説明

カラーフィルター基板、電気光学装置および電子機器

【課題】厚いカラーフィルター層を設けた場合でも、混色の発生を防止することのできるカラーフィルター基板、該カラーフィルター基板を備えた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置の対向基板20では、透光層291と金属系の遮光層292とが積層された遮光性の突部29により区画された領域にカラーフィルター層28が設けられている。透光層291の側面291aは、透光層291とカラーフィルター層28との屈折率差により反射面291eを構成しているため、カラーフィルター層28に斜め方向から光が入射しても、かかる光は反射面291eで反射され、隣の画素100aに進行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター基板、該カラーフィルター基板を備えた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の電気光学装置においてカラー画像を表示する場合、対向基板として、透光性基板の一方面側にカラーフィルター層を設けたカラーフィルター基板が用いられる。また、有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置においても、カラーフィルター基板が用いられることがある。かかるカラーフィルター基板においては、互いに隣接する画素(サブピクセル)間での混色を防止することを目的に、図8(a)に示すように、いわゆるブラックマトリクスあるいはブラックストライプと称せられる遮光性の突部29tを画素間に設け、遮光性の突部29tで区画された領域内にカラーフィルター層28が設けられる。
【0003】
かかるカラーフィルター基板において、カラーフィルター層28の色度を高めるにはカラーフィルター層28を厚く形成する必要があり、その場合、遮光性の突部29tも厚く形成する必要がある。しかしながら、金属膜をスパッタ法により成膜して厚い遮光性の突部29tを形成する場合、成膜に多大な時間を必要とする。そこで、黒色感光性樹脂層を用いて遮光性の突部29tを形成することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−270431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、黒色感光性樹脂層の場合、露光精度が低いため、表示の高精細化を図ることを目的に画素が微細化されている場合、微細化に対応できる遮光性の突部29tを黒色感光性樹脂層により形成することが困難である。
【0006】
ここに本願発明者は、図8(b)に示すように、CVD法や塗布等により形成される透光層291sと、透光層291sの上層に積層した金属や金属化合物等からなる金属系の遮光層292sとによって、遮光性の突部29sを形成し、かかる遮光性の突部29sにより区画された領域内にカラーフィルター層28を設けることを検討している。かかる構成によれば、透光層291sをCVD法や塗布法等により形成することができるので、厚い遮光性の突部29sを効率よく形成することができる。また、金属酸化物層であれば、黒色感光性樹脂層と違って、フォトリソグラフィー技術により精度よく形成することができ、透光性の感光性樹脂層であれば、黒色感光性樹脂層と違って、精度よく露光することができるので、画素の微細化に対応することができる。なお、図8(b)に示す構成は、本願発明との対比のために開示した参考例であり、従来技術ではない。
【0007】
しかしながら、図8(b)に示す構成の場合、遮光性の突部29sの下層側に透光層291sが存在するため、矢印L0で示すように斜めに進行した光が、隣接するカラーフィルター層28を通過するため、混色が発生するという問題点がある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、厚いカラーフィルター層を設けた場合でも、混色の発生を防止することのできるカラーフィルター基板、該カラーフィルター基板を備えた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るカラーフィルター基板は、透光性基板の一方面側に、複数の画素を色毎に区画する突部と、該突部により区画された領域に設けられたカラーフィルター層と、を有し、前記突部は、反射面を構成する側面を備えた透光層と、該透光層に対して前記透光性基板とは反対側に積層された遮光層と、を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明において、カラーフィルター基板では、透光性基板の一方面側に、複数の画素を色毎に区画する突部が設けられており、かかる突部により区画された領域にカラーフィルター層が設けられている。ここで、突部は、透光層と遮光層とが積層された構造になっており、かかる構成であれば、黒色感光性樹脂層によって突部全体を形成する場合と違って、厚いカラーフィルター層を設けことを目的に突部を厚く形成する場合でも、突起を微細な構造に形成することができる。また、本発明では、透光層の側面は反射面を構成しているため、斜め方向から入射した光については、隣の画素に進行させない。それ故、突部を透光層と遮光層との積層構造とした場合でも、混色が発生しない。よって、画素が微細化された場合でも、混色を発生させずにカラーフィルター層を厚く形成することができる。
【0011】
本発明において、前記透光層は、前記カラーフィルター層と異なる屈折率を備え、前記透光層の側面は、前記透光層と前記カラーフィルター層との屈折率差により前記反射面を構成している構成を採用することができる。かかる構成によれば、透光層およびカラーフィルター層を構成する材料の組み合わせを最適化するだけで、側面が反射面を構成する透光層を構成することができる。
【0012】
この場合、前記透光層と前記カラーフィルター層との屈折率の差は、0.5以上であることが好ましい。かかる構成によれば、透光層の側面を反射率の高い反射面とすることができる。
【0013】
本発明において、前記透光層の側面は、当該側面に前記遮光層が積層されていることによって前記反射面を構成している構成を採用してもよい。
【0014】
この場合、前記透光層は、第1帯状透光層と、該第1帯状透光層に並列する第2帯状透光層と、を備え、前記第1帯状透光層の両側面のうち、前記第2帯状透光層側に向く側面に前記遮光層が積層されていることにより前記反射面が構成され、前記第2帯状透光層の両側面のうち、前記第1帯状透光層側に向く側面に前記遮光層が積層されていることにより前記反射面が構成されている構成を採用することができる。
【0015】
本発明に係るカラーフィルター基板は、液晶装置に用いることができ、この場合、液晶装置は、例えば、本発明に係るカラーフィルター基板を含む対向基板と、画素トランジスターおよび画素電極が形成された素子基板との間に液晶層を保持している構成を有している。
