説明

カラーチェンジャーおよび照明器具

【課題】
内部に塵や埃などが侵入しにくいカラーチェンジャーおよびこのカラーチェンジャーを備える照明器具を提供する。
【解決手段】
カラーチェンジャー4は、光源5からの光が通過する開口17、この開口17に設けられた入射側フィルタホルダ枠18、出射側フィルタホルダ枠19およびバンドア枠20を有する本体11と、本体11内に収納され、単位カラーフィルター12a,12b,12c…が開口17を横切るように移動可能に設けられたカラーフィルター12と、本体11内に配設されたカラーフィルター12の作動制御手段13と、本体11の入射側フィルタホルダ枠18および出射側フィルタホルダ枠19にそれぞれ装着される入射側フィルタホルダ14および出射側フィルタホルダ15と、バンドア枠20に着脱されるバンドア16とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、舞台、スタジオ等の演出照明の色光を可変するカラーチェンジャーおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカラーチェンジャーは、照明器具の光源の前面側に設けられ、モータで駆動されるドラムにより透光性のカラーフィルターを巻き取りまたは巻き戻し可能として、光源からの光をカラーフィルターに透過させて透過光の色光を変化させている。そして、フォトセンサーなどの位置検出手段により、カラーフィルターに設けた検出片や位置決めマーカー等を検出して、モータの駆動を制御している。
【0003】
そして、カラーフィルターは、着色されたポリエステル樹脂などで形成されるので、その巻き取りまたは巻き戻しにより静電気が発生して帯電しやすいことが知られている。この静電気除去用の除電器をカラーフィルターに近接または接触可能に設けるカラーチェンジャーが提案されている(例えば特許文献1参照。)。このカラーチェンジャーは、例えば位置決めマーカーからモータに放電する放電光によりフォトセンサーが誤動作することなどを回避している。
【0004】
ところで、カラーチェンジャーは、光源からの光がカラーフィルターを介して通過する開口を有している。この開口から外部の塵や埃などがカラーチェンジャー内に侵入し、カラーフィルターやフォトセンサーに付着する。特に、カラーフィルターが静電気を帯電していると、塵や埃などが付着しやすいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−144504号公報(第2頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カラーチェンジャーは、静電気除去の除電器を備えていても、上記開口から塵や埃などが侵入し、カラーフィルターやフォトセンサーに付着する。カラーフィルターに塵や埃などが付着すると、カラーフィルターの透過率が低下するとともに、巻き取りや巻き戻しに不具合が発生して色ずれの原因になるという問題がある。また、フォトセンサーに塵や埃などが付着すると、カラーフィルターの位置検出ができなくなるおそれがある。
【0007】
本実施形態は、内部に塵や埃などが侵入しにくいカラーチェンジャーおよびこのカラーチェンジャーを備える照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の照明器具は、本体、カラーフィルター、位置検出手段、入射側フィルタホルダ、出射側フィルタホルダおよびバンドアを有して構成される。
【0009】
本体は、光源からの光が通過する開口、この開口の光源からの光が入射する入射側に設けられた入射側フィルタホルダ枠、開口の光源からの光が出射する出射側にそれぞれ設けられた出射側フィルタホルダ枠およびバンドア枠を有して形成される。
【0010】
カラーフィルターは、複数色の単位カラーフィルターが帯状に連続して構成されている。そして、カラーフィルターは、本体内に収納され、単位カラーフィルターが開口を横切るように移動可能に設けられる。
【0011】
作動制御手段は、カラーフィルターを作動させるものであり、本体内に設けられる。
【0012】
入射側フィルタホルダおよび出射側フィルタホルダは、入射側フィルタホルダ枠および出射側フィルタホルダ枠にそれぞれ装着される。また、バンドアは、バンドア枠に着脱される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、カラーチェンジャーは、本体の開口の入射側および出射側にそれぞれ入射側フィルタホルダ枠および出射側フィルタホルダ枠が設けられていて、それらに入射側フィルタホルダおよび出射側フィルタホルダが装着されるので、本体内に外部から塵や埃などが侵入しにくくなり、これにより、カラーフィルターおよび作動制御手段に塵や埃などが付着しにくくなることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を示す照明器具の概略側面図である。
【図2】同じく、照明器具の概略正面図である。
【図3】同じく、カラーチェンジャーの分解概略斜視図である
【図4】同じく、カラーフィルターの一部展開図である。
【図5】同じく、位置検出手段の配設位置を示すカラーチェンジャーの概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の照明器具1は、図1および図2に示すように構成され、カラーチェンジャーは、図3〜図5に示すように構成される。図1において、照明器具1は、スポットライトに構成され、器具本体2、支持アーム3およびカラーチェンジャー4を備えている。
【0017】
器具本体2は、アルミニウム合金板からなり、一端側2aが径大の略四角筒状に形成され、一端側2aの端面に円形状の投光開口5(図2に示す。)が設けられ、内部に光源6を収納している。光源6は、ハロゲンランプや発光ダイオードからなり、投光開口5から放射光が出射されるように設けられている。投光開口5には、図2に示すように、ステンレス製メッシュ付きガラスフィルタ7が設けられている。
