説明

カラーフィルタの製造方法及びカラーフィルタ

【課題】オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、狙いの高さに近づけて形成するカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】積層フォトスペーサー(SPs)の高さを、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さより予め高く形成しておき、積層フォトスペーサーの高さと、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さを基に、カラーフィルタ上の全面に設けるオーバーコート層OCの、着色画素22上の膜厚を調整してオーバーコート層を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用のカラーフィルタに関するものであり、特に、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、狙いの高さに近づけて形成することができるカラーフィルタの製造方法及びカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示装置において、カラー表示、分光特性制御、コントラストの調整、反射率の低減などの目的にカラーフィルタを用いることは有用な手段となっている。この表示装置に用いられるカラーフィルタは、多くの場合、画素として形成され用いられる。表示装置に用いられるカラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法には、印刷法、フォトリソグラフィ法などが挙げられる。
【0003】
図1は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの画素の一例を拡大して示す平面図である。また、図2は、図1に示すカラーフィルタの画素のX−X線における断面図である。図1、及び図2に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、ガラス基板(50)上にブラックマトリックス(21)、着色画素(22)、及び透明導電膜(23)が順次に形成されたものである。
【0004】
液晶表示装置に用いられる上記カラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板(50)上にブラックマトリックス(21)を形成し、次に、ブラックマトリックス(21)が形成されたガラス基板上のブラックマトリックスの開口部に位置合わせして着色画素(22)を形成し、更に透明導電膜(23)を形成するといった方法が広く用いられている。
【0005】
ブラックマトリックス(21)は遮光性を有し、その開口部にてガラス基板上での着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックス(21)の形成は、例えば、ガラス基板(50)上に、黒色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介したパターン露光、現像によって行われる。
【0006】
また、着色画素(22)は、例えば、赤色、緑色、青色の3原色の着色画素を色再現フィルタとして機能させたものであり、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板(50)上に、顔料などの色素を分散させた着色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介したパターン露光、現像によって着色画素を形成するといったフォトリソグラフィ法がとられている。
また、透明導電膜(23)の形成は、着色画素が形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0007】
図1、及び図2に示すカラーフィルタは、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。多様な液晶表示装置の開発、実用に伴い、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには、上記基本的な機能に付随して種々な機能が付加されるようになった。例えば、保護層(オーバーコート層)、基板間のギャップを保持するフォトスペーサー(突起部)、配向制御突起、光路調整層、光散乱層などが挙げられる。
【0008】
例えば、スペーサー機能に於いては、従来、基板間にギャップを設けるために、スペーサーと呼ばれるガラス又は合成樹脂の透明球状体粒子(ビーズ)を散布していた。
このスペーサーは透明な粒子であることから、画素内に液晶と共にスペーサーが入っていると、黒色表示時にスペーサーを介して光がもれてしまい、また、液晶材料が封入されている基板間にスペーサーが存在することによって、スペーサー近傍の液晶分子の配列が乱され、この部分で光もれを生じ、コントラストが低下し表示品質に悪影響を及ぼす、などの問題を有していた。
【0009】
このような問題を解決する技術として、感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィ法により、例えば、画素間のブラックマトリックスの位置にスペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)を形成する方法が開発された。
図3(a)は、このような液晶表示装置用カラーフィルタの部分断面図である。
