説明

カメラおよび画像処理プログラム

【課題】 画像データの適切な位置に挿入画像を挿入する。
【解決手段】 被写体の像を撮像して画像データを生成する撮像手段と、画像データに挿入する挿入画像の属性情報に基づいて、画像データの画像における挿入画像の挿入範囲を限定し、画像データにおける被写体の情報に基づいて、挿入範囲の中から挿入画像を挿入する挿入位置を決定する決定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに挿入画像を挿入するカメラおよび画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラには、撮像により生成した画像データに日付などの挿入画像を挿入する機能を備えたものがある。特許文献1の撮影装置では、挿入画像を挿入する位置を撮影画面内の焦点位置に基づいて決定することにより、主要画像部分と挿入画像とが重なることを防ぐ技術が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−136424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の撮影装置では、非合焦と判定された焦点検出領域の近傍を挿入位置とするため、その領域が主要被写体などを含む主要画像部分である場合には、主要画像部分と挿入画像とが重なってしまうことがある。また、焦点位置に基づいて挿入位置を決定するため、視認性の低い位置が挿入位置として決定される場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、画像データの適切な位置に挿入画像を挿入することができるカメラおよび画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカメラは、被写体の像を撮像して画像データを生成する撮像手段と、前記画像データに挿入する挿入画像の属性情報に基づいて、前記画像データの画像における前記挿入画像の挿入範囲を限定し、前記画像データにおける前記被写体の情報に基づいて、前記挿入範囲の中から前記挿入画像を挿入する挿入位置を決定する決定手段とを備える。
【0007】
なお、好ましくは、前記決定手段が決定した前記画像データの前記挿入位置に前記挿入画像を挿入する挿入手段を更に備えても良い。
【0008】
また、好ましくは、前記撮像手段が生成した前記画像データと、前記挿入画像の画像データと、前記決定手段が決定した前記挿入位置とを関連付けて記録媒体に記録する記録手段を更に備えても良い。
【0009】
また、好ましくは、前記挿入画像は、前記撮像手段の撮影条件を示す画像であっても良い。
【0010】
なお、上記発明に関する構成を、処理対象の画像データに対する画像処理を実現するための画像処理プログラムに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカメラおよび画像処理プログラムによれば、画像データの適切な位置に挿入画像を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の電子カメラ1の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の電子カメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の電子カメラ1の動作を示すフローチャート(続き)である。
【図4】挿入位置の決定および挿入画像の挿入について説明する図である。
【図5】挿入位置の決定および挿入画像の挿入について説明する図(続き)である。
【図6】第2実施形態のコンピュータ100の構成を示す図である。
【図7】第2実施形態のコンピュータ100の動作を示すフローチャートである。
【図8】プレビュー画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、電子カメラを例に挙げて説明を行う。
【0014】
