説明

カラムとそれを用いたカラム装置並びに自動分析装置

【課題】自動測定を容易にするカラムを提供すること。
【解決手段】液体試料中の目的物質を単離するための担体を保持する担体保持部と、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部とを備えるカラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカラムとそれを用いたカラム装置並びに自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラムとして、カラム上端に試料を貯留するためのロートを有し、ロート内に試料を入れ、ロート上部を密閉し加圧することによりカラム内に試料を注入することにより、カラム内の支持体に試料中の分析対象物を結合させることが可能なサンプルミニカラムが知られている(例えば、特許文献1参照)特許文献1には、このカラム内に保持された分析対象物を分析するために、カラム上端に入口ノズルを接続することにより、支持体から分析対象物を解離させる溶媒を入口ノズルを介してカラムに注入し、カラム下端に接続された出口ノズルを介して、分析対象物を含む溶媒を検出器に導き、分析対象物の検出を自動的に行う自動分析装置が記載されている。
【0003】
この自動分析装置においては、複数のカラムに対してそれぞれ入口ノズル、出口ノズルを備えている。入口ノズルは回転バルブを介してポンプに接続され、回転バルブを切り換えることにより、ポンプから回転バルブ、入口ノズルを介して対象とするカラムに液体が送られる。また、出口ノズルは回転バルブを介して検出器に接続され、回転バルブを切り換えることにより、対象カラムから出口ノズル、回転バルブを介して検出器に液体が導かれる構成になっている。
【特許文献1】特表2000−514563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のカラムを用いた自動分析装置では、複数のカラムを備え、カラムからの流路を回転バルブを用いて切り換えることによって、異なるカラム内に保持された分析対象物を分析するようにしているため、ポンプからカラムを介した検出器までの流路は複雑であり、異なるカラム内の分析対象物を分析する場合、その都度その複雑な流路内に残った前回の分析対象物を洗浄しなければならない問題があった。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、自動分析に適した簡単な構成のカラムおよびそれを用いたカラム装置並びに自動分析装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は液体試料中の目的物質を単離するための担体を保持する担体保持部と、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部とを備えるカラムを提供するものである。
また、この発明は別の観点から、液体試料中の目的物質を単離するための担体と、この担体を保持する担体保持部と、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部と、液体導入部を密閉するための第1栓体と、液体貯留部を密閉するための第2栓体とを備え、担体内、液体導入部内および液体貯留部内に担体を保存する保存液を保持するカラムを提供するものである。
また、この発明は別の観点から、液体試料中の目的物質を単離するための担体を保持する担体保持部、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部とを備えたカラム、前記カラムの液体導入部を接続するためのカラム接続部、液体試料を受け入れる液体試料受入部、 液体試料受入部とカラム接続部との間を接続する流路を備えた流体回路、および液体試料受入部で受け入れた液体試料を流路を介してカラムに送るための駆動源を備えたカラム装置を提供するものである。
また、この発明は別の観点から、上記カラム装置と、前記液体貯留部から液体を採取するためのピペットと、ピペットを駆動するための第2駆動源と、前記駆動源と前記第2駆動源を制御するための制御部とを備える自動分析装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明のカラムによれば、液体導入部から液体試料を担体保持部を介して液体貯留部へ導入でき、かつ、液体貯留部に貯留された液体試料が上部から採取可能である。従って、液体試料に含まれる目的物質を担体保持部で単離させる工程、単離した物質に基質を反応させて生成物を得る工程、生成物から目的物質を測定する工程が、このカラムを用いて容易に行われる。よって、このカラムは測定の自動化を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳述するこれによってこの発明が限定されるものではない。