また、図3(b)は部分平面図である。図3(b)におけるX−X線での断面が図3(a)に相当する。図3(a)、(b)に示すように、液晶表示装置用カラーフィルタは、ガラス基板(50)上にブラックマトリックス(21)、着色画素(22)、及び透明導電膜(23)が順次に形成され、ブラックマトリックス(21)上方の透明導電膜(23)上にスペーサー機能を有する突起部としてのフォトスペーサー(Ps)が形成されている。
【0010】
このフォトスペーサー(Ps)の平面形状はドット状であり、感光性樹脂を用いて形成された単層フォトスペーサーである。このような液晶表示装置用カラーフィルタを用いた液晶表示装置には、フォトスペーサー(Ps)が画素内を避けた位置に形成されているので、上記コントラストの改善がみられる。
この液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際には、図1、2に示すカラーフィルタを作製した後に、図3に示すフォトスペーサー(Ps)を形成する。すなわち、フォトスペーサーを形成する1工程が追加され所望する仕様のカラーフィルタを製造することになる。
【0011】
なお、フォトスペーサー(Ps)の高さとは、本願では、基板間にギャップを設ける従来のビーズ・スペーサーに対応し、図3においてスペーサーとして機能する、フォトスペーサー(Ps)上面のガラス基板(50)上面からの高さ(T1)と、透明導電膜(23)上面のガラス基板(50)上面からの高さ(T2)との差(ΔT1)を指している。
【0012】
図3に示すフォトスペーサー(Ps)に対し、図4(a)、(b)は、基本となるカラーフィルタにフォトスペーサーを設けたカラーフィルタの他の一例の部分断面図、部分平面図であるが、このフォトスペーサーは積層構造となっている。フォトスペーサーを構成する複数の層を着色画素の形成と同時に形成することによって、フォトスペーサーを形成するための上記追加する1工程を低減させ、フォトスペーサーを設けたカラーフィルタを廉価に製造することができる。
【0013】
図4に示すように、このカラーフィルタは、ガラス基板(50)上にブラックマトリックス(21)、着色画素(22)、積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたものである。この積層フォトスペーサー(SPs)の平面形状は、図3に示すフォトスペーサー(Ps)と同様にドット状である。
この他の一例として示す積層フォトスペーサー(SPs)は、ブラックマトリックス(21)上の第一色目の赤色ドットパターン(P1)と、第二色目の緑色ドットパターン(P2)と、第三色目の青色ドットパターン(P3)を積層した構成である。
【0014】
第一色目の赤色ドットパターン(P1)は、第一色目の赤色着色画素(22R)とは連続しておらず独立したパターンであるが、赤色着色画素(22R)の形成と同時に形成さ
れたものである。緑色ドットパターン(P2)及び青色ドットパターン(P3)も同様に独立したパターンであり、各々の着色画素の形成と同時に形成されたものである。従って、フォトスペーサーを形成するための前記追加工程は不要なものとなる。
【0015】
なお、図4において、着色画素(42)上に設けられる透明導電膜は省略してある。また、図4に示す積層フォトスペーサー(SPs)の高さとは、図4においてスペーサーとして機能する、積層フォトスペーサー(SPs)上面(青色ドットパターン(P3)上面)のガラス基板(50)上面からの高さ(T3)と、着色画素(22)上面のガラス基板(50)上面からの高さ(T4)との差(ΔT2)を指している。
【0016】
また、図5(a)、(b)は、図4に示すカラーフィルタ上の全面に保護層(オーバーコート層)(OC)を設けたカラーフィルタの例である。オーバーコート層(OC)は、例えば、着色画素(22)上面をより平坦にする際に、或いは、例えば、着色画素(22)や積層フォトスペーサー(SPs)を構成するドットパターン(P1〜P3)から溶出する成分が液晶の配向に影響することを防ぐ際に設けられる層である。
【0017】
図5に示す、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さとは、図5においてスペーサーとして機能する、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)上面(青色ドットパターン(P3)上のオーバーコート層上面)のガラス基板(50)上面からの高さ(T5)と、着色画素(22)上のオーバーコート層上面のガラス基板(50)上面からの高さ(T6)との差(ΔT3)を指している。
【0018】
図3に示す、フォトスペーサー(Ps)は、単層構造のフォトスペーサーであり、このフォトスペーサーを形成するための一工程で形成するので、所望する高さ(ΔT1)を有するフォトスペーサーを形成することは容易である。つまり、相応の誤差内にて狙いの高さ(ΔT1)を有するフォトスペーサーを製造することができる。
【0019】
一方、図4に示す、積層構造の積層フォトスペーサー(SPs)は、着色画素の形成と同時にドットパターン(P1〜P3)を形成する。各色の着色画素(22)は、いずれもガラス基板(50)上に形成されるが、これらドットパターンは、ブラックマトリックス(21)上、或いは前色のドットパターン(P1〜P2)上に順次に積層した状態で形成される。
【0020】
ブラックマトリックス(21)上、或いは前色のドットパターン(P1〜P2)上に形成されるドットパターン(P1〜P3)の膜厚は、同時にガラス基板(50)上に形成される着色画素(22)の膜厚とは同一にならない。