図1は、第1実施形態の電子カメラ1の構成を示す図である。電子カメラ1は、図1に示すように、光学系2、光学系制御部3、撮像素子4、画像処理部5、メモリ6、記録部7、記録媒体8、操作部9、GPS(Global Positioning Systems)10、時計回路11、CPU12を備える。光学系2は、レンズや絞りなどを含む。また、光学系2は、交換可能である。光学系制御部3は、絞りやレンズの焦点位置の制御を行う。撮像素子4は、光学系2を介して結像された被写体像を画像データに変換して、画像処理部5に出力する。画像処理部5は、色信号生成、マトリクス変換処理、γ変換処理、補正処理、撮影条件などを示す挿入画像を挿入するための画像処理など各種のディジタル信号処理を行う。なお、各画像処理の具体的な方法は説明を省略する。メモリ6は、画像処理部5による画像処理後の画像データを一時記録する。記録部7は、メモリ6に一時記録された画像データを記録媒体8に記録する。記録媒体8は、メモリカードなどのリムーバブルメモリである。操作部9は、不図示の電源釦、レリーズ釦、撮影モード選択ダイヤルなどを含む。GPS10は、電子カメラ1の位置情報を取得する。時計回路11は、撮影日時の情報を有する。CPU12は、各部を統合的に制御する。また、CPU12は、挿入画像の挿入位置を決定する。決定の詳細は後述する。また、CPU12は、各処理を実行するためのプログラムを予め記録している。
【0015】
また、電子カメラ1は、複数の撮影モードを備える。複数の撮影モードは、「ポートレートモード」、「風景モード」、「オートモード」などを含む。ユーザは、操作部9を操作して、何れかの撮影モードを設定する。CPU12は、設定された撮影モードに応じた条件で撮像を行う。
【0016】
また、電子カメラ1は、撮像により生成した画像データに挿入画像を挿入する機能を備える。挿入画像には、撮影関係情報とスタンプ情報とがある。撮影関係情報とは、撮像時の撮影条件(露出値、シャッタスピードなど)、撮影日時、位置情報などの撮影に関係する情報である。撮影日時は、時計回路11により取得される。位置情報は、GPS10により取得される。スタンプ情報とは、文字メッセージ、記号、図などの付加的な表現を行うための情報である。CPU12は、複数のスタンプ情報を予め記録している。上述した挿入画像の挿入に関する指定は、予め、ユーザにより行われる。ユーザは、操作部9を操作して、どのような挿入画像を挿入するかを指定する。
【0017】
電子カメラ1における撮影時のCPU12の動作について、図2および図3のフローチャートを用いて説明する。
【0018】
ステップS1:CPU12は、撮影開始が指示されたか否かを判定する。そして、CPU12は、撮影開始が指示されるとステップS2に進む。ユーザは、操作部9のレリーズ釦を操作して、撮影開始指示を行う。
【0019】
ステップS2:CPU12は、各部を制御して、光学系2を介した被写体の像を撮像して、画像データを生成する。そして、CPU12は、生成した画像データをメモリ6に一時記録する。図4Aに生成した画像データの例を示す。
【0020】
ステップS3:CPU12は、挿入指定がされているか否かを判定する。そして、CPU12は、挿入指定がされていると判定すると、ステップS4に進む。一方、挿入指定がされていないと判定すると、CPU12は、後述するステップS20に進む。
【0021】
ステップS4:CPU12は、顔分布評価値Dfxを算出する。CPU12は、メモリ6に一時記録した画像データの色空間を、例えば、RGB色空間からLab色空間へと変換する。CPU12は、予め定められた肌色を示すテーブルを用いて、肌色領域を検出する。CPU12は、検出した肌色領域に眼が存在するか否かを判定する。具体的には、CPU12は、予め定められた眼を示す情報(色、大きさなど)のテーブルを用いて、眼が存在するか否かを判定する。
【0022】
CPU12は、肌色領域の検出結果と検出した肌色領域に眼が存在するか否かの判定とに基づいて、各肌色領域の確度を求める。例えば、ある肌色領域において両眼が存在する場合には、確度は100%とする。また、ある肌色領域において片眼のみが存在する場合には、確度は60%とする。また、ある肌色領域において眼が存在しない場合には、確度は30%とする。図4Bに確度の例を示す。
【0023】
CPU12は、画面全体を図4Bに示すように、5行×5列の25の小領域に分割する。そして、CPU12は、小領域毎に、次式を用いて顔分布評価値Dfx(x=1〜25)を算出する。
【0024】
顔分布評価値Dfx=(その小領域に存在する肌色領域の確度)×(小領域に対する肌色領域の面積比)…(式1)
図4Cに顔分布評価値Dfxの例を示す。顔分布評価値Dfxは、その小領域に被写体の顔が存在する確度が高いほど大きい値を示す。
【0025】
ステップS5:CPU12は、コントラスト分布評価値Dcxを算出する。CPU12は、メモリ6に一時記録した画像データの25個の小領域毎のコントラスト分布評価値Dcxを求める。
【0026】
CPU12は、画面全体をステップS4と同様に25の小領域に分割する。CPU12は、小領域の各画素の輝度値のうち最大値を検出する。また、CPU12は、小領域の各画素の輝度値のうち最小値を検出する。この輝度値はステップS4で求めたLab色空間の画像データのLの値を用いる。そして、CPU12は、小領域毎に次式を用いてコントラスト分布評価値Dcx(x=1〜25)を算出する。
