説明

カラーフィルタ基板及び液晶表示装置

【課題】表示品質の高いカラーフィルタ基板を提供する。
【解決手段】実施形態に係るカラーフィルタ基板は、透明基板と、ブラックマトリクスと、カラーフィルタ層と、透明樹脂層とを含む。ブラックマトリクスは、透明基板の平面を複数の開口領域に区分けするように形成される。カラーフィルタ層は、透明基板の平面における複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内である。透明樹脂層は、カラーフィルタ層上に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に備えられるカラーフィルタ基板及びこのカラーフィルタ基板を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、液晶の初期配向を基板面に水平にし液晶駆動電圧の印加時に液晶を基板面に対して平行に回転させる横電界方式、又は、フリンジフィールド・スイッチング(Fringe-Field Switching、以下FFSと略称する)方式、を用いた液晶表示装置が市販されている。これらの液晶表示装置は、ノーマリーブラック(液晶駆動電圧の無印加時に液晶は水平配向、偏光板はクロスニコル)で用いられ、広い視野角と高いコントラストが得られる。このため、ノーマリーブラックの液晶表示装置は、大型テレビジョン及び携帯電話などのモバイル機器のディスプレイに利用される。
【0003】
FFS方式の液晶表示装置は、横電界方式の液晶表示装置より高い透過率で表示を行うことができ、高画質である。しかしながら、FFS方式の液晶表示装置では、液晶周辺部材に高度な電気的特性が要求される。例えば、FFS方式の液晶表示装置では、カラーフィルタ及び液晶を駆動する画素電極と共通電極との間の絶縁層などのような部材の電気特性について厳しい条件が課される。FFS方式においては、特に誘電正接について厳しい条件が課せられる。
【0004】
横電界方式の液晶表示装置向けカラーフィルタに関する技術の一例として、特許文献1(特開2009−229826号公報)、特許文献2(特開平9−292514号公報)がある。
【0005】
特許文献1では、横電界方式液晶表示装置に適用されるカラーフィルタの誘電正接とその色度とが規定されている。また、特許文献1では、横電界方式に必要な比誘電率が記載されている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1では、赤、緑、青のそれぞれのカラーフィルタが有する誘電正接の具体値が開示されておらず、必要な誘電正接及びバラツキの大きさが開示されていない。したがって、特許文献1には、中間調表示時に必要な赤、緑、青のカラーフィルタに均質に備えるべきそれぞれの誘電正接について考慮されていない。また、特許文献1では、着色画素によるカラー表示時にコントラストを確保するために形成されるブラックマトリクスの誘電正接の影響について記載されていない。特許文献1においては、FFS方式の液晶表示装置のカラーフィルタの誘電正接の条件について記載されていない。特許文献1においては、横電界方式及びFFS方式の液晶表示装置で主に適用される液晶の駆動周波数(120Hz、240Hzなど)に対して検討されておらず、この液晶駆動周波数と誘電正接との関係が記載されていない。液晶周辺部材の電気特性は、低周波領域と高周波領域でその値が変えられることが多く、実際の使用条件で測定される必要がある。特許文献1に示されるカラーフィルタの構成では、透明樹脂層によるオーバーコート層が備えられていない。これに対して、FFS方式の液晶表示装置では、カラーフィルタ上に透明樹脂層によるオーバーコート層が形成される必要がある。なぜなら、FFS方式に用いられる液晶材料の電圧保持率は極めて高度である必要があり、カラーフィルタの有機顔料に含まれる不純物イオンの影響により電圧保持率が低下することを避けるために、FFS方式においては透明樹脂によるオーバーコート層が必然となる。
【0007】
特許文献2では、比誘電率が4.5以下である着色膜及びブラックマトリクスが開示されているが、誘電正接に関する記述はない。誘電正接は寄生抵抗の観点に基づいて寄生抵抗に流れる電流損失と言うことができ、カラーフィルタの誘電正接の値は小さい方がよい。比誘電率のみの評価では、外部電界による振動の遅れが生じる場合の、エネルギー損失を考慮することが困難である。カラーフィルタ部材の電気特性評価においては、誘電正接評価が不可欠である。
【0008】
横電界方式の液晶表示装置とFFS方式の液晶表示装置の差異について、図14及び図15を参照して説明する。
【0009】
図14は、横電界方式の液晶表示装置の一例を示す部分断面図である。図14の液晶表示装置30は、カラーフィルタ基板31とアレイ基板32とを、向かい合うようにして配置し、カラーフィルタ基板31とアレイ基板32とを、液晶層33を介して貼り合わせた構成を持つ。アレイ基板32には、画素電極(第1電極と称する場合もある)34及び共通電極(第2電極と称する場合もある)35が絶縁層93を介して形成されている。画素電極34及び共通電極35は、金属などの導電性の高い材料からなる配線層であり、例えば、数十μmピッチの櫛歯状パターンで形成される。液晶層33は、誘電率異方性が正の液晶(液晶分子)を備え、カラーフィルタ基板31及びアレイ基板32の平面に対して水平に初期配向される。
【0010】
この図14は、画素電極34と共通電極35との間に、例えば5Vの液晶駆動電圧を印加した“白表示”の状態を示している。電界は、図14の電気力線36に示されるように横方向に印加される。横方向に印加された画素電極34と共通電極35との間の液晶は、印加電圧によりアレイ基板31の表面に平行な水平方向に回転する。なお、カラーフィルタ基板32の基板面に近い液晶とアレイ基板31の基板面に近い液晶は、配向膜のラビングの規制力が強いため十分に回転しない。図14では、画素電極34上の液晶及び共通電極34上の液晶は、液晶を回転させる電圧が架かりにくいため、初期の水平配向のままであまり回転していない(液晶の軸は、紙面に対して垂直方向に配向している)。例えば、画素電極34と共通電極35とをITO(Indium Tin Oxide:インジウム・スズの金属酸化物薄膜)などの透明導電膜を用いて形成し、駆動電圧を印加した場合であっても、回転しない液晶が残る。このように、回転しない液晶は、透過率の低下原因となる。
【0011】
図15は、FFS方式の液晶表示装置の一例を示す部分断面図である。液晶表示装置40において、カラーフィルタ基板32とアレイ基板41とは、向かい合うように配置される。カラーフィルタ基板32とアレイ基板41とは、液晶層33を介して貼り合わされる。アレイ基板41上には、画素電極34と共通電極42とが絶縁層93を介して形成される。画素電極34と共通電極42とは、ITOなどの透明電膜で形成される。この図15において、共通電極42は、1つのサブピクセル又は画素内で、ベタ平面状に形成される電極構造を持つ。画素電極34の電極幅はWL、画素電極34間のピッチ(間隔)はWSで表されている。
【0012】
この図15に示される液晶層33は、画素電極34と共通電極42との間に液晶駆動電圧が印加されることにより、サブピクセル又は画素内ほぼ全域に渡って液晶が水平方向で回転し、高透過率の表示が行われる。初期水平配向の液晶が用いられるFFS方式の液晶表示装置40においては、フリンジ電界を短い周期で発生させることによって透過率を向上させることができる。
【0013】
上記のような横方式及びFSS方式とは異なる、斜め電解方式の液晶表示装置について、以下で説明する。斜め電解方式の液晶表示装置は、広視野角を実現可能であり、液晶制御性に優れている。代表的な斜め電界方式として、アレイ基板など一方の基板に画素電極と共通電極を設け、カラーフィルタ基板など他方の基板に対向電極(第3電極と称する場合もある)を設け、これら2つの基板に挟持される液晶の厚み方向に対し斜め方向の電界を発生させる液晶制御方式がある。
【0014】
特許文献3(特許第3609712号公報)には、斜め電界方式に用いられるカラーフィルタ基板の構成が開示されている。この特許文献3のカラーフィルタ基板は、透明基板上に、対向電極である透明導電膜を備え、透明導電膜上に、誘電体としてカラーフィルタを備えた構成を持つ。
【0015】
特許文献4(特開2009−163014号公報)には、ピグメントグリーン58を含み、誘電正接が0.02以下の緑色着色層が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−229826号公報
【特許文献2】特開平9−292514号公報
【特許文献3】特許第3609712号公報
【特許文献4】特開2009−163014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
FFS方式液晶表示装置及び斜め電界方式液晶表示装置では、カラーフィルタの誘電正接を低くし、異なる色のカラーフィルタ間で均質化する必要がある。例えば、誘電正接の大きなカラーフィルタが用いられると、階調表示時に誘電正接の大きなカラーフィルタの透過率が他のカラーフィルタより低下し、色バランスずれ、液晶表示の焼き付き、光漏れが発生する場合がある。誘電正接は、用いられる材料の構造による配向電極部位の、外部電界による振動の遅れである。言い換えれば、誘電正接は、外部電界を運動エネルギーとして消費する現象の指標である。例えば、比誘電率の大小だけを用いて、この材料構造に付随する振動の遅れを検討することは不十分であり、誘電正接の大きさを検討する必要がある。ゆえに、カラーフィルタの評価は、比誘電率だけでなく誘電正接の大きさを正確に評価することにより、消費電力のアップ及び上記の液晶表示の不具合を解消することが好ましい。また、一般にコントラスト改善のために用いられるブラックマトリクスには、遮光性(黒色)の色剤としてカーボンが用いられる。しかしながら、カーボンを主な顔料とするブラックマトリクスの誘電正接は、0.030〜0.100と極めて大きい。液晶の有効表示領域を囲う額縁パターンに必要な遮光性(光学濃度)を得ることのできるブラックマトリクスの誘電正接は、通常、0.080前後の大きな値となる。このような誘電正接の大きいブラックマトリクスを用いるFFS方式の液晶表示装置では、低階調などの中間表示におけるブラックマトリクスとカラーフィルタとの境界部で、光漏れが発生する場合がある。このような光漏れが発生する理由は、液晶駆動電圧の印加時に、本来、一画素内で均等であるべき等電位線が、ブラックマトリクスの高い誘電正接の悪影響で変形するためである。この等電位線の変形の結果、ブラッマトリクス周辺で光漏れが発生することになる。
【0018】
FFS方式の液晶表示装置は、高画質であるため、赤ムラ又は白ムラなどの色ムラが発生し易い。この色ムラの原因の一つは、カラーフィルタ層(着色層)からのイオン性不純物の液晶への溶出によって生じる。イオン性不純物の溶出は、オーバーコート層として高純度の透明樹脂層でカラーフィルタ層上を覆うことによってほぼ解消できる。しかしながら、カラーフィルタ層のそれぞれ異なる有機顔料種に起因する誘電正接の差は、オーバーコート層で覆うだけで解消することは困難である。例えば、緑色顔料に一般的に用いられるハロゲン化銅フタロシアニン顔料は、このハロゲン化銅フタロシアニン顔料を色剤とする緑色画素の誘電正接を高め、緑カラーフィルタの透過率をわずかに低下させる。このため、赤ムラなどの表示不良が発生する場合がある。
【0019】
上記の特許文献4には、ピグメントグリーン58を含み、誘電正接が0.02以下の緑色着色層が開示されている。しかしながら、赤色着色層及び青色着色層の誘電正接が示されておらず、赤、緑、青での階調表示(特に低階調などの中間表示)、色バランス、赤ムラ、白ムラなどについては検討されていない。さらに、特許文献4には、高い画質表示の可能なFFS方式の液晶表示装置について記載されておらず、例えばブラックマトリクスが高誘電正接を持つ場合の光漏れについて検討されていない。
