説明

カム式リトラクタクランプ

【課題】リトラクタの位置および方向が手術中に容易に移動可能且つ調整可能である外科用支持構造ジョイントを提供すること
【解決手段】外科用支持構造ジョイントは、軸を有するシャフト(20)と、シャフトの軸回りに回転可能に支持された第1の支持部材(16)と、第1の支持部材に連結されたカム部材(22)とを含む。カム部材は、第1のクランプ位置と第2の非クランプ位置との間において移動可能である。第1のクランプ位置において、カム部材は、第2の非クランプ位置におけるよりも大きな力を第1の支持部材に付与することにより、第1のクランプ位置における第1の支持部材の回転を阻止し、且つ第2の非クランプ位置における第1の支持部材の回転を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用支持構造に関する。本発明は特に、リトラクタ支持体などの外科用支持構造用クランプメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
腹部および胸部の手術において、手術台全体に延びるリトラクタ支持体に取り付けられたリトラクタを用いることが慣用的である。リトラクタは、外科切除部に近接した組織を抑えて、外科医が腹部領域または胸部キャビティなどの領域で作業することを可能にするために用いられる。
【0003】
リトラクタは典型的には、ブレードと、典型的にはブレードが取り付けられたシャフトであるハンドルとを有する。リトラクタは、リトラクタのハンドルに係合する何らかのタイプのクランプメカニズムによりリトラクタ支持体に取り付けられている。
【0004】
リトラクタは移動可能であることが望ましい。なぜなら、リトラクタの位置は、行われている手術と特定の患者とに依存するからである。さらに、リトラクタの位置および方向が手術中に容易に移動可能且つ調整可能であることが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、リトラクタクランプなどの外科用支持構造のための外科用支持構造ジョイントである。ジョイントは、軸を有するシャフトと、シャフトの軸回りに回転可能に支持された第1の支持部材と、第1の支持部材に連結されたカム部材とを含む。カム部材は、第1のクランプ位置と第2の非クランプ位置との間で移動可能である。カム部材は、第1のクランプ位置において、第2の非クランプ位置におけるよりも大きな力を第1の支持部材に付与することにより、第1のクランプ位置における第1の支持部材の回転を阻止し、且つ第2の非クランプ位置における第1の支持部材の回転を可能にする。
【0006】
本発明の好適な実施形態において、第1の支持部材は、第1の脚部と、シャフト回りに回転可能に支持された第2の脚部とを含む。第1の脚部および第2の脚部は、その間のクランプ孔を規定する。第1のクランプ位置において、カム部材は、第1および第2の脚部を互いの方向に強制的に移動させることにより、クランプ孔内で物体を摩擦によりクランプするために、クランプ孔の直径を減少させる。本発明の好適な外科用支持構造ジョイントは、さらに、好適には第1の支持部材に類似の第2の支持部材を含む。好適なジョイントはさらに、第1の支持部材と係合した状態でシャフトを取り囲むカラーを含む。カム部材は好適には、シャフトを介してカラーに軸受け的に受け取られたカムピンを含む。カムピンは、シャフトに沿って第1の支持部材に向けてカラーを強制的に移動させるためにシャフトと係合する偏心外周面を有する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)外科用支持構造ジョイントであって、
軸を有するシャフトと、
該シャフトの該軸回りに回転可能に支持された第1の支持部材と、
該第1の支持部材に連結され、且つ第1のクランプ位置と第2の非クランプ位置との間において移動可能であるカム部材であって、該第1のクランプ位置において該第2の非クランプ位置におけるよりも大きい力を該第1の支持部材に付与することにより、該第1のクランプ位置における該第1の支持部材の回転を阻止し且つ該第2の非クランプ位置における該第1の支持部材の回転を可能にする、外科用支持構造ジョイント。
(項目2)前記カム部材が、前記シャフトに回転可能に連結された偏心外表面を含む、項目1に記載のジョイント。
(項目3)前記第1の支持部材に係合する前記シャフトを取り囲むカラーを含み、前記カム部材が該シャフトを介して前記カラーに軸受け的に受け取られたカムピンを含み、該カムピンが該シャフトに沿って該第1の支持部材の方向に該カラーを強制的に向かわせるために該シャフトと係合する偏心外周面を含む、項目2に記載のジョイント。
(項目4)前記第1の支持部材が、第1の脚部と前記シャフト回りに回転可能に支持された第2の脚部とを含み、該第1の脚部と該第2の脚部とがその間のクランプ孔を規定し、前記カム部材が前記第1のクランプ位置において該第1および第2の脚部を互いの方向に強制的に向けることにより、該クランプ孔の直径を減少させて、該クランプ孔内で物体を摩擦によりクランプする、項目1に記載のジョイント。