【0027】
コントラスト分布評価値Dcx={(輝度値の最大値)−(輝度値の最小値)}÷(階調数)×100…(式2)
階調数は、例えば、8bitであれば256である。図4Dにコントラスト分布評価値Dcxの例を示す。コントラスト分布評価値Dcxは、その小領域内のコントラストが高いほど大きい値を示す。なお、上述の式の輝度値に代えてRGB色空間の画像データのG成分の値を用いても良い。
【0028】
ステップS6:CPU12は、撮影モードが「ポートレートモード」であるか否かを判定する。そして、CPU12は、撮影モードが「ポートレートモード」であると判定すると、後述するステップS10に進む。一方、撮影モードが「ポートレートモード」以外の撮影モードであると判定すると、CPU12は、ステップS7に進む。
【0029】
ステップS7:CPU12は、撮影モードが「風景モード」であるか否かを判定する。そして、CPU12は、撮影モードが「風景モード」であると判定すると、後述するステップS11に進む。一方、撮影モードが「風景モード」以外の撮影モードであると判定すると、CPU12は、ステップS8に進む。
【0030】
ステップS8:CPU12は、顔領域面積Sを算出する。CPU12は、ステップS4において確度が50%以上である肌色領域の総和を求め、顔領域面積Sとする。
【0031】
ステップS9:CPU12は、顔領域面積Sと閾値TlおよびThとを比較する。CPU12は、顔領域面積S≧閾値Thであると判定すると、ステップS10に進む。CPU12は、顔領域面積S≦閾値Tlであると判定すると、後述するステップS11に進む。CPU12は、閾値Tl<顔領域面積S<閾値Thであると判定すると、後述するステップS12に進む。なお、閾値TlおよびThは、予め定められた閾値である。
【0032】
ステップS10:CPU12は、撮影モードが「ポートレートモード」である場合(ステップS6Yes)、または、顔領域面積S≧閾値Thである場合には、画面内に被写体の顔領域が多い、つまり人物が主要被写体であると判断する。そして、CPU12は、顔分布評価値Dfxの重み係数Wf=1とし、コントラスト分布評価値Dcxの重み係数Wc=0とする。このように重み係数WfおよびWcを決定することにより、画像における被写体の顔分布を重視して、後述する挿入位置の決定を行うことができる。
【0033】
ステップS11:CPU12は、撮影モードが「風景モード」である場合(ステップS7Yes)、または、顔領域面積S≦閾値Tlである場合には、画面内に被写体の顔領域が少ない、つまり風景などが主要被写体であると判断する。そして、CPU12は、顔分布評価値Dfxの重み係数Wf=0とし、コントラスト分布評価値Dcxの重み係数Wc=1とする。このように重み係数WfおよびWcを決定することにより、画像のコントラストを重視して、後述する挿入位置の決定を行うことができる。
【0034】
ステップS12:CPU12は、顔分布評価値Dfxの重み係数Wf=1とし、コントラスト分布評価値Dcxの重み係数Wc=1とする。このように重み係数WfおよびWcを決定することにより、画像における被写体の顔分布と画像のコントラストとの双方を加味して、後述する挿入位置の決定を行うことができる。
【0035】
ステップS13:CPU12は、ステップS4で算出した顔分布評価値Dfxと、ステップS5で算出したコントラスト分布評価値Dcxと、ステップS10からステップS12の何れかで決定した重み係数WfおよびWcとを用いて、被写体分布評価値Dx(x=1〜25)を算出する。CPU12は、上述した各要素をもとにステップS4およびステップS5で説明した小領域毎に、次式にしたがって被写体分布評価値Dx(x=1〜25)を算出する。なお、重み係数WfおよびWcは、全ての小領域において同じ値である。
【0036】
被写体分布評価値Dx={(Wf×Dfx)+(Wc×Dcx)}÷(Wf+Wc)…(式3)
図5Aに被写体分布評価値Dxの例を示す。被写体分布評価値Dxは、その小領域内に主要被写体が存在する確度が高いほど大きい値を示す。
【0037】
ステップS14:CPU12は、撮影関係情報の挿入指定がされているか否かを判定する。そして、CPU12は、撮影関係情報の挿入指定がされていると判定すると、ステップS15に進む。一方、撮影関係情報の挿入指定がされていないと判定すると、CPU12は、後述するステップS17に進む。
【0038】
