説明

カメラ用水平表示機構

【目的】 カメラを簡単かつ正確に水平保持できるようにする。
【構成】 カメラ本体1の上部に形成されるストロボ取付部に水準器3を取り付け、カメラ本体1の外周囲(例えばカメラケース)に、水準器3の像をファインダ4の近傍まで導き、ファインダ4を覗き込む撮影者5の目に結像させる光学系6(レンズ6a、鏡6b、レンズ6c、鏡6d)を設け、被写体を見るとき同時に水準器3の表示を撮影者が確認できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真撮影用カメラやビデオカメラに使用するカメラ用水平表示機構に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、実験記録等の撮影、風景の撮影や記念撮影等の撮影では、多くの場合カメラを水平状態に設定して撮影するが、撮影者がファインダを覗きながら周囲の風景等との比較対照からカメラが水平かどうかを判断する観測者の勘に頼る手法では、正確にカメラを水平に設定することは困難であり、また設定操作が面倒である。かかる場合、固定具として三脚が使用されるが、単に三脚に設定しただけでは正確に水平であるとの保証は得られない。
【0003】そこで、従来では、例えば図5に示すように、三脚51に水準器52を取り付け、カメラ53の取り付け位置が正確に水平であるとの確認ができるようにしたもの、また図6(a)(b)に示すように、カメラ61のストロボ取付部62やシャッターボタン64に水準器65を取り付け、そのようなカメラ61を三脚に固定し水平を確認できるようにしたものが知られている。
【0004】なお、図6に示すものにおいて、三脚を不可欠とするのは、三脚に固定しないと、水平を確認した後にファインダ66を覗き撮影対象物を確認する際にカメラ61が傾くのを避けることができないからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来では、カメラまたは三脚に水準器を取り付け、カメラを三脚に水平保持して固定できるようにしているが、撮影場所を変更する場合には三脚も一緒に運ぶ必要があり、またその都度三脚に設定して水平を確認する操作を繰り返す必要があり、繁雑であるという問題がある。
【0006】また、撮影の仕方としてカメラを傾ける場合があるが、従来では、その傾ける角度を複数の被写体について同一とすることが困難であるという問題もある。
【0007】本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、撮影者がファインダを覗いたときにカメラが水平または水平から一定角度傾いて設定され保持されているかを撮影者に知らせる機能を備えたカメラ用水平表示機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明のカメラ用水平表示機構は次の如き構成を有する。即ち、第1発明のカメラ用水平表示機構は、カメラのストロボ取付部等に取り付けた水準器と; カメラの外周囲に設けられ、水準器の像をファインダの近傍まで導き、ファインダを覗き込む撮影者の目に結像させる光学系と; を備えることを特徴とする。
【0009】第2発明のカメラ用水平表示機構は、カメラのファインダの近傍であってファインダを覗き込む撮影者の視野内に配置した水準器; を備えることを特徴とする。
【0010】第3発明のカメラ用水平表示機構は、カメラのファインダに着脱可能に装着されるアダプタに水準器を取り付けた; ことを特徴とする。
【0011】第4発明のカメラ用水平表示機構は、カメラのファインダの近傍に配置した水準器と; ファインダの近傍に配置され、水準器の像をファインダを覗き込む撮影者の目に結像させるレンズと; を備えることを特徴とする。
【0012】第5発明のカメラ用水平表示機構は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明の何れかにおいて、水準器は、水平面から所定角度傾斜可能に配置される;ことを特徴とする。
【0013】第6発明のカメラ用水平表示機構は、カメラの本体に、支点を中心に重りが揺動する振子式傾斜計をその指針がファインダ内で撮影者が視認できるように配置した; ことを特徴とする。
【0014】第7発明のカメラ用水平表示機構は、カメラの本体に、支点を中心に重りが揺動する振子式傾斜計をその指針がファインダ外においてファインダを覗き込む撮影者が視認できるように配置した; ことを特徴とする。
【0015】第8発明のカメラ用水平表示機構は、加速度センサと; 加速度センサの出力を受けてカメラの水平位置からの傾きを演算する手段と; ファインダを覗き込む撮影者の視野内に設けられ演算結果を表示する表示器と; を備えることを特徴とする。