(項目5)前記第1の支持部材が、1対の弾性脚部を有する、概してU字形状の単一ボディであり、該脚部の各々が前記シャフトが延びる回動孔を規定し、該脚部の各々がその間のクランプ孔をさらに規定し、前記カム部材が前記第1のクランプ位置において互いの方向に該脚部を強制的に向けることにより、該クランプ孔の直径を減少させて、該クランプ孔内で物体を摩擦によりクランプする、項目1に記載のジョイント。
(項目6)前記シャフトの軸回りに回転可能に支持され且つ前記カム部材に連結された第2の支持部材を含む、項目1に記載のジョイント。
(項目7)前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間にスペーサを含む、項目6に記載のジョイント。
(項目8)前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との各々が、先端を切り取られた円錐形状の凹部を有し、前記スペーサが、該第1の支持部材および該第2の支持部材の各々の先端を切り取られた円錐形状の凹部内に摩擦により受け取られた、互いに対向する第1および第2の先端を切り取られた円錐形状部分を含む、項目7に記載のジョイント。
(項目9)前記第2の支持部材が、前記シャフト回りに回転可能に支持された第1の脚部および第2の脚部を含み、該第1の脚部および該第2の脚部がその間のクランプ孔を規定し、前記カム部材が前記第1のクランプ位置において該第1および第2の脚部を互いの方向に強制的に向けることにより、該クランプ孔の直径を減少させて、該クランプ孔内で物体を摩擦によりクランプする、項目6に記載のジョイント。
(項目10)前記第2の支持部材が、1対の弾性脚部を有する、概してU字形状の単一ボディであり、該脚部の各々が前記シャフトが延びる回動孔を規定し、該脚部の各々がその間のクランプ孔をさらに規定し、前記カム部材が前記第1のクランプ位置において互いの方向に該脚部を強制的に向けることにより、該クランプ孔の直径を減少させて、該クランプ孔内で物体を摩擦によりクランプする、項目6に記載のジョイント。
(項目11)前記第1のクランプ位置と前記第2の非クランプ位置との間の前記カム部材の移動のための、該カム部材に連結されたハンドルを含む、項目1に記載のジョイント。
(項目12)外科用支持構造ジョイントであって、
第1の支持部材と、
該支持部材内を延び、該第1の支持部材を回動可能に支持するシャフトであって、該第1のシャフトは、第1の端部と第2の端部とを有する、シャフトと、
該シャフト回りの選択された位置において該支持部材をクランプするクランプと、
を含むジョイントであって、該クランプが、
該第1の支持部材と強制的に係合している、該シャフトの該第1の端部に連結された保持部材と、
該支持部材と強制的に係合して該シャフトを取り囲むカラーと、
該シャフトを介して該カラーに軸受け的に受け取られたカムピンであって、該カムピンが該カラーに対して該シャフトを移動させるために該シャフトと係合する偏心外周面を有し、該カムピンの回転が該カラーと該保持部材とを第1の位置と第2の位置との間で相対的に移動させ、該カラーと該保持部材とがその間において該第1の支持部材を摩擦によりクランプすることにより、該第1の位置において該第1の支持部材の回転を阻止し、且つ該カラーとヘッドとが該第2の位置において該第1の支持部材の該シャフト回りの回転を可能にする、ジョイント。
(項目13)前記第1の支持部材が、1対の弾性脚部を有する、概してU字形状の単一ボディであり、該脚部の各々が前記シャフトが延びる回動孔を規定し、該脚部の各々がその間のクランプ孔をさらに規定し、前記クランプが前記第1の位置において互いの方向に該脚部を強制的に移動させることにより、該クランプ孔の直径を減少させ、該クランプ孔内で物体を摩擦によりクランプする、項目12に記載のジョイント。
(項目14)前記カムピンに連結されたハンドルを含む、項目12に記載のジョイント。(項目15)前記保持部材が前記シャフトに固定的に連結された、項目12に記載のジョイント。
(項目16)前記保持部材と前記カラーとの間の、前記シャフト回りに回動可能に支持された第2の支持部材を含む、項目12に記載のジョイント。
(項目17)前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との各々が、先端を切り取られた円錐形状の凹部を有し、該第1の支持部材と該第2の支持部材との間の前記シャフト回りにスペーサが設けられ、該スペーサが該第1の部材と該第2の部材の各々の先端を切り取られた円錐形状の凹部内に摩擦により受け取られた、互いに対向する第1および第2の先端を切り取られた円錐形状部分を含む、項目16に記載のジョイント。
(項目18)前記カラーが、前記シャフトが延びる細長いスロットを有する、項目12に記載の構造。
