カラーフィルタ基板の製造方法
【課題】直描露光方式を用いてフォトスペーサ及び構造部材を形成する際の工程簡略化を図る。
【解決手段】基板上に有色画素層及びブラックマトリクスを形成し、有色画素層及びブラックマトリクスが形成された基板の上面に感光性レジスト材料層を形成し、感光性レジスト材料層の上方からレーザー光を所定の露光領域に照射することでこの感光性レジスト材料層を露光し、露光工程における未露光部を現像により除去し、現像が終了した感光性レジスト材料層を加熱・焼成することでこの感光性レジスト材料からなるフォトスペーサ及び構造部材を形成する。この際、フォトスペーサ及び構造部材に対応する露光領域を細分化し、これらフォトスペーサ及び構造部材が加熱工程後において所定の膜厚となるように、細分化された露光領域の個々についてレーザー光の照射を選択的に行う。
【解決手段】基板上に有色画素層及びブラックマトリクスを形成し、有色画素層及びブラックマトリクスが形成された基板の上面に感光性レジスト材料層を形成し、感光性レジスト材料層の上方からレーザー光を所定の露光領域に照射することでこの感光性レジスト材料層を露光し、露光工程における未露光部を現像により除去し、現像が終了した感光性レジスト材料層を加熱・焼成することでこの感光性レジスト材料からなるフォトスペーサ及び構造部材を形成する。この際、フォトスペーサ及び構造部材に対応する露光領域を細分化し、これらフォトスペーサ及び構造部材が加熱工程後において所定の膜厚となるように、細分化された露光領域の個々についてレーザー光の照射を選択的に行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いる、フォトスペーサと構造部材とを備えたカラーフィルタ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一対の透光性基板間に液晶を挟持して構成されている。一方の透光性基板上にはTFT等の駆動回路が形成され、他方の透光性基板上には、ブラックマトリックス、カラーフィルタ等が形成されている。液晶表示装置の大型化にともなって透光性基板間の数μmの間隔(セルギャップともいう)を精密に制御する必要から、従来の樹脂製もしくはガラス製のビーズスペーサを液晶内に散布する方式から、フォトリソグラフィー技術により樹脂組成物からなる柱状の突起物を形成する方法に移行しつつある。
【0003】
カラーフィルタが形成された透光性基板(以下、カラーフィルタ基板と称する)は、一般的に赤・緑・青の三色からなる有色画素層が、透光性基板上にストライプ状あるいはトライアングル配列等、適切なパターンで配置されるものである。先ず、透光性基板上に有色画素層を区画して混色を防止するための仕切り堰となるブラックマトリックスを形成する。ブラックマトリックス材料としては金属薄膜あるいは黒色の感光性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法によりパターン形成する。続いて、緑色感光性樹脂組成物を塗布し、これもフォトリソグラフィー法により、例えばストライプ状にパターニングして緑色有色画素層を形成する。この工程を、赤、青の感光性樹脂組成物に繰り返して、緑、赤、青の有色画素層が配置されたカラーフィルタ基板を得ることができる。
【0004】
従来のカラーフィルタ基板においては、感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリックス、カラーフィルタ、オーバーコート層を形成すれば十分であったが、最近では、これらに加えて、基板間のギャップを制御するためのフォトスペーサ、配向制御用の突起、ストライプ状やアイランド状のパターンまでもカラーフィルタ基板上に作り込むようになっている。
【0005】
隣接する有色画素層同士が会合するブラックマトリックスの上部部分においては、ブラックマトリックス上に有色画素層が乗り上げることによりツノ段差と呼ばれる突起や、有色画素層同士が乗り上げて重なることにより生じる凸部、逆に有色画素層同士が重ならず隙間となった凹部など多様な凹凸構造を呈していた。当該部位では、この後に透明電極が形成されると断線したりして、カラーフィルタ基板表面の電気抵抗値が上昇する可能性が高い。またこのような部分では応力が集中しやすいために、透明電極形成工程以降での加熱・冷却工程において、透明電極膜にクラックが生じることによりパネル品質が低下することが予想される。
【0006】
これとは別に、液晶表示装置ではブラックマトリックスの形成エリアに透明電極配線を設けるため、この部分に導電性の異物があるとコモンショートと呼ばれるパネル不良が発生するため、品質の低下が予測される。
【0007】
そこで、有色画素層が会合する境界部位を透明絶縁保護膜で被覆することにより対策を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。被覆する領域は、パネルの設計に応じて決めればよいが、有色画素層が線状に形成されている場合には、隣接する有色画素層が会合する境界領域部分に透明絶縁保護膜を形成し、被覆を行っている。
【0008】
特許文献1に開示された技術では、製造工程簡略化の観点から、フォトスペーサと透明絶縁保護膜とは同一の樹脂組成物から形成されている。そして、これらフォトスペーサ及び透明絶縁保護膜を形成する際、工程数の省略によるコストダウンおよび生産効率等の観点より、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクなどの階調フォトマスクを用い、形成したい所定の領域の露光光強度を減衰させ任意の高さとなるように設計することで、透明絶縁保護膜の高さをフォトスペーサより低くなるように形成していた。
【0009】
以上の内容について、図17及び図18を参照して簡単に説明する。これら図において、1は透光性基板、2はこの透光性基板1上に形成されたブラックマトリクス、3は同様に透光性基板1上に形成され、ブラックマトリクス2により所定領域に区画された有色画素層である。有色画素層3のうち、赤色有色画素層を3R、緑色有色画素層を3G、青色有色画素層を3Bと区別して符号を付す。4は有色画素層3の上面に形成された、例えばITOからなる透明導電層、5は透明導電層4の上面に形成されたフォトスペーサである。これらによりカラーフィルタ基板Cが構成されている。
【0010】
図17に示すように、隣接する有色画素層3同士が会合するブラックマトリクス2の上部部分においては、有色画素層3同士が乗り上げて重なることにより凸部PRが生じることがあり得る。また、図18に示すように、このカラーフィルタ基板Cの上方に、フォトスペーサ5を介して所定間隔をもってTFT基板7が配置された場合、凸部PRとTFT基板7との間に導電性の異物8が混入すると、この異物8の部分において上述のコモンショートが発生する可能性が高くなる。このため、図17に示すように、有色画素層3同士が会合する境界部位(図17、図18の場合はブラックマトリクス2の上部)に、透明絶縁保護層6を形成する技術が提案されている。
【0011】
特許文献1に記載された技術は、露光方式として、フォトマスクを用いたプロキシミティー露光方式や投影露光方式を用いていたが、(1)フォトマスクを必要としない点、(2)高解像・高品質パターン描画などの観点より、直描露光(Mask Less)露光方式が提案されている。さらに近年、改良が進み、高スループットかつ露光領域境界での寸法変動が少なく高解像度な直描露光システム及びこの直描露光システムを構成するCADや直描露光機が提案されている。
【0012】
直描露光方式はレーザー光源を露光光源としており、各レジストの感度に応じて、照射される積算露光量は、レーザーの発振周波数とスキャン速度の積により決定される。
【0013】
直描露光方式においては、液晶表示装置における、配向方向制御用突起や液晶層厚さを規定する柱状またはリブ状のスペーサーを配設する際の生産性や品質の問題に対応できるパターニング方法が考案されており、(1)光量を変えることにより残膜量が変わる感光性材料を用い、レーザー直描画方式により光量を変えることによる露光方法(特許文献2参照)、(3)波長を変えることにより残膜量が変わる感光性材料を用い、レーザー直描画方式により、波長を変えることによる露光方法(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−266579号公報
【特許文献2】特開2006−84897号公報
【特許文献3】特開2008−180896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の特許文献1に開示された技術のように、フォトスペーサと透明絶縁保護膜とを同一の樹脂組成物で構成し、さらに、特許文献2、3に開示された技術のように、直描露光方式の利点を生かしてこれらフォトスペーサ等を直描露光方式で形成することを考える。ここで、直描露光方式では、露光中はレーザー発振周波数およびスキャン速度は一定であり、任意の所定領域毎に積算露光量を変更することができない。この為、1回の露光処理において、フォトスペーサや透明絶縁保護膜に対応する個々の所定領域を各々の露光量に調整することによって、フォトスペーサや透明絶縁保護膜等をそれぞれ所定の膜厚のパターンを同時に形成することは困難である。
【0016】
一方、直描露光方式においてスキャン速度やレーザー周波数を変更することで対応しようとした場合、露光タクトが非常に長くなる為、生産性に乏しい為、量産展開には不向きである。
【0017】
なお、以上の問題は、フォトスペーサと透明絶縁保護膜とをカラーフィルタ基板上に形成する場合のみならず、上述した配向制御用突起などの構造部材とフォトスペーサとをカラーフィルタ基板上に形成する場合も同様の問題を抱えていた。
【0018】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、直描露光方式を用いてフォトスペーサ及び構造部材を形成する際の工程簡略化を図ることの可能なカラーフィルタ基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、少なくとも透光性基板上に有色画素層、ブラックマトリクス、フォトスペーサ及び構造部材が形成されたカラーフィルタ基板の製造方法に適用される。そして、透光性基板上に有色画素層及びブラックマトリクスを形成する工程と、有色画素層及びブラックマトリクスが形成された透光性基板の上面に感光性レジスト材料層を形成する工程と、感光性レジスト材料層の上方からレーザー光を所定の露光領域に照射することでこの感光性レジスト材料層を露光する工程と、前記未露光部を現像処理により除去する現像工程と、現像が終了した感光性レジスト材料層を加熱・焼成することでこの感光性レジスト材料からなるフォトスペーサ及び構造部材を形成する工程とを設け、露光工程において、フォトスペーサ及び構造部材に対応する露光領域を細分化し、これらフォトスペーサ及び構造部材が加熱工程後において所定の膜厚となるように、細分化された露光領域の個々についてレーザー光の照射を選択的に行うことを特徴としている。
【0020】
ここに、感光性レジスト材料層を構成する感光性レジスト材料は、ネガ型感光性レジストまたはポジ型感光性レジストであって、熱フロー性を有するものであることが好ましい。
【0021】