【0016】また、第9発明のカメラ用水平表示機構は、加速度センサと; カメラの設定角度位置を入力する手段と; 加速度センサの出力を受けてカメラの設定角度位置からの傾きを演算する手段と; ファインダを覗き込む撮影者の視野内に設けられ演算結果を表示する表示器と; を備えることを特徴とする。
【0017】
【作用】次に、本発明のカメラ用水平表示機構の作用を説明する。本発明では、撮影者がファインダを覗いたときにカメラが水平または水平から一定角度傾いて設定され保持されているかを撮影者に知らせることができる。従って、カメラだけを保持して迅速かつ容易に被写体を正しく水平状態でまたは所要の角度傾いて撮影することができる。また、撮影場所を移動する場合でもカメラだけを携行すれば良いので、非常に簡便である。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施例に係るカメラ用水平表示機構を示す。図1において、この第1実施例では、カメラ本体1の上部に形成されるストロボ取付部に水準器3を取り付け、カメラ本体1の外周囲(例えばカメラケース)に、水準器3の像をファインダ4の近傍まで導き、ファインダ4を覗き込む撮影者5の目に結像させる光学系6(レンズ6a、鏡6b、レンズ6c、鏡6d)を設け、被写体を見るとき同時に水準器3の表示を撮影者が確認できるようにしたものである。
【0019】なお、水準器3の像は多少歪みがあっても目的は達成できる。従って、レンズ6a、6cに代えて湾曲した鏡を使用することもできる。
【0020】次に、図2は、本発明の第2実施例に係るカメラ用水平表示機構を示す。図2において、この第2実施例では、カメラ本体1のファインダ4の近傍(図示例ではファインダ4の下枠付近)に、水準器20とこの水準器20の像をファインダ4を覗き込む撮影者の目5に結像させるレンズ21とを配置したものである。
【0021】ここに、水準器20は、ファインダ4に着脱可能に装着されるアダプタ(例えば視度補正レンズ)に取り付けても良い。使用上便利な場合もある。なお、水準器20は、その表面形状や裏面側ケースの反射鏡等でレンズ効果を具備するようにできる。従って、レンズ21を配置せずに水準器20のみをファインダを覗き込む撮影者5の視野内に配置することもできる。
【0022】また、図2(c)に示すように、水準器20は、水平面から所定角度傾斜可能に配置することもできる。カメラを任意の一定角度傾けた姿勢での複数被写体の撮影が可能となる。このことは、第1実施例においても同様である。
【0023】次に、図3は、本発明の第3実施例に係るカメラ用水平表示機構を示す。図3において、この第3実施例では、カメラ本体1に、支点を中心に重りが揺動する振子式傾斜計30をその指針31がファインダ内で撮影者が視認できるように配置したものである。指針31は、レンズ32によって被写体と同時に視認できるようにしてある。
【0024】なお、振子式傾斜計30は、その指針がファインダ外においてファインダを覗き込む撮影者が視認できるように配置しても良いことは勿論である。
【0025】次に、図4は、本発明の第4実施例に係るカメラ用水平表示機構を示す。図4において、この第4実施例では、昨今のカメラがマイクロプセッサ40を内蔵し各種の信号処理が可能である点に着目し、加速度センサ41を組み込み、その出力をアンプ42で増幅してマイクロプロセッサ40に与え、カメラ本体1の水平位置からの傾きを演算させ、それをアンプ43で増幅してファインダ4を覗き込む撮影者の視野内に設けたファインダ内用集中表示器44に表示させるようにしたものである。
【0026】ファインダ内用集中表示器44には、撮影者が表示を見ながらカメラ本体1の保持状態を水平状態に調整できるような表示がなされる。具体的には、表示器には、例えば基準水平線と校正用直線とを表示し、校正用直線をカメラ本体1の傾きに応じて傾斜させ、撮影者が校正用直線を基準水平線に重なるようにカメラ本体1の保持状態を調整する。或は、表示器44には、具体的な傾き角に対応する数値が表示され、その数値が0となるように撮影者がカメラ本体1の保持状態を調整する如きである。
【0027】なお、カメラの設定角度位置を入力する手段を設け、マイクロプロセッサ40にその設定角度位置からの傾きを演算させ、それを表示し、撮影者がその設定傾角でカメラ本体1を保持できるようにすることもできる。
