カラー表示デバイスおよびその製造方法
【課題】 電位の変化や圧力の変化により所望の位置の色彩を変化させることができるカラー表示デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られているように構成した。
【解決手段】 本発明は、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られているように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPDAなどの電子機器や通信機器、電子書籍、サイネ―ジなどに用いることのできるカラー表示デバイス(例えばカラー電子ペーパーやカラー感圧スイッチ製品)の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー表示デバイスの発明としては、電気泳動層とカラーフィルタ層とを積層する方式(特許文献2)などが検討されているが、これは不要な色の画素を遮蔽して色彩表示することとなるので、どうしても色が薄く画面が暗くなる問題を抱えていた。そこで、最近ではこの問題を解決する方式として、フォトニック結晶材料(特許文献1)を用いることにより、駆動させる電位の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式が検討されている。例えば、図9に示すように、表示デバイス基材90と、前記表示デバイス基材90の片面に画素50単位でパターン形成されたドライブ層8と、前記表示デバイス基材90の前記ドライブ層8が形成された面とは反対面に全面的に形成されたフォトニック結晶材料からなる層110とを備える構造とすることで、前記ドライブ層8の各パターン80,81を駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料からなる層110の厚みがかわり、屈折率が変化して反射光の色彩が画素50単位で可逆的に変化するカラー表示デバイス200が得られる。そして特許文献1の実施例では、フォトニック結晶材料の一例であるポリフェロセニルシランからなる層について、電位の変化に応じて一つの画素50が青、緑、赤へと変化することが開示されている。そして、このようなフォトニック結晶材料には電位の変化以外に、圧力の変化によってフォトニック結晶材料からなる層110の厚みがかわるものもあり、圧力の変化によって屈折率が変化して反射光の色彩が画素50単位で可逆的に変化するカラー表示デバイス200を得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−504984号公報
【特許文献2】特開2003−280044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駆動させる電位の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式は、全画面を単色のベタで表示させる場合では問題は生じないが、フルカラーの表示をさせる場合、各一個の画素に駆動あるいは負荷させた電位だけでなく、その周辺の画素に駆動させた電位の影響も受けるため、必ずしも各画素が所望の色彩にならず、また経時的に各画素の色彩が変化していくなどの問題が生じていた。同様に負荷させる圧力の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式は、全画面に圧力を負荷させて単色のベタを表示させる場合では問題は生じないが、画面の一部の箇所に圧力を負荷させてその部分のカラー表示をさせる場合、圧力を加えた箇所だけでなくその周辺の部分も負荷された圧力の影響を受けて変色するため、所望の箇所だけを所望の色彩にすることができず、また経時的に各画素の色彩が変化していくなどの問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは以下の発明により上記問題点を解決した。すなわち本発明の第1態様によれば、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第2態様によれば、前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000である、第1態様のカラー表示デバイスを提供する。
【0006】
また、本発明の第3態様によれば、表示デバイス基材の片面にフォトニック結晶材料層を備え、フォトニック結晶材料層に負荷する圧力の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が押圧領域で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が圧力を負荷する媒体の先端サイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第4態様によれば、前記区切られて構成された島のサイズが、圧力を負荷する媒体の先端サイズの1/4〜1/1000である、第3態様のカラー表示デバイスを提供する。
【0007】
また、本発明の第5態様によれば、前記区切られて構成された島どうしが完全に分離独立している、第1〜第4態様のいずれかに記載のカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第6態様によれば、前記区切られて構成された島どうしが一部で連結されている、第1〜5態様のいずれかのカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第7態様によれば、前記表示デバイス基材の明度が、JIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4であることを特徴とする第1〜6態様のいずれかのカラー表示デバイスを提供する。
【0008】
また、本発明の第8態様によれば、第1〜7態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工による、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。また、本発明の第9態様によれば、第1〜7態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、フォトリソグラフィーによるカラー表示デバイスの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第10態様によれば、第1〜9態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記島状に区切られたフォトニック結晶材料層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成する、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
第1態様のカラー表示デバイスは、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とする。したがって、各一個の画素の周辺の画素が駆動させた電位の影響を受けることは少なく、フルカラーの表示をさせる場合であっても所望の色彩にすることができるという効果がある。また経時的に各画素の色彩が変色するのも防止できるという効果がある。
【0011】
また、第2態様のカラー表示デバイスは、前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする。したがって、前記フォトニック結晶材料層の各区切られて構成された島のサイズが各画素のサイズよりもかなり小さいので、ドライブ層と前記フォトニック結晶材料層との位置合わせをしなくとも、所望の色彩表示ができるという効果がある。
【0012】
第3態様のカラー表示デバイスは、表示デバイス基材の片面にフォトニック結晶材料層を備え、フォトニック結晶材料層に負荷する圧力の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が押圧領域で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が圧力を負荷する媒体の先端サイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とする。したがって、表示面の一部の箇所に圧力を負荷させてその押圧領域のカラー表示をさせる場合、押圧領域に負荷させた圧力が周囲に影響を与えることは少なく、押圧領域だけを所望の色彩にすることができ、また経時的に各画素の色彩が変色するのも防止できるという効果がある。
【0013】
また、第4態様のカラー表示デバイスは、前記区切られて構成された島のサイズが、1度の押圧領域のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする。したがって、前記フォトニック結晶材料層の各区切られて構成された島のサイズが圧力を負荷する媒体のサイズよりもかなり小さいので、より精細に圧力を加えた箇所だけを所望の色彩にすることができるという効果がある。
【0014】
また、第7態様の本発明のカラー表示デバイスは、前記表示デバイス基材の明度が、JIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4であることを特徴とする。したがってフォトニック結晶材料層の色彩をより鮮明に発色させることができるという効果がある。
【0015】
