説明

カラーフイルタ及びその製造方法

【目的】 中間絶縁膜が不要で工程を簡略化できるとともに、セルギャップの制御が容易なカラーフィルタ及びその製造方法を提供する。
【構成】 本発明のカラーフィルタは、絶縁性基板1の一面に、パターンニングされた色素層形成用透明電極2を形成し、このパターンニングされた色素層形成用透明電極2上に赤(R)、緑(G)、青(B)三原色の色素層3を形成してある。また、色素層3上に、この色素層3を覆って保護膜4を積層し、この保護膜4上に、パターンニングされた金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス5を形成する。さらに、このブラックマトリックス5上に、パターンニングされた液晶駆動用電極6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶テレビ、ラップトップパソコン、ノート型パソコン等のディスプレイに用いられるカラー液晶ディスプレイには、絶縁性基板上に色素層を平面的に分離配置して形成したカラーフィルタが使用されており、このカラー液晶ディスプレイとしては、従来、図6に示す構成のものが知られている。図6に示すカラー液晶ディスプレイは、カラーフィルタ基板10と駆動用基板20の間に液晶30を封入し、接着剤(封止材)40で封止した構成としてある。カラーフィルタ基板10は、ガラス基板1上に三原色(R,G,B)の色素層3をそれぞれ形成するとともに、各色素層間に洩れ光によるコントラストや色純度の低下を防止する役割を果たすブラックマトリックス5を設け、これをトップコート材11で平滑化し、その上面に透明電極12を設けたものである。駆動用基板20は、ガラス基板21上に駆動用透明電極22(TFT、MIN又はデューティ駆動用ITO素子)を形成したものである。
【0003】カラーフィルタの色素層は、通常、印刷機を用いてガラス基板上にRGB三原色のインキを印刷する印刷法、顔料を分散させた紫外線硬化型レジストをガラス基板上に塗布し、フォトリソグラフィ法によるマスク露光及び熱硬化をRGB三回繰返し色素層を形成する分散法、ゼラチン上に染色防止膜としてレジストをフォトリソグラフィ法により形成し、染料でRGBの各色毎に染色する染色法、電着ポリマーと顔料を分散させ、基板上に形成された電極を利用して電着塗装を行なう電着法、界面活性剤と顔料を分散させ、基板上に形成された電極を利用して電解を行なうミセル電解法が知られている。
【0004】印刷法、分散法、染色法のカラーフィルタは、それらの製造方法の性質上、ガラス基板上の所望の位置だけに色素層を形成することが可能である。しかし、通電処理を利用して色素層を形成するミセル電解法や電着法等によりカラーフィルタを形成する場合は、RGBの順で配列されたストライプ状の色素層形成用透明電極のうち所望の電極のみを外部電極と接続するために、基板上の透明電極に細工をする必要がある。従来、ミセル電解法などの通電処理により色素膜を形成する場合、必ず色素層形成用の透明電極が必要となるため、各色の間には透明電極のない部分が存在する。通常、色素がないのであるから、余分な白色光が通過し、液晶セルにした場合、コントラストの低下を招く。したがって、ブラックマトリックスを設けることが知られているが、この際、隣同士の透明電極を絶縁したまま、ブラックマトリックス5を形成する必要がある。このため、導電性のクロム薄膜やカーボンレジストを用いてブラックマトリックス5を形成する場合、色素膜又は保護膜を形成する前にブラックマトリックス5を設けることはできなかった。
【0005】そこで、従来、図6に示すように、絶縁性基板1の一面に、金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス5、絶縁性中間膜9、色素層形成用透明電極2、色素層3、保護膜4及び液晶駆動用電極6を順次積層してなるカラーフィルタが提案されている(特願平2−230380号)。また、図7に示すように、樹脂系のブラックマトリックス5を用いて、セルギャップをコントロールするためにカラーフィルタ積層構造の最後にブラックマトリックス5を形成する方法が提案されている(特開平3−184022号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のカラーフィルタの製造方法においては、次に示すような問題がある。まず、特願平2−230380号に開示の方法は、絶縁性中間膜をわざわざ設ける必要があり、工程数が増えるうえに、この絶縁性中間膜のスピンコート時のごみ管理が難しいため、異物や突起による不良を起こし、生産効率を低下させるという問題があった。また、特開平3−184022号に開示の方法は、ブラックマトリックスの凹凸を液晶のセルギャップと同程度(3〜10μm)の厚みにする必要があり、制御が難しいという問題があった。
【0007】本発明は、上記問題点にかんがみてなされたものであり、中間絶縁膜が不要で工程を簡略化できるとともに、セルギャップの制御を容易にしたカラーフィルタ及びその製造方の提供を目的とする。本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタ積層構造の最後にブラックマトリックスを形成する方法において、厚みの薄い金属系又は導電性金属酸化物系のブラックマトリスを用いるとともに、ビーズでセルギャップの制御を行なうようにすることによって、セルギャップの制御が容易になるとともに中間絶縁膜が不要で工程を簡略化できることを第一に見出した。
