説明

カラー用両面画像形成法

【目的】 転写ドラム、感光ドラム及び紙送り部材への離型剤の付着がなく、品質の優れたカラー両面画像を得ることができる画像形成法を提供する。
【構成】 離型剤塗布装置16を具備した定着装置10を有するカラー用両面複写機にて、カラートナーを用いて画像支持体の両面にカラー画像を形成する方法において、(1)定着装置10を通過した画像支持体の表面を摺擦する離型剤除去摺擦装置14を有し、(2)カラートナーとして、イソフタル酸、トリメリット酸、ドデセニルコハク酸、プロポキシ化したエーテル化ジフェノール成分を含有する単量体組成物から生成されたポリエステル樹脂を含有し、ポリエステル樹脂の水酸基価が10〜20、Mwが13,000〜20,000であり、Mnが5,000〜8,000、Mw/Mnが2〜3.5であるカラートナーを用いた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー用両面画像形成法に関し、特に転写ドラム、感光ドラムへの離型剤の付着を防止し、さらに画像支持体送り部材への離型剤付着をも防止しかつ、離型剤の使用量を低減せしめたフルカラー用両面画像形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、白−黒複写機からフルカラー複写機への展開が急速になされつつあり、2色カラー複写機やデジタル化したフルカラー複写機の発売も市場では各社から種々行われはじめている。
【0003】フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は一般に3原色であるイエロー,マゼンタ,シアンの3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色を用いて色再現を行うものである。
【0004】その一般的方法は、まず原稿からの光をトナーの色と補色の関係にある色分解光透過フィルターを通して光導電層上に静電潜像を形成する。次いで現像、転写工程を経てトナーは支持体に保持される。次いで前述の工程を順次複数回行い、レジストレーションを合わせつつ、同一支持体上にトナーは重ね合わされ、ただ一回のみの定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】この様な、複数回の現像を行い、定着工程として同一支持体上に色の異なる数種のトナー層の重ね合わせを必要とするカラー電子写真法では、カラートナーが持つべき定着特性は極めて重要な要素である。
【0006】すなわち、定着したカラートナーは、トナー粒子による乱反射を出来る限り抑え、適度の光沢性やつやが必要である。
【0007】又、トナー層の下層にある異なる色調のトナー層を妨げない透明性を有し、色再現性の広いカラートナーでなければならない。
【0008】これらを満足しうるカラートナーとして、本出願人等は特開昭50−82442号公報,特開昭51−144625号公報,特開昭59−57256号公報で新規なカラー用結着樹脂と着色剤の組み合わせを開示してきた。
【0009】これら記載のカラートナーは、かなりのシャープメルト性を有しており、シリコンオイル塗布が可能なシリコーンゴムローラーとの組み合わせにおいて、定着時完全溶融に近い状態までトナー形状が変化し、好ましい光沢性及び色再現性が得られる。
【0010】これらの効果は、トナーの定着特性として、結着樹脂の粘弾性特性における弾性項よりも粘性項を重視することを意味している。
【0011】すなわち、加熱時、トナーはより粘性体として挙動し熱溶融性が増し、光沢性も得られることになる。それゆえカラートナーの溶融特性は、従来の白黒トナーのそれよりは著しく異なり、カラートナー特有の樹脂設計が必要である。
【0012】このような粘性項重視の結着樹脂設計は、必然的に熱溶融時の分子間凝集を低下せしめることになり定着装置通過時、熱ローラーへのトナーの付着性も増すことになる。これらは高温オフセット現象を奮起するものである。
【0013】特にシリコーンゴムローラーを定着ローラーとして用いる場合、離型用オイル塗布如何によらず繰り返し使用する本質的なシリコーンゴムローラー表面の離型性の低下ゆえに高温オフセットが発生しやすくなる。シリコーンゴムローラーにおいて使用開始初期は、ローラー表面の平滑性や清浄性のゆえ、ある程度の離型性は維持されうる。しかし、カラー画像のように画像面積が大きく、普通紙の如き支持体上のトナー保持量も、白・黒複写画像に比べて格段に多いカラー複写を、複写し続けると、徐々にローラーの離型性は低下する。この離型性の悪化のスピードは、白・黒複写の数倍に達する。
【0014】又、トナー自身も前述のように弾性をほとんど有していないため、耐オフセット効果には無力である。これらにより、わずか数千〜数万枚後に定着ローラー表面にトナーの被膜や粒状の付着物が形成されることや、熱ローラー通過時画像面のトナー上層部がはぎ取られる。いわゆる高温オフセットが発生する。それを防止するため、定着ローラーへ多量の離型剤を塗布することが必然的に必要となる。
【0015】上記の問題点を解決或は軽減すべく種々の方策がトナーで試みられているが、さらなる改良が要望されている。例えば特開昭55−60960号公報,特開昭57−208559号公報,特開昭58−11953号公報、特開昭58−14144号公報,特開昭60−123852号公報等に記載のごとく、剥離性を増すために、トナー中に離型性成分である低分子量のポリエチレン、ポリプロピレン、ワックス、高級脂肪酸などを添加する方法も行われている。これらの方法は、オフセット防止には効果がある反面、耐オフセットに充分効果を発揮する多量の含有はメインの結着樹脂との相溶性が悪くなり、カラートナーのOHP画像の透明性を損なうこと、帯電特性が不安定になる、耐久性が低下する等の悪影響も認められ、充分なものとはいい難い。