【0016】
本発明に係る電気光学装置は、小型カメラ等の電子機器において表示部を構成するのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した液晶装置の液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた素子基板において隣り合う複数の画素の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る液晶装置100のF−F′断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る液晶装置の対向基板(カラーフィルター基板)の構成を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る液晶装置の対向基板(カラーフィルター基板)の構成を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明を適用した液晶装置を用いた電子機器の説明図である。
【図8】参考例に係る遮光性突部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明では、各種電気光学装置のうち、液晶装置に本発明を適用した場合を中心に説明する。また、以下の説明では、液晶装置に用いる素子基板および対向基板のうち、対向基板を、本発明を適用したカラーフィルター基板として構成する場合を中心に説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0019】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、液晶装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを有しており、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6a(画像信号線)および複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスターからなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0020】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0021】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、複数の画素100aに跨って走査線3aと並行して延びた容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通している。
【0022】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の構成)
図2は、本発明を適用した液晶装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0023】
図2に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。
【0024】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0025】
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0026】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、対向基板20と対向する一方面10sの側において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0027】
また、素子基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。また、ダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
【0028】
対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
【0029】
また、対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光性の突部29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。本形態において、遮光性の突部29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されている。また、本形態において、遮光性の突部29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0030】
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極部25tが形成されており、素子基板10の一方面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極部25t)と対向する位置に基板間導通用電極部6tが形成されている。基板間導通用電極部6tは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通しており、定電位配線6sは、端子102のうち、共通電位印加用の端子102aに導通している。基板間導通用電極部6tと基板間導通用電極部25tとの間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極部6t、基板間導通材109および基板間導通用電極部25tを介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極部6t、25tを避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0031】
かかる構成の液晶装置100において、本形態では、画素電極9aおよび共通電極21がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されており、液晶装置100は透過型の液晶装置である。かかる透過型の液晶装置100では、素子基板10および対向基板20のうち、例えば、矢印Lで示すように、対向基板20の側から入射した光が素子基板10を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0032】