ステップS15:CPU12は、ステップS13で算出した被写体分布評価値Dxに基づいて、撮影関係情報の挿入位置を決定する。撮影関係情報の挿入位置は、1行目と5行目とに含まれる小領域から選択されるものとする。1行目と5行目とに含まれる小領域は、撮影関係情報の性質上好ましい挿入位置である。CPU12は、1行目と5行目とに含まれる小領域から、被写体分布評価値Dxが最も小さい小領域を選択し、撮影関係情報の挿入位置とする。なお、撮影関係情報の挿入位置候補とする小領域を表示し、ユーザにより選択可能としても良い。また、撮影関係情報の属性に応じて挿入位置候補をCPU12が選択する構成としても良い。
【0039】
ステップS16:CPU12は、画像処理部5を制御して、メモリ6に一時記録した画像データに対してステップS15で決定した挿入位置に撮影関係情報を挿入する。図5Bに撮影関係情報が挿入された画像の例を示す。図5Bは、ステップS15において、1行目の2列目の小領域が挿入位置として決定され、撮影関係情報として撮影日時と電子カメラ1の位置情報と(i1)が挿入された場合の例を示す。CPU12は、撮影関係情報を挿入する際に、挿入位置である1行目の2列目の小領域の中心と、撮影関係情報の挿入画像の中心とが一致するように挿入する。なお、CPU12は、GPS10を制御して電子カメラ1の位置情報を取得する。また、CPU12は、時計回路11から撮影日時の情報を取得する。CPU12は、撮影関係情報を挿入した画像データを、メモリ6に一時記録する。
【0040】
ステップS17:CPU12は、スタンプ情報の挿入指定がされているか否かを判定する。そして、CPU12は、スタンプ情報の挿入指定がされていると判定すると、ステップS18に進む。一方、スタンプ情報の挿入指定がされていないと判定すると、CPU12は、後述するステップS20に進む。
【0041】
ステップS18:CPU12は、ステップS13で算出した被写体分布評価値Dxに基づいて、スタンプ情報の挿入位置を決定する。スタンプ情報の挿入位置は、2行目から4行目に含まれる小領域から選択されるものとする。2行目から4行目に含まれる小領域は、スタンプ情報の性質上好ましい挿入位置である。CPU12は、2行目から4行目に含まれる小領域から、被写体分布評価値Dxが最も小さい小領域を選択し、スタンプ情報の挿入位置とする。なお、スタンプ情報の挿入位置候補とする小領域を表示し、ユーザにより選択可能としても良い。また、スタンプ情報の属性に応じて挿入位置候補をCPU12が選択する構成としても良い。
【0042】
ステップS19:CPU12は、画像処理部5を制御して、メモリ6に一時記録した画像データに対してステップS18で決定した挿入位置にスタンプ情報を挿入する。図5Bにスタンプ情報が挿入された画像の例を示す。図5Bは、ステップS18において、3行目の3列目の小領域が挿入位置として決定され、スタンプ情報として「元気ですか」というメッセージ(i2)が挿入された場合の例を示す。CPU12は、スタンプ情報を挿入する際に、挿入位置である3行目の3列目の小領域の中心と、スタンプ情報の挿入画像の中心とが一致するように挿入する。CPU12は、スタンプ情報を挿入した画像データを、メモリ6に一時記録する。
【0043】
ステップS20:CPU12は、各部を制御して、メモリ6に一時記録した画像データを記録媒体8に記録する。なお、CPU12は、挿入画像を挿入する前の画像と、挿入した後の画像とを関連付けて記録媒体8に記録しても良い。また、CPU12は、挿入画像を挿入せずに、撮像により生成した画像データと、挿入画像の画像データと、挿入位置とを関連付けて記録媒体8に記録しても良い。また、CPU12は、挿入位置を決定せずに、撮像により生成した画像データと、挿入画像の画像データと、挿入情報(顔分布評価値Dfx、コントラスト分布評価値Dcx、重み係数WfおよびWc、被写体分布評価値Dxの一部または全部)とを関連付けて記録媒体8に記録しても良い。
【0044】
以上説明したように、第1実施形態によれば、被写体の像を撮像して画像データを生成し、画像データに対して顔認識処理を施して画像データの画像における主要被写体の分布を示す分布情報を生成する。そして、分布情報と被写体のコントラスト情報との少なくとも一方に基づいて、画像データに挿入画像を挿入する挿入位置を決定する。したがって、画像データの適切な位置に挿入画像を挿入することができる。特に、画面内の被写体分布に応じて挿入位置を決定することにより、主要画像部分と挿入画像とが重なってしまったり、視認性の低い位置が挿入位置として決定されるといった不具合を回避することができる。
【0045】