カラム
図1はこの実施形態に用いるカラムの上面図、図2は図1に示すカラムの側面図、図3は図1のA−A矢視断面図である。
これらの図に示すように、カラム1は、塩化ビニル樹脂製の円筒形で、内部には、液体試料中の目的物質を単離するために用いる担体6を保持する担体保持部2と、担体保持部2に液体試料を導入するための液体導入部3と、担体保持部2から液体試料を受け入れて貯留するための液体貯留部4とを有する。なお、カラム1は塩化ビニル樹脂を切削加工した一体成形品である。大量生産を前提とした場合、成形加工により一体成形してもよい。また、塩化ビニル樹脂に代えて、タンパク質の吸着が少ないポリプレン樹脂、ポリアセタール樹脂を使用してもよい。
【0008】
カラム1の液体貯留部4は300μLの容積を有し、外部から液体試料を採取可能な開口5を上部に有する。カラムの大きさは、直径が10mm、長さが35mmである。なお、カラムの直径は1〜15mmが好ましく、カラムの長さは10〜50mmが好ましい。担体6は直径2.7mm×高さ3mmの円柱形のモノリスシリカゲルである。モノリスシリカゲルは粒子担体とは異なり、3次元ネットワーク状の骨格とその空隙が一体となった構造を有している。担体6はカラム1の下部開口から担体保持部2へ挿入され、Oリング7を介して固定用パイプ8によって弾性的に押圧されて支持される。
なお、固定用パイプ8は、カラム1の下部開口から圧入され、パイプ8とOリング7の穴が液体導入部3を形成する。
また、カラム1の下端にはカラム1を後述の試料調製ユニットに装填して固定するための装填用フランジ9を備える。フランジ9は、図1に示すように直径Dの円盤状のフランジの両側を幅W(W<D)になるように平行に切り欠いて形成された小判形のフランジである。
【0009】
試料調製ユニット
図4はこの実施形態に用いる試料調製ユニットの斜視図である。
同図に示すように、試料調製ユニット11は、L字形の支持プレート12を備え、支持プレート12には流体マニホールド13と、シリンジ14と、減速機付きステッピングモータ15とが固定されている。
ステッピングモータ15の出力軸にはスクリューシャフト16が接続されている。スクリューシャフト16に螺合する駆動アーム17がシリンジポンプ14のピストン18の先端に接続されている。ステッピングモータ15によりスクリューシャフト16が回転すると、ピストン18が上下運動するようになっている。シリンジポンプ14と流体マニホールド13とはコネクタ19,20を介して送液チューブ18により接続されている。また、シリンジポンプ14は、コネクタ20aを介して送液チューブ20bにより、後述する保存液チャンバ34と接続されている。
【0010】
液体マニホールド
図5は流体マニホールドの上面図、図6は図5のB−B矢視断面図である。これらの図に示されるように、流体マニホールド13は塩化ビニル樹脂製で、カラム1の液体導入部3が接続されるカラム接続部21と、液体試料を受け入れる液体試料受入部22とを備える。
流体マニホールド13は、内部に流路23を備え、下面に、液体試料受入部22と流路23との間を開閉する電磁バルブ24と、流路23とカラム接続部21との間を開閉する電磁バルブ25を備える。また、流体マニホールド13は、側面にコネクタ20を接続するためのコネクタ接続用ねじ穴26(図5)を有し、ねじ穴26は流路23に接続されている。
図7は試料調製ユニット11の流体回路図であり、流体マニホールド13にシリンジポンプ14がコネクタ20aを介して接続された状態を示す。そして、シリンジポンプ14には、後述の流体操作部71(図8参照)に設けられた電磁バルブ33を介して保存液チャンバ34が接続され、保存液チャンバ34には陽圧源35から陽圧が印加されている。
【0011】
ここで、カラム1を流体マニホールド13に装填する方法を説明する。
図5、図6に示すように、流体マニホールド13の上面には、カラム1の下端を受け入れるカラム受入用凹部27が形成され、凹部27の底部の中心がカラム接続部21に貫通すると共に底部の円周にOリング28が装着されている。また、流体マニホールド13の上面には2枚の断面L字形押え板29,30がカラム装填用凹部27を中心として図1に示すWより広くDより狭い間隔で平行に固定されている。
