説明

カメラケース

【課題】カメラ制御基板に実装された発熱部品を効率良く冷却することができ、更に、複数種類のレンズを搭載する場合にも容易に対応可能なカメラケースを提供する。
【解決手段】撮像装置を収納する密閉型のカメラケースにおいて、撮像装置の撮像素子が発生する熱を放熱するための放熱フィンと、放熱フィンに空気流を吹き出すファンと、放熱フィンとファンとの間に設けられ、ファンに対応する位置に複数の開口部を有する仕切板と、放熱フィンから流れる空気を流入し、所定の方向に吹き出すチャンバと、を有し、チャンバが、チャンバの構成の一部に、撮像装置を制御するための制御基板を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラケースに関わり、特に密閉型のカメラケースに収納された高感度撮像装置の冷却技術に関する。
【背景技術】
【0002】
EM−CCD( Electron Multiplying - Charge
Coupled Device )等の高感度撮像素子を使用する撮像装置においては、高感度撮像素子の性能を最大限に引き出すため、外気温度が比較的に高い環境においても高感度撮像素子の温度を十分に低温に保つようにする必要がある。
【0003】
従来、監視用途等に用いられるテレビカメラ等の撮像装置の冷却構造では、高感度撮像素子冷却用のペルチェ素子の放熱部を撮像装置の筐体部に接触させることによって冷却する構造が主流であった。
しかし、撮像素子冷却用のペルチェ素子の放熱部を撮像装置の筐体部に接触させることによる冷却構造だけでは、冷却が必要な高感度撮像素子の内部温度及び電源部を低温に維持することが容易ではなく、冷却効果を充分に得ることができない場合が多かった。
【0004】
そこで本出願人は、特許文献1に開示されたように、撮像素子や電源で発生する熱をカメラケース内部で対流させ空気循環させる手段を備えた冷却構造を提案した。
特許文献1に開示された冷却構造は、撮像装置が発生する熱を対流し空気循環させるためのカメラケースの冷却構造において、撮像装置内で発生する熱を放熱するための放熱フィンと、放熱フィンに向けて空気流を発生させるためのファンと、放熱フィンとファンとの間に設置されてファンの空気吹き出し口に対応する位置に複数の開口部を有する仕切部材と、放熱フィンから流入した空気を溜めて所定の方向に吹き出すためのチャンバとを備えた冷却構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−41085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来のカメラケースに収納された撮像装置の構成について、図3及び図4を使って説明する。
図3は、従来のカメラケースに収納された撮像装置100の前方斜視図であり、図4は、図3における撮像装置100のレンズ部101の中心を通る鉛直面に沿ったB−B断面を示す図である。
従来のカメラケース(図示せず)に収納された撮像装置100は、レンズ部101と、レンズ部101を通して被写体を撮像するための撮像素子部102と、撮像素子部102で発生する熱を放熱するための放熱フィン103と、レンズ部101の上部に載置され、撮像装置100を制御するためのカメラ制御基板104と、放熱フィン103に向けて空気流を発生させるためのファン105と、放熱フィン103とファン105との間に設置されてファン105の空気吹き出し口に対応する位置に複数の開口部を有する仕切部材106と、放熱フィン103から流入した空気を溜めて所定の方向に吹き出すためのエアチャンバ107とを有する構成となっている。
次に、従来の撮像装置100の冷却方法について説明する。図4に示すように、まず、ファン105で発生させた風を放熱フィン103に当てる。放熱フィン103は、垂直方向に複数のフィンが並んだ構成となっており、放熱フィン103に当たった風は、放熱フィン103に沿って、矢印d1、d2のように、上下2方向に流れる。この風の内、放熱フィン103の上方向に流れる風を仕切部材106に連結させたエアチャンバ107によって前方のカメラ制御基板104に送るようにしている。
つまり、エアチャンバ107の前方出口107aから出る風をカメラ制御基板104に沿って流すことによって、カメラ制御基板104に実装された発熱部品から発生する熱をこの風で冷却している。
【0007】
しかし、従来の撮像装置100では、ファン105で発生させた風をエアチャンバ107によってレンズ部101の上部に載置したカメラ制御基板104に送り、放熱する構造の為、レンズ部101のレンズを他のレンズに変更しようとした場合には、変更するレンズの形状によっては、レンズ部の上部に載置したカメラ制御基板の形状や配置も変更しなければならないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたものであり、カメラ制御基板に実装された発熱部品を効率良く冷却することができ、更に、複数種類のレンズを搭載する場合にも容易に対応可能なカメラケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、撮像装置を収納する密閉型のカメラケースにおいて、前記撮像装置の撮像素子が発生する熱を放熱するための放熱フィンと、前記放熱フィンに空気流を吹き出すファンと、前記放熱フィンと前記ファンとの間に設けられ、前記ファンに対応する位置に複数の開口部を有する仕切板と、前記放熱フィンから流れる空気を流入し、所定の方向に吹き出すチャンバと、を有し、前記チャンバが、前記チャンバの構成の一部に、前記撮像装置を制御するための制御基板を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放熱フィンからの風を直接カメラ制御基板に当て、カメラの前方に風を流す構造となる為、カメラ制御基板に実装された発熱部品を効率良く冷却することができるという効果がある。