【0008】また、一般に、液晶を駆動するためには、液晶駆動用のITOの抵抗値が低い(導電率が高い)ことが望まれるが、ITOの抵抗値を低くするためには、ITOのスパッタ時に250℃以上の高温が必要であり形成条件が厳しいとともに、ITOの膜厚を厚くする必要があるため、ITOの透過率が低下するなどの弊害があった。しかし、上記本発明のカラーフィルタにあっては、液晶駆動用ITO電極が、導電性金属酸化物系のブラックマトリスと接しているため、高抵抗高透過率の液晶駆動用ITO電極を使用することができ、液晶駆動用ITO電極の形成条件を緩和できることを第二に見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のカラーフィルタは、絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス及び液晶駆動用電極を順次積層した構成、あるいは、絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、液晶駆動用電極及び金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックスを順次積層した構成としてあり、好ましくは、ブラックマトリックスを、クロム及び酸化クロムから選ばれる少なくとも一種からなる薄膜の単層又は積層とした構成としてある。また、本発明のカラーフィルタの製造方法は、絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス及び液晶駆動用電極を順次積層して形成する構成、あるいは、絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、液晶駆動用電極及び金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックスを順次積層して形成する構成としてあり、好ましくは、上記色素層を、色素層形成用電極と導通する取出電極を用いて、ミセル電解法又は電着法によって形成する構成としてある。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す断面図である。図1に示すように、本発明のカラーフィルタは、絶縁性基板1の一面に、パターンニングされた色素層形成用透明電極2が形成され、このパターンニングされた色素層形成用透明電極2上に赤(R)、緑(G)、青(B)三原色の色素層3が形成されている。また、色素層3上には、この色素層3を覆って保護膜4が積層されている。また、保護膜4上には、パターンニングされた金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス5が形成されている。さらに、このブラックマトリックス5上には、パターンニングされた液晶駆動用電極6が形成されている。
【0011】図2は、本発明のカラーフィルタの他の例を示す断面図である。図2に示すカラーフィルタは、図1に示すカラーフィルタと比べ、ブラックマトリックス5と液晶駆動用電極6の積層順序が異なること以外は、同様の構成としてある。本発明のカラーフィルタは、このように、液晶駆動用電極6上にブラックマトリックス5を形成する構成とすることもできる。本発明のカラーフィルタの各構成要素の形成材料、形成方法等に関しては後述する。
【0012】次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。図3は本発明のカラーフィルタの製造方法の一具体例を示すフロー図である。なお、本製造例で製造するカラーフィルタは図1に示したものと同じである。
(1)カラーフィルタはガラス基板等の絶縁性基板1上に形成する。ここで、ガラス基板としては、ソーダライムガラス(青板)、低膨張ガラス、無アルカリガラス(NA)、石英ガラス等が用いられる。ガラスは研磨品が好ましいが、無研磨品であってもよい。
(2)上記絶縁性基板上1にITO薄膜あるいは酸化すず等の導電性薄膜層を形成する。ITO膜等の導電性薄膜は、スパッタ法、蒸着法、バイオゾル法等によって形成される。
(3)上記ITO薄膜等のパターンニングをフォトリソグラフィ法によって行ない、色素層形成用電極(ITO電極)2を形成する。なお、このITO電極2のパターンは、通常縦ストライプパターンとされる。
フォトリソグラフィ法によるパターンニングのプロセスは上記(3)と同様である。フォトリソグラフィ法によるITO薄膜のパターンニングは、(イ)レジスト塗布,(ロ)露光,(ハ)現像,(ニ)ITO薄膜のエッチング,(ホ)レジスト剥離の順で行なわれる。
【0013】(4)上記色素層形成用ITO電極2が形成された絶縁性基板上1の端部に帯状に電極取出窓口7を形成する。電極取出窓口7を形成する方法は特に制限されない。例えば、フォトリソグラフィ法によって電極取出窓口7を形成する場合は、ITOパターンニング絶縁性基板上に、紫外線感光性のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂等の絶縁性レジストをスピンコーターあるいはロールコーター等によって塗布して絶縁膜を形成する。次いで、この絶縁性レジストからなる絶縁膜に、図4に示す電極取出窓口7形成用のデザインマスク100を用いて露光を行ない、現像によって電極取出窓口7を形成し、その後、ポストベークを行なえばよい。取出電極窓口5に銀ペーストを帯状に塗布することによって、取出電極8が形成され、各色毎のITO電極郡が導通される。
【0014】(5)上記電極取出窓口7形成後、R(赤)、G(緑)、B(青)各色の色素層(膜)3を形成する。色素層3の形成は、ミセル電解法あるいは電着法等によって行なわれる。ミセル電解法は色素を含むミセル溶液に基板を浸漬し、取出電極8にポテンショスタット(外部電極)を接続し、ITO電極(色素層形成用透明電極)2に通電して、定電位電解を行ない、ITO電極2上に色素層(膜)3を形成する方法である。この場合、色素層の形成は各色毎のミセル溶液を用い、各色毎に行なわれる。電着法は、電着ポリマーと顔料を分散させ、基板上に形成されたITO電極を利用して電着塗装により色素層を形成する方法である。