これは、一般に感光性樹脂などをドットパターン上に塗布膜として設けると、そのドットパターンの膜厚が厚いほどドットパターン上に設けられる塗布膜の膜厚は薄くなり、また、そのドットパターンの面積が小さいほどドットパターン上に設けられる塗布膜の膜厚は薄くなる、といった性向を有しているためである。
【0021】
ドットパターン(P1〜P3)の膜厚は、着色画素(22)の膜厚より薄いものとなる。また、下地の形状によって、着色画素の膜厚とドットパターンの膜厚との間には一定の関係が保たれている。つまり、ドットパターンの膜厚を任意な膜厚に形成することは困難である。
【0022】
積層フォトスペーサー(SPs)は、下地のブラックマトリックス、或いはドットパターンの形状に影響された一定の膜厚を有するドットパターン(P1〜P3)の積層であるために、積層フォトスペーサー(SPs)の高さ(ΔT2)には制約が伴う。つまり、狙いの高さ(ΔT2)を有する積層フォトスペーサー(SPs)を任意に形成することは困難であり、狙いの高さからのズレが生じ易い。
【0023】
積層フォトスペーサー(SPs)の高さを調整する手法としては、例えば、各色の着色画素(22R、22G、22B)の膜厚を変える手法が挙げられる。しかし、単に同一材料の着色フォトレジストで各色の着色画素の膜厚を変えると、得られた各色の着色画素の色度が変化するといった弊害が発生する。
【0024】
図5は、図4に示すカラーフィルタ上の全面にオーバーコート層(OC)が設けられたカラーフィルタの例であるが、このオーバーコート層(OC)は、ある一定の膜厚で設けられたものである。従って、このカラーフィルタにおける、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さ(ΔT3)にても、上記積層フォトスペーサー(SPs)におけると同様の制約、つまり、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さ(ΔT3)には、狙いからのズレが生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2000−89026号公報
【特許文献2】特開2008−90191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)を有するカラーフィルタの製造にて、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、狙いの高さに近づけて形成することができるカラーフィルタの製造方法を提供することを課題とするものである。
また、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、狙いの高さに近づけたカラーフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、及び該ブラックマトリックス上に積層フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタ上の全面にオーバーコート層が設けられたカラーフィルタの製造方法において、
1)前記積層フォトスペーサーの高さを、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さより予め高く形成しておき、
2)該高く形成しておいた積層フォトスペーサーの高さと、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さを基に、前記カラーフィルタ上の全面に設けるオーバーコート層の、着色画素上の膜厚を調整してオーバーコート層を設け、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、その狙いの高さに近づけた高さとすることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0028】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記調整は、積層フォトスペーサーの高さ毎に、着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚と、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さとの相関関係を予め求めておき、該相関関係により着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚を設定することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0029】
3また、本発明は、請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタの製造方法を用い製造したことを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、積層フォトスペーサーの高さを、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さより予め高く形成しておき、この高く形成しておいた積層フォトスペーサーの高さと、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さを基に、カラーフィルタ上の全面に設けるオーバーコート層の、着色画素上の膜厚を調整してオーバーコート層を設けるので、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、狙いの高さに近づけて形成することができるカラーフィルタの製造方法となる。