(項目19)外科用支持装置であって、
第1の対の弾性脚部を含む実質的にU字形状の単一ボディを有する第1のクランプ部材であって、該第1の対の脚部が、第1の整合された回動孔を有し且つ該第1の対の弾性脚部間の第1のクランプ孔を規定する、第1のクランプ部材と、
第2の対の弾性脚部を含む実質的にU字形状の単一ボディを有する第2のクランプ部材であって、該第2の対の脚部が、第2の整合された回動孔を有し且つ該第2の対の弾性脚部間の第2のクランプ孔を規定する、第2のクランプ部材と、
該第1のクランプ部材および該第2のクランプ部材の各々の第1および第2の整合された回動孔内を延びるボルトであって、該第1のクランプ部材および該第2のクランプ部材が該ボルト回りに回動して、該ボルト回りの選択された回転位置において第1のロッド部と第2のロッド部とをそれぞれ支持する、ボルトと、
該第1のクランプ孔内の該第1のロッドと該第2のクランプ孔内の該第2のロッドとをクランプし、該ボルト回りの選択された回転位置において該第1および該第2の部材をクランプする、カムメカニズムと、
を含み、該カムメカニズムが、
該第1のクランプ部材と強制的に係合している、該ボルトに連結された保持部材と、
該第2のクランプ部材と強制的に係合して該ボルトを取り囲むカラーと、
該ボルトを介して該カラーに軸受け的に受け取られたカムピンであって、該ボルトと係合する偏心外周面を有し、該カムピンの回転が該カラーと該保持部材とを相対的に移動させることにより、該第1のクランプ孔内で該第1のロッドをクランプし、該第2のクランプ孔内で該第2のロッドをクランプし、該保持部材と該カラーとの間において該第1および第2のクランプ部材をクランプすることにより、該第1および第2のクランプ部材の該ボルト回りの回転を阻止する、カムピンと、
を含む、外科用支持装置。
(項目20)前記第1および第2のクランプ部材の各々が、前記回動孔を取り囲む先端を切り取られた円錐形状の凹部を有し、前記構造が、該第1および第2のクランプ部材の間で前記ボルトを取り囲むスペーサを含み、該スペーサが、該第1および第2のクランプ部材の各々の先端を切り取られた円錐形状の凹部内に摩擦により受け取られる、第1および第2の互いに対向する先端を切り取られた円錐形状部分を含む、項目19に記載の支持構造。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好適な実施形態の詳細な説明
図1は、様々な位置のうちの1つで、支持ロッド12および14を支持する外科用支持構造ジョイント10を示す。本発明の実施形態である外科用支持構造ジョイント10は、概して、支持部材16および18と、シャフトアセンブリ20と、カムメカニズム22とを含む。支持部材16および18は、支持ロッド12および14をそれぞれ受け取り保持する。好適には、支持部材16および18は、それぞれ支持ロッド12および14回りに解放可能にクランプし、それにより支持ロッド12および14が所望であればそれぞれ支持ロッド12および14の軸に沿っておよび軸回りに移動および調整される。あるいは、支持部材16および18は、それぞれ固定的にまたは恒久的に支持ロッド12および14に連結され得る。
【0009】
支持部材16および18は、シャフトアセンブリ20に且つシャフトアセンブリ20回りに回動可能に連結されている。同時に、支持部材16および18の各々がシャフトアセンブリ20の軸に沿って適切な位置に保持されている。特に、支持部材16は、支持部材16の互いに反対側の保持部材96およびスペーサ38(図2に示す)により、シャフトアセンブリ20の軸に沿って適切な位置に実質的に保持される。支持部材18は、支持部材18の互いに反対側のスペーサ38(図2に示す)およびカムメカニズム22によりシャフトアセンブリ20の軸に沿って適切な位置に実質的に保持される。支持部材16および18は、スペーサ38(図2に示す)によりシャフトアセンブリ20の軸に沿って互いに分離している。あるいは、支持部材16および18は、シャフトアセンブリ20の軸に沿って互いに接していてもよい。
【0010】
シャフトアセンブリ20は、支持部材16および18内を延びる細長い支持構造である。シャフトアセンブリ20は、支持部材16および18を回動可能に支持することにより、支持部材16および18が個々にシャフトアセンブリ20の軸回りに回転することを可能にする。その結果、支持部材16および18により担持される支持ロッド12および14は、シャフトアセンブリ20の軸回りの様々な角度位置のうちの1つに位置づけられ得る。
【0011】
カムメカニズム22は、カラー32と、カム部材34と、ハンドル36とを含む。カラー32は、シャフトアセンブリ20を取り囲み、カム部材34に連結されている。カラー32は、支持部材18の上面と摩擦係合する概して平坦な表面37を有することにより、カラー32と支持部材18との摩擦接触を増加させる。カラー32は、支持部材18に接しており、シャフトアセンブリ20に沿って支持部材16および18を保持する。