【0012】
そこで、カラム1をカラム装填用凹部27に、フランジ9が押え板29,30の間を通るように装填し、時計方向又は反時計方向に90度だけ回転させる。それによって、フランジ9の直径Dの部分が押え板29,30に係合すると共に、Oリング28の弾性によりフランジ9が押え板29,30により固定される。
なお、カラム1を除去する場合には、カラム1を押えながら、左右いずれかの方向に90度だけ回転させればよい。
【0013】
カラム1が試料調製ユニット11の流体マニホールド13に装填されるとき、後述するように、気泡混入を防止するため流体マニホールド13の凹部27は液体で満たされているが、カラム1の先端を凹部27に挿入するとその体積によって液体が溢れ出す。この液体が周辺へ流出することを防止するために、カラム装着用凹部27の周囲に溢れ液貯留凹部31(図5,図6)が形成され、凹部31の一部に凹部31より深い集液凹部32が設けられている。
後述のように試料調製ユニット11が自動測定機構部に搭載されるときには、溢れ出た液体は凹部31に貯留され、凹部32から分注ピペット62で吸引され排出される。
【0014】
自動測定装置
図8はこの実施形態に用いる自動測定装置の斜視図である。自動測定装置は、自動測定機構部51と、それに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ80から構成される。
自動測定機構部51は、ピペットX方向移動用のフレーム52と、ピペットY方向移動用のフレーム53と、ピペットZ方向移動用のブロック54を備える。
フレーム52は、ブロック54を矢印X方向に移動させるためのスクリューシャフト55と、ブロック54を支持して摺動させるためのスライドシャフト56と、スクリューシャフト55を回転させるステッピングモータ57を備える。
フレーム53は、フレーム52を矢印Y方向に移動させるためのスクリューシャフト58と、フレーム52を支持して摺動させるための平行なスライドシャフト59,60と、スクリューシャフト58を回転させるステッピングモータ61を備える。
【0015】
ブロック54は分注ピペット62を支持するアーム68を矢印Z方向に移動させるためのスクリューシャフト67と、アーム68を支持して摺動させるためのスライドシャフト69と、スクリューシャフト67を回転させるステッピングモータ70を備える。
さらに、フレーム53の内部には、6台の試料調製ユニット11と、検体容器と試薬容器を設置して適温に保存するための検体・試薬設置部63と、分注ピペット62を洗浄するための洗浄部64と、廃液を収容するための廃棄部65と、検出容器を設置して検出を行うための検出部66が設けられる。フレーム52の背部にはピペット62,洗浄部64および各試料調製ユニット11などに接続されて流体を操作する流体操作部71が設けられている。流体操作部71は、各試料調製ユニット11の電磁バルブ24,25、保存液チャンバからシリンジ14に液体を充填する際に流体を制御する電磁バルブ33、分注ピペット62による液体の吸引、吐出の際に流体を制御する電磁バルブ、廃液部65における分注ピペットから廃棄される液体を吸引する際に流体を制御する電磁バルブ、および洗浄部64において分注ピペットを洗浄する際に流体を制御する電磁バルブを備えている。
【0016】
また、自動測定機構部51は、保存液チャンバ34、陽圧源35、後述する洗浄液タンク73、廃液タンク74、純水タンク75を収容する収容ユニット81を背部に備える。
さらに、各試料調製ユニット11、検体・試料設置部63、ステッピングモータ57,61,70、および流体操作部71に駆動信号を供給するための駆動回路76をフレーム53の側面に備える。
また、パーソナルコンピュータ80は、駆動回路部76に接続される制御部77、制御部77にデータ等を入力するための入力部78および分析結果等を表示する表示部79を備える。
【0017】