【0031】
また、本発明は、着色画素上の膜厚の調整は、積層フォトスペーサーの高さ毎に、着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚と、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さとの相関関係を予め求めておき、この相関関係により着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚を設定するので、オーバーコート層を設ける工程での条件出し時間を大幅に短縮することができるカラーフィルタの製造方法となる。
【0032】
また、本発明は、上記カラーフィルタの製造方法により製造したカラーフィルタであるので、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、狙いの高さに近づけたカラーフィルタとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】液晶表示装置用カラーフィルタの画素の一例を拡大して示す平面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタの画素のX−X線における断面図である。
【図3】(a)、(b)は、フォトスペーサーが設けられたカラーフィルタの一例の断面図及び平面図である。
【図4】(a)、(b)は、基本となるカラーフィルタに積層フォトスペーサーを設けたカラーフィルタの他の一例の断面図、平面図である。
【図5】図4に示すカラーフィルタ上の全面に保護層を設けたカラーフィルタの例である。
【図6】検証1で用いたカラーフィルタの部分断面図である。
【図7】検証1で用いたカラーフィルタの部分断面図である。
【図8】検証1で用いたカラーフィルタの部分断面図である。
【図9】緑色着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚と、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサーの高さの相関図である。
【図10】検証2で用いたカラーフィルタの部分断面図である。
【図11】検証2で用いたカラーフィルタの部分断面図である。
【図12】検証2で用いたカラーフィルタの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明を、その実施の形態に基づいて説明する。
ガラス基板上に、例えば、高さ5μm程度のドット状パターン(高さ5μm程度の凸部)が設けられた該ガラス基板上の全面に、例えば、フォトレジストを数10μm程度の膜厚で塗布した塗布膜を設けると、その塗布膜の上面は平坦になることが知られている。
本発明者は、高さ5μm程度の凸部が平坦化される過程にて、すなわち、塗布膜の膜厚を1μm、2μm、・・・と次第に厚くすることによって、当初高さ5μm程度の凸部を、任意の高さの凸部に意図して形成することが可能であろうという点、つまり、積層フォトスペーサーの高さを、任意の高さ有する、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)にすることが可能であろうという点に着目し本発明を達成するに至った。その挙動を精査し検証した。
<検証1>
【0035】
図6〜図8は、ガラス基板(50)上に、ブラックマトリックス(21)、着色画素(22)、該ブラックマトリックス(21)上に積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたカラーフィルタの部分断面図である。このカラーフィルタは実線で表している。後に設けられるオーバーコート層は説明上、点線で表している。
着色画素としては、緑色着色画素(22G)が示され、また、積層フォトスペーサーを構成する赤色ドットパターン(P1)は赤色着色画素(22R)の形成と同時に形成されたものであり、緑色ドットパターン(P2)及び青色ドットパターン(P3)も同様に各々の着色画素の形成と同時に形成されたものである。
【0036】
図6〜図8には、同一のカラーフィルタが示されている。すなわち、図6〜図8中、符号(ΔT11)で表される積層フォトスペーサー(SPs)の高さが同一の、略4.30μm程度の高さの積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたカラーフィルタが示されている。
【0037】
この3枚のカラーフィルタの全面にオーバーコート層を設けるのであるが、各々の緑色着色画素(22G)上に異なる膜厚のオーバーコート層を設けた際の、オーバーコート層の膜厚と、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さの関係を検証するものである。
ガラス基板(50)上に設けるオーバーコート層、緑色着色画素(22G)上に設けるオーバーコート層、及び積層フォトスペーサー(SPs)上に設けるオーバーコート層は点線で表している。
【0038】
図6及び表1に示すように、カラーフィルタの積層フォトスペーサー(SPs)の高さ(ΔT11)は略4.30μmである。この高さ略4.30μmの積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたカラーフィルタのガラス基板(50)上に、オーバーコート層の膜厚の基準として、膜厚(T12)=1.36μmの第1オーバーコート層(OC−1)を設定し、この膜厚1.36μmにて、上記カラーフィルタの全面に第1オーバーコート層(OC−1)を設けた。