【0016】又、特開昭47−12334号公報,特開昭57−37353号公報,特開昭57−208559号公報においては、エーテル化ビスフェノール単量体と、ジカルボン酸単量体と、3価以上の多価アルコール単量体及び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体を含む単量体成分とより得られる非線状共重合体よりなるポリエステルをバインダーとして含有するトナーが提案されているが、斯かる技術は、エーテル化ビスフェノール単量体とジカルボン酸単量体とよりなるポリエステルを、3価以上の多価アルコール単量体及び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体を含む多量の単量体成分により架橋することによって得られるポリエステルをバインダーとして含有させることによりトナーにオフセット防止性能を有せしめたものである。しかしながら斯かるトナーにおいては、その軟化点が若干高く、従って良好な低温定着が困難であるし、又、フルカラー複写に用いた場合は耐高温オフセット性に対しては、実用化しうるレベルではあるが、上述のごとく定着性、シャープメルト性に難があるため、該ポリエステルを用いたフルカラートナーの重ね合わせによる混色性や色再現性は望むべくもない。又、特開昭57−109825号公報や、特開昭62−78568号公報,特開昭62−78569号公報など、さらに本出願人による特開昭59−7960号公報,特開昭59−29256号公報においては、エーテル化ビスフェノール単量体と、長鎖脂肪族炭化水素を導入したジカルボン酸単量体やその他のジカルボン酸単量体と、3価以上の多価アルコール単量体及び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体を含む単量体成分とより得られる非線状共重合体であって、その側鎖に炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を有するポリエステルをバインダーとして含有するトナーを開示したが、これらのポリエステル樹脂は高速複写用トナーを目的としたことが主であり、樹脂の粘弾性特性としては、前述した粘性重視ポリエステルとはまったく逆に、弾性を強化し、ローラーへの高温オフセットを著しく低下せしめたものである。そして、定着時、熱ローラーの加圧及び加熱をできる限り高め、トナーを半溶融の状態で転写紙の繊維の間へ押し込み、加圧、加熱定着を行い、該目的を達成しようとするものである。
【0017】それゆえ、カラー複写に必要なトナー層が溶融し連続皮膜を形成し、平滑面を得るということはほとんど出来ず、定着したトナーは、転写紙上で粒子状態で存在し、得られるフルカラー画像はくすんだものとなり彩度にとぼしい。OHP画像はトナー粒子表面で光が散乱、拡散してしまいほとんど光を透過せず、実用的に使用不能となってしまう。
【0018】又、本出願人等は特開平2−73366号公報,特開平1−224776号公報において、耐高温オフセット性にすぐれ、かつ、カラー複写に適用可能な新規なポリエステル樹脂を提案したが、該樹脂はなるほど、従来のカラートナー用樹脂よりは勝っているが、定着ローラーへのオフセット防止効果が発揮するのはせいぜい繰り返し複写2〜5万枚程度であり、また定着ロールへの離型剤塗布量も従来よりも減少することはできなかった。白黒トナーのオフセット防止効果は10万枚以上は充分にあり、現状では数十万枚の耐刷性、耐オフセット性を有することから考えると、性能的にはさらに改善することが好ましい。又、該ポリエステルはカラー複写における定着性を第一義な課題として研究されたものであり、帯電的には低温低湿環境と高温高湿環境の間で帯電量の差が大きく、繰り返し複写後のカラー画像において低湿側で濃度が若干低くなる傾向があり、高湿側では、トナー飛散やカブリが生ずることもある。
【0019】又、特開昭62−195676号公報,特開昭62−195678号公報,特開昭62−195680号公報においては、水酸基価と酸価の比を規定したポリエステル樹脂を開示しているが、これらのポリエステル樹脂もやはり、高速定着用を意図したものであるが、本発明者等の検討によると該樹脂を用いたフルカラートナーは十分な混色性を得る所までは到らなかった。
【0020】定着ローラーへのトナーのオフセット防止対策として定着装置は、表面離型性のすぐれた熱ローラー用材料を用いる、或いは、離型剤として、離型性オイル、例えばシリコンオイル、フッ素オイルをローラーに塗布する等の工夫がなされ、現在商品化されているカラー複写機の熱ローラー定着装置は何らかの形で離型剤であるオイル塗布を行なっているのが殆んどである。
【0021】ところが、この離型性オイル塗布は、紙、OHPフィルム、布帛等の画像支持体へのオイル汚れ、離型剤塗布装置の具備によるコスト増など好ましくない問題を引き起こしている。
【0022】特に、フルカラー複写における両面時に困難な問題を有している。すなわち、フルカラー複写機の一例を示す図1において、画像支持体のおもて面(一面目)にトナー層を担持し、離型剤塗布装置16を具備した定着装置10を通過した画像支持体の表面には、離型剤がかなり多量に保持されている。次のこの画像支持体は裏面(2面目)に画像を形成するため、転写ドラム6上に、おもて面を転写ドラム6上のシートに密着するように吸着保持される。この時、おもて面上の離型剤、所謂、離型性オイルは転写ドラムシートに転移付着することになる。くり返し多数枚の前記画像支持体が転写ドラム6上に吸着・脱着を行なうことにより、転写ドラム6上に転移した離型剤の存在は無視出来ない量となり、付着したオイル膜が原因となる転写ドラム6への画像支持体の吸着不良、画像支持体上の画像面(おもて面)へのオイル汚れ等の不具合いを生ずることになる。さらには転写ドラム6上の離型剤は感光ドラム1面にも転移付着することになり、より大きな問題を生ずることになる。というのは感光ドラム1を帯電せしめた時、離型剤の付着した部分は充分な帯電電位を得ることが出来なくなったり、ドラム表面が不均一な帯電状態となることや、また離型性オイルのごとき絶縁性物質の付着により除電が不十分になることが生ずる。これは取りも直さずトナーの現像能力を低下せしめ画像濃度を低下させたり、非画像部へのトナー付着である、所謂カブリを惹起することになる。
【0023】また別の不具合としては、両面トレー11に積層された画像支持体を裏面複写をするため、紙送りローラー12によりピックアップし搬送する時、画像支持体上の離型剤により、ローラー12がスリップし、重送,搬送不能などが生じやすくなる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、離型剤を塗布した定着ローラーを用いた定着装置を具備したカラー両面複写においても、著しい弊害なく機能しうるカラー両面画像形成法を提供することにある。