【0015】(6)色素層形成後、その上に保護膜(平滑膜あるいはトップコート膜)4を形成する。保護膜は、トップコート剤等のポリマーをスピンコートあるいはロールコートした後、これをポストベークして形成する。ここで、トップコート剤としては、アクリル系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリオレフィン系樹脂,フォスファゼン樹脂,ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
【0016】(7)上記保護膜1上に金属薄膜又は導電性金属酸化物薄膜を形成する。金属薄膜はCr(クロム)、Ni(ニッケル)等の金属をスパッタリング法、蒸着法、CVD法等によって保護膜上に付着させて形成する。また、薄膜形成時に、必要に応じて酸化処理を行ない、酸化クロム等の金属酸化物薄膜を形成する。酸化処理は、例えば、薄膜形成時に系内に酸素ガスを導入して行なわれる。金属薄膜及び導電性金属酸化物薄膜は、遮光性及び導電性を有することが必要である。金属薄膜及び導電性金属酸化物薄膜の膜厚は、対向電極とのショートを避けるために、0.05〜0.2μmとすることが好ましい。上記保護膜上に形成された金属薄膜のパターンニングをフォトリソグラフィ法によって行ない、ブラックマトリックス5を形成する。フォトリソグラフィ法による金属薄膜のパターンニングのプロセスは、上記(3)と同様である。
【0017】(8)上記ブラックマトリックス上にITO薄膜層を形成する。ITO薄膜層の形成は、上記(2)と同様にして行なう。
(9)上記ITO薄膜のパターンニングをフォトリソグラフィ法によって行ない、液晶駆動用電極6を形成する。フォトリソグラフィ法によるITO薄膜のパターンニングは、上記(3)と同様である。
上述したプロセスを経てカラーフィルタが作製される。
【0018】なお、上述した本発明のカラーフィルタは、パソコン、ワープロ、壁掛テレビ、ポケット液晶テレビなどのカラー液晶ディスプレイやオーロラビジョン、固体撮像素子(CCD)などのカラーフィルタ、オーディオ、車載用インパネ、時計、電卓、ビデオデッキ、ファックス、通信機、ゲーム、測定機器などのカラーディスプレイ等の分野において好適に利用される。
【0019】
【実施例】以下、実施例にもとづき本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1下記手順によってカラーフィルタ及びカラー液晶パネルを製造した。
【0020】色素層形成用ITO電極の形成ITO薄膜/ガラス基板(無アルカリガラス:300mm角,ITO膜の表面抵抗は20Ω/□)上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:IC−28/T3)を1,000rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行なった。その後、このレジスト/ITO薄膜/ガラス基板をコンタクト露光機(露光能力:10mW/cm2・s)にセットした。マスクは、線幅92μm 、ギャップ18μm、線長155mmの縦ストライプパターンとした。光源は2kwの高圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ50μmをとり、アライメントした後、15秒間露光した後、アルカリ現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスしてから、150℃でポストベークした。次に、エッチャントとして1MFeCl3・1NHCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34の水溶液を準備し、前記ITO薄膜をエッチングしてITO電極を形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約40分の時間を必要とした。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。さらに、純水で洗浄してITO電極の隣接同志の電気的リークがないことを確認し、ITO電極(色素層形成用電極)付き基板を完成した。
【0021】電極取出窓口形成次に、上記ITO電極付きガラス基板上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:IC−28/T3)を1,000rpmの回転速度でスピンコートして絶縁膜を形成した。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行なった。その後、このレジスト/ITO/ガラス基板をステッパー露光機(露光能力10mW/cm2・S)にセットした。マスクは、図4に示す画素サイズ90μm×30mmの電極取出窓口帯、有効エリア300mm×300mmのパターンを4分割したものをステップ露光した。スキャンスピード5mm/秒で露光した後、アルカリ現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスしてから、150℃で60分間ベークした後、室温まで冷却した。さらに、RGB各色に対応する帯部分を銀ペーストで導通した。
