説明

カラーフィルタ及びその製造方法

【目的】 生産効率(歩留り)の向上を図ることのできるカラーフィルタ及びその製造方法を提供する。
【構成】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層及び平坦膜を形成してカラーフィルタを形成する。この際、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部が位置するように、これらを形成する。例えば、色素層形成後の基板上に、基板周縁部を避けて平坦膜を形成した後、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層をエッチングにより除去して、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部が位置するようにする。さらに、平坦膜の周縁部の断面形状が傾斜するように平坦膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラーフィルタ及びその製造方法に関し、特に、生産効率の向上を図ることのできるカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶テレビ、ラップトップパソコン、ノート型パソコン等のディスプレイに用いられるカラー液晶ディスプレイには、絶縁性基板上に色素層を平面的に分離配置して形成したカラーフィルタが使用されており、このカラー液晶ディスプレイとしては、従来、図6に示す構成のものが知られている。図6に示すカラー液晶ディスプレイは、カラーフィルタ基板10と駆動用基板20の間に液晶30を封入し、接着剤(封止材)40で封止した構成としてある。カラーフィルタ基板10は、ガラス基板1上に三原色(R,G,B)の色素層5をそれぞれ形成するとともに、各色素層間に洩れ光によるコントラストや色純度の低下を防止する役割を果たすブラックマトリックス2を設け、これをトップコート材(平坦膜)6で平滑化し、その上面に透明電極7を設けたものである。駆動用基板20は、ガラス基板21上に駆動用透明電極22(TFT、MIN又はデューティ駆動用ITO素子)を形成したものである。
【0003】カラーフィルタの色素層は、通常、印刷機を用いてガラス基板上にRGB三原色のインキを印刷する印刷法、顔料を分散させた紫外線硬化型レジストをガラス基板上に塗布し、フォトリソグラフィ法によるマスク露光及び熱硬化をRGB三回繰返し色素層を形成する分散法、ゼラチン上に染色防止膜としてレジストをフォトリソグラフィ法により形成し、染料でRGBの各色毎に染色する染色法、電着ポリマーと顔料を分散させ、基板上に形成された電極を利用して電着塗装を行なう電着法、界面活性剤と顔料を分散させ、基板上に形成された電極を利用して電解を行なうミセル電解法が知られている。
【0004】このうち、ミセル電解法によってカラーフィルタを製造する場合にあっては、図7及び図8に示すように二通りのカラーフィルタ構造が知られている(特開平3−102302号,特願平2−23080号)。図7に示すカラーフィルタ(特開平3−102302号)は、TFT用のカラーフィルタであり、ガラスなどの絶縁性透明基板1に、金属クロム等によるブラックマトリックス2、シリカあるいはアクリル樹脂などの絶縁膜3、インジウム、スズの酸化物(ITO)などの膜をパターン化した色素層形成用電極4を順次積層し、さらに、黒顔料とアクリル樹脂あるいはアクリル樹脂からなる電極取出層10を形成後、ミセル電解法でRGB三原色の顔料を製膜して色素層5を形成し、アクリル樹脂やシロキサン樹脂などを主剤として含むトップコート剤で平坦膜6を形成し、再びインジウム、スズの酸化物(ITO)等の透明電極7を一面に積層した構造としてある。
【0005】また、図8に示すカラーフィルタ(特願平2−23080号)は、MIM又はSTN用のカラーフィルタであり、ガラスなどの絶縁性透明基板1に、インジウム、スズの酸化物(ITO)などの膜をパターン化した色素層形成用透明電極4、黒顔料とアクリル樹脂からなるブラックマトリックス2及び電極取出部10とを同一平面上に形成し、さらにミセル電解法でRGB三原色の顔料を製膜して色素層5を形成し、アクリル樹脂やシロキサン樹脂などを主剤として含むトップコート剤で平坦膜6を形成し、再びインジウム、スズの酸化物(ITO)の薄膜をパターン化した透明電極7を積層した構造としてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の二種類のカラーフィルタ構造のいずれにおいても、色素層形成用透明電極と色素層及び平坦膜がカラーフィルタ基板全面に存在するので、種々の問題が発生する。
【0007】まず、カラーフィルタの画素部の周辺部において、色素形成用透明電極及び色素層と、下地基板との段差(色素形成用電極及び色素層の存在による凸部と、これらが存在しない部分の凹部との段差)が生じるため、カラーフィルタと駆動用基板とを接着剤を用いて張り合わせて、液晶ディスプレイの組み立てる際に、接着が不十分となり、カラーフィルタと駆動用基板のギャップ制御や液晶封入に大きな障害が起こるという問題がある。
【0008】さらに、液晶駆動用透明電極の導通検査として、カラーフィルタの画素部の周辺部においてプローブ検査を行なうことが一般的であるが、液晶駆動用電極の下層の平坦膜が樹脂層であるため硬度が低いことと、主に製造工程に必要な熱処理による熱膨張及び収縮率の違いにより、無機質(ITO)層からなる液晶駆動用透明電極と樹脂層からなる平坦膜とのなじみが悪く、接着性が良くないことのため、検査時にプローブが液晶駆動用透明電極を破壊し、正常な検査ができないという問題がある。
【0009】なお、画素部周辺部に平坦膜の周縁を形成したカラーフィルタ基板の製造方法(特開平3−129302号,特開昭63−289532号,特開昭62−163017号等)が提案されているが、これらの方法は、ミセル電解法を用いるカラーフィルタに関するものでなく、したがって画素部周辺部にも色素形成用透明電極と色素層が存在するミセル電解法によるカラーフィルタにはそのまま適用できないという問題がある。
【0010】また、上記画素部周縁部に形成した平坦膜の周縁部の断面形状が矩形であると、平坦膜上に積層する液晶駆動用透明電極に歪が生じ、断線を起こし易くなる。上記特開昭62−163017号には、画素部周辺部に形成した平坦膜の周縁部の膜厚を漸次低減する(傾斜をもたせる)形状にして、平坦膜に積層した液晶駆動用透明電極の断線を軽減する方法が開示されている。しかし、特開昭62−163017号に開示の方法は、ミセル電解法を用いるカラーフィルタに関するものではないため、この方法をそのままミセル電解法によるカラーフィルタには適用できないという問題がある。
【0011】さらに、特開昭62−163017号に開示の方法においては、平坦膜をネガ型の感光性樹脂を用いフォトリソグラフィ法における現像条件を制御することによって形成しているが、ネガ型の感光性樹脂を使用しているので、現像時に感光性樹脂塗膜の膨潤がおこり、このため現像条件の制御だけでは、平坦膜の周縁部に膜厚の傾斜をもたせることが難しいという問題がある。
【0012】本発明は上述した問題点にかんがみてなされたものであり、カラーフィルタ基板と駆動用電極基板との接着性が十分であるとともにプローブ検査時に液晶駆動用電極が破壊することがなく、したがって、生産効率(歩留り)の向上を図ることのできるカラーフィルタ及びその製造方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のカラーフィルタは、絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層及び平坦膜を形成してなるカラーフィルタにおいて、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部を位置せしめた構成、あるいは、絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層、平坦膜、液晶駆動用透明電極を順次積層してなるカラーフィルタにおいて、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部を位置せしめた構成、あるいは、絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層、平坦膜、液晶駆動用透明電極を順次積層してなるカラーフィルタにおいて、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部を位置せしめた構成としてあり、好ましくは、平坦膜の周縁部の断面形状を傾斜させた構成としてある。