【0012】
カム部材34は、シャフトアセンブリ20を介してカラー32に軸受け的に受け取られる。カム部材34は、カラー32とシャフトアセンブリ20との両方に係合することにより、カラー32とシャフトアセンブリ20とを、シャフトアセンブリ20の軸に沿って互いに移動させる。図示する好適な実施形態において、カラー32とシャフトアセンブリ20とはいずれも固定的に取り付けられていない。しかし、理解されるように、シャフトアセンブリ20またはカラー32のいずれかが固定的に取り付けられていてもよい。従って、シャフトアセンブリ20が固定的に取り付けられている場合、カム部材34の作動は、シャフトアセンブリ20の軸に沿ってカラー32を移動させる。逆に、カラー32が固定的に取り付けられている場合、カム部材34の作動は、シャフトアセンブリ20をカラー32内に挿入された状態で上下に移動させる。
【0013】
カム部材34の作動は、カラー32とシャフトアセンブリ20とを、クランプ位置と非クランプ位置との間において、互いに移動させる。クランプ位置において、カラー32は保持部材96方向に強制的に向かわされ、保持部材96はカラー32方向に強制的に向かわされることにより、カラー32と支持部材18との間および支持部材16と保持部材96との間の力および対応する摩擦度を増加させる。カム部材34の作動はさらに、支持部材16および18とスペーサ38との間の力および対応する摩擦度を増加させる。好適には、カム部材34はカラー32とシャフトアセンブリ20とを互いに移動させて、部材16および18の表面と隣接する表面との間の力および摩擦を、支持部材16および18が意図に反してシャフトアセンブリ20回りに回転することを阻止するに十分増加させる。カム部材34の移動はさらに、支持部材16および18をそれぞれ支持ロッド12および14回りに圧縮して、選択された回転および軸方向位置において支持ロッド12および14を摩擦によりクランプする。
【0014】
非クランプ位置において、カラー32と保持部材96とは強制的に互いから離されることにより、カラー32と支持部材18との間、支持部材16と保持部材96との間、並びに支持部材16および18とスペーサ38との間の、力および対応する摩擦度を減少させる。好適には、非クランプ位置において、カム部材34は、カラー32とシャフトアセンブリ20とを互いに十分移動させることにより、部材16および18の表面と隣接する表面との間の力および摩擦を、支持部材16および18のシャフトアセンブリ20回りにおける回転的調整を可能にするに十分減少させる。さらに、カム部材34を非クランプ位置に作動させることにより、支持ロッド12および14をそれぞれ支持部材16および18内で解放し、それにより医師が支持ロッド12および14を支持部材16および18に対して回転させ再位置づけすることを可能にする。従って、カム部材34は、シャフトアセンブリ20とカラー32とを互いに移動させることにより、医師が、シャフトアセンブリ20回りの回転位置において支持部材16および18を容易に且つ素速くクランプおよび脱クランプさせること、および支持ロッド12および14を支持部材16および18に対する選択された回転および軸方向位置においてクランプおよび脱クランプさせることを可能にする。
【0015】
図示する実施形態において、カム部材34は、クランプ位置と非クランプ位置との間において、ハンドル36により移動する。ハンドル36は、カム部材34に連結されてカム部材34の回転用のレバーアームを提供する。図1に示す実施形態において、ハンドル36は概してL字形状であり、カム部材34の一方の側から一体的に延びている。支持部材16および18が一旦シャフトアセンブリ20の軸回りの所望の回転方向に位置づけられ、且つ支持ロッド12および14もまた一旦支持部材16および18内において所望の回転および軸方向位置に位置づけられると、ハンドル36によるカムメカニズム22の選択された作動により、支持ロッド12および14が選択された位置内に安定化されクランプされる。
【0016】
図2は、支持部材16および18と、スペーサ38と、シャフトアセンブリ20と、カムメカニズム22とをより詳細に示す、ジョイント10の分解斜視図である。図2に最も良く示されるように、支持部材16は、スロット46およびクランプ孔48により分離された1対の弾性脚部42および44を含む、概してU字形状の単体である。スロット46は、脚部42と44との間において、支持構造16の第1の端部52から第2の端部54に向けてクランプ孔48方向に延びている。クランプ孔48は、脚部42および44内を且つ脚部42と44との間を延びて、好適には支持ロッド12を受け取るようにサイズ決定された円筒形状孔を規定する。クランプ孔48は好適には、支持ロッド12の直径よりも十分大きいようにサイズ決定された直径を有することにより、カムメカニズム22が非クランプ位置にあるときにクランプ孔48内で支持ロッド12が回転方向および軸方向に移動することを可能にする。