本形態の液晶装置100は、小型カメラ、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いられる。このため、本形態の液晶装置100では、対向基板20あるいは素子基板10のうちの一方は、後述するカラーフィルター層28が形成されたカラーフィルター基板としての機能も有する。本形態においては、対向基板20および素子基板10のうち、対向基板20において、遮光性の突部29のブラックマトリクス部29bで区画された領域に各色のカラーフィルター層28が形成されている。なお、液晶装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。
【0033】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置100に用いた素子基板10において隣り合う複数の画素の平面図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置100のF−F′断面図である。なお、図3では、各層を以下の線
遮光層8a=太い一点鎖線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b、6c=細い一点鎖線
容量線5b=細くて長い破線
定電位線7aおよび中継電極7b=細い二点鎖線
画素電極9a=太くて長い破線
で示してある。なお、素子基板10では、誘電体層40およびエッチングストッパー層49の図示は省略してある。
【0034】
図3および図4に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して画素トランジスター30が形成されており、本形態において、画素トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差およびその付近を利用して形成されている。素子基板10には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0035】
図4に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されている。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光性の突部29、カラーフィルター層28、共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0036】
素子基板10において、基板本体10wの一方面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、液晶装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して画素トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。また、遮光層8aは、走査線3aと重なるように延在しており、遮光層8aと走査線3aとは画像表示領域10aの外側等で電気的に接続されている。このため、遮光層8aも走査線として機能する。
【0037】
基板本体10wの一方面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG (ボロンリンシリケートガラス)等のシリコン酸化膜(シリケートガラスも含む。)や、シリコン窒化膜からなる。かかる絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、2塩化シラン(SiCl22)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC254)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法等により形成される。
【0038】
画素トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。また、画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
【0039】
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0040】
ゲート電極3cの上層側には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。本形態において、層間絶縁膜41は、シリコン酸化膜からなる。ドレイン電極4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ドレイン電極4aはチタン窒化膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1cに導通している。
【0041】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性のエッチングストッパー層49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5bは、チタン窒化膜、アルミニウム膜、およびチタン窒化膜との3層構造を有している。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0042】
容量線5bの上層側には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6b、6cとが同一の導電膜により形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6aと中継電極6b、6cは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aおよび中継電極6b、6cは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42およびエッチングストッパー層49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。中継電極6cは、層間絶縁膜42を貫通するコンタクトホール42cを介してドレイン電極4aに導通している。
【0043】
データ線6aおよび中継電極6b、6cの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、定電位線7aおよび中継電極7bが形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。定電位線7aおよび中継電極7bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、定電位線7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。定電位線7aは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44bを介して中継電極6cに導通しており、その結果、定電位線7aは、中継電極6cを介して容量線5bに導通している。ここで、定電位線7aは、データ線6aと重なるように延在しており、シールド層および遮光層として機能しているとともに、容量線5bと同様、共通電位Vcomを供給する容量線としても機能している。