また、第1実施形態によれば、被写体の像を撮像して画像データを生成し、挿入画像の属性情報に基づいて、画像データの画像における挿入画像の挿入範囲を限定し、画像データにおける被写体の情報に基づいて、挿入範囲の中から挿入画像を挿入する挿入位置を決定する。したがって、挿入画像の属性に応じた適切な位置に挿入画像を挿入することができる。
【0046】
また、第1実施形態によれば、決定した画像データの挿入位置に挿入画像を挿入する。したがって、挿入画像を挿入する必要がある場合にのみ画像データに挿入画像を挿入することができる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、生成した画像データと、挿入画像の画像データと、決定した挿入位置とを関連付けて記録媒体に記録する。したがって、撮影後の所望のタイミングで、適切な位置に挿入画像を挿入することができる。
【0048】
また、第1実施形態によれば、分布情報とコントラスト情報との重み付けを、主要被写体の被写体全体に対する面積比率が大きいほど、コントラスト情報の重み付けに対する分布情報の重み付けの割合が大きくなるように決定し、重み付けを加味した分布情報とコントラスト情報とに基づいて挿入位置を決定する。したがって、主要被写体の被写体全体に対する面積比率が大きい場合には、画面内に被写体の顔領域が多い、つまり人物が主要被写体であると判断する。そして、画像における被写体の顔分布を重視して、挿入位置の決定を行うことができる。逆に、主要被写体の被写体全体に対する面積比率が小さい場合には、画面内に被写体の顔領域が少ない、つまり風景など主要被写体であると判断する。そして、画像のコントラストを重視して、挿入位置の決定を行うことができる。
【0049】
また、第1実施形態によれば、複数の撮影モードのうち何れかの撮影モードを設定する設定手段を更に備え、設定手段により設定された撮影モードに応じた撮影条件で、被写体の像を撮像して画像データを生成するとともに、設定手段により設定された撮影モードの種類に基づいて、分布情報とコントラスト情報との重み付けを決定し、重み付けを加味した分布情報とコントラスト情報とに基づいて挿入位置を決定する。したがって、挿入位置を、撮影モードの種類に応じて自動で適切に決定することができる。
【0050】
なお、第1実施形態では、重み係数WfおよびWcを決定するために、撮影モードの判別(図2のステップS6およびステップS7)と、顔領域面積Sに基づく判別(図2のステップS9)とを行う例を示したが、一方の判別のみを行う構成としても良い。
【0051】
また、第1実施形態では、撮影関係情報およびスタンプ情報の挿入位置候補を、予め定めておく例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、複数の挿入画像を挿入する場合に、それぞれの挿入画像の優先順位を定め、優先順にしたがって、挿入画像が重複しないように挿入位置を決定する構成としても良い。また、挿入位置候補を予め定め、挿入位置候補に対応する小領域についてのみ、図2および図3のステップS4、ステップS5、ステップS13の処理を行う構成としても良い。
【0052】
また、第1実施形態では、撮像時に挿入画像の挿入を行う場合を例に挙げて説明したが、撮像により生成し、記録媒体8に記録した画像を再生する再生時に挿入画像の挿入を行う構成としても良い。また、撮像時に挿入位置を決定しておき、再生時にユーザ指示に応じて挿入画像の挿入を実行する構成としても良い。
【0053】
また、第1実施形態において、図2のステップS4における顔分布評価値Dfxの算出、図2のステップS5におけるコントラスト分布評価値Dcxの算出、図2のステップS10からステップS12における重み係数WfおよびWcの決定、図3のステップS13における被写体分布評価値Dxの算出の方法は一例であり、本実施形態の例に限定されない。例えば、ステップS10において、Wf=0.9とし、Wc=0.1としても良い。また、ステップS11において、Wf=0.1とし、Wc=0.9としても良い。また、各ステップにおける算出方法や決定方法はユーザにより指定可能な構成としても良い。
【0054】
<第2実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、コンピュータを例に挙げて説明を行う。
【0055】
図6は、第2実施形態のコンピュータ100の構成を示す図である。コンピュータ100は、図6に示すように、メモリ107、記録部108、操作部110、CPU113、取得部120、表示制御部121、表示部122を備える。メモリ107は、取得部120により取得した画像データなどを一時記録する。記録部108は、メモリ107に一時記録された画像データなどを記録する。操作部110は、電源釦、マウス、キーボードなどを含む。CPU113は、各部を統合的に制御する。また、CPU113は、挿入画像の挿入位置を決定する。決定の詳細は後述する。また、CPU113は、各処理を実行するためのプログラムを予め記録している。取得部120は、有線、無線、記録媒体用のドライブなどを介して、電子カメラなどの外部機器や記録媒体から画像データを取得する。表示制御部121は、表示部122への画像の表示を制御する。表示部122は、液晶表示素子などの画像表示素子を備える。
