説明

カルボキサミド節足動物駆除物質の液体調合物

組成物の総質量に基づく質量で、約0.1〜約40%の少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質;0〜約20%の少なくとも1つのその他の生物活性物質;約30〜約95%の少なくとも1つの水不混和性の液体担体;約2〜約50%の少なくとも1つの乳化剤;約0.01〜約10%のシリカ増粘剤;約0.1〜約10%の、水、C1〜C12アルカノール、および、C2〜C3グリコールから選択される少なくとも1つのプロトン性溶媒;および、約0.001〜約5%の少なくとも1つの水溶性カルボン酸を含む懸濁液濃縮組成物を開示する。本発明はまた、節足動物門の害虫を防除する方法に関し、本方法は、前記懸濁液濃縮組成物を水で希釈し、場合によりアジュバントを添加して、希釈した組成物を形成すること、および、該希釈した組成物の有効量に、節足動物門の害虫またはその環境を接触させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキサミド節足動物駆除物質(arthropodicide)を含む特定の懸濁液濃縮組成物、該組成物の製造方法、および、節足動物を防除するための本発明の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アントラニルアミド(米国特許第6,747,047号、PCT公報WO2003/015519、および、WO2004/067528を参照)、および、フタル酸ジアミド(米国特許第6,603,044号を参照)は、経済面での重要性を有する多数の節足動物門の害虫に対して活性な、最近発見されたカルボキサミド節足動物駆除物質類である。
【0003】
カルボキサミド節足動物駆除物質は、その他の農薬と同様に様々な異なる形態の濃縮物として配合することができ、例えば、懸濁液濃縮物のような液体組成物、ならびに、粉末水和剤および顆粒水和剤のような固体組成物が挙げられる。
【0004】
一般的に、例えば節足動物駆除物質のような植物を保護するための化学物質は、活性化合物、ならびに担体およびアジュバントのような不活性成分を含む組成物(調合物)として配合される。使用者は、これらの組成物を希釈しないで標的の植物/害虫に適用してもよいし、または、水で希釈した後に適用してもよい。植物を保護するための化学物質に関して最も一般的に使用されている調合物のなかでも特に、液体調合物の濃縮物が挙げられるが、これは、液体調合物の濃縮物は、容易に測定し、注入することができ、さらに、一般的には水で希釈すると、噴霧水溶液または分散液を容易に形成することができるためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
活性成分の有効性および化学的安定性、ならびに配合された組成物の物理的安定性は、調合物中の不活性成分の影響を受ける可能性があるため、活性成分の分解を引き起こし、適用の際にその活性を実質的に減少させたり、または、長期の貯蔵中に明らかな沈殿または結晶の形成を引き起こしたりしない不活性成分が適切である。さらに不活性成分は、植物に対して毒性を示さず、且つ環境面で安全であるべきである。適用前に水での希釈を意図する調合物の不活性成分は、水に容易に溶解されるか、または、分散されるべきである。ある種の調合物において、不活性成分(アジュバントと呼ばれる場合が多い)は、植物または節足動物門の害虫への浸透または摂取を容易にすることによって、または、洗い流しに対する耐性を高めることによって、活性成分の生物学的な性能さえも強化することができる。このようなアジュバントの特性は必須ではないが、非常に望ましい。
【0006】
優れた特性を有する固形のカルボキサミド節足動物駆除物質を含む新規の液体懸濁濃縮調合物が今見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物を対象とし、本組成物は、組成物の総質量に基づく質量で:
(a)約0.1〜約40%の少なくとも1つの室温で固体のカルボキサミド節足動物駆除物質;
(b)0〜約20%の少なくとも1つのその他の生物活性物質;
(c)約30〜約95%の少なくとも1つの水不混和性の液体担体;
(d)約0〜約50%の少なくとも1つの乳化剤;
(e)約0.01〜約10%のシリカ増粘剤;
(f)約0.1〜約10%の、水、C1〜C12アルカノール、および、C2〜C3グリコールから選択される少なくとも1つのプロトン性溶媒;および、
(g)約0.001〜約5%の少なくとも1つの水溶性カルボン酸、
を含む。
【0008】
本発明はまた、節足動物門の害虫を防除する方法に関し、本方法は、前記懸濁液濃縮組成物を水で希釈し、任意によりアジュバントを添加して、希釈した組成物を形成すること、および、該希釈した組成物の有効量と節足動物門の害虫またはその環境とを接触させることを含む。
【0009】
本明細書で用いられる用語「〜を含む(comprises)」、「〜を含む(comprising)」、「〜を含む(includes)」、「〜を含む(including)」、「〜を有する(has)」、「〜を有する(having)」またはその他のあらゆるそれらの変化形は、非排他的に包括することを意図する。例えば、列挙された構成要素を含む組成物、工程、方法、物品または装置は、必ずしもその構成要素に限定されず、明確に列挙されていないその他の構成要素、または、このような組成物、工程、方法、物品または装置に固有の構成要素を含んでいてもよい。さらにそれとは別の明確な記載がない限り、「または」は、包括的な「または」を意味し、排他的な「または」を意味しない。例えば、AまたはBという条件は、以下ののいずれか一つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)且つBが真ではない(または存在しない)、Aが真ではなく(または存在しない)且つBが真である(または存在する)、および、AとBの両方が真である(または存在する)。
【0010】
また、本発明の構成要素または成分に先行して付けられる不定冠詞「a」および「an」は、構成要素または成分の例示(すなわち存在)の数に関して非制限的であることを意図する。従って「a」または「an」は、1つの、または、少なくとも1つの、という意味を含むように読むべきであり、さらに構成要素または成分の単数形の語形も、その個数が明らかに単数形を意味しない限り、複数形を含む。
【0011】
用語「懸濁液濃縮組成物」およびその派生用語、例えば「節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物」は、水または有機液体に分散された、活性成分の微粉化した固体粒子を含む組成物を意味する。前記粒子は独自性を保持しており、液体から物理的に分離することができる。
【0012】
本発明の実施態様としては以下が挙げられる:
実施態様1.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、以下の式1で示されるアントラニルアミド(また、アントラニル酸ジアミドとしても説明されている)、それらのN−酸化物および塩から選択される:
【化1】

式中、
Xは、N、CF、CCl、CBrまたはCIであり;
1は、CH3、Cl、BrまたはFであり;
2は、H、F、Cl、Brまたは−CNであり;