脚部42および44は、クランプ孔48の直径が、カムメカニズム22が作動したときにクランプ孔48内に支持ロッド12を摩擦によりクランプするに十分に減少され得るように、サイズ決定され且つ互いに弾性的に移動可能である。脚部42および44はさらに、1対の整合された回動孔56および58を規定する。回動孔56および58は、支持部材16の第1の端部52に向けて、それぞれ脚部42および44内を延びている。回動孔56および58はシャフトアセンブリ20を受け取るようにサイズ決定されることにより、支持部材16がシャフトアセンブリ20回りに回動することを可能にする。回動孔56は対向孔57を有する。対向孔57は、好適には先端が切り取られた円錐形状であり、スロット46に向かって支持部材16内を延びる。対向孔57は、スペーサ38の、対応する先端が切り取られた円錐形状の表面を受け取るように形状およびサイズ決定されている。回動孔58はさらに対向孔89(図3に示す)を有する。対向孔89は、スロット46に向けて支持部材16内を延びる。対向孔89は、保持部材96を受け取るようにサイズ決定されている。
【0017】
支持部材18は、支持部材16に実質的に類似である。支持部材18は、スロット66およびクランプ孔68により互いに分離された1対の弾性脚部62および64を有する。支持部材16と同様、支持部材18のスロット66は、脚部62および64を分離し、支持部材18の第1の端部72から第2の端部74方向に延びている。脚部62および64はさらに、整合された回動孔76および78を規定する。回動孔76および78は、互いに整合され、シャフトアセンブリ20を受け取るようにサイズ決定されていることにより、支持部材18がシャフトアセンブリ20回りに回動することを可能にする。回動孔78は対向孔79を有する。対向孔79は、好適には先端を切り取られた円錐形状であり、スロット66に向けて支持部材18内を延びる。対向孔79は、スペーサ38の、対応する先端を切り取られた円錐形状の表面を受け取るようにサイズ決定されている。
【0018】
図2に最も良く示すように、スペーサ38は概して、シャフトアセンブリ20を取り囲む環状リングである。スペーサ38は、好適にはシャフトアセンブリ20に沿って摺動して、支持部材16と18とを強制的に連結させる。その結果、シャフトアセンブリ20に沿った一方の支持部材の移動が、他方の支持部材をも移動させることにより、両方の支持部材を圧縮または拡張させる。スペーサ38は好適には、互いに対向する先端を切り取られた円錐形状の表面84および86を有する。先端を切り取られた円錐形状の表面84は下端88を有し、下端88は、支持部材16の脚部42内を延びる孔56の外径よりも小さい外径を有する。先端を切り取られた円錐形状の表面84は、中心線90に向けて上方に延び、中心線90に近づくにつれて広がる。中心線90は、孔56の直径よりも大きい外径を有する。その結果、先端を切り取られた表面84は、部分的に支持部材16の対向孔57内に受け取られ、支持部材16とスペーサ38との間の高レベルな表面−表面接触を提供する。それにより、支持部材16はシャフトアセンブリ20回りに摩擦によりクランプされる。先端を切り取られた円錐形状の表面86は、中心線90から、先端を切り取られた円錐形状の表面84に反対に延び、上端92に向かって狭くなる直径を有する。中心線90は、孔78の内径よりも大きい外径を有し、上端92は、孔78の内径よりも小さい外径を有する。その結果、先端を切り取られた円錐形状の表面86は、部分的に対向孔79内に延び、支持部材18と係合することにより、スペーサ38と支持部材18との間の高レベルな表面−表面接触を提供する。スペーサ38は、支持部材16を支持部材18から離し、支持部材16と18との間においてシャフトアセンブリ20の軸に沿って力を伝達する。それにより、支持部材16および18が、選択された回転方向においてシャフトアセンブリ20に沿って摩擦によりクランプされる。
【0019】
さらに図2に示すように、シャフトアセンブリ20は、好適には、細長い保持ボルト94と保持部材96とを含む。ボルト94は、ねじきりされた端部98と、中間部100と、ヘッド102とを含む。ねじきりされた端部98は、保持部材96とねじ式に係合するために雄ねじとなっている。ボルト94のヘッド102は、ねじきりされた端部98の反対側に位置づけられ、ヘッド102内を延びてカム部34を受け取るようにサイズ決定された孔104を規定する。ヘッド102は、カムメカニズム22のカラー32内を延びる細長いスロット内に受け取られるようにサイズ決定されている。
【0020】