また、露光工程において、フォトスペーサ及び構造部材に対応する露光領域を格子状に細分化することが好ましい。
【0022】
ここで、構造部材は、ブラックマトリクスの上方に形成された絶縁保護層を含む。あるいは、構造部材は、有色画素層及びブラックマトリクスの上面に形成されたオーバーコート層を含み、このオーバーコート層の上部にフォトスペーサ及び構造部材であるサブフォトスペーサが形成される。あるいは、構造部材は、有色画素層の上方に形成された配向制御用突起を含む。あるいは、構造部材は、フォトスペーサと同線幅寸法のサブフォトスペーサを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、1回の露光処理においてそれぞれ所定の膜厚を有するフォトスペーサ及び構造部材を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図
【図2】図1のY−Y矢視断面図
【図3】第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法に用いられる直描露光機を示す概略図
【図4】第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図5】第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図6】本発明の第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す断面図
【図7】第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図8】第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図
【図10】図9のX−X矢視断面図
【図11】第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図12】第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図13】本発明の第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す断面図
【図14】第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図15】第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図16】第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域の他の例を示す図
【図17】従来のカラーフィルタ基板の一例を示す断面図
【図18】従来のカラーフィルタ基板の他の例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図、図2は図1のY−Y矢視断面図である。
【0026】
本実施形態におけるカラーフィルタ基板Cは、既に説明した従来のカラーフィルタ基板と略同一の構成を有している。すなわち、1は透光性基板、2はこの透光性基板1上に形成されたブラックマトリクス、3は同様に透光性基板1上に形成され、ブラックマトリクス2により所定領域に区画された有色画素層である。有色画素層3のうち、赤色有色画素層を3R、緑色有色画素層を3G、青色有色画素層を3Bと区別して符号を付す。4は有色画素層3の上面に形成された、例えばITOからなる透明導電層、5は透明導電層4の上面に形成されたフォトスペーサである。6は、有色画素層3同士が会合する境界部位(図1、図2の場合はブラックマトリクス2の上部)に形成された透明絶縁保護層(構造部材)6である。これらによりカラーフィルタ基板Cが構成されている。
【0027】
透光性基板1としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラスなどの無機ガラス、PET、PES、PCなどのプラスチック基板、又はこれらガラス基板やプラスチック基板上に、酸化シリコンや酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機薄膜を成膜したものを、使用の目的・用途に応じて使い分けて用いることができる。
【0028】
ブラックマトリクス2は、透光性基板1上に黒色の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥した後に、フォトマスクを用いて所定のパターンに露光し、現像およびポストベークを行うことで形成される。
【0029】
有色画素層3は、複数色の有色画素層3R、3G、3Bから構成されており、色としては、赤、緑、青(RGB)の組み合わせあるいはイエロー、マゼンダ、シアン(YMC)の組み合わせが挙げられる。これに加え、明度を上げるために着色画素の一部を透明な画素とすることができる。
【0030】
有色画素層3の製法としては、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で有色画素層3を形成し、その後フォトリソグラフィー法によりパターニングするか、インクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの方法が使用できる。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料、光開始剤、重合性モノマー等と共に適当な溶剤に分散させた感光性着色樹脂組成物を透光性基板1上に塗布製膜して特定の色の有色画素層3R、3G、3Bを形成し、この有色画素層3R、3G、3Bをパターン露光、現像することで特定色の有色画素層3R、3G、3Bを形成し、この工程を必要な色数だけ繰り返し行ってカラーフィルタとするフォトリソグラフー法が最も好ましい。
【0031】
ブラックマトリックス2及び有色画素層3形成用の感光性着色樹脂組成物は、透明樹脂中に、着色剤となる顔料、光開始剤、重合性モノマー等を適切な溶剤により分散させて製造する。これらを分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。
【0032】
本実施形態に用いることができる感光性着色樹脂組成物の原材料の一例を説明する。
<遮光材料>
遮光材としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸窒化チタンなどの金属酸化物や顔料、その他既知の遮光材料を用いることができる。また、遮光層の色調を調整するために、以下に示す補色の着色顔料を必要に応じて混合してもよい。
<着色顔料>
赤色有色画素層もしくは赤色画素を形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を添加併用することができる。
【0033】
黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。橙色顔料としてはC.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0034】
緑色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Green 7、10、36、3
7等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を添加併用することができる。
【0035】
青色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I.Pigment Violet 23を添加併用することができる。
【0036】
また、上記着色組成物あるいは有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲で染料を含有させることができる。
【0037】
<透明樹脂>
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0038】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0039】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0040】
重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β
−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0041】
紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。 光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0042】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0043】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0044】
また、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0045】
透明導電層4を構成する透明導電材には特に限定はなく、従来のカラーフィルタ基板に用いられている周知の素材、例えばITO(酸化インジウムスズ)が好適に用いられる。
【0046】
フォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6を構成する材質としては、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストが好適に用いられる。この感光性ネガ型レジストは、例えばアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、及び重合性モノマーを主成分とするアクリル系感光性樹脂組成物である。より、熱フロー性を富ませる為に、TG(ガラス転移点)の低い樹脂による処方やモノマー量を減らす処方としてもよい。あるいは、熱フロー性を有する感光性ポジ型レジストを用いてもよい。
【0047】
次に、図1〜図5を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
まず、透光性基板上1に、黒色の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥した後に、フォトマスクを用いて所定のパターンに露光し、現像およびポストベークを行うことで、ブラックマトリックス2を形成する。ブラックマトリックス2の膜厚は、含有するカーボンブラック量から必要な光学濃度を見積もり所望の膜厚に設定することが望ましく、一般には、およそ1〜2μm程度である。ブラックマトリックス2の形成方法としては、スピンコート法やスリットコート法、スピンレス法などの塗布法を用いて塗布した後に、上記定法のフォトリソグラフィー法を用いてパターニングするか、インクジェット法、印刷法などを用いて直接にパターン形成をすることも可能である。
【0048】