3は、F、Cl、Br、C1〜C4ハロアルキル、または、C1〜C4ハロアルコキシであり;
4aは、H、C1〜C4アルキル、シクロプロピルメチル、または、1−シクロプロピルエチルであり;
4bは、H、または、CH3であり;
5は、H、F、Cl、または、Brであり;および、
6は、H、F、Cl、または、Brである。
【0013】
実施態様1A.実施態様1に記載の組成物において、Xは、Nであり;R1は、CH3であり;R2は、Clまたは−CNであり;R3は、Cl、BrまたはCF3であり;R4aは、C1〜C4アルキルであり;R4bは、Hであり;R5は、Clであり;および、R6は、Hである。
【0014】
実施態様1B.実施態様1に記載の組成物において、Xは、Nであり;R1は、CH3であり;R2は、Clまたは−CNであり;R3は、Cl、BrまたはCF3であり;R4aは、Me、または、CH(CH32であり;R4bは、Hであり;R5は、Clであり;および、R6は、Hである。
【0015】
実施態様1C.実施態様1に記載の組成物において、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質は、以下から選択される。
N−[4−クロロ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[2,4−ジクロロ−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−[[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−[[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−[[(1−シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、および、
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−[[(1−シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド。
【0016】
実施態様2.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、以下の式2で示されるフタル酸ジアミド、および、それらの塩から選択される。
【化2】

式中、
11は、CH3、Cl、BrまたはIであり;
12は、CH3、または、Clであり;
13は、C1〜C3フルオロアルキルであり;
14は、H、または、CH3であり;
15は、H、または、CH3であり;
16は、C1〜C2アルキルであり;および、
nは、0、1または2である。
【0017】
実施態様2A.実施態様2に記載の組成物において、R11は、Cl、Brまたは、Iであり;R12は、CH3であり;R13は、CF3、CF2CF3、または、CF(CF32である(これは、(CF32CFと同じ意味である);R14は、H、または、CH3であり;R15は、H、または、CH3であり;R16は、CH3であり;および、nは、0、1または2である。
【0018】
実施態様2B.実施態様2に記載の組成物において、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質は、N2−[1,1−ジメチル−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−ヨード−N1−[2−メチル−4−[1,2,2,2−テトラ−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]−1,2−ベンゼンジカルボキサミドである。
【0019】
実施態様3.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、組成物の約5〜約25質量%である。
【0020】
実施態様3A.実施態様3に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)は、組成物の質量に基づき、組成物の約5〜約15質量%である。
【0021】
実施態様4.発明の要約で説明した組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、約80℃より高い融点を有するカルボキサミド節足動物駆除物質を含む。
【0022】
実施態様4A.実施態様4に記載の組成物において、構成要素(a)は、約100℃より高い融点を有するカルボキサミド節足動物駆除物質を含む。
【0023】
実施態様4B.実施態様4Aに記載の組成物において、構成要素(a)は、約120℃より高い融点を有するカルボキサミド節足動物駆除物質を含む。
【0024】
実施態様5.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)は、防虫剤、殺線虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、軟体動物駆除剤、殺真菌剤、除草剤、緩和剤、植物生長調節剤、および、植物栄養剤から選択される。
【0025】
実施態様5A.実施態様5に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(b)は、アバメクチン、アセタミプリド、アミトラズ、エバーメクチン、アザジラクチン、ビフェントリン、ブプロフェジン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルピリホス、クロチアニジン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジエルドリン、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレラート、フィプロニル、フロニカミド、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ルフェヌロン、メタフルミゾン、メトミル、メトプレン、メトキシフェノジド、ニテンピラム、ニチアジン(nithiazine)、ノバルロン、オキサミル、ピメトロジン、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、リアノジン、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、テブフェノジド、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium)、トラロメトリン、トリアザメート(triazamate)、トリフルムロン、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ アイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ クルスターキ(Bacillus thuringiensis subsp.kurstaki)、核多角体病ウイルス(NPV)、および、バチルス・チューリンゲンシスのカプセル封入されたδ−内毒素から選択される。
【0026】
実施態様5B.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)は、組成物の0〜約15質量%である。
【0027】