【0056】
次に、コンピュータ100におけるCPU113の動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
ステップS31:CPU113は、ユーザによる指示が行われたか否かを判定する。そして、CPU113は、ユーザによる指示が行われたと判定すると、ステップS32に進む。
【0058】
ステップS32:CPU113は、画像データの取得が指示されたか否かを判定する。そして、CPU113は、画像データの取得が指示されたと判定すると、後述するステップS34に進む。一方、画像データの取得以外の指示が行われた場合には、CPU113は、ステップS33に進む。
【0059】
ステップS33:CPU113は、指示にしたがった処理を行う。処理の具体的な方法は公知技術と同様であるため、説明を省略する。CPU1113は、指示にしたがった処理を行うと、ステップS31に戻る。
【0060】
ステップS34:CPU113は、取得部120を制御して、外部機器や記録媒体から画像データを取得する。このとき、CPU113は、画像データとともにタグ情報を取得する。そして、CPU113は、取得した画像データおよびタグ情報をメモリ107に一時記録する。
【0061】
なお、タグ情報には、撮影モードの種類、挿入画像情報、挿入画像の画像データ、挿入情報などが含まれる。撮影モードの種類とは、画像データの撮影時の撮影モードの種類を示す情報である。挿入画像情報とは、撮影日時、撮影位置、撮影条件など挿入画像を作成するための元となる情報である。挿入画像情報は、例えば、文字を示すコードのデータである。挿入画像の画像データは、第1実施形態と同様の撮影関連情報やスタンプ情報を示す画像データである。挿入情報は、第1実施形態で説明した挿入位置情報、顔分布評価値Dfx、コントラスト分布評価値Dcx、重み係数WfおよびWc、被写体分布評価値Dxなどである。また、挿入情報は、挿入画像が複数ある場合に、それぞれの挿入画像の優先順位を示す情報も含む。
【0062】
ステップS35:CPU113は、タグ情報に挿入画像情報または挿入画像の画像データが存在するか否かを判定する。そして、CPU113は、タグ情報に挿入画像情報または挿入画像の画像データが存在すると判定すると、ステップS36に進む。一方、挿入画像情報または挿入画像の画像データが存在しないと判定すると、CPU113は、後述するステップS38に進む。
【0063】
ステップS36:CPU113は、タグ情報に挿入位置情報が存在するか否かを判定する。そして、CPU113は、タグ情報に挿入位置情報が存在すると判定すると、後述するステップS40に進む。一方、挿入位置情報が存在しないと判定すると、CPU113は、ステップS37に進む。
【0064】
なお、CPU113は、タグ情報に顔分布評価値Dfx、コントラスト分布評価値Dcx、重み係数WfおよびWc、被写体分布評価値Dxなどが存在するか否かを判定しても良い。そして、CPU113は、被写体分布評価値Dxが存在しない場合には、被写体分布評価値Dxを算出して、後述するステップS40に進む。
【0065】
ステップS37:CPU113は、挿入位置を決定する。CPU113は、上述した第1実施形態と同様に、挿入位置を決定する。この決定は、ステップS34で取得した画像データやタグ情報に含まれる情報に応じて適宜行う構成とすれば良い。
【0066】
例えば、CPU113は、図2および図3のフローチャートのステップS4からステップS13と同様の処理を行って、被写体分布評価値Dxを算出する。そして、CPU113は、図3のフローチャートのステップS14,ステップS15,ステップS17,ステップS18と同様の処理を行って、撮影関係情報およびスタンプ情報の挿入位置を決定する。
【0067】
ステップS38:CPU113は、挿入指定が行われたか否かを判定する。そして、CPU113は、挿入指定が行われたと判定すると、ステップS39に進む。一方、挿入指定が行われていないと判定すると、CPU113は、一連の処理を終了する。なお、ユーザは、操作部110を操作して、挿入指定を行う。
【0068】
ステップS39:CPU113は、ステップS38においてユーザが指定した位置を認識し、挿入位置を決定する。