次に、ブラックマトリックス2を形成した透光性基板上1に、カラーフィルタとなる有色画素層3を形成する。有色画素層3の製法としては、すでに説明したように、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で有色画素層3を形成し、その後フォトリソグラフィー法によりパターニングするか、インクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの方法が使用できる。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料、光開始剤、重合性モノマー等と共に適当な溶剤に分散させた感光性着色樹脂組成物を透明基板上に塗布製膜して特定の色の有色画素層を形成し、この有色画素層をパターン露光、現像することで特定色の有色画素層を形成し、この工程を必要な色数だけ繰り返し行ってカラーフィルタとするフォトリソグラフー法が最も好ましい。
【0049】
具体的には、まず、赤色のネガ型感光性樹脂組成物を塗布、乾燥した後に、赤色有色画素層のパターンに対応した開口部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、定法の現像及びポストベーク処理を施すことで、赤色有色画素層3Rを形成することができる。半透過型液晶表示装置用のカラーフィルタでは、光透過用のスルーホールを有色画素層ごとに形成するが、その場合にはスルーホールに対応する部位に開口部を備えたフォトマスクを用いてパターン露光する。
【0050】
以下、同一の手順を繰り返すことにより、緑色着色画素層3Gおよび青色着色画素層3B、場合によっては透明画素が形成されたカラーフィルタ基板を得ることができる。各色の塗布膜厚は、分光透過率などを考慮すると通常はプリベーク後の膜厚で1〜3μm程度である。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。現像後、水洗、乾燥して特定色の有色画素層3が得られる。
【0051】
次に、ブラックマトリックス2と有色画素層3との上面に、例えばITOからなる透明導電層4を形成する。
【0052】
さらに、この透明導電層4の上面に、フォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6を形成する。本実施形態では、直描露光方式によりフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6を形成する。
【0053】
図3は、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法に用いる、パルス露光可能なレーザスキャニング露光装置(直描露光機)を示す斜視図である。図3において、表面に感光性材料層(図示せず)が形成された基板21の被露光領域の上方に、複数(図では4個)の露光ヘッド22が、一定の方向(図3の場合、X方向)に沿って並置されている。これらの露光ヘッド22列の下を基板21が当該ヘッド列の並列方向と交差する方向、(図3の場合、X方向に直行するY方向)にスキャン移動し、レーザー発振機23から送られたレーザー光24が個々の露光ヘッド22に分岐され、個々の露光ヘッド22から基板21上の被露光領域へ選択的に照射され、露光が行われる。
【0054】
露光ヘッド22には、図示を省略したCAD機からCAD露光データが送出される。個々の露光ヘッド22内には、例えばDMD(Digital Micro Mirror Device)のような、微少領域内において選択的にレーザー光24の照射のオン/オフ制御が可能な機構(図示略)が設けられており、CAD露光データに従って選択的にレーザー光24が照射されることにより、基板21上の微小領域に対して選択的に露光を行うことができる。
【0055】
まず、透明導電層4が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図4に示すように、透明導電層4の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。プリベーク処理の条件は、一例として80℃〜120℃、処理時間は90秒〜240秒とされる。
【0056】
次いで、図3に示すような直描露光機により、図4に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E2に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0057】
ここで、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においては、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6が形成された際に、これらフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0058】
具体的には、図5に示すように、上述のCAD露光データにおいて、露光(照射)領域を設定する際に、この露光領域を格子状に細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。すなわち、図5において、フォトスペーサ5については、対応する露光領域E1の全体においてレーザー光24が照射されるようにCAD露光データが設定されている。ここに、図5中、黒色で表示される領域は、レーザー光24が照射されて露光される領域であり、白色で表示される領域は、レーザー光24が照射されずに露光されない領域を意味している。一方、透明絶縁保護層6については、フォトスペーサ5よりもその膜厚が薄く設定されるので、細分化露光領域において選択的にレーザー光24が照射されるようにCAD露光データの露光領域E2が設定されている。本実施形態においては、露光領域E2全体でみると、図5に示すように、格子状の細分化露光領域において交互にレーザー光24照射のオン/オフが設定されることで、図中市松状あるいはドット状になっている。
【0059】
露光領域E2において個々の細分化露光領域へのレーザー光24照射のオン/オフは、最終的に透明絶縁保護層6がフォトスペーサ5よりも薄い所定の膜厚となるように設定されている。より具体的にいえば、図5に示す露光領域E1、E2に従って露光がされ、現像された後のフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6に対応する部分のパターンは、図5のP1、P2のようになる。ここに、透明絶縁保護層6に対応するパターンP2においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P2が焼成されることで、図5に示すように、最終的なフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。
【0060】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図1及び図2に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。オーブン焼成の条件は、一例として220℃〜240℃、15分〜30分とされる。
【0061】
以上説明した本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄い透明絶縁保護層6を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板Cを示す断面図である。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0063】
本実施形態においては、ブラックマトリクス2及び有色画素層3の上面にオーバーコート層(構造部材)11が形成されているとともに、このオーバーコート層11の上面にフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ(構造部材)12が形成されている。これらフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12は、同一の熱フロー性を有する感光性レジストからなる。
【0064】
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
透光性基板1上にブラックマトリクス2及び有色画素層3を形成する方法については、第1の実施形態のそれと同一であるので説明を簡略化する。次に、ブラックマトリクス2及び有色画素層3が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図7に示すように、ブラックマトリクス2及び有色画素層3の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。さらに、図3に示すような直描露光機により、図7に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E3、E4に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0065】
本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においても、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12が形成された際に、これらフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0066】
照射領域の具体例について図8を参照して説明する。図8に示すように、上述のCAD露光データにおいて、フォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12に対応する露光(照射)領域E1、E3、E4を設定する際に、この露光領域を細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。そして、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12に対応するパターンP3、P4においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定の残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P3、P4が焼成されることで、図6に示すように、最終的なフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。
【0067】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図6に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。
【0068】
従って、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によっても、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄いオーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0069】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図、図10は図9のX−X矢視断面図である。
【0070】