【表1】

【0039】
緑色着色画素(22G)上には、ガラス基板(50)上の第1オーバーコート層(OC−1)の膜厚と同一膜厚(T13=1.36μm)、すなわち、乗り上げ率100%の第1オーバーコート層(OC−1)が設けられた。
また、積層フォトスペーサー(SPs)には、乗り上げ率17%、すなわち、T14=0.23μmの第1オーバーコート層(OC−1)が設けられた。
【0040】
これにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−1)の高さ(ΔT12)は3.24μmとなった。つまり、初期の積層フォトスペーサー(SPs)の高さ(ΔT11=4.30μm)は、緑色着色画素(22G)上に膜厚(T13=1.36μm)の第1オーバーコート層(OC−1)を設けることにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−1)の高さ(ΔT12)は3.24μmとなった。
【0041】
次に、図7及び表1に示すように、高さ略4.30μmの積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたカラーフィルタのガラス基板(50)上に、オーバーコート層の膜厚の基準として、膜厚(T22=1.51μm)の第2オーバーコート層(OC−2)を設定し、この膜厚1.51μmにて、上記カラーフィルタの全面に第2オーバーコート層(OC−2)を設けた。
【0042】
緑色着色画素(22G)上には、ガラス基板(50)上の第2オーバーコート層(OC−2)の膜厚と同一膜厚(T23=1.51μm)、すなわち、乗り上げ率100%の第2オーバーコート層(OC−2)が設けられた。
また、積層フォトスペーサー(SPs)には、乗り上げ率17%、すなわち、T24=0.25μmの第2オーバーコート層(OC−2)が設けられた。
【0043】
これにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−2)の高さ(ΔT22)は3.06μmとなった。つまり、初期の積層フォトスペーサー(SPs)の高さ(ΔT11=4.30μm)は、緑色着色画素(22G)上に膜厚(T23=1.51μm)の第2オーバーコート層(OC−2)を設けることにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−2)の高さ(ΔT22)は3.06μmとなった。
【0044】
次に、図8及び表1に示すように、高さ略4.30μmの積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたカラーフィルタのガラス基板(50)上に、オーバーコート層の膜厚の基準として、膜厚(T32=1.65μm)の第3オーバーコート層(OC−3)を設定し、この膜厚1.65μmにて、上記カラーフィルタの全面に第3オーバーコート層(OC−3)を設けた。
【0045】
緑色着色画素(22G)上には、ガラス基板(50)上の第3オーバーコート層(OC−3)の膜厚と同一膜厚(T33=1.65μm)、すなわち、乗り上げ率100%の第3オーバーコート層(OC−3)が設けられた。
また、積層フォトスペーサー(SPs)には、乗り上げ率17%、すなわち、T34=0.28μmの第3オーバーコート層(OC−3)が設けられた。
【0046】
これにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−3)の高さ(ΔT32)は2.86μmとなった。つまり、初期の積層フォトスペーサー(SPs)の高さ(ΔT11=4.30μm)は、緑色着色画素(22G)上に膜厚(T33=1.65μm)の第3オーバーコート層(OC−3)を設けることにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−3)の高さ(ΔT32)は2.86μmとなった。
【0047】
図6〜図8及び表1中の(c)欄と(e)欄を対比して明らかなように、積層フォトスペーサー(SPs)の高さ(ΔT11)が同一のカラーフィルタの緑色着色画素(22G)上に、異なる膜厚(T13〜T33)のオーバーコート層を設けることによって、得られるオーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー((O・SPs−1)〜(O・SPs−3))の高さ(ΔT12〜ΔT32)は異なったものとなる。
【0048】
緑色着色画素(22G)上に設けるオーバーコート層の膜厚(T13〜T33)が厚いほど、得られるオーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー((O・SPs−1)〜(O・SPs−3))の高さ(ΔT12〜ΔT32)は低いものとなる。
図9は、この関係を図化したものである。図9に示すように、緑色着色画素(22G)上に設けるオーバーコート層の膜厚と、得られるオーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さとは負の相関関係にあることが明確に示されている。
【0049】
すなわち、ある高さの積層フォトスペーサーに対し、着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚を調整することにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、その狙いの高さに近づけた高さにすることが可能となる。