【0014】また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層、基板周縁部を避けて形成した平坦膜を順次積層して形成した後、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層をエッチングにより除去する構成、あるいは、絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層、基板周縁部を避けて形成した平坦膜を順次積層して形成した後、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層をエッチングにより除去する構成としてあり、必要に応じ、平坦膜上に液晶駆動用透明電極を形成した後、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層のエッチングによる除去と、液晶駆動用透明電極のパターンニングのためのエッチングを同時に行なう構成としてある。
【0015】さらに、本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記カラーフィルタの製造方法において、必要に応じ、平坦膜を、紫外線感光能および/または遠紫外線感光能をもつ透明レジストをスピンコーターあるいはロールコーターにより塗布し、マスクを用いて露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、該レジストを現像してパターニング後、熱硬化して形成する構成、あるいは、平坦膜を、透明な熱硬化性樹脂をオフセット印刷機を用い凸版と凹版の境界部が、基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように印刷し、これを熱硬化して形成する構成、あるいは、基板の中心点と研磨面の中心点とのギャップをとって各々を回転させて研磨することにより平坦膜の周縁部を傾斜させる構成、あるいは、レジスト塗布基板とマスクとのギャップを100μm以上に保ちつつ、マスクを用いて露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、現像してパターニング、熱硬化して、基板周縁部を避けて平坦膜を形成するとともに平坦膜の周縁部を傾斜させる構成としてある。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。
【0018】図1は、本発明のカラーフィルタの一構成例を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図、図1(c)は図1(a)のB−B線断図をそれぞれ示す。
【0019】図1に示すように、本発明のカラーフィルタは、絶縁基板(ガラス)1上にブラックマトリックス2、絶縁膜3、色素層形成用透明電極4、ミセル電解法で作製した色素層5、平坦膜6、液晶駆動用透明電極7を順次積層した構成としてある。
【0020】上記発明のカラーフィルタにおいては、平坦膜6の周縁部Wを、基板の画素部S、すなわち液晶の駆動によりカラー表示を行なう部分(画像表示部)の周縁部と基板の周縁部Tとの間に位置せしめてある。
【0021】また、図1(b)及び(c)示すように、平坦膜6及び液晶駆動用透明電極7の周縁部の断面形状が傾斜(Y)している構成としてある。
【0022】さらに、平坦膜6の上層にある液晶駆動用透明電極7は、平坦膜6の周縁部Wと基板の周縁部Tの間で、下地の絶縁膜3と接する構造となっており、この部分で液晶駆動用透明電極7の導通検査としてのプローパ検査と、カラー液晶ディスプレイの作製のために、駆動電極基板との接着を行なえるようにしてある。すなわち、図1(a)及び(c)に示すように、電極取出部10と平坦膜周縁部Wとの間に通常存在する色素形成用透明電極及び色素層は、エッチングにより除去してあり、存在していない。従って、この部分においても、絶縁膜3上に液晶駆動用透明電極7が存在し、この部分においてプローパ検査が行なえるとともに、駆動電極基板との接着部分としたとき段差なく接着を行なうことができる。
【0023】図1に示す構造のカラーフィルタは、TFT駆動用に用いられる。なお、電極取出部10は、カラー液晶ディスプレイ作製に不必要なので、色素層形成用透明電極及び色素層のエッチング後に切断(スクライブ)により除去される。
【0024】図2は、本発明のカラーフィルタの他の構成例を示す図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図、図2(c)は図2(a)のB−B線断図をそれぞれ示す。
【0025】図2に示すように、本発明のカラーフィルタは、絶縁基板1上に、色素層形成用透明電極4、ブラックマトリックス2、ミセル電解法で作製した色素層5、平坦膜6、液晶駆動用透明電極7を順次積層した構成としてある。
【0026】図2に示すカラーフィルタにおいても、図1R>1に示すカラーフィルタと同様に、平坦膜6の周縁部Wを、基板の画素部S、すなわち液晶の駆動によりカラー表示を行なう部分(画像表示部)の周縁部と基板の周縁部Tとの間に位置せしめてある。
【0027】また、平坦膜6及び液晶駆動用透明電極7の周縁部の断面形状が傾斜(Y)している構成としてある。
【0028】さらに、平坦膜6の上層にある液晶駆動用透明電極7は、平坦膜6の周縁部Wと基板の周縁部Tの間で、下地の絶縁性基板1と接する構造としてある。
【0029】図2に示す構造のカラーフィルタは、MIN及びSTN駆動用に用いられる。なお、電極取出部10は、図1に示すカラーフィルタカラーと同様に、色素層形成用透明電極及び色素層のエッチング後にスクライブにより除去される。なお、上記本発明のカラーフィルタの各構成要素の形成材料、形成方法等に関しては後述する。
【0030】次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。
【0031】図3は本発明のカラーフィルタの製造方法の一具体例を示すフロー図である。なお、本製造例で製造するカラーフィルタは図1に示したものと同じである。
【0032】(1)カラーフィルタはガラス基板等の絶縁性基板1上に形成する。ここで、ガラス基板としては、低膨張ガラス、無アルカリガラス(NA)、ソーダライムガラス(白板)、石英ガラス等が用いられる。ガラスはブラックマトリックスの接着性向上の観点から研磨品を用いることが好ましいが、無研磨品であってもよい。
【0033】(2)上記絶縁性基板1上に金属薄膜を形成する。金属薄膜はCr(クロム)、Ni(ニッケル)等の金属をスパッタリング法、蒸着法、CVD法等によって絶縁性基板1上に付着させて形成する。上記保護膜上に形成された金属薄膜のパターンニングをフォトリソグラフィ法によって行ない、ブラックマトリックス2を形成する。フォトリソグラフィ法による金属薄膜のパターンニングは、(イ)レジスト塗布,(ロ)露光(ブラックマトリックス形成用マスク使用),(ハ)現像,(ニ)ポストベーク(熱硬化),(ホ)金属薄膜のエッチング,(ヘ)レジスト剥離の順で行なわれる。
【0034】(3)上記金属製ブラックマトリックスを覆って絶縁膜3を積層する。この場合、絶縁膜3の材質に制限はないが、シリカ(SiO2 )、チタニア(TiO2 )、アルミナ(Al23 )又は絶縁性ポリマーによって形成することが好ましい。絶縁膜3の形成手段としては、例えば、シリカ、チタニア又はアルミナをスパッタリングしたり、シリカを浸漬(ディップ)したり、絶縁性ポリマーをスピンコートしたりする方法が挙げられる。
【0035】(4)上記絶縁膜形成基板1上に、インジュウム/スズ酸化物(ITO薄膜)あるいは酸化スズ等の導電性薄膜層を形成する。ITO膜等の導電性薄膜は、スパッタ法、蒸着法、バイオゾル法等によって形成される。上記ITO薄膜等のパターンニングをフォトリソグラフィ法によって行ない、色素層形成用電極(ITO電極)4を形成する。なお、このITO電極4のパターンは、通常縦ストライプパターンとされる。フォトリソグラフィ法によるパターンニングのプロセスは上記(3)と同様である。なお、ITO電極のパターンニングは、ITO電極形成用マスクとブラックマトリックスとの位置合わせを行なった後、露光して行なう。
【0036】(5)上記色素層形成用ITO電極4が形成された絶縁性基板上1の端部に帯状に電極取出窓口11を形成する。電極取出窓口11を形成する方法は特に制限されない。
【0037】例えば、フォトリソグラフィ法によって電極取出窓口11を形成する場合は、ITOパターンニング絶縁性基板上に、有機顔料等を含有する遮光膜形成用レジスト(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:カラーモザイクCRY:特願平2−117130号、特願平2−321498号参照)及び透明レジスト(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:カラーモザイクCT)をスピンコーターあるいはロールコーター等によって塗布し、さらに、ポリビニルアルコール水溶液等の保護膜を同様に塗布して絶縁膜を形成する。次いで、この遮光膜形成用レジスト等からなる絶縁膜に、電極取出窓口11形成用のデザインマスクを用いて、色素層形成用電極との位置合わせを行なった後、露光を行ない、現像によって電極取出窓口11を形成し、その後、ポストベークを行なえばよい。
【0038】取出電極窓口11に銀ペーストを帯状に塗布し、ベークすることによって、電極取出部10が形成され、電極の赤(R)列、緑(G)列、青(B)列各色毎のITO電極群が導通される。