本実施形態においては、透明導電層4の上面にフォトスペーサ5及び配向制御突起(構造部材)13が形成されている。これらフォトスペーサ5及び配向制御突起13は、同一の熱フロー性を有する感光性レジストからなる。
【0071】
次に、図11及び図12を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
透光性基板1上にブラックマトリクス2、有色画素層3及び透明導電層4を形成する方法については、第1の実施形態のそれと同一であるので説明を簡略化する。次に、透明導電層4が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図11に示すように、透明導電層4の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。さらに、図3に示すような直描露光機により、図11に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E5に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0072】
本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においても、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5及び配向制御突起13が形成された際に、これらフォトスペーサ5及び配向制御突起13が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0073】
照射領域の具体例について図12を参照して説明する。図12に示すように、上述のCAD露光データにおいて、フォトスペーサ5及び配向制御突起13に対応する露光(照射)領域E1、E5を設定する際に、この露光領域を細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。そして、配向制御突起13に対応するパターンP5においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定の残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P5が焼成されることで、図10に示すように、最終的なフォトスペーサ5及び配向制御突起13は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。
【0074】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図10に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。
従って、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によっても、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄い配向制御突起13を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
図13は、本発明の第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す断面図である。
【0076】
本実施形態においては、透明導電層4の上面にフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサと同線幅寸法のサブフォトスペーサ(構造部材)14が形成されている。これらフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14は、同一の熱フロー性を有する感光性レジストからなる。
【0077】
次に、図14及び図15を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
透光性基板1上にブラックマトリクス2、有色画素層3及び透明導電層4を形成する方法については、第1の実施形態のそれと同一であるので説明を簡略化する。次に、透明導電層4が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図14に示すように、透明導電層4の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。さらに、図3に示すような直描露光機により、図14に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E6に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0078】
本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においても、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14が形成された際に、これらフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0079】
照射領域の具体例について図15を参照して説明する。図15に示すように、上述のCAD露光データにおいて、フォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14に対応する露光(照射)領域E1、E6を設定する際に、この露光領域を細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。そして、サブフォトスペーサ14に対応するパターンP6においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定の残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P6が焼成されることで、図13に示すように、最終的なフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。あるいは、図16に示すような露光領域の設定であってもよい。
【0080】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図13に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。
【0081】
従って、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によっても、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄いサブフォトスペーサ14
を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0082】
なお、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、その細部が上述の各実施形態に限定されず、種々の変形例が可能である。一例として、フォトスペーサと同時形成される構造部材は、上述のサブフォトスペーサ、配向制御用突起、オーバーコート層に限定されず、カラーフィルタ基板に作りこまれる各種構造部材であれば限定はない。
【実施例】
【0083】
上述の第1の実施形態に対応するカラーフィルタ基板を製造した。まず、320mm×400mm×0.5tの無アルカリガラス基板上に、ブラックマトリクス、有色画素層及びITOからなる透明導電層を形成した。次いで、この基板上にアクリル系透明樹脂からなる感光性レジストをスピンコータにより塗布した。さらに、この感光性レジストを乾燥させた後、90℃の条件下において180秒プリベーク処理を行った。
【0084】
さらに、LD(レーザーダイオード、波長405nm)発振器を露光光源とする直描露光機により、所定形状及び膜厚となるようにレーザー描画露光を行った後、炭酸ナトリウム0.15重量%、炭酸水素ナトリウム0.05重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)0.1重量%及び水99.7重量%からなるアルカリ現像液によりスプレー現像処理を行い、未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で30分加熱焼成して、フォトスペーサ及び透明絶縁保護層のパターニング形成を行った。その結果、図1及び図2に示すように、所定形状及び所定膜厚のフォトスペーサ及び透明絶縁保護膜をパターニング形成することができた。
【符号の説明】
【0085】
1 透光性基板
2 ブラックマトリクス
3、3R、3G、3B 有色画素層
4 透明導電層
5 フォトスペーサ
6 透明絶縁保護膜
7 TFT基板
8 異物
9 感光性レジスト材料層
11 オーバーコート層
12、14 サブフォトスペーサ
13 配向制御用突起
C カラーフィルタ基板
E1、E2、E3、E4、E5、E6 露光領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いる、フォトスペーサと構造部材とを備えたカラーフィルタ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一対の透光性基板間に液晶を挟持して構成されている。一方の透光性基板上にはTFT等の駆動回路が形成され、他方の透光性基板上には、ブラックマトリックス、カラーフィルタ等が形成されている。液晶表示装置の大型化にともなって透光性基板間の数μmの間隔(セルギャップともいう)を精密に制御する必要から、従来の樹脂製もしくはガラス製のビーズスペーサを液晶内に散布する方式から、フォトリソグラフィー技術により樹脂組成物からなる柱状の突起物を形成する方法に移行しつつある。
【0003】
カラーフィルタが形成された透光性基板(以下、カラーフィルタ基板と称する)は、一般的に赤・緑・青の三色からなる有色画素層が、透光性基板上にストライプ状あるいはトライアングル配列等、適切なパターンで配置されるものである。先ず、透光性基板上に有色画素層を区画して混色を防止するための仕切り堰となるブラックマトリックスを形成する。ブラックマトリックス材料としては金属薄膜あるいは黒色の感光性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法によりパターン形成する。続いて、緑色感光性樹脂組成物を塗布し、これもフォトリソグラフィー法により、例えばストライプ状にパターニングして緑色有色画素層を形成する。この工程を、赤、青の感光性樹脂組成物に繰り返して、緑、赤、青の有色画素層が配置されたカラーフィルタ基板を得ることができる。
【0004】
従来のカラーフィルタ基板においては、感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリックス、カラーフィルタ、オーバーコート層を形成すれば十分であったが、最近では、これらに加えて、基板間のギャップを制御するためのフォトスペーサ、配向制御用の突起、ストライプ状やアイランド状のパターンまでもカラーフィルタ基板上に作り込むようになっている。
【0005】