【0020】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされ、横電界方式の液晶表示装置よりも高透過率、高画質で、色ムラ及び光漏れが抑制され、FFS方式及び斜め電界方式の液晶表示装置に最適なカラーフィルタ基板、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1の態様において、カラーフィルタ基板は、透明基板、ブラックマトリクス、カラーフィルタ層、透明樹脂層を含む。ブラックマトリクスは、透明基板の平面を複数の開口領域に区分けするように形成される。カラーフィルタ層は、透明基板の平面における複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内である。透明樹脂層は、カラーフィルタ層上に形成される。
【0022】
第2の態様において、カラーフィルタ基板は、透明基板、ブラックマトリクス、透明導電膜、カラーフィルタ層、透明樹脂層を含む。ブラックマトリクスは、透明基板の平面を複数の開口領域に区分けするように形成される。透明導電膜は、ブラックマトリクスと複数の開口領域とを覆うように形成される。カラーフィルタ層は、透明誘電膜の形成された複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内である。透明樹脂層は、カラーフィルタ層上に形成される。
【0023】
第3の態様において、カラーフィルタ基板は、透明基板、透明導電膜、ブラックマトリクス、カラーフィルタ層、透明樹脂層を含む。透明導電膜は、透明基板の平面上に形成される。ブラックマトリクスは、透明導電膜の平面を複数の開口領域に区分けするように形成される。カラーフィルタ層は、透明基板の平面における複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内である。透明樹脂層は、カラーフィルタ層上に形成される。
【0024】
上記各態様において、ブラックマトリクスは、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であるとしてもよい。
【0025】
上記各態様において、ブラックマトリクスは、色材の全体量に対する有機顔料の割合が92質量%以上であり、残りがカーボンであるとしてもよい。
【0026】
上記各態様において、緑のカラーフィルタに用いられる緑色顔料は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料としてもよい。
【0027】
上記各態様において、液晶駆動周波数は、60Hzから480Hzの範囲の周波数であるとしてもよい。
【0028】
上記各態様において、ブラックマトリクスは、複数の開口領域のそれぞれが多角形のマトリクスパターンと、液晶表示有効範囲を囲む額縁パターンとを備え、少なくとも3色のカラーフィルタは、赤カラーフィルタと青カラーフィルタとを含み、額縁パターンには、赤カラーフィルタの形成に用いられる赤層と青カラーフィルタの形成に用いられる青層とのうちの少なくとも一方が重畳されるとしてもよい。また、この態様において、額縁パターン上に赤カラーフィルタの形成に用いられる赤層が形成され、赤層上に青カラーフィルタの形成に用いられる青層が形成されるとしてもよい。
【0029】
上記各態様において、開口領域の形状は、対向する辺が平行な多角形状であるとしてもよい。
【0030】
第4の態様において、液晶表示装置は、画素電極を備えるアレイ基板と、上記各態様のいずれかのカラーフィルタ基板とを、液晶を介して対向する状態で貼り合わせている。
【発明の効果】
【0031】
本発明の態様によって、FFS方式及び斜め電界方式の液晶表示装置に備えられ、色バランスずれ、赤ムラ、白ムラなどの表示不良を抑制するカラーフィルタ基板を提供することができる。また、本発明の態様によって、ブラックマトリクスとカラーフィルタ層との境界部での光漏れが抑制されるFFS方式の液晶表示装置用のカラーフィルタ基板を提供することができる。さらに、本発明の態様によって、上記表示不良を解消したFFS方式及び斜め電界方式の液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態に係るカラーフィルタ基板の一例を示す部分断面図。
【図2】第1の実施形態に係るカラーフィルタ基板の各着色フィルタとブラックマトリクスの配置の一例を示す平面図。
【図3】第1の実施形態に係るカラーフィルタ基板を備えたFFS方式の液晶表示装置の一例を示す部分断面図。
【図4】第1の実施形態におけるブラックマトリクスによって形成される開口領域と画素電極との配置関係の一例を示す平面図。
【図5】第6の実施形態に係るカラーフィルタ基板の一例を示す部分断面図。
【図6】第6の実施形態におけるブラックマトリクスによって形成される開口領域と画素電極との配置関係の一例を示す平面図。
【図7】第7の実施形態に係るカラーフィルタ基板の一例を示す部分断面。
【図8】第7の実施形態に係るブラックマトリクスによって形成される開口領域と画素電極との配置関係の一例を示す平面図。
【図9】第8の実施形態に係る液晶表示装置の一例を示す部分断面図。
【図10】第8の実施形態に係る液晶表示装置の液晶の初期垂直配向の状態の一例を示す部分断面図。
【図11】第8の実施形態に係る液晶表示装置の液晶の電圧印加後の状態の一例を示す部分断面図。
【図12】第8の実施形態に係る電気力線と液晶の回転との関係の一例を示す部分断面図。
【図13】画素電極の断面形状の一例を示す部分断面図。
【図14】従来の横電界方式の液晶表示装置の一例を示す部分断面図。
【図15】従来のFFS方式の液晶表示装置の一例を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は実質的に同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、必要に応じて説明を行う。
【0034】
以下の実施形態においては、特徴的な部分についてのみ説明し、通常と差異のない部分については省略する。
【0035】
以下の実施形態において、液晶表示装置の単一色の表示単位は、1サブピクセル又は1画素であるとする。
【0036】
[第1の実施形態]
本実施形態においては、FFS方式の液晶表示装置に備えられ、表示品質の高いカラーフィルタ基板について説明する。
【0037】
図1は、本実施形態に係るカラーフィルタ基板の一例を示す部分断面図である。
【0038】
図2は、本実施形態に係るカラーフィルタ基板の各着色フィルタ(フィルタセグメント)とブラックマトリクスの配置の一例を示す平面図である。
【0039】
本実施形態に係るカラーフィルタ基板1は、透明基板2、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタ層3、透明樹脂層4を具備する。
【0040】
本実施形態において、カラーフィルタ層3は、赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBを含むとする。しかしながら、カラーフィルタ層3は、シアンフィルタ、マゼンタフィルタ、イエローフィルタなどのような補色系など、他の色を含むとしてもよい。また、本実施形態において、カラーフィルタ層3は3色のフィルタを備えているが、4色以上のフィルタを備えるとしてもよい。
【0041】
透明基板2としては、例えばガラス基板などが用いられる。
【0042】
ブラックマトリクスBMは、透明基板2の平面(表面)に対して、この平面を複数の開口領域に区分けするように形成される。
【0043】
ブラックマトリクスBMは、有効表示領域に配置され複数の開口領域のそれぞれを多角形とするマトリクスパターンBMaと、有効表示領域を囲む額縁領域に配置される額縁パターンBMbとを備える。
【0044】
額縁パターンBMbには、赤カラーフィルタRの形成に用いられる赤層rと青カラーフィルタBの形成に用いられる青層bとのうちの少なくとも一方が重畳される。図1では、額縁パターンBMb上に赤層rが形成され、さらに赤層r上に青層bが形成されている。
【0045】
額縁パターンBMbは、例えば、約3mm幅の遮光層であり、ブラックマトリクスBMのマトリクスパターンBMaと同じ材料及びプロセスで生成される。額縁パターンBMb上に赤層r及び青層bが積層されることにより、額縁領域の遮光性を増加させることができ、3以上の光学濃度を確保することができる。赤層rと青層bとを含む着色層については、ハーフトーンマスクの使用などにより、膜厚を調整可能である。青層bの誘電正接は他の着色層(例えば赤層r)の誘電正接より小さいため、額縁パターンBMb上の積層構成は、青層bが他の着色層よりも液晶表示装置5において液晶層7に近い側に配置されることが有利である。
【0046】
なお、図示していないが、カラーフィルタ基板1を用いて液晶表示装置5を形成するときに、液晶層7の厚みに合わせて、赤層、緑層、青層を積層してスペーサを形成してもよい。この場合においては、上記の額縁領域の積層順序と同様に、青層の誘電正接が他の着色層の誘電正接より小さいため、青層をこの積層構成のスペーサの最上層とすることが好ましく、また、青層でスペーサを覆うとしてもよい。
【0047】
ブラックマトリクスBMは、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であるとする。
【0048】
本実施形態において、液晶駆動周波数は、60Hzから480Hzの範囲の周波数であるとする。
【0049】
ブラックマトリクスBMは、色材の全体量に対する有機顔料の割合が92質量%以上であり、残りがカーボンであるとする。
【0050】
開口領域の平面形状は、対向する辺が平行な多角形状であるとする。多角形としては、例えば、正方形、長方形、平行四辺形、くの字形状(V字状又はブーメラン状)などを用いることができる。図2では、長方形状の場合を例示している。
【0051】
本実施形態において、ブラックマトリクスBMでは、有機顔料が主な色剤とされる。
【0052】
カラーフィルタ層3は、ブラックマトリクスBMの形成された透明基板2に対して形成される。すなわち、カラーフィルタ層3の各フィルタR,G,Bは、ブラックマトリクスBMによって区画された透明基板10上の各開口領域に形成される。
【0053】
カラーフィルタ層3は、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下である。3色のフィルタR,G,Bの平均誘電正接に対して、3色のフィルタR,G,Bの各誘電正接は、±0.003の範囲内であるとする。
【0054】
透明樹脂層4は、赤フィルタR、緑フィルタG、及び青フィルタBを含むカラーフィルタ層3上に、形成される。
【0055】
図3は、本実施形態に係るカラーフィルタ基板1を備えたFFS方式の液晶表示装置の一例を示す部分断面図である。この図3は、画素電極11の櫛歯部分の軸に垂直な断面を示している。
【0056】
FFS方式の液晶表示装置5は、アレイ基板6と、カラーフィルタ基板1とを対向させ、液晶層7を介して貼り合わせる。
【0057】
アレイ基板6は、TFT(薄膜トランジスタ)などの液晶駆動素子が形成されている基板8上に、絶縁層91及び絶縁層92を備え、絶縁層92の上に、ベタ形状(平板状)の共通電極10を備える。さらに、アレイ基板6は、共通電極10の形成された絶縁層92の上に、絶縁層93を備える。そして、アレイ基板6は、絶縁層93の上に、櫛歯状の画素電極11を備える。
【0058】
本実施形態に係る液晶表示装置5においては、カラーフィルタ基板1の透明樹脂層4側と、アレイ基板6の画素電極11側とが、液晶層7を介して、対向している。
【0059】
画素電極11の櫛歯部分の電極幅WLは、10μm以下である。例えば、電極幅WLは、2μmから10μm程度とする。
【0060】
画素電極11の櫛歯部分の水平方向の間隔(ピッチ)WSは、15μm以下とする。
【0061】
例えば、本実施形態においては、電極幅WLを5μmとし、ピッチWSを11μmとする。
【0062】
