カラーチャート
【課題】 カラーチャートの形成条件についてのあらゆる情報を伝達可能なカラーチャートの提供を提供することを課題とする。
【解決手段】 カラーチャート60に印刷条件を記録し、同印刷条件を測色機50およびMSコンピュータ70によって取得している。このようにすることにより、カラーチャート60を作成した印刷条件に応じた色評価用カラーパッチの評価および補正データ90の作成を行うことが可能となる。カラーチャート60に印刷条件を記録するにあたっては、条件評価用カラーパッチの色と、各種コードを構成する文字とを対応させている。従って、条件評価用カラーパッチを測色することによって、各種情報を復号化することができる。この文字の組み合わせは、ほぼ無限に考えられるため、所定の文法にしたがうことにより、あらゆる印刷情報を表現することが可能である。
【解決手段】 カラーチャート60に印刷条件を記録し、同印刷条件を測色機50およびMSコンピュータ70によって取得している。このようにすることにより、カラーチャート60を作成した印刷条件に応じた色評価用カラーパッチの評価および補正データ90の作成を行うことが可能となる。カラーチャート60に印刷条件を記録するにあたっては、条件評価用カラーパッチの色と、各種コードを構成する文字とを対応させている。従って、条件評価用カラーパッチを測色することによって、各種情報を復号化することができる。この文字の組み合わせは、ほぼ無限に考えられるため、所定の文法にしたがうことにより、あらゆる印刷情報を表現することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーチャートに関し、特に所定領域内に色を付して形成されるカラーパッチが記録媒体上に複数分布するカラーチャートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のカラーチャートとして、画像入力装置に対応づけられた色のカラーパッチをカラーチャートに形成しておき、同カラーパッチを色判別することにより、対象となる画像入力装置を特定するものが知られている(例えば、特許文献1、段落0101、参照。)。
かかる構成によれば、人為的に画像入力装置の情報を入力することなく、対象となる画像入力装置を特定することができるため、作業が簡略化させることができるとともに、対象となる画像入力装置を誤って認識することが防止できた。
【特許文献1】特開2001‐177725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したカラーチャートにおいては、画像入力装置のように種類がある程度限られた判別対象あれば、カラーパッチの色との対応関係を予め定義しておくことにより、判別対象を特定することができる。しかしながら、例えば日付や時間等のように不特定かつ無限に存在し得る判別対象の場合、カラーパッチとの対応関係を予め定義することは不可能であり、同カラーパッチから日付や時間等を判別することはできないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、カラーチャートの形成条件についてのあらゆる情報を伝達可能なカラーチャートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明では、記録媒体上に形成されるカラーチャートは、記録媒体上における所定領域内に色を付すことにより形成されるカラーパッチを複数備える。この複数のカラーパッチは、少なくとも色評価用カラーパッチと条件評価用カラーパッチとから構成される。上記色評価用カラーパッチの領域内には、それぞれ評価対象となる見本色が付される。例えば、上記色評価用カラーパッチにおける上記見本色を評価することにより、当該カラーチャートを印刷した印刷装置等の評価をすることができ、その評価結果に基づいて調整を行ったり、初期設定を行ったりすることができる。一般、上記見本色は、印刷装置にて再現可能な色を偏りなく網羅するように選択される。
【0005】
一方、上記条件評価用カラーパッチの領域内にも色が付されるが、この色は複数組み合わせられることにより当該カラーチャートの形成条件を表現可能な文字に対応する。従って、上記条件評価用カラーパッチの色を認識し、この色に対応する文字を特定することができる。さらに、複数の上記条件評価用カラーパッチから特定された複数の上記文字を組み合わせて復号することにより、当該カラーチャートの形成条件を取得することができる。すなわち、測色機等の色判別が可能な機器を使用して上記条件評価用カラーパッチを測色することにより、当該カラーチャートの形成条件を認識することができる。
【0006】
また、上記カラーチャートの形成条件が複数の上記文字の組み合わせで表現され、この組み合わせの種類は無限に考えられるため、無限の種類の情報を表現することができる。さらに、複数の上記条件評価用カラーパッチから特定された複数の上記文字を組み合わせたもの自体に意味を持たせることができるため、予め当該カラーチャートの形成条件と上記条件評価用カラーパッチの色との対応関係を定義していない情報であっても表現することができる。例えば、予め色との対応関係が定義不可能な日付や時間等の情報についても上記カラーチャートから読み取ることができる。例えば、数字が4個連続することにより、西暦を意味するようにしてもよい。
【0007】
また、上記条件評価用カラーパッチと上記色評価用カラーパッチの上記記録媒体上における配置例の一つとして、請求項2にかかる発明では、上記カラーチャートには、ヘッダ領域と色評価領域とが分離して形成される。上記ヘッダ領域には上記条件評価用カラーパッチが分布し、一方、上記色評価領域には上記色評価用カラーパッチが分布する。このようにすることにより、上記条件評価用カラーパッチと上記色評価用カラーパッチとを個別に評価することができる。例えば、上記カラーチャートの評価の手順として、まず始めに上記色評価用カラーパッチの評価のみを行うことができる。そして、上記色評価用カラーパッチから読み取られる上記形成条件が正常である場合に限り、上記色評価用カラーパッチの評価を行うようにして、無駄な処理時間を省いてもよい。
【0008】
さらに、好適な上記ヘッダ領域と上記色評価領域の配置例の一つとして、請求項3にかかる発明では、境界定義用の上記カラーパッチが上記記録媒体上における上記ヘッダ領域と上記色評価領域との間に設けられる。上記ヘッダ領域と上記色評価領域との境界が境界定義用の上記カラーパッチによって明確化されるため、上記色評価用カラーパッチの色から上記文字が読み取られたり、上記条件評価用カラーパッチの色の再現性を評価したりするような誤りを防止することができる。
【0009】
さらに、請求項4にかかる発明では、上記条件評価用カラーパッチに使用される色を網羅する上記カラーパッチを羅列することにより、サンプル領域が形成される。例えば、上記条件評価用カラーパッチに使用される色の全てを上記サンプル領域における上記カラーパッチとして羅列することができる。これにより、上記条件評価用カラーパッチに使用される色が測色機等によって実際にどのように認識されるか把握しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
下記の順序に従って本願発明の実施形態について説明する。
(1)カラーチャート評価システムの概略構成:
(2)カラーチャート印刷処理:
(3)カラーチャート評価処理:
(4)適用例:
(5)変形例:
【0011】
(1)本実施形態の概略構成
図1は、本発明にかかるカラーチャートを利用したカラーチャート評価システムを概略的に示している。同図において、カラーチャート印刷装置を構成するクライアント(CL)コンピュータ10と複数のプリンタ40,40,40・・・が相互に接続されている。一方、カラーチャート測色装置を構成するマスター(MS)コンピュータ70と測色機50とが相互に接続されている。本実施形態では、この複数のプリンタ40の色再現性を評価の対象とし、各プリンタ40からカラーチャート評価用のカラーチャート60を印刷する。そして、同印刷された各カラーチャート60を測色機50によって測色し、得られた色彩値をコンピュータ70に取り込み、所定の評価を行うことにより、補正データ90を作成する。補正データ90は例えばCD−Rに記憶されている。そして、CD−Rに記憶された補正データ90はCLコンピュータ10に入力され、複数のプリンタ40,40,40・・・のそれぞれに対する補正が行われる。
【0012】
図2は、本実施形態にかかるCLコンピュータ10とプリンタ40のハードウェア構成とソフトウェア構成とを概念的に示している。CLコンピュータ10は演算処理の中枢をなす図示しないCPUや記憶媒体としてのROMやRAM等を備えており、HDD15等の周辺機器を利用しながら所定のプログラムを実行する。コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ33も接続されている。また、USB用I/O19bを介してプリンタ40aが接続されている。なお、同図では簡単のため、コンピュータ10に接続する各プリンタ40のうち上記プリンタ40aのみを示している。USB用I/O19bにはCD−Rに記憶された補正データ90を読み取り可能なCD−ROMドライブ34も接続されている。
【0013】
プリンタ40aは複数色のインクを充填するインクカートリッジを色毎に着脱可能な機構を備えており、この機構にCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の各インクのカートリッジを搭載する。プリンタ40aでは、これらのインク色を組み合わせて多数の色を形成可能であり、これにより印刷媒体上にカラーチャート60等のカラー画像を形成する。本実施形態におけるプリンタ40aはインクジェット方式のプリンタであるが、インクジェット方式の他にもレーザー方式等、種々のプリンタに対して本発明を適用可能である。
【0014】
さらに、CMYKの4色の有色インクを使用する構成が必須ではなく、CMYKLcLm(ライトシアン、ライトマゼンダ)の6色やCMYKLcLmDY(ダークイエロー)の7色を使用する構成など、種々の構成を採用可能である。コンピュータ10では、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ33における印刷対象画像やプリンタのプロパティ画面等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
【0015】
PRTDRV21は、図示しないアプリケーションプログラムを用いて印刷指示がなされた画像や所定のカラーチャート画像について所定の処理を行って印刷を実行可能である。なお、コンピュータ10においては、原則的に接続している各プリンタ40にそれぞれ対応するプリンタドライバをインストールしているが、同図では代表して上記プリンタ40aに対応するPRTDRV21について説明する。
【0016】
PRTDRV21は、印刷条件設定モジュール21aと印刷条件取得モジュール21bと文字列化モジュール21cとヘッダ領域データ作成モジュール21dと画像合成モジュール21eと色変換モジュール21fとハーフトーン処理モジュール21gと印刷データ生成モジュール21hとLUT補正モジュール21iとを備えている。LUT補正モジュール21iは後述する色変換LUT18を補正するために備えられており、それ以外の各モジュール21a〜21hはカラーチャート60を印刷するために備えられている。カラーチャート60の印刷指示をするための操作をキーボード31またはマウス32にて行うと、PRTDRV21が駆動される。すると、PRTDRV21はディスプレイDRV23にデータを送出して、後述するユーザインターフェース(UI)画面をディスプレイ33に表示させる。
【0017】
このUI画面にしたがって入力されたカラーチャート60の印刷条件を印刷条件設定モジュール21aが受け付ける。さらに、UI画面において印刷指示が受け付けられると上記印刷条件を確定させる。確定された印刷条件は印刷条件取得モジュール21bに入力される。印刷条件取得モジュール21bは、OS20に備えられたタイマ20aから印刷時間を取得するとともに、プリンタ40aからもUSB用I/O19bを介して各プリンタ40固有の機体番号等の印刷条件を取得する。このようにして各モジュール21a,20a,19bから取得された印刷条件は文字列化モジュール21cに入力され、同文字列化モジュール21cにて印刷条件が文字の配列によって表現される条件コードに変換される。
【0018】
各印刷条件はCLコンピュータ10に入力された時点でCLコンピュータ10にて取り扱い可能なコードに文字列化されるが、文字列化モジュール21cにおいては、コード一覧19を参照しつつ、後述するMSコンピュータ70にて復号可能な条件コードに印刷条件を変換する。文字列化モジュール21cにて条件コードに変換された印刷条件はヘッダ領域データ作成モジュール21dに受け渡され、同条件コードに基づいて画像データとしてのヘッダ領域データが生成される。具体的には、ヘッダ領域データ作成モジュール21dが備える色特定モジュール21d1が条件コードを構成する各文字に対応する色彩値(RGB値)を色特定テーブル16を参照し特定する。
【0019】
そして、予めヘッダ領域データ作成モジュール21dに規定された配列ルールにしたがって条件評価用カラーパッチに対応する画像データをそれぞれ配置し、同配置された画像データ毎に条件コード等を構成する各文字に対応する色彩値の画素を割り当てることにより、ヘッダ領域データを作成する。上記ヘッダ領域データは、RGBの各階調値で表現される各画素が配列した画像データとして形成される。ヘッダ領域データは、画像合成モジュール21eに入力され、ここで色評価領域データ17と合成される。その際に、カラーチャート上においてヘッダ領域データに基づいて再現されるヘッダ領域と、色評価領域データ17に基づいて再現される色評価領域との間に境界定義用のカラーパッチが形成されるように画像の合成を行う。