実施態様6.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)は、組成物の約30〜約80質量%である。
【0028】
実施態様6A.実施態様6に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、組成物の約40〜約70質量%である。
【0029】
実施態様6B.実施態様6Aに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、組成物の約50〜約60質量%である。
【0030】
実施態様6C.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)は、C1〜C4アルカノールの脂肪酸エステル(例えば、種油および果実油から誘導されたもの)、アルコキシル化脂肪酸エステル(例えば、種油および果実油から誘導されたもの)、植物油、および、鉱油からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含む。
【0031】
実施態様6D.実施態様6Cに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、C1〜C4アルカノールの脂肪酸エステルを含む。
【0032】
実施態様6E.実施態様6Dに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、C1〜C4アルカノールの飽和または不飽和C10〜C22脂肪酸エステルを含む。
【0033】
実施態様6F.実施態様6Eに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、C1〜C4アルカノールの飽和または不飽和C12〜C20脂肪酸エステルを含む。
【0034】
実施態様6G.実施態様6Fに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、C1〜C4アルカノールの飽和または不飽和C16〜C18脂肪酸エステルを含む。
【0035】
実施態様6H.実施態様6Gに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、C1〜C2アルカノールの飽和または不飽和C16〜C18脂肪酸エステルを含む。
【0036】
実施態様6I.実施態様6Hに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、メタノールの飽和または不飽和C16〜C18脂肪酸エステルを含む。
【0037】
実施態様6J.実施態様6Cに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、ヒマワリ、ダイズ、綿またはリンシードの種のメチル化された種油を含む。
【0038】
実施態様6K.実施態様6Jに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、メチル化ダイズ油(ダイズ油脂肪酸メチル)を含む。
【0039】
実施態様7.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)は、組成物の約2〜約50質量%である。
【0040】
実施態様7A.実施態様7に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、組成物の約10〜約40質量%である。
【0041】
実施態様7B.実施態様7Aに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、組成物の約20〜約30質量%である。
【0042】
実施態様8.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)は、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、および、それらの混合物から選択される。
【0043】
実施態様8A.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、および、分岐状のアルキルベンゼンスルホン酸塩から選択される。
【0044】
実施態様8B.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩のアニオン性界面活性剤を含む。
【0045】
実施態様8C.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩のアニオン性界面活性剤を含む。
【0046】
実施態様8D.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、非イオン界面活性剤は、エトキシ化ソルビトールエステル、エトキシ化植物油、および、それらの混合物から選択される。
【0047】
実施態様8E.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、非イオン界面活性剤は、エトキシ化ソルビトールエステル、エトキシ化ソルビタンエステル、エトキシ化脂肪酸エステル、および、それらの混合物から選択される。
【0048】
実施態様8F.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁組成物において、構成要素(d)は、エトキシ化トリオレイン酸ソルビタン、エトキシ化ヘキサオレイン酸ソルビトール、エトキシ化ダイズ油、エトキシ化ヒマシ油、および、それらの混合物から選択される非イオン界面活性剤を含む。
【0049】
実施態様8G.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、エトキシ化ヘキサオレイン酸ソルビトールとの混合物を含む。
【0050】
実施態様8H.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、エトキシ化ヒマシ油を含む。
【0051】
実施態様8I.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁組成物において、構成要素(d)は、アニオン性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤の混合物を含み、該アニオン性界面活性剤の該非イオン界面活性剤に対する比率は、約2:1〜約1:10(質量で)の範囲である。
【0052】
実施態様8J.実施態様8に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、アニオン性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤の混合物を含み、該アニオン性界面活性剤の該非イオン界面活性剤に対する比率は、約2:1〜約1:5(質量で)の範囲である。
【0053】
実施態様8K.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)の構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)に対する比率は、約1:1〜約1:20(質量で)である。
【0054】