画素電極11の電極幅WLとピッチWSとは、小さいほど液晶表示装置5の透過率アップに寄与する。なぜなら、画素電極11のパターンエッジから共通電極10へ向かうフリンジ電界が液晶駆動の主体となるためである。なお、例えば、電極幅WLが2μmで形成された場合にピッチWSを3μm程度とするなどのように、ピッチWSが電極幅WLよりも少し広めに形成されることは、透過率向上の点で効率がよい。
【0063】
上記の図3では、TFT、配向膜、偏光板、位相差板などは省略している。カラーフィルタ基板1とアレイ基板6とは、誘電率異方性が4.5(誘電率異方性が正の液晶)である液晶層7を介して対向して貼り合わされている。図示を省略した配向膜は、ラビング処理を行い、基板面に水平な液晶配向としている。なお、画素電極11は櫛歯が紙面に対して垂直な軸を持つ櫛歯状パターンとしたが、本実施形態において、ラビング方向はこの櫛歯パターンの並びに完全には平行でなく、およそ5度ずらした角度でラビングする。
【0064】
本実施形態に係るカラーフィルタ基板2の各サブピクセル又は各画素の赤フィルタR、緑フィルタG、及び青フィルタBについて、液晶を駆動する周波数によって測定された誘電正接は、0.009以上、0.018以下とする。なぜなら、サブピクセル又は画素の誘電正接が0.009未満の場合、有機顔料などの色剤を透明樹脂に十分に添加することが困難であり、カラーフィルタの特性を向上させることが困難となるためである。また、サブピクセル又は画素の誘電正接が0.018を超える場合には、液晶の応答遅れ及び階調表示の不均一が発生しやすくなり、好ましくないためである。
【0065】
赤フィルタR、緑フィルタG、及び青フィルタの平均誘電正接に対して、それぞれのサブピクセル又は画素の誘電正接は、±0.003の範囲内(差が0.003以下)とする。誘電正接の差が±0.003の範囲外の場合には、色むらが発生するが、誘電正接の差が±0.003の範囲の場合には、色むらを防止することができる。
【0066】
本実施形態に係る液晶表示装置5は、主に、初期配向が水平配向又は垂直配向の液晶を備えており、ノーマリーブラック表示の液晶表示装置である。液晶層7に含まれている液晶は、誘電率異方性が正の液晶と負の液晶とのうちのいずれであっても使用することができる。誘電率異方性が正の液晶については、液晶の誘電率異方性Δε及び液晶の複屈折率Δnに基づいて、広い液晶材料の範囲から選択できるというメリットがある。
【0067】
本実施形態においては、用いられている液晶の駆動により、色の異なるサブピクセル又は画素の間で、表示差異を生じないように、カラーフィルタ層3のフィルタR,G,Bの誘電正接が上記の範囲内とされている。これにより、高透過で、高画質で、色ムラ及び光漏れを抑制することができ、表示品質を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態においては、液晶の駆動に影響を与えないように、液晶の誘電率異方性の値よりも、誘電正接の値が小さい材料により、カラーフィルタ層3の各フィルタR,G,Bが形成される。
【0069】
[第2の実施形態]
本実施形態においては、上記第1の実施形態に係るカラーフィルタ層3及びブラックマトリクスBMの材料について詳しく説明する。
【0070】
上述したように、カラーフィルタ層3のフィルタR,G,Bは、カラー表示での色ムラを防止するために、フィルタR,G,B間の誘電正接の値が±0.003以内とされる。FFS方式の液晶表示装置5又は斜め電界方式液晶表示装置において、フィルタR,G,Bの間の誘電正接の差が0.005又は0.010を超えた場合には、液晶表示において色ムラ及び光漏れが発生しやすい。フィルタR,G,Bの誘電正接は、色剤である有機顔料の選択、顔料比率、母材の樹脂と分散材などの材料選択によって、ブラックマトリクスBMのような高い誘電正接になりやすい部材であっても、0.020以下に抑えることができる。フィルタR,G,Bの誘電正接は低いほど好ましいが、フィルタR,G,Bの材料の特性上、0.005〜0.006程度が下限となる。
【0071】
カラーフィルタ層3の電気的な性質とFFS方式の液晶表示装置5等における表示不良との関係について種々検討した結果、FFS方式の液晶表示装置5又は斜め電界方式液晶表示装置の液晶配向不良及びスイッチングの閾値ずれは、主にカラーフィルタ層3の材料の誘電特性によって起こっていることが、新たに発見された。具体的には、表示不良は、誘電正接の値によって説明可能である。表示不良は、概ね以下のようなメカニズムによって発生すると考えられる。
【0072】
誘電正接(tanδ)は誘電体内に蓄積される電荷量と消費される電荷量の比である。誘電正接が小さい場合は、誘電体内に蓄積された電荷は保持される。しかしながら、誘電正接が大きい場合は、電荷は消費されて保持されにくくなり、エネルギー損失の原因となる。
【0073】
カラー液晶表示装置においては、カラーフィルタ層の誘電正接と他のセル内の部材(液晶、配向膜など)の誘電正接との値が大きく異なると、液晶分子の電荷の保持状態が不均一になる現象が発生する。電荷の保持状態が不均一になると、横電界方式の液晶表示装置においては生じてはならない縦方向の電界が発生し、液晶の配向不良、電荷が余分に残って発生する閾値ずれによる焼き付き、などの表示不良が発生する場合がある。
【0074】
液晶材料、配向膜材料などとしては、電荷を保持する能力が大きく、誘電正接が比較的小さい材料が用いられる。したがって、FFS方式又は斜め電界方式の液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ層の材料の誘電正接の値は、液晶材料及び配向膜材料と同程度の小さい値であることが好ましい。
【0075】
液晶表示装置用のカラーフィルタ層における各フィルタの誘電正接を、液晶駆動周波数の範囲で0.018以下とすることによって、画素配向不良、閾値ずれなどの表示品位の低下を効果的に防げることが、新たに発見された。
【0076】
(誘電正接の測定)
カラーフィルタ層3のフィルタR,G,Bの誘電正接は、インピーダンスアナライザを用いて、電圧5Vの条件にて、60、120、240、480Hzの周波数で測定する。測定試料は、アルミニウム薄膜からなる導電膜をパターン形成したガラス基板上に、フィルタR,G,Bを塗布・硬膜し(膜厚は後述の実施例と同じ)、さらにこのフィルタR,G,Bの上にアルミニウム薄膜からなる導電膜パターンを形成して得られる。
【0077】
(ブラックマトリクスBMの光学濃度の測定)
遮光性の指標となる光学濃度(OD値)は、光学濃度の測定器を用いて測定される。
【0078】
(色度測定)
それぞれフィルタR,G,Bの色度座標は、顕微分光測光装置を使用して測定される。
【0079】
以下に、本実施形態に係るカラーフィルタ層3に用いることが可能な透明樹脂及び有機顔料等について例示する。
【0080】
(透明樹脂)
遮光層又はフィルタR,G,Bの形成に用いられる感光性着色組成物は、顔料分散体に加え、さらに、多官能モノマー、感光性樹脂又は非感光性樹脂、重合開始剤、溶剤等を含有する。感光性樹脂及び非感光性樹脂など、本実施形態に使用可能な透明性の高い有機樹脂を総称して透明樹脂と呼ぶ。
【0081】
透明樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、 ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させた物質を用いることができる。
【0082】
(アルカリ可溶性樹脂)
本実施形態に用いられるブラックマトリクスBMの形成材料であるブラックマトリクス(遮光層)、フィルタR,G,B、オーバーコートである透明樹脂層4の形成として、フォトリソグラフィによるパターン形成可能な感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。透明樹脂は、アルカリ可溶性を付与された樹脂であることが望ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば、特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂として、例えば、エポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂等を用いることができる。アルカリ可溶性樹脂としては、エポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、特に、エポキシアクリレート系樹脂又はノボラック系樹脂が好ましい。
【0083】
(アクリル樹脂)
本実施形態に採用可能な透明樹脂の代表として、以下のアクリル系樹脂が例示される。
【0084】
すなわち、アクリル系樹脂は、単量体として、例えば(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートペンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を用いて得られる重合体を用いるとしてもよい。
【0085】
なお、上記の単量体は、単独で、または、2種以上を併用して使用することができる。さらに、これら単量体と、これらの単量体と共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、及びフェニルマレイミド等の化合物との共重合体を使用することができる。
【0086】
また、例えば(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を共重合し、得られた共重合体と、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基及び不飽和二重結合を含有する化合物とを反応させること、又は、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートの重合体又はそれとその他の(メタ)アクリレートとの共重合体に、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有化合物を付加させること、によって感光性を有する樹脂が得られる。
【0087】
さらに、例えばヒドロキシエチルメタアクリレート等のモノマーの水酸基を有する重合体に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基及びエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させることによって、感光性を有する樹脂を得るとしてもよい。
【0088】
また、上述したように、複数の水酸基を有するヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合体と多塩基酸無水物とを反応させて、共重合体にカルボキシル基を導入し、カルボキシル基を有する樹脂を得るとしてもよい。カルボキシル基を有する樹脂の製造方法は、この方法のみに限るものではない。
【0089】
上記の反応に用いる酸無水物として、例えば、例えばマロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、及びトリメリト酸無水物等を用いることができる。
【0090】
上述したアクリル系樹脂の固形分酸価は、20〜180mgKOH/gであることが好ましい。酸価が20mgKOH/gより小さい場合には、感光性樹脂組成物の現像速度が遅すぎて現像に要する時間が多くなり、生産性に劣る傾向がある。また、固形分酸価が180mgKOH/gより大きい場合には、逆に現像速度が速すぎて、現像後のパターンハガレ及びパターン欠けなどの不具合が生じる場合がある。
【0091】
さらに、上記アクリル系樹脂が感光性を有する場合、このアクリル樹脂の二重結合当量は100以上であることが好ましく、より好ましくは100〜2000であり、最も好ましいのは100〜1000である。二重結合当量が2000を超える場合には十分な光硬化性が得られない場合がある。
【0092】
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が用いられる。
【0093】