【0020】
色評価領域データ17はヘッダ領域データと同様にRGB階調値で表現される各画素が配列した画像データとして用意されている。色評価領域データ17は、同色評価領域データ17に基づいて印刷を行うことにより、複数の見本色を有する色評価用カラーパッチを記録媒体上に羅列することができる。この見本色は、例えばプリンタ40にて再現可能な色域全体を偏りなく網羅するように決定されている。また、同系色のカラーパッチがグラデーションをなすように配列されるようにしてもよい。
【0021】
画像合成モジュール21eにて色評価領域データ17とヘッダ領域データとを合成して形成した画像データは、色変換モジュール21fに入力される。色変換モジュール21fは各画素の色を示す表色系を変換するモジュールであり、HDD15に記録された色変換LUT18を適宜参照して画像データのsRGB表色系をプリンタ40aが搭載する有色インクを成分とするCMYK表色系に変換する。色変換LUT18はsRGB表色系とCMYK表色系とのそれぞれによって色を表現するとともに両者を対応づけ、複数の色についてこの対応関係を記述したテーブルである。従って、sRGB表色系で表現した任意の色に関し、その周りの色であって色変換LUT18に規定されたsRGBの色を参照すれば補間演算によって当該任意の色に対応したCMYK表色系の色を算出することができ、表色系の変換を実施することができる。
【0022】
色変換モジュール21fによって表色系の変換がなされてCMYKデータが得られると、ハーフトーン処理モジュール21gは、CMYK表色系で表現された各画素の階調値を各画素におけるインクの吐出/非吐出を特定したハーフトーン画像データに変換する。すなわち、プリンタ40aにおける各画素についてインク滴の吐出/非吐出を決定する。むろん、インク滴の吐出/非吐出のみならず、吐出インクの量を段階的に制御可能に構成し、吐出インク滴の大きさを決定してもよい。
【0023】
印刷データ生成モジュール21hはハーフトーン画像データを受け取り、プリンタ40aで使用される順番に並べ替え、一回の主走査にて使用されるデータを単位にして印刷データを生成する。印刷データは、USB用I/O19bを介して逐次プリンタ40aに出力され、プリンタ40aに画像を形成するために必要なすべてのデータが転送されると、プリンタ40aにて記録媒体上に画像が形成されカラーチャートが作成される。
【0024】
また、PRTDRV21はLUT補正モジュール21iを備えている。同LUT補正モジュール21iにおいては、MSコンピュータ70にて作成された補正データ90をCD−ROMドライブ34を介して入力し、同補正データ90に基づいて色変換LUT18の補正を行う。色変換LUT18はCMYKデータを定義するテーブルであるため、同色変換LUT18を補正することにより最終的に記録媒体上に再現される色の修正を行うことができる。なお、補正データ90はキーボード31またはマウス32を利用して人為的に入力されてもよいし、補正データ90を記憶したCD−R以外の媒体によって入力されてもよい。さらに、インターネット上のサーバ等から入力されるようにしてもよい。
【0025】
図3は、本実施形態にかかるMSコンピュータ70と測色機50のハードウェア構成とソフトウェア構成とを概念的に示している。MSコンピュータ70はCLコンピュータ70とほぼ同様の構成とされているが、USB用I/O79bを介して測色機50と接続している。測色機50は、分光反射率が既知の光源でカラーチャート60を照射し、反射光を検出することにより印刷物の分光反射率を検出し、その色彩値、例えばL*a*b*値やXYZ値を出力可能である。本実施形態においては、測色機50は、測色機ドライバ82によって駆動されるとともに、各プリンタ40で印刷したカラーチャート60における各カラーパッチの色彩値(L*a*b*値)および当該カラーパッチのカラーチャート60上におけるアドレスを取得する。
【0026】
MSコンピュータ70にはカラーチャート60を評価するための評価プログラム81が組み込まれており、評価プログラム81は補正データ作成モジュール81aと色評価モジュール81bと復号化モジュール81cと文字特定モジュール81dとから構成されている。文字特定モジュール81dはUSB用I/O79bを介して測色機50から色彩値およびアドレスを取得する。そして、文字特定テーブル75cを参照して、各条件評価用カラーパッチを測色して得られた色彩値に対応する文字を特定する。この文字はカラーパッチのアドレスと関連づけられて復号化モジュール81cに送出される。なお、文字特定テーブル75cは上述した色特定テーブル16と同様に印刷条件を構成する文字と色との対応関係を規定したテーブルである。
【0027】
各条件評価用カラーパッチのアドレスと関連づけられた各文字によって構成される文字列は、復号化モジュール81cにて復号化される。すなわち、複数の条件評価用カラーパッチから得られた文字を各アドレスに基づいて配列し、所定のルールにしたがって復号化することにより、カラーチャート60に記録された印刷条件を再現する。その際に、HDD75に記憶されたコード一覧75bが参照される。以上のようにして再現された印刷条件は色評価モジュール81bに入力される。一方、色評価用カラーパッチを測色して得られた色彩値と予めHDD75に記憶された基準値75aとが色評価モジュール81bにおいて比較される。その際に、再現された印刷条件に応じて参照される基準値75aが選択される。
【0028】
測色して得られた色彩値と基準値75aとの比較結果は補正データ作成モジュール81aに入力され、補正が必要であれば補正データ90が作成される。補正データ作成モジュール81aには印刷条件も入力されており、印刷条件に応じた補正データ90が作成される。補正データ90はUSB用I/O79bを介してCDRドライブ71に出力され、同CDRドライブ71にてCDーRに記録される。CDーRに記録された補正データ90はCLコンピュータ10に入力され、色変換LUT18の修正に利用される。
【0029】
(2)カラーチャート印刷処理:
図4は、CLコンピュータ10にて行われるカラーチャート印刷処理の流れを示している。同図において、入力機器DRV22にてカラーチャート60の印刷指示が受け付けられると、ステップS100にて印刷条件取得モジュール21bが印刷条件を取得する。印刷条件取得モジュール21bは、印刷条件設定モジュール21aおよびタイマ20aおよびUSB/IO19bからデータを入力することが可能となっており、各情報源から所定の印刷条件を取得する。
【0030】
図5は、ステップS100にて取得される印刷条件の項目を一覧にして示している。同図において、機体番号、印刷日時、印刷用紙、印刷解像度、色調、カラーパッチサイズ、カラーパッチ数、カラーチャート番号が印刷条件として取得されている。機体番号はUSB/IO19bを介してプリンタ40aから取得され、印刷日時はタイマ20aから取得され、印刷用紙と印刷解像度と色調とカラーパッチサイズとカラーパッチ数とカラーチャート番号は印刷条件取得モジュール21bから取得される。印刷条件取得モジュール21bはUI画面を利用して予め各印刷条件の入力を受け付けている。
【0031】
図6は、UI画面の一例を示している。同図において、UI画面の下部にはカラーチャート印刷実行ボタンが設けてあり、同ボタンがクリックされたときステップS100以降のカラーチャート印刷処理を実行するとともに、このとき設定されている印刷条件を確定する。確定された印刷条件についての情報は印刷条件取得モジュール21bに入力され、図5に示すようなテーブルに格納される。例えば、UI画面にて印刷用紙が”スーパーファイン”と設定されているため、”スーパーファイン”に対応する56番が印刷用紙の内容を表すデータとして格納される。同様にして、UI画面にて入力されている印刷解像度も格納される。
【0032】
一方、オートフォトファインのチェックボックスにチェックされた場合には、オートフォトファインがONとなり所定のカラーチャート60を印刷するにあたり所定の色調補正が実行されるとともに、図5に示すテーブルには同色調補正がされたことを意味する1番が格納される。なお、オートフォトファインが設定されることにより、オートフォトファインに対応した色変換LUT18を使用して、表色系の変換が行われる。さらに、UI画面においてカラーチャート番号が設定されることにより、カラーチャート60における色評価領域のレイアウトが特定でき、図5に示すテーブルにおけるカラーパッチサイズやカラーパッチ個数も特定することができる。
【0033】
以上のようにして、図5の左欄に示すような印刷条件を取得すると、印刷条件取得モジュール21bは同印刷条件を文字列化モジュール21cに出力する。ステップS110にて文字列化モジュール21cが、印刷条件の内容を所定の形式により文字列化して条件コードを生成する。図5の右欄は各項目の印刷条件を文字列化することにより得られる条件コードを示している。同欄に示すように印刷条件の内容はそれぞれ羅列された16進数の数字(0H,2H,3H・・AH・・FH)で表現されている。もともと数字で表現されていた印刷条件の内容はそのまま16進数化することにより条件コード化される。一方、機体番号に使用される英数字等はアスキーコード形式によって条件コード化される。例えば、機体番号に使用された”ABC”はアスキーコードを用いて”4H,1H,4H,2H,4H,3H”(図において太字で示す。)と表現され、それ以外の”0000123”はそのまま”0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H”と表現される。本実施形態においては以上のような文字列化形式を採用するものとする。
【0034】
文字列化モジュール21cにおいては印刷条件の内容を文字列化することにより条件コードが生成されるが、必ずしも実体的な文字列化が文字列化モジュール21cにて行われるとは限らない。すなわち、印刷条件の内容はCLコンピュータ10に入力された時点で、CLコンピュータ10にて取り扱い可能なコードに変換されており、そのコード形式が上記の文字列化形式と異なる場合には上記の文字列化形式に再度変換し、上記の形式と同じであればそのまま条件コードとして記憶する。そして、以上のようにして生成された条件コードはステップS120にてヘッダ領域データ作成モジュール21dに受け渡される。ヘッダ領域データ作成モジュールは条件コードに基づいて、ヘッダ領域データを作成する。
【0035】
図7は、ヘッダ領域データが作成される手順を示している。同図において、ステップS121にて項目コードの挿入を行う。ここで、項目コードは、後に記述される文字列(条件コード)がどの印刷条件の内容を意味しているかを指し示すための先頭コードである。そして、この項目コードはHDD15に記憶されたコード一覧19に格納されており、ヘッダ領域データ作成モジュール21dが適宜読み出して使用している。
【0036】
図8は、コード一覧19を表にして示している。同図において、2桁の文字の組み合わせで項目コードが表現されており、それぞれの組み合わせに意味が対応づけられている。例えば、”C2,1H”という項目コードの後には、機体番号を意味する条件コードが記述される。従って、図5に例を示した機体番号を記述する場合には、”C2,1H,4H,1H,4H,2H,4H,3H,0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H”という文字列が形成される。さらに、ステップS122では補助コードの挿入を行う。補助コードは、項目コードとともにコード一覧19に格納されており、1桁の文字で表現される。
【0037】
図9は、項目コードおよび補助コードが挿入された状態の条件コードを表にして示している。同図において、例えば、区切りを意味する補助コードとしての”SP”が印刷日時を表す条件コードの日付と時間の間等に挿入されることにより、適切な印刷日時の解釈を可能としている。さらに、各条件コードの末尾には終了を意味する補助コードとしての”EM”が添付されている。次にステップS123においては、各項目コードおよび補助コードおよび条件コードを構成する文字に対応する色を特定する。具体的には、色特定モジュール21d1が各コードを構成する文字に対応する色彩値を色特定テーブル16を参照して特定する。
【0038】
図10は、色特定テーブル16を示している。同図において、色特定テーブル16には、各コードを構成し得る文字とRGBの各階調で表現される色彩値との対応関係が規定されている。このような色特定テーブル16を参照することにより、各コードを構成する文字(数字)に対応する色のRGB階調値を特定することができる。ステップS123にて色彩値が特定されると、ステップS124にてレイアウト処理を実行する。レイアウト処理は、ステップS123にて特定された各文字の色で塗りつぶされた複数の条件評価用カラーパッチに相当する画像データ(以下、パッチデータというものとする。)を生成し、同パッチデータを所定の配列に配置する。
【0039】
図11は、パッチデータの配置例を示している。同図において、パッチデータが羅列されている。なお、図においてはパッチデータの配列を分かりやすく表現するために各パッチデータのRGB階調値に対応する文字を識別文字列として付しているが、実際にはステップS123で特定されたRGB階調値を有する画素が各条件評価用カラーパッチの占める領域毎に充填されている。機体番号や印刷日時等の印刷条件に対応するパッチデータは各条件項目毎に一行ずつ割り当てられており、先頭2列にはそれぞれの条件項目を意味する項目コードに対応したパッチデータが配置されている。