【0025】すなわち、本発明の目的は、転写ドラム、感光ドラムへの離型剤の付着及び紙送りローラー等の紙送り部材への離型剤の付着がないカラー用両面画像形成法を提供することにある。
【0026】本発明の目的は、画像支持体表面を摺擦し表面の離型剤を除去する装置と、■ 良好な定着性及び混色性を示し、■ 充分な摩擦帯電性を有し、■ 画像品質を著しく高める光沢性が高く、■ 繰り返し複写してもキャリアスペントしにくく耐久性に優れており、■ 高温オフセットが十分に防止され、定着可能温度域が広く、■ 離型剤の定着ローラーへの塗布量を著しく低減することが可能であるカラートナーとの相乗効果により達成することができた。
【0027】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、離型剤塗布装置を具備した定着装置を有するカラー用両面複写機にて、カラートナーを用いて画像支持体両面にカラー画像を形成する方法において、(1)該定着装置を通過した画像支持体表面を摺擦する離型剤除去摺擦装置を有し、(2)該カラートナーとして、下記成分(a),(b),(c)及び(d)(a)イソフタル酸、テレフタル酸及びその誘導体より選ばれた2価の芳香族酸成分(a)を全モノマー量の25〜35mol%,(b)トリメリット酸及びその誘導体より選ばれた3価の芳香族系酸成分(b)を全モノマー量の2〜4mol%,(c)ドデセニルコハク酸,オクチルコハク酸及びその無水物より少なくとも選ばれた2価の酸成分(c)を全モノマー量の12〜18mol%,(d)プロポキシ化、又は/及びエトキシ化したエーテル化ジフェノール成分(d)を全モノマー量の45〜60mol%を少なくとも含有する単量体組成物から生成されたポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂の水酸基価が10〜20であり、重量平均分子量が13,000〜20,000であり、数平均分子量が5,000〜8,000であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比が2〜3.5であるカラートナーを用いた、ことを特徴とするカラー用両面画像形成法に係るものである。
【0028】本発明に用いるカラートナーにおいて、本発明のポリエステル樹脂は、線状ポリエステル樹脂と非線状の架橋ポリエステル樹脂の両者の特質を合わせもった、いわば過渡的性格を有したものといえる。これにより、カラートナーとして良好な混色性、及び色再現性が得られ、かつ、定着ローラーへの耐オフセットが得られたものと考える。それゆえ、定着ローラーへの離型剤の塗布量も低減することが可能となったものと考える。
【0029】すなわち、本発明に用いるカラートナーが好ましい特性を示す理由を以下のごとく推察する。
(i)架橋モノマー成分であるトリメリット酸を、2価の酸成分1分子及び2価のアルコール成分の1分子縮合体が20〜30単位、繰り返した線状縮合体鎖中に規則的にせいぜい1分子導入し、弱い架橋を形成する。そして、その弱い架橋ではあるが、ポリエステル中の縮合体全体を一つの3次元ポリマーとして構成する。これは単なる線状ポリエステルの混合物によるよりは、はるかに耐オフセット性が向上する。しかし、本発明の架橋レベルはポリエステル樹脂の熱による容易な可動性を妨げない範囲内でもある。
(ii)ソフトセグメントを有する2価の酸成分のその組成及び量を極めて限定することにより、混色性、色再現性の良いフルカラー画像が得られかつ、耐オフセット性に悪影響が生じないようにせしめている。特徴(i)における弱い架橋縮合体中で、架橋酸成分の量と該酸成分の量は自ずとバランスを保つように決定され、多すぎると異常なシャープメルト性を発生し、又、少なすぎるとカラー画像の光沢性や彩度の低下が見られる。
【0030】本発明においては、3価のカルボン酸を必須成分として使用しながら、分子量分布を通常の架橋結着樹脂より狭く(Mw/Mn=2〜3.5、好ましくは2.0〜3.0)することにより上記効果を達成し得る。
(iii)その他の2価の酸成分をイソフタル酸もしくはテレフタル酸とし、極力、ポリマーの粘性を低下させずに弾性を有する組成を選択している。これに対し、脂肪族系の酸成分に変更すると分子鎖がリニアで、かつ長鎖となるため、熱により分子鎖が可動しやすくなり、ポリマーとしては粘性的挙動をより示すこととなり、定着ローラーへのオフセットはしやすくなる。定着ローラーへの離型剤塗布量は逆に多く必要となる。
(iv)本発明のポリエステル樹脂の製造条件を従来と変更し、樹脂の分子量分布を出来る限り、シャープで狭い分布となるように特に調整している。ポリエステル中の縮合体の分子鎖の分布を狭い範囲で均一化せしめることは、カラートナーにおける混色性と耐オフセット性を両立せしめる上で重要なことである。すなわち、分子量の小さい分子鎖の短い縮合体は加熱によってたやすく、分子主鎖が動き、逆に高分子量の分子鎖の長い縮合体は、その熱エネルギーではほとんど動かない。そのアンバランスがポリエステル樹脂中で存在すると、該樹脂を用いたカラートナーが低い温度の定着ローラーを通過する場合、低分子の縮合体はすみやかに溶融し、定着及び混色するような挙動を示し、かつ高分子の縮合体はほとんど溶けないという現象が発生する。
【0031】一方、高分子が溶融するほどの高温を定着ローラーに加えると、低分子はまったく弾性を有しない粘性体として挙動し、高温オフセットの素因をつくることになる。
【0032】それゆえ、とりわけカラートナーにあっては、比較的シャープメルト性を有しつつ、かつ、トナーを構成するポリエステル樹脂の分子間凝集を高めるために、重量平均分子量と数平均分子量の比をできるだけ小さくすることが必要である。これは、白黒トナーで論ずる以上の重要な特質である。
【0033】(v)特徴(iv)においては、ポリエステル樹脂の製造条件の変更は、分子量分布の制御にとって不可欠であることは述べたが、さらに、水酸基価の値をある範囲に収めるためにもこの製造条件は必要である。水酸基価は樹脂の水和性の目安となり、カラートナーの帯電性を左右する重要な因子であり、該値が大きすぎても小さすぎても好ましい帯電特性が得られない。
【0034】この水酸基価の値は、本発明のポリエステル樹脂を構成するその組成を製造条件によってのみ決定される。しかるにカラートナーの混色性、色再現性と耐オフセット性を満たす定着特性と帯電特性の両特性を併立するためには、(i)〜(iv)の諸条件を満足していなければならない。