【0028】そして、実際の使用では、撮影者が視認し易いようにダンピングを適度にかけたり、感度を低下させたりする方が良い場合がある。これは、水準器の場合は、液体の粘度や管の形状の設定を工夫し、電子式の場合は、信号の積分時間や感度の設定を工夫することにより、最適値を選択することにより行える。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカメラ用水平表示機構は、撮影者がファインダを覗いたときにカメラが水平または水平から一定角度傾いて設定され保持されているかを撮影者に知らせることができる。従って、本発明によれば、カメラだけを保持して迅速かつ容易に被写体を正しく水平状態でまたは所要の角度傾いて撮影することができる効果がある。また、撮影場所を移動する場合でもカメラだけを携行すれば良いので、非常に簡便であるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るカメラ用水平表示機構の概念図である。
【図2】本発明の第2実施例に係るカメラ用水平表示機構の概念図であり、(a)は側面図、(b)は背面図、(c)は水準器が傾斜可能に配置される場合の概念図である。
【図3】本発明の第3実施例に係るカメラ用水平表示機構の概念図である。
【図4】本発明の第4実施例に係るカメラ用水平表示機構の概念図である。
【図5】水準器を備える三脚による従来の水平保持方法の説明図である。
【図6】水準器をカメラ本体に取り付けた従来の水平保持方法の説明図であり、(a)はカメラのストロボ取付部に取り付けた場合、(b)はシャッターボタンに取り付けた場合を示す図である。
【符号の説明】
1 カメラ本体
3 水準器
4 ファインダ
5 撮影者
6 光学系
20 水準器
21 レンズ
30 振子式傾斜計
31 指針
32 レンズ
40 マイクロプロセッサ
41 加速度センサ
42 アンプ
43 アンプ
44 ファインダ内用集中表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラのストロボ取付部等に取り付けた水準器と; カメラの外周囲に設けられ、水準器の像をファインダの近傍まで導き、ファインダを覗き込む撮影者の目に結像させる光学系と; を備えることを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項2】 カメラのファインダの近傍であってファインダを覗き込む撮影者の視野内に配置した水準器; を備えることを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項3】 カメラのファインダに着脱可能に装着されるアダプタに水準器を取り付けた; ことを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項4】 カメラのファインダの近傍に配置した水準器と; ファインダの近傍に配置され、水準器の像をファインダを覗き込む撮影者の目に結像させるレンズと; を備えることを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項5】 水準器は、水平面から所定角度傾斜可能に配置される; ことを特徴とする請求項1、同2、同3、同4の何れかに記載のカメラ用水平表示機構。
【請求項6】 カメラの本体に、支点を中心に重りが揺動する振子式傾斜計をその指針がファインダ内で撮影者が視認できるように配置した; ことを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項7】 カメラの本体に、支点を中心に重りが揺動する振子式傾斜計をその指針がファインダ外においてファインダを覗き込む撮影者が視認できるように配置した; ことを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項8】 加速度センサと; 加速度センサの出力を受けてカメラの水平位置からの傾きを演算する手段と; ファインダを覗き込む撮影者の視野内に設けられ演算結果を表示する表示器と; を備えることを特徴とするカメラ用水平表示機構。
【請求項9】 加速度センサと; カメラの設定角度位置を入力する手段と; 加速度センサの出力を受けてカメラの設定角度位置からの傾きを演算する手段と; ファインダを覗き込む撮影者の視野内に設けられ演算結果を表示する表示器と; を備えることを特徴とするカメラ用水平表示機構。

【図1】
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【図5】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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