【0044】
定電位線7aおよび中継電極7bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側には、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透光性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、表面は平坦化されている。
【0045】
画素電極9aは、中継電極7bと部分的に重なっており、層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。
【0046】
画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。配向膜16は、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。配向膜16と画素電極9aとの層間にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の透光性の保護膜が形成され、かかる保護膜によって、画素電極9aの間に形成された凹部が埋められている構造を採用することもある。かかる構成によれば、配向膜16を平坦面に形成することができる。
【0047】
(対向基板20(カラーフィルター基板)の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)には、遮光性の突部29、シリコン酸化膜等からなる保護膜27、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように配向膜26が形成されている。また、基板本体20wの一方面20sには、突部29で区画された領域に各色のカラーフィルター層28が形成されている。配向膜26は、配向膜16と同様、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜26は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0048】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図4に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0049】
(カラーフィルター層28および遮光性の突部29の詳細構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置100の対向基板20(カラーフィルター基板)の構成を模式的に示す説明図であり、図5(a)、(b)は、対向基板20の平面構成を模式的に示す説明図、および断面構成を模式的に示す説明図である。
【0050】
図5に示すように、対向基板20において基板本体20wの一方面20sでは、素子基板10の画素間領域10fと重なる領域に、遮光性の突部29のブラックマトリクス部29bが形成されており、かかる突部29に区画された領域に各色のカラーフィルター層28が設けられている。本形態において、カラーフィルター層28は、突部29の厚さ寸法(高さ寸法)と略同一の厚さ寸法をもって形成されており、カラーフィルター層28の表面と突部29の表面は、略連続した平坦面を構成している。また、対向基板20では、カラーフィルター層28の表面には、無機材料あるいは有機材料からなる透光性の保護膜27が形成され、かかる保護膜27の表面には共通電極21および配向膜26がこの順に形成されている。
【0051】
本形態において、カラーフィルター層28は、X方向に沿って、赤色(R)のカラーフィルター層28(R)、緑(G)のカラーフィルター層28(G)、青色(B)のカラーフィルター層28(B)がこの順に繰り返し形成されている。このため、突部29において、Y方向に延在する部分は、複数の画素100aを色毎に区画している。なお、本形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルター層28が各々、Y方向に並ぶストライプ配列が採用されており、突部29において、X方向に延在する部分は、同一の色に対応する画素100aの間も区画している。
【0052】
このように構成した対向基板20において、カラーフィルター層28は、樹脂材料中に色材が分散してなる。かかるカラーフィルター層28を形成するにあたっては、インクジェット方式によって液状カラーフィルター材料を所定領域に吐出して形成する方法を採用することができる。また、スピンコート法で液状カラーフィルター材料を塗布した後、硬化させ、しかる後に、硬化した膜をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を利用して所定領域から除去してカラーフィルター層28を形成する方法を採用することができる。また、スピンコート法で感光性の液状カラーフィルター材料を塗布した後、露光、現像してカラーフィルター層28を形成する方法を採用することができる。これらいずれの方法を採用した場合も、カラーフィルター層28は、アクリル樹脂等の樹脂材料が主成分であるため、その屈折率は、1.49程度である。
【0053】
かかるカラーフィルター層28の色度を高めるにはカラーフィルター層28を厚く形成する必要があり、そのため、本形態では、突部29も厚く形成されている。かかる突部29を構成するにあたって、本形態では、透光層291と、透光層291の平坦な表面上に積層された金属系の遮光層292とを備えた二層構造が採用されている。ここで、透光層291は、CVD法や塗布法等により形成された金属酸化物層や、塗布法により形成された透光性の感光性樹脂層からなる。金属系の遮光層292は、金属や金属化合物等からなる。
【0054】
より具体的には、本形態において、遮光層292は、例えば、タングステンシリサイド膜、アルミニウム合金膜、あるいはアルミニウム層とアルミニウム膜とチタン窒化膜との積層膜等からなる。
【0055】
透光層291は、CVD法等により形成されたチタン酸化膜(TiO2/屈折率=2.5)、ジルコニウム酸化膜(ZrO/屈折率=2.4)、アルミニウム酸化膜(Al23/屈折率=1.7)、あるいはシリコン窒化膜(SiN/屈折率=1.8)等であり、カラーフィルター層28と屈折率が相違している。このため、透光層291の側面291aは、透光層291の屈折率とカラーフィルター層28の屈折率との差に起因する反射面291eを構成している。本形態において、側面291aは斜め上向きの斜面(基板本体10wが位置する側とは反対側に向いた斜面)になっており、反射面291eも斜め上向きの斜面になっている。
【0056】