隣接する有色画素層同士が会合するブラックマトリックスの上部部分においては、ブラックマトリックス上に有色画素層が乗り上げることによりツノ段差と呼ばれる突起や、有色画素層同士が乗り上げて重なることにより生じる凸部、逆に有色画素層同士が重ならず隙間となった凹部など多様な凹凸構造を呈していた。当該部位では、この後に透明電極が形成されると断線したりして、カラーフィルタ基板表面の電気抵抗値が上昇する可能性が高い。またこのような部分では応力が集中しやすいために、透明電極形成工程以降での加熱・冷却工程において、透明電極膜にクラックが生じることによりパネル品質が低下することが予想される。
【0006】
これとは別に、液晶表示装置ではブラックマトリックスの形成エリアに透明電極配線を設けるため、この部分に導電性の異物があるとコモンショートと呼ばれるパネル不良が発生するため、品質の低下が予測される。
【0007】
そこで、有色画素層が会合する境界部位を透明絶縁保護膜で被覆することにより対策を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。被覆する領域は、パネルの設計に応じて決めればよいが、有色画素層が線状に形成されている場合には、隣接する有色画素層が会合する境界領域部分に透明絶縁保護膜を形成し、被覆を行っている。
【0008】
特許文献1に開示された技術では、製造工程簡略化の観点から、フォトスペーサと透明絶縁保護膜とは同一の樹脂組成物から形成されている。そして、これらフォトスペーサ及び透明絶縁保護膜を形成する際、工程数の省略によるコストダウンおよび生産効率等の観点より、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクなどの階調フォトマスクを用い、形成したい所定の領域の露光光強度を減衰させ任意の高さとなるように設計することで、透明絶縁保護膜の高さをフォトスペーサより低くなるように形成していた。
【0009】
以上の内容について、図17及び図18を参照して簡単に説明する。これら図において、1は透光性基板、2はこの透光性基板1上に形成されたブラックマトリクス、3は同様に透光性基板1上に形成され、ブラックマトリクス2により所定領域に区画された有色画素層である。有色画素層3のうち、赤色有色画素層を3R、緑色有色画素層を3G、青色有色画素層を3Bと区別して符号を付す。4は有色画素層3の上面に形成された、例えばITOからなる透明導電層、5は透明導電層4の上面に形成されたフォトスペーサである。これらによりカラーフィルタ基板Cが構成されている。
【0010】
図17に示すように、隣接する有色画素層3同士が会合するブラックマトリクス2の上部部分においては、有色画素層3同士が乗り上げて重なることにより凸部PRが生じることがあり得る。また、図18に示すように、このカラーフィルタ基板Cの上方に、フォトスペーサ5を介して所定間隔をもってTFT基板7が配置された場合、凸部PRとTFT基板7との間に導電性の異物8が混入すると、この異物8の部分において上述のコモンショートが発生する可能性が高くなる。このため、図17に示すように、有色画素層3同士が会合する境界部位(図17、図18の場合はブラックマトリクス2の上部)に、透明絶縁保護層6を形成する技術が提案されている。
【0011】
特許文献1に記載された技術は、露光方式として、フォトマスクを用いたプロキシミティー露光方式や投影露光方式を用いていたが、(1)フォトマスクを必要としない点、(2)高解像・高品質パターン描画などの観点より、直描露光(Mask Less)露光方式が提案されている。さらに近年、改良が進み、高スループットかつ露光領域境界での寸法変動が少なく高解像度な直描露光システム及びこの直描露光システムを構成するCADや直描露光機が提案されている。
【0012】
直描露光方式はレーザー光源を露光光源としており、各レジストの感度に応じて、照射される積算露光量は、レーザーの発振周波数とスキャン速度の積により決定される。
【0013】
直描露光方式においては、液晶表示装置における、配向方向制御用突起や液晶層厚さを規定する柱状またはリブ状のスペーサーを配設する際の生産性や品質の問題に対応できるパターニング方法が考案されており、(1)光量を変えることにより残膜量が変わる感光性材料を用い、レーザー直描画方式により光量を変えることによる露光方法(特許文献2参照)、(3)波長を変えることにより残膜量が変わる感光性材料を用い、レーザー直描画方式により、波長を変えることによる露光方法(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−266579号公報
【特許文献2】特開2006−84897号公報
【特許文献3】特開2008−180896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の特許文献1に開示された技術のように、フォトスペーサと透明絶縁保護膜とを同一の樹脂組成物で構成し、さらに、特許文献2、3に開示された技術のように、直描露光方式の利点を生かしてこれらフォトスペーサ等を直描露光方式で形成することを考える。ここで、直描露光方式では、露光中はレーザー発振周波数およびスキャン速度は一定であり、任意の所定領域毎に積算露光量を変更することができない。この為、1回の露光処理において、フォトスペーサや透明絶縁保護膜に対応する個々の所定領域を各々の露光量に調整することによって、フォトスペーサや透明絶縁保護膜等をそれぞれ所定の膜厚のパターンを同時に形成することは困難である。
【0016】
一方、直描露光方式においてスキャン速度やレーザー周波数を変更することで対応しようとした場合、露光タクトが非常に長くなる為、生産性に乏しい為、量産展開には不向きである。
【0017】
なお、以上の問題は、フォトスペーサと透明絶縁保護膜とをカラーフィルタ基板上に形成する場合のみならず、上述した配向制御用突起などの構造部材とフォトスペーサとをカラーフィルタ基板上に形成する場合も同様の問題を抱えていた。
【0018】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、直描露光方式を用いてフォトスペーサ及び構造部材を形成する際の工程簡略化を図ることの可能なカラーフィルタ基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、少なくとも透光性基板上に有色画素層、ブラックマトリクス、フォトスペーサ及び構造部材が形成されたカラーフィルタ基板の製造方法に適用される。そして、透光性基板上に有色画素層及びブラックマトリクスを形成する工程と、有色画素層及びブラックマトリクスが形成された透光性基板の上面に感光性レジスト材料層を形成する工程と、感光性レジスト材料層の上方からレーザー光を所定の露光領域に照射することでこの感光性レジスト材料層を露光する工程と、前記未露光部を現像処理により除去する現像工程と、現像が終了した感光性レジスト材料層を加熱・焼成することでこの感光性レジスト材料からなるフォトスペーサ及び構造部材を形成する工程とを設け、露光工程において、フォトスペーサ及び構造部材に対応する露光領域を細分化し、これらフォトスペーサ及び構造部材が加熱工程後において所定の膜厚となるように、細分化された露光領域の個々についてレーザー光の照射を選択的に行うことを特徴としている。
【0020】
ここに、感光性レジスト材料層を構成する感光性レジスト材料は、ネガ型感光性レジストまたはポジ型感光性レジストであって、熱フロー性を有するものであることが好ましい。
【0021】
また、露光工程において、フォトスペーサ及び構造部材に対応する露光領域を格子状に細分化することが好ましい。
【0022】
ここで、構造部材は、ブラックマトリクスの上方に形成された絶縁保護層を含む。あるいは、構造部材は、有色画素層及びブラックマトリクスの上面に形成されたオーバーコート層を含み、このオーバーコート層の上部にフォトスペーサ及び構造部材であるサブフォトスペーサが形成される。あるいは、構造部材は、有色画素層の上方に形成された配向制御用突起を含む。あるいは、構造部材は、フォトスペーサと同線幅寸法のサブフォトスペーサを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、1回の露光処理においてそれぞれ所定の膜厚を有するフォトスペーサ及び構造部材を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図
【図2】図1のY−Y矢視断面図
【図3】第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法に用いられる直描露光機を示す概略図
【図4】第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図5】第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図6】本発明の第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す断面図
【図7】第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図8】第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図
【図10】図9のX−X矢視断面図
【図11】第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図12】第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図13】本発明の第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す断面図
【図14】第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための工程図
【図15】第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域を示す図
【図16】第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法における露光領域の他の例を示す図
【図17】従来のカラーフィルタ基板の一例を示す断面図
【図18】従来のカラーフィルタ基板の他の例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図、図2は図1のY−Y矢視断面図である。
【0026】
本実施形態におけるカラーフィルタ基板Cは、既に説明した従来のカラーフィルタ基板と略同一の構成を有している。すなわち、1は透光性基板、2はこの透光性基板1上に形成されたブラックマトリクス、3は同様に透光性基板1上に形成され、ブラックマトリクス2により所定領域に区画された有色画素層である。有色画素層3のうち、赤色有色画素層を3R、緑色有色画素層を3G、青色有色画素層を3Bと区別して符号を付す。4は有色画素層3の上面に形成された、例えばITOからなる透明導電層、5は透明導電層4の上面に形成されたフォトスペーサである。6は、有色画素層3同士が会合する境界部位(図1、図2の場合はブラックマトリクス2の上部)に形成された透明絶縁保護層(構造部材)6である。これらによりカラーフィルタ基板Cが構成されている。
【0027】
