0との電位差によって形成された電界により、ベルト状感光体31aの非画像部に引き寄せられる。その後、ベルト状感光体31aの非画像部に引き寄せられたカブリトナーTkは、カブリ除去クリーニング手段38により除去される。
【0050】
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第2の実施形態によれば、露光手段3Aが1つで構成されるため、構成が簡略化されるとともに、コストを抑制できるという利点がある。
【0051】
図6は、本発明に係るカブリトナー除去装置を備えたカラー画像形成装置の実施形態を示す断面構成図である。
【0052】
このカラー画像形成装置は、タンデム型フルカラー複写機と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット(以下、単に中間転写体ユニットという)700と、給紙手段21及び定着手段9とから成る。画像形成装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り部Bが配置されている。
【0053】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段8Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラ5M、クリーニング手段8Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラ5C、クリーニング手段8Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、ドラム状の感光体(以下、1Y、1M、1C、及び1Kを単に感光体という。)1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写ローラ5K、クリーニング手段8Kを有する。感光体1Y、1M、1C、1Kは、それぞれ、帯電手段2Y、2M、2C、2K、及び露光手段3Y、3M、3C、3Kにより静電潜像を形成され、現像手段4Y、4M、4C、4Kによりトナー像を形成される。
【0054】
中間転写体ユニット700は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の、第1の転写媒体である無端ベルト状中間転写体(以下、単に中間転写ベルトという。)70を有する。
【0055】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された第2の転写媒体としての記録紙Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て搬送される。更に記録紙Pは、二次転写手段としての第1の二次転写ローラ5A及び第2の二次転写ローラ5B、更にバックアップローラ5Dに搬送され、二次転写が行われて中間転写ベルト70上のカラー画像が記録紙P上に一括転写される。カラー画像が転写された記録紙Pは、定着手段9により定着処理され、排紙手段25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0056】
一方、二次転写ローラ5A、5B、及びバックアップローラ5Dにより記録紙Pにカラー画像を転写した後、記録紙Pを曲率分離した中間転写ベルト70は、クリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。
【0057】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0058】
バックアップローラ5Dは、当該バックアップローラ5Dを記録紙Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、中間転写ベルト70に圧接する。
【0059】
また、筐体18は装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
【0060】
筐体18は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、中間転写体ユニット700とから成る。
【0061】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には中間転写体ユニット700が配置されている。中間転写体ユニット700は、ローラ71、72、第1の二次転写ローラ5A及び第2の二次転写ローラ5Bを巻回する回動可能な中間転写ベルト70と、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kと、クリーニング手段8Aとから成る。
【0062】