また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。
【0094】
なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;チタノセン系化合物等を用いることができる。感度向上のためには、オキシム誘導体類(オキシム系化合物)が有効である。これらの物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
(増感剤)
増感剤としては、光重合開始剤と増感剤とを併用することが好ましい。増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル−9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0097】
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1質量部から60質量部の量を含有させることができる。
【0098】
(エチレン性不飽和化合物)
上述した光重合開始剤は、エチレン性不飽和化合物と共に用いることが好ましい。エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部との現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。また、不飽和結合に、(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物を用いることが特に好ましい。
【0099】
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;スチレン等を用いることができる。エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等を用いることができる。
【0100】
上記のような光重合性開始剤、増感剤、及びエチレン性不飽和化合物は、本実施形態に係るカラーフィルタ基板1に位相差層を形成する場合に、重合性液晶化合物を含む組成物に加えられるとしてもよい。
【0101】
(多官能チオール)
感光性着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等を用いることができる。
【0102】
これらの多官能チオールは、1種又は2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、感光性着色組成物中に、顔料100質量部に対して、好ましくは0.2〜150質量部、より好ましくは0.2〜100質量部の量で、用いることができる。
【0103】
(貯蔵安定剤)
感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等を用いることができる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1質量部から10質量部の量で含有させることができる。
【0104】
(密着向上剤)
感光性着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させるとしてもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等を用いることができる。シランカップリング剤は、感光性着色組成物中に、顔料100質量部に対して、0.01質量部から100質量部で含有させることができる。
【0105】
(溶剤)
感光性着色組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。組成物がカラーフィルタの着色層に用いられる場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も備える。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等を用いることができ、これらを単独で又は混合して用いることができる。溶剤は、着色組成物中に、顔料100質量部に対して、800質量部から4000質量部、好ましくは1000質量部から2500質量部で含有させることができる。
【0106】
(有機顔料)
赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等を用いることができる。
【0107】
黄色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等を用いることができる。
【0108】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Blue 15:6が好ましい。
【0109】
紫色顔料として、例えば、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Violet 23が好ましい。
【0110】
緑色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Green 1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を用いることができ、特に、C.I. Pigment Green 58を主たる色剤として用いることが好ましい。
【0111】
以下、C.I. Pigmentの顔料種の記載において、単にPB(Pigment Blue)、PV(Pigment Violet)、PR(Pigment Red)、PY(Pigment Yellow)、PG(Pigment Green)などと省略して記載する場合がある。
【0112】
(染料)
本実施形態に係るカラーフィルタ層3に用いられ着色組成物は、上記顔料の他に、染料を含むとしてもよい。
【0113】
これらの染料としては、酸性染料、油溶性染料、分散染料、反応性染料、直接染料等を用いることができる。例えば、染料として、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料を用いるとしてもよい。
【0114】
具体的に染料として用いることのできるカラーインデックス番号は、C.I.Solvent Yellow 2、3、7、12、13、14、16、18、19、21、25、25:1、27、28、29、30、33、34、36、42、43、44、47、56、62、72、73、77、79、81、82、83、83:1、88、89、90、93、94、96、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、141、143、145、146、157、160:1、161、162、163、167、169、172、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、190、191、C.I.Solvent Orange1、2、3、4、5、7、11、14、20、23、25、31、40:1、41、45、54、56、58、60、62、63、70、75、77、80、81、86、99、102、103、105、106、107、108、109、110、111、112、113、C.I.Solvent Red 1、2、3、4、8、16、17、18、19、23、24、25、26、27、30、33、35、41、43、45、48、49、52、68、69、72、73、83:1、84:1、89、90、90:1、91、92、106、109、110、118、119、122、124、125、127、130、132、135、141、143、145、146、149、150、151、155、160、161、164、164:1、165、166、168、169、172、175、179、180、181、182、195、196、197、198、207、208、210、212、214、215、218、222、223、225、227、229、230、233、234、235、236、238、239、240、241、242、243、244、245、247、248、C.I.Solvent Violet 2、8、9、11、13、14、21、21:1、26、31、36、37、38、45、46、47、48、49、50、51、55、56、57、58、59、60、61、C.I.Solvent Blue 2、3、4、5、7、18、25、26、35、36、37、38、43、44、45、48、51、58、59、59:1、63、64、67、68、69、70、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、124、128、129、132、136、137、138、139、143、C.I.Solvent Green 1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35、C.I.Solvent Brown 1、3、4、5、12、20、22、28、38、41、42、43、44、52、53、59、60、61、62、63、C.I.Solvent Black 3、5、5:2、7、13、22、22:1、26、27、28、29、34、35、43、45、46、48、49、50、C.I.Acid Red 6、11、26、60、88、111、186、215、C.I.Acid Green 25、27、C.I.Acid Blue 22、25、40、78、92、113、129、167、230、C.I.Acid Yellow 17、23、25、36、38、42、44、72、78、C.I.Basic Red 1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.Basic Green 3、4、C.I.Basic Blue 3、7、9、11、17、41、66、C.I.Basic Violet 1、3、18、39、66、C.I.Basic Yellow 11、23、25、28、41、C.I.Direct Red 4、23、31、75、76、79、80、81、83、84、149、224、C.I.Direct Green 26、28、C.I.Direct Blue 71、78、98、106、108、192、201、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Yellow 26、27、28、33、44、50、86、142、C.I.Direct Orange 26、29、34、37、72、C.I.Sulphur Red 5、6、7、C.I.Sulphur Green 2、3、6、C.I.Sulphur Blue 2、3、7、9、13、15、C.I.Sulphur Violet 2、3、4、C.I.Sulphur Yellow 4、C.I.Vat Red 13、21、23、28、29、48、C.I.Vat Green 3、5、8、C.I.Vat Blue 6、14、26、30、C.I.Vat Violet 1、3、9、13、15、16、C.I.Vat Yellow 2、12、20、33、C.I.Vat Orange 2、5、11、15、18、20、C.I.Azoic Coupling Component 2、3、4、5、7、8、9、10、11、13、32、37、41、48、C.I.Reactive Red 8、22、46、120、C.I.Reactive Blue1、2、7、19、C.I.Reactive Violet 2、4、C.I.Reactive Yellow 1、2、4、14、16、C.I.Reactive Orange1、4、7、13、16、20、C.I.Disperse Red 4、11、54、55、58、65、73、127、129、141、196、210、229、354、356、C.I.Disperse Blue 3、24、79、82、87、106、125、165、183、C.I.Disperse Violet 1、6、12、26、27、28、C.I.Disperse Yellow 3、4、5、7、23、33、42、60、64、C.I.Disperse Orange 13、29、30、である。