【0040】
先頭から3行目までの先頭2列には印刷条件を意味する項目コードではなく、文字表現色サンプル1〜3を意味する項目コードに対応するパッチデータが配置されている。例えば、一行目の先頭2列に配置された”C1,SP”に対応する色のパッチデータは、図8のコード一覧19に示すように文字表現色サンプル1を意味している。文字表現色サンプル1〜3を意味する項目コードに相当するパッチデータの後の列には、色特定テーブル16にて定義されている色の全てを網羅するように各色のパッチデータが生成され3行に分散して羅列されている。なお、文字表現色サンプル1〜3の行が占める領域をサンプル領域というものとする。また、サンプル領域におけるパッチデータの配列はステップS100にて取得されたカラーチャート番号に依存することなく、常に一定とされる。
【0041】
パッチデータは、各文字に対応する色のRGB階調の画素で構成されているが、その画素数はステップS100で取得した解像度に適合するように生成されている。ただし、条件評価用カラーパッチのサイズおよび先頭行および先頭列の位置はステップS100にて取得されたカラーチャート番号に依存することなく、常に一定となる。ステップS125においては、パッチデータが配列する画像データを画像合成モジュール21eに対してビットマップデータとして出力する。なお、このビットマップデータをヘッダ領域データというものとする。ヘッダ領域データを取得した画像合成モジュール21eは、ステップS130にてヘッダ領域データの最終行の、次の行の先頭列に境界定義用のカラーパッチに対応するパッチデータを添付する。境界定義用のカラーパッチに対応するパッチデータの色および文字(補助コード)は図8のコード一覧19および図10の色特定テーブル16に定義されている。
【0042】
そして、図4に戻りステップS140にて、さらに色評価領域データをヘッダ領域データに合成する。色評価領域データ17は予めHDD15に複数記憶されており、S100で取得したカラーパッチサイズおよびカラーパッチ数および解像度およびカラーチャート番号に適合するものが読み出されて使用される。なお、色評価領域データ17はS100で取得したカラーパッチサイズおよびカラーパッチ数および解像度に応じて編集されたり生成されたりしてもよい。色評価領域データ17は色評価用カラーパッチに対応するパッチデータが分布する画像データであり、色評価領域データ17もビットマップデータとして記憶されている。色評価用カラーパッチに対応するパッチデータの色はプリンタ40の色域の全体を偏りなく網羅するように設定された見本色である。色評価領域データ17は境界定義用のカラーパッチに対応するパッチデータの次の行から先頭の行が開始するように合成される。合成された画像データは、ステップS150にて色変換モジュール21f以降の各モジュールに出力されて、プリンタ40aにて同画像データに基づくカラーチャート60が印刷される。
【0043】
図12は、カラーチャート60を示している。同図において、カラーチャート60の先頭には印刷条件が条件評価用カラーパッチによって表現されたヘッダ領域が形成され、その下方にはプリンタ40aの色域を網羅する見本色が付されたカラーパッチが配列する色評価領域が形成されている。なお、図においては各カラーパッチの配列を分かりやすく表現するために各カラーパッチに対応する文字を識別文字列として付しているが、実際にはステップS123で特定された色が各カラーパッチ上に再現されている。ヘッダ領域と色評価領域との間には境界定義用カラーパッチが配置されている。
【0044】
(3)カラーチャート評価処理:
図13は、MSコンピュータ70にて行われるカラーチャート評価処理の流れを示している。以下、図12に示すようなヘッダ領域が作成されたカラーチャート60を評価する場合を例にして説明する。図13において、ステップS200では文字特定モジュール81dが参照する文字特定テーブル75cに記述された各値をデフォルトの値にリセットする。
【0045】
図14は、文字特定テーブルを示している。同図において、文字特定テーブル75cは図10に示す色特定テーブル16と同様の構成としているが、MSコンピュータ70の文字特定テーブル75cでは各文字に対応する色彩値が測色機50にて取得可能なL*a*b*表色系の値として記述されている。また、文字特定テーブル75cでは各文字に対応して許容範囲の色差値も記述されている。なお、許容範囲のデフォルト値は色差ΔEが10と設定されている。ステップS205では、行を表す変数nに1を代入する。そして、ステップS210において、カラーチャート60におけるn行目の処理を開始する。初めの段階ではn=1となるため、ヘッダ領域における1行目の測色が開始される。ステップS215においては、n行目における一列目の条件評価用カラーパッチの測色が行われる。
【0046】
上述のとおりヘッダ領域における条件評価用カラーパッチの先頭行および先頭列の位置はステップS100にて取得されたカラーチャート番号に依存することなく、常に一定となるようにされている。従って、予め測色機50に先頭行および先頭列の位置を設定しておくことにより、いかなるカラーチャート60においても先頭行および先頭列の条件評価用カラーパッチを視野に捉えることができる。また、ヘッダ領域における条件評価用カラーパッチのサイズも一定とされているため、規定のサイズを予め測色機50に設定しておくことにより、いかなるカラーチャート60においても2行目以降および2列目以降の条件評価用カラーパッチの位置を特定し、視野に捉えることができる。
【0047】
ステップS220ではステップS215にて得られた条件評価用カラーパッチのL*a*b*値が境界定義用カラーパッチのものであるかを判定する。この判定においては文字特定テーブル75cを参照し、同文字特定テーブル75cに記述された条件評価用カラーパッチのL*a*b*値と測色して得られたL*a*b*値との色差(ΔE)を算出する。そして、この色差ΔEが上記許容範囲よりも小さい場合には、測色したカラーパッチが境界定義用カラーパッチであると判定する。なお、この判定に使用される許容範囲は文字特定テーブル75cに記述されており、デフォルトであれば色差ΔE<10が条件となる。
【0048】
ステップS215では、文字”C1”に対応する色を有する条件評価用カラーパッチが測色される。ここで得られるL*a*b*値は境界定義用カラーパッチのL*a*b*値と大きく異なるため、ステップS225が実行される。ステップS225では、測色機50の視野を一列分行末方向に移動させ、1行目における2列目の条件評価用カラーパッチのL*a*b*値を取得する。ここでは、文字”SP”に対応する条件評価用カラーパッチが測色される。
【0049】
そして、ステップS230においては、文字特定テーブル75cを参照しつつ、ステップS215およびステップS225にて測色されたL*a*b*値がどの文字に対応する色であるかを判定する。この判定に使用される許容範囲も文字特定テーブル75cに記述されたものであり、文字”C1,SP”の双方についてデフォルトの色差ΔE<10が適用される。さらに、復号化モジュール81cがコード一覧75bを参照し、1列目と2列目の条件評価用カラーパッチに対応する文字の組み合わせで構成される項目コードを特定する。ここでは、文字”C1,SP”が特定されるため、これらの組み合わせで表現される”文字表現色サンプル1”を意味していることが特定される。従って、1行目の条件評価用カラーパッチ群が文字表現色サンプル1に相当するものであることが判別できる。
【0050】
なお、ここでは文字”C1,SP”の双方について許容範囲として色差ΔE<10が適用されるが、図10に示すように文字”C1,SP”に対応する色は極端なL*a*b*値を示す黒および白であるため、多少許容範囲が広くても誤認識が発生することはない。ステップS235では、ステップS230にて復号化された項目コードが”文字表現色サンプル1〜3”に該当するかどうかを判定し、該当するのであればステップS240を実行させる。ステップS240では、列を表す変数mに3を代入する。そして、ステップS245では、3列目の条件評価用カラーパッチの測色を行い、L*a*b*値を取得する。
【0051】
ステップS250ではステップS245にて得られたL*a*b*値を文字特定テーブル75cに更新記憶させる。上述したとおりサンプル領域における条件評価用カラーパッチの配置は、いかなるカラーチャートにおいても一定とされているため、サンプル領域の各列の条件評価用カラーパッチはどの文字に対応しているかを特定することができる。具体的には、サンプル領域における条件評価用カラーパッチの配置を格納したサンプル配置テーブル75dがHDD75に記憶されており、このサンプル配置テーブル75dを参照する。
【0052】
図15は、サンプル配置テーブル75dを示している。同図において、サンプル配置テーブル75dには、配置(m,n)毎に配置される文字が規定されている。なお、ヘッダ領域における条件評価用カラーパッチのサイズは常に一定であるため、配置(m,n)からカラーチャート60上のアドレスも特定することができる。例えば、n=1,m=3において文字”C2”に対応する条件評価用カラーパッチの測色が行われたことを特定することができる。そして、ステップS245にて得られたL*a*b*値を文字特定テーブル75cにおいて対応する文字のL*a*b*値に更新記憶する。これと同時に、L*a*b*値を更新した文字の許容範囲として色差ΔE<3を更新記憶させる。すなわち、ステップS250では、条件評価用カラーパッチの実測値を文字特定テーブル75cに定義し、それとともに許容範囲を狭めている。
【0053】
ステップS255ではサンプル配置テーブル75dを参照し、ステップS245にて測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものであるかどうかが判定される。すなわち、行末であるかどうかが判定される。ステップS245にて測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものでない場合には、ステップS260を実行させる。ステップS260では、mに1を加算して、ステップS245に戻る。再び実行されるステップS245においては、4列目の条件評価用カラーパッチの測色が行われる。また、繰り返して行われるステップS250〜S260も上記と同様に実行される。すなわち、1列ずつ、ずらしながら、一行目の条件評価用カラーパッチの測色が順に行われ、それぞれ得られたL*a*b*値を文字特定テーブル75cに順次更新し、許容範囲を狭めている。
【0054】
そして、m=9のときステップS255では直前のステップS245にて文字”EM”に対応する条件評価用カラーパッチを測色したと判定される。その場合、ステップS265にてnに1を加算し、ステップS210にて次の行に対する処理を開始する。図12に示すようにヘッダ領域の2,3行目も”文字表現色サンプル2,3”であるため、上記と同様にステップS210〜S260が繰り返して実行されることとなる。ただし、2行目に対して実行されるステップS230における2列目の文字”C2”の認識においては、すでに更新記憶されている実測に基づいたL*a*b*値を基準として、狭められた許容範囲(色差ΔE<3)を使用して文字”C2”に対応する条件評価用カラーパッチであるかどうかが判定される。同様に、3行目に対して実行されるステップS230における2列目の文字”C3”の認識においても、実測のL*a*b*値および狭められた許容範囲が基準とされる。
【0055】
文字表現色サンプル3に対する処理が完了した時点で、文字特定テーブル75cに定義されている全ての文字についてL*a*b*値が更新されることとなり、全ての文字について許容範囲が狭められることとなる。文字表現色サンプル1〜3で構成されるサンプル領域は文字特定テーブル75cに定義される全ての文字を網羅するようにレイアウトされているからである。サンプル領域に対する処理が完了すると、4行目以降に対する処理が実行される。
【0056】
4行目以降に対する処理においてもステップS210〜S230までは上記と同様な処理が行われる。ただし、文字特定テーブル75cに定義されている全ての文字について実測のL*a*b*値および許容範囲が更新されているため、ステップS230における対応文字の認定においては、実測のL*a*b*値および狭められた許容範囲が使用されることとなる。そして、ステップS235では、サンプル領域に属する行でないと判定され、ステップS270が実行される。例えば、n=4であるときは、対象の行が”文字表現色サンプル1〜3”ではなく、機体番号を記述した行であると判別されるため、ステップS270が実行される。ステップS270,S275ではステップS240と同様の処理が行われる。
【0057】
むろん、ステップS275における文字判定においては、実測のL*a*b*値および狭められた許容範囲が使用される。ステップS280ではステップS275にて特定された文字を記憶する。ステップS285においては、ステップS275にて得られたL*a*b*値と文字特定テーブル75cに更新記録されている実測のL*a*b*値とを比較して、ステップS275にて測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものであるかどうかを判定する。
【0058】
ステップS255とステップS285はともに、直前に測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものであるかどうかが判定されるが、ステップS255では配置(m,n)に基づいて判定しているのに対して、ステップS285は色に基づいて判定している点で手法が相違する。ステップS285において、直前に測色を行った条件評価用カラーパッチの色が文字”EM”に対応するものでないと判断されると、ステップS290にてmに1が加算され、ステップS275以降を再度実行する。すなわち、行の終了に到達していないことを認識し、次の列の条件評価用カラーパッチの測色を継続する。