筐体18の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、中間転写体ユニット700とは、一体となって、本体Aから引き出される。
【0063】
筐体18の図示左側の支持レール82Lは、中間転写ベルト70の左方で、定着手段9の上方空間部に配置されている。筐体18の図示右側の支持レール82Rは、最下部の現像手段4Kの下方付近に配置されている。支持レール82Rは、現像手段4Y、4M、4C、4Kを筐体18に着脱する動作に支障を来さない位置に配置されている。
【0064】
筐体18の感光体1Y、1M、1C、1Kの図示右方は、現像手段4Y、4M、4C、4Kにより囲まれ、図示下方は、帯電手段2Y、2M、2C、2K、及びクリーニング手段8Y、8M、8C、8K等に、図示左方は、中間転写ベルト70により囲まれている。
【0065】
その中で感光体、クリーニング手段及び帯電手段等は一つの感光体ユニットを形成し、現像手段及びトナー補給装置等は一つの現像ユニットを形成している。
【0066】
一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kは、中間転写体としての中間転写ベルト70の背面から各感光体1Y、1M、1C、1Kへ押圧される構成となっている。然るに、押圧される時は、押圧しない時の中間転写ベルト70と各感光体1Y、1M、1C、1Kとの接触点よりも感光体回転方向下流側で、各感光体1Y、1M、1C、1Kへ押圧される。このとき中間転写ベルト70は各感光体1Y、1M、1C、1Kの外周に沿うように曲げられ、感光体と中間転写ベルト70の接触領域の最も下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置される構成となる。
【0067】
本発明に係るカブリトナー除去装置30は、中間転写ベルト70の回転方向における感光体1Kの下流側で、第1の二次転写ローラ5Aの上流側に配設され、かつ中間転写ベルト70に接触するように配設されている。カブリトナー除去装置30の補助電極ローラ310Aは、カブリトナー除去装置30のカブリ除去感光体ドラム310(後述)に対向する位置に中間転写ベルト70を挟んで配設される。
【0068】
図7は、図6で説明したカラー画像形成装置の一部を拡大した、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第3の実施形態についての構成及び動作を説明するための概略構成図である。図8は、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第3の実施形態を中間転写ベルト70に対向させたときの各部の電位の状態を表す模式図である。
【0069】
図7において、本発明に係るカブリトナー除去装置30は、中間転写ベルト70の回転方向における複数の感光体1Y、1M、1C、1Kの下流側で第1の二次転写ローラ5Aの上流側に配設される。
【0070】
カブリトナー除去装置30の第3の実施形態は、カブリ除去感光体ドラム310と、その周囲に配設されるカブリ除去帯電手段32、カブリ除去除電手段36、カブリ除去クリーニング手段38、補助電極ローラ310A、及びカブリ除去露光手段3B等からなる。補助電極ローラ310Aは導電性の弾性ローラからなり、中間転写ベルト70を挟んでカブリ除去感光体ドラム310に対向する位置に配設され、中間転写ベルト70をカブリ除去感光体ドラム310に接触させている。補助電極ローラ310Aは図示しない電圧付与手段に接続されており、電圧を付与してトナー像を転写された中間転写ベルト70にトナーを引き寄せている。
【0071】
カブリ除去感光体ドラム310は導電性を有する円筒状の基体の外周に感光層を形成した円筒状部材からなる。カブリ除去感光体ドラム310の表面には、カブリ除去帯電手段32及びカブリ除去露光手段3Bにより、感光体1Y、1M、1C、1K上に形成される静電潜像に対して画像領域と全ての色に共通する非画像領域との電位が互いに反転するカブリ除去用の反転潜像が形成される。言い換えると、カブリ除去感光体ドラム310に形成される静電潜像は、中間転写ベルト70上の感光体1Y、1M、1C、1Kのいずれかによりトナー像が形成される画像領域に対応して形成される。また、カブリ除去感光体ドラム310の基体はカブリ除去電圧印加手段31dに接続されており、カブリ除去感光体ドラム310の表面に電圧を印加している。
【0072】
感光体1Y、1M、1C、1Kからトナー像を転写された中間転写ベルト70が回転を継続してベルト状感光体31aの位置に達するとき、中間転写ベルト70上のトナー像とベルト状感光体31a上の静電潜像との位相が合致し、互いに重なりながら回転する。中間転写ベルト70とカブリ除去感光体ドラム310とは、互いに接触するニップ部において、同方向に同速度で回転する。
【0073】