また、第8態様、第9態様のカラー表示デバイスの製造方法は、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工あるいはフォトリソグラフィーによることを特徴とする。したがって、前記フォトニック結晶材料層の島のサイズをかなり小さく加工できるので、より精細なカラー表示デバイスにすることができるという効果がある。
【0016】
また、第10態様のカラー表示デバイスの製造方法は、前記島状に区切られたフォトニック結晶材料層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成することを特徴とする。すなわち、離型性を有する基体シート上にフォトニック結晶材料層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成し、該転写シートを表示デバイス基材に積層し、次いで離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化したフォトニック結晶材料層を形成する。したがって、離型性を有する基体シート上にロールツーロールで前記フォトニック結晶材料層を形成でき、且つ容易に島状にパターン化できるので、生産性が大きく向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略斜視図であり、色彩が変化する層が完全に分離独立した島状に形成されている構造の例を示す。
【図2】図1をA−A線で切断した概略断面図である。
【図3】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の一部が連結して島状に形成されている構造の例を示す。
【図4】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の各島とドライブ層のパターンとが位置ずれを起こしている構造の例を示す。
【図5】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、離型性を有する基体シート上にフォトニック結晶材料層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成した工程を示す。
【図6】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、接着層をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層の一部をエッチング除去した工程を示す。
【図7】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写シートを表示デバイス基材に積層した工程を示す。
【図8】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化したフォトニック結晶材料層を転写形成した工程を示す。
【図9】従来技術のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図である。
【図10】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略斜視図であり、色彩が変化する層が完全に分離独立した島状に形成されている構造の例を示す。
【図11】図10をA−A線で切断した概略断面図である。
【図12】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の一部が連結して島状に形成されている構造の例を示す。
【図13】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、離型性を有する基体シート上にフォトニック結晶材料層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成した工程を示す。
【図14】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、接着層をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層の一部をエッチング除去した工程を示す。
【図15】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写シートを表示デバイス基材に積層した工程を示す。
【図16】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化したフォトニック結晶材料層を転写形成した工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のカラー表示デバイスについて説明する。図1に示すカラー表示デバイス1は、表示デバイス基材90の裏面に画素50単位でドライブ層8がパターン形成され、表面に、溝28によって各画素50のサイズ以下の島に区切られたフォトニック結晶材料層10が形成されている。そして各一個の画素50のサイズは、ドライブ層8の各々のパターン80,81によって決定される。このカラー表示デバイス1をA−A線で切断した概略断面図が図2である。図2においてフォトニック結晶材料層10は溝28によって島15,16,17,18,19,20に区切られ、そのうち島15,16,17,18が1つの画素に含まれる。
【0019】
また、図10に示すカラー表示デバイス200は、表示デバイス基材290の表面に、溝228によって圧力を負荷する媒体250の先端サイズ以下の島に区切られたフォトニック結晶材料層210が形成されている。このカラー表示デバイス200をA−A線で切断した概略断面図が図10である。図10においてフォトニック結晶材料層210は溝228によって島215,216,217、218、219、220に区切られ、そのうち島215,216,217、218が1度の押圧領域250に含まれる。
【0020】
表示デバイス基材90,290としては、ケイ酸ガラス、アクリルガラス、カルコゲンガラス、有機ガラスなどの各種のガラスやポリエステル、ウレタン、アクリル、塩化ビニルなどの各種プラスチックフィルムなどが挙げられるが、これ以外の材料であっても構わない。また、透明であっても着色されていてもよい。ただ、表示デバイス基材90は、後述するドライブ層8側から当該ドライブ層8及び前記表示デバイス基材90を透して背後のフォトニック結晶材料層10を見る場合は透明である必要があり、フォトニック結晶材料層10側から見る場合には隠蔽性のある黒などの着色がされている方が望ましい。また、表示デバイス基材290は、当該表示デバイス基材290を透して背後のフォトニック結晶材料層210を見る場合は透明である必要があり、フォトニック結晶材料層210側から見る場合には隠蔽性のある黒などの着色がされている方が望ましい。黒色にするのは、フォトニック結晶材料層10,210の背後に、明度がJIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4である基材があるとフォトニック結晶材料層の色彩をより鮮明に発色させることができるという効果が得られたためである。
【0021】
ドライブ層8としては、アモルファスシリコンなどの無機物あるいはペンタセンなどの有機物からなる薄膜トランジスタ(TFT)やメタルインシュレーターメタル(MIM)などが挙げられるが、これ以外の材料であっても構わない。ドライブ層8が透明な材料(たとえば亜鉛酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、銅酸化物、ニッケル酸化物などの透明酸化物半導体材料)からなる場合には、フォトニック結晶材料層10の前面に配置し、ドライブ層8を透して背後のフォトニック結晶材料層10を見ることもできる。
【0022】
電位の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層10の材質は、前述した特許文献1の置換シラ-1-フェロセノファンなどのポリフェロセニルシラン材料が挙げられるが、電位の変化によって色彩が変化する材料であれば他の材料であっても構わない。このような電位の変化によって色彩が変化する具体的な材料の商品としては、OPALUX社のP-inkなどがある。圧力の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層210の材質は、アクリル・シリコン・ウレタン系の樹脂など各種合成ゴム材料が挙げられるが、圧力の変化によって色彩が変化する材料であれば他の材料であっても構わない。このような圧力の変化によって色彩が変化する具体的な材料の商品としては、OPALUX社のErast−inkID、Erast−inkXR、ColorSketch、Press2、Peel&Revealなどがある。
【0023】
フォトニック結晶材料層10,210の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法や各種コーターによる方法、スピンコート、塗装のほか、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などの方法でするとよい。フォトニック結晶材料層10の厚みは0.05〜200μmの範囲内に形成するのが好ましい。フォトニック結晶材料層10,210の厚さが0.05μm未満になるとピンホールなどの欠陥が発生しがちになり、厚さを200μmより厚くしても効果が上がらず生産性が低下するだけだからである。なお、図面ではフォトニック結晶材料層10を表示デバイス基材90のドライブ層8が形成された面とは反対面にフォトニック結晶材料層10を設けているが、フォトニック結晶材料層10を表示デバイス基材90のドライブ層8が形成された面に設けてもよい。