<検証2>
【0050】
図10〜図12は、ガラス基板(50)上に、ブラックマトリックス(21)、着色画素(22)、該ブラックマトリックス(21)上に積層フォトスペーサー(SPs)が形成されたカラーフィルタの部分断面図である。このカラーフィルタは実線で表している。後に設けられるオーバーコート層は説明上、点線で表している。
着色画素としては、緑色着色画素(22G)が示され、また、積層フォトスペーサーを構成する赤色ドットパターン(P1a〜P1c)は赤色着色画素(22R)の形成と同時に形成されたものであり、緑色ドットパターン(P2a〜P2c)及び青色ドットパターン(P3a〜P3c)も同様に各々の着色画素の形成と同時に形成されたものである。
【0051】
図10〜図12には、高さの異なる積層フォトスペーサー(SPs)が形成された3種のカラーフィルタが示されている。すなわち、図10〜図12中、符号(ΔT41〜ΔT61)で表されるように、積層フォトスペーサーΔT41=4.57μm、ΔT51=4.43μm、ΔT61=4.05μmであり、各々異なる高さの積層フォトスペーサー((SPs−4)〜(SPs−6))が形成されたカラーフィルタが示されている。
【0052】
この3枚のカラーフィルタの全面にオーバーコート層を設けるのであるが、各々の緑色着色画素(22G)上に異なる膜厚のオーバーコート層を設け、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)にて、その高さを略同一の高さ(3.00μm)に形成することを検証するものである。つまり、高さの異なる積層フォトスペーサー(SPs)であっても、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)にては略同一の高さ(ΔT42≒ΔT52≒ΔT62≒3.00μm)にせんとするものである。
ガラス基板(50)上に設けるオーバーコート層、緑色着色画素(22G)上に設けるオーバーコート層、及び積層フォトスペーサー(SPs)上に設けるオーバーコート層は点線で表している。
【0053】
図10及び表2に示すように、カラーフィルタの積層フォトスペーサー(SPs−4)の高さ(ΔT41)は4.57μmである。この高さ4.57μmの積層フォトスペーサー(SPs−4)が形成されたカラーフィルタのガラス基板(50)上に、オーバーコート層の膜厚の基準として、膜厚(T72)=1.75μmの第4オーバーコート層(OC−4)を設定し、この膜厚1.75μmにて、上記カラーフィルタの全面に第4オーバーコート層(OC−4)を設けた。
【表2】

【0054】
緑色着色画素(22G)上には、ガラス基板(50)上の第4オーバーコート層(OC−4)の膜厚よりやや厚い膜厚(T73=1.87μm)、すなわち、乗り上げ率106.8%の第4オーバーコート層(OC−4)が設けられた。
また、積層フォトスペーサー(SPs−4)には、乗り上げ率18.4%、すなわち、T74=0.32μmの第4オーバーコート層(OC−4)が設けられた。
【0055】
これにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−4)の高さ(ΔT42)は3.02μmとなった。つまり、初期の積層フォトスペーサー(SPs−4)の高さ(ΔT41=4.57μm)は、緑色着色画素(22G)上に膜厚(T73=1.87μm)の第4オーバーコート層(OC−4)を設けることにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−4)の高さ(ΔT42)は3.02μmとなった。
【0056】
次に、図11及び表2に示すように、高さ4.43μmの積層フォトスペーサー(SPs−5)が形成されたカラーフィルタのガラス基板(50)上に、オーバーコート層の膜厚の基準として、膜厚(T82=1.60μm)の第5オーバーコート層(OC−5)を設定し、この膜厚1.60μmにて、上記カラーフィルタの全面に第5オーバーコート層(OC−5)を設けた。
【0057】
緑色着色画素(22G)上には、ガラス基板(50)上の第5オーバーコート層(OC−5)の膜厚よりやや厚い膜厚(T83=1.70μm)、すなわち、乗り上げ率106.2%の第5オーバーコート層(OC−5)が設けられた。
また、積層フォトスペーサー(SPs−5)には、乗り上げ率20.4%、すなわち、T84=0.33μmの第5オーバーコート層(OC−5)が設けられた。
【0058】
これにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−5)の高さ(ΔT52)は3.06μmとなった。つまり、初期の積層フォトスペーサー(SPs−5)の高さ(ΔT51=4.43μm)は、緑色着色画素(22G)上に膜厚(T83=1.70μm)の第5オーバーコート層(OC−5)を設けることにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−5)の高さ(ΔT52)は3.06μmとなった。
【0059】
次に、図12及び表2に示すように、高さ4.05μmの積層フォトスペーサー(SPs−6)が形成されたカラーフィルタのガラス基板(50)上に、オーバーコート層の膜厚の基準として、膜厚(T92=1.15μm)の第6オーバーコート層(OC−6)を設定し、この膜厚1.15μmにて、上記カラーフィルタの全面に第6オーバーコート層(OC−6)を設けた。
【0060】