【0059】
一方、ステップS285において、直前に測色を行った条件評価用カラーパッチの色が文字”EM”に対応するものであると判定された場合には、ステップS295にて記憶された一行分の文字列を復号化する。すなわち、現在処理を行っている行の3列目以降の条件評価用カラーパッチから得られた文字列に基づいて復号化を行い印刷条件を取得する。なお、各文字と、その文字のカラーチャート60上におけるアドレスとが対応づけられているため、文字の配列順を特定することができる。例えば、n=4の行では、繰り返されるステップS285によって文字”4H,1H,4H,2H,4H,3H,0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H,EM”が累積的に記憶されている。さらに、末尾の”EM”は除外し、”4H,1H,4H,2H,4H,3H,0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H”を復号化することにより、機体番号”ABC0000123”を取得することができる。
【0060】
例えば、n=5の行では、繰り返されるステップS285によって文字”2H,0H,0H,4H,AH,1H,5H,SP,1H,4H,3H,4H,EM”が累積的に記憶されている。それから、末尾の”EM”を除外し、区切りコード”SP”を解釈しつつ、残りの文字を復号化することにより、印刷日時”2004年10月15日14時34分”を取得することができる。このようにして復号化された各印刷条件は、それぞれ記憶され、後の処理において使用される。図12の例では、n=11となるまで、ステップS210〜S235とステップS265とステップS270〜S295とが繰り返し実行される。従って、機体番号と印刷日時と印刷用紙と印刷解像度と色調とカラーパッチサイズとカラーパッチ数とチャート番号についての情報を取得することができる。
【0061】
そして、n=12となったとき、ステップS220にて境界定義用カラーパッチが検出され、ステップS300が実行される。ステップS300においては印刷条件として取得された印刷日時からOS80に備えられたタイマ80aによる現在時刻を差分することにより、乾燥時間を算出する。そして、乾燥時間が規定の時間(例えば、30分)以上確保されてない場合には、インクの発色が不安定であるとして、処理を中止する。一方、十分に乾燥時間が確保されている場合には、ステップS305を実行する。
【0062】
ステップS305においては13行目以降に形成された色評価用カラーパッチについての測色が行われる。そして、ステップS310においては色評価モジュール81bがHDD75に記憶された基準値75aと、測定して得られたL*a*b*値とを比較する。例えば、色差ΔEを計算するようにしてもよい。このとき比較対象となる基準値75aは上記のようにして取得された各印刷条件に基づいて選択される。例えば、チャート番号によって色評価用カラーパッチの配列が異なる場合があるため、チャート番号に適合した基準値75aと比較する必要がある。また、色調が異なる場合には比較すべき色も異なってくるため、印刷時の色調に対応した基準値75aを選択する必要がある。
【0063】
ステップS315では、ステップS305にて測色した色評価用カラーパッチが最終のものであるかどうかが判定される。ここでも、チャート番号に依存する色評価用カラーパッチの配列に基づいて最終かどうかが判断される。そして、最終でない場合にはステップS305を実行し、次の色評価用カラーパッチの測色を行う。次の色評価用カラーパッチの測色を行うにあたっても、適切に視野を移動させる必要があるため、印刷条件として取得したカラーパッチサイズとカラーパッチ数とチャート番号が利用される。カラーパッチサイズとカラーパッチ数とチャート番号等の情報を測色機ドライバ82が取得し、測色機ドライバ82がこれらの情報に基づいて測色機50を駆動させる。一方、ステップS315にて全ての色評価用カラーパッチの測色が完了したことが確認されると、ステップS320にて補正データ作成モジュール81aが補正データ90を作成する。
【0064】
本実施形態においては補正データ90によって色変換LUT18が修正される。しかし、色変換LUT18は色調(APFのオンオフ)や印刷解像度や印刷用紙毎に用意されるため、当該カラーチャート60を印刷したときに使用した色変換LUT18を修正するための補正データ90を作成しなければ意味がない。また、CLコンピュータ10には多数のプリンタ40が接続されているため、当該カラーチャート60を印刷したプリンタ40の色変換LUT18を修正するための補正データ90を作成しなければ意味がない。そこで、ステップS320では、カラーチャート60から印刷条件として取得した機体番号と印刷用紙と印刷解像度と色調に基づいて補正すべきプリンタ40および色変換LUT18を特定するための識別データを添付する。このようにすることにより、間違えなく当該カラーチャート60を印刷したときに使用したプリンタ40の色変換LUT18の補正を行わせることが可能となる。
【0065】
本実施形態においては、カラーチャート60に印刷条件を記録し、同印刷条件を測色機50およびMSコンピュータ70によって取得している。このようにすることにより。カラーチャート60を作成した印刷条件に応じた色評価用カラーパッチの評価および補正データ90の作成を行うことが可能となる。カラーチャート60に印刷条件を記録するにあたっては、条件評価用カラーパッチの色と、印刷条件を表現する文字とを対応させている。従って、条件評価用カラーパッチを測色することによって、各種印刷条件を復号化することができる。この文字の組み合わせは、ほぼ無限に考えられるため、所定の文法にしたがうことにより、あらゆる印刷条件を表現することが可能である。
【0066】
また、サンプル領域に配置される条件評価用カラーパッチの色を予め測色し、そのL*a*b*値を文字特定テーブル75cに更新している。すなわち、以降文字特定テーブル75cを参照してL*a*b*値から文字を特定する際に、当該カラーチャート60において実測して得られたL*a*b*値と比較して判断することができる。従って、例えばカラーチャート60を記録した印刷用紙によって条件評価用カラーパッチの発色に変動がある場合でも、当該印刷用紙に適合した文字特定テーブル75cを定義しておくことができる。従って、文字特定テーブル75cを使用して、正確に測色値から文字を特定することが可能となる。また、それに応じて色差ΔEの許容範囲も狭められるため、より誤認識がなく正確な印刷条件の認識が実現される。
【0067】
なお、ステップS230,S285にて文字特定テーブル75cを使用して条件評価用カラーパッチの測色値から文字を特定するにあたり、いずれの文字の許容範囲にも測色したL*a*b*値が入らない場合も考えられる。この場合は、印刷条件の認識エラーとして処理を中断するようにしてもよい。本実施形態において、ヘッダ領域と色評価領域との間には境界定義用カラーパッチを配置している。このようにすることにより、確実にヘッダ領域と色評価領域との境界を認識させることができる。従って、色評価領域における色評価用カラーパッチの色から印刷条件が取得されるようなことが防止できる。さらに、乾燥時間が自動的に算出されるようにし、乾燥時間が不足する場合には、色評価領域の測色を中止している。このようにすることにより、色が不安定なカラーチャート60に基づいて不正確な補正データ90が作成されることを防止するとともに、無駄な測色に時間が費やされることを防止することできる。
【0068】
(4)適用例:
本発明を適用することにより、MSコンピュータ70にて特に印刷条件の入力をしなくても、印刷条件をカラーチャート60から取得し、それに応じた補正データ90を作成することができる。すなわち、MSコンピュータ70を操作する側と、CLコンピュータ10を操作する側とが密接な関係になくとも、適正な補正を行うことが可能となる。つまり、両者間においてカラーチャート60および補正データ90のやりとりが行うことができれば、適正な補正を行うことができる。例えば、MSコンピュータ70をプリンタ40の製造業者が保有し、各クライアントからカラーチャート60の送付を受け、個々のクライアントに対して補正データ90を送付するようなサービスを行うことも可能である。
【0069】
このようにすることにより、各クライアントにおいて複数あるプリンタ40や色変換LUT18から補正対象のものを特定するような作業をしなくても、適切な補正を行うことができる。また、どの印刷条件でカラーチャート60を印刷したかを記録しておく必要がない。従って、各クライアントのプリンタ40においては特別な知識を必要とすることなく、プリンタ40の製造業者が意図したとおりの色再現性を実現することができる。なお、補正データ90を送付するにあたって、インターネット等を利用してもよい。
【0070】
また、大量に印刷を行う印刷業者等であれば測色機50を保有していることも考えられる。その場合、印刷業者の本店にMSコンピュータ70および測色機50を設け、各支店のプリンタ40によってカラーチャート60を出力するようにすればよい。このようにすることにより、各支店に設けられた多数のプリンタ40の色再現性を一致させることができため、どの支点においても同様の印刷結果を得ることができる。また、印刷業者においては多数のプリンタ40が設置されるが、カラーチャート60に機体番号が明記されるため補正対象がどのプリンタ40であるか不明となることもない。
【0071】
上記実施形態においては、CLコンピュータ10とMSコンピュータ70とが個別に設けられていたが、CLコンピュータ10とMSコンピュータ70の機能を同一のコンピュータ上にて実現するようなシステム構成としてもよい。また、一例として色変換LUT18が補正されるものを示したが、カラーチャート60を介して印刷条件が認識されればよく、補正対象は何であってもよい。
【0072】
(5)変形例:
図16は、変形例にかかるカラーチャート160を示している。同図において、サンプル領域が形成されていない。上述したとおり条件評価用カラーパッチの色は印刷用紙によって変動する。しかし、プリンタの製造工程における色変換LUT作成時等に使用される印刷用紙は予め決まっているため、このような場合には実質的に条件評価用カラーパッチの色は変動しないと考えることができる。従って、プリンタの製造工程等においてはサンプル領域を形成しないようにしてもよい。また、その他の印刷条件もある程度固定されれるため、ヘッダ領域に記述される印刷条件の項目数を少なくすることができる。なお、サンプル領域を形成しない場合であっても、図13に示す処理の流れを適用することができる。すなわち、ステップS235において初めからサンプル領域が認識されず、ステップS270からステップS295が実行されるため、図13に示す処理の流れをそのまま適用しても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態にかかるカラーチャート評価システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態にかかるカラーチャート印刷装置の概略構成図である。
【図3】本実施形態にかかるカラーチャート測色装置の概略構成図である。
【図4】カラーチャート印刷処理の内容を示したフローチャートである。
【図5】印刷条件を一覧化した表である。
【図6】UI画面を示す図である。
【図7】ヘッダ領域データ作成処理の内容を示したフローチャートである。
【図8】コード一覧を示す表である。
【図9】文字列化された印刷条件を示す表である。
【図10】色特定テーブルを示す表である。
【図11】ヘッダ領域におけるパッチデータの配置を示す図である。
【図12】カラーチャートを示す図である。
【図13】カラーチャート評価処理の内容を示したフローチャートである。
【図14】文字特定テーブルを示す表である。
【図15】サンプル載置テーブルを示す図である。
【図16】変形例にかかるカラーチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
10…コンピュータ、15…HDD、17…色評価領域データ、18…色変換LUT、19…コード一覧、20a,80a…タイマ、21…プリンタドライバ、21a…印刷条件設定モジュール、21b…印刷条件取得モジュール、21c…文字列化モジュール、21d…ヘッダ領域データ作成モジュール、21e…画像合成モジュール、21i…補正モジュール、31…キーボード、32…マウス、33…ディスプレイ、40(40a)…プリンタ、50…測色機、60,160…カラーチャート、70…コンピュータ、75a…基準値、75b…コード一覧、75c…文字特定テーブル、75d…サンプル配置テーブル、81…評価プログラム、81a…補正データ作成モジュール、81b…色評価モジュール、81c…復号化モジュール、81d…文字特定モジュール、82…測色機ドライバ、90…補正データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーチャートに関し、特に所定領域内に色を付して形成されるカラーパッチが記録媒体上に複数分布するカラーチャートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のカラーチャートとして、画像入力装置に対応づけられた色のカラーパッチをカラーチャートに形成しておき、同カラーパッチを色判別することにより、対象となる画像入力装置を特定するものが知られている(例えば、特許文献1、段落0101、参照。)。