【0024】
そして、電位の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層10には溝28が形成され、図2に示す断面図では各一個の画素50のサイズ以下の島15,16,17,18,19,20に区切られて各々独立した構造になっている。このような構造にすることによって、ドライブ層8を駆動させて電位を変化させた場合、島15,16,17,18のフォトニック結晶材料層10にはパターン80において生じた電位の変化のみの影響を受け、隣のパターン81に生じた電位の変化の影響は溝28によって遮断されることになる。
【0025】
したがって、パターン80に生じた電位の変化と隣のパターン81に生じた電位の変化とがかなり異なっていても、島15,16,17,18のフォトニック結晶材料層10はパターン80に生じた電位の変化のみによって色彩が変化し、島19,20のフォトニック結晶材料層10はパターン81に生じた電位の変化のみによって色彩が変化する。その結果、各一個の画素50は独立して所望の色彩に変化させることができるので、これを画面全体に適用すればフルカラー制御のできるカラー表示デバイス1を得ることができる。
【0026】
同様に圧力の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層210には溝228が形成され、図11に示す断面図では圧力を負荷する媒体280の先端サイズ以下の島215,216,217,218,219,220に区切られて各々独立した構造になっている。このような構造にすることによって、媒体280の先端でもってフォトニック結晶材料層210を押圧し、島215,216,217、218を含む押圧領域250に圧力を負荷させた場合、島215,216,217、218のフォトニック結晶材料層210は押圧によって生じた圧力の変化のみの影響を受け膜厚が薄くなる。一方で、押圧領域250近傍の島219,220への影響は溝228によって遮断されることになる。
【0027】
したがって、かなり強い圧力でフォトニック結晶材料層210を押圧しても、島215,216,217,218のフォトニック結晶材料層210のみが該圧力の変化によって膜厚が薄くなり色彩が変化し、島219,220のフォトニック結晶材料層210の色彩は変化しない。その結果、押圧領域250だけを所望の色彩に変化させることができる。
【0028】
なお、図2および図11に示す断面図では島15,16,17,18,19,20および島215,216,217,218,219,220が完全に分離独立して形成されている例を示しているが、一部が連結された構造(図3及び図12参照)のものも権利範囲に含まれる。すなわち、隣のパターン81に生じた電位の変化を受けない程度に溝28によって区切られ島15,16,17,18,19,20が形成されていれば、それ以外の形状は制限されないという意味である。また、圧力を負荷する媒体280によって生じた圧力の変化を押圧領域250近傍が受けない程度に溝228によって区切られ島215,216,217,218,219,220が形成されていれば、それ以外の形状は制限されないという意味である。図3および図12に示すように一部が連結された島構造の場合、フォトニック結晶材料層10,210の上に保護層等を形成し保護層と表示デバイス基材90,290との密着が悪い場合において、フォトニック結晶材料層10,210がそれらの密着を助けるアンカー層の役割を果たすという優位点がある。
【0029】
各島のサイズ(長さ)は、図2および図3に示されるような画素50のサイズ(長さ)の1/4か、それより小さくすることが望ましい。その理由は、図4に示されるように島15,16,17,18とドライブ層8のパターン80とが位置ずれを起こして製造された場合、島18はドライブ層8のパターン80の電位の変化だけでなく、パターン81の電位の変化の影響を受けてしまって所望の色彩に制御できなくなるが、島15,16,17のフォトニック結晶材料層10はパターン80に生じた電位の変化のみによって色彩が変化し所望の色彩に制御できるため一個の画素50としては、許容できる範囲に所望の色彩に制御できることとなるためである。
【0030】
すなわち、各島のサイズを画素50のサイズの1/4か、それより小さくすることによりドライブ層8とフォトニック結晶材料層10との位置合わせをしなくとも、所望の色彩表示ができるという効果があるからである。ただし、各島のサイズを画素50のサイズの1/1000よりも小さくするのは、それだけ多くの溝28を形成し、各溝の幅も小さくしなければならないことから、生産性に問題があり効果も上がらない。よって島のサイズは、画素50のサイズの1/4〜1/1000にすることが好ましい。
【0031】
同様に、図11および図12に示される島のサイズ(長さ)も、圧力を負荷する媒体280の先端サイズの1/4か、それより小さくすることが望ましい。その理由は、図13に示されるように圧力を負荷する媒体280の押圧する位置がずれて、島219の一部にも圧力を負荷する媒体280の圧力がかかった場合、島219も変色してしまうことになるが、島のサイズが十分小さければ、その圧力を溝228でもって遮断できるため、より精細に圧力を加えた箇所だけを所望の色彩にすることができることとなるためである。なお、圧力を負荷する媒体280が指である場合、おおよそ通常操作の接触面積は7mm径、軽く触れた程度の接触面積は4mm径となる。また、媒体280は用途によって適宜決めればよく、例えば手の掌で圧力を負荷することもできる。
【0032】
フォトニック結晶材料層10,210の厚みは0.1〜200μmの範囲内に形成するのが好ましい。色彩が変化する層10,210の厚さが0.1μm未満になるとピンホールなどの欠陥が発生しがちになり、厚さを200μmより厚くしても効果が上がらず生産性が低下するだけだからである。
【0033】
溝28,228の幅は0.02〜200μmの範囲で設定するのが好ましい。溝28,228の幅を200μmより大きくすると溝28,228が視認者に見えてしまって外観意匠上好ましくなく、溝28,228の幅を0.02μm未満にしようとすると、生産性に問題があり効果も上がらないからである。溝28,228の深さは、フォトニック結晶材料層10,210の厚みの1/4〜1/1の範囲が好ましい。フォトニック結晶材料層10の厚みの1/4未満しか区切りがなければ、隣のパターン81に生じた電位の変化の影響を受けやすくなるためである。また、フォトニック結晶材料層210の厚みの1/4未満しか区切りがなければ、近傍の島219,220が圧力を負荷する媒体280による圧力の影響を受けやすくなるためである。
【0034】
フォトニック結晶材料層10,210に溝28,228を形成し、島15,16,17,18,19,20や島215,216,217,218,219,220に区切られた構造にする方法としては、ナノインプリント加工やフォトリソグラフィーが挙げられるが、これ以外の方法であっても構わない。
【0035】
具体的には、所望する溝28および島15,16,17,18,19,20や溝228および島215,216,217,218,219,220の形状を反転した形状のナノインプリント型を作成し、それをフォトニック結晶材料層10,210の上にセットし、常温または熱を加えながら一定の圧力で押圧する、所謂常温ナノインプリント法または熱ナノインプリント法により形成する。あるいはフォトニック結晶材料層10,210を紫外線硬化型にできるのであれば、やや弱めの圧力で押圧して紫外線照射することにより硬化させて所定の形状にする、所謂UVナノインプリント法により形成してもよい。
【0036】
また電離放射線で硬化または可溶化層する層を形成し、電離放射線で露光し、現像した後、それをエッチングレジストとしてフォトニック結晶材料層10,210をエッチングすることにより形成してもよい。電離放射線の例としては、可視光線、紫外線、赤外線、電子線、X線、ガンマ線などが挙げられる。電離放射線で硬化する材質としてはカリックスアレーンなどのレジストが挙げられ、電離放射線で可溶化する材質としてはアクリル系、ピリミジン系、ノボラック系などの樹脂レジストが挙げられる。
【0037】
エッチングは、異方性エッチング方式が好ましい、異方性エッチングとは、膜面方向の方位に対してはエッチングが抑制される性質のエッチングのことであり、具体的には、酸素、アルゴン、フッ素系ガスなどのプラズマを用いたドライエッチング方式などが挙げられる。エッチング後はエッチングレジストを剥離除去してもよい。剥離液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液などのアルカリレジスト剥離液やトルエンなどの有機溶剤などが挙げられる。
【0038】
上記ナノインプリント加工やフォトリソグラフィーでは非常に細く深い(高アスペクト比の)微細な溝を掘ることができる。したがって、色彩が変化する層の島のサイズをかなり小さく加工できるので、より精細なカラー表示デバイスにすることができるという効果がある。
【0039】