透光性基板1としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラスなどの無機ガラス、PET、PES、PCなどのプラスチック基板、又はこれらガラス基板やプラスチック基板上に、酸化シリコンや酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機薄膜を成膜したものを、使用の目的・用途に応じて使い分けて用いることができる。
【0028】
ブラックマトリクス2は、透光性基板1上に黒色の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥した後に、フォトマスクを用いて所定のパターンに露光し、現像およびポストベークを行うことで形成される。
【0029】
有色画素層3は、複数色の有色画素層3R、3G、3Bから構成されており、色としては、赤、緑、青(RGB)の組み合わせあるいはイエロー、マゼンダ、シアン(YMC)の組み合わせが挙げられる。これに加え、明度を上げるために着色画素の一部を透明な画素とすることができる。
【0030】
有色画素層3の製法としては、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で有色画素層3を形成し、その後フォトリソグラフィー法によりパターニングするか、インクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの方法が使用できる。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料、光開始剤、重合性モノマー等と共に適当な溶剤に分散させた感光性着色樹脂組成物を透光性基板1上に塗布製膜して特定の色の有色画素層3R、3G、3Bを形成し、この有色画素層3R、3G、3Bをパターン露光、現像することで特定色の有色画素層3R、3G、3Bを形成し、この工程を必要な色数だけ繰り返し行ってカラーフィルタとするフォトリソグラフー法が最も好ましい。
【0031】
ブラックマトリックス2及び有色画素層3形成用の感光性着色樹脂組成物は、透明樹脂中に、着色剤となる顔料、光開始剤、重合性モノマー等を適切な溶剤により分散させて製造する。これらを分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。
【0032】
本実施形態に用いることができる感光性着色樹脂組成物の原材料の一例を説明する。
<遮光材料>
遮光材としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸窒化チタンなどの金属酸化物や顔料、その他既知の遮光材料を用いることができる。また、遮光層の色調を調整するために、以下に示す補色の着色顔料を必要に応じて混合してもよい。
<着色顔料>
赤色有色画素層もしくは赤色画素を形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を添加併用することができる。
【0033】
黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。橙色顔料としてはC.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0034】
緑色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Green 7、10、36、3
7等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を添加併用することができる。
【0035】
青色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I.Pigment Violet 23を添加併用することができる。
【0036】
また、上記着色組成物あるいは有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲で染料を含有させることができる。
【0037】
<透明樹脂>
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0038】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0039】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0040】
重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β
−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0041】
紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。 光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0042】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0043】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0044】
また、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0045】
透明導電層4を構成する透明導電材には特に限定はなく、従来のカラーフィルタ基板に用いられている周知の素材、例えばITO(酸化インジウムスズ)が好適に用いられる。
【0046】
フォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6を構成する材質としては、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストが好適に用いられる。この感光性ネガ型レジストは、例えばアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、及び重合性モノマーを主成分とするアクリル系感光性樹脂組成物である。より、熱フロー性を富ませる為に、TG(ガラス転移点)の低い樹脂による処方やモノマー量を減らす処方としてもよい。あるいは、熱フロー性を有する感光性ポジ型レジストを用いてもよい。
【0047】
次に、図1〜図5を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
まず、透光性基板上1に、黒色の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥した後に、フォトマスクを用いて所定のパターンに露光し、現像およびポストベークを行うことで、ブラックマトリックス2を形成する。ブラックマトリックス2の膜厚は、含有するカーボンブラック量から必要な光学濃度を見積もり所望の膜厚に設定することが望ましく、一般には、およそ1〜2μm程度である。ブラックマトリックス2の形成方法としては、スピンコート法やスリットコート法、スピンレス法などの塗布法を用いて塗布した後に、上記定法のフォトリソグラフィー法を用いてパターニングするか、インクジェット法、印刷法などを用いて直接にパターン形成をすることも可能である。
【0048】
次に、ブラックマトリックス2を形成した透光性基板上1に、カラーフィルタとなる有色画素層3を形成する。有色画素層3の製法としては、すでに説明したように、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で有色画素層3を形成し、その後フォトリソグラフィー法によりパターニングするか、インクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの方法が使用できる。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料、光開始剤、重合性モノマー等と共に適当な溶剤に分散させた感光性着色樹脂組成物を透明基板上に塗布製膜して特定の色の有色画素層を形成し、この有色画素層をパターン露光、現像することで特定色の有色画素層を形成し、この工程を必要な色数だけ繰り返し行ってカラーフィルタとするフォトリソグラフー法が最も好ましい。
【0049】
具体的には、まず、赤色のネガ型感光性樹脂組成物を塗布、乾燥した後に、赤色有色画素層のパターンに対応した開口部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、定法の現像及びポストベーク処理を施すことで、赤色有色画素層3Rを形成することができる。半透過型液晶表示装置用のカラーフィルタでは、光透過用のスルーホールを有色画素層ごとに形成するが、その場合にはスルーホールに対応する部位に開口部を備えたフォトマスクを用いてパターン露光する。
【0050】
以下、同一の手順を繰り返すことにより、緑色着色画素層3Gおよび青色着色画素層3B、場合によっては透明画素が形成されたカラーフィルタ基板を得ることができる。各色の塗布膜厚は、分光透過率などを考慮すると通常はプリベーク後の膜厚で1〜3μm程度である。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。現像後、水洗、乾燥して特定色の有色画素層3が得られる。
【0051】
次に、ブラックマトリックス2と有色画素層3との上面に、例えばITOからなる透明導電層4を形成する。
【0052】
さらに、この透明導電層4の上面に、フォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6を形成する。本実施形態では、直描露光方式によりフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6を形成する。
【0053】
図3は、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法に用いる、パルス露光可能なレーザスキャニング露光装置(直描露光機)を示す斜視図である。図3において、表面に感光性材料層(図示せず)が形成された基板21の被露光領域の上方に、複数(図では4個)の露光ヘッド22が、一定の方向(図3の場合、X方向)に沿って並置されている。これらの露光ヘッド22列の下を基板21が当該ヘッド列の並列方向と交差する方向、(図3の場合、X方向に直行するY方向)にスキャン移動し、レーザー発振機23から送られたレーザー光24が個々の露光ヘッド22に分岐され、個々の露光ヘッド22から基板21上の被露光領域へ選択的に照射され、露光が行われる。
【0054】
露光ヘッド22には、図示を省略したCAD機からCAD露光データが送出される。個々の露光ヘッド22内には、例えばDMD(Digital Micro Mirror Device)のような、微少領域内において選択的にレーザー光24の照射のオン/オフ制御が可能な機構(図示略)が設けられており、CAD露光データに従って選択的にレーザー光24が照射されることにより、基板21上の微小領域に対して選択的に露光を行うことができる。
【0055】
まず、透明導電層4が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図4に示すように、透明導電層4の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。プリベーク処理の条件は、一例として80℃〜120℃、処理時間は90秒〜240秒とされる。