次に、パーソナルコンピュータ80の制御部77の構成について、図11を用いて説明する。制御部77は、CPU91aと、ROM91bと、RAM91cと、入出力インターフェース91dと、画像出力インターフェース91eとを備えている。ROM91bは、オぺレーティングシステム、装置の動作を制御するため制御プログラム、および制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。CPU91aは、制御プログラムをRAM91cにロードし、またはROM91bから直接実行することが可能である。このようにしてCPU91aが処理した結果のデータは、入出力インターフェィス91dを通じて自動同測定機構部51の駆動路76へ送信され、CPU91aの処理に必要なデータは、自動同測定機構部51の駆動路76から入出力インターフェィス20dを通じて受信される。CPU91aは、制御プログラムを実行することにより、自動同測定機構部51の駆動回路76の制御を行うことが可能となる。また、CPU91aは、後述する検出ステップにおいて検出部66で得られた蛍光強度に基づいて活性を反映した分析データを算出し、表示部79に表示する。
【0018】
制御系
図9は図8に示す自動測定装置の自動測定機構部51を制御する制御系のブロック図である。この制御系は、同図に示すように、自動測定機構部51の各部を駆動するためのドライバー回路を備えた駆動回路部76を備える。駆動回路部76を制御すると共に検出部66からの検出結果を分析するための制御部77、制御部77へデータ等を入力する入力78、および制御部77で分析された分析結果等を表示するための表示部79から構成されるパーソナルコンピュータ80からなる。
制御部77は、駆動回路部76を制御することにより、駆動回路部76から各試料調製ユニット11のステッピングモータ15を駆動するための駆動信号、検体・試薬設置部63の温度調節するための駆動信号、ステッピングモータ57,61,70を駆動するための駆動信号、および流体操作部71にある電磁バルブを駆動するための駆動信号を出力する。また、制御部77は、検出信号を検出部66から駆動回路76を介して取り込む。
なお、洗浄部64には洗浄液を供給するための洗浄液タンク73が接続され、廃棄部65には廃液を収容するための廃液タンク74が接続され、流体操作部71には検体や試薬の希釈用純水を供給するための純水タンク75が接続されている。
【0019】
測定の開始に際し、次のようにして試料調製ユニット11の流体マニホールド13に保存液が予め充填される。図7に示す流体回路において、先ず、電磁バルブ24と33が開かれ保存液チャンバ34から保存液がシリンジ14に流入し、電磁バルブ24を介して液体試料受入部22へ到達する。そこで、電磁バルブ24と33が閉じられ、電磁バルブ25と33が開かれると、保存液が保存液チャンバ34から電磁バルブ33、シリンジ14、電磁バルブ25を介してカラム受入用凹部27に到達し、凹部27が保存液で充填される。
その後、電磁バルブ25、33は閉じられる。
上記のような状態において、カラム1を取り付ける。
カラム1内の担体(モノリスシリカゲル)6には活性測定対象となる酵素に特異的に結合する抗体が予め固相化されている。そして、抗体が空気に触れないようにカラム1の内部には保存液103が充填され、カラム1は、その上端部と下端部とにそれぞれキャップ101,102が取り付けられ、密封されている(図12)。
そこで、まず、カラム1の下端のキャップ102を外し、試料調製ユニット11のカラム装填用凹部27へ近づける。このときカラム1内の液の自重により先端に液滴104ができる(図13)。次に、カラム1の先端の液滴104とカラム装填用凹部27に満たされている液とを接触させながらカラム1を凹部27に挿入したあと、カラム1を90度回転させて固定する。次に、カラム1の上端部のキャップ101を取り外す。このようにして、測定準備が完了する。
【0020】
測定動作
測定準備が完了した後、パーソナルコンピュータ80の入力部78(キーボード)のスタートキーを押すことによって、測定が開始される。測定動作については、図10に示されたフローチャートを用いて説明する。
1.免疫沈降前バッファー送液(ステップS1)
(1)分注ピペット62がカラム1の液体貯留部4の一定の深さC(図3参照)まで挿入され、液体貯留部4内の保存液を吸い出したあと、廃棄部65へ吐出する。
(2)分注ピペット62の外部、内部を洗浄部64で洗浄する。
(3)装置内の検体・試薬設置部63から免疫沈降前バッファーを100μL吸引し、流体マニホールド13の液体試料受入部22へ注ぐ。
(4)電磁バルブ24を開き、シリンジポンプ14によって100μL/minの流速で免疫沈降前バッファーを100μL吸引し、電磁バルブ24を閉じ、電磁バルブ25を開いて、カラム1へ100μL/minの流速で100μL押し出し、電磁バルブ25を閉じる。