【0039】(6)上記電極取出窓口11形成後、R(赤)、G(緑)、B(青)各色の色素層(膜)5を形成する。色素層5の形成は、ミセル電解法あるいは電着法等によって行なわれる。ミセル電解法は、色素を含むミセル溶液に基板を浸漬し、取出電極にポテンショスタット(外部電極)を接続し、ITO電極(色素層形成用透明電極)4に通電して、定電位電解を行ない、ITO電極4上に色素層(膜)5を形成する方法である。この場合、色素層の形成は各色毎のミセル溶液を用い、各色毎に行なわれる。電着法は、電着ポリマーと顔料を分散させ、基板上に形成されたITO電極を利用して電着塗装により色素層を形成する方法である。
【0040】(7)色素層形成後、その上に平坦膜(トップコート膜)6を形成する。この際、平坦膜6の周縁部は、基板の画素部と基板の周縁部との間に、位置せしめるようにする。具体的には、このような平坦膜を形成する方法として、下記A法(フォトリソグラフィー法:プロキシミティギャップ80μm以下)、B法(フォトリソグラフィー法:プロキシミティギャップ100〜500μm)、C法(オフセット印刷法)が挙げられる。
【0041】■A法A法は、紫外線感光能および/または遠紫外線感光能を有する透明レジストを用いて、フォトリソグラフィー法によって、基板の画素部と基板の周縁部との間に平坦膜の周縁部が位置するように平坦膜を形成する方法である。紫外線・遠紫外線感光性透明レジストは、膜厚1.0μmで、250℃で1時間処理しても可視光透過率が95%以上であるものが好ましい。紫外線感光能および/または遠紫外線感光能を有する透明レジストの構成成分としては、感光性樹脂、光開始剤、溶剤等が挙げられる。
【0042】ここで、感光性樹脂としては、アクリル酸系、シロキサン系、エポキシ系、ポリイミド系の官能基を少なくとも一つ以上有するモノマー、及びバインダーとなるオリゴマーの混合物などが例示される。また、光開始剤としては、紫外線および/または遠紫外線でラジカルを発生するアルキルフェノン系又はトリハロメチルトリアジン系などの光開始剤が例示される。溶剤としては、エチルセルソルブアセテート(ECA)、メチルセロソルブアセテート(MCA)、メチルプロピレングリコールアセテート、シクロヘキサノンなどが例示される。
【0043】紫外線・遠紫外線感光性透明レジストとしては、より具体的には、日本合成ゴム社製 HRC−001(ポジ型、紫外線感光能)、日本合成ゴム社製 JNPC−01(ネガ型、紫外線感光能)、東京応化社製 CFGR(ポジ型、遠紫外線感光能)、富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製 CT(ネガ型、紫外線感光能)、東レ社製 フォトニース(ネガ型、紫外線感光能)、などが例示される。
【0044】フォトリソグラフィー法による平坦膜のパターンニングは、例えば、イ)スピンコート、ロールコートによるレジスト塗布(膜厚0.5μm〜5.0μm)、ロ)プリベーク(80〜150℃)、ハ)露光[露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間にあるようにした平坦膜形成用マスクを用いて露光、コンタクト又はプロキシミティー方式、ギャップ0〜80μm、露光エネルギー20〜300mJ/cm2 ]、ニ)現像[レジスト専用現象液、例えば0.1〜1.0N炭酸ナトリウム水溶液(Na2 CO3 )、トリメチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液(TMAH)等を室温で使用。浸漬法又はスプレ−現像法(基板を回転させる場合を含む)]、ホ)リンス(レジスト専用リンス液、超純水又はメタノール等を常温で使用)、ヘ)後露光(露光エネルギー100〜300mJ/cm2 レジストにより任意)、ト)ポストベーク(150〜300℃)、の順で行なわれる。
【0045】■B法B法はA法と比べ、プロキシミティギャップを100〜500μmと大きくとっている点、及び、露光エネルギーが20〜500J/cm2 である点で異なる。このような露光条件にすると、後述する研磨工程を要せずに平坦膜の周縁部を傾斜させることができる。
【0046】■C法C法は、熱硬化性透明樹脂を用いて、オフセット印刷法によって、基板の画素部と基板の周縁部との間に平坦膜の周縁部が位置するように平坦膜を形成する方法である。熱硬化性透明樹脂は、膜厚1.0μmで、250℃で1時間処理しても可視光透過率が95%以上であるものが好ましい。熱硬化性透明樹脂の構成成分としては、上述した紫外線・遠紫外線感光性透明レジストと同様の構成成分が挙げられる。
【0047】熱硬化性透明樹脂としては、より具体的には、日本合成ゴム社製 JSS−7265、日本合成ゴム社製 JHR−8484、長瀬産業社製 OS−808、などが例示される。
【0048】オフセット印刷法による平坦膜の形成は、例えば、イ)オフセット印刷機(凸版と凹版の境界部が基板の画素部と基板の周縁部との間にあるような版を使用)によるレジストの塗布(膜厚0.5μm〜5.0μm)、ロ)プリベーク(80〜150℃)、ハ)ポストベーク(150〜350℃)、の順で行なわれる。
【0049】(8)平坦膜6形成後、平坦膜6の周縁部Wより外側にある色素層及び色素層形成用透明電極をエッチングにより除去する。エッチング液としては、塩酸、硝酸、塩酸/第二塩化鉄混合水溶液、硝酸セリウム水溶液などが挙げられる。エッチングは、例えば、浸漬法又は超音波浸漬法によって、室温〜80℃で、30秒〜5分間行なう。エッチング終了後、超純水でリンスし、これを乾燥してエッチング工程を完了する。
【0050】(9)エッチング後、基板から電極取出部10を切断する。切断は切断線(スクライブライン)12に沿って基板に傷を入れ、基板裏面から傷口に圧力をかけて行なう。切断後、切口の鋭角部分(基板周縁部)の面取りをヤスリ等で摩耗して行なう。その後、超純水でリンスしてガラス粉等を洗い落とす。
【0051】(10)上記切断及び面取り後、平坦膜6の周縁部(側周面)を研磨して、平坦膜周縁部の断面形状を傾斜させる。この場合、傾斜面の表面の凹凸差が0.5μm以下となるように研磨を行なうことが好ましい。
【0052】研磨は、研磨機(例えば、ラップマスター社:LLCF700など)を使用し、研磨面の中心点と基板中心点間のギャップ(初期設定値)15〜50mmをとり、回転速度5〜50rpm、揺動幅10〜300mmで行なう。超純水でリンス後、乾燥して研磨工程を終了する。
【0053】(11)上記研磨工程後、平坦膜6上にITO薄膜層を積層して、液晶駆動用透明電極7を形成する。ITO薄膜層の形成は、上記(2)と同様にして行なう。上記ITO薄膜層は、そのまま平面状の液晶駆動用透明電極とするか、あるいは、上記(4)と同様にフォトリソグラフィー法によってITO薄膜層のパターンニングを行ない所望のパターン(例えばストライプ)状の液晶駆動用透明電極とする。上述したプロセスを経てTFT用カラーフィルタが作製される。
【0054】次に、本発明のカラーフィルタの他の製造方法について説明する。
【0055】図4は、本発明のカラーフィルタの製造方法の他の具体例を示すフロー図である。なお、本製造例で製造するカラーフィルタは図2に示したものと同様である。
【0056】(1)カラーフィルタはガラス基板等の絶縁性基板1上に形成する。ここで、ガラス基板としては、ソーダライムガラス(青板)を含むこと以外は、上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様である。
【0057】(2)上記絶縁性基板1上に色素層形成用電極4を、上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様にして形成する。
【0058】(3)上記色素層形成用透明電極4を形成した基板上にレジストブラックマトリックス2をフォトリソグラフィー法によって形成する。ブラックマトリックス形成用のレジスト剤としては、有機顔料系のレジスト剤が使用される。
【0059】ここで、有機顔料系のレジスト剤としては、例えば、互いに補色関係にある二色の顔料を含有する遮光性レジスト剤(特願平2−117130号)、黒色有機顔料、二種類以上の有機顔料を混合し擬似黒色化した混色有機顔料、カーボンブラック等の遮光剤及び感光性樹脂等からなる遮光膜形成用レジスト(特願平2−321498号)等が挙げられる。
【0060】フォトリソグラフィー法によるレジストブラックマトリックスのパターンニングは、ブラックマトリックス及び電極取出窓口形成用のデザインマスクを用いて行ない、電極取出窓口11も同時に形成する。
【0061】フォトリソグラフィー法によるパターンニングは、具体的には、ア)レジスト塗布、イ)ポリビニルアルコール等の保護膜塗布、ウ)露光(ブラックマトリックス形成用マスク使用、色素層形成用透明電極と位置合わせ後露光、エ)現像、オ)ポストベーク(熱硬化)の順で行なう。これにより、ブラックマトリックスと同時に電極取出部を形成する。
【0062】次いで、電極取出窓口11に銀ペーストを帯状に塗布し、ベークすることによって、取出電極部10を形成し、電極の赤(R)列、青(B)列、緑(G)列各色毎のITO電極群を導通する。