また、電位の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層10は表示デバイス基材90上に直接形成してもよいが、離型性を有する基体シート60上にフォトニック結晶材料層10および島状にパターン化した接着層70を順次形成した転写シート65を作成し(図5参照)、接着層70をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層10の一部をエッチング除去し(図6参照)、次いで転写シート65を裏面にドライブ層8が形成された表示デバイス基材90に積層し(図7参照)、次いで離型性を有する基体シート60を剥離して、裏面にドライブ層8が形成された表示デバイス基材90上に島状の接着層70および島状のフォトニック結晶材料層10を転写形成してもよい(図8参照)。
【0040】
同様に、圧力の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層210は表示デバイス基材290上に直接形成してもよいが、離型性を有する基体シート60上にフォトニック結晶材料層210および島状にパターン化した接着層70を順次形成した転写シート265を作成し(図13参照)、接着層70をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層210の一部をエッチング除去し(図14参照)、次いで転写シート265を表示デバイス基材290に積層し(図15参照)、次いで離型性を有する基体シート60を剥離して表示デバイス基材290上に島状の接着層70および島状のフォトニック結晶材料層210を転写形成してもよい(図16参照)。
【0041】
これらの方法では、離型性を有する基体シート60上にロールツーロールでかつ広幅でフォトニック結晶材料層10、210を形成でき、容易に島状にパターン化できるので、生産性が大きく向上するという効果がある。
【0042】
離型性を有する基体シート60としては、表面にフッ素、シリコン、メラミンなどの樹脂がコートされた5〜800μmのアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの樹脂フィルムが挙げられる。
【0043】
接着層70としては、アクリル系、ウレタン系、ビニル系、ゴム系などの樹脂からなる層が挙げられ、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法で形成するとよい。接着層70を島状にパターン化する方法としては、前述のフォトリソグラフィーなどを用いるとよい。エッチングの方式も前述の異方性エッチング方式などを用いるとよい。なお、フォトニック結晶材料層10,210の接着層70が形成されていない部分を基体シート60に残したまま、フォトニック結晶材料層10、210の接着層70が形成されている部分だけを転写できるのであれば、接着層をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層10,210をエッチングする工程(すなわち図6及び図14の工程)を省略してもよい。あるいは、フォトニック結晶材料層10,210の一部を別途レジストにてエッチング除去して島状にパターン化してから、接着層70を全面的に形成してもよい。
【0044】
転写方法としては加熱したパットを押し当てる熱転写法や、別のラミネート接着層を介して接着するドライラミネート法、成形同時転写法などが挙げられる。
【実施例1】
【0045】
離型性を有する基体シートとしてシリコン樹脂をコートした25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、該離型性を有する基体シート上に厚み2μmのフォトニック結晶材料層(商品名:OPALUX社のP-ink)、厚み1μmのノボラック樹脂からなる接着層を順次グラビア印刷によって全面に形成した。
【0046】
次いで接着層上に幅5μmの溝で区切られたサイズ2500μm2の正方形の島状にパターン化したフォトマスクを載せ、メタルハライドランプ光源の露光光線を照射しテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで現像し、接着層を島状にパターン化した。次いで、ドライエッチングし、色彩が変化する層も島状にパターン化した転写シートを得た。
【0047】
次いで上記転写シートを、裏面に一個の画素のサイズが200μm角の正方形でペンタセンからなるTFTドライブ層が形成された厚み2mmの黒色ポリエステルフィルムからなる表示デバイス基材に積層し、200℃に加熱されたシリコンパッドでもって2秒間2気圧の圧力で押圧した。冷却後、転写シートの離型性を有する基体シートを剥離したところ、表示デバイス基材上に島状の島状のフォトニック結晶材料層および接着層が転写形成されたカラー表示デバイスが得られた。
【0048】
得られたカラー表示デバイスに対しー1,6Vから+2Vの範囲で電位を変えて駆動させたところ、その電位の変化に応じてフォトニック結晶材料層の色彩が変化した。なお、色彩が変化する層とTFTドライブ層とは若干の位置ずれが生じていたが、各画素のカラー表示に対して影響はなく、所望のフルカラー表示が可能であり、カラーの電子ペーパーに応用することが可能であった。
【実施例2】
【0049】
離型性を有する基体シートとしてシリコン樹脂をコートした25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、該離型性を有する基体シート上に厚み2μmのフォトニック結晶材料層(商品名:OPALUX社製Elast−inkID)、厚み1μmのノボラック樹脂からなる接着層を順次グラビア印刷によって全面に形成した。
【0050】
次いで接着層上に幅5μmの溝で区切られたサイズ2500μm2の正方形の島状にパターン化したフォトマスクを載せ、メタルハライドランプ光源の露光光線を照射しテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで現像し、接着層を島状にパターン化した。次いで、ドライエッチングし、色彩が変化する層も島状にパターン化した転写シートを得た。
【0051】
次いで上記転写シートを、厚み2mmの黒色ポリエステルフィルムからなる表示デバイス基材に積層し、200℃に加熱されたシリコンパッドでもって2秒間2気圧の圧力で押圧した。冷却後、転写シートの離型性を有する基体シートを剥離したところ、表示デバイス基材上に島状の島状のフォトニック結晶材料層および接着層が転写形成されたカラー表示デバイスが得られた。
【0052】
得られたカラー表示デバイスに対し0〜20kg/cm2の範囲で圧力を変えて指で押圧させたところ、その圧力の変化に応じてフォトニック結晶材料層の色彩が変化した。なお、押圧する位置をいろいろ変えて試験したが、カラー表示に対して影響はなく所望のカラー表示が可能であり、カラーの感圧スイッチ製品に応用することが可能であった。
【符号の説明】
【0053】
1,100,200 カラー表示デバイス
8 ドライブ層
10,210 フォトニック結晶材料層
15,16,17,18,19,20 各画素のサイズ以下の島
215,216,217,218,219,220 各画素のサイズ以下の島
28,228 溝
50 画素
60 離型性を有する基体シート
65,265 転写シート
70 接着層
80,81 ドライブ層のパターン
90,290 表示デバイス基材
110 フォトニック結晶材料からなる層
250 押圧領域
280 圧力を負荷する媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPDAなどの電子機器や通信機器、電子書籍、サイネ―ジなどに用いることのできるカラー表示デバイス(例えばカラー電子ペーパーやカラー感圧スイッチ製品)の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー表示デバイスの発明としては、電気泳動層とカラーフィルタ層とを積層する方式(特許文献2)などが検討されているが、これは不要な色の画素を遮蔽して色彩表示することとなるので、どうしても色が薄く画面が暗くなる問題を抱えていた。そこで、最近ではこの問題を解決する方式として、フォトニック結晶材料(特許文献1)を用いることにより、駆動させる電位の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式が検討されている。例えば、図9に示すように、表示デバイス基材90と、前記表示デバイス基材90の片面に画素50単位でパターン形成されたドライブ層8と、前記表示デバイス基材90の前記ドライブ層8が形成された面とは反対面に全面的に形成されたフォトニック結晶材料からなる層110とを備える構造とすることで、前記ドライブ層8の各パターン80,81を駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料からなる層110の厚みがかわり、屈折率が変化して反射光の色彩が画素50単位で可逆的に変化するカラー表示デバイス200が得られる。そして特許文献1の実施例では、フォトニック結晶材料の一例であるポリフェロセニルシランからなる層について、電位の変化に応じて一つの画素50が青、緑、赤へと変化することが開示されている。そして、このようなフォトニック結晶材料には電位の変化以外に、圧力の変化によってフォトニック結晶材料からなる層110の厚みがかわるものもあり、圧力の変化によって屈折率が変化して反射光の色彩が画素50単位で可逆的に変化するカラー表示デバイス200を得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−504984号公報