実施態様9.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(e)(すなわち、シリカ増粘剤)は、ヒュームドシリカを含む。
【0055】
実施態様9A.実施態様9に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(e)は、組成物の約0.01〜約5質量%である。
【0056】
実施態様10.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(f)(すなわち、少なくとも1つのプロトン性溶媒)は、組成物の約0.5〜約5質量%である。
【0057】
実施態様11.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(f)(すなわち、少なくとも1つのプロトン性溶媒)は、水、C1〜C4アルカノール、および、エチレングリコール(例えば、それらの混合物)から選択される。
【0058】
実施態様11A.実施態様11に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(f)は、水、メタノール、エタノール、および、エチレングリコール(例えば、それらの混合物)から選択される。
【0059】
実施態様11B.実施態様11に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(f)は、水を含む。
【0060】
実施態様11C.実施態様11Bに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、水は、組成物の約0.5〜約5質量%である。
【0061】
実施態様12.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(g)(すなわち、少なくとも1つの水溶性カルボン酸)は、組成物の約0.01〜約5質量%である。
【0062】
実施態様12A.実施態様12に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(g)は、組成物の約0.01〜約2質量%である。
【0063】
実施態様13.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(g)(すなわち、少なくとも1つの水溶性カルボン酸)は、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、および、それらの混合物から選択される。
【0064】
実施態様13A.実施態様13に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(g)は、クエン酸を含む。
【0065】
実施態様13B.実施態様13Aに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、クエン酸は、組成物の約0.01〜約2質量%である。
【0066】
実施態様として重要なのは、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物を製造する方法、および、節足動物を防除するための前記組成物の使用である。
【0067】
上記の実施態様1〜13B、加えて本明細書において説明されるその他のあらゆる実施態様を含む本発明の実施態様は、本発明の組成物および方法に関し、これらはどのような形で組み合わせてもよい。
【0068】
実施態様1〜13Bの組み合わせの例としては、以下が挙げられる:
実施態様A.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、以下の式1で示されるアントラニルアミド、それらのN−酸化物および塩から選択される:
【化3】

式中、
Xは、N、CF、CCl、CBrまたはCIであり;
1は、CH3、Cl、BrまたはFであり;
2は、H、F、Cl、Brまたは−CNであり;
3は、F、Cl、Br、C1〜C4ハロアルキル、または、C1〜C4ハロアルコキシであり;
4aは、H、C1〜C4アルキル、シクロプロピルメチル、または、1−シクロプロピルエチルであり;
4bは、H、または、CH3であり;
5は、H、F、Cl、または、Brであり;および、
6は、H、F、Cl、または、Brである。
【0069】
実施態様B.発明の要約で説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、以下の式2で示されるフタル酸ジアミド、および、それらの塩から選択される:
【化4】

式中、
11は、CH3、Cl、BrまたはIであり;
12は、CH3、または、Clであり;
13は、C1〜C3フルオロアルキルであり;
14は、H、または、CH3であり;
15は、H、または、CH3であり;
16は、C1〜C2アルキルであり;および、
nは、0、1または2である。
【0070】
実施態様C.発明の要約、または、実施態様AもしくはBで説明した節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)は、組成物の約5〜約25質量%であり;構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)は、組成物の0〜約15質量%であり;構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)は、C1〜C4アルカノールの脂肪酸エステル、アルコキシル化脂肪酸エステル、植物油、および、鉱油からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含み、さらに、組成物の約40〜約70質量%であり;構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)は、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、および、それらの混合物から選択され、さらに、組成物の約10〜約40質量%であり;構成要素(e)(すなわち、シリカ増粘剤)は、組成物の約0.01〜約5質量%であり;構成要素(f)(すなわち、少なくとも1つのプロトン性溶媒)は、組成物の約0.5〜約5質量%であり;および、構成要素(g)(すなわち、少なくとも1つの水溶性カルボン酸)は、組成物の約0.01〜約5質量%である。
【0071】
実施態様D.実施態様Cに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、C1〜C2アルカノールの飽和または不飽和C16〜C18脂肪酸エステルを含み、さらに、組成物の約50〜約60質量%であり;構成要素(d)は、アニオン性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤の混合物を含み、ここにおいて該アニオン性界面活性剤の該非イオン界面活性剤に対する比率は、約2:1〜約1:10の範囲であり;構成要素(e)は、ヒュームドシリカを含み;構成要素(f)は、水を含み、ここにおいて該水は、組成物の約0.5〜約5質量%であり;および、構成要素(g)は、クエン酸を含み、ここにおいて該クエン酸は、組成物の約0.01〜約2質量%である。
【0072】
実施態様E.実施態様Cに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、ヒマワリ、ダイズ、綿またはリンシードの種のメチル化された種油を含む。