かかる構成によれば、人為的に画像入力装置の情報を入力することなく、対象となる画像入力装置を特定することができるため、作業が簡略化させることができるとともに、対象となる画像入力装置を誤って認識することが防止できた。
【特許文献1】特開2001‐177725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したカラーチャートにおいては、画像入力装置のように種類がある程度限られた判別対象あれば、カラーパッチの色との対応関係を予め定義しておくことにより、判別対象を特定することができる。しかしながら、例えば日付や時間等のように不特定かつ無限に存在し得る判別対象の場合、カラーパッチとの対応関係を予め定義することは不可能であり、同カラーパッチから日付や時間等を判別することはできないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、カラーチャートの形成条件についてのあらゆる情報を伝達可能なカラーチャートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明では、記録媒体上に形成されるカラーチャートは、記録媒体上における所定領域内に色を付すことにより形成されるカラーパッチを複数備える。この複数のカラーパッチは、少なくとも色評価用カラーパッチと条件評価用カラーパッチとから構成される。上記色評価用カラーパッチの領域内には、それぞれ評価対象となる見本色が付される。例えば、上記色評価用カラーパッチにおける上記見本色を評価することにより、当該カラーチャートを印刷した印刷装置等の評価をすることができ、その評価結果に基づいて調整を行ったり、初期設定を行ったりすることができる。一般、上記見本色は、印刷装置にて再現可能な色を偏りなく網羅するように選択される。
【0005】
一方、上記条件評価用カラーパッチの領域内にも色が付されるが、この色は複数組み合わせられることにより当該カラーチャートの形成条件を表現可能な文字に対応する。従って、上記条件評価用カラーパッチの色を認識し、この色に対応する文字を特定することができる。さらに、複数の上記条件評価用カラーパッチから特定された複数の上記文字を組み合わせて復号することにより、当該カラーチャートの形成条件を取得することができる。すなわち、測色機等の色判別が可能な機器を使用して上記条件評価用カラーパッチを測色することにより、当該カラーチャートの形成条件を認識することができる。
【0006】
また、上記カラーチャートの形成条件が複数の上記文字の組み合わせで表現され、この組み合わせの種類は無限に考えられるため、無限の種類の情報を表現することができる。さらに、複数の上記条件評価用カラーパッチから特定された複数の上記文字を組み合わせたもの自体に意味を持たせることができるため、予め当該カラーチャートの形成条件と上記条件評価用カラーパッチの色との対応関係を定義していない情報であっても表現することができる。例えば、予め色との対応関係が定義不可能な日付や時間等の情報についても上記カラーチャートから読み取ることができる。例えば、数字が4個連続することにより、西暦を意味するようにしてもよい。
【0007】
また、上記条件評価用カラーパッチと上記色評価用カラーパッチの上記記録媒体上における配置例の一つとして、請求項2にかかる発明では、上記カラーチャートには、ヘッダ領域と色評価領域とが分離して形成される。上記ヘッダ領域には上記条件評価用カラーパッチが分布し、一方、上記色評価領域には上記色評価用カラーパッチが分布する。このようにすることにより、上記条件評価用カラーパッチと上記色評価用カラーパッチとを個別に評価することができる。例えば、上記カラーチャートの評価の手順として、まず始めに上記色評価用カラーパッチの評価のみを行うことができる。そして、上記色評価用カラーパッチから読み取られる上記形成条件が正常である場合に限り、上記色評価用カラーパッチの評価を行うようにして、無駄な処理時間を省いてもよい。
【0008】
さらに、好適な上記ヘッダ領域と上記色評価領域の配置例の一つとして、請求項3にかかる発明では、境界定義用の上記カラーパッチが上記記録媒体上における上記ヘッダ領域と上記色評価領域との間に設けられる。上記ヘッダ領域と上記色評価領域との境界が境界定義用の上記カラーパッチによって明確化されるため、上記色評価用カラーパッチの色から上記文字が読み取られたり、上記条件評価用カラーパッチの色の再現性を評価したりするような誤りを防止することができる。
【0009】
さらに、請求項4にかかる発明では、上記条件評価用カラーパッチに使用される色を網羅する上記カラーパッチを羅列することにより、サンプル領域が形成される。例えば、上記条件評価用カラーパッチに使用される色の全てを上記サンプル領域における上記カラーパッチとして羅列することができる。これにより、上記条件評価用カラーパッチに使用される色が測色機等によって実際にどのように認識されるか把握しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
下記の順序に従って本願発明の実施形態について説明する。
(1)カラーチャート評価システムの概略構成:
(2)カラーチャート印刷処理:
(3)カラーチャート評価処理:
(4)適用例:
(5)変形例:
【0011】
(1)本実施形態の概略構成
図1は、本発明にかかるカラーチャートを利用したカラーチャート評価システムを概略的に示している。同図において、カラーチャート印刷装置を構成するクライアント(CL)コンピュータ10と複数のプリンタ40,40,40・・・が相互に接続されている。一方、カラーチャート測色装置を構成するマスター(MS)コンピュータ70と測色機50とが相互に接続されている。本実施形態では、この複数のプリンタ40の色再現性を評価の対象とし、各プリンタ40からカラーチャート評価用のカラーチャート60を印刷する。そして、同印刷された各カラーチャート60を測色機50によって測色し、得られた色彩値をコンピュータ70に取り込み、所定の評価を行うことにより、補正データ90を作成する。補正データ90は例えばCD−Rに記憶されている。そして、CD−Rに記憶された補正データ90はCLコンピュータ10に入力され、複数のプリンタ40,40,40・・・のそれぞれに対する補正が行われる。
【0012】
図2は、本実施形態にかかるCLコンピュータ10とプリンタ40のハードウェア構成とソフトウェア構成とを概念的に示している。CLコンピュータ10は演算処理の中枢をなす図示しないCPUや記憶媒体としてのROMやRAM等を備えており、HDD15等の周辺機器を利用しながら所定のプログラムを実行する。コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ33も接続されている。また、USB用I/O19bを介してプリンタ40aが接続されている。なお、同図では簡単のため、コンピュータ10に接続する各プリンタ40のうち上記プリンタ40aのみを示している。USB用I/O19bにはCD−Rに記憶された補正データ90を読み取り可能なCD−ROMドライブ34も接続されている。
【0013】
プリンタ40aは複数色のインクを充填するインクカートリッジを色毎に着脱可能な機構を備えており、この機構にCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の各インクのカートリッジを搭載する。プリンタ40aでは、これらのインク色を組み合わせて多数の色を形成可能であり、これにより印刷媒体上にカラーチャート60等のカラー画像を形成する。本実施形態におけるプリンタ40aはインクジェット方式のプリンタであるが、インクジェット方式の他にもレーザー方式等、種々のプリンタに対して本発明を適用可能である。
【0014】
さらに、CMYKの4色の有色インクを使用する構成が必須ではなく、CMYKLcLm(ライトシアン、ライトマゼンダ)の6色やCMYKLcLmDY(ダークイエロー)の7色を使用する構成など、種々の構成を採用可能である。コンピュータ10では、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ33における印刷対象画像やプリンタのプロパティ画面等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
【0015】
PRTDRV21は、図示しないアプリケーションプログラムを用いて印刷指示がなされた画像や所定のカラーチャート画像について所定の処理を行って印刷を実行可能である。なお、コンピュータ10においては、原則的に接続している各プリンタ40にそれぞれ対応するプリンタドライバをインストールしているが、同図では代表して上記プリンタ40aに対応するPRTDRV21について説明する。
【0016】
PRTDRV21は、印刷条件設定モジュール21aと印刷条件取得モジュール21bと文字列化モジュール21cとヘッダ領域データ作成モジュール21dと画像合成モジュール21eと色変換モジュール21fとハーフトーン処理モジュール21gと印刷データ生成モジュール21hとLUT補正モジュール21iとを備えている。LUT補正モジュール21iは後述する色変換LUT18を補正するために備えられており、それ以外の各モジュール21a〜21hはカラーチャート60を印刷するために備えられている。カラーチャート60の印刷指示をするための操作をキーボード31またはマウス32にて行うと、PRTDRV21が駆動される。すると、PRTDRV21はディスプレイDRV23にデータを送出して、後述するユーザインターフェース(UI)画面をディスプレイ33に表示させる。
【0017】
このUI画面にしたがって入力されたカラーチャート60の印刷条件を印刷条件設定モジュール21aが受け付ける。さらに、UI画面において印刷指示が受け付けられると上記印刷条件を確定させる。確定された印刷条件は印刷条件取得モジュール21bに入力される。印刷条件取得モジュール21bは、OS20に備えられたタイマ20aから印刷時間を取得するとともに、プリンタ40aからもUSB用I/O19bを介して各プリンタ40固有の機体番号等の印刷条件を取得する。このようにして各モジュール21a,20a,19bから取得された印刷条件は文字列化モジュール21cに入力され、同文字列化モジュール21cにて印刷条件が文字の配列によって表現される条件コードに変換される。
【0018】
各印刷条件はCLコンピュータ10に入力された時点でCLコンピュータ10にて取り扱い可能なコードに文字列化されるが、文字列化モジュール21cにおいては、コード一覧19を参照しつつ、後述するMSコンピュータ70にて復号可能な条件コードに印刷条件を変換する。文字列化モジュール21cにて条件コードに変換された印刷条件はヘッダ領域データ作成モジュール21dに受け渡され、同条件コードに基づいて画像データとしてのヘッダ領域データが生成される。具体的には、ヘッダ領域データ作成モジュール21dが備える色特定モジュール21d1が条件コードを構成する各文字に対応する色彩値(RGB値)を色特定テーブル16を参照し特定する。
【0019】
そして、予めヘッダ領域データ作成モジュール21dに規定された配列ルールにしたがって条件評価用カラーパッチに対応する画像データをそれぞれ配置し、同配置された画像データ毎に条件コード等を構成する各文字に対応する色彩値の画素を割り当てることにより、ヘッダ領域データを作成する。上記ヘッダ領域データは、RGBの各階調値で表現される各画素が配列した画像データとして形成される。ヘッダ領域データは、画像合成モジュール21eに入力され、ここで色評価領域データ17と合成される。その際に、カラーチャート上においてヘッダ領域データに基づいて再現されるヘッダ領域と、色評価領域データ17に基づいて再現される色評価領域との間に境界定義用のカラーパッチが形成されるように画像の合成を行う。
【0020】
色評価領域データ17はヘッダ領域データと同様にRGB階調値で表現される各画素が配列した画像データとして用意されている。色評価領域データ17は、同色評価領域データ17に基づいて印刷を行うことにより、複数の見本色を有する色評価用カラーパッチを記録媒体上に羅列することができる。この見本色は、例えばプリンタ40にて再現可能な色域全体を偏りなく網羅するように決定されている。また、同系色のカラーパッチがグラデーションをなすように配列されるようにしてもよい。
【0021】
画像合成モジュール21eにて色評価領域データ17とヘッダ領域データとを合成して形成した画像データは、色変換モジュール21fに入力される。色変換モジュール21fは各画素の色を示す表色系を変換するモジュールであり、HDD15に記録された色変換LUT18を適宜参照して画像データのsRGB表色系をプリンタ40aが搭載する有色インクを成分とするCMYK表色系に変換する。色変換LUT18はsRGB表色系とCMYK表色系とのそれぞれによって色を表現するとともに両者を対応づけ、複数の色についてこの対応関係を記述したテーブルである。従って、sRGB表色系で表現した任意の色に関し、その周りの色であって色変換LUT18に規定されたsRGBの色を参照すれば補間演算によって当該任意の色に対応したCMYK表色系の色を算出することができ、表色系の変換を実施することができる。
【0022】
色変換モジュール21fによって表色系の変換がなされてCMYKデータが得られると、ハーフトーン処理モジュール21gは、CMYK表色系で表現された各画素の階調値を各画素におけるインクの吐出/非吐出を特定したハーフトーン画像データに変換する。すなわち、プリンタ40aにおける各画素についてインク滴の吐出/非吐出を決定する。むろん、インク滴の吐出/非吐出のみならず、吐出インクの量を段階的に制御可能に構成し、吐出インク滴の大きさを決定してもよい。