シャフトアセンブリ20の保持部材96は、ボルト94のねじきりされた端部98の下端に固定的に連結された環状リングまたはワッシャを含む。保持部材96は、対向孔89内に受け取られる。保持部材96は、好適には、ねじきりされて、ボルト94のねじきりされた端部98の下端にスエージングされている。保持部材96は、支持部材16と係合して接する保持表面106を有しており、支持部材16がボルト94回りに自由に回転することを可能にする一方でボルト94の軸に沿った支持部材16の垂直方向の移動を制限する。理解され得るように、保持部材96は、支持部材16をボルト94の軸に沿った適切な位置に実質的に保持する一方で支持部材16の回転を可能にする保持表面を有する、様々な異なる構成または構造を有し得る。例えば、孔58は、上記に代えて、ボルト94のねじきりされた端部98とねじ式に係合することにより保持表面として作用する内部ねじを含み得る。このような別の構成は、支持部材16のボルト94回りの回転移動をも可能にし、支持部材16のボルト94の軸に沿った垂直方向の移動をも制限する。
【0021】
図2にさらに示すように、カムメカニズム22のカラー32は、細長いスロット110と、孔112と、孔114とを規定する。スロット110は、カラー32の軸に沿ってカラー32内を延び、ボルト94のヘッド102を受け取るようなサイズを有する。好適には、スロット110は、ボルト94のヘッド102の長さよりも長い長さを有しており、カラー32とボルト94とがカムメカニズム22により互いに移動するときにボルト94のヘッド102がスロット110内を移動することを可能にする。
【0022】
孔112および114は、概してスロット110に直交してカラー32内を延びる。孔112および114は、カラー32の互いに対向する側内を延び、互いに軸方向に整合している。孔112および114は、カムメカニズム22のカム部材34を受け取るようなサイズを有する。
【0023】
図2に最も良く示すように、カム部材34は、好適には、端部118および120と中間部122とを有するカムピンである。端部118と端部120と中間部122とは概して円筒形状であり、互いに隣接している。端部118は、カラー32の孔112内に受け取られるようなサイズを有する直径を有する。端部120は、カラー32の孔114内に受け取られるようなサイズを有する直径を有する。端部118および120は、回転軸130を中心とし、それぞれ孔112および114内に軸受け的に受け取られている。それにより、中間部122がカラー32内に且つボルト94の孔104を介して回転可能に支持される。
【0024】
中間部122は、端部118と120との間に偏心的に連結されている。中間部122は、軸130から距離Dだけ離れた軸134を有する外周面132を有する。端部118および120の軸130と中間部122の軸134とを分離する距離Dは、カム部材34がボルト94とシャフトアセンブリ20の保持部材96とをカラー32に対して移動させる最大距離を概して決定する。好適には、軸130と134とを分離する距離Dは、それぞれクランプ孔48および68内に支持ロッド12および14をクランプするために、ボルト94回りに支持部材16および18を摩擦により安定させるに十分である。
【0025】
組み立てられると、中間部122はボルト94の孔104内に位置する。端部118は、孔112から突出し、保持ワッシャ136に固定的に連結されてカラー32とボルト94のヘッド102とを介してカム部材34を回転可能に連結し且つ安定させる。
【0026】
図3は、支持ロッド12および14を支持するジョイント10の断面図である。図3に最も良く示すように、ボルト94は、カラー32と支持部材18とスペーサ38と支持部材16と保持部材96との中を延びる。ボルト94のヘッド102は、支持部材18の上面と係合し、シャフトアセンブリ20の保持部材96は、支持部材16の下面と係合して、支持部材16および18を、ヘッド102と保持部材96との間においてボルト94の軸に沿って、安定させる。スペーサ38の先端を切り取られた円錐形状表面84および86は、それぞれ支持部材16および18の孔56および78内に延び、支持部材16と18との間で力が伝達されるように、支持部材16と18との間に間隔を設け且つ強制的に相互連結させる。同時に、スペーサ38は、支持部材16および18が、カムメカニズム22のクランプ作動に先だってボルト94の軸回りに独立して回転することを可能にする。先端を切り取られた円錐形状表面84および86はさらに、スペーサ38と支持部材16および18との間の、より大きな表面接触領域を提供し、それにより支持部材16と18とを互いに摩擦によりクランプする。
【0027】