【特許文献2】特開2003−280044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駆動させる電位の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式は、全画面を単色のベタで表示させる場合では問題は生じないが、フルカラーの表示をさせる場合、各一個の画素に駆動あるいは負荷させた電位だけでなく、その周辺の画素に駆動させた電位の影響も受けるため、必ずしも各画素が所望の色彩にならず、また経時的に各画素の色彩が変化していくなどの問題が生じていた。同様に負荷させる圧力の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式は、全画面に圧力を負荷させて単色のベタを表示させる場合では問題は生じないが、画面の一部の箇所に圧力を負荷させてその部分のカラー表示をさせる場合、圧力を加えた箇所だけでなくその周辺の部分も負荷された圧力の影響を受けて変色するため、所望の箇所だけを所望の色彩にすることができず、また経時的に各画素の色彩が変化していくなどの問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは以下の発明により上記問題点を解決した。すなわち本発明の第1態様によれば、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第2態様によれば、前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000である、第1態様のカラー表示デバイスを提供する。
【0006】
また、本発明の第3態様によれば、表示デバイス基材の片面にフォトニック結晶材料層を備え、フォトニック結晶材料層に負荷する圧力の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が押圧領域で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が圧力を負荷する媒体の先端サイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第4態様によれば、前記区切られて構成された島のサイズが、圧力を負荷する媒体の先端サイズの1/4〜1/1000である、第3態様のカラー表示デバイスを提供する。
【0007】
また、本発明の第5態様によれば、前記区切られて構成された島どうしが完全に分離独立している、第1〜第4態様のいずれかに記載のカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第6態様によれば、前記区切られて構成された島どうしが一部で連結されている、第1〜5態様のいずれかのカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第7態様によれば、前記表示デバイス基材の明度が、JIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4であることを特徴とする第1〜6態様のいずれかのカラー表示デバイスを提供する。
【0008】
また、本発明の第8態様によれば、第1〜7態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工による、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。また、本発明の第9態様によれば、第1〜7態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、フォトリソグラフィーによるカラー表示デバイスの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第10態様によれば、第1〜9態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記島状に区切られたフォトニック結晶材料層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成する、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
第1態様のカラー表示デバイスは、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とする。したがって、各一個の画素の周辺の画素が駆動させた電位の影響を受けることは少なく、フルカラーの表示をさせる場合であっても所望の色彩にすることができるという効果がある。また経時的に各画素の色彩が変色するのも防止できるという効果がある。
【0011】
また、第2態様のカラー表示デバイスは、前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする。したがって、前記フォトニック結晶材料層の各区切られて構成された島のサイズが各画素のサイズよりもかなり小さいので、ドライブ層と前記フォトニック結晶材料層との位置合わせをしなくとも、所望の色彩表示ができるという効果がある。
【0012】
第3態様のカラー表示デバイスは、表示デバイス基材の片面にフォトニック結晶材料層を備え、フォトニック結晶材料層に負荷する圧力の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が押圧領域で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が圧力を負荷する媒体の先端サイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とする。したがって、表示面の一部の箇所に圧力を負荷させてその押圧領域のカラー表示をさせる場合、押圧領域に負荷させた圧力が周囲に影響を与えることは少なく、押圧領域だけを所望の色彩にすることができ、また経時的に各画素の色彩が変色するのも防止できるという効果がある。
【0013】
また、第4態様のカラー表示デバイスは、前記区切られて構成された島のサイズが、1度の押圧領域のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする。したがって、前記フォトニック結晶材料層の各区切られて構成された島のサイズが圧力を負荷する媒体のサイズよりもかなり小さいので、より精細に圧力を加えた箇所だけを所望の色彩にすることができるという効果がある。
【0014】
また、第7態様の本発明のカラー表示デバイスは、前記表示デバイス基材の明度が、JIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4であることを特徴とする。したがってフォトニック結晶材料層の色彩をより鮮明に発色させることができるという効果がある。
【0015】
また、第8態様、第9態様のカラー表示デバイスの製造方法は、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工あるいはフォトリソグラフィーによることを特徴とする。したがって、前記フォトニック結晶材料層の島のサイズをかなり小さく加工できるので、より精細なカラー表示デバイスにすることができるという効果がある。
【0016】
また、第10態様のカラー表示デバイスの製造方法は、前記島状に区切られたフォトニック結晶材料層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成することを特徴とする。すなわち、離型性を有する基体シート上にフォトニック結晶材料層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成し、該転写シートを表示デバイス基材に積層し、次いで離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化したフォトニック結晶材料層を形成する。したがって、離型性を有する基体シート上にロールツーロールで前記フォトニック結晶材料層を形成でき、且つ容易に島状にパターン化できるので、生産性が大きく向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略斜視図であり、色彩が変化する層が完全に分離独立した島状に形成されている構造の例を示す。
【図2】図1をA−A線で切断した概略断面図である。
【図3】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の一部が連結して島状に形成されている構造の例を示す。
【図4】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の各島とドライブ層のパターンとが位置ずれを起こしている構造の例を示す。
【図5】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、離型性を有する基体シート上にフォトニック結晶材料層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成した工程を示す。
【図6】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、接着層をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層の一部をエッチング除去した工程を示す。
【図7】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写シートを表示デバイス基材に積層した工程を示す。
【図8】図1に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化したフォトニック結晶材料層を転写形成した工程を示す。