緑色着色画素(22G)上には、ガラス基板(50)上の第6オーバーコート層(OC−6)の膜厚よりやや厚い膜厚(T93=1.20μm)、すなわち、乗り上げ率104.3%の第6オーバーコート層(OC−6)が設けられた。
また、積層フォトスペーサー(SPs−6)には、乗り上げ率27.0%、すなわち、T94=0.31μmの第6オーバーコート層(OC−6)が設けられた。
【0061】
これにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−6)の高さ(ΔT62)は3.04μmとなった。つまり、初期の積層フォトスペーサー(SPs−6)の高さ(ΔT61=4.05μm)は、緑色着色画素(22G)上に膜厚(T93=1.20μm)の第6オーバーコート層(OC−6)を設けることにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs−6)の高さ(ΔT62)は3.04μmとなった。
【0062】
図10〜図12及び表2中の(a)欄と(c)欄と(e)欄を対比して明らかなように、積層フォトスペーサー(SPs)の高さが異なる(ΔT41〜ΔT61)カラーフィル
タの緑色着色画素(22G)上に、異なる膜厚(T73〜T93)のオーバーコート層を設けることによって、得られるオーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー((O・SPs−4)〜(O・SPs−6))の高さ(ΔT42〜ΔT62)は、各々3.02、3.06、3.04μmといった略同一の高さのものが得られた。
【0063】
すなわち、異なる高さの積層フォトスペーサーにおいて、、着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚を調整することにより、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、各々同一の狙いの高さに近づけた高さにすることが可能となる。
【0064】
なお、本発明において、積層フォトスペーサー(SPs)の高さを、予めオーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さより高く形成しておく手法としては、例えば、現状の標準となる着色フォトレジストの顔料濃度を下げ、着色画素の膜厚を高く形成することにより着色画素の色度を保つといった手法が考えられる。
【0065】
これにより、この着色フォトレジストは、多くの品目に共通に適用でき、また、着色画素の膜厚の高さに付随する積層フォトスペーサー(SPs)の高さを、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さより、常に高く形成しておくことが容易になる。
【符号の説明】
【0066】
21・・・ブラックマトリックス
22・・・着色画素
23・・・透明導電膜
50・・・ガラス基板
OC・・・オーバーコート層
O・SPs・・・オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー
P1・・・第一色目の赤色ドットパターン
P2・・・第二色目の緑色ドットパターン
P3・・・第三色目の青色ドットパターン
Ps・・・フォトスペーサー
SPs・・・積層フォトスペーサー
ΔT1・・・フォトスペーサーの高さ
ΔT2・・・積層フォトスペーサーの高さ
ΔT3・・・オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサーの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、及び該ブラックマトリックス上に積層フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタ上の全面にオーバーコート層が設けられたカラーフィルタの製造方法において、
1)前記積層フォトスペーサーの高さを、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さより予め高く形成しておき、
2)該高く形成しておいた積層フォトスペーサーの高さと、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の狙いの高さを基に、前記カラーフィルタ上の全面に設けるオーバーコート層の、着色画素上の膜厚を調整してオーバーコート層を設け、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さを、その狙いの高さに近づけた高さとすることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記調整は、積層フォトスペーサーの高さ毎に、着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚と、オーバーコート層が設けられた積層フォトスペーサー(O・SPs)の高さとの相関関係を予め求めておき、該相関関係により着色画素上に設けるオーバーコート層の膜厚を設定することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタの製造方法を用い製造したことを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−227275(P2011−227275A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96714(P2010−96714)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】