ボルト94のヘッド102は、カラー32により取り囲まれる。カラー32は、ボルト94のヘッド部102を介してカム部材34を回転可能に支持する。図3に示すように、カム部材34の中間部122は、孔104の内周面と僅かな遊びを有する状態で、孔94の孔104内を延びる。中間部122は、端部118および120(図2に示す)によりカラー32に軸受け的に受け取られており、端部118および120の軸方向中心線130回りに回転する。その結果、矢印140により示す方向におけるハンドル36の回転は、中間部122を端部118および120の軸方向中心線130回りに回転させ、ボルト94をスロット110を介してカラー32に対して移動させる。その結果、カラー32は、支持部材18とスペーサ38と支持部材16とに対して力を付与し、保持部材96は、支持部材16とスペーサ38と支持部材18とに対して対応する反対の力を付与する。それにより、支持部材16および18を保持部材96とカラー32との間において摩擦によりクランプし、それにより、支持部材16および18をボルト94回りの選択された回転方向に摩擦により安定させる。さらに、カラー32と保持部材96とが、カムメカニズム22の回転により互いの方向に引かれると、脚部62が脚部64方向に移動し、脚部44が脚部42方向に移動する。それにより、支持部材16および18は、それぞれ支持部材16および18のクランプ孔48および68内で支持ロッド12および14を摩擦によりクランプするように圧縮される。従って、ハンドル36およびカムメカニズム22の単純な作動は、ボルト94回りの選択された回転方向で支持部材16および18を摩擦によりクランプし、さらに選択された回転および軸方向位置において支持部材16および18内に支持ロッド12および14を摩擦によりクランプする。逆に、ハンドル36およびカム部材34の連続した又は逆方向の回転は、ボルト94のヘッド部102をカラー32に対して移動させて、保持部材96とカラー32とを互いに離れる方向に移動させることにより、支持部材16および18をスペーサ38とカラー32と保持部材96とを摩擦により結合させる力を減少させる。それにより、支持部材16および18がボルト94回りに回転可能に調整されて、支持ロッド12および14がそれぞれクランプ孔48および68内で回転し軸方向に移動することが可能になる。
【0028】
外科用支持構造ジョイント10は、医師が、ハンドル36とカム部材34とを第1のクランプ位置と第2の非クランプ位置との間で単に移動且つ回転させることにより、支持部材16および18の回転位置、並びに支持ロッド12および14の回転および軸方向位置を素速く且つ容易に調整且つ再調整することを可能にする。その結果、支持部材16および18ならびに支持ロッド12および14の位置づけおよび調整が簡単で素速くでき、医師の手を煩わさない。
【0029】
図4は、外科用支持構造ジョイント10の別の実施形態である外科用支持構造ジョイント200の分解斜視図である。外科用支持構造ジョイント200は、1対の支持ロッド12および14を支持する状態で示されている。外科用支持構造ジョイント200は、ハンドル36の代わりにハンドル236を有し、カム部材34の代わりにカム部材234を有し、保持ワッシャ136の代わりにピン336を有するという点以外は、外科用支持構造ジョイント10に類似している。説明の簡潔化のために、ジョイント10の対応する要素に類似であるジョイント200の保持要素には同様の参照符号を付す。カム部材234は、カム部材234の端部120が端部120内を延びるピン受取り孔235を有するという点以外は、カム部材34に類似している。ピン受取り孔235は整合されたピン336を受け取るようなサイズを有しており、カム部材234をハンドル236に連結する。
【0030】
ハンドル236は概して、暢思骨形状の端部237を有する細長いレバーアームである。端部237は概して、スロット242により分離されるアーム部分239および240を含む。アーム部分239は、アーム部分239内を延びる孔244を規定する。孔244は、カム部材234の端部118を受け取るようなサイズを有する直径を有する。アーム部分240は、アーム部分240内を延びる孔246を規定する。孔246は、カム部材234の端部120を受け取るようなサイズを有する直径を有する。孔244および246は、互いに同心円状に整合している。アーム部分240はさらに、ピン336を受け取るようなサイズを有する直径を有する1対の整合された孔248を規定する。
【0031】
組み立てられると、ボルト94のヘッド102は、孔112と104とを整合するようにカラー32のスロット110内に適合する。カラー32とボルト94のヘッド102とは、ハンドル236のスロット242内に位置しており、それにより孔244および246と孔112および104とをさらに整合させる。カム部材234は、孔104、112、114、244および246内を延びる。端部118は、孔112および244内を延びて孔112および244内に適合し、端部120は、孔114および246内を延びて孔114および246内に適合する。中間部122は、ボルト94の孔104内に位置する。孔235が一旦ハンドル236のアーム部分240の孔248内に整合されると、整合されたピン336は、孔235および孔248内に挿入されてハンドル236とカム部材234とを連結する。
【0032】