【0073】
実施態様F.実施態様Eに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(c)は、メチル化ダイズ油(ダイズ油脂肪酸メチル)を含む。
【0074】
実施態様G.実施態様Cに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であり、該非イオン界面活性剤は、エトキシ化ソルビトールエステル、エトキシ化ソルビタンエステル、エトキシ化脂肪酸エステル、および、それらの混合物から選択され、該アニオン性界面活性剤の該非イオン界面活性剤に対する比率は、約2:1〜約1:5(質量で)の範囲である。
【0075】
実施態様H.実施態様Gに記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物において、構成要素(d)は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、エトキシ化ヘキサオレイン酸ソルビトールとの混合物を含む。
【0076】
重要なのは、上記の実施態様を含む本発明の組成物であって、ここにおいて構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)が、スピネトラム(spinetoram)以外を含むものである。
【0077】
用語「室温で固体のカルボキサミド節足動物駆除物質」は、本発明の状況において、1つまたはそれ以上のカルボキサミド部分を含み、20℃よりも高い融点、または、一般的には50℃よりも高い融点を有する、節足動物を防除するのに有用な節足動物を駆除するための化合物を意味する。より一般的には、構成要素(a)の少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質は、約80℃よりも高い融点を有し、さらにより一般的には、約100℃を超える融点を有し、最も一般的には、約120℃を超える融点を有する。構成要素(a)の少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質はいずれも、約80℃よりも高い融点を有することが多く、さらに、約100℃を超える融点を有するか、または、約120℃を超える融点を有することさえある。一般的には、構成要素(a)の少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質は、約10g/L未満の水溶性を有し、より一般的には、約5g/L未満の水溶性を有する。
【0078】
当業界周知のように、用語「カルボキサミド」は、以下の式Aで示される配置で結合した炭素、窒素および酸素原子を含む部分を意味する。式Aにおける炭素原子は、カルボキサミド部分が結合しているラジカル中の炭素原子に結合している。式Aの窒素原子は、式Aのカルボニル炭素に結合しており、さらに2個のその他の原子にも結合しており、そのうち少なくとも1個の原子は、カルボキサミド成分が結合しているその他のラジカルの水素原子または炭素原子から選択される。
【化5】

【0079】
一実施態様において、本発明の組成物は、室温で固体であり、少なくとも2つのカルボキサミド部分を含むカルボキサミド節足動物駆除物質を少なくとも1つ含む。その他の実施態様において、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質は、炭素環または複素環の炭素原子に近接して(すなわちオルト位の配置で)結合した少なくとも2つのカルボキサミド部分を含む。さらなる実施態様において、このような少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質の炭素環または複素環は、芳香族である(すなわち芳香族性に関するヒュッケルの4n+2の規則を満たす)。
【0080】
本発明の組成物において有用なカルボキサミド節足動物駆除物質として特に注目すべきものは、式1で示されるもの、それらのN−酸化物および塩、ならびに、式2で示されるもの、および、それらの塩が挙げられる:
【化6】

式中、
Xは、N、CF、CCl、CBrまたはCIであり;
1は、CH3、Cl、BrまたはFであり;
2は、H、F、Cl、Brまたは−CNであり;
3は、F、Cl、Br、C1〜C4ハロアルキル、または、C1〜C4ハロアルコキシであり;
4aは、H、C1〜C4アルキル、シクロプロピルメチル、または、1−シクロプロピルエチルであり;
4bは、H、または、CH3であり;
5は、H、F、Cl、または、Brであり;および、
6は、H、F、Cl、または、Brである;
【0081】
【化7】

式中、
11は、CH3、Cl、BrまたはIであり;
12は、CH3、または、Clであり;
13は、C1〜C3フルオロアルキルであり;
14は、H、または、CH3であり;
15は、H、または、CH3であり;
16は、C1〜C2アルキルであり;および、
nは、0、1または2である。
【0082】
上記の詳述において、用語「アルキル」は、単独での使用、または、「ハロアルキル」もしくは「フルオロアルキル」のような複合語としての使用のいずれにおいても、直鎖または分岐アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、または、様々なブチル異性体を含む。「アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、および、様々なブトキシ異性体が挙げられる。用語「ハロゲン」は、単独で、または、「ハロアルキル」のような複合語としてのいずれにおいても、フッ素、塩素、臭素、または、ヨウ素を含む。さらに、「ハロアルキル」または「ハロアルコキシ」のように複合語として用いられる場合、前記アルキルは、ハロゲン原子で一部が置換されていてもよいし、または、完全に置換されていてもよく、ここでこのようなハロゲン原子は同一でもよいし、または異なっていてもよい。「ハロアルキル」の例としては、CF3、CH2Cl、CH2CF3、および、CCl2CF3が挙げられる。用語「ハロアルコキシ」等は、用語「ハロアルキル」と同じように定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、OCF3、OCH2Cl3、OCH2CH2CHF2、および、OCH2CF3が挙げられる。
【0083】
置換基中の炭素原子の総数は、「Ci〜Cj」という接頭辞で示され、ここにおいてiおよびjは1〜4の数値である。例えばC1〜C4アルキルは、メチル〜ブチルを示し、様々な異性体も含む。
【0084】
発明の要約で説明した組成物において特に注目すべきものは、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)が、以下からなる群より選択されるカルボキサミド節足動物駆除物質を含む:
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