【0035】本発明のモノマー組成等は一見従来技術と類似していると見ることが出来るが、本発明の真のねらい、及び達成した技術到達点は、従来のポリエステル樹脂、及びカラートナーでは達し得なかったものである。
【0036】それゆえ本発明において、モノマー成分、組成比、及び諸物性は本発明が開示した以外の範囲では、本発明の目的は達成することは極めて困難である。
【0037】本発明において好ましいエーテル化ジフェノールはエーテル化ビスフェノールである。好ましいエーテル化ビスフェノールはエトキシ化又はプロポキシ化されたものであり、ビスフェノール1モルあたり2ないし3モルのオキシエチレン又はオキシプロピレンを有したものである。
【0038】例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0039】本発明の目的に適合する着色剤としては下記の顔料または染料が挙げられる。尚、本発明において耐光性の悪いC.I.Disperse Y164;C.I.Solvent Y77及びC.I.Solvent Y93の如き着色剤は、推奨できないものである。
【0040】染料としては、例えばC.I.ダイレクトレッド1;C.I.ダイレクトレッド4;C.I.アシッドレッド1;C.I.ベーシックレッド1;C.I.モーダントレッド30;C.I.ダイレクトブルー1;C.I.ダイレクトブルー2;C.I.アシッドブルー9;C.I.アシッドブルー15;C.I.ベーシックブルー3;C.I.ベーシックブルー5;C.I.モーダントブルー7等がある。
【0041】顔料としては、ナフトールイエローS,ハンザイエローG,パーマネントイエローNCG,パーマネントオレンジGTR,ピラゾロンオレンジ,ベンジジンオレンジG,パーマネントレッド4R,ウオッチングレッドカルシウム塩,ブリリアントカーミン3B,ファストバイオレットB,メチルバイオレットレーキ,フタロシアニンブルー,ファーストスカイブルー,インダンスレンブルーBC等がある。
【0042】好ましくは顔料としてはジスアゾイエロー,不溶性アゾ顔料,銅フタロシアニン,染料としては塩基性染料,油溶性染料が適している。
【0043】特に好ましくはC.I.ピグメントイエロー17;C.I.ピグメントイエロー15;C.I.ピグメントイエロー13;C.I.ピグメントイエロー14;C.I.ピグメントイエロー12;C.I.ピグメントレッド5;C.I.ピグメントレッド3;C.I.ピグメントレッド2;C.I.ピグメントレッド6;C.I.ピグメントレッド7;C.I.ピグメントブルー15;C.I.ピグメントブルー16または下記で示される構造式(1)を有する、フタロシアニン骨格に置換基を2〜3個置換した銅フタロシアニン系顔料などである。
【0044】
【化1】


染料としては、C.I.ソルベントレッド49;C.I.ソルベントレッド52;C.I.ソルベントレッド109;C.I.ベイシックレッド12;C.I.ベイシックレッド1;C.I.ベイシックレッド3bなどである。
【0045】その含有量としては、OHPフィルムの透過性に対し敏感に反映するイエロートナーについては、結着樹脂100重量部に対して12重量部以下であり、好ましくは0.5〜7重量部が好ましい。12重量部を超えると、イエローの混合色であるグリーン,レッド,また、画像としては人間の肌色の再現性に劣る。
【0046】その他のマゼンタ,シアンのカラートナーについては、結着樹脂100重量部に対しては15重量部以下、より好ましくは0.1〜9重量部が好ましい。
【0047】本発明に係るトナーには、負荷電特性を安定化するために、荷電制御剤を配合することも好ましい。その際トナーの色調に影響をあたえない無色または淡色の負荷電制御剤が好ましい。
【0048】本発明に係るトナーにキャリアを併用する場合、使用されるキャリアとしては、例えば表面酸化または未酸化の鉄,ニッケル,銅,亜鉛,コバルト,マンガン,クロム,希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及び磁性フェライトなどが使用できる。またその製造方法として特別な制約はない。
【0049】又、上記キャリアの表面を樹脂等で浸漬する系は、特に好ましい。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶解剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0050】キャリア表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン,モノクロロトリフルオロエチレン重合体,ポリフッ化ビニリデン,シリコーン樹脂,ポリエステル樹脂,スチレン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリアミド,ポリビニルブチラール,ニグロシン,アミノアクリレート樹脂,塩基性染料及びそのレーキ,シリカ微粉末,アルミナ微粉末,ジアルキルサリチル酸の金属錯体または金属塩などを単独或は複数で用いるのが適当である。
【0051】上記の化合物の処理は、キャリアが前記条件を満足するよう適宜決定すれば良いが、一般的には総量で本発明のキャリアに対し0.1〜30重量%(好ましくは0.5〜20重量%)が好ましい。
【0052】これらキャリアの平均粒径は20〜100μm、好ましくは25〜70μm、より好ましくは25〜65μmを有することが好ましい。
【0053】特に好ましい態様としては、Cu−Zn−Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の単独又は組み合わせ、例えばポリフッ化ビニリデン,スチレン−メチルメタアクリレート樹脂,ポリテトラフルオロエチレン,アクリル系共重合体,フッ素系共重合体;などを単独、又は混合物としたもので、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%コーティングし、250メッシュパス、350メッシュオンのキャリア粒子が70重量%以上ある上記平均粒径を有するコート磁性フェライトキャリアであるものが挙げられる。該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸−2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0054】上記コートフェライトキャリアは粒径分布がシャープであり、本発明のトナーに対し好ましい摩擦帯電性が得られ、さらに電子写真特性を向上させる効果がある。