【0056】
次いで、図3に示すような直描露光機により、図4に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E2に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0057】
ここで、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においては、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6が形成された際に、これらフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0058】
具体的には、図5に示すように、上述のCAD露光データにおいて、露光(照射)領域を設定する際に、この露光領域を格子状に細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。すなわち、図5において、フォトスペーサ5については、対応する露光領域E1の全体においてレーザー光24が照射されるようにCAD露光データが設定されている。ここに、図5中、黒色で表示される領域は、レーザー光24が照射されて露光される領域であり、白色で表示される領域は、レーザー光24が照射されずに露光されない領域を意味している。一方、透明絶縁保護層6については、フォトスペーサ5よりもその膜厚が薄く設定されるので、細分化露光領域において選択的にレーザー光24が照射されるようにCAD露光データの露光領域E2が設定されている。本実施形態においては、露光領域E2全体でみると、図5に示すように、格子状の細分化露光領域において交互にレーザー光24照射のオン/オフが設定されることで、図中市松状あるいはドット状になっている。
【0059】
露光領域E2において個々の細分化露光領域へのレーザー光24照射のオン/オフは、最終的に透明絶縁保護層6がフォトスペーサ5よりも薄い所定の膜厚となるように設定されている。より具体的にいえば、図5に示す露光領域E1、E2に従って露光がされ、現像された後のフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6に対応する部分のパターンは、図5のP1、P2のようになる。ここに、透明絶縁保護層6に対応するパターンP2においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P2が焼成されることで、図5に示すように、最終的なフォトスペーサ5及び透明絶縁保護層6は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。
【0060】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図1及び図2に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。オーブン焼成の条件は、一例として220℃〜240℃、15分〜30分とされる。
【0061】
以上説明した本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄い透明絶縁保護層6を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板Cを示す断面図である。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0063】
本実施形態においては、ブラックマトリクス2及び有色画素層3の上面にオーバーコート層(構造部材)11が形成されているとともに、このオーバーコート層11の上面にフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ(構造部材)12が形成されている。これらフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12は、同一の熱フロー性を有する感光性レジストからなる。
【0064】
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
透光性基板1上にブラックマトリクス2及び有色画素層3を形成する方法については、第1の実施形態のそれと同一であるので説明を簡略化する。次に、ブラックマトリクス2及び有色画素層3が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図7に示すように、ブラックマトリクス2及び有色画素層3の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。さらに、図3に示すような直描露光機により、図7に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E3、E4に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0065】
本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においても、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12が形成された際に、これらフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0066】
照射領域の具体例について図8を参照して説明する。図8に示すように、上述のCAD露光データにおいて、フォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12に対応する露光(照射)領域E1、E3、E4を設定する際に、この露光領域を細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。そして、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12に対応するパターンP3、P4においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定の残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P3、P4が焼成されることで、図6に示すように、最終的なフォトスペーサ5、オーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。
【0067】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図6に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。
【0068】
従って、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によっても、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄いオーバーコート層11及びサブフォトスペーサ12を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0069】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す平面図、図10は図9のX−X矢視断面図である。
【0070】
本実施形態においては、透明導電層4の上面にフォトスペーサ5及び配向制御突起(構造部材)13が形成されている。これらフォトスペーサ5及び配向制御突起13は、同一の熱フロー性を有する感光性レジストからなる。
【0071】
次に、図11及び図12を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
透光性基板1上にブラックマトリクス2、有色画素層3及び透明導電層4を形成する方法については、第1の実施形態のそれと同一であるので説明を簡略化する。次に、透明導電層4が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図11に示すように、透明導電層4の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。さらに、図3に示すような直描露光機により、図11に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E5に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0072】
本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においても、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5及び配向制御突起13が形成された際に、これらフォトスペーサ5及び配向制御突起13が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0073】
照射領域の具体例について図12を参照して説明する。図12に示すように、上述のCAD露光データにおいて、フォトスペーサ5及び配向制御突起13に対応する露光(照射)領域E1、E5を設定する際に、この露光領域を細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。そして、配向制御突起13に対応するパターンP5においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定の残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P5が焼成されることで、図10に示すように、最終的なフォトスペーサ5及び配向制御突起13は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。
【0074】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図10に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。
従って、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によっても、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄い配向制御突起13を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
図13は、本発明の第4の実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法により製造されたカラーフィルタ基板を示す断面図である。
【0076】
本実施形態においては、透明導電層4の上面にフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサと同線幅寸法のサブフォトスペーサ(構造部材)14が形成されている。これらフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14は、同一の熱フロー性を有する感光性レジストからなる。