【0063】(4)上記電極取出窓口形成後、R,G,B各色の色素層(膜)5を形成する。色素層5の形成は、上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様の方法で行なう。なお、色素層形成後、銀ペーストをアセトン中に浸漬するか、もしくは超音波をかけて完全に剥離する。
【0064】(5)色素層形成後、その上に平坦膜6を形成する。平坦膜6の形成は上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様にして行なう。
【0065】(6)平坦膜6形成後、平坦膜6の周縁部Wより外側にある色素層及び色素層形成用透明電極をエッチングにより除去する。エッチングは、上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様にして行なう。
【0066】(7)エッチング後、基板から電極取出部10を切断するとともに切断面の面取りを行なう。電極取出部10の切断及び切断面の面取りは上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様にして行なう。
【0067】(8)上記切断及び面取り後、平坦膜6の周縁部(側周面)を研磨して平坦膜周縁部の断面形状を傾斜させる。平坦膜周縁部の研磨は上述したTFT用カラーフィルタの製造の場合と同様にして行なう。
【0068】(9)上記研磨後、平坦膜6上に液晶駆動用透明電極7を形成する。液晶駆動用透明電極7の形成は上述したTFT用カラーフィルタの場合と同様にして行なう。上述したプロセスを経てMIN,STN用カラーフィルタが作製される。
【0069】次に、本発明のカラーフィルタのさらに他の製造方法について説明する。
【0070】本製造方法は、上述したTFT用カラーフィルタの製造及びMIN,STN用カラーフィルタの製造のいずれにおいても適用できる。すなわち、上述した製造方法において、平坦膜6形成直後に色素層及び色素層形成用透明電極のエッチングを行なわずに、平坦膜6上に液晶駆動用透明電極層を積層後これをパターンニングする際に、同時に色素層及び色素層形成用透明電極をエッチングにより除去する。
【0071】エッチングの条件及び手順は、エッチング時間が1〜15分であること以外は、上述したカラーフィルタの製造方法における色素層及び色素層形成用透明電極のエッチングの場合と同様である。
【0072】次に、上記で作製したカラーフィルタを用いた本発明のカラー液晶ディスプレイ及びその組立て工程について説明する。
【0073】図5は本発明のカラー液晶ディスプレイの組立て工程を示す図である。
【0074】(1)液晶駆動用電極基板は、ガラス基板上に液晶駆動用透明電極を形成したものであり、単純マトリックス方式の場合は帯状透明電極が形成され各画素の液晶を外部から時分割駆動する。アクティブマトリックス方式の場合には、各画素ごとに画素電極及び駆動素子(マトリックスアレイ)が形成され、各画素の液晶を各駆動素子で駆動する。マトリックスアレイに用いられる非線形素子としては3端子型のTFT(Thin FilmTransistor)や2端子型のMIM(Metal-Insulator-Metal) 等が挙げられる。
【0075】(2)カラーフィルタとしては、上述した本発明のカラーフィルタを使用する。
【0076】(3)スペーサは液晶層の厚みを一定に保つためのもので、テフロンフィルムやマイラフィルム等が用いられる。なお、表示面積の広い表示パネルを作製する場合、パネル内部にガラスビース,プラスチックビーズ等を分散させる場合がある。
【0077】(4)接着剤(封止剤)としては、有機接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)と無機接着剤(例えば、ガラスはんだ)とがある。この接着剤としては、絶縁性基板及び絶縁性保護膜との接着性に優れたものを使用するのが好ましい。
【0078】(5)ラビングは、分子配列を均一にするために行なわれる基板の表面処理であり、表示方式に応じて、平行配向処理及び垂直配向処理等が挙げられる。具体的には摩擦ラビング、配向蒸着等が挙げられる。
【0079】(6)液晶をパネルに封止する方法には、表面張力を用いる方法と圧力差を利用する方法がある。圧力差を利用した真空注入法が気泡の混入や劣化を防ぐためには好ましい。封入される液晶は表示モードに応じて選択される。表示モードとしては、例えば、TN,STN,FLC,AFLC,VAN等が挙げられる。
【0080】(7)電極とドライバーICとの接続法としては、チップオンフレキシブルプリントサーキット(COF)、チップオングラス(COG)等が挙げられる。
【0081】(8)上記工程を経て本発明のカラー液晶ディスプレイ(パネル)が作製される。この液晶パネルは交流駆動される。
【0082】なお、上述した本発明のカラーフィルタあるいはカラー液晶ディスプレイは、パソコン、ワープロ、壁掛テレビ、ポケット液晶テレビなどのカラー液晶ディスプレイやオーロラビジョン、固体撮像素子(CCD)などのカラーフィルタ、オーディオ、車載用インパネ、時計、電卓、ビデオデッキ、ファックス、通信機、ゲーム、測定機器などのカラーディスプレイ等として好適に利用される。
【0083】
【実施例】以下、実施例にもとづき本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1下記手順によってカラーフィルタ(TFT駆動用)及びカラー液晶パネルを製造した。
【0084】ブラックマトリックスの形成鏡面研磨した300mm角の白板ガラス基板上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、クロム(Cr)薄膜を約2000オングストロームスパッタした。
【0085】この上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:HPR204,ポジ型)を1,500rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、105℃で30分間プリベークを行ない、その後、この基板をステッパー露光機(露光能力10mW/cm2)にセットした。マスクは、画素サイズ90μm×310μm、ギャップ20μm、有効エリア168mm×221mmの格子パターンとし、このマスクを用いて4回ステップ露光した。スキャンスピード5mm/秒で露光した後、アルカリ現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:LSI現像液)にて室温で現像した。現像後、超純水でリンスしてから、125℃で30分間ポストベークした。
【0086】次に、エッチング液(エッチャント)として6N塩酸(HCl)・0.1N硝酸(HNO3)・0.1N硝酸セリウム(Ce(NO34)の水溶液を準備し、前記基板を50℃のエッチング液に浸漬し、基板上のCrをエッチングしてパターンを形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約5分の時間を必要とした。エッチング後、超純水でリンスした後、強アルカリ剥離剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:マイクロストリップ2001)に90℃で10分間浸漬してレジストを剥離した。超純水シャワーで充分にリンスし、温風乾燥してクロムブラックマトリックスを形成した。
【0087】絶縁膜の形成次に、上記クロムブラックマトリックス(CrBM)上に、絶縁膜として、アクリル系熱硬化性樹脂のエチルセルソルブアセテート溶液(日本合成ゴム社製:JSS−715)を1,000rpmの回転速度でスピンコートし、250℃で60分間ベークした。次いで、シリカ(SiO2)の分散したゾル(東京応化社製:OCD TYPE−7)中に浸漬し、250℃で60分間ベークした後、室温まで冷却して絶縁膜を形成した。
【0088】色素層形成用電極の形成次に、上記絶縁膜上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITO薄膜を約1300オングストロームスパッタした。このとき、ワークを250℃にしてITO膜の表面抵抗を20Ω/□に調製した。
【0089】この基板上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:HPR204,ポジ型)を1,500rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、105℃で30分間プリベークを行ない、その後、この基板をコンタクト露光機(露光能力:10mW/cm2)にセットした。マスクは、線幅92μm 、ギャップ18μm、線長234mmの縦ストライプパターンとした。光源は2kwの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ50μmをとり、アライメントした後、10秒間露光した後、アルカリ現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:LSI現像液)にて室温で浸漬現像した。現像後、超純水にてリンスしてから、125℃で30分間ポストベークした。