【0055】本発明に係るトナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、1重量%〜15重量%、好ましくは2重量%〜13重量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が1重量%未満では画像濃度が低くなり、15重量%を超えるとカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短縮しがちである。
【0056】本発明に用いられる流動性向上剤としては、着色剤含有樹脂粒子に添加することにより、流動性が添加前後を比較すると増加しうるものであれば、使用可能である。例えば、疎水性コロイダルシリカ微粉体、コロイダルシリカ微粉体、疎水性酸化チタン微粉体、酸化チタン微粉体、疎水性アルミナ微粉体、アルミナ微粉体、それらの混合粉体等が挙げられる。
【0057】次に、図1を参照して本発明に係るカラー用両面画像形成法を適用するフルカラー電子複写機の一例を説明する。
【0058】感光ドラム1上に適当な手段で形成された静電潜像は矢印の方向へ回転する回転現像ユニット2に取り付けられた現像器2−1中の現像剤により可視化される。この現像トナーはグリッパー7によって転写ドラム6上に保持されている紙やOHPフィルムごときの画像支持体に、転写帯電器8により転写される。
【0059】次に2色目として回転現像ユニットが回転し、現像器2−2が感光ドラム1に対向する。そして現像器2−2中の現像剤により現像され、このトナー画像も前記と同一の画像支持体上に重ねて転写される。
【0060】さらに3色目,4色目も同様に行われる。このように転写ドラム6は画像支持体を把持したまま所定回数だけ回転し所定色数の像が多重転写される。静電転写するための転写電流は、一色目<二色目<三色目<四色目の順に高めることが転写残留トナーを少なくするために好ましい。多重転写された画像支持体は、分離帯電器9により転写ドラム6より分離され、離型剤塗布装置16を具備した加熱加圧ローラ定着装置10を経てフルカラー複写画像となる。
【0061】また、現像器2−1〜2−4に供給される補給トナーは各色ごとに具備した補給ホッパー3より、補給信号に基づいた一定量をトナー搬送ケーブル4を経由し、回転現像ユニット2の中心にあるトナー補給筒5に搬送され各現像器に送られる。
【0062】更に、裏面画像を得るためのプロセスは次の通りである。
【0063】定着装置10を通過した前述のフルカラー複写画像、すなわちおもて面にトナー層を有する画像支持体は、搬送ガイド17−1を経由し、両面トレー11に積層される。ついで画像支持体は裏面を複写するため、両面トレー11より、紙送りローラー12より重送しないように搬送される。搬送ガイド17−2を経由して支持体を搬送しトナー層が下面になるように転写ドラム6上に保持される。以下の現像−転写−定着工程は前述と同様にして、定着装置10より排紙され、最終的にカラー両面複写画像が得られる。
【0064】本発明に用いられる離型剤除去摺擦装置14は、おもて面にトナー層を有した画像支持体が定着装置10を経て、再度、転写ドラム6に保持されるまでの搬送経路中に、少なくとも一カ所以上配置されるものである。該摺擦装置14は、離型剤を表面に保持した画像支持体が該摺擦装置14を通過した時、該支持体の表面を、担持された画像を損わないように、かつ、表面の離型剤を完全に除去するように摺擦する機能を有するものである。
【0065】あまりに強い摺擦を行なうと、なるほど画像支持体表面の離型剤は十分に払拭除去すること可能であるが、同時におもて面の定着画像がはがれたり、スジ、割れ等の画像欠陥を発生することになる。又、弱すぎると、当然のごとく、短時間の内に転写ドラム6シートへの離型剤汚染を生ずることになる。この摺擦力の設定は、定着画像の定着状態に基づく、摺擦強さと、画像支持体表面にある離型剤の量に従って、適時選択する必要がある。
【0066】また、本発明の離型剤除去摺擦装置14の具体例の模式図を図2〜4に示す。
【0067】図2はロールタイプの型式を有するものであり、ロールの材質としてはシリコンゴム、フッ素ゴム、発泡ウレタン、多孔性樹脂などが好ましく、その摺擦圧力としては画像支持体19上の離型剤21を除去し定着したトナー層20を包み込む程度の力が好ましい。
【0068】図3は巻き取り式ウェブタイプであり、用いられるウェブは吸収又は吸着した離型剤を保持するような凹凸又は/および多孔性と適度な厚みを有する布帛,紙,不織布,金属薄膜シートが好ましい。
【0069】図4はブラシタイプの型式を有するものであり、多孔性又は離型剤を化学的に吸着しやすく加工処理した、又はしてはいない繊維,樹脂,動物の毛皮,等が好ましい。本発明は前記図2〜図4に限定されるものではなく、画像支持体上の画像を損わず、表面の離型剤を摺擦除去するものであればどのような型式でも可能である。
【0070】該摺擦装置14の配置位置は最も好ましい態様としては搬送ガイド17−1の部材近傍に設置するのが良い。次の好ましい位置としては、搬送ガイド17−2から転写ドラム6までの経路の配置とすることである。ただしこの位置に配置した場合は紙送りローラー12に対して離型剤除去の別途の対策が必要である。
【0071】本発明に係る各物性値の測定方法を以下に述べる。
【0072】(1)ガラス転移温度Tgの測定:本発明に於いては、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。
【0073】測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0074】これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、先ず前履歴を消去する目的で、次の操作を行う。N2 雰囲気下で室温から200℃まで10℃/minで昇温させ、200℃で10分間保つ。その後急冷し、10℃まで温度を下げ、10℃で10分間保つ。その後、昇温速度10℃/minで、200℃まで昇温する。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲に於けるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0075】このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明に於けるガラス転移温度Tgとする。