【0077】
次に、図14及び図15を参照して、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
透光性基板1上にブラックマトリクス2、有色画素層3及び透明導電層4を形成する方法については、第1の実施形態のそれと同一であるので説明を簡略化する。次に、透明導電層4が形成された基板上に、熱フロー性を有する感光性ネガ型レジストを塗布し、減圧乾燥及びプリベーク処理を行うことで、図14に示すように、透明導電層4の上面に感光性レジスト材料層9を形成する。さらに、図3に示すような直描露光機により、図14に示すように、感光性レジスト材料層9の所定の露光領域E1、E6に対して選択的にレーザー光24を照射して、感光性レジスト材料層9の露光処理を行う。
【0078】
本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においても、最終的に感光性レジスト材料層9が露光、現像及び焼成されることでフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14が形成された際に、これらフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14が所定の形状及び膜厚となるように、レーザー光24の照射領域が設定されている。
【0079】
照射領域の具体例について図15を参照して説明する。図15に示すように、上述のCAD露光データにおいて、フォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14に対応する露光(照射)領域E1、E6を設定する際に、この露光領域を細分化し、この細分化された個々の微小領域(以下、細分化露光領域と称する)において選択的にレーザー光24の照射がされるように設定がされている。そして、サブフォトスペーサ14に対応するパターンP6においては、その上面において上述のように選択的な露光がされることにより、所定形状および所定の残膜となる様に形成される。その後、このパターンP1、P6が焼成されることで、図13に示すように、最終的なフォトスペーサ5及びサブフォトスペーサ14は、所定の膜厚差をもって形成されることになる。あるいは、図16に示すような露光領域の設定であってもよい。
【0080】
レーザー光24による露光が終了したら、アルカリ現像液によって現像し、未露光部分を除去する。その後、オーブン焼成を行うことにより、図13に示すようなカラーフィルタ基板Cを製造することができる。
【0081】
従って、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法によっても、1回の露光処理においてフォトスペーサ5及びこのフォトスペーサ5より膜厚の薄いサブフォトスペーサ14
を同時に形成することが可能となり、工程簡略化に大きく貢献することができる。また、フォトマスク等を用いることなく直接描画工程により製造することができるので、コスト削減にも大きく貢献することができる。
【0082】
なお、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、その細部が上述の各実施形態に限定されず、種々の変形例が可能である。一例として、フォトスペーサと同時形成される構造部材は、上述のサブフォトスペーサ、配向制御用突起、オーバーコート層に限定されず、カラーフィルタ基板に作りこまれる各種構造部材であれば限定はない。
【実施例】
【0083】
上述の第1の実施形態に対応するカラーフィルタ基板を製造した。まず、320mm×400mm×0.5tの無アルカリガラス基板上に、ブラックマトリクス、有色画素層及びITOからなる透明導電層を形成した。次いで、この基板上にアクリル系透明樹脂からなる感光性レジストをスピンコータにより塗布した。さらに、この感光性レジストを乾燥させた後、90℃の条件下において180秒プリベーク処理を行った。
【0084】
さらに、LD(レーザーダイオード、波長405nm)発振器を露光光源とする直描露光機により、所定形状及び膜厚となるようにレーザー描画露光を行った後、炭酸ナトリウム0.15重量%、炭酸水素ナトリウム0.05重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)0.1重量%及び水99.7重量%からなるアルカリ現像液によりスプレー現像処理を行い、未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で30分加熱焼成して、フォトスペーサ及び透明絶縁保護層のパターニング形成を行った。その結果、図1及び図2に示すように、所定形状及び所定膜厚のフォトスペーサ及び透明絶縁保護膜をパターニング形成することができた。
【符号の説明】
【0085】
1 透光性基板
2 ブラックマトリクス
3、3R、3G、3B 有色画素層
4 透明導電層
5 フォトスペーサ
6 透明絶縁保護膜
7 TFT基板
8 異物
9 感光性レジスト材料層
11 オーバーコート層
12、14 サブフォトスペーサ
13 配向制御用突起
C カラーフィルタ基板
E1、E2、E3、E4、E5、E6 露光領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも透光性基板上に有色画素層、ブラックマトリクス、フォトスペーサ及び構造部材が形成されたカラーフィルタ基板の製造方法であって、
前記透光性基板上に前記有色画素層及び前記ブラックマトリクスを形成する工程と、
前記有色画素層及び前記ブラックマトリクスが形成された前記透光性基板の上面に感光性レジスト材料層を形成する工程と、
前記感光性レジスト材料層の上方からレーザー光を所定の露光領域に照射することでこの感光性レジスト材料層を露光する工程と、前記露光における未露光部を現像により除去する現像工程と、
現像が終了した前記感光性レジスト材料層を加熱・焼成することでこの感光性レジスト材料からなる前記フォトスペーサ及び前記構造部材を形成する工程とを備え、
前記露光工程において、前記フォトスペーサ及び前記構造部材に対応する前記露光領域を細分化し、これらフォトスペーサ及び構造部材が前記加熱工程後において所定の膜厚となるように、前記細分化された露光領域の個々についてレーザー光の照射を選択的に行う
ことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項2】
前記感光性レジスト材料層を構成する感光性レジスト材料は、ネガ型感光性レジストまたはポジ型感光性レジストであって、熱フロー性を有するものであることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項3】
前記露光工程において、前記フォトスペーサ及び前記構造部材に対応する前記露光領域を格子状に細分化することを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項4】
前記構造部材は、前記ブラックマトリクスの上方に形成された絶縁保護層を含むことを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項5】
前記構造部材は、前記有色画素層及び前記ブラックマトリクスの上面に形成されたオーバーコート層を含み、このオーバーコート層の上部に前記フォトスペーサ及び前記構造部材であるサブフォトスペーサが形成されていることを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
前記構造部材は、前記有色画素層の上方に形成された配向制御用突起を含むことを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項7】
前記構造部材は、前記フォトスペーサと同線幅寸法のサブフォトスペーサを含むことを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項1】
少なくとも透光性基板上に有色画素層、ブラックマトリクス、フォトスペーサ及び構造部材が形成されたカラーフィルタ基板の製造方法であって、
前記透光性基板上に前記有色画素層及び前記ブラックマトリクスを形成する工程と、
前記有色画素層及び前記ブラックマトリクスが形成された前記透光性基板の上面に感光性レジスト材料層を形成する工程と、
前記感光性レジスト材料層の上方からレーザー光を所定の露光領域に照射することでこの感光性レジスト材料層を露光する工程と、前記露光における未露光部を現像により除去する現像工程と、
現像が終了した前記感光性レジスト材料層を加熱・焼成することでこの感光性レジスト材料からなる前記フォトスペーサ及び前記構造部材を形成する工程とを備え、
前記露光工程において、前記フォトスペーサ及び前記構造部材に対応する前記露光領域を細分化し、これらフォトスペーサ及び構造部材が前記加熱工程後において所定の膜厚となるように、前記細分化された露光領域の個々についてレーザー光の照射を選択的に行う
ことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項2】
前記感光性レジスト材料層を構成する感光性レジスト材料は、ネガ型感光性レジストまたはポジ型感光性レジストであって、熱フロー性を有するものであることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項3】
前記露光工程において、前記フォトスペーサ及び前記構造部材に対応する前記露光領域を格子状に細分化することを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項4】
前記構造部材は、前記ブラックマトリクスの上方に形成された絶縁保護層を含むことを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項5】
前記構造部材は、前記有色画素層及び前記ブラックマトリクスの上面に形成されたオーバーコート層を含み、このオーバーコート層の上部に前記フォトスペーサ及び前記構造部材であるサブフォトスペーサが形成されていることを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
前記構造部材は、前記有色画素層の上方に形成された配向制御用突起を含むことを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項7】
前記構造部材は、前記フォトスペーサと同線幅寸法のサブフォトスペーサを含むことを特徴とする請求項1から3に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−255889(P2012−255889A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128485(P2011−128485)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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