(5)分注ピペット62がカラム1の液体貯留部4の一定の深さCまで挿入され、カラム1を通過して押し出された液を吸い出し、廃棄部65で吐出する。
(6)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
【0021】
2.免疫沈降(ステップS3)
(1)検体・試薬設置部63から検体を150μL吸引し、流体マニホールド13の液体試料受入部22へ注ぐ。
(2)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
(3)電磁バルブ24を開き、シリンジポンプ14によって100μL/minの流速で検体を150μL吸引した後、吸引を一時停止する。
(4)流路23(図6)内に残留する検体をカラム1へ流すため、液体試料受入部22へ30μLの洗浄液を分注ピペット62で分注する。
(5)シリンジポンプ14によって100μL/minの流速で洗浄液30μLを吸引する。
(6)電磁バルブ24を閉じ、電磁バルブ25を開き、シリンジポンプ14によって50μL/minの流速でカラム1へ50μL送液して一時停止する。
(7)液体貯留部4へ押し出された50μLはカラム1の内部に残留していた免疫沈降前バッファーであるため、分注ピペット62をカラム1の液体貯留部4の一定深さCまで挿入し、押し出された液を吸い出し、廃液部65に吐出する。
(8)シリンジポンプ14によって50μL/minの流速でカラム1へ130μL送液する。担体6の内部で免疫反応が起こり検体に含まれる目的のタンパク質が担体6に捕捉される。
(9)分注ピペット62をカラム1の液体貯留部4の一定深さまで挿入し、押し出された液を吸い出し、廃棄部65へ吐出する。場合によっては反応後の検体を回収して別のカラムに検体として再利用することも可能である。
(10)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
【0022】
3.酵素反応前バッファー1送液(ステップS3)
(1)検体・試薬設置部63から酵素反応前バッファー1を100μL吸引し、流体マニホールド13の液体試料受入部22へ注ぐ。
(2)分注ピペット62洗浄部64で洗浄する。
(3)電磁バルブ24を開き、電磁バルブ25を閉じ、シリンジポンプ14によって100μL/minの流速で酵素反応前バッファー1を100μL吸引して一時停止する。
(4)電磁バルブ24を閉じ、電磁バルブ25を開いて、カラム1へ100μL/minの流速で100μL送液する。
(5)分注ピペット62をカラム1の液体貯留部4に一定深さCまで挿入し、押し出された液を吸い出し、廃棄部65で吐出する。
(6)分注ピペット62洗浄部64で洗浄する。
【0023】
4.酵素反応前バッファー2送液(ステップS4)
(1)検体・試薬設置部63から酵素反応前バッファー2を100μL吸引し、流体マニホールド13の液体試料受入部22へ注ぐ。
(2)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
(3)電磁バルブ24を開き、電磁バルブ25を閉じ、シリンジポンプ14によって100μL/minの流速で酵素反応前バッファー2を100μL吸引して一時停止する。
(4)電磁バルブ24を閉じ、電磁バルブ25を開き、カラム1へ100μL/minの流速で100μL送液する。
(5)分注ピペット62をカラム1の液体貯留部4に一定深さCまで挿入し、押し出された液を吸い出し、廃棄部65で吐出する。
(6)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
【0024】
5.酵素反応(ステップS5)
(1)検体・試薬設置部63から基質を100μL吸引し、流体マニホールド13の液体試料受入部22へ注ぐ。
(2)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
(3)電磁バルブ24を開き、電磁バルブ25を閉じ、シリンジポンプ14によって100μL/minの流速で基質を100μL吸引して一時停止する。
(4)電磁バルブ24を閉じ、電磁バルブ25を開き、弁を切り替えてカラム1へ10μL/minの流速で50μL送液し一時停止する。
(5)液体貯留部4へ押し出された50μLはカラム1の内部に残留していた酵素反応前バッファー2であるため、分注ピペット62をカラム1の液体貯留部4に一定深さCまで挿入し、押し出された液を吸い出し、廃液部65に吐出する。