【0076】(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定:本発明に於ては、HLC−802A型(東洋ソーダ社製)を用いてMw及びMnを測定する。カラムは東洋ソーダ工業社製TSKgelGMH6×2を使用し、溶媒はTHFを用いる。検出器は、RI(屈折率)を使用し、試料は濃度0.5%で、注入量200μlで注入する。
【0077】試料の分子量は、試料の有する分子量分布を数種の短分散ポリスチレン標準試料により作製した検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
【0078】検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、PressureChemical Co.製或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×104 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×105 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0079】(3)水酸基価の測定:JIS K007に示される方法に準じて、下記方法により測定する。
【0080】200ml三角フラスコに試料6gを1mg単位で精秤し、無水酢酸/ピリジン=1/4の混合溶液を5mlホールピペットで加え、更にピリジン25mlをメスシリンダーで加える。三角フラスコ口に冷却器を取り付け、100℃のオイルバス中で90分反応させる。
【0081】蒸留水3mlを冷却器上部から加えてよく振とうし10分間放置する。冷却器をつけたまま三角フラスコをオイルバスから引き上げて放冷し、約30℃になれば冷却器上部口から少量のアセトン(10ml程度)で冷却器およびフラスコ口を洗浄する。THF50mlをメスシリンダーで加えフェノールフタレインのアルコール溶液を指示薬としてN/2KOH−THF溶液で50ml(目盛0.1ml)のビュレットを用いて中和滴定する。中和終点直前に中性アルコール25ml(メタノール/アセトン=1/1容量比)を加え溶液が微紅色を呈するまで滴定を行う。同時に空試験も行う。
【0082】次いで、下式に従って水酸基価を求める。
【0083】
【数1】


ここにA:本試験に要したN/2KOH−THF溶液のml数B:空試験に要したN/2KOH−THF溶液のml数f:N/2KOH−THF溶液の力価S:試料採取量(g)
C:酸価またはアルカリ価。ただし酸価はプラスしアルカリ価はマイナスする。
【0084】2個の測定値の平均値を採用する。
【0085】(4)グロス(光沢度)測定法:VG−10型光沢度計(日本電色製)を用い、色度測定に用いた各ベタ画像を試料として、測定を行う。
【0086】測定としては、まず定電圧装置により6Vにセットする。
【0087】次いで投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせる。
【0088】0点調整及び標準板を用い、標準設定の後に試料台の上に前記試料画像を置き、さらに白色紙を3枚上に重ね測定を行い、標示部に示される数値を%単位で読みとる。
【0089】この時、S,S/10切替SWはSに合わせ、角度、感度切替SWは45−60に合わせる。
【0090】尚、画像濃度1.5±0.1の試料を使用する。
【0091】本発明のポリエステル樹脂を得るための製造方法としては、例えば以下のごとくの方法による。
【0092】まず線上の縮合体を形成せしめ、その過程で目標の酸価、水酸基価の1.5〜3倍となるように分子量を調整し、かつ分子量が均一となるように従来よりもゆっくり、かつ徐々に縮合反応が進むように、例えば従来よりも低温かつ長時間反応せしめる,又は、エステル化剤を減少せしめる,又は、反応性の低いエステル化剤を用いる,又は、これらの方法を組み合わせて用いる,などにより、反応を制御する。その後、その条件下で架橋酸成分、及び必要に応じてエステル化剤をさらに加え、反応せしめ3次元縮合体を形成せしめる。さらに昇温し、分子量分布が均一になるようにゆっくり、長時間反応せしめ、架橋反応を進め、水酸基価が目標値まで低下した時反応を終了し、本発明のポリエステル樹脂を得る。
【0093】
【実施例】以下実施例をもって本発明を詳細に説明する。
【0094】(ポリエステル樹脂の製造例−1)テレフタル酸2mol,ドデセニル無水コハク酸1.09mol,ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.4mol,ジブチル錫オキシド0.01gをガラス製21の4つ口フラスコに入れ、温度計、攪拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら徐々に昇温し、170℃で5時間反応せしめ、次いで190℃に昇温し、4時間反応せしめた。この時点で生成した樹脂の水酸基価は59.8であった。
【0095】その後、トリメリット酸無水物0.2mol、及びジブチル錫オキシド0.08gを加え、190℃でさらに3時間反応せしめ、さらに200℃に昇温し、5時間反応せしめ反応を終了し、本発明のポリエステル樹脂(1)を得た。
【0096】その時の水酸基価は16.8であり、ガラス転移温度64℃、重量平均分子量は16000であり、数平均分子量は5900であり、その比は2.7であった。
【0097】(ポリエステル樹脂の製造例−2)イソフタル酸1.8mol,オクチルコハク酸1.16mol.ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.34molを製造例−1と同様にして窒素雰囲気中で反応せしめた。次いで、トリメリット酸無水物0.13mol,ジブチル錫オキシド0.09gを加え、180℃で反応を5時間行い、本発明のポリエステル樹脂(2)を得た。