【0069】
ステップS40:CPU113は、メモリ107に一時記録した画像データに対して重畳表示をするためのプレビュー画像を生成する。プレビュー画像とは、挿入画像を、ステップS37またはステップS39で決定した挿入位置、または、タグ情報に記憶された挿入位置に配置した画像である。CPU113がタグ情報に挿入画像の画像データが存在すると認識した場合は、これを挿入画像として挿入する。また、CPU113がタグ情報に挿入画像情報が存在すると認識した場合は、挿入画像情報に基づいて挿入画像を生成して挿入する。複数の挿入画像を挿入する場合には、プレビュー画像に複数の挿入画像を同時に配置すれば良い。CPU113は、プレビュー画像を生成すると、メモリ107に一時記録する。
【0070】
ステップS41:CPU113は、表示制御部121を制御して、メモリ107からステップS34で取得した画像データとステップS40で生成したプレビュー画像とを読み出し、表示部122に重畳表示する。図8に表示例を示す。図8の例では、i1に示す撮影関係情報を挿入する場合を例に挙げる。CPU113は、図8に示すように、表示部122の領域A1に、ステップS34で取得した画像データの画像にステップS40で生成したプレビュー画像を重畳表示する。更に、CPU113は、図8に示すように、表示部122の領域A2に、後述する挿入実行または調整操作をユーザに促すメッセージを表示する。ユーザは、表示部122を目視することにより、挿入画像の挿入位置を確認することができる。
【0071】
ステップS42:CPU113は、挿入実行が指示されたか否かを判定する。そして、CPU113は、挿入実行が指示されたと判定すると、後述するステップS45に進む。一方、挿入実行が指示されていないと判定すると、CPU113は、ステップS43に進む。なお、ユーザは、操作部110を操作して、挿入実行指示を行う。また、複数の挿入画像を挿入する場合には、挿入画像毎に挿入実行を指示可能な構成とすれば良い。
【0072】
ステップS43:CPU113は、調整操作が行われたか否かを判定する。そして、CPU113は、調整操作が行われたと判定すると、ステップS44に進む。一方、調整操作が行われていないと判定すると、CPU113は、ステップS42に戻る。なお、調整操作とは、ユーザが挿入位置を調整するための操作である。ユーザは、表示部122に表示されたプレビュー画像を目視しながら操作部110を操作して、調整操作を行う。なお、複数の挿入画像を挿入する場合には、挿入画像毎に調整操作可能な構成とすれば良い。
【0073】
ステップS44:CPU113は、ステップS43で行われた調整操作に応じて挿入位置を変更してステップS40に戻る。
【0074】
ステップS45:CPU113は、上述した第1実施形態と同様に、メモリ107に一時記録した画像データに挿入画像を挿入する。複数の挿入画像を挿入する場合には、複数の挿入画像を同時に挿入すれば良い。CPU113は、挿入画像を挿入した画像データをメモリ107に一時記録する。
【0075】
ステップS46:CPU113は、メモリ107に一時記録した画像データを記録部108に記録する。
【0076】
以上説明したように、第2実施形態によれば、処理対象の画像データに対する画像処理をコンピュータで実現するための画像処理プログラムにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、第2実施形態によれば、決定された挿入位置をユーザが確認するための確認画像をコンピュータの表示部に表示する。したがって、ユーザは、挿入画像の挿入を実行する前に、表示部を目視することにより、挿入画像の挿入位置を確認することができる。
【0078】
また、第2実施形態によれば、決定された挿入位置をユーザが確認するための確認画像をコンピュータの表示部に表示し、表示開始後に、ユーザによる挿入実行指示を受け付ける。そして、挿入実行指示を受け付けると、処理対象の画像データの挿入位置に挿入画像を挿入する。したがって、ユーザは、挿入画像の挿入を実行する前に、表示部を目視することにより、挿入画像の挿入位置を確認するとともに、確認を行った後に所望のタイミングで挿入実行指示を行うことができる。
【0079】
なお、第2実施形態では、複数の挿入画像を挿入する場合に、図7のステップS37からステップS43において、複数の挿入画像を同時に処理する例を示したが、第1実施形態と同様に、複数の挿入画像を順番に処理する構成としても良い。また、第1実施形態において、第2実施形態と同様に、複数の挿入画像を同時に処理する構成としても良い。
【0080】