【0090】次に、エッチャントとして1M塩化第二鉄(FeCl3)・1N塩酸(HCl)・0.1N硝酸(HNO3)・0.1N硝酸セリウム(Ce(NO34)の水溶液(50℃)を準備し、前記基板上のITO薄膜をエッチングして色素層形成用電極を形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約5分の時間を必要とした。エッチング後、超純水でリンスし、レジストを強アルカリ剥離剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:マイクロストリップ2001)に90℃で10分間浸漬してレジストを剥離した。さらに、超純水シャワーで充分にリンスし、温風乾燥後、ITO電極の隣接同志の電気的リークがないことを確認し、ITO電極(色素層形成用電極)付き基板を完成した。
【0091】電極取出窓口の形成及び銀ペーストの塗布顔料含有アクリル系レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製;カラーモザイクCR:CG:CB:CKの1:1:1:1の混合物)を電極取出部形成用レジスト剤として用いた。上記で作成した基板上に前記レジストを50010rpmでスピンコートし、基板上に均一にコートした。この基板を85℃で15分間プリベークを行ない、さらに、ポリビニルアルコール水溶液を同様に塗布し、プリベークを行なった。この基板を2kwの高圧水銀灯を光源とするアライメント機能のあるコンタクト露光機にセットし、電極取出部形成用のデザインマスクを用いて位置合せ後露光した。その後、0.1Nの炭酸ナトリウム水溶液で室温下1分間浸漬現像し、さらに、超純水でリンスし、200℃で30分間ポストベークすることによって、電極取出部10を形成した。次に、銀ペースト(徳力化学社製:P−280)をディスペンサーを用いて電極取出窓口に塗布し、電極の赤(R)列、青(B)列、緑(G)列を接続した後、100℃で15分間ベークして、銀ペーストの塗布を終えた。
【0092】三原色色素層の形成4リットルの純水にフェロセン誘導体ミセル化剤FPEG(同仁化学社製)、臭化リチウム(LiBr)とジアントラキノン顔料を加え、それぞれ、2mM,0.1M,10g/リットルの溶液とし、超音波ホモジナイザーで30分間分散させてミセル溶液とした後、前記素層形成用ITO電極付き基板を前記ミセル溶液に挿入し、ストライプのR列群に接続された取出電極にポテンショスタットを接続した。0.5Vの定電位電解を行ない、カラーフィルタRの色素薄膜(色素層)を得た。純水で洗浄後、オーブンにてプリベーク(100℃)した。Gではハロゲン化銅フタロシアニンを15g/リットル、Bでは銅フタロシアニンを9g/リットルの濃度に変えたほかはRの色素製膜と同じ条件で製膜し、RGBの色素層を得た。最後に、電極取出窓口に塗布した銀ペーストをアセトン中に浸漬して、超音波洗浄することにより剥離し、乾燥した。
【0093】平坦膜の形成(A法)上記で作製した基板上に紫外線感光能を有するネガ型のアクリル酸系レジスト剤(日本合成ゴム社製:JNPC−01)を30cc滴下し、1500rpmでスピンコートし、基板上に均一な塗膜を形成した。この基板を80℃のオーブンに挿入して15分間プリベークし、2kwの高圧水銀灯を光源とするコンタクト露光機(露光能力10mWにセットした。平坦膜形成用マスクと基板とのギャップを60μmとして、300mJ/cm2の露光エネルギーで、露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、0.12%トリメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に浸漬し、室温下2分間現像を行ない、超純水シャワーでリンス後、200℃で60分間ポストベークして、平坦膜を得た。
【0094】色素層及び色素層形成用透明電極のエッチング上記で作製した基板を、1M塩化第二鉄と0.1N硝酸と0.1N硝酸セリウムの水溶液(エッチャント)中で、50℃で5分間超音波浸漬を行なった。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。その後、超純水スプレイでリンスし、基板を温風乾燥して、平坦膜周縁部より外側にある色素層及び色素層形成用透明電極を完全に取り除いた基板を得た。
【0095】スクライビング及び面取上記基板をスクライビング装置(常陽工学技術研究所製:JKL−451F)にセットし、アライメントした後、カッターで傷を付け、傷口に対し基板の裏面側から圧力をかけることにより、電極取出部10を切断した。次に、切口をガラス両糸面取加工機(ユウコウ社製:SW−300D P−2)で摩耗することにより、鋭角部分を丸めた。最後に、超純水スプレイでガラス粉等を洗浄し、温風乾燥して、スクライビング及び面取を終えた。
【0096】研磨上記基板を純水で湿らせ、研磨機(ラップマスター社製:LLCF700)の上板(基板面)に設置した。一方、下板(研磨面)には研磨クロスを敷き、研磨剤を0.05kg/cm2の圧力で合わせ、同方向に回転させ、150mm揺動させつつ5分間平坦膜の研磨を行なった。その際、基板面と研磨面の中心点とのギャップ(オフセット)を初期設定値として15mmとり、研磨中に5mlの研磨剤を追加して滴下した。次いで、超純水でリンスし、温風乾燥して研磨工程を終了した。
【0097】液晶駆動用電極(後ITO電極)の形成上記基板上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITO膜を約1300オングストロームスパッタリングした。このとき、カラーフィルタ基板を120℃とし、水蒸気と酸素の導入によってITO膜の表面抵抗を20Ω/□に調整した。こうして、平面状の液晶駆動用電極を有するTFT用カラーフィルタを得た。
【0098】カラー液晶ディスプレイ(パネル)の作製上記で作製したカラーフィルタ基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートした。これを250℃で1時間硬化させ、ポリイミド樹脂化した後、ラビングを行なって配向させた。対極には駆動用電極基板としてTFT駆動回路付きガラス基板を使用した。上記カラーフィルタ基板とTFT駆動回路付きガラス基板との間(液晶セル)にガラスビーズ、TN液晶の順に入れ、接着剤にて封止し、カラー液晶ディスプレイ(パネル)を完成させた。カラー液晶パネルにFPCにドライバーICを搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着した後、TFT駆動回路を作動させ、液晶の駆動を確認した(表1)。
【0099】次に、カラー液晶ディスプレイ作製前の平面状の液晶駆動用電極を有するカラーフィルタ基板上に、紫外線感光性レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:HPR204,ポジ型)を1,500rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、105℃で30分間プリベークを行ない、その後、この基板をコンタクト露光機(露光能力:10mw/cm2 )にセットした。マスクは、線幅92μm、ギャップ18μm、線長207mmの縦ストライプパターンとした。光源は2kwの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ50μmをとり、アライメントした後、10秒間露光した後、アルカリ現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:LSI現像液)にて室温で浸漬現像した。現像後、超純水にてリンスした後、125℃で30分間ポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3・1N HCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34の水溶液を準備し、前記基板のITO膜を50℃で浸漬エッチングしてパターンを形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。エッチングには約5分の時間を必要とした。エッチング後、超純水でリンスし、レジストを強アルカリ剥離剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:マイクロストリップ2001)に90℃で10分間浸漬して剥離し、超純水シャワーでリンス後、温風乾燥した。こうして形成した液晶駆動用電極の断線本数をプローバ検査により調べ、断線がないことを確認した(表1)。