図8において、符号のVb1は、中間転写ベルト70に補助電極310Aにより付与される電位であり、カブリ除去感光体ドラム310上の静電潜像と接触する際の非画像部の電位(実施形態では+100V)となる。また、Vb2は、感光体1Y、1M、1C、1K上の4色のトナー像が転写された直後の中間転写ベルト70の表面におけるトナー層電位であり、カブリ除去感光体ドラム310上の静電潜像と接触する際の画像部の電位(実施形態では−780V)となる。
【0074】
一方、カブリ除去感光体ドラム310の表面にカブリ除去帯電手段32により電圧が付与され、カブリ除去感光体ドラム310の非画像部は露光されないため、この電圧が非画像部の電位(実施形態では+300V)V5としてそのまま残される。また、カブリ除去感光体ドラム310の基体には、カブリ除去電圧印加手段31dにより電圧が印加されており、露光されるカブリ除去感光体ドラム310の画像部にはカブリ除去帯電手段32により付与された電圧が消滅し、カブリ除去電圧印加手段31dにより付与された電圧が画像部の電位(実施形態では−900V)V6として残される。この画像部の電位V6により、カブリ除去露光手段3Bによる露光後のカブリ除去感光体ドラム310の画像部へのトナー付着を防止している。
【0075】
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第3の実施形態によれば、カブリ除去感光体に接触する感光体がベルト状であっても適用することができ、カラー画像形成装置等への適用が容易となる。
【0076】
次に、中間転写ベルト70及びカブリ除去感光体ドラム310におけるトナーTn及びカブリトナーTkの動作について説明する。中間転写ベルト70上の画像部のトナーTnは、カブリ除去感光体ドラム310の画像部の電位V6と中間転写ベルト70の画像部の電位Vb2との電位差によって形成された電界により、中間転写ベルト70に押しつけられる。また、中間転写ベルト70の非画像部に付着するカブリトナーTkは、カブリ除去感光体ドラム310の非画像部の電位V5と中間転写ベルト70の非画像部の電位Vb1との電位差によって形成された電界により、カブリ除去感光体ドラム310の非画像部に引き寄せられる。その後、カブリ除去感光体ドラム310の非画像部に引き寄せられたカブリトナーTkは、カブリ除去クリーニング手段38により除去される。
【0077】
以下、本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1〜第3の実施形態に基づいた構成を有する装置を実施例1〜3として製作し、併せて下記の比較例1〜3の装置を製作して比較実験を行った。下記にその構成及び実験条件について記載する。
【0078】
(共通条件)
1.現像剤(各実施例及び比較例に対して未使用の現像剤を使用)
2成分現像剤、トナー粒径:6.5μm、トナー濃度:6.5質量%、平均帯電量:35μC/g
2.記録紙P
A4サイズ、普通紙
3.感光体ドラム1
OPC、負帯電感光体
4.画像形成装置
自社製モノクロタイプ複写機、又は自社製カラータイプ複写機の改造機を使用
5.温湿度条件:20℃、50%
6.画像形成条件:印字率5%の原稿を使用し、500枚、1000枚、1万枚、10万枚の画像形成を実施
(実施例1)
1.カブリトナー除去装置30
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第1の実施形態に基づいた構成を有する装置を製作(図2参照)
2.画像形成装置
自社製モノクロタイプ複写機
(実施例2)
1.カブリトナー除去装置30
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第2の実施形態に基づいた構成を有する装置を製作(図4参照)
2.画像形成装置
自社製モノクロタイプ複写機
(実施例3)
1.カブリトナー除去装置30
本発明に係るカブリトナー除去装置30の第3の実施形態に基づいた構成を有する装置を製作(図7参照)
2.画像形成装置
自社製カラータイプ複写機
(比較例1)
1.カブリトナー除去装置
現像装置4に回転可能な電極部材40を配設する構成の装置を製作(図9参照)、電極部材40に付着するトナーは、電極部材40にブレード式クリーナーを配設し、当該クリーナーによりクリーニングする。
【0079】
2.電極部材40と感光体ドラム1との距離:0.15mm
3.画像形成装置
自社製モノクロタイプ複写機
4.電極部材40の電圧(電極部材40に下記AC、DC電圧を付与)
AC:1.0kVpp、4kHz矩形波
DC:画像部の電位Vtを−250V、帯電電位(非画像部の電位)V0を−500Vとするとき、電極部材40に付与されるDC成分の電位Vrが、−500≦Vr<−425(V)となること
(比較例2)
1〜3項:
比較例1に同じ
4.電極部材40の電圧(電極部材40に下記AC、DC電圧を付与)