【0022】RGB色素層の形成4リットルの純水にフェロセン誘導体ミセル化剤FPEG,LiBr(和光純薬社製),ジアントラキノンを加え、それぞれ、2mM,0.1M,10g/リットルの溶液とし、超音波ホモジナイザーで30分間分散させてミセル溶液とした後、前記カラーフィルタ作製用ITO電極付き基板を前記ミセル溶液に入れ、ストライプのR列群に接続された取出電極(銀ペーストの部分)にポテンショスタットを接続した。0.5Vの定電位電解を行ない、カラーフィルタRの色素薄膜(色素層)を得た。純水で洗浄後、オーブンにてプリベーク(180℃)した。Gでは臭化塩化銅フタロシアニンを15g/リットル、Bでは塩化銅フタロシアニンを9g/リットルの濃度に変えたほかはRの色素製膜と同じ条件で製膜し、RGBの色素層を得た。なお、上記通電処理(電解処理)に際してリークや断線はなく、色素層形成用電極(ITO電極)と取出電極がピンホールなしに接続されていることが暗室蛍光燈下、目視検査により確認された。
【0023】保護膜の形成次に、上記で作製した色分解フィルタ基板を10rpmで回転させ、この上にトップコート剤(JRS製:7265)を30cc噴霧した。さらに、スピンコートの回転数を1,500rpmにし、基板上に均一に製膜した。この基板を260℃で100分間ポストベークした。こうしてRGB三原色色素層上に保護膜を形成した。
【0024】ブラックマトリックスの形成上記保護膜を鏡面研磨して0.05μm以下に平坦化した後、スパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、クロム(Cr)薄膜を約2000オングストロームの厚みにスパッタリングした。この上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:IC−28/T3)を1,000rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行なった。その後、このレジストコート基板をステッパー露光機(露光能力10mW/cm2・S)にセットした。マスクは、図5に示す画素サイズ90μm×310μm、線幅20μm、有効エリア160mm×155mmの格子パターンを4分割したものをステップ露光した。スキャンスピード5mm/秒で露光した後、アルカリ現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスしてから、150℃でポストベークした。次に、エッチング液(エッチャント)として6N HCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34の水溶液を準備し、前記基板上のCrをエッチングしてパターンを形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約20分の時間を必要とした。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。純水で充分に洗浄し、クロムブラックマトリックスを形成した。
【0025】液晶駆動用電極(後ITO電極)の形成上記クロムブラックマトリックスを形成した基板上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITO膜を約600オングストロームの厚みにスパッタリングした。このとき、基板温度を120℃とし、水蒸気と酸素の導入によってITO膜の表面抵抗を20Ω/□に調整した。また、ブラックマトリックスが下部に存在する部分の表面抵抗を測定したところ10Ω/□であった。
【0026】カラー液晶ディスプレイ(パネル)の作製上記で作製したカラーフィルタ基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートした。これを250℃で1時間硬化させ、ポリイミド樹脂化した後、ラビングを行なって配向させた。対極にはTFT駆動回路付きITOガラス基板にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートし、250℃で1時間硬化させポリイミド樹脂化し、ラビングしたものを使用した。上記カラーフィルタ基板とTFT駆動回路付きガラス基板との間(液晶セル)にガラスビーズ、TN液晶をこの順に入れ、接着剤にて封止し、カラー液晶ディスプレイ(パネル)を完成させた。カラー液晶パネルに、FPCにドライバーICを搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着した後、TFT駆動回路を作動させ、液晶の駆動を確認した。
【0027】実施例2実施例1と同様にして、色素層形成用ITO電極、電極取出窓口、RGB色素層、保護膜を形成した。
【0028】液晶駆動用電極(後ITO電極)の形成上記保護膜を鏡面研磨して0.05μm以下に平坦化した後、スパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、ITOを約1000オングストロームの厚みにスパッタリングした。このとき、基板温度を120℃とし、水蒸気と酸素の導入によってITO膜の表面抵抗を50Ω/□に調整した。