【0023】
印刷データ生成モジュール21hはハーフトーン画像データを受け取り、プリンタ40aで使用される順番に並べ替え、一回の主走査にて使用されるデータを単位にして印刷データを生成する。印刷データは、USB用I/O19bを介して逐次プリンタ40aに出力され、プリンタ40aに画像を形成するために必要なすべてのデータが転送されると、プリンタ40aにて記録媒体上に画像が形成されカラーチャートが作成される。
【0024】
また、PRTDRV21はLUT補正モジュール21iを備えている。同LUT補正モジュール21iにおいては、MSコンピュータ70にて作成された補正データ90をCD−ROMドライブ34を介して入力し、同補正データ90に基づいて色変換LUT18の補正を行う。色変換LUT18はCMYKデータを定義するテーブルであるため、同色変換LUT18を補正することにより最終的に記録媒体上に再現される色の修正を行うことができる。なお、補正データ90はキーボード31またはマウス32を利用して人為的に入力されてもよいし、補正データ90を記憶したCD−R以外の媒体によって入力されてもよい。さらに、インターネット上のサーバ等から入力されるようにしてもよい。
【0025】
図3は、本実施形態にかかるMSコンピュータ70と測色機50のハードウェア構成とソフトウェア構成とを概念的に示している。MSコンピュータ70はCLコンピュータ70とほぼ同様の構成とされているが、USB用I/O79bを介して測色機50と接続している。測色機50は、分光反射率が既知の光源でカラーチャート60を照射し、反射光を検出することにより印刷物の分光反射率を検出し、その色彩値、例えばL*a*b*値やXYZ値を出力可能である。本実施形態においては、測色機50は、測色機ドライバ82によって駆動されるとともに、各プリンタ40で印刷したカラーチャート60における各カラーパッチの色彩値(L*a*b*値)および当該カラーパッチのカラーチャート60上におけるアドレスを取得する。
【0026】
MSコンピュータ70にはカラーチャート60を評価するための評価プログラム81が組み込まれており、評価プログラム81は補正データ作成モジュール81aと色評価モジュール81bと復号化モジュール81cと文字特定モジュール81dとから構成されている。文字特定モジュール81dはUSB用I/O79bを介して測色機50から色彩値およびアドレスを取得する。そして、文字特定テーブル75cを参照して、各条件評価用カラーパッチを測色して得られた色彩値に対応する文字を特定する。この文字はカラーパッチのアドレスと関連づけられて復号化モジュール81cに送出される。なお、文字特定テーブル75cは上述した色特定テーブル16と同様に印刷条件を構成する文字と色との対応関係を規定したテーブルである。
【0027】
各条件評価用カラーパッチのアドレスと関連づけられた各文字によって構成される文字列は、復号化モジュール81cにて復号化される。すなわち、複数の条件評価用カラーパッチから得られた文字を各アドレスに基づいて配列し、所定のルールにしたがって復号化することにより、カラーチャート60に記録された印刷条件を再現する。その際に、HDD75に記憶されたコード一覧75bが参照される。以上のようにして再現された印刷条件は色評価モジュール81bに入力される。一方、色評価用カラーパッチを測色して得られた色彩値と予めHDD75に記憶された基準値75aとが色評価モジュール81bにおいて比較される。その際に、再現された印刷条件に応じて参照される基準値75aが選択される。
【0028】
測色して得られた色彩値と基準値75aとの比較結果は補正データ作成モジュール81aに入力され、補正が必要であれば補正データ90が作成される。補正データ作成モジュール81aには印刷条件も入力されており、印刷条件に応じた補正データ90が作成される。補正データ90はUSB用I/O79bを介してCDRドライブ71に出力され、同CDRドライブ71にてCDーRに記録される。CDーRに記録された補正データ90はCLコンピュータ10に入力され、色変換LUT18の修正に利用される。
【0029】
(2)カラーチャート印刷処理:
図4は、CLコンピュータ10にて行われるカラーチャート印刷処理の流れを示している。同図において、入力機器DRV22にてカラーチャート60の印刷指示が受け付けられると、ステップS100にて印刷条件取得モジュール21bが印刷条件を取得する。印刷条件取得モジュール21bは、印刷条件設定モジュール21aおよびタイマ20aおよびUSB/IO19bからデータを入力することが可能となっており、各情報源から所定の印刷条件を取得する。
【0030】
図5は、ステップS100にて取得される印刷条件の項目を一覧にして示している。同図において、機体番号、印刷日時、印刷用紙、印刷解像度、色調、カラーパッチサイズ、カラーパッチ数、カラーチャート番号が印刷条件として取得されている。機体番号はUSB/IO19bを介してプリンタ40aから取得され、印刷日時はタイマ20aから取得され、印刷用紙と印刷解像度と色調とカラーパッチサイズとカラーパッチ数とカラーチャート番号は印刷条件取得モジュール21bから取得される。印刷条件取得モジュール21bはUI画面を利用して予め各印刷条件の入力を受け付けている。
【0031】
図6は、UI画面の一例を示している。同図において、UI画面の下部にはカラーチャート印刷実行ボタンが設けてあり、同ボタンがクリックされたときステップS100以降のカラーチャート印刷処理を実行するとともに、このとき設定されている印刷条件を確定する。確定された印刷条件についての情報は印刷条件取得モジュール21bに入力され、図5に示すようなテーブルに格納される。例えば、UI画面にて印刷用紙が”スーパーファイン”と設定されているため、”スーパーファイン”に対応する56番が印刷用紙の内容を表すデータとして格納される。同様にして、UI画面にて入力されている印刷解像度も格納される。
【0032】
一方、オートフォトファインのチェックボックスにチェックされた場合には、オートフォトファインがONとなり所定のカラーチャート60を印刷するにあたり所定の色調補正が実行されるとともに、図5に示すテーブルには同色調補正がされたことを意味する1番が格納される。なお、オートフォトファインが設定されることにより、オートフォトファインに対応した色変換LUT18を使用して、表色系の変換が行われる。さらに、UI画面においてカラーチャート番号が設定されることにより、カラーチャート60における色評価領域のレイアウトが特定でき、図5に示すテーブルにおけるカラーパッチサイズやカラーパッチ個数も特定することができる。
【0033】
以上のようにして、図5の左欄に示すような印刷条件を取得すると、印刷条件取得モジュール21bは同印刷条件を文字列化モジュール21cに出力する。ステップS110にて文字列化モジュール21cが、印刷条件の内容を所定の形式により文字列化して条件コードを生成する。図5の右欄は各項目の印刷条件を文字列化することにより得られる条件コードを示している。同欄に示すように印刷条件の内容はそれぞれ羅列された16進数の数字(0H,2H,3H・・AH・・FH)で表現されている。もともと数字で表現されていた印刷条件の内容はそのまま16進数化することにより条件コード化される。一方、機体番号に使用される英数字等はアスキーコード形式によって条件コード化される。例えば、機体番号に使用された”ABC”はアスキーコードを用いて”4H,1H,4H,2H,4H,3H”(図において太字で示す。)と表現され、それ以外の”0000123”はそのまま”0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H”と表現される。本実施形態においては以上のような文字列化形式を採用するものとする。
【0034】
文字列化モジュール21cにおいては印刷条件の内容を文字列化することにより条件コードが生成されるが、必ずしも実体的な文字列化が文字列化モジュール21cにて行われるとは限らない。すなわち、印刷条件の内容はCLコンピュータ10に入力された時点で、CLコンピュータ10にて取り扱い可能なコードに変換されており、そのコード形式が上記の文字列化形式と異なる場合には上記の文字列化形式に再度変換し、上記の形式と同じであればそのまま条件コードとして記憶する。そして、以上のようにして生成された条件コードはステップS120にてヘッダ領域データ作成モジュール21dに受け渡される。ヘッダ領域データ作成モジュールは条件コードに基づいて、ヘッダ領域データを作成する。
【0035】
図7は、ヘッダ領域データが作成される手順を示している。同図において、ステップS121にて項目コードの挿入を行う。ここで、項目コードは、後に記述される文字列(条件コード)がどの印刷条件の内容を意味しているかを指し示すための先頭コードである。そして、この項目コードはHDD15に記憶されたコード一覧19に格納されており、ヘッダ領域データ作成モジュール21dが適宜読み出して使用している。
【0036】
図8は、コード一覧19を表にして示している。同図において、2桁の文字の組み合わせで項目コードが表現されており、それぞれの組み合わせに意味が対応づけられている。例えば、”C2,1H”という項目コードの後には、機体番号を意味する条件コードが記述される。従って、図5に例を示した機体番号を記述する場合には、”C2,1H,4H,1H,4H,2H,4H,3H,0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H”という文字列が形成される。さらに、ステップS122では補助コードの挿入を行う。補助コードは、項目コードとともにコード一覧19に格納されており、1桁の文字で表現される。
【0037】
図9は、項目コードおよび補助コードが挿入された状態の条件コードを表にして示している。同図において、例えば、区切りを意味する補助コードとしての”SP”が印刷日時を表す条件コードの日付と時間の間等に挿入されることにより、適切な印刷日時の解釈を可能としている。さらに、各条件コードの末尾には終了を意味する補助コードとしての”EM”が添付されている。次にステップS123においては、各項目コードおよび補助コードおよび条件コードを構成する文字に対応する色を特定する。具体的には、色特定モジュール21d1が各コードを構成する文字に対応する色彩値を色特定テーブル16を参照して特定する。
【0038】
図10は、色特定テーブル16を示している。同図において、色特定テーブル16には、各コードを構成し得る文字とRGBの各階調で表現される色彩値との対応関係が規定されている。このような色特定テーブル16を参照することにより、各コードを構成する文字(数字)に対応する色のRGB階調値を特定することができる。ステップS123にて色彩値が特定されると、ステップS124にてレイアウト処理を実行する。レイアウト処理は、ステップS123にて特定された各文字の色で塗りつぶされた複数の条件評価用カラーパッチに相当する画像データ(以下、パッチデータというものとする。)を生成し、同パッチデータを所定の配列に配置する。
【0039】
図11は、パッチデータの配置例を示している。同図において、パッチデータが羅列されている。なお、図においてはパッチデータの配列を分かりやすく表現するために各パッチデータのRGB階調値に対応する文字を識別文字列として付しているが、実際にはステップS123で特定されたRGB階調値を有する画素が各条件評価用カラーパッチの占める領域毎に充填されている。機体番号や印刷日時等の印刷条件に対応するパッチデータは各条件項目毎に一行ずつ割り当てられており、先頭2列にはそれぞれの条件項目を意味する項目コードに対応したパッチデータが配置されている。
【0040】
先頭から3行目までの先頭2列には印刷条件を意味する項目コードではなく、文字表現色サンプル1〜3を意味する項目コードに対応するパッチデータが配置されている。例えば、一行目の先頭2列に配置された”C1,SP”に対応する色のパッチデータは、図8のコード一覧19に示すように文字表現色サンプル1を意味している。文字表現色サンプル1〜3を意味する項目コードに相当するパッチデータの後の列には、色特定テーブル16にて定義されている色の全てを網羅するように各色のパッチデータが生成され3行に分散して羅列されている。なお、文字表現色サンプル1〜3の行が占める領域をサンプル領域というものとする。また、サンプル領域におけるパッチデータの配列はステップS100にて取得されたカラーチャート番号に依存することなく、常に一定とされる。
【0041】
パッチデータは、各文字に対応する色のRGB階調の画素で構成されているが、その画素数はステップS100で取得した解像度に適合するように生成されている。ただし、条件評価用カラーパッチのサイズおよび先頭行および先頭列の位置はステップS100にて取得されたカラーチャート番号に依存することなく、常に一定となる。ステップS125においては、パッチデータが配列する画像データを画像合成モジュール21eに対してビットマップデータとして出力する。なお、このビットマップデータをヘッダ領域データというものとする。ヘッダ領域データを取得した画像合成モジュール21eは、ステップS130にてヘッダ領域データの最終行の、次の行の先頭列に境界定義用のカラーパッチに対応するパッチデータを添付する。境界定義用のカラーパッチに対応するパッチデータの色および文字(補助コード)は図8のコード一覧19および図10の色特定テーブル16に定義されている。
【0042】