AC:比較例1に同じ
DC:画像部の電位Vtを−250V、帯電電位(非画像部の電位)V0を−500Vとするとき、電極部材40に付与されるDC成分の電位Vrが、−425≦Vr<−325(V)となること
(比較例3)
1〜3項:
比較例1に同じ
4.電極部材40の電圧(電極部材40に下記AC、DC電圧を付与)
AC:比較例1に同じ
DC:画像部の電位Vtを−250V、帯電電位(非画像部の電位)V0を−500Vとするとき、電極部材40に付与されるDC成分の電位Vrが、−325≦Vr<−250(V)となること
(評価)
1.非画像部のカブリについては、自社画像品質評価基準に基づいて、目視により判定した。
【0080】
2.印字率40%のハーフトーン画像を出力し、その粒状性を評価した。
【0081】
3.評価結果は、○、△、×の3段階で表し、自社画像品質評価基準に基づいて、問題なく合格となるものを○、不合格となるものを×、若干の異常は認められるが合格レベルには達しているものを△とした。
【0082】
実験の結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
実験の結果は、表1に示すように、比較例1及び3では、プリント枚数が1000枚以下のような少ない枚数であっても、カブリ又は粒状性不良の回避が困難である。また、比較例2では、オフイスレベルでは許容される限界のレベルであるが、軽印刷業界では求められる画質には達していないレベルである。軽印刷業界では高画質が求められるとともに、同一原稿を大量にプリントするため、良好な画像が持続しない比較例1〜3のレベルでは市場の要求を満たすことはできない。
【0085】
一方、実施例1〜3では、いずれも10万プリントの実験において、カブリの発生が殆ど見られず、かつ粒状性が良好な画像が出力された。
【0086】
なお、本実施の形態においては、カブリ除去感光体としてカブリ除去感光体ドラム310を用いる場合に、接触する相手を中間転写ベルト70としたが、ベルト状の感光体を用いる構成としても良い。
【符号の説明】
【0087】
1、1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(感光体)
2、2Y、2M、2C、2K 帯電手段
3、3A、3Y、3M、3C、3K 露光手段
3A2 ハーフミラー
3B カブリ除去露光手段
4、4Y、4M、4C、4K 現像手段
5 転写手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラ(一次転写手段)
5A 第1の二次転写ローラ(二次転写手段)
5B 第2の二次転写ローラ(二次転写手段)
5D バックアップローラ
6 除電手段
10、10Y、10M、10C、10K 画像形成部
30 カブリトナー除去装置
31 カブリ除去感光体ユニット
31a ベルト状感光体(カブリ除去感光体)
31d カブリ除去電圧印加手段
32 カブリ除去帯電手段
36 カブリ除去除電手段
38 カブリ除去クリーニング手段
40 電極部材
70 中間転写ベルト
310 カブリ除去感光体ドラム(カブリ除去感光体)
310A 補助電極ローラ
700 中間転写体ユニット
A 画像形成装置本体
LB、LBA、LBB レーザの出力光
Tk カブリトナー
Tn トナー
P 記録紙
V0 帯電電位(感光体1の非画像部の電位)
V1、V4 ベルト状感光体31aの画像部の電位
V2、V3 ベルト状感光体31aの非画像部の電位
V5 カブリ除去感光体ドラム310の非画像部の電位
V6 カブリ除去感光体ドラム310の画像部の電位
Vb1 中間転写ベルト70の非画像部の電位
Vb2 中間転写ベルト70の画像部の電位
Vt 感光体1の画像部の電位(画像部の電位)
Vi 露光時電位
Vr 電極部材40に付与されるDC成分の電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を配設し、前記帯電手段及び前記露光手段により画像形成用の静電潜像が形成され、前記現像手段によりトナー像が形成される感光体に対し、
表面にカブリ除去用の静電潜像が形成され、前記感光体の回転方向における前記現像手段の下流側で前記転写手段の上流側に配置され、かつ前記感光体と表面が接し、かつ接触位置で同方向に同速度で回転するカブリ除去感光体と、
前記カブリ除去感光体を帯電するカブリ除去帯電手段と、
帯電された前記カブリ除去感光体を露光して前記カブリ除去用の静電潜像を形成するカブリ除去露光手段と、
前記カブリ除去感光体表面をクリーニングするカブリ除去クリーニング手段と、を有し、