【0100】実施例2B法によって、平坦膜を形成し、平坦膜の研磨工程を省略したこと以外は、実施例1と同様にして、カラー液晶ディスプレイを作製し、液晶の駆動を確認した。 なお、B法による平坦膜の形成は次のようにして行なった。色素層形成後の基板上に紫外線感光能を有するネガ型のアクリル酸系レジスト剤(日本合成ゴム社製:JNPC−01)を30cc滴下し、1500rpmでスピンコートし、基板上に均一な塗膜を形成する。この基板を80℃のオーブンに挿入して15分間プリベークし、2kwの高圧水銀灯を光源とするコンタクト露光機(露光能力10mW)にセットする。平坦膜形成用マスクと基板とのギャップを200μmとして、400mJ/cm2の露光エネルギーで、露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、0.12%トリメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に浸漬し、室温下2分間現像を行ない、超純水シャワーでリンス後、200℃で60分間ポストベークして、平坦膜を得る。
【0101】また、B法によって平坦膜を形成し、平坦膜の研磨工程を省略したこと以外は、実施例1と同様にして、平面状の液晶駆動用電極をパターンニングしたカラーフィルタを作製し、パターンニングされた液晶駆動用ITO電極液晶の断線評価を行なった。その結果、断線がないことが確認された。
【0102】実施例3C法によって、平坦膜を形成し、平坦膜の研磨工程を省略したこと以外は、実施例1と同様にして、カラー液晶ディスプレイを作製し、液晶の駆動を確認した。 なお、C法による平坦膜の形成は次のようにして行なった。色素層形成後の基板上に熱硬化性樹脂オリゴマー(日本合成ゴム社製:JSS7265,アクリル酸−シロキサン樹脂系)をオフセット印刷機(日本写真印刷社製:オングストローマー)で凸版と凹版の境界部が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように位置合わせして印刷した後、80℃のオーブンに挿入して5分間プリベークし、さらに、180℃で60分間ポストベークすることにより平坦膜を得る。また、C法によって平坦膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、平面状の液晶駆動用電極をパターンニングしたカラーフィルタを作製し、パターンニングされた液晶駆動用ITO電極液晶の断線評価を行なった。その結果、断線がないことが確認された。
【0103】実施例4下記手順によってカラーフィルタ(MIN,STN駆動用)及びカラー液晶パネルを製造した。
【0104】色素層形成用電極の形成青板ガラス基板(松崎真空社製:ソーダライムガラス,300mm角)上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITO薄膜を約1300オングストロームスパッタした。このとき、ワークを250℃にしてITO膜の表面抵抗を20Ω/□に調製した。この基板上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:HPR204,ポジ型)を1,500rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、105℃で30分間プリベークを行ない、その後、この基板をコンタクト露光機(露光能力:10mW/cm2)にセットした。マスクは、線幅92μm 、ギャップ18μm、線長234mmの縦ストライプパターンとした。光源は2kwの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ60μmをとり、10秒間露光した後、アルカリ現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:LSI現像液)にて室温で浸漬現像した。現像後、超純水にてリンスしてから、125℃で30分間ポストベークした。次に、エッチャントとして1M塩化第二鉄(FeCl3)・1N塩酸(HCl)・0.1N硝酸(HNO3)・0.1N硝酸セリウム(Ce(NO34)の水溶液(50℃)を準備し、前記基板上のITO薄膜をエッチングによりパターンニングして色素層形成用電極を形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約5分の時間を必要とした。エッチング後、超純水でリンスし、レジストを強アルカリ剥離剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:マイクロストリップ2001)に90℃で10分間浸漬してレジストを剥離した。さらに、超純水シャワーで充分にリンスし、温風乾燥後、ITO電極の隣接同志の電気的リークがないことをプローブ検査で確認し、ITO電極(色素層形成用電極)付き基板を完成した。
【0105】レジストブラックマトリックス及び電極取出窓口の形成顔料含有アクリル系レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製;カラーモザイクCR:CG:CB:CKの1:1:1:1の混合物)をブラックマトリックス及び電極取出部形成用レジスト剤として用いた。上記で作成した基板上に前記レジストを500rpmでスピンコートし、基板上に均一にコートした。この基板を85℃で15分間プリベークを行ない、さらに、ポリビニルアルコール水溶液を同様に塗布し、プリベークを行なった。この基板を2kwの高圧水銀灯を光源とするアライメント機能のあるコンタクト露光機にセットし、ブラックマトリックス及び電極取出部形成用のデザインマスクを用いて位置合せ後露光した。その後、0.1Nの炭酸ナトリウム水溶液で室温下1分間浸漬現像し、さらに、超純水スプレイでリンスし、200℃で30分間ポストベークすることによって、ブラックマトリックス及び電極取出部10を同時形成した。次に、銀ペースト(徳力化学社製:P−280)をディスペンサーを用いて電極取出窓口に塗布し、電極の赤(R)列、青(B)列、緑(G)列を接続した後、100℃で15分間ベークして、銀ペーストの塗布を終えた。
【0106】三原色色素層の形成実施例1と同様にしてRGBの色素層を得た。
【0107】平坦膜の形成(A法)上記で作製した基板上に紫外線感光能を有するポジ型のアクリル系レジスト剤(日本合成ゴム社製:HRC−001)を30cc滴下し、1500rpmでスピンコートし、基板上に均一な塗膜を形成した。この基板を80℃のオーブンに挿入して15分間プリベークし、2kwの高圧水銀灯を光源とするコンタクト露光機(露光能力10mWにセットした。平坦膜形成用マスクと基板とのギャップを60μmとして、200mJ/cm2の露光エネルギーで、露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、0.12%トリメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に浸漬し、室温下2分間現像を行ない、超純水シャワーでリンス後、200mJ/cm2で後露光してから、200℃で60分間ポストベークして、平坦膜を得た。
【0108】色素層及び色素層形成用透明電極のエッチング実施例1と同様にして行なった。
【0109】スクライビング及び面取実施例1と同様にして行なった。
【0110】研磨実施例1と同様にして行なった。
【0111】液晶駆動用電極(後ITO電極)の形成上記基板上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITO膜を約1300オングストロームスパッタリングした。このとき、カラーフィルタ基板を120℃とし、水蒸気と酸素の導入によってITO膜の表面抵抗を20Ω/□に調整した。その後、上記基板上に、紫外線感光性レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:HPR204,ポジ型)を1,500rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、105℃で30分間プリベークを行ない、その後、この基板をコンタクト露光機(露光能力:10mw/cm2 )にセットした。マスクは、線幅92μm、ギャップ18μm、線長207mmの縦ストライプパターンとした。光源は2kwの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ50μmをとり、アライメントした後、10秒間露光した後、アルカリ現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:LSI現像液)にて室温で浸漬現像した。現像後、超純水にてリンスした後、125℃で30分間ポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3・1N HCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34の水溶液を準備し、前記基板のITO膜を50℃で浸漬エッチングしてパターンを形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。エッチングには約5分の時間を必要とした。エッチング後、超純水でリンスし、レジストを強アルカリ剥離剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:マイクロストリップ2001)に90℃で10分間浸漬して剥離し、超純水シャワーでリンス後、温風乾燥した。こうして、パターンニングされた液晶駆動用電極を有するMIN又はSTN用カラーフィルタを得た。次いで、上記のようにして形成した液晶駆動用電極の断線本数をプローバ検査により調べ、断線がないことを確認した(表1)。