また、レンズと撮像素子部の連結部より後方にカメラ制御基板が配置される構造の為、カメラ制御基板の配置を変更するなど構造を変更すること無しに多種のレンズと組合せることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態のカメラケースに収納された撮像装置2の前方斜視図である。
【図2】図1における撮像装置2のレンズ部11の中心を通る鉛直面に沿ったA−A断面を示す図である。
【図3】従来のカメラケースに収納された撮像装置100の前方斜視図である。
【図4】図3における撮像装置100のレンズ部101の中心を通る鉛直面に沿ったB−B断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態のカメラケースに収納された撮像装置の構成について、図1及び図2を使って説明する。
図1は、本発明の一実施形態のカメラケースに収納された撮像装置2の前方斜視図である。また、図2は、図1における撮像装置2のレンズ部11の中心を通る鉛直面に沿ったA−A断面を示す図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態のカメラケース(図示せず)に収納された撮像装置2は、レンズ部11と、レンズ部11を通して被写体を撮像するための撮像素子部12と、撮像素子部12で発生する熱を放熱するための放熱フィン13と、放熱フィン13に向けて空気流を発生させるためのファン15と、放熱フィン13とファン15との間に設置されてファン15の空気吹き出し口に対応する位置に複数の開口部を有する仕切部材16と、放熱フィン13から流入した空気を溜めて所定の方向に吹き出すためのエアチャンバ17とを有する構成となっている。
また、エアチャンバ17は、左右方向を囲うための左側面部材17a、右側面部材17bと、上下方向を囲うため上部に配置し、撮像装置2を制御するためのカメラ制御基板14と、底板部材18とから構成されている。
つまり、カメラ制御基板14がエアチャンバ17の一部を構成する構造となっている。
【0014】
次に、本発明の一実施形態のカメラケース(図示せず)に収納された撮像装置2の冷却方法について説明する。図2に示すように、まず、ファン15で発生させた風を放熱フィン13に当てる。放熱フィン13は、垂直方向に複数のフィンが並んだ構成となっており、放熱フィン13に当たった風は、放熱フィン13に沿って、矢印b1、b2のように、上下2方向に流れる。この風の内、放熱フィン13の上方向に流れる風b1は、仕切部材16に連結させたエアチャンバ17内に入り、エアチャンバ17を構成するカメラ制御基板14に当たって前方に流れるようにしている。
つまり、放熱フィン13から出る風をカメラ制御基板14に沿って流すことによって、カメラ制御基板14に実装された発熱部品から発生する熱をこの風で冷却している。
【0015】
なお、エアチャンバ17の下部に底板部材18を配置したが、上部に配置したカメラ制御基板14を2分割し、分割した内の1つのカメラ制御基板を底板部材18に代えて配置しても良い。
【符号の説明】
【0016】
2:撮像装置 、11:レンズ部、12:撮像素子部、13:放熱フィン、14:カメラ制御基板、15:ファン、16:仕切部材、17:エアチャンバ、17a:左側面部材、17b:右側面部材、18:底板部材、100:撮像装置、101:レンズ部、102:撮像素子部、103:放熱フィン、104:カメラ制御基板、105:ファン、106:仕切部材、107:エアチャンバ、107a:出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置を収納する密閉型のカメラケースにおいて、
前記撮像装置の撮像素子が発生する熱を放熱するための放熱フィンと、
前記放熱フィンに空気流を吹き出すファンと、
前記放熱フィンと前記ファンとの間に設けられ、前記ファンに対応する位置に複数の開
口部を有する仕切板と、
前記放熱フィンから流れる空気を流入し、所定の方向に吹き出すチャンバと、を有し、前記チャンバが、前記チャンバの構成の一部に、前記撮像装置を制御するための制御基板を備えたことを特徴とするカメラケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−44300(P2012−44300A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181645(P2010−181645)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】