【図9】従来技術のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図である。
【図10】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略斜視図であり、色彩が変化する層が完全に分離独立した島状に形成されている構造の例を示す。
【図11】図10をA−A線で切断した概略断面図である。
【図12】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の一部が連結して島状に形成されている構造の例を示す。
【図13】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、離型性を有する基体シート上にフォトニック結晶材料層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成した工程を示す。
【図14】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、接着層をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層の一部をエッチング除去した工程を示す。
【図15】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写シートを表示デバイス基材に積層した工程を示す。
【図16】図10に示すカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化したフォトニック結晶材料層を転写形成した工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のカラー表示デバイスについて説明する。図1に示すカラー表示デバイス1は、表示デバイス基材90の裏面に画素50単位でドライブ層8がパターン形成され、表面に、溝28によって各画素50のサイズ以下の島に区切られたフォトニック結晶材料層10が形成されている。そして各一個の画素50のサイズは、ドライブ層8の各々のパターン80,81によって決定される。このカラー表示デバイス1をA−A線で切断した概略断面図が図2である。図2においてフォトニック結晶材料層10は溝28によって島15,16,17,18,19,20に区切られ、そのうち島15,16,17,18が1つの画素に含まれる。
【0019】
また、図10に示すカラー表示デバイス200は、表示デバイス基材290の表面に、溝228によって圧力を負荷する媒体250の先端サイズ以下の島に区切られたフォトニック結晶材料層210が形成されている。このカラー表示デバイス200をA−A線で切断した概略断面図が図10である。図10においてフォトニック結晶材料層210は溝228によって島215,216,217、218、219、220に区切られ、そのうち島215,216,217、218が1度の押圧領域250に含まれる。
【0020】
表示デバイス基材90,290としては、ケイ酸ガラス、アクリルガラス、カルコゲンガラス、有機ガラスなどの各種のガラスやポリエステル、ウレタン、アクリル、塩化ビニルなどの各種プラスチックフィルムなどが挙げられるが、これ以外の材料であっても構わない。また、透明であっても着色されていてもよい。ただ、表示デバイス基材90は、後述するドライブ層8側から当該ドライブ層8及び前記表示デバイス基材90を透して背後のフォトニック結晶材料層10を見る場合は透明である必要があり、フォトニック結晶材料層10側から見る場合には隠蔽性のある黒などの着色がされている方が望ましい。また、表示デバイス基材290は、当該表示デバイス基材290を透して背後のフォトニック結晶材料層210を見る場合は透明である必要があり、フォトニック結晶材料層210側から見る場合には隠蔽性のある黒などの着色がされている方が望ましい。黒色にするのは、フォトニック結晶材料層10,210の背後に、明度がJIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4である基材があるとフォトニック結晶材料層の色彩をより鮮明に発色させることができるという効果が得られたためである。
【0021】
ドライブ層8としては、アモルファスシリコンなどの無機物あるいはペンタセンなどの有機物からなる薄膜トランジスタ(TFT)やメタルインシュレーターメタル(MIM)などが挙げられるが、これ以外の材料であっても構わない。ドライブ層8が透明な材料(たとえば亜鉛酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、銅酸化物、ニッケル酸化物などの透明酸化物半導体材料)からなる場合には、フォトニック結晶材料層10の前面に配置し、ドライブ層8を透して背後のフォトニック結晶材料層10を見ることもできる。
【0022】
電位の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層10の材質は、前述した特許文献1の置換シラ-1-フェロセノファンなどのポリフェロセニルシラン材料が挙げられるが、電位の変化によって色彩が変化する材料であれば他の材料であっても構わない。このような電位の変化によって色彩が変化する具体的な材料の商品としては、OPALUX社のP-inkなどがある。圧力の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層210の材質は、アクリル・シリコン・ウレタン系の樹脂など各種合成ゴム材料が挙げられるが、圧力の変化によって色彩が変化する材料であれば他の材料であっても構わない。このような圧力の変化によって色彩が変化する具体的な材料の商品としては、OPALUX社のErast−inkID、Erast−inkXR、ColorSketch、Press2、Peel&Revealなどがある。
【0023】
フォトニック結晶材料層10,210の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法や各種コーターによる方法、スピンコート、塗装のほか、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などの方法でするとよい。フォトニック結晶材料層10の厚みは0.05〜200μmの範囲内に形成するのが好ましい。フォトニック結晶材料層10,210の厚さが0.05μm未満になるとピンホールなどの欠陥が発生しがちになり、厚さを200μmより厚くしても効果が上がらず生産性が低下するだけだからである。なお、図面ではフォトニック結晶材料層10を表示デバイス基材90のドライブ層8が形成された面とは反対面にフォトニック結晶材料層10を設けているが、フォトニック結晶材料層10を表示デバイス基材90のドライブ層8が形成された面に設けてもよい。
【0024】
そして、電位の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層10には溝28が形成され、図2に示す断面図では各一個の画素50のサイズ以下の島15,16,17,18,19,20に区切られて各々独立した構造になっている。このような構造にすることによって、ドライブ層8を駆動させて電位を変化させた場合、島15,16,17,18のフォトニック結晶材料層10にはパターン80において生じた電位の変化のみの影響を受け、隣のパターン81に生じた電位の変化の影響は溝28によって遮断されることになる。
【0025】
したがって、パターン80に生じた電位の変化と隣のパターン81に生じた電位の変化とがかなり異なっていても、島15,16,17,18のフォトニック結晶材料層10はパターン80に生じた電位の変化のみによって色彩が変化し、島19,20のフォトニック結晶材料層10はパターン81に生じた電位の変化のみによって色彩が変化する。その結果、各一個の画素50は独立して所望の色彩に変化させることができるので、これを画面全体に適用すればフルカラー制御のできるカラー表示デバイス1を得ることができる。
【0026】
同様に圧力の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層210には溝228が形成され、図11に示す断面図では圧力を負荷する媒体280の先端サイズ以下の島215,216,217,218,219,220に区切られて各々独立した構造になっている。このような構造にすることによって、媒体280の先端でもってフォトニック結晶材料層210を押圧し、島215,216,217、218を含む押圧領域250に圧力を負荷させた場合、島215,216,217、218のフォトニック結晶材料層210は押圧によって生じた圧力の変化のみの影響を受け膜厚が薄くなる。一方で、押圧領域250近傍の島219,220への影響は溝228によって遮断されることになる。
【0027】
したがって、かなり強い圧力でフォトニック結晶材料層210を押圧しても、島215,216,217,218のフォトニック結晶材料層210のみが該圧力の変化によって膜厚が薄くなり色彩が変化し、島219,220のフォトニック結晶材料層210の色彩は変化しない。その結果、押圧領域250だけを所望の色彩に変化させることができる。
【0028】