かかる構成の突部29を形成するには、例えば、透光層291を構成する透光膜をCVD法により形成した後、遮光層292を構成する遮光膜をスパッタ法等により形成し、しかる後に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて遮光膜および透光膜を一括してパターニングし、透光層291の上層に遮光層292が積層された遮光性の突部29を形成する。なお、透光層291をパターニング形成した後、遮光層292をパターニング形成して、透光層291の上層に遮光層292が積層された遮光性の突部29を形成してもよい。このようにして、突部29を形成した後、突部29により区画形成された領域に各色のカラーフィルター層28を順次形成する。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の液晶装置100に用いた対向基板20(カラーフィルター基板)では、透光性の基板本体20wの一方面20s側に、複数の画素100aを色毎に区画する遮光性の突部29が設けられており、かかる遮光性の突部29により区画された領域にカラーフィルター層28が設けられている。ここで、遮光性の突部29は、透光層291と金属系の遮光層292とが積層された構造になっているため、カラーフィルター層28を厚く形成することを目的に突部29を厚くした場合でも、スパッタ法等の成膜速度が遅い成膜方法で形成する金属系の遮光層292については薄く済む。これに対して、透光層291については、CVD法により形成される金属酸化物層を利用でき、CVD法であれば、スパッタ法等に比較しての成膜速度が速い。従って、厚い遮光性の突部29であっても効率よく形成することができる。
【0058】
また、透光層291を形成する際、CVD法等により形成される金属酸化物層であれば、黒色感光性樹脂層と違って、フォトリソグラフィー技術により精度よく形成することができるので、画素100aの微細化に対応することができる。
【0059】
さらに、透光層291の側面291aは反射面291eを構成しているので、図5(b)に矢印L1で示すように、斜め方向から光が入射しても、かかる光は反射面291eで反射される。従って、斜め方向から光が入射しても隣の画素100aに進行しにくい。それ故、突部29を透光層291と金属系の遮光層292との積層構造とした場合でも、混色が発生しにくい。よって、画素100aが微細化された場合でも、混色を発生させずにカラーフィルター層28および突部29を厚く形成することができる。
【0060】
また、反射面291eは、斜め上向きの斜面(基板本体10wが位置する側とは反対側に向いた斜面)になっているため、斜め方向から反射面291eに到達した光を基板本体10wの法線方向に進行する光とすることができる。それ故、表示の高精細化に寄与することができる。
【0061】
また、本形態において、透光層291の側面291aは、透光層291とカラーフィルター層28との屈折率差により反射面291eを構成している。このため、透光層291およびカラーフィルター層28を構成する材料の組み合わせを最適化するだけで、側面291aが反射面291eを構成する透光層291を構成することができる。
【0062】
ここで、屈折率がn0の媒体から屈折率がn1の媒体に光が入射する際の反射率は、以下の式
(n1−n02/(n1+n02
で表される。従って、反射面291eでの反射率を高めるという観点からすれば、透光層291とカラーフィルター層28との屈折率の差は、大きいことが好ましく、0.3以上、好ましくは0.5以上であることが好ましい。かかる構成を実現するには、例えば、透光層291には、チタン酸化膜(屈折率=2.5)やジルコニウム酸化膜(屈折率=2.4)等の高屈折率材料を用いればよい。
【0063】
なお、本形態では、透光層291を構成する材料として、CVD法等により形成された金属酸化膜を例示したが、チタン酸化物やジルコニウム酸化物等の高屈折率材料を分散させることにより、屈折率を高めた樹脂材料を用いてもよい。かかる樹脂材料によれば、塗布法によって、透光層291を形成することができる。
【0064】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る液晶装置100の対向基板20(カラーフィルター基板)の構成を模式的に示す説明図であり、図6(a)、(b)は、対向基板20の平面構成を示す説明図、および断面構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、対向基板20において基板本体20wの一方面20sでは、素子基板10の画素間領域10fと重なる領域に、遮光性の突部29のブラックマトリクス部29bが形成されており、かかる突部29に区画された領域に各色のカラーフィルター層28が設けられている。本形態において、カラーフィルター層28は、突部29の厚さ寸法(高さ寸法)と略同一の厚さ寸法をもって形成されており、カラーフィルター層28の表面と突部29の表面は、略連続した平坦面を構成している。また、対向基板20では、カラーフィルター層28の表面には、無機材料あるいは有機材料からなる透光性の保護膜27が形成され、かかる保護膜27の表面には共通電極21および配向膜26がこの順に形成されている。
【0066】
本形態でも、カラーフィルター層28の色度を高めるにはカラーフィルター層28を厚く形成する必要があり、そのため、突部29も厚く形成されている。かかる突部29を構成するにあたって、本形態では、CVD法や塗布法等により形成された透光層291と、透光層291の上層側に積層された金属や金属化合物等からなる金属系の遮光層292とによって、遮光性の突部29が構成されている。
【0067】
本形態において、遮光層292は、例えば、タングステンシリサイド膜、アルミニウム合金膜、あるいはアルミニウム層とアルミニウム膜とチタン窒化膜との積層膜等からなる。透光層291は、基板本体20wに塗布された透光性の感光性樹脂を露光、現像してなる透光性樹脂層からなる。
【0068】
ここで、透光層291は、第1帯状透光層291gと、第1帯状透光層291gに並列する第2帯状透光層291hとを備えている。また、第1帯状透光層291gの両側面のうち、第2帯状透光層291h側に向く側面291i(内側の側面)は、遮光層292が積層されていることにより反射面291eを構成している。また、第2帯状透光層291hの両側面のうち、第1帯状透光層291g側に向く側面291jは、遮光層292が積層されていることにより反射面291eを構成している。側面291i、291jはいずれも上向きの斜面からなるため、反射面291eは斜め下向きの斜面になっている。
【0069】
かかる構成の突部29を形成するには、まず、基板本体20wに塗布された透光性の感光性樹脂を露光、現像して透光層291(第1帯状透光層291gおよび第2帯状透光層291h)を形成する。次に、遮光層292を構成する遮光膜をスパッタ法等により形成した後、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて遮光膜をパターニングし、透光層291の上層に遮光層292が積層された突部29を形成する。このようにして、突部29を形成した後、突部29により区画形成された領域に各色のカラーフィルター層28を順次形成する。その際、第1帯状透光層291gと第2帯状透光層291hとの間にカラーフィルター層28を充填すれば、余計な凹凸の発生を防止することができる。