【0115】
これらの染料は、所望の分光スペクトルを発現させるために、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0116】
染料としては、カチオン染料がより好ましく、カチオン染料のカウンターアニオンは公知の方法で変更してもよい。変更するアニオンとしてはいわゆる超強酸のアニオンである方がより高い耐熱性、耐光性が得られるため、好ましい。
【0117】
具体的にカチオン染料として用いることのできるカラーインデックス番号は、C.I.Basic Red 1、2、12、13、14、16、18:1、21、22、26、27、28、29、36、46、54、56、58、78、C.I.Basic Yellow 1、11、12、13、14、15、24、28、29、30、37、40、41、45、46、51、57、62、67、C.I.Disperse Red 50、90、117、118、177、122,126、128、145,146、157、C.I.Disperse Yellow 5、8、22、27、50、56、74、84、88、114、119、160、164、182、184、187、203、227、221、C.I.Basic Green 4、5、8、10、C.I.Disperse Green 7、C.I.Basic Blue 1、3、4、7、8、9、11、12、15、18:1、22、41、42、45、53、54、54:1、55、57、60、62、66、71、75、77、92、105、113、141、147、148、162、C.I.Disperse Blue 7、9、10、20、35、55、56、58、62、63、65、82、85、86、87、89、91、95、102、104、106、118、124、142、143、148、162、166、179、181、C.I.Violet 1、3、4、5、6、7、10、14、15、16、20、22、27、28、35、37、39、53、62、63、83、などであり、更に好ましくは、C.I.Basic Red 1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.Basic Green 3、4、C.I.Basic Blue 3、7、9、11、17、41、66、C.I.Basic Violet 1、3、18、39、66、C.I.Basic Yellow 11、23、25、28、41、などである。
【0118】
(遮光層の色材)
遮光層又はブラックマトリクスBMに含まれる遮光性の色材は、可視光波長領域の光を吸収することにより遮光機能を示す色材である。本実施形態において、遮光性の色材には、例えば、有機顔料、無機顔料、染料等を用いることができる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等を用いることができる。染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等を用いることができる。有機顔料については、上記の有機顔料を採用することができる。なお、遮光性成分は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これら色材の表面の樹脂被覆による高体積抵抗化、逆に、樹脂の母材に対して色材の含有比率を上げて若干の導電性を付与することにより、低体積抵抗化を行ってもよい。しかし、こうした遮光性材料の体積抵抗値は、およそ1×108〜1×1015Ω・cmの範囲であるので、透明導電膜の抵抗値に影響するレベルではない。同様に、遮光層の誘電正接も色材の選択や含有比率でおよそ0.010〜0.100の範囲で調整できる。遮光層、第1の透明樹脂層、着色層の誘電正接は、液晶表示装置の設計条件や液晶の駆動条件にあわせて調整できる。本実施形態において、ブラックマトリクスBMは、誘電正接が上昇する傾向にあるカーボンの添加量を減らし、有機顔料の含有量の多いFFS方式向けのブラックマトリクスとする。
【0119】
(分散剤・分散助剤)
顔料分散剤として高分子分散剤を用いることは、経時の分散安定性に優れるため好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を用いることができる。特に、窒素原子を含有するグラフト共重合体に基づく分散剤は、顔料を多く含む遮光性感光性樹脂組成物に対して、現像性の点から好ましい。分散剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用するとしてもよい。
【0120】
分散助剤としては、例えば色素誘導体等を用いることができる。色素誘導体としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体を用いることができ、それらの中ではキノフタロン系が好ましい。
【0121】
色素誘導体の置換基としては、例えばスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合した物質を用いることができる。これらの中では、スルホン酸基が好ましい。また、これら置換基は、一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
【0122】
色素誘導体の具体例としては、フタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等を用いることができる。
【0123】
以上の分散助剤及び色素誘導体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0124】
[第3の実施形態]
本実施形態においては、上記第1及び第2の実施形態に係るカラーフィルタ基板1におけるブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3の生成方法について説明する。
【0125】
本実施形態に係るブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ3における赤フィルタ(フィルタセグメント)R、緑フィルタG、および青フィルタBは、透明基板2上に、印刷法、インクジェット法、またはフォトリソグラフィ法により、上記の各着色組成物を用いて形成される。
【0126】
印刷法によるブラックマトリクスBM及び各フィルタR,G,Bの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化されるため、ブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3の生成において、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により、高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。
【0127】
印刷を行うためには、印刷の版上にて、又はブランケット上にて、インキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤又は体質顔料によりインキ粘度を調整することができる。
【0128】
インクジェット法は、微細な複数の吐出口(インクジェットヘッド)を色ごとに備えたインクジェット装置にて、透明基板2又はTFTなどアクティブ素子を形成した基板8に直接印刷形成する方法である。
【0129】
フォトリソグラフィ法によりブラックマトリクスBM及び各フィルタR,G,Bを形成する場合には、上記溶剤現像型又はアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板2上に、スプレーコート、スピンコート、スリットコート、又はロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる場合には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等が使用されてもよい。必要により乾燥された膜に対して、この膜と接触又は非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光が実施される。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬し、又は、スプレーなどにより現像液を噴霧し、未硬化部を除去して所望のパターンを形成し、その後同様の操作を他色について繰り返して、ブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3が生成される。さらに、着色レジストの重合を促進するために、必要に応じて加熱を施してもよい。フォトリソグラフィ法を用いて、上記印刷法を実施することにより、精度の高いブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3が生成される。
【0130】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてもよく、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いてもよい。また、現像液には、消泡剤又は界面活性剤を添加してもよい。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0131】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布及び乾燥した後、水溶性又はアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール又は水溶性アクリル樹脂等を塗布及び乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うとしてもよい。
【0132】
本実施形態に係るブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3は、上記方法の他に、電着法、転写法などにより生成されるとしてもよい。なお、電着法は、透明基板2上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3を生成する方法である。また、転写法は、剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3を形成しておき、このブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0133】
なお、本実施形態で説明したブラックマトリクスBM及びカラーフィルタ層3の生成方法と同様の方法により、液晶表示装置5の他の部分が生成されるとしてもよい。
【0134】
[第4の実施形態]
本実施形態においては、上記各実施形態に係るカラーフィルタ層3のより詳細な例について説明する。なお、本実施形態は一例であり、この内容に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で様々に変形可能である。なお、本実施形態で示される組成含有量は、全て質量比であり、部は質量部である。
【0135】
(アクリル樹脂溶液の調製)
アクリル樹脂溶液の調製では、反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記のモノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行う。
【0136】
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後、さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させた物質を添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得る。
【0137】
その後、得られた溶液を室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製する。