なお、図2および図11に示す断面図では島15,16,17,18,19,20および島215,216,217,218,219,220が完全に分離独立して形成されている例を示しているが、一部が連結された構造(図3及び図12参照)のものも権利範囲に含まれる。すなわち、隣のパターン81に生じた電位の変化を受けない程度に溝28によって区切られ島15,16,17,18,19,20が形成されていれば、それ以外の形状は制限されないという意味である。また、圧力を負荷する媒体280によって生じた圧力の変化を押圧領域250近傍が受けない程度に溝228によって区切られ島215,216,217,218,219,220が形成されていれば、それ以外の形状は制限されないという意味である。図3および図12に示すように一部が連結された島構造の場合、フォトニック結晶材料層10,210の上に保護層等を形成し保護層と表示デバイス基材90,290との密着が悪い場合において、フォトニック結晶材料層10,210がそれらの密着を助けるアンカー層の役割を果たすという優位点がある。
【0029】
各島のサイズ(長さ)は、図2および図3に示されるような画素50のサイズ(長さ)の1/4か、それより小さくすることが望ましい。その理由は、図4に示されるように島15,16,17,18とドライブ層8のパターン80とが位置ずれを起こして製造された場合、島18はドライブ層8のパターン80の電位の変化だけでなく、パターン81の電位の変化の影響を受けてしまって所望の色彩に制御できなくなるが、島15,16,17のフォトニック結晶材料層10はパターン80に生じた電位の変化のみによって色彩が変化し所望の色彩に制御できるため一個の画素50としては、許容できる範囲に所望の色彩に制御できることとなるためである。
【0030】
すなわち、各島のサイズを画素50のサイズの1/4か、それより小さくすることによりドライブ層8とフォトニック結晶材料層10との位置合わせをしなくとも、所望の色彩表示ができるという効果があるからである。ただし、各島のサイズを画素50のサイズの1/1000よりも小さくするのは、それだけ多くの溝28を形成し、各溝の幅も小さくしなければならないことから、生産性に問題があり効果も上がらない。よって島のサイズは、画素50のサイズの1/4〜1/1000にすることが好ましい。
【0031】
同様に、図11および図12に示される島のサイズ(長さ)も、圧力を負荷する媒体280の先端サイズの1/4か、それより小さくすることが望ましい。その理由は、図13に示されるように圧力を負荷する媒体280の押圧する位置がずれて、島219の一部にも圧力を負荷する媒体280の圧力がかかった場合、島219も変色してしまうことになるが、島のサイズが十分小さければ、その圧力を溝228でもって遮断できるため、より精細に圧力を加えた箇所だけを所望の色彩にすることができることとなるためである。なお、圧力を負荷する媒体280が指である場合、おおよそ通常操作の接触面積は7mm径、軽く触れた程度の接触面積は4mm径となる。また、媒体280は用途によって適宜決めればよく、例えば手の掌で圧力を負荷することもできる。
【0032】
フォトニック結晶材料層10,210の厚みは0.1〜200μmの範囲内に形成するのが好ましい。色彩が変化する層10,210の厚さが0.1μm未満になるとピンホールなどの欠陥が発生しがちになり、厚さを200μmより厚くしても効果が上がらず生産性が低下するだけだからである。
【0033】
溝28,228の幅は0.02〜200μmの範囲で設定するのが好ましい。溝28,228の幅を200μmより大きくすると溝28,228が視認者に見えてしまって外観意匠上好ましくなく、溝28,228の幅を0.02μm未満にしようとすると、生産性に問題があり効果も上がらないからである。溝28,228の深さは、フォトニック結晶材料層10,210の厚みの1/4〜1/1の範囲が好ましい。フォトニック結晶材料層10の厚みの1/4未満しか区切りがなければ、隣のパターン81に生じた電位の変化の影響を受けやすくなるためである。また、フォトニック結晶材料層210の厚みの1/4未満しか区切りがなければ、近傍の島219,220が圧力を負荷する媒体280による圧力の影響を受けやすくなるためである。
【0034】
フォトニック結晶材料層10,210に溝28,228を形成し、島15,16,17,18,19,20や島215,216,217,218,219,220に区切られた構造にする方法としては、ナノインプリント加工やフォトリソグラフィーが挙げられるが、これ以外の方法であっても構わない。
【0035】
具体的には、所望する溝28および島15,16,17,18,19,20や溝228および島215,216,217,218,219,220の形状を反転した形状のナノインプリント型を作成し、それをフォトニック結晶材料層10,210の上にセットし、常温または熱を加えながら一定の圧力で押圧する、所謂常温ナノインプリント法または熱ナノインプリント法により形成する。あるいはフォトニック結晶材料層10,210を紫外線硬化型にできるのであれば、やや弱めの圧力で押圧して紫外線照射することにより硬化させて所定の形状にする、所謂UVナノインプリント法により形成してもよい。
【0036】
また電離放射線で硬化または可溶化層する層を形成し、電離放射線で露光し、現像した後、それをエッチングレジストとしてフォトニック結晶材料層10,210をエッチングすることにより形成してもよい。電離放射線の例としては、可視光線、紫外線、赤外線、電子線、X線、ガンマ線などが挙げられる。電離放射線で硬化する材質としてはカリックスアレーンなどのレジストが挙げられ、電離放射線で可溶化する材質としてはアクリル系、ピリミジン系、ノボラック系などの樹脂レジストが挙げられる。
【0037】
エッチングは、異方性エッチング方式が好ましい、異方性エッチングとは、膜面方向の方位に対してはエッチングが抑制される性質のエッチングのことであり、具体的には、酸素、アルゴン、フッ素系ガスなどのプラズマを用いたドライエッチング方式などが挙げられる。エッチング後はエッチングレジストを剥離除去してもよい。剥離液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液などのアルカリレジスト剥離液やトルエンなどの有機溶剤などが挙げられる。
【0038】
上記ナノインプリント加工やフォトリソグラフィーでは非常に細く深い(高アスペクト比の)微細な溝を掘ることができる。したがって、色彩が変化する層の島のサイズをかなり小さく加工できるので、より精細なカラー表示デバイスにすることができるという効果がある。
【0039】
また、電位の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層10は表示デバイス基材90上に直接形成してもよいが、離型性を有する基体シート60上にフォトニック結晶材料層10および島状にパターン化した接着層70を順次形成した転写シート65を作成し(図5参照)、接着層70をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層10の一部をエッチング除去し(図6参照)、次いで転写シート65を裏面にドライブ層8が形成された表示デバイス基材90に積層し(図7参照)、次いで離型性を有する基体シート60を剥離して、裏面にドライブ層8が形成された表示デバイス基材90上に島状の接着層70および島状のフォトニック結晶材料層10を転写形成してもよい(図8参照)。
【0040】
同様に、圧力の変化によって色彩が変化するフォトニック結晶材料層210は表示デバイス基材290上に直接形成してもよいが、離型性を有する基体シート60上にフォトニック結晶材料層210および島状にパターン化した接着層70を順次形成した転写シート265を作成し(図13参照)、接着層70をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層210の一部をエッチング除去し(図14参照)、次いで転写シート265を表示デバイス基材290に積層し(図15参照)、次いで離型性を有する基体シート60を剥離して表示デバイス基材290上に島状の接着層70および島状のフォトニック結晶材料層210を転写形成してもよい(図16参照)。
【0041】
これらの方法では、離型性を有する基体シート60上にロールツーロールでかつ広幅でフォトニック結晶材料層10、210を形成でき、容易に島状にパターン化できるので、生産性が大きく向上するという効果がある。
【0042】
離型性を有する基体シート60としては、表面にフッ素、シリコン、メラミンなどの樹脂がコートされた5〜800μmのアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの樹脂フィルムが挙げられる。
【0043】
接着層70としては、アクリル系、ウレタン系、ビニル系、ゴム系などの樹脂からなる層が挙げられ、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法で形成するとよい。接着層70を島状にパターン化する方法としては、前述のフォトリソグラフィーなどを用いるとよい。エッチングの方式も前述の異方性エッチング方式などを用いるとよい。なお、フォトニック結晶材料層10,210の接着層70が形成されていない部分を基体シート60に残したまま、フォトニック結晶材料層10、210の接着層70が形成されている部分だけを転写できるのであれば、接着層をレジスト代わりにしてフォトニック結晶材料層10,210をエッチングする工程(すなわち図6及び図14の工程)を省略してもよい。あるいは、フォトニック結晶材料層10,210の一部を別途レジストにてエッチング除去して島状にパターン化してから、接着層70を全面的に形成してもよい。
【0044】