【0070】
以上説明したように、本形態の液晶装置100に用いた対向基板20(カラーフィルター基板)でも、実施の形態1と同様、透光性の基板本体20wの一方面20s側に、複数の画素100aを色毎に区画する遮光性の突部29が設けられており、かかる突部29により区画された領域にカラーフィルター層28が設けられている。ここで、突部29は、透光層291と金属系の遮光層292とが積層された構造になっているため、カラーフィルター層28を厚く形成することを目的に突部29を厚くした場合でも、スパッタ法等の成膜速度が遅い成膜方法で形成する金属系の遮光層292については薄く済む。これに対して、透光層291については、塗布法より形成される透光性樹脂層を利用でき、スパッタ法等に比較しての成膜速度が速い。従って、厚い突部29であっても効率よく形成することができる。
【0071】
また、透光層291を形成する際、透光性の感光性樹脂層を用いるので、黒色感光性樹脂層と違って、フォトリソグラフィー技術により精度よく形成することができる。それ故、画素100aの微細化に対応することができる。
【0072】
さらに、透光層291の側面291i、291jは反射面291eを構成しているので、図6(b)に矢印L1で示すように、斜め方向から光が入射しても、かかる光は反射面291eで反射される。従って、斜め方向から光が入射しても隣の画素100aに進行しない。それ故、突部29を透光層291と遮光層292との積層構造とした場合でも、混色が発生しない。よって、画素100aが微細化された場合でも、混色を発生させずにカラーフィルター層28を厚く形成することができる。
【0073】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、液晶装置100の対向基板20にカラーフィルター層28を設ける場合を例示したが、素子基板10にカラーフィルター層28を設ける場合に本発明を適用してもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、液晶装置用の基板にカラーフィルター層28を設ける場合に本発明を適用したが、有機エレクトロルミネッセンス装置等、他の電気光学装置用の基板にカラーフィルター層28を設ける場合に本発明を適用してもよい。
【0075】
[電子機器への搭載例]
図7は、本発明を適用した液晶装置100を用いた電子機器の説明図である。図7(a)に示すデジタルカメラ1000において、略直方体の形状を有するケース1020の背面中央には、本発明を適用した液晶装置100からなるモニターが設けられ、ケース1020の上面にはシャッタボタン1060等が設けられている。また、ケース1020表面側に向けては、光学レンズやCCD(Charge Coupled Device)等を含んだ受光ユニット1040が設けられている。図7(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、スクロールボタン3002、および表示ユニットとしての液晶装置100を備えている。図7(c)に示す情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、電源スイッチ4002、および表示ユニットとしての液晶装置100を備えている。なお、液晶装置100が用いられる電子機器としては、図7に示すものの他、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として液晶装置100が用いられる。
【符号の説明】
【0076】
9a・・画素電極、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、28・・カラーフィルター層、20・・対向基板、21・・共通電極、29・・遮光性の突部、291・・透光層、291a、291i、291j・・側面、291e・・反射面、291g・・第1帯状透光層、291h・・第2帯状透光層、292・・金属系の遮光層、30・・画素トランジスター、50・・液晶層、100・・液晶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板の一方面側に、複数の画素を色毎に区画する突部と、該突部により区画された領域に設けられたカラーフィルター層と、を有し、
前記突部は、反射面を構成する側面を備えた透光層と、該透光層に対して前記透光性基板とは反対側に積層された遮光層と、を有していることを特徴とするカラーフィルター基板。
【請求項2】
前記透光層は、前記カラーフィルター層と異なる屈折率を備え、
前記透光層の側面は、前記透光層と前記カラーフィルター層との屈折率差により前記反射面を構成していることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター基板。
【請求項3】
前記透光層と前記カラーフィルター層との屈折率の差は、0.5以上であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルター基板。
【請求項4】
前記透光層の側面は、当該側面に前記遮光層が積層されていることによって前記反射面を構成していることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター基板。
【請求項5】
前記透光層は、第1帯状透光層と、該第1帯状透光層に並列する第2帯状透光層と、を備え、
前記第1帯状透光層の両側面のうち、前記第2帯状透光層側に向く側面に前記遮光層が積層されていることにより前記反射面が構成され、
前記第2帯状透光層の両側面のうち、前記第1帯状透光層側に向く側面に前記遮光層が積層されていることにより前記反射面が構成されていることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルター基板。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のカラーフィルター基板を含む対向基板と、画素トランジスターおよび画素電極が形成された素子基板との間に液晶層を保持していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226032(P2012−226032A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91800(P2011−91800)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】