(6)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
(7)シリンジポンプ14によって10μL/minの流速でカラム1へ50μL送液する。担体6の内部に捕捉されていた目的酵素と基質との間で酵素反応が起こる。その結果、目的酵素の活性を反映した生成物が液体貯留部4へ押し出される。
ここで、十分に酵素反応させるために、流速を上げ基質を担体6で反復送液させてもよい。
【0025】
6.蛍光標識化反応(ステップS6)
(1)検体・試薬設置部63から蛍光標識化試薬を20μL吸引し、カラム1の液体貯留部4へ注ぐ。
(2)分注ピペット62を液体貯留部4の中へ挿入して吸引・吐出を反復して撹拌する。
(3)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
(4)20分間静置して酵素反応による生成物と蛍光標識化試薬とを反応させる。
【0026】
7.標識化反応停止処理(ステップS7)
(1)検体・試薬設置部63から標識化反応停止試薬を200μL吸引し、カラム1の液体貯留部4へ注ぐ。
(2)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
(3)3分間静置して過剰の蛍光標識試薬と標識反応停止試薬とを反応させる。
【0027】
8.検出装置用容器へ分注(ステップS8)
(1)分注ピペット62を液体貯留部4の中へ挿入して蛍光標識化処理された生成物を50μL吸引する。
(2)検出部66の容器へ分注ピペット62を移動させて吐出する。
(3)分注ピペット62を洗浄部64で洗浄する。
【0028】
9.検出(ステップS9)
(1)検出部66で、生成物の蛍光強度を測定する。
(2)測定された蛍光強度から活性を反映した数値データが、制御部77で算出される。
このようにして、検体に含まれる目的酵素の酵素活性測定が行われる。
【0029】
ここで、検体は、例えば、生体組織片をホモジナイズし、さらに遠心分離するという一般的な方法で調製される。
この発明において、目的酵素を補足して酵素活性を測定する場合、カラム内に設置される担体としては、モノリスシリカゲルの他に、セファロースビーズなどを用いることができる。
また、目的酵素の例としてCDK1(cyclin-dependent protein kinase 1)が挙げられる。そして、目的酵素がCDK1の場合、抗体は抗CDK1抗体が使用される。
【0030】
また、上記測定工程で用いる液や試薬の一例を下記に示す。
保存液、洗浄液
Tris-HCl pH7.4・・・25mM
NaCl・・・・・・・・150mM
免疫沈降前バッファー
Tris-HCl pH7.4・・・50mM
Nonidet-P40・・・・・0.1%
酵素反応前バッファー1
Nonidet-P40・・・・・1%
Tris-HCl pH7.4・・・50mM
NaCl・・・・・・・・・300mM
酵素反応前バッファー2
Tris-HCl pH7.4・・・50mM
基質
Tris-HCl pH7.4・・・40mM
Triton X-100・・・・0.1%
MgCl2・・・・・・・・20mM
ATPγS・4Li・・・・・2mM
Histone H1・・・・・・10μg
蛍光標識化試薬
5-lodoacetamide・・・・2mM
fluorescein(5-IAF)
DMSO(dimethl sulfoxide)
Tris-HCl pH7.4・・・・25mM
EDTA-2Na・・・・・・・5mM
標識化反応停止試薬
2ME(2-mercaptoethanol)・・5%
Tris-HCl pH7.4・・・・25mM
NaCl・・・・・・・・・・150mM
【0031】
本実施形態では、酵素に特異的に結合する抗体を予め固相化した担体を用いたが、酵素に特異的に結合する抗体を固定可能な担体を用いて、後から抗体を含む液体を担体に流し込むことによって、担体に抗体を固定化してもよい。
【0032】
本実施形態では、酵素を担体に補足して酵素活性測定するために担体を用いたが、タンパク質、核酸、ホルモン、神経伝達物質およびビタミンなどを単離するための担体として、アフィニティークロマト担体、イオン交換クロマト担体、疎水性クロマト担体、ゲルろ過担体および逆相クロマト担体などのクロマトグララフィー用担体を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明に係るカラムの上面図である。