【0112】カラー液晶ディスプレイ(パネル)の作製上記で作製したカラーフィルタ基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートした。これを250℃で1時間硬化させ、ポリイミド樹脂化した後、ラビングを行なって配向させた。対極には駆動用電極基板としてMIN駆動回路付きガラス基板及びSTN駆動用ITOパターンニング(縦ストライプ)ガラス基板を使用した。上記カラーフィルタ基板とMIN又はSTN駆動用ガラス基板との間(液晶セル)にガラスビーズ、TN液晶の順に入れ、接着剤にて封止し、カラー液晶ディスプレイ(パネル)を完成させた。カラー液晶パネルに、FPCにドライバーICを搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着した後、MIN又はSTN駆動回路を作動させ、いずれについても液晶の駆動を確認した(表1)。
【0113】実施例5平坦膜の形成(A法)実施例1と同様にして色素層まで順次形成した基板を作製した。上記で作製した基板上に遠紫外線感光能を有するポジ型のアクリル系レジスト剤(東京応化社製:CFGR,ポジ型,アクリル系)を30cc滴下し、1500rpmでスピンコートし、基板上に均一な塗膜を形成した。この基板を170℃のオーブンに挿入して15分間プリベークし、2kwの高圧キセノン灯(253nm)を光源とするコンタクト露光機(露光能力10mW)にセットした。平坦膜形成用のマスク(石英製)と基板とのギャップを60μmとして、300mJ/cm2の露光エネルギーで、露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、プロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、室温下で2分間現像を行ない、メチルイソブチルケトンに浸漬してリンス後、200℃で60分間ポストベークして、平坦膜を得た。
【0114】スクライビング及び面取実施例1と同様にして行なった。
【0115】研磨実施例1と同様にして行なった。
【0116】液晶駆動用電極の形成及び色素層及び色素層形成用透明電極の同時エッチング上記基板上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITO膜を約1300オングストロームスパッタリングした。このとき、カラーフィルタ基板を120℃とし、水蒸気と酸素の導入によってITO膜の表面抵抗を20Ω/□に調整した。その後、上記基板上に、紫外線感光性レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:HPR204,ポジ型)を1,500rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、105℃で30分間プリベークを行ない、その後、この基板をコンタクト露光機(露光能力:10mw/cm2 )にセットした。マスクは、線幅312μm、ギャップ18μm、線長260mmの横ストライプパターンとした。光源は2kwの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ50μmをとり、アライメントした後、10秒間露光した後、アルカリ現像液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:LSI現像液)にて室温で浸漬現像した。現像後、超純水にてリンスした後、125℃で30分間ポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3・1N HCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34の水溶液を準備し、前記基板のITO膜及び色素層・色素層形成用透明電極を50℃で浸漬エッチングしてITO膜のパターンを行なうとともに、平坦膜周縁部より外側にある色素層・色素層形成用透明電極をエッチングにより除去した。液晶駆動用ITO電極のエッチングの終点は電気抵抗により測定した。エッチングには約10分の時間を必要とした。エッチング後、超純水でリンスし、レジストを強アルカリ剥離剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:マイクロストリップ2001)に90℃で10分間浸漬して剥離し、超純水シャワーでリンス後、温風乾燥した。こうして、パターンニングされた液晶駆動用電極を有するMIN又はSTN用カラーフィルタを得た。次いで、上記のようにして形成した液晶駆動用電極の断線本数をプローバ検査により調べ、断線がないことを確認した(表1)。
【0117】カラー液晶ディスプレイ(パネル)の作製実施例4と同様にしてカラー液晶ディスプレイ(パネル)を作製し、MIN又はSTN駆動回路を作動させ、いずれについても液晶の駆動を確認した(表1)。
【0118】比較例1実施例1において、平坦膜を基板全面に形成し、色素層・色素層形成用透明電極をエッチング及び平坦膜の研磨工程を省略したこと以外は、実施例1と同様にして操作を行なったが、液晶の封入が不十分で、カラー液晶ディスプレイを作製できなかった。また、実施例1と同様にして、液晶駆動用電極の断線本数をプローバ検査により調べたところ、251本の断線が確認された(表1)。
【0119】比較例2実施例1において、色素層・色素層形成用透明電極をエッチングを行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして操作を行なったが、液晶の封入が不十分で、カラー液晶ディスプレイを作製できなかった。また、実施例1と同様にして、液晶駆動用電極の断線本数をプローバ検査により調べたところ、451本の断線が確認された(表1)。
【0120】比較例3実施例1において、平坦膜の研磨工程を省略したこと以外は、実施例1と同様にして操作を行なった。その結果、カラー液晶ディスプレイを作製することはできた。しかし、実施例1と同様にして、液晶駆動用電極の断線本数をプローバ検査により調べたところ、150本の断線が確認された(表1)。
[以下、余白]
【0121】
表 1 断線本数(本) カラー液晶ディスプレイの作製の可否 実施例1 0 可 実施例2 0 可 実施例3 0 可 実施例4 0 可 実施例5 0 可 比較例1 251 否 比較例2 451 否 比較例3 150 可
【0122】表1から明らかなように、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層、色素層形成用透明電極及び平坦膜の周縁部が位置しない場合(比較例1)には、液晶駆動用電極とその下層の平坦膜との接着性が悪く、プローブ検査時に液晶駆動用透明電極が破壊され、液晶駆動用透明電極に断線が生じる。また、平坦膜周縁部より外側にある色素層・色素層形成用透明電極をエッチングにより除去しない場合(比較例2)、及び平坦膜周縁部の断面形状に傾斜がない場合(比較例3)には、平坦膜周縁部の急激な段差のため液晶駆動用透明電極に断線が生じる。さらに、色素層・色素層形成用透明電極をエッチングにより除去しない場合(比較例1,2)には、カラーフィルタと駆動用基板とを接着剤を用いて張り合わせて、液晶ディスプレイの組み立てる際に、接着が不十分となり、カラーフィルタと駆動用基板のギャップ制御や液晶封入に大きな障害が起こり、カラー液晶ディスプレイの作製が不可能となる。
【0123】以上のことから、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層、色素層形成用透明電極及び平坦膜周縁部を位置させること、色素層・色素層形成用透明電極をエッチングにより除去すること、及び平坦膜周縁部に傾斜をもたせることがカラー液晶ディスプレイの生産効率の向上に不可欠であることがわかる。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法によれば、カラーフィルタ基板と駆動用電極基板との接着性が十分であるとともにプローブ検査時に液晶駆動用電極が破壊することがなく、したがって、生産効率(歩留り)の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの一構成例を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図、図1(c)は図1(a)のB−B線断図をそれぞれ示す。
【図2】本発明のカラーフィルタの他の構成例を示す図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図、図2(c)は図2(a)のB−B線断図をそれぞれ示す。