前記カブリ除去感光体上に形成されるカブリ除去用の静電潜像は、前記感光体上に形成される画像形成用の静電潜像に対し、画像領域と非画像領域との電位が互いに反転し、前記感光体上のトナー像と位相が合致して重なり合い、前記感光体と前記カブリ除去感光体との間に形成された電界により、前記感光体上のトナー像における非画像領域に付着するカブリトナーを前記カブリ除去感光体上に引き寄せるように形成されていることを特徴とするカブリトナー除去装置。
【請求項2】
前記感光体と前記カブリ除去感光体とはともに正帯電感光体或いは負帯電感光体の同極性の関係であり、前記感光体上の画像形成用の静電潜像は画像領域を前記露光手段により露光することにより形成され、前記カブリ除去感光体上のカブリ除去用の静電潜像は前記画像領域以外の非画像領域を前記カブリ除去露光手段により露光することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のカブリトナー除去装置。
【請求項3】
前記感光体と前記カブリ除去感光体とは一方が正帯電感光体で他方が負帯電感光体の逆極性の関係であり、前記感光体と前記カブリ除去感光体は、前記帯電手段及び前記カブリ除去帯電手段により相互に異なる極性で帯電され、
前記カブリ除去感光体の基体に電圧を印加するカブリ除去電圧印加手段を有し、前記カブリ除去感光体に前記カブリ除去帯電手段により帯電される極性と同極性の電圧を前記カブリ除去電圧印加手段により印加し、
前記感光体上の画像形成用の静電潜像は、前記感光体上の画像領域を前記露光手段により露光することにより形成され、前記カブリ除去感光体上のカブリ除去用の静電潜像も画像領域を前記カブリ除去露光手段により露光することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のカブリトナー除去装置。
【請求項4】
前記感光体上の前記露光手段による露光位置から前記接触位置までの距離は、前記カブリ除去感光体上の前記カブリ除去感光体の露光位置から前記接触位置までの距離と同一であり、
前記露光手段は露光経路を分岐するハーフミラーを備え、該露光手段は前記カブリ除去露光を兼用していることを特徴とする請求項3に記載のカブリトナー除去装置。
【請求項5】
前記感光体が円筒状部材で形成され、前記カブリ除去感光体がベルト状部材で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカブリトナー除去装置。
【請求項6】
周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を配設し、画像形成用の静電潜像及びトナー像が形成される感光体と、
前記感光体の回転方向における前記現像手段の下流側で前記転写手段の上流側に配設される請求項1から5のいずれか1項に記載のカブリトナー除去装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、及び一次転写手段をそれぞれに配設し、前記帯電手段及び前記露光手段により画像形成用の静電潜像が形成され、前記現像手段によりトナー像が形成される複数の感光体、
前記複数の感光体に接触しながら回転し、前記複数の感光体に形成されたトナー像が転写されてカラー画像が形成される中間転写体、及び、
前記中間転写体の回転方向における前記複数の感光体の下流側に配設され、前記中間転写体に形成されたカラー画像を記録紙に転写する二次転写手段、を有するカラー画像形成装置であって、
前記中間転写体の回転方向における前記複数の感光体の下流側で前記二次転写手段の上流側の位置で、かつ前記中間転写体に接触する位置に配設されるカブリトナー除去装置を有し、
前記カブリトナー除去装置は、
導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層を形成した感光体からなり、該感光層にカブリ除去用の静電潜像が形成され、前記中間転写体と表面が接し、かつ接触位置で同方向に同速度で回転するカブリ除去感光体と、
前記カブリ除去感光体表面を帯電するカブリ除去帯電手段と、
帯電された前記カブリ除去感光体表面を露光して前記カブリ除去用の静電潜像を形成するカブリ除去露光手段と、
前記カブリ除去感光体の基体に電圧を印加するカブリ除去電圧印加手段と、
前記カブリ除去感光体表面をクリーニングするカブリ除去クリーニング手段と、を有し、
前記カブリ除去感光体上に形成されるカブリ除去用の静電潜像は、前記中間転写体上の前記複数の感光体のいずれかによりトナー像が形成された画像領域に対応し、該トナー像と位相が合致して重なり合い、前記中間転写体と前記カブリ除去感光体との間に形成された電界により、前記中間転写体上のトナー像における画像領域以外の非画像領域に付着するカブリトナーを前記カブリ除去感光体上に引き寄せるように形成されていることを特徴とするカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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