【図2】この発明に係るカラムの側面図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】この発明に係る試料調製ユニットの斜視図である。
【図5】この発明に係る流体マニホールドの上面図である。
【図6】図5のB−B矢視断面図である。
【図7】図4に示す試料調製ユニットの流体回路図である。
【図8】この発明に係る自動測定機構部を示す斜視図である。
【図9】図8の自動測定装置の自動測定機構部を制御する制御系を示すブロック図である。
【図10】図9に示す制御系の動作を示すフローチャートである。
【図11】自動測定装置の制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図12】上下の開口部にキャップを装着したカラムを示す断面図である。
【図13】図12のカラムから下部のキャップを外した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カラム
2 担体保持部
3 液体導入部
4 液体貯留部
5 開口
6 担体
7 Oリング
8 固定用パイプ
9 装填用フランジ
11 試料調製ユニット
12 支持プレート
13 流体マニホールド
14 シリンジポンプ
15 ステッピングモータ
16 スクリューシャフト
17 駆動アーム
18 送液チューブ
19 コネクタ
20 コネクタ
21 カラム接続部
22 液体試料受入部
23 流路
24 電磁バルブ
25 電磁バルブ
26 コネクタ接続用ねじ穴
27 カラム受入用凹部
28 Oリング
29 押え板
30 押え板
31 溢れ液貯留部凹部
32 集液凹部
33 電磁バルブ
34 保存液チャンバ
35 陽圧源
51 自動測定機構部
52 ピペットX方向移動用フレーム
53 ピペットY方向移動用フレーム
54 ピペットZ方向移動用ブロック
55 スクリューシャフト
56 スライドシャフト
57 ステッピングモータ
58 スクリューシャフト
59 スライドシャフト
60 スライドシャフト
61 ステッピングモータ
62 分注ピペット
63 検体・試薬設置部
64 洗浄部
65 廃棄部
66 検出部
67 スクリューシャフト
68 アーム
69 スライドシャフト
70 ステッピングモータ
71 流体操作部
73 洗浄液タンク
74 廃液タンク
75 純水タンク
76 駆動回路部
77 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料中の目的物質を単離するための担体を保持する担体保持部と、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部とを備えるカラム。
【請求項2】
前記液体貯留部は、上部から液体試料を採取するための開口を備える請求項1記載のカラム。
【請求項3】
前記担体保持部に保持された担体は、目的物質と特異的に結合する物質が固定されている請求項1記載のカラム。
【請求項4】
前記担体保持部に保持された担体は、目的物質と特異的に結合する物質を固定可能である請求項1記載のカラム。
【請求項5】
液体試料中の目的物質を単離するための担体と、この担体を保持する担体保持部と、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部と、液体導入部を密閉するための第1栓体と、液体貯留部を密閉するための第2栓体とを備え、担体内、液体導入部内および液体貯留部内に担体を保存する保存液を保持するカラム。
【請求項6】
液体試料中の目的物質を単離するための担体を保持する担体保持部と、担体保持部に液体試料を導入するための液体導入部と、担体保持部から液体試料を受け入れて上部から採取可能に貯留する液体貯留部とを備えたカラム、
前記カラムの液体導入部を接続するためのカラム接続部、
液体試料を受け入れる液体試料受入部、
液体試料受入部とカラム接続部との間を接続する流路を備えた流体回路、および
液体試料受入部で受け入れた液体試料を流路を介してカラムの液体導入部に送るための駆動源、
を備えたカラム装置。
【請求項7】
請求項6のカラム装置と、前記液体貯留部から液体を採取するためのピペットと、ピペットを駆動するための第2駆動源と、前記駆動源と前記第2駆動源を制御するための制御部とを備える自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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