N−[4−クロロ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(2−クロロフェニル)−N−[2、4−ジクロロ−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−[[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−[[(シクロプロピルメチル)アミノ]−カルボニル]−6−メチルフェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−[[(1−シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−[[(1−シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]−6−メチルフェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、および、
2−[1,1−ジメチル−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−ヨード−N1−[2−メチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]−1,2−ベンゼンジカルボキサミド。
【0085】
また本発明の組成物のためのカルボキサミド節足動物駆除物質(例えば式1)は、N−酸化物の形態であってもよい。当業者であれば、全ての窒素を含む複素環がN−酸化物を形成するとは限らないことを理解していると思われるが、これはなぜなら、このような窒素は酸化物へ酸化するのに利用可能な孤立電子対を必要とするためである;また当業者であれば、N−酸化物を形成することができる窒素を含む複素環も理解しているものと思われる。また当業者であれば、第三級アミンはN−酸化物を形成することができることを理解していると思われる。複素環および第三級アミンのN−酸化物を製造するための合成方法は、当業者に非常によく知られており、例えば、過酢酸、および、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、および、ジオキシラン、例えばジメチルジオキシランのようなペルオキシ酸で、複素環および第三アミンを酸化することが挙げられる。これらのN−酸化物の製造方法は、広く説明されており、文献に概説されている(例えば以下を参照):T.L.Gilchrist、Comprehensive Organic Synthesis,第7巻,748〜750頁,S.V.Ley編集,ペルガモン・プレス(Pergamon Press);M.TislerおよびB.Stanovnik、Comprehensive Heterocyclic Chemistry,第3巻,18〜20頁,A.J.BoultonおよびA.McKillop編集,ペルガモン・プレス;M.R.GrimmettおよびB.R.T.Keene、Advances in Heterocyclic Chemistry,第43巻,149〜161頁,A.R.Katritzky編集,アカデミック・プレス(Academic Press);M.TislerおよびB.Stanovnik、Advances in Heterocyclic Chemistry,第9巻,285〜291頁,A.R.KatritzkyおよびA.J.Boulton編集,アカデミック・プレス;ならびに、G.W.H.CheesemanおよびE.S.G.Werstiuk、Advances in、Heterocyclic Chemistry,第22巻,390〜392頁,A.R.KatritzkyおよびA.J.Boulton編集,アカデミック・プレス。
【0086】
当業者であれば当然ながら、このような環境中で、且つ生理学的条件下で、化学物質の塩はそれらに対応する非塩形態と平衡しているため、塩は、非塩形態の生物学的な有用性も共有する。従って、カルボキサミド節足動物駆除物質(例えば、式1または2)の多種多様の塩は、本発明の組成物において有用である(すなわち農芸用として適切である)。このような塩としては、無機酸または有機酸との酸付加塩が挙げられ、ここにおいて無機酸または有機酸としては、例えば、臭化水素酸、塩化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸、または、吉草酸が挙げられる。また、カルボキサミド節足動物駆除物質がカルボン酸またはフェノールのような酸性部分を含む場合、塩としては、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、または、アンモニア)と形成された塩、または、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの水素化物、水酸化物、または、炭酸塩)と形成された塩も挙げられる。
【0087】
本発明の組成物は、一般的に、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)を、一般的には組成物の約0.1〜約40%、より一般的には約5〜約25%、最も一般的には約5〜約15質量%の量で含む。
【0088】
本発明の組成物は、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質に加えて、構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)を約20%以下、または、約15質量%以下で含んでいてもよい。少なくとも1つのその他の生物活性物質とは、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質とは異なる化合物であり、このような化合物としては、例えば、以下の種類:防虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、除草剤、生長調節物質、例えば発根剤、化学不妊剤、信号化学物質、防虫剤、誘引物質、フェロモン、摂食刺激物質(化学的に作用する物質と生物学的に作用する物質の両方を含む)から選択される化合物、薬剤または物質、および、上記の種類から選択されるいくつかの化合物、薬剤または物質の混合物が挙げられる。一実施態様において、少なくとも1つのその他の生物活性物質は、室温で固体であり、その他の実施態様において、少なくとも1つのその他の生物活性物質は、50℃よりも高い融点を有する。
【0089】
様々な生物活性物質の混合物が、1つの物質を単独で用いるよりも広範な活性を有する可能性がある。さらにこのような混合物は相乗効果を示す可能性もある。本発明の実施態様において、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物は、少なくとも1つのその他の生物活性物質をさらに含み、ここにおいて、このようなその他の生物活性物質は、少なくとも1つの水不混和性の液体担体に懸濁または溶解させる。
【0090】