転写方法としては加熱したパットを押し当てる熱転写法や、別のラミネート接着層を介して接着するドライラミネート法、成形同時転写法などが挙げられる。
【実施例1】
【0045】
離型性を有する基体シートとしてシリコン樹脂をコートした25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、該離型性を有する基体シート上に厚み2μmのフォトニック結晶材料層(商品名:OPALUX社のP-ink)、厚み1μmのノボラック樹脂からなる接着層を順次グラビア印刷によって全面に形成した。
【0046】
次いで接着層上に幅5μmの溝で区切られたサイズ2500μm2の正方形の島状にパターン化したフォトマスクを載せ、メタルハライドランプ光源の露光光線を照射しテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで現像し、接着層を島状にパターン化した。次いで、ドライエッチングし、色彩が変化する層も島状にパターン化した転写シートを得た。
【0047】
次いで上記転写シートを、裏面に一個の画素のサイズが200μm角の正方形でペンタセンからなるTFTドライブ層が形成された厚み2mmの黒色ポリエステルフィルムからなる表示デバイス基材に積層し、200℃に加熱されたシリコンパッドでもって2秒間2気圧の圧力で押圧した。冷却後、転写シートの離型性を有する基体シートを剥離したところ、表示デバイス基材上に島状の島状のフォトニック結晶材料層および接着層が転写形成されたカラー表示デバイスが得られた。
【0048】
得られたカラー表示デバイスに対しー1,6Vから+2Vの範囲で電位を変えて駆動させたところ、その電位の変化に応じてフォトニック結晶材料層の色彩が変化した。なお、色彩が変化する層とTFTドライブ層とは若干の位置ずれが生じていたが、各画素のカラー表示に対して影響はなく、所望のフルカラー表示が可能であり、カラーの電子ペーパーに応用することが可能であった。
【実施例2】
【0049】
離型性を有する基体シートとしてシリコン樹脂をコートした25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、該離型性を有する基体シート上に厚み2μmのフォトニック結晶材料層(商品名:OPALUX社製Elast−inkID)、厚み1μmのノボラック樹脂からなる接着層を順次グラビア印刷によって全面に形成した。
【0050】
次いで接着層上に幅5μmの溝で区切られたサイズ2500μm2の正方形の島状にパターン化したフォトマスクを載せ、メタルハライドランプ光源の露光光線を照射しテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで現像し、接着層を島状にパターン化した。次いで、ドライエッチングし、色彩が変化する層も島状にパターン化した転写シートを得た。
【0051】
次いで上記転写シートを、厚み2mmの黒色ポリエステルフィルムからなる表示デバイス基材に積層し、200℃に加熱されたシリコンパッドでもって2秒間2気圧の圧力で押圧した。冷却後、転写シートの離型性を有する基体シートを剥離したところ、表示デバイス基材上に島状の島状のフォトニック結晶材料層および接着層が転写形成されたカラー表示デバイスが得られた。
【0052】
得られたカラー表示デバイスに対し0〜20kg/cm2の範囲で圧力を変えて指で押圧させたところ、その圧力の変化に応じてフォトニック結晶材料層の色彩が変化した。なお、押圧する位置をいろいろ変えて試験したが、カラー表示に対して影響はなく所望のカラー表示が可能であり、カラーの感圧スイッチ製品に応用することが可能であった。
【符号の説明】
【0053】
1,100,200 カラー表示デバイス
8 ドライブ層
10,210 フォトニック結晶材料層
15,16,17,18,19,20 各画素のサイズ以下の島
215,216,217,218,219,220 各画素のサイズ以下の島
28,228 溝
50 画素
60 離型性を有する基体シート
65,265 転写シート
70 接着層
80,81 ドライブ層のパターン
90,290 表示デバイス基材
110 フォトニック結晶材料からなる層
250 押圧領域
280 圧力を負荷する媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイス。
【請求項2】
前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする請求項1に記載のカラー表示デバイス。
【請求項3】
表示デバイス基材の片面にフォトニック結晶材料層を備え、フォトニック結晶材料層に負荷する圧力の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が押圧領域で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が圧力を負荷する媒体の先端サイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイス。
【請求項4】
前記区切られて構成された島のサイズが、圧力を負荷する媒体の先端サイズの1/4〜1/1000である請求項3に記載のカラー表示デバイス。
【請求項5】
前記区切られて構成された島どうしが完全に分離独立していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラー表示デバイス。
【請求項6】
前記区切られて構成された島どうしが一部で連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカラー表示デバイス。
【請求項7】
前記表示デバイス基材の明度が、JIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4であることを特徴とする第1〜6態様のいずれかのカラー表示デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工によることを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、フォトリソグラフィーによることを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記島状に区切られたフォトニック結晶材料層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成することを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項1】
表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成されたフォトニック結晶材料層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイス。
【請求項2】
前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする請求項1に記載のカラー表示デバイス。
【請求項3】
表示デバイス基材の片面にフォトニック結晶材料層を備え、フォトニック結晶材料層に負荷する圧力の変化によって前記フォトニック結晶材料層の色彩が押圧領域で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記フォトニック結晶材料層が圧力を負荷する媒体の先端サイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイス。
【請求項4】
前記区切られて構成された島のサイズが、圧力を負荷する媒体の先端サイズの1/4〜1/1000である請求項3に記載のカラー表示デバイス。
【請求項5】
前記区切られて構成された島どうしが完全に分離独立していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラー表示デバイス。
【請求項6】
前記区切られて構成された島どうしが一部で連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカラー表示デバイス。
【請求項7】
前記表示デバイス基材の明度が、JIS−Z−8721:1993に準拠したマンセル表色系において0〜4であることを特徴とする第1〜6態様のいずれかのカラー表示デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工によることを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記フォトニック結晶材料層を島状に区切る方法が、フォトリソグラフィーによることを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記島状に区切られたフォトニック結晶材料層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成することを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−221415(P2011−221415A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92660(P2010−92660)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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