【0138】
(黒色顔料1の調製)
黒色顔料1の調製例について説明する。
【0139】
下記の組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散し、5μmのフィルタで濾過して黒色顔料1の分散体を作製する。
【0140】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 31.6部
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15:6 34.2部
カーボン顔料 11.1部
分散剤 5部
アクリルワニス(固形分20質量%) 72部
(黒色顔料2の調製)
黒色顔料2の調製例について説明する。
【0141】
下記の組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散し、5μmのフィルタで濾過して黒色顔料2の分散体を作製する。
【0142】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 39.6部
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15:6 42.8部
分散剤 5部
アクリルワニス(固形分20質量%) 2部
(黒色顔料3の調製)
黒色顔料3の調製例について説明する。
【0143】
下記の組成の混合物を均一に攪拌混合し、ビーズミル分散機にて攪拌し、カーボンブラック分散液を作製する。
【0144】
カーボン顔料 20部
分散剤 8.3部
銅フタロシアニン誘導体 1.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 71部
(黒色組成物1の調製)
黒色組成物1の調製例について説明する。
【0145】
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、5μmのフィルタで濾過し、黒色着色組成物1を調製する。
【0146】
黒色顔料1 54.2部
アクリル樹脂溶液 8部
ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサーアクリレート 4.7部
光重合開始剤 0.9部
増感剤 0.1部
レベリング剤 0.1部
シクロヘキサノン 16部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 16部
(黒色組成物2の調製)
黒色組成物2の調製例について説明する。
【0147】
分散体として、黒色顔料2を使用した以外は、黒色組成物1と同様の組成、方法で黒色組成物2が調製される。
【0148】
(黒色組成物3の調製)
黒色組成物3の調製例について説明する。
【0149】
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、5μmのフィルタで濾過し、黒色着色組成物3が調製される。
【0150】
黒色顔料3 25.2部
アクリル樹脂溶液 18部
ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサーアクリレート 5.2部
光重合開始剤 1.2部
増感剤 0.3部
レベリング剤 0.1部
シクロヘキサノン 25部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25部
(赤色顔料1の調製)
赤色顔料1の調製例について説明する。
【0151】
下記の組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散し、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料1の分散体を作製する。
【0152】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 8部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 10部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 2部
分散剤 2部
アクリルワニス(固形分20質量%) 108部
(赤色顔料2の調製)
赤色顔料2の調製例について説明する。
【0153】
下記の組成の混合物を用い、赤色顔料1と同様の方法で赤色顔料2の分散体を作製する。
【0154】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 11部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 9部
分散剤 2部
アクリルワニス(固形分20質量%) 108部
(赤色組成物1の調製)
赤色顔料1の調製後、下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物1を調整する。
【0155】
赤色顔料1 42部
アクリル樹脂溶液 18部
ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサーアクリレート 4.5部
光重合開始剤 1.2部
増感剤 2.0部
シクロヘキサノン 32.3部
(赤色組成物2の調製)
分散体として、赤色顔料2を使用した以外は、赤色組成物1と同様の組成、方法で赤色組成物2が調製される。
【0156】
(緑色顔料1の調製)
下記組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散し、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料1の分散体を作製する。
【0157】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 10.4部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 9.6部
分散剤 2部
アクリルワニス(固形分20質量%) 66部
(緑色顔料2の調製)
下記の組成の混合物を用い、緑色顔料1と同様の方法で緑色顔料2の分散体が作製される。
【0158】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 10.4部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 3.2部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 7.4部
分散剤 2部
アクリルワニス(固形分20質量%) 66部
(緑色顔料3の調製)
下記の組成の混合物を用い、緑色顔料1と同様の方法で緑色顔料3の分散体が作製される。
【0159】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 36 10.4部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 9.6部
分散剤 2部
アクリルワニス(固形分20質量%) 66部
(緑色組成物1の調製)
緑色顔料1の調製の後、下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、5μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物が調製される。
【0160】
緑色顔料1 46部
アクリル樹脂溶液 8部
ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサーアクリレート 4部
光重合開始剤 1.2部
光重合開始剤 3.5部
増感剤 1.5部
シクロヘキサノン 5.8部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
(緑色組成物2の調製)
分散体として、緑色顔料2を使用した以外は、緑色組成物1と同様の組成、方法で緑色組成物2が調製される。
【0161】
(緑色組成物3の調製)
分散体として、緑色顔料3を使用した以外は、緑色組成物1と同様の組成、方法で緑色組成物3が調製される。
【0162】
(青色顔料1の調製)
下記の組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散し、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体が作製される。
【0163】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15:6 52部
分散剤 6部
アクリルワニス(固形分20質量%) 200部
(青色顔料2の調製)
下記の組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散し、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体が作製される。
【0164】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15:6 49.4部
分散剤 6部
アクリルワニス(固形分20質量%) 200部
この青色顔料の分散体に、下記の紫色染料粉体を添加し、よく攪拌し、青色顔料2が調製される。
【0165】
紫色染料 2.6部
(青色組成物1の調製)
青色顔料1の調製後、下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、5μmのフィルタで濾過して青色着色組成物が調製される。
【0166】
青色顔料1 16.5部
アクリル樹脂溶液 25.3部
ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサーアクリレート 1.8部
光重合開始剤 1.2部
増感剤 0.2部
シクロヘキサノン 25部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
(カラーフィルタ層3の作製)
上記の各色組成物を組み合わせて、下記に示す方法により、カラーフィルタ層3が生成される。
【0167】
[第5の実施形態]
本実施の形態においては、上記各実施形態に係るカラーフィルタ基板3の製造の一例について説明する。上記の図3において、カラーフィルタ基板1は、透明基板2よりも透明樹脂層4が下に図示されているが、実際の製造工程では、上記図1に示すように、透明基板2、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタ層3、透明樹脂層4が積層されて製造される。
【0168】
まず、黒色着色組成物1をスピンコート法により、膜厚が2.0μmとなるように、上記図1に示す透明基板2に塗工する。次に、基板を、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークする。次に、基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光する。その後、基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾する。さらに、基板を、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークし、基板上にストライプパターンのブラックマトリクスBMを形成する。
【0169】
図4は、ブラックマトリクスBMによって形成される開口領域12と画素電極11との配置関係の一例を示す平面図である。
【0170】
ブラックマトリクスBMのパターンは、開口領域12を持つ長方形状パターンとする。図4においては、カラーフィルタ基板1が液晶表示装置5に備えられた場合の画素電極11の位置を例示している。画素電極11は、櫛歯状の画素電極である。
【0171】