構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)の例は、以下の通りである:防虫剤、例えばアバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アセトプロール(acetoprole)、アミドフルメト(S−1955)、エバーメクチン、アザジラクチン、アジンホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ビストリフルロン、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ガンマ−シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジエルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン(dimefluthrin)、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレラート、フィプロニル、フロニカミド、フルシトリネート、タウ−フルバリネート、フルフェネリム(flufenerim)(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス(fonophos)、ハロフェノジド(halofenozide)、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロール、メトフルトリン、モノクロトホス、メトキシフェノジド、モノクロトホス、ニテンピラム、ニチアジン(nithiazine)、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホラート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、プロトリフェンビュート(protrifenbute)、ピメトロジン、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピレトリン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN2060)、スピロテトラマト(spirotetramat)、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium)、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート(triazamate)、トリクロルホン、および、トリフルムロン;殺真菌剤、例えばアシベンゾラル、アルジモルフ、アミスルブロム、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、バイノミアル(binomial)、ビフェニル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)、ボスカリド/ニコビフェン(nicobifen)、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、カルボキシン、カルプロパミド、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロトリマゾール、オキシ塩化銅、銅塩、例えば硫酸銅および水酸化銅、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ジノカップ、ジスコストロビン(discostrobin)、ジチアノン、ドデモルフ(dodemorph)、ドジン、エコナゾール、エタコナゾール(etaconazole)、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド(fencaramid)、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチンアセタート、フェンチンヒドロキシド、ファーバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトバー(flumetover)、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、ホルペト、ホセチルアルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメタピル(furametapyr)、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、グアザチン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソコナゾール、イソプロチオラン、ガスガマイシン、クレソキシムメチル、マンコゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、メフェノキサム、メパニピルム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン/フェノミノストロビン(fenominostrobin)、メトラフェノン、ミコナゾール、ミクロブタニル、ネオ−アソジン(メタンアルソン酸第二鉄)、ヌアリモル、オクチリノン、オフレース、オリサストロビン、オキサジキシル、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、パーフラゾエート(perfurazoate)、ホスホン酸、フタリド、ピコベンザミド(picobenzamid)、ピコキシストロビン、ポリオキシン類、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、塩酸プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリフェノックス、ピロルニトリン、ピロキロン、キンコナゾール(quinconazole)、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファナート、チオファナート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロホス−メチル、トリフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモール(triarimol)、トリアゾキシド、トリデモルフ、トリモルファミド(trimorphamid)、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、および、ゾキサミド;殺線虫剤、例えばアルディカーブ、イミシアホス、オキサミル、および、フェナミホス;殺菌剤、例えばストレプトマイシン;ダニ駆除剤、例えばアミトラズ、キノメチオナート、クロロベンジラート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベン、および、テブフェンピラド;ならびに、生物学的に作用する物質、例えば、昆虫病原性バクテリア、例えばバチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ アイザワイ、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ クルスターキ、および、バチルス・チューリンゲンシスのカプセル封入されたδ−内毒素(例えば、セルカップ(Cellcap)、MPV、MPVII);昆虫病原性真菌、例えば黒きょう病菌(green muscardine fungus);および、昆虫病原性ウイルス、例えばバキュロウイルス、核多角体病ウイルス(NPV)、例えばヘリコベルパ・ジー(Helicoverpa zea)核多角体病ウイルス(HzNPV)、アナグラファ・ファルシフェラ(Anagrapha falcifera)核多角体病ウイルス(AfNPV)、および、顆粒病ウイルス(granulosis viruse)(GV)例えばシディア・ポモネラ(Cydia pomonella)顆粒病ウイルス(granulosis viruse)(CpGV)。