【0018】
支持アーム3は、例えばアルミニウム合金からなり、略コ字形に形成され、図1に示すように、器具本体2の両側面2b,2b(図中、一方のみを示す。)に取り付けられている。そして、支持アーム3は、バンカー8を取り付けており、このバンカー8がスタジオ等に設けられているバトン9に引っ掛けられて固定されている。これにより、器具本体2は、バトン9に吊り下げられている。
【0019】
そして、支持アーム3は、器具本体2を回動可能に支持しており、また、所望の位置で固定でき、器具本体2から出射される放射光の照射方向を変更できるようにしている。
【0020】
カラーチェンジャー4は、器具本体2の一端側2aに設けられた継ぎ手10により、投光開口5に対向するように器具本体2の一端側2aに取り付けられている。カラーチェンジャー4は、図3〜図5に示すように、本体11、カラーフィルター12、フォトセンサー13、入射側フィルタホルダ14、出力側フィルタホルダ15およびバンドア16を有して形成されている。フォトセンサー13は、位置検出手段として作動制御手段の一部を構成している。
【0021】
図3において、本体11は、分解可能な略箱状に形成され、前面11aおよび背面11bに貫通する円形の開口17が設けられている。この開口17は、カラーチェンジャー4が器具本体2に取り付けられたときに、投光開口5に正対して、光源6からの光が通過するものである。
【0022】
そして、本体11の背面11bには、開口17の光の入射側に入射側フィルタホルダ枠18が設けられている。この入射側フィルタホルダ枠18は、本体11の内部に形成され、蓋11cを開いた後、一方向(上方)からカラーフィルターホルダ14が差し込まれて保持される枠体に形成されている。
【0023】
また、本体11の前面11aには、開口17の光の出射側に出射側フィルタホルダ枠19およびバンドア枠20がそれぞれ設けられている。出射側フィルタホルダ枠19およびバンドア枠20は、それぞれ一方向(上方)から出射側フィルタホルダ15およびバンドア16が挿入されて保持される2重枠体に形成されていて、複数個のビス21により本体11の前面11aに取り付けられている。
【0024】
カラーフィルター12は、着色された透明なフィルムであり、図4に示すように、その長手方向に複数の色が区分けされて単位カラーフィルター12a,12b,12c,…を構成している。この単位カラーフィルター12a,12b,12c,…は、連続してつながって帯状をなしている。単位カラーフィルター12a,12b,12c,…は、例えば、透過光を赤色にする赤色部、緑色にする緑色部、青色にする青色部及び透過光をそのまま透過させる透明部等を必要に応じて選択し、本実施形態では、例えば24色24枚が連結している。これら、単位カラーフィルター12a,12b,12c,…の相互の境界は、継ぎ目22によって継ぎ合わされている。そして、後述の回転ドラム23に接続される始端側の単位カラーフィルター12a、すなわち、第1色目の単位カラーフィルター12aには、上方に検出孔24が設けられている。
【0025】
そして、カラーフィルター12は、図5に示すように、本体11内に収納され、本体11内に配設された回転ドラム23,23に接続されている。この回転ドラム23,23は、作動制御手段である図示しないモータに連結されている。帯状のカラーフィルター12は、その両端側がそれぞれ回転ドラム23,23に接続されている。そして、カラーフィルター12は、モータの駆動に応じて回転ドラム23に巻き取られ、巻き戻しされるようになっている。すなわち、カラーフィルター12は、本体11の開口17を横切るように移動可能に設けられている。
【0026】
位置検出手段(作動制御手段)としてのフォトセンサー13は、一対からなり、カラーフィルター12を挟むようにして本体11内に配設されている。一対のフォトセンサー13,13は、それぞれ発光素子および受光素子を有してなる。そして、第1色目の単位カラーフィルター12aに設けられた検出孔24を通過する例えば赤外線を検出することにより、カラーフィルター12の位置を検出する。すなわち、単位カラーフィルター12aは、カラーフィルター12の原点位置となる。
【0027】
そして、外部の図示しない制御装置から所定の色の単位カラーフィルター12a,12b,12c,…の選択信号がカラーチェンジャー4に送られると、カラーチェンジャー4は、単位カラーフィルター12aを原点位置として、この原点位置より選択された単位カラーフィルター12a,12b,12c,…までの位置を計算し、移動距離を算出して、この算出結果に基づいてモータを駆動する。そして、モータの駆動停止により、所定の色の単位カラーフィルター12a,12b,12c,…が本体11の開口17の位置に停留する。これにより、開口17から選択された所望の光色の光が出射される。
【0028】
図3において、入射側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15は、それぞれ入射側フィルタホルダ枠18および出力側フィルタホルダ枠19に装着される略正四角形の枠体に形成されている。そして、入射側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15は、それぞれフィルタ14aおよびフィルタ15bを収納している。そして、入射側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15は、それぞれ入射側フィルタホルダ枠18および出力側フィルタホルダ枠19に装着されている。
【0029】
本体11内のカラーフィルター12によって、開口17から所望の光色の光が出射するときには、フィルタ14aおよびフィルタ15bは、それぞれ透過光をそのまま通過させる無色のものが用いられる。また、カラーフィルター12によって、開口17から所望の光色の光が出射することができないときには、フィルタ14aおよびフィルタ15bは、それぞれ透過光を所望の光色に変換するものが用いられる。