そして、図4に戻りステップS140にて、さらに色評価領域データをヘッダ領域データに合成する。色評価領域データ17は予めHDD15に複数記憶されており、S100で取得したカラーパッチサイズおよびカラーパッチ数および解像度およびカラーチャート番号に適合するものが読み出されて使用される。なお、色評価領域データ17はS100で取得したカラーパッチサイズおよびカラーパッチ数および解像度に応じて編集されたり生成されたりしてもよい。色評価領域データ17は色評価用カラーパッチに対応するパッチデータが分布する画像データであり、色評価領域データ17もビットマップデータとして記憶されている。色評価用カラーパッチに対応するパッチデータの色はプリンタ40の色域の全体を偏りなく網羅するように設定された見本色である。色評価領域データ17は境界定義用のカラーパッチに対応するパッチデータの次の行から先頭の行が開始するように合成される。合成された画像データは、ステップS150にて色変換モジュール21f以降の各モジュールに出力されて、プリンタ40aにて同画像データに基づくカラーチャート60が印刷される。
【0043】
図12は、カラーチャート60を示している。同図において、カラーチャート60の先頭には印刷条件が条件評価用カラーパッチによって表現されたヘッダ領域が形成され、その下方にはプリンタ40aの色域を網羅する見本色が付されたカラーパッチが配列する色評価領域が形成されている。なお、図においては各カラーパッチの配列を分かりやすく表現するために各カラーパッチに対応する文字を識別文字列として付しているが、実際にはステップS123で特定された色が各カラーパッチ上に再現されている。ヘッダ領域と色評価領域との間には境界定義用カラーパッチが配置されている。
【0044】
(3)カラーチャート評価処理:
図13は、MSコンピュータ70にて行われるカラーチャート評価処理の流れを示している。以下、図12に示すようなヘッダ領域が作成されたカラーチャート60を評価する場合を例にして説明する。図13において、ステップS200では文字特定モジュール81dが参照する文字特定テーブル75cに記述された各値をデフォルトの値にリセットする。
【0045】
図14は、文字特定テーブルを示している。同図において、文字特定テーブル75cは図10に示す色特定テーブル16と同様の構成としているが、MSコンピュータ70の文字特定テーブル75cでは各文字に対応する色彩値が測色機50にて取得可能なL*a*b*表色系の値として記述されている。また、文字特定テーブル75cでは各文字に対応して許容範囲の色差値も記述されている。なお、許容範囲のデフォルト値は色差ΔEが10と設定されている。ステップS205では、行を表す変数nに1を代入する。そして、ステップS210において、カラーチャート60におけるn行目の処理を開始する。初めの段階ではn=1となるため、ヘッダ領域における1行目の測色が開始される。ステップS215においては、n行目における一列目の条件評価用カラーパッチの測色が行われる。
【0046】
上述のとおりヘッダ領域における条件評価用カラーパッチの先頭行および先頭列の位置はステップS100にて取得されたカラーチャート番号に依存することなく、常に一定となるようにされている。従って、予め測色機50に先頭行および先頭列の位置を設定しておくことにより、いかなるカラーチャート60においても先頭行および先頭列の条件評価用カラーパッチを視野に捉えることができる。また、ヘッダ領域における条件評価用カラーパッチのサイズも一定とされているため、規定のサイズを予め測色機50に設定しておくことにより、いかなるカラーチャート60においても2行目以降および2列目以降の条件評価用カラーパッチの位置を特定し、視野に捉えることができる。
【0047】
ステップS220ではステップS215にて得られた条件評価用カラーパッチのL*a*b*値が境界定義用カラーパッチのものであるかを判定する。この判定においては文字特定テーブル75cを参照し、同文字特定テーブル75cに記述された条件評価用カラーパッチのL*a*b*値と測色して得られたL*a*b*値との色差(ΔE)を算出する。そして、この色差ΔEが上記許容範囲よりも小さい場合には、測色したカラーパッチが境界定義用カラーパッチであると判定する。なお、この判定に使用される許容範囲は文字特定テーブル75cに記述されており、デフォルトであれば色差ΔE<10が条件となる。
【0048】
ステップS215では、文字”C1”に対応する色を有する条件評価用カラーパッチが測色される。ここで得られるL*a*b*値は境界定義用カラーパッチのL*a*b*値と大きく異なるため、ステップS225が実行される。ステップS225では、測色機50の視野を一列分行末方向に移動させ、1行目における2列目の条件評価用カラーパッチのL*a*b*値を取得する。ここでは、文字”SP”に対応する条件評価用カラーパッチが測色される。
【0049】
そして、ステップS230においては、文字特定テーブル75cを参照しつつ、ステップS215およびステップS225にて測色されたL*a*b*値がどの文字に対応する色であるかを判定する。この判定に使用される許容範囲も文字特定テーブル75cに記述されたものであり、文字”C1,SP”の双方についてデフォルトの色差ΔE<10が適用される。さらに、復号化モジュール81cがコード一覧75bを参照し、1列目と2列目の条件評価用カラーパッチに対応する文字の組み合わせで構成される項目コードを特定する。ここでは、文字”C1,SP”が特定されるため、これらの組み合わせで表現される”文字表現色サンプル1”を意味していることが特定される。従って、1行目の条件評価用カラーパッチ群が文字表現色サンプル1に相当するものであることが判別できる。
【0050】
なお、ここでは文字”C1,SP”の双方について許容範囲として色差ΔE<10が適用されるが、図10に示すように文字”C1,SP”に対応する色は極端なL*a*b*値を示す黒および白であるため、多少許容範囲が広くても誤認識が発生することはない。ステップS235では、ステップS230にて復号化された項目コードが”文字表現色サンプル1〜3”に該当するかどうかを判定し、該当するのであればステップS240を実行させる。ステップS240では、列を表す変数mに3を代入する。そして、ステップS245では、3列目の条件評価用カラーパッチの測色を行い、L*a*b*値を取得する。
【0051】
ステップS250ではステップS245にて得られたL*a*b*値を文字特定テーブル75cに更新記憶させる。上述したとおりサンプル領域における条件評価用カラーパッチの配置は、いかなるカラーチャートにおいても一定とされているため、サンプル領域の各列の条件評価用カラーパッチはどの文字に対応しているかを特定することができる。具体的には、サンプル領域における条件評価用カラーパッチの配置を格納したサンプル配置テーブル75dがHDD75に記憶されており、このサンプル配置テーブル75dを参照する。
【0052】
図15は、サンプル配置テーブル75dを示している。同図において、サンプル配置テーブル75dには、配置(m,n)毎に配置される文字が規定されている。なお、ヘッダ領域における条件評価用カラーパッチのサイズは常に一定であるため、配置(m,n)からカラーチャート60上のアドレスも特定することができる。例えば、n=1,m=3において文字”C2”に対応する条件評価用カラーパッチの測色が行われたことを特定することができる。そして、ステップS245にて得られたL*a*b*値を文字特定テーブル75cにおいて対応する文字のL*a*b*値に更新記憶する。これと同時に、L*a*b*値を更新した文字の許容範囲として色差ΔE<3を更新記憶させる。すなわち、ステップS250では、条件評価用カラーパッチの実測値を文字特定テーブル75cに定義し、それとともに許容範囲を狭めている。
【0053】
ステップS255ではサンプル配置テーブル75dを参照し、ステップS245にて測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものであるかどうかが判定される。すなわち、行末であるかどうかが判定される。ステップS245にて測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものでない場合には、ステップS260を実行させる。ステップS260では、mに1を加算して、ステップS245に戻る。再び実行されるステップS245においては、4列目の条件評価用カラーパッチの測色が行われる。また、繰り返して行われるステップS250〜S260も上記と同様に実行される。すなわち、1列ずつ、ずらしながら、一行目の条件評価用カラーパッチの測色が順に行われ、それぞれ得られたL*a*b*値を文字特定テーブル75cに順次更新し、許容範囲を狭めている。
【0054】
そして、m=9のときステップS255では直前のステップS245にて文字”EM”に対応する条件評価用カラーパッチを測色したと判定される。その場合、ステップS265にてnに1を加算し、ステップS210にて次の行に対する処理を開始する。図12に示すようにヘッダ領域の2,3行目も”文字表現色サンプル2,3”であるため、上記と同様にステップS210〜S260が繰り返して実行されることとなる。ただし、2行目に対して実行されるステップS230における2列目の文字”C2”の認識においては、すでに更新記憶されている実測に基づいたL*a*b*値を基準として、狭められた許容範囲(色差ΔE<3)を使用して文字”C2”に対応する条件評価用カラーパッチであるかどうかが判定される。同様に、3行目に対して実行されるステップS230における2列目の文字”C3”の認識においても、実測のL*a*b*値および狭められた許容範囲が基準とされる。
【0055】
文字表現色サンプル3に対する処理が完了した時点で、文字特定テーブル75cに定義されている全ての文字についてL*a*b*値が更新されることとなり、全ての文字について許容範囲が狭められることとなる。文字表現色サンプル1〜3で構成されるサンプル領域は文字特定テーブル75cに定義される全ての文字を網羅するようにレイアウトされているからである。サンプル領域に対する処理が完了すると、4行目以降に対する処理が実行される。
【0056】
4行目以降に対する処理においてもステップS210〜S230までは上記と同様な処理が行われる。ただし、文字特定テーブル75cに定義されている全ての文字について実測のL*a*b*値および許容範囲が更新されているため、ステップS230における対応文字の認定においては、実測のL*a*b*値および狭められた許容範囲が使用されることとなる。そして、ステップS235では、サンプル領域に属する行でないと判定され、ステップS270が実行される。例えば、n=4であるときは、対象の行が”文字表現色サンプル1〜3”ではなく、機体番号を記述した行であると判別されるため、ステップS270が実行される。ステップS270,S275ではステップS240と同様の処理が行われる。
【0057】
むろん、ステップS275における文字判定においては、実測のL*a*b*値および狭められた許容範囲が使用される。ステップS280ではステップS275にて特定された文字を記憶する。ステップS285においては、ステップS275にて得られたL*a*b*値と文字特定テーブル75cに更新記録されている実測のL*a*b*値とを比較して、ステップS275にて測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものであるかどうかを判定する。
【0058】
ステップS255とステップS285はともに、直前に測色を行った条件評価用カラーパッチが文字”EM”に対応するものであるかどうかが判定されるが、ステップS255では配置(m,n)に基づいて判定しているのに対して、ステップS285は色に基づいて判定している点で手法が相違する。ステップS285において、直前に測色を行った条件評価用カラーパッチの色が文字”EM”に対応するものでないと判断されると、ステップS290にてmに1が加算され、ステップS275以降を再度実行する。すなわち、行の終了に到達していないことを認識し、次の列の条件評価用カラーパッチの測色を継続する。
【0059】
一方、ステップS285において、直前に測色を行った条件評価用カラーパッチの色が文字”EM”に対応するものであると判定された場合には、ステップS295にて記憶された一行分の文字列を復号化する。すなわち、現在処理を行っている行の3列目以降の条件評価用カラーパッチから得られた文字列に基づいて復号化を行い印刷条件を取得する。なお、各文字と、その文字のカラーチャート60上におけるアドレスとが対応づけられているため、文字の配列順を特定することができる。例えば、n=4の行では、繰り返されるステップS285によって文字”4H,1H,4H,2H,4H,3H,0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H,EM”が累積的に記憶されている。さらに、末尾の”EM”は除外し、”4H,1H,4H,2H,4H,3H,0H,0H,0H,0H,1H,2H,3H”を復号化することにより、機体番号”ABC0000123”を取得することができる。
【0060】
例えば、n=5の行では、繰り返されるステップS285によって文字”2H,0H,0H,4H,AH,1H,5H,SP,1H,4H,3H,4H,EM”が累積的に記憶されている。それから、末尾の”EM”を除外し、区切りコード”SP”を解釈しつつ、残りの文字を復号化することにより、印刷日時”2004年10月15日14時34分”を取得することができる。このようにして復号化された各印刷条件は、それぞれ記憶され、後の処理において使用される。図12の例では、n=11となるまで、ステップS210〜S235とステップS265とステップS270〜S295とが繰り返し実行される。従って、機体番号と印刷日時と印刷用紙と印刷解像度と色調とカラーパッチサイズとカラーパッチ数とチャート番号についての情報を取得することができる。
【0061】