【図3】本発明のカラーフィルタの製造方法の一具体例を示すフロー図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの製造方法の他の具体例を示すフロー図である。
【図5】カラー液晶ディスプレイの組立て工程を示す工程図である。
【図6】従来のカラー液晶ディスプレイを示す断面図である。
【図7】従来のカラーフィルタの一構成例を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)のA−A線断面図、図7(c)は図7(a)のB−B線断図をそれぞれ示す。
【図8】従来のカラーフィルタの他の構成例を示す図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は図8(a)のA−A線断面図、図8(c)は図8(a)のB−B線断図をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1…絶縁性基板
2…ブラックマトリックス
3…絶縁膜
4…色素層形成用透明電極
5…色素層
6…平坦膜
7…液晶駆動用透明電極
10…電極取出部
20…駆動用基板
30…液晶
40…封止剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層及び平坦膜を形成してなるカラーフィルタにおいて、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部を位置せしめたことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層、平坦膜、液晶駆動用透明電極を順次積層してなるカラーフィルタにおいて、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部を位置せしめたことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項3】 絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層、平坦膜、液晶駆動用透明電極を順次積層してなるカラーフィルタにおいて、基板の画素部と基板の周縁部との間に、色素層形成用透明電極、色素層及び平坦膜の周縁部を位置せしめたことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項4】 平坦膜の周縁部の断面形状が傾斜していることを特徴とする請求項1,2又は3記載のカラーフィルタ。
【請求項5】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層、基板周縁部を避けて形成した平坦膜を順次積層して形成した後、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層をエッチングにより除去することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】 絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層、基板周縁部を避けて形成した平坦膜を順次積層して形成した後、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層をエッチングにより除去することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層、基板周縁部を避けて形成した平坦膜を順次積層して形成した後、エッチングによって、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層の除去と、液晶駆動用透明電極のパターンニングを同時に行なうことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】 絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層、基板周縁部を避けて形成した平坦膜を順次積層して形成した後、エッチングによって、平坦膜周縁部より外側にある色素層形成用透明電極及び色素層の除去と、液晶駆動用透明電極のパターンニングを同時に行なうことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層を順次積層した基板上に、紫外線感光能および/または遠紫外線感光能をもつ透明レジストをスピンコーターあるいはロールコーターにより塗布し、マスクを用いて露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、該レジストを現像してパターニング後熱硬化して、基板周縁部を避けて平坦膜を形成し、さらに基板の中心点と研磨面の中心点とのギャップをとって各々を回転させて研磨することにより平坦膜の周縁部を傾斜させることを特徴とする請求項5又は7記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項10】 絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層を順次積層した基板上に、紫外線感光能および/または遠紫外線感光能をもつ透明レジストをスピンコーターあるいはロールコーターにより塗布し、マスクを用いて露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、該レジストを現像してパターニング後、熱硬化して基板周縁部を避けて平坦膜を形成し、さらに基板の中心点と研磨面の中心点とのギャップをとって各々を回転させて研磨することにより平坦膜の周縁部を傾斜させることを特徴とする請求項6又は8記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項11】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層を順次積層した基板上に、紫外線および/または遠紫外線感光能をもつ透明レジストをスピンコーターあるいはロールコーターにより塗布し、該レジスト塗布基板とマスクとのギャップを100μm以上に保ちつつ、マスクを用いて露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、現像してパターニング後熱硬化して、基板周縁部を避けて平坦膜を形成するとともに平坦膜の周縁部を傾斜させることを特徴とする請求項5又は7記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項12】 絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層を順次積層した基板上に、紫外線および/または遠紫外線感光能をもつ透明レジストをスピンコーターあるいはロールコーターにより塗布し、該レジスト塗布基板とマスクとのギャップを100μm以上に保ちつつ、マスクを用いて露光部と未露光部の境界が基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように露光し、現像してパターニング後熱硬化して、基板周縁部を避けて平坦膜を形成するとともに平坦膜の周縁部を傾斜させることを特徴とする請求項6又は8記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項13】 絶縁性基板上に、ブラックマトリックス、絶縁膜、色素層形成用透明電極、ミセル電解法で作製した色素層を順次積層した基板上に、透明な熱硬化性樹脂をオフセット印刷機を用い凸版と凹版の境界部が、基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように印刷し、これを熱硬化して平坦膜を形成し、さらに基板の中心点と研磨面の中心点とのギャップをとって各々を回転させて研磨することにより、平坦膜の周縁部が傾斜したカラーフィルタを製造することを特徴とする請求項5又は7記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項14】 絶縁性基板上に、色素層形成用透明電極、ブラックマトリックス、ミセル電解法で作製した色素層を順次積層した基板上に、透明な熱硬化性樹脂をオフセット印刷機を用い凸版と凹版の境界部が、基板の画素部と基板の周縁部との間に位置するように印刷し、これを熱硬化して平坦膜を形成し、さらに基板の中心点と研磨面の中心点とのギャップをとって各々を回転させて研磨することにより、平坦膜の周縁部が傾斜したカラーフィルタを製造することを特徴とする請求項6又は8記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項15】 請求項1,2,3,又は4記載のカラーフィルタと、液晶駆動用電極基板と、これらの間に封入した液晶からなることを特徴とするカラー液晶ディスプレイ。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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