次に、赤色着色組成物1を、上記の黒色着色組成物1の場合と同様にスピンコート法にて膜厚が2.8μmとなるように、基板に塗布し、乾燥し、露光機にてストライプ状の着色層を露光し、現像することで、赤フィルタRを形成する。
【0172】
次に、緑色着色組成物1を、上記の赤色着色組成物1と同様に、スピンコートにて膜厚が2.8μmとなるように基盤に塗布し、乾燥し、露光機にてストライプ状の着色層を上記の赤フィルタRとは異なる場所に露光し、現像することで、上記の赤フィルタRと隣接した位置に緑フィルタGを形成する。
【0173】
さらに、赤フィルタR及び緑フィルタGと同様に、青色着色組成物1を、膜厚2.8μmで赤フィルタR、緑フィルタGと隣接した位置に青フィルタBを形成する。
【0174】
そして、カラーフィルタ層3の上に、透明樹脂層4を形成する。
【0175】
以上のようなカラーフィルタ基板1の製造方法により、上記図1に示すような、透明基板10上に、ブラックマトリクスBM及び赤色画素R、緑色画素G、青色画素Bの3色のストライプパターンが形成され、その上に、透明樹脂層4の形成されているカラーフィルタ基板1が生成される。
【0176】
なお、上記の黒色着色組成物2、赤色着色組成物2、緑色着色組成物2、青色着色組成物2を用いて、上記と同様の製造方法によってカラーフィルタ基板1を製造してもよい。
【0177】
[第6の実施形態]
本実施形態においては、スリットが形成されている対向電極を備えたカラーフィルタ基板の例について説明する。
【0178】
図5は、本実施形態に係るカラーフィルタ基板の一例を示す部分断面図である。本実施形態に係るカラーフィルタ基板13は、斜め電界方式の液晶表示装置に備えられる。
【0179】
カラーフィルタ基板13では、例えば無アルカリガラスなどのような透明基板2上に、先で説明したブラックマトリクス形成用レジストである黒色組成物1をスピンコートし、乾燥させ、膜厚2μmの塗膜を作製する。この塗膜を100℃で3分間、乾燥し、ブラックマトリクスBMとしてのパターン幅(ブラックマトリクスBMのマトリクスパターンBMaの画線幅に相当)24.5μmの開口を持つ露光用のフォトマスクを用いて、及び光源として超高圧水銀灯ランプを用いて、200mJ/cm2の光を照射する。現像後よく基板を水洗し、さらに乾燥した後、230℃で60分加熱処理してパターンを硬膜させる。これにより、透明基板2上にブラックマトリクスBMが形成される。ブラックマトリクスBMのマトリクスパターンBMaの画線幅は約24μmである。マトリクスパターンBMaは、開口領域を区画する。
【0180】
図6は、ブラックマトリクスBMによって形成される開口領域16と画素電極11との配置関係の一例を示す平面図である。
【0181】
ブラックマトリクスBMのパターンは、向き合う辺が互いに平行な「くの字(V字又はブーメラン)」状の開口領域16を持つパターンとする。図6においては、カラーフィルタ基板13が液晶表示装置に備えられた場合の画素電極11の位置を例示している。画素電極11は、櫛歯状の電極であり、開口領域16の側辺に対して平行である。この図6の矢印は、画素電極11と、図6では図示しない共通電極及び対向電極14との作用で倒れる液晶の方向を示している。なお、この図6では、画素電極11の櫛歯部分が4つの場合を例示しているが、櫛歯部分の数はこれに限定されない。
【0182】
ブラックマトリクスBMの形成後、ブラックマトリクスBMを形成した透明基板2上に、スパッタリング装置を用いて、例えばITOなどの透明導電膜を、0.14μmの膜厚にて室温でアモルファス状態に形成する。これにより、透明基板2上に対向電極14が形成される。室温でアモルファスITO膜を形成することにより、精細なパターンを形成することができる。
【0183】
次に、サブピクセル又は画素の長手方向の中央に「くの字」状の9μm幅の線状の遮光パターンのあるフォトマスクを用い、フォトリソグラフィ法にて、ITO膜に8μm幅の「くの字」状スリット14aを、サブピクセル又は画素の中央の長手方向に形成する。スリット14aは、ITO膜の形成されない開口パターンである。
【0184】
次に、上記の赤色組成物(赤色レジスト)、緑色組成物(緑色レジスト)、青色組成物(青色レジスト)を用い、フォトリソグラフィ法にて、上記ブラックマトリクスBMの各開口領域16に対して、それぞれ「くの字」状のフィルタR,G,Bを2.8μmの膜厚で形成する。
【0185】
さらに、フィルタR,G,Bの形成された基板に、透明樹脂層15を0.7μmの膜厚で形成し、カラーフィルタ基板13が生成される。
【0186】
なお、本実施形態のように、ITO膜などの対向電極上にフィルタR,G,Bが積層された構成のカラーフィルタ基板においては、高い比誘電率を持つフィルタR,G,Bの材料を選択・適用することにより、複数のメリットが得られる。例えば、液晶駆動に係わるしきい値電圧を低下させることができる。また、例えば、液晶の応答性(立ち上がり)を速くすることができる。
【0187】
[第7の実施形態]
本実施形態においては、対向電極を備えたカラーフィルタ基板の例について説明する。
【0188】
図7は、本実施形態に係るカラーフィルタ基板の一例を示す部分断面図である。
【0189】
カラーフィルタ基板13では、透明基板2上に、スパッタリング装置を用いて、透明導電膜である対向電極18を0.14μmの膜厚、室温でアモルファス状態に形成する。
【0190】
次に、ブラックマトリクスBMの形成用レジストである下記の黒色組成物4を用いて、対向電極18上に、ブラックマトリクスBMを形成し、次に、着色組成物(カラーレジスト)を用いてフィルタR,G,Bを形成し、さらに、透明樹脂層15を形成し、これによりカラーフィルタ基板17が生成される。
【0191】
図8は、ブラックマトリクスBMによって形成される開口領域19と画素電極11との配置関係の一例を示す平面図である。
【0192】
本実施形態において、ブラックマトリクスBMによって形成される開口領域19は、例えば、平行四辺形とする。ブラックマトリクスBMの画線幅は、例えば、約24μmとする。ブラックマトリクスBMは、開口領域19の周囲に形成される。図8においては、カラーフィルタ基板17が液晶表示装置に備えられた場合の画素電極11の位置を例示している。画素電極11は、櫛歯状の電極であり、開口領域19の側辺に対して平行である。図8の矢印は、画素電極11と、図8では図示しない共通電極と対向電極18との作用で倒れる液晶の方向を示している。なお、この図8では、画素電極11の櫛歯部分が4つの場合を例示しているが、櫛歯部分の数はこれに限定されない。
【0193】
(黒色顔料4の調製)
下記のような組成の混合物を均一に攪拌混合した後、ビーズミル分散機にて攪拌して、カーボンブラック分散液を作製する。
【0194】
カーボン顔料 20部
分散剤 8.3部
銅フタロシアニン誘導体 1.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 71部
(黒色組成物2の調製)
下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して黒色着色組成物4を調製する。
【0195】
黒色顔料4 25.2部
アクリル樹脂溶液 18部
ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサーアクリレート 5.2部
光重合開始剤 1.2部
増感剤 0.3部
レベリング剤 0.1部
シクロヘキサノン 25部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25部
有機顔料を用いたカラーリングフィルタ層3の比誘電率は、例えば、概ね2.9から4.5の範囲とする。遮光性色剤を有機顔料とするブラックマトリクスBMも、同様に、概ね2.9から4.5の範囲の比誘電率に調整する。遮光性色剤としてカーボンを用いたブラックトリクスBMは、その比誘電率を6以上、例えば16以上にすることができる。カラーフィルタ層3の膜厚は、およそ1μmから5μmの範囲で設定できる。
【0196】
[第8の実施形態]
本実施形態においては、上記第6の実施形態に係るカラーフィルタ基板13を備えた斜め電界方式の液晶表示装置について説明する。
【0197】
図9は、本実施形態に係る液晶表示装置の一例を示す部分断面図である。この図9は、画素電極11の櫛歯部分の軸に垂直な断面を示している。
【0198】
本実施形態に係る斜め電界方式の液晶表示装置20は、カラーフィルタ基板13と、アクティブ素子が形成されているアレイ基板21とを貼り合わし、間に負の誘電率異方性を持つ液晶層22を形成し、さらにこの貼り合わされた状態の基板13,21の両面に偏光板(図示せず)を貼り付けた構成を持つ。カラーフィルタ基板13及びアレイ基板21の液晶層17に面する側には、予め垂直配向膜が塗布・形成される。なお、垂直配向用の配向膜について、MVA及びVATNなどの垂直配向の液晶表示装置で必要とされている厳密な配向処理(例えば、チルト角89°とし、複数ドメインを形成するための複数方向の配向処理)は実施する必要がない。本実施形態においては、ほぼ90°の垂直配向とする。
【0199】
本実施形態においては、アクティブ素子の形成されたアレイ基板21には、上記の図6で示した「くの字」状の櫛歯状の画素電極11が形成されている。
【0200】
本実施形態において、共通電極23は、画素電極11と同様に櫛歯上である。共通電極23の櫛歯部分の軸方向は、画素電極11の櫛歯部分の軸方向と平行とする。共通電極23の櫛歯部分の軸方向及び画素電極11の櫛歯部分の軸方向と垂直な断面において、共通電極23の櫛歯部分は、画素電極11の櫛歯部分よりも、水平方向において、サブピクセルの外側に位置する。
【0201】
画素電極11は、アレイ基板21のアクティブ素子(図示せず)と電気的に接続される。共通電極23及び対向電極14は共通電位(コモン)であるとする。アクティブ素子を、例えば酸化物半導体で形成することにより、サブピクセル又は画素の開口率を向上させることができる。酸化物半導体で形成されたアクティブ素子の代表的なチャネル材料には、例えば、IGZOと呼ばれるインジウム、ガリウム、亜鉛の複合金属酸化物が用いられる。
【0202】
本実施形態に係る液晶表示装置20においては、カラーフィルタ基板13の透明樹脂層15側と、アレイ基板21の画素電極11側とが、液晶層22を介して、対向している。
【0203】
本実施形態に係る液晶表示装置20における液晶駆動動作について、図10から図12を参照して説明する。図10及び図11では、表示単位であるサブピクセル又は画素のうちの中央から左側半分が図示されている。
【0204】
図10は、本実施形態に係る液晶表示装置20の液晶の初期垂直配向の状態の一例を示す部分断面図である。
【0205】
初期垂直配向である液晶(液晶分子)22a〜22kは、ブラックマトリクスBMと赤フィルタRとが重畳している突出部24のショルダー(斜辺)近傍の液晶分子22aを除いて、カラーフィルタ基板13の平面及びアレイ基板21の平面に対して垂直に配向している。液晶22aは、突出部24のショルダーの影響によって初期配向状態でチルト(傾斜角)が付与され、斜めに配向している。
【0206】
図11は、本実施形態に係る液晶表示装置の液晶の電圧印加後の状態の一例を示す部分断面図である。図11に示す画素電極11から対向電極14への電気力線25は、斜め電界の方向を選択して示している。
【0207】
図12は、電気力線と液晶の回転との関係の一例を示す部分断面図である。
【0208】
画素電極11に電圧が印加されると、液晶22aは、画素電極11から対向電極14へ向かう電気力線25に垂直になろうとし、矢印方向に倒れ始める。カラーフィルタ基板13の表面近傍の液晶22b〜22fは、ショルダー近傍の液晶分子22aの倒れが平面方向に伝搬して基板面の水平方向に倒れていく。さらに、画素電極11から離れたサブピクセル又は画素の中央側の液晶22e,22fについても、画素電極11からの電気力線25に対して垂直になる方向に傾く。しかしながら、液晶分子22e,22fは、画素電極11からやや遠い位置にあるため、この距離に対応して傾きの角度は小さくなる。
【0209】