そして、n=12となったとき、ステップS220にて境界定義用カラーパッチが検出され、ステップS300が実行される。ステップS300においては印刷条件として取得された印刷日時からOS80に備えられたタイマ80aによる現在時刻を差分することにより、乾燥時間を算出する。そして、乾燥時間が規定の時間(例えば、30分)以上確保されてない場合には、インクの発色が不安定であるとして、処理を中止する。一方、十分に乾燥時間が確保されている場合には、ステップS305を実行する。
【0062】
ステップS305においては13行目以降に形成された色評価用カラーパッチについての測色が行われる。そして、ステップS310においては色評価モジュール81bがHDD75に記憶された基準値75aと、測定して得られたL*a*b*値とを比較する。例えば、色差ΔEを計算するようにしてもよい。このとき比較対象となる基準値75aは上記のようにして取得された各印刷条件に基づいて選択される。例えば、チャート番号によって色評価用カラーパッチの配列が異なる場合があるため、チャート番号に適合した基準値75aと比較する必要がある。また、色調が異なる場合には比較すべき色も異なってくるため、印刷時の色調に対応した基準値75aを選択する必要がある。
【0063】
ステップS315では、ステップS305にて測色した色評価用カラーパッチが最終のものであるかどうかが判定される。ここでも、チャート番号に依存する色評価用カラーパッチの配列に基づいて最終かどうかが判断される。そして、最終でない場合にはステップS305を実行し、次の色評価用カラーパッチの測色を行う。次の色評価用カラーパッチの測色を行うにあたっても、適切に視野を移動させる必要があるため、印刷条件として取得したカラーパッチサイズとカラーパッチ数とチャート番号が利用される。カラーパッチサイズとカラーパッチ数とチャート番号等の情報を測色機ドライバ82が取得し、測色機ドライバ82がこれらの情報に基づいて測色機50を駆動させる。一方、ステップS315にて全ての色評価用カラーパッチの測色が完了したことが確認されると、ステップS320にて補正データ作成モジュール81aが補正データ90を作成する。
【0064】
本実施形態においては補正データ90によって色変換LUT18が修正される。しかし、色変換LUT18は色調(APFのオンオフ)や印刷解像度や印刷用紙毎に用意されるため、当該カラーチャート60を印刷したときに使用した色変換LUT18を修正するための補正データ90を作成しなければ意味がない。また、CLコンピュータ10には多数のプリンタ40が接続されているため、当該カラーチャート60を印刷したプリンタ40の色変換LUT18を修正するための補正データ90を作成しなければ意味がない。そこで、ステップS320では、カラーチャート60から印刷条件として取得した機体番号と印刷用紙と印刷解像度と色調に基づいて補正すべきプリンタ40および色変換LUT18を特定するための識別データを添付する。このようにすることにより、間違えなく当該カラーチャート60を印刷したときに使用したプリンタ40の色変換LUT18の補正を行わせることが可能となる。
【0065】
本実施形態においては、カラーチャート60に印刷条件を記録し、同印刷条件を測色機50およびMSコンピュータ70によって取得している。このようにすることにより。カラーチャート60を作成した印刷条件に応じた色評価用カラーパッチの評価および補正データ90の作成を行うことが可能となる。カラーチャート60に印刷条件を記録するにあたっては、条件評価用カラーパッチの色と、印刷条件を表現する文字とを対応させている。従って、条件評価用カラーパッチを測色することによって、各種印刷条件を復号化することができる。この文字の組み合わせは、ほぼ無限に考えられるため、所定の文法にしたがうことにより、あらゆる印刷条件を表現することが可能である。
【0066】
また、サンプル領域に配置される条件評価用カラーパッチの色を予め測色し、そのL*a*b*値を文字特定テーブル75cに更新している。すなわち、以降文字特定テーブル75cを参照してL*a*b*値から文字を特定する際に、当該カラーチャート60において実測して得られたL*a*b*値と比較して判断することができる。従って、例えばカラーチャート60を記録した印刷用紙によって条件評価用カラーパッチの発色に変動がある場合でも、当該印刷用紙に適合した文字特定テーブル75cを定義しておくことができる。従って、文字特定テーブル75cを使用して、正確に測色値から文字を特定することが可能となる。また、それに応じて色差ΔEの許容範囲も狭められるため、より誤認識がなく正確な印刷条件の認識が実現される。
【0067】
なお、ステップS230,S285にて文字特定テーブル75cを使用して条件評価用カラーパッチの測色値から文字を特定するにあたり、いずれの文字の許容範囲にも測色したL*a*b*値が入らない場合も考えられる。この場合は、印刷条件の認識エラーとして処理を中断するようにしてもよい。本実施形態において、ヘッダ領域と色評価領域との間には境界定義用カラーパッチを配置している。このようにすることにより、確実にヘッダ領域と色評価領域との境界を認識させることができる。従って、色評価領域における色評価用カラーパッチの色から印刷条件が取得されるようなことが防止できる。さらに、乾燥時間が自動的に算出されるようにし、乾燥時間が不足する場合には、色評価領域の測色を中止している。このようにすることにより、色が不安定なカラーチャート60に基づいて不正確な補正データ90が作成されることを防止するとともに、無駄な測色に時間が費やされることを防止することできる。
【0068】
(4)適用例:
本発明を適用することにより、MSコンピュータ70にて特に印刷条件の入力をしなくても、印刷条件をカラーチャート60から取得し、それに応じた補正データ90を作成することができる。すなわち、MSコンピュータ70を操作する側と、CLコンピュータ10を操作する側とが密接な関係になくとも、適正な補正を行うことが可能となる。つまり、両者間においてカラーチャート60および補正データ90のやりとりが行うことができれば、適正な補正を行うことができる。例えば、MSコンピュータ70をプリンタ40の製造業者が保有し、各クライアントからカラーチャート60の送付を受け、個々のクライアントに対して補正データ90を送付するようなサービスを行うことも可能である。
【0069】
このようにすることにより、各クライアントにおいて複数あるプリンタ40や色変換LUT18から補正対象のものを特定するような作業をしなくても、適切な補正を行うことができる。また、どの印刷条件でカラーチャート60を印刷したかを記録しておく必要がない。従って、各クライアントのプリンタ40においては特別な知識を必要とすることなく、プリンタ40の製造業者が意図したとおりの色再現性を実現することができる。なお、補正データ90を送付するにあたって、インターネット等を利用してもよい。
【0070】
また、大量に印刷を行う印刷業者等であれば測色機50を保有していることも考えられる。その場合、印刷業者の本店にMSコンピュータ70および測色機50を設け、各支店のプリンタ40によってカラーチャート60を出力するようにすればよい。このようにすることにより、各支店に設けられた多数のプリンタ40の色再現性を一致させることができため、どの支点においても同様の印刷結果を得ることができる。また、印刷業者においては多数のプリンタ40が設置されるが、カラーチャート60に機体番号が明記されるため補正対象がどのプリンタ40であるか不明となることもない。
【0071】
上記実施形態においては、CLコンピュータ10とMSコンピュータ70とが個別に設けられていたが、CLコンピュータ10とMSコンピュータ70の機能を同一のコンピュータ上にて実現するようなシステム構成としてもよい。また、一例として色変換LUT18が補正されるものを示したが、カラーチャート60を介して印刷条件が認識されればよく、補正対象は何であってもよい。
【0072】
(5)変形例:
図16は、変形例にかかるカラーチャート160を示している。同図において、サンプル領域が形成されていない。上述したとおり条件評価用カラーパッチの色は印刷用紙によって変動する。しかし、プリンタの製造工程における色変換LUT作成時等に使用される印刷用紙は予め決まっているため、このような場合には実質的に条件評価用カラーパッチの色は変動しないと考えることができる。従って、プリンタの製造工程等においてはサンプル領域を形成しないようにしてもよい。また、その他の印刷条件もある程度固定されれるため、ヘッダ領域に記述される印刷条件の項目数を少なくすることができる。なお、サンプル領域を形成しない場合であっても、図13に示す処理の流れを適用することができる。すなわち、ステップS235において初めからサンプル領域が認識されず、ステップS270からステップS295が実行されるため、図13に示す処理の流れをそのまま適用しても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態にかかるカラーチャート評価システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態にかかるカラーチャート印刷装置の概略構成図である。
【図3】本実施形態にかかるカラーチャート測色装置の概略構成図である。
【図4】カラーチャート印刷処理の内容を示したフローチャートである。
【図5】印刷条件を一覧化した表である。
【図6】UI画面を示す図である。
【図7】ヘッダ領域データ作成処理の内容を示したフローチャートである。
【図8】コード一覧を示す表である。
【図9】文字列化された印刷条件を示す表である。
【図10】色特定テーブルを示す表である。
【図11】ヘッダ領域におけるパッチデータの配置を示す図である。
【図12】カラーチャートを示す図である。
【図13】カラーチャート評価処理の内容を示したフローチャートである。
【図14】文字特定テーブルを示す表である。
【図15】サンプル載置テーブルを示す図である。
【図16】変形例にかかるカラーチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
10…コンピュータ、15…HDD、17…色評価領域データ、18…色変換LUT、19…コード一覧、20a,80a…タイマ、21…プリンタドライバ、21a…印刷条件設定モジュール、21b…印刷条件取得モジュール、21c…文字列化モジュール、21d…ヘッダ領域データ作成モジュール、21e…画像合成モジュール、21i…補正モジュール、31…キーボード、32…マウス、33…ディスプレイ、40(40a)…プリンタ、50…測色機、60,160…カラーチャート、70…コンピュータ、75a…基準値、75b…コード一覧、75c…文字特定テーブル、75d…サンプル配置テーブル、81…評価プログラム、81a…補正データ作成モジュール、81b…色評価モジュール、81c…復号化モジュール、81d…文字特定モジュール、82…測色機ドライバ、90…補正データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内に色を付して形成されるカラーパッチが記録媒体上に複数分布するカラーチャートにおいて、
上記カラーパッチは、
見本色が付された色評価用カラーパッチと、
複数組み合わせられることにより当該カラーチャートの形成条件を表現可能な文字に対応づけられた色が付された条件評価用カラーパッチとからなることを特徴とするカラーチャート。
【請求項2】
上記条件評価用カラーパッチが分布するヘッダ領域と、上記色評価用カラーパッチが分布する色評価領域とが上記記録媒体上に分離して形成されることを特徴とする請求項1に記載のカラーチャート。
【請求項3】
上記記録媒体上における上記ヘッダ領域と上記色評価領域との間には境界定義用の上記カラーパッチが形成されることを特徴とする請求項2に記載のカラーチャート。
【請求項4】
上記条件評価用カラーパッチに使用される色を網羅する上記カラーパッチが羅列されるサンプル領域が上記記録媒体上に形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカラーチャート。
【請求項1】
所定領域内に色を付して形成されるカラーパッチが記録媒体上に複数分布するカラーチャートにおいて、
上記カラーパッチは、
見本色が付された色評価用カラーパッチと、
複数組み合わせられることにより当該カラーチャートの形成条件を表現可能な文字に対応づけられた色が付された条件評価用カラーパッチとからなることを特徴とするカラーチャート。
【請求項2】
上記条件評価用カラーパッチが分布するヘッダ領域と、上記色評価用カラーパッチが分布する色評価領域とが上記記録媒体上に分離して形成されることを特徴とする請求項1に記載のカラーチャート。
【請求項3】
上記記録媒体上における上記ヘッダ領域と上記色評価領域との間には境界定義用の上記カラーパッチが形成されることを特徴とする請求項2に記載のカラーチャート。
【請求項4】
上記条件評価用カラーパッチに使用される色を網羅する上記カラーパッチが羅列されるサンプル領域が上記記録媒体上に形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカラーチャート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−78337(P2006−78337A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262603(P2004−262603)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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