ハンドル236は、孔112、114、244、246および104内を同心円状に延びる軸130回りに回転する。ハンドル236は、ボルト94のヘッド102上においてヘッド102回りに回転する。ハンドル36の場合と同様、ハンドル236の回転は、カム部材234を回転させ、支持部材16および18に順に力を付与して、それによりボルト94の軸回りの選択された回転位置において支持部材16および18を摩擦により安定させクランプする。ハンドル236の連続した又は反対方向の回転により、カム部材234がより小さい力を支持部材16および18に付与し、それにより支持部材16および18が、支持部材16および18ならびに支持ロッド12および14の必要な再位置づけのためにボルト94回りに回転することを可能にする。外科的支持構造ジョイント10の場合と同様、外科的支持構造ジョイント200は、医師が、単に第1のクランプ位置と第2の非クランプ位置との間において回転ハンドル236とカム部材234とを移動させ且つ回転させることにより、支持部材16および18の回転位置ならびに支持ロッド12および14の回転および軸方向位置を素速く且つ容易に調整かつ再調整することを可能にする。その結果、支持部材16および18ならびに支持ロッド12および14の位置づけおよび調整は、簡単で素速くでき、医師の手を煩わさない。
【0033】
本発明のジョイント10および200は、医師が、支持ロッド12および14に連結されたリトラクタの位置づけを素速く且つ容易に調整および再調整することを可能にする。説明を簡潔にするために、ジョイント10を、2つの支持ロッド12および14を支持するものであり、カラー32と保持部材96との間に回転可能に連結された2つの対応する支持部材16および18を備えたものとして説明してきた。理解され得るように、任意の数の支持部材および支持ロッドが、保持部材96とカラー32との間に設けられ得る。例えば、ジョイント10は、単一の支持部材と単一の対応する支持ロッドを、ボルト94の軸回りに回転可能に支持し得る。さらに、理解され得るように、支持部材16および18が直接互いに摩擦により係合し得るように、スペーサ38が省略され得る。さらに、ワッシャなどの追加のスペーシング部材が、カラー32と保持部材96との間においてボルト94の軸に沿って用いられ得る。
【0034】
より留意すべきは、カムメカニズム22および222は、様々な異なる構造、構成および寸法形状を有し得るということである。例えば、カム部材34および234の中間部122がボルト94に係合し端部118および120がカラー32に係合してカラー32とボルト94と保持部材96とを互いに移動させてその間において支持部材16および18をクランプすることに代えて、カムメカニズム22が支持部材18と直接係合するカム表面を支持するように構成され、それによりカム部材の回転が支持部材18の上面に直接力を付与して支持部材16および18を保持部材方向に移動または強制移動させ、それにより支持部材18と支持部材16とを摩擦によりクランプするようにしてもよい。さらに、カム部材34および234を、互いに偏心的に連結された複数のシリンダを有するものとして説明してきたが、カム部材34および234は、不規則形状を有するローブ、案内面、または作動可能なレバーまたはウェッジなどの、カム構造を単に作動させることにより相対的に移動することができる他の周知のカム構造などの、様々なカム構造のうちのいずれか1つを有し得る。
【0035】
本発明を好適な実施形態に照らして説明してきたが、当業者であれば、本発明の思想および範囲から逸脱することなく形態および詳細を改変し得ることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、支持ロッドを支持する、本発明の外科用支持構造ジョイントの斜視図である。
【図2】図2は、支持ロッドを支持する、図1の外科用支持構造ジョイントの分解斜視図である。
【図3】図3は、図1の外科用支持構造ジョイントおよび支持ロッドの断面図である。
【図4】図4は、図1の外科用支持構造ジョイントの別の実施形態の分解斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載のクランプ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−86808(P2008−86808A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333325(P2007−333325)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【分割の表示】特願2006−248381(P2006−248381)の分割
【原出願日】平成9年1月7日(1997.1.7)
【出願人】(506311035)ミネソタ サイエンティフィック,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】