【0029】ブラックマトリックスの形成上記液晶駆動用ITO電極を形成した基板上にスパッタリング装置(アルバック社製:SDP−550VT)を用いて、クロム(Cr)薄膜を約2000オングストロームの厚みにスパッタリングした。この上に紫外線硬化型レジスト剤(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:IC−28/T3)を1,000rpmの回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行なった。その後、このレジストコート基板をステッパー露光機(露光能力10mW/cm2・S)にセットした。マスクは、図5に示す画素サイズ90μm×310μm、線幅20μm、有効エリア160mm×155mmの格子パターンを4分割したものをステップ露光した。スキャンスピード5mm/秒で露光した後、アルカリ現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスしてから、150℃でポストベークした。次に、エッチング液(エッチャント)として6N HCl・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO34の水溶液を準備し、前記基板上のCrをエッチングしてパターンを形成した。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約20分の時間を必要とした。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。純水で充分に洗浄し、クロムブラックマトリックスを形成した。こうしてTFT用カラーフィルタ基板を得ることができた。また、ITOの表面抵抗をブラックマトリックスを包含するようにして測定したところ、ITOの表面抵抗が見かけ上2Ω/□になっていることがわかった。
【0030】カラー液晶ディスプレイ(パネル)の作製上記で作製したカラーフィルタ基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートした。これを250℃で1時間硬化させ、ポリイミド樹脂化した後、ラビングを行なって配向させた。対極にはTFT駆動回路付きITOガラス基板にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートし、250℃で1時間硬化させポリイミド樹脂化し、ラビングしたものを使用した。上記カラーフィルタ基板とTFT駆動回路付きガラス基板との間(液晶セル)にガラスビーズ、TN液晶をこの順に入れ、接着剤にて封止し、カラー液晶ディスプレイ(パネル)を完成させた。カラー液晶パネルに、FPCにドライバーICを搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着した後、TFT駆動回路を作動させ、液晶の駆動を確認した。
【0031】実施例3実施例1において、クロム薄膜の作製時に酸素を導入し、薄膜作製後に酸化処理を行なうことにより酸化クロム薄膜系のブラックマトリックスを形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカラー液晶パネルを作製し、TFT駆動回路を作動させ、液晶の駆動を確認した。また、ブラックマトリックスが下部に存在する部分の表面抵抗を測定したところ、18Ω/□であった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法によれば、中間絶縁膜が不要で工程を簡略化できるとともに、セルギャップの制御を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のカラーフィルタの一例を示す断面図である。
【図2】図2は本発明のカラーフィルタの他の例を示す断面図である。
【図3】図3は本発明カラーフィルタの製造方法の一具体例を示すフロー図である。
【図4】本発明カラーフィルタの製造工程で使用するマスクを示す平面図である。
【図5】本発明カラーフィルタの製造工程で使用する他のマスクを示す平面図である。
【図6】従来のカラー液晶ディスプレイを示す断面図である。
【図7】従来のカラーフィルタの一構成例を示す平面図である。
【図8】従来のカラーフィルタの一構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…絶縁性基板
2…色素層形成用透明電極
3…色素層
4…保護膜
5…金属ブラックマトリックス
6…液晶駆動用電極
7…電極取出窓口
10…カラーフィルタ基板
11…平滑膜
12…液晶駆動用電極
20…駆動用基板
30…液温
40…封止剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス及び液晶駆動用電極を順次積層してなることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】 絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、液晶駆動用電極及び金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックスを順次積層してなることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項3】 ブラックマトリックスが、クロム及び酸化クロムから選ばれる少なくとも一種からなる薄膜の単層又は積層であることを特徴とする請求項1又は2記載のカラーフィルタ。
【請求項4】 絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックス及び液晶駆動用電極を順次積層して形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】 絶縁性基板の一面に、色素層形成用透明電極、色素層、保護膜、液晶駆動用電極及び金属又は導電性金属酸化物薄膜系のブラックマトリックスを順次積層して形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】 色素層を、色素層形成用電極と導通する取出電極を用いて、ミセル電解法又は電着法によって形成することを特徴とする請求項4又は5記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図4】
image rotate