【0030】
バンドア16は、バンドア枠20に差し込まれるバンドア本体25、このバンドア本体25に取り付けられた羽取付け体26および4個の羽27a,27bを有して形成されている。バンドア本体25は、バンドア枠21に差込み可能なリング体に形成されている。羽取付け体26は、略正四角形の枠体に形成され、図2に示すように、連結具28およびねじ29により、羽27a,27bを回動可能に取り付けている。
【0031】
羽27aは、矩形状の平板に形成されて、羽取付け体26の図中上下の位置に取り付けられている。また、羽27bは、先細り状の平板に形成され、羽取付け体26の図中左右の位置に取り付けられている。各羽27a,27bを展開してバンドア16の先端側の開口面積を調整することにより、本体11の開口17から出射される放射光の照射範囲を可変できるようにしている。バンドア16は、必要に応じてバンドア枠20に着脱される。
【0032】
次に、本実施形態の作用について述べる。
【0033】
照明器具1は、器具本体2内に収納された光源6からの光が投光開口5から出射され、カラーチェンジャー4の入力側フィルタホルダ14、本体11の開口17を横切るカラーフィルター12および出力側フィルタホルダ15を通過して出射される。そして、カラーフィルター12において、所定の色の単位カラーフィルター12a,12b,12c,…を選択することにより、カラーチェンジャー4の開口17から選択された所望の光色の光が出射される。このとき、入力側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15は、それぞれ光色を変換しない無色のフィルタ14a,14bを収納している。
【0034】
カラーフィルター12において、所望の光色の光に変換する単位カラーフィルター12a,12b,12c,…が存在しないときには、透明部の単位カラーフィルター12a,12b,12c,…を選択し、入力側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15を所望の光色の光に変換するものに交換する。これにより、カラーチェンジャー4の開口17から選択された所望の光色の光が出射される。
【0035】
そして、カラーチェンジャー4の開口17から出射される光は、バンドア16の各羽27a,27bを展開して調整することにより、その照射範囲が可変される。
【0036】
そして、入力側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15は、カラーチェンジャー4の本体11の開口17をそれぞれ本体11の背面11b側および前面11a側から略閉塞している。これにより、本体11内に塵や埃などが侵入しにくくなっている。
【0037】
本実施形態の照明器具1およびカラーチェンジャー4によれば、カラーチェンジャー4の本体11の開口17の入射側および出射側にそれぞれ入射側フィルタホルダ14および出射側フィルタホルダ15が装着されているので、本体11内に開口17を介して外部から塵や埃などが侵入しにくくなり、カラーフィルター12およびフォトセンサー13,13に塵や埃などを付着しにくくすることができる。したがって、塵や埃などが付着することによるカラーフィルター12の透過率の低下や色ずれを抑制でき、フォトセンサー13,13の不検出などの不具合を抑制できるという効果を有する。
【0038】
また、カラーフィルター12において、所望の光色の光に変換する単位カラーフィルター12a,12b,12c,…が存在しないときには、入力側フィルタホルダ14および出力側フィルタホルダ15を交換することによって、カラーチェンジャー4の開口17から所望の光色の光を出射することができるので、選択される光色の汎用性が向上するという効果を有する。
【符号の説明】
【0039】
1…照明器具、 2…器具本体、 4…カラーチェンジャー、 5…投光開口、6…光源、11…本体、 12…カラーフィルター、 12a,12b,12c…単位カラーフィルター、 13…作動制御手段としてのフォトセンサー、 14…入射側フィルタホルダ、 15…出射側フィルタホルダ、 16…バンドア、 17…開口、18…入射側フィルタホルダ枠、 19…出射側フィルタホルダ枠、 20…バンドア枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が通過する開口、この開口の前記光の入射側に設けられた入射側フィルタホルダ枠、前記開口の前記光の出射側にそれぞれ設けられた出射側フィルタホルダ枠およびバンドア枠を有する本体と;
この本体内に収納され、複数色の単位カラーフィルターが帯状に連続して構成されるとともに、前記単位カラーフィルターが前記開口を横切るように移動可能に設けられたカラーフィルターと;
前記本体内に配設された前記カラーフィルターの作動制御手段と;
前記本体の入射側フィルタホルダ枠および出射側フィルタホルダ枠にそれぞれ装着される入射側フィルタホルダおよび出射側フィルタホルダと;
前記バンドア枠に着脱されるバンドアと;
を具備していることを特徴とするカラーチェンジャー。
【請求項2】
一端側に投光開口が設けられ、この投光開口から放射光が出射されるように光源が収納された器具本体と;
前記投光開口に対向するように前記器具本体の一端側に取り付けられ、前記バンドア枠にバンドアが装着された請求項1記載のカラーチェンジャーと;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77491(P2013−77491A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217438(P2011−217438)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】