【0098】この樹脂の水酸基価14.7,ガラス転移温度62℃,重量平均分子量(Mw)17000,数平均分子量(Mn)6300であり、Mw/Mnは約2.7であった。
【0099】(ポリエステル樹脂の製造例−3)ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5mol,テレフタル酸2mol,トリメリット酸無水物3mol,及びジブチル錫オキシド0.05gを製造例−1と同様の装置を用いて窒素雰囲気中で、220℃で反応せしめ、架橋ポリエステル樹脂(3)を得た。得られた架橋ポリエステル樹脂のMw/Mnは明らかに3.5を越えていた。
【0100】(ポリエステル樹脂の製造例−4)ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2.0mol,ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2.1mol,テレフタル酸2mol,ドデセニルコハク酸1.6mol,トリメリット酸0.46molを製造例−1と同様の装置を用い、250℃で8時間反応せしめポリエステル樹脂(4)を得た。
【0101】この樹脂の水酸基価は20.4,重量平均分子量110000,数平均分子量5540であり、その比は16.2であった。また、ガラス転移温度は61.5℃であった。
【0102】(ポリエステル樹脂の製造例−5)ポリオキシプロピレン(2.5)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5.0mol,四つ口フラスコに入れ撹拌器、コンデンサー、温度計、ガス導入管をセットし、マントルヒーター内に置いた。反応容器内を窒素ガス置換した後、内容物を50〜60℃になる様にした時点で、テレフタル酸3.0mol,C12のアルケニル基を置換したコハク酸(C16304 )1.5mol,トリメリット酸0.35molを加えた。
【0103】この混合物系を210℃に加熱撹拌した。反応水を除去しつつ、約5時間経過した後、反応物を室温に冷却した。
【0104】反応条件として、モノマー成分を全量一度に仕込み、かつ反応温度が高く、又反応時間も短かったため、分子利用分布が本発明よりはブロードとなり、また平均分子量も低い値となった。それに関連して、水酸基価も32と高い値となった。
【0105】この時の重量平均分子量は12500、数平均分子量3070となり、その比は4.07であった。
【0106】(ポリエステル樹脂の製造例−6)ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5mol,フマル酸4.5mol及びハイドロキノン0.1gを製造例−1と同様の装置を用いて、窒素気流中で220℃で反応せしめポリエステル樹脂(6)を得た。
【0107】得られた樹脂(C)の水酸基価は32であり、重量平均分子量(Mw)18700,数平均分子量(Mn)3270であり、Mw/Mnは、約5.7であった。
【0108】実施例1製造例−1のポリエステル樹脂100重量部に対して、下記の処方量の着色剤及び荷電制御剤を用いてシアンカラートナーを得た。
【0109】
製造例−1のポリエステル樹脂(1) 100.0重量部 構造式(1)を有する銅フタロシアニン顔料(2置換体) 4.0重量部 3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸クロム錯体 4.0重量部その製造方法は、上記の各処方量を十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、2軸押出し混練機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で40μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級して、粒度分布における体積平均径が8.2μmになるように選択して分級品を得、流動性向上剤としてヘキサメチルジシラザンで処理したシリカ微粉末を分級品100重量部に0.8重量部外添添加しかつ酸化アルミ0.5重量部を加えシアンカラートナーとした。
【0110】また、このカラートナー5.0重量部に対し、スチレン−メタクリル酸メチル(共重合体重量比65:35)を約0.35重量%コーティングした。Cu−Zn−Fe系フェライトキャリアを総量100重量部になるように混合し現像剤とした。現像剤中のトナー濃度は5.0重量%にした。
【0111】図1に示すOPC感光ドラムを有したカラー用両面複写機を用いて両面複写試験を行った。この時、定着装置7に用いられた定着ローラーは芯金上に1mmの厚みを有したHTVシリコーンゴム層の単層を有し、加圧ローラー表面は3mmのHTVシリコーンゴムを用いた。又離型剤除去摺擦装置は図3に示されるような不織布より成るウェッブタイプのものを用いた。
【0112】この方法を用い初期画像を得たが、色調は彩度のすぐれた、あざやかなものであった。
【0113】定着装置を通過した画像支持体に塗布される所の離型剤であるシリコーンオイル量を30mg/A4に制御し、さらに9.0万枚の耐刷後でもカブリのないオリジナルを忠実に再現するシアン色画像が得られた。又、複写機内での搬送、現像剤濃度検知も良好で安定した画像濃度が得られた。定着温度設定150℃にして9.0万枚の繰り返し複写でも定着ローラーへのオフセットはまったく生じなかった。
【0114】また高温オフセット量を比較検討するため、定着ローラーを新品にし定着装置7に具備した。シリコーンオイル含浸ウェブの駆動を止めて、その状態で面積率20%の画像をオリジナルとして、5千枚の繰り返し複写を行った。その後、該ウェブに付着したトナー、所謂、高温オフセットトナーを定量化するため、その部分をマクベス反射濃度計で測定した所、その濃度は0.4であった。
【0115】この方法は高温オフセット量が多ければ、そのトナー付着ウェッブの反射濃度値が高くなり、少なければ低くナるということにより、高温オフセットの定量化を行おうとするものである。
【0116】また低温低湿(15℃10%RH)、高温高湿(32.5℃85%RH)の各環境で帯電量測定を行ったが、それぞれの値は−23.0μc/g,−17.0μc/gときわめて、環境依存性の少ないものとなり、その環境による帯電量比は1.35であった。