アレイ基板21の平面側の液晶(例えばアレイ基板21に接する液晶)22g,22hは、画素電極11と共通電極23の近傍、特に第2電極23のはみ出し部26a上の液晶分子22g,22hは、電気力線27に垂直になるように、電圧印加直後に瞬時に大きく倒れる。ここで、はみ出し部26aは、共通電極23のうち、水平方向において画素電極11と重なっていない部分をいう。
【0210】
液晶22g,22hの動作が速い理由は、画素電極11と共通電極23との距離が極めて近いため、これら液晶22g,22hは最も強い電場に置かれるためである。液晶22g,22hの動作をトリガとして、ショルダー近傍の液晶22aなどの動きとほぼ同期して一つの液晶ドメイン内の液晶は同一方向に一斉に倒れる。ただし、上述のように、対向電極14を備えるカラーフィルタ基板13側に位置し、かつ、画素電極11から離れた位置の液晶22e,22fの傾斜角は小さくなる。
【0211】
上記の図9に示すように、画素電極11、共通電極23、対向電極14のそれぞれは、サブピクセル又は画素の中心から対称に配設されている。液晶駆動電圧の印加後、液晶は、中心を基準に対称方向に倒れる。
【0212】
本実施形態においては、画素電極11、共通電極23、対向電極14のそれぞれの対称性により、液晶表示時の視野角を拡げることができる。
【0213】
本実施形態において、上記図9から図11の液晶表示装置20においては、対向電極14がブラックマトリクスBMよりも液晶層22側に形成されているため(換言すれば、製造時に、対向電極14がブラックマトリクスBMの上に形成されるため)、画素電極11と対抗電極14間の距離が、上記図7の場合よりも近くなる、このため、突出部24近傍の液晶22aは、液晶駆動電圧の印加時に強い電場形成により、カラーフィルタ基板13側での液晶倒れのトリガとなる。
【0214】
図13は、画素電極11の断面形状の一例を示す部分断面図である。
【0215】
画素電極11から共通電極23のはみ出し部26a上での液晶22g,22hの倒れる方向を確定しやすくするために、図13に示すように、画素電極11を厚く形成し、画素電極11のパターンエッジをテーパ形状とする。この場合、画素電極11の断面において、底辺と側辺との角度は90度より小さくなる。また、共通電極23上の絶縁層93をエッチングで削るなどの加工を行ってもよい。
【0216】
本実施形態においては、カラーフィルタ基板13上の対向電極1のサブピクセル又は画素の中央に、スリット14a(透明導電膜の形成のない線状開口部)が形成されている。スリット14aを形成することにより、液晶表示の際にサブピクセル又は画素の中央に発生しやすい液晶のディスクリネーションを防止することができ、液晶表示での画面のざらつきを解消することができる。
【0217】
本実施形態においては、カラーフィルタ基板13の突出部24、及びアレイ基板21の画素電極11から水平方向においてはみ出た共通電極23のはみ出し部26aによる液晶配向及び液晶動作制御により、配向膜のラビングなどの配向処理を省略することができるという極めて優れた効果が得られる。負の誘電率異方性の液晶を垂直配向とすることにより、この効果は顕著となる。本実施形態においては、配向膜を省略することができるが、配向処理をしない垂直配向膜をカラーフィルタ基板13、アレイ基板21の液晶層22側の最表面に形成するとしてもよい。このように、配向処理をしない垂直配向膜をカラーフィルタ基板13、アレイ基板21の液晶層22側の最表面に形成することは、安定した液晶表示を得る観点で望ましい。
【0218】
斜め電界方式の液晶表示装置20では、フィルタR,G,B及びブラックマトリクスBMの材料である遮光層の比誘電率を、液晶のセル化条件及び駆動条件にあわせて最適化する必要がある。対向電極14上に配設されるフィルタR,G,Bは、画素電極11との間で電場形成が必要である。例えば、液晶層22側に突き出た突出部24と画素電極11との間の斜め方向電界を利用するため、比誘電率の高いカーボン材料を遮光性の色剤として用いるとしてもよい。
【0219】
[第9の実施形態]
本実施形態においては、第1のカラーフィルタ基板と、第2のカラーフィルタ基板と、比較対象とされる比較カラーフィルタ基板との比較結果の一例について説明する。
【0220】
表1は、第1のカラーフィルタ基板と、第2のカラーフィルタ基板と、比較カラーフィルタ基板のそれぞれについての、フィルタR,G,Bの誘電正接及び着色組成物(カラーレジスト)の一例を示す。
【表1】

【0221】
第1のカラーフィルタ基板は、黒色着色組成物1、赤色着色組成物1、緑色着色組成物1、青色着色組成物1を用いて形成された上記第5の実施形態に係るカラーフィルタ基板である。
【0222】
第2のカラーフィルタ基板は、黒色着色組成物2、赤色着色組成物2、緑色着色組成物2、青色着色組成物2を用いて形成された上記第5の実施形態に係るカラーフィルタ基板である。
【0223】
比較カラーフィルタ基板は、黒色着色組成物3、赤色着色組成物1、緑色着色組成物3、青色着色組成物1を用いて、上記第5の実施形態で説明した製造方法と同様の方法により生成されたカラーフィルタ基板である。
【0224】
比較カラーフィルタ基板に備えられている緑フィルタGの主な色剤は、ハロゲン化銅フタロシアニン緑色顔料であるとする。比較カラーフィルタ基板において、緑フィルタGの240Hz周波数での誘
電正接は、0.020と高く、赤フィルタR及び青フィルタRの平均誘電正接との差は、0.004及び0.005と大きい。比較カラーフィルタ基板のブラックマトリクスBMの黒色顔料はカーボンであり、このブラックマトリクスBMの240Hz周波数での誘電正接は0.027と大きい。比較カラーフィルタ基板において、ブラックマトリクスBMと赤フィルタRの誘電正接との差は0.016と極めて大きい。
【0225】
上記表1の第1のカラーフィルタ基板、第2のカラーフィルタ基板、比較カラーフィルタのそれぞれに対して、誘電率異方性4.5の液晶層7を介してアレイ基板8と貼り合わせ、上記第1の実施形態と同様の液晶表示装置を構成する。
【0226】
上記第1及び第2のカラーフィルタ基板を備える液晶表示装置と、比較カラーフィルタ基板を備える液晶表示装置とについて、アレイ基板の画素電極と共通電極との間に液晶駆動電圧を印加して画像を表示させたところ、上記第1及び第2のカラーフィルタ基板を備える液晶表示装置は、表示不良がなく、優れた画質の画像が得られた。これに対し、比較カラーフィルタ基板を備える液晶表示装置は、赤ムラや、画素開口部のエッジに光漏れが観察され、上記第1及び第2のカラーフィルタ基板を備える液晶表示装置ほどの表示精度を得ることはできない。
【0227】
上記の各実施形態は、発明の趣旨が変わらない範囲で様々に変更して適用することができる。
【符号の説明】
【0228】
1,13,17…カラーフィルタ基板、2…透明基板、3…カラーフィルタ層、4,15…透明樹脂層、R…赤フィルタ、G…緑フィルタ、B…青フィルタ、BM…ブラックマトリクス、BMa…マトリクスパターン、BMb…額縁パターン、r…赤層、b…青層、5,20…液晶表示装置、6,21…アレイ基板、7,22…液晶層、8…基板、91〜93…絶縁層、10,23…共通電極、11…画素電極、12,16,19…開口領域、14、18…対向電極、14a…スリット、22a〜22k…液晶、24…突出部、26a…はみ出し部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板の平面を複数の開口領域に区分けするように形成されるブラックマトリクスと、
前記透明基板の平面における前記複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、前記赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して前記赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内のカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層上に形成される透明樹脂層と
を具備するカラーフィルタ基板。
【請求項2】
透明基板と、
前記透明基板の平面を複数の開口領域に区分けするように形成されるブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクスと前記複数の開口領域とを覆うように形成される透明導電膜と、
前記透明誘電膜の形成された前記複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、前記赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して前記赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内のカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層上に形成される透明樹脂層と
を具備するカラーフィルタ基板。
【請求項3】
透明基板と、
前記透明基板の平面上に形成される透明導電膜と、
前記透明導電膜の平面を複数の開口領域に区分けするように形成されるブラックマトリクスと、
前記透明基板の平面における前記複数の開口領域に形成され、液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下であり、赤、緑、青のカラーフィルタを含み、前記赤、緑、青のカラーフィルタの平均誘電正接に対して前記赤、緑、青のカラーフィルタの各誘電正接が±0.003の範囲内のカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層上に形成される透明樹脂層と
を具備するカラーフィルタ基板。
【請求項4】
前記ブラックマトリクスは、前記液晶駆動周波数で測定される誘電正接が0.09以上かつ0.018以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項5】
前記ブラックマトリクスは、色材の全体量に対する有機顔料の割合が92質量%以上であり、残りがカーボンである、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項6】
前記緑のカラーフィルタに用いられる緑色顔料は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項7】
前記液晶駆動周波数は、60Hzから480Hzの範囲の周波数である。請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項8】
前記ブラックマトリクスは、前記複数の開口領域のそれぞれを多角形とするマトリクスパターンと、液晶表示有効範囲を囲む額縁パターンとを備え、
前記額縁パターンには、前記赤のカラーフィルタの形成に用いられる赤層と前記青のカラーフィルタの形成に用いられる青層とのうちの少なくとも一方が重畳される
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項9】
前記額縁パターン上に前記赤のカラーフィルタの形成に用いられる前記赤層が形成され、前記赤層上に前記青のカラーフィルタの形成に用いられる前記青層が形成される、請求項8記載のカラーフィルタ基板。
【請求項10】
前記開口領域の形状は、対向する辺が平行な多角形状である、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板を備える液晶表示装置において、
画素電極を備えるアレイ基板と、前記カラーフィルタ基板とを、液晶を介して対向する状態で貼り合わせた、液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−203373(P2012−203373A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71058(P2011−71058)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】