また、第1実施形態において、第2実施形態と同様に、画像データの画像とプレビュー画像とを重畳表示し、挿入実行指示を受け付ける構成としても良い。また、電子カメラに第2実施形態のコンピュータ100が記録していた制御プログラムを記録し、第2実施形態と同様の処理を行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0081】
1…電子カメラ,2…光学系,3…光学系制御部,4…撮像素子,5…画像処理部,6・107…メモリ,7・108…記録部,8…記録媒体,9・110…操作部,12・113…CPU,100…コンピュータ,120…取得部,121…表示制御部,122…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の像を撮像して画像データを生成する撮像手段と、
前記画像データに挿入する挿入画像の属性情報に基づいて、前記画像データの画像における前記挿入画像の挿入範囲を限定し、前記画像データにおける前記被写体の情報に基づいて、前記挿入範囲の中から前記挿入画像を挿入する挿入位置を決定する決定手段と
を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記決定手段が決定した前記画像データの前記挿入位置に前記挿入画像を挿入する挿入手段を更に備える
ことを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記撮像手段が生成した前記画像データと、前記挿入画像の画像データと、前記決定手段が決定した前記挿入位置とを関連付けて記録媒体に記録する記録手段を更に備える
ことを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記挿入画像は、前記撮像手段の撮影条件を示す画像である
ことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
処理対象の画像データに対する画像処理をコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、
前記画像データを取得する取得手順と、
前記画像データに挿入する挿入画像の属性情報に基づいて、前記画像データの画像における前記挿入画像の挿入範囲を限定し、前記画像データにおける前記被写体の情報に基づいて、前記挿入範囲の中から前記挿入画像を挿入する挿入位置を決定する決定手順と
を有することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記決定手順により決定された前記画像データの前記挿入位置に前記挿入画像を挿入する挿入手順を更に有する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記取得手順では、前記画像データとともに、前記画像データにおける被写体の情報に基づいて決定された挿入情報を取得する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記取得手順では、前記画像データとともに、前記画像データの生成時の生成条件を示す情報を取得し、
前記挿入画像は、前記生成条件を示す画像である
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記決定手順により決定された前記挿入位置をユーザが確認するための確認画像を前記コンピュータの表示部に表示する表示手順を更に有する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記決定手順により決定された前記挿入位置をユーザが確認するための確認画像を前記コンピュータの表示部に表示する表示手順と、
前記表示手順による前記確認画像の表示開始後に、前記ユーザによる挿入実行指示を受け付ける受付手順とを更に有し、
前記挿入手順では、前記受付手順により前記挿入実行指示を受け付けると、前記画像データの前記挿入位置に前記挿入画像を挿入する
ことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−65338(P2012−65338A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243331(P2011−243331)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2008−506171(P2008−506171)の分割
【原出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】