【0091】
これらの農業用の保護剤(すなわち、防虫剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、および、生物学的に作用する物質)に関する一般的な参考文献としては、The Pesticide Manual,第13版,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,英国サリー州ファーナム,2003、および、The BioPesticide Manual,第2版,L.G.Copping編集,British Crop Protection Council,英国サリー州ファーナム,2001が挙げられる。
【0092】
重要なのは、構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つの生物活性物質)が、以下からなる群より選択される生物活性物質を含む本発明の組成物である:アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アセトプロール(acetoprole)、アルディカーブ、アミドフルメト、アミトラズ、エバーメクチン、アザジラクチン、アジンホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ビストリフルロン、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、キノメチオナート、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロロベンジラート、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ガンマ−シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジコホール、ジエルドリン、ジエノクロル、ジフルベンズロン、ジメフルトリン(dimefluthrin)、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、エトキサゾール、フェナミホス、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンバレラート、フィプロニル、フロニカミド、フルシトリネート、タウ−フルバリネート、フルフェネリム(flufenerim)、フルフェノクスロン、ホノホス(fonophos)、ハロフェノジド(halofenozide)、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾクス、ヒドラメチルノン、イミシアホス、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロール、メトキシフェノジド、メトフルトリン、モノクロトホス、ニテンピラム、ニチアジン(nithiazine)、ノバルロン、ノビフルムロン、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホラート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、プロパルギット、プロトリフェンビュート(protrifenbute)、ピメトロジン、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド、スピリジクロフェン(spiridiclofen)、スピロメシフェン、スピロテトラマト(spirotetramat)、スルプロホス、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium)、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート(triazamate)、トリクロルホン、トリフルムロン、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ アイザワイ、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ クルスターキ、核多角体病ウイルス、バチルス・チューリンゲンシスのカプセル封入されたδ−内毒素、バキュロウイルス、昆虫病原性バクテリア、昆虫病原性ウイルス、および、昆虫病原性真菌。
【0093】
さらに重要なのは、構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)が、以下からなる群より選択される生物活性物質を含む本発明の組成物である:アバメクチン、アセタミプリド、アミトラズ、エバーメクチン、アザジラクチン、ビフェントリン、ブプロフェジン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルピリホス、クロチアニジン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジエルドリン、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレラート、フィプロニル、フロニカミド、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ルフェヌロン、メタフルミゾン、メトミル、メトプレン、メトキシフェノジド、ニテンピラム、ニチアジン(nithiazine)、ノバルロン、オキサミル、ピメトロジン、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、リアノジン、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、テブフェノジド、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium)、トラロメトリン、トリアザメート(triazamate)、トリフルムロン、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ アイザワイ、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ クルスターキ、核多角体病ウイルス、および、バチルス・チューリンゲンシスのカプセル封入されたδ−内毒素。
【0094】
本発明において特に重要なのは、少なくとも1つのその他の生物活性物質は、以下のいずれかである節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物であり:防虫剤またはダニ駆除剤、例えばナトリウムチャンネル調節因子、例えばビフェントリン、シペルメトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、デルタメトリン、ジメフルトリン(dimefluthrin)、エスフェンバレレート、フェンバレラート、インドキサカルブ、メトフルトリン、プロフルトリン、ピレトリン、および、トラロメトリン;コリンエステラーゼ阻害剤、例えばクロルピリホス