【0117】又、カラー複写画像の評価方法として、画像表面のグロス(光沢度)を測定することにより、カラー画像の良否を判定する方法がある。すなわち、グロス値が高いほど画像表面が平滑でつやのある彩度の高いカラー品質と判断され、逆にグロス値が低いと、くすんだ彩度のとぼしい、画像表面があれたものと判断される。その測定方法は以下のごとくであり、実施例1においてその値は18%であった。
【0118】本実施例1のトナーが担持された画像支持体へのシリコンオイル塗布量30mg/A4は従来のものと比較すると著しくオイル量が少ないレベルを達成したものであり、例えば特開昭63−301960に記載の実施例1においてはオイル塗布量が100mg/A4程度、耐オフセット効果を得るためには必要であった。
【0119】次に両面複写試験を行なった。前記の摺擦装置14(図3に示される装置)を具備し、かつ前述のシリコンオイル量を塗布する条件で、イエロー,マゼンタ,シアンの各トナーの3色重ね合わせによるA4全面黒画像を100枚両面複写を行ない、その後白紙を通紙することにより、白紙上へのカブリ画像を評価した。カブリが少なければ少ないほど転写ドラム6表面へのオイル付着が少なく、かつ感光ドラム1へのオイル汚染が少ないことになる。実施例1のトナーを用いかつ、摺擦装置14がある場合は100枚通紙してもカブリはまったく見られず、マクベス反射濃度計によるその白紙上の反射濃度は0.09であった。又摺擦装置14がない場合の白紙上の反射濃度は0.18と摺擦装置有無の差は有為に存在した。さらに両面黒画像900枚通紙し、都合1000枚後の白紙上のカブリをみた。この時のカブリ反射濃度は0.38と明らかに感光ドラム1へのオイル汚染が原因と思われるカブリが生じ確かに摺擦装置14が必須であることが判明した。ちなみに白紙単独の反射濃度は0.06である。
【0120】実施例2 製造例−2のポリエステル樹脂(2) 100.0重量部 C.I.ビグメントレッド122 5.0重量部 3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸クロム 4.0重量部上記処方で、実施例1と同様にし、マゼンタ画像を得た。得られたものは、画像濃度の高い、あざやかなマゼンタ色であった。次いで、耐久試験を行なったが、9.0万枚でも定着ローラーへのトナーオフセットや、ガサツキのない良好な画面であった。この時の画像支持体へのシリコンオイル塗布量は実施例1と同様であった。
【0121】実施例3製造例−1のポリエステル樹脂(1)を用い、さらに着色剤をC.I.ピグメントイエロー17(3.5重量部)に変えて実施例1と同様にして調製したシアントナー、実施例2のマゼンタトナー及び実施例3のイエロートナーの3原色の各トナーを用いて、画像面積率35%の画像をオリジナルとして、実施例1で示される様なカラー電子写真装置を用い、フルカラーによる繰り返し複写を行ったが8万枚以上の多数枚耐久性が認められた。定着ローラーへのオフセットは実質的に認められなかった。
【0122】また8万枚後のカラー複写画像は、混色性のすぐれた彩度の高いものであった。3色重ね合わせによるベタ黒のグロス値は23%であった。
【0123】比較例1〜3ポリエステル樹脂(3)〜(5)を用い、他は実施例1と同様にして試験を行なったその結果を表1に示す。
【0124】
【表1】


【0125】
【発明の効果】本発明によれば、カラー用両面画像形成法において、上記の離型剤除去装置を使用し、かつ、上記特定のポリエステル樹脂を含有するカラートナーを用いることによって、転写ドラム、感光ドラム及び紙送り部材への離型剤の付着がなく、カラー両面複写においても著しい弊害なく機能し、品質の優れたカラー両面画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両面画像形成が可能なフルカラー電子複写機の一例を示す概略図である。
【図2】離型剤除去摺擦装置の具体例(ロールタイプ)の模式図である。
【図3】離型剤除去摺擦装置の具体例(ウェブタイプ)の模式図である。
【図4】離型剤除去摺擦装置の具体例(ブラシタイプ)の模式図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 回転現像ユニット
2−1〜2−4 現像器
3 補給ホッパー
4 トナー搬送ケーブル
6 転写ドラム
7 グリッパー
8 転写帯電器
10 定着装置
11 両面トレー
12 紙送りローラー
14 離型剤除去摺擦装置
16 離型剤塗布装置
17−1,17−2 搬送ガイド
19 画像支持体
20 トナー層
21 離型剤
22 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 離型剤塗布装置を具備した定着装置を有するカラー用両面複写機にて、カラートナーを用いて画像支持体両面にカラー画像を形成する方法において、(1)該定着装置を通過した画像支持体表面を摺擦する離型剤除去摺擦装置を有し、(2)該カラートナーとして、下記成分(a),(b),(c)及び(d)(a)イソフタル酸、テレフタル酸及びその誘導体より選ばれた2価の芳香族系酸成分(a)を全モノマー量の25〜35mol%,(b)トリメリット酸及びその誘導体より選ばれた3価の芳香族系酸成分(b)を全モノマー量の2〜4mol%,(c)ドデセニルコハク酸,オクチルコハク酸及びその無水物より少なくとも選ばれた2価の酸成分(c)を全モノマー量の12〜18mol%,(d)プロポキシ化、又は/及びエトキシ化したエーテル化ジフェノール成分(d)を全モノマー量の45〜60mol%を少なくとも含有する単量体組成物から生成されたポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂の水酸基価が10〜20であり、重量平均分子量が13,000〜20,000であり、数平均分子量が5,000〜8,000であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比が2〜3.5であるカラートナーを用いた、ことを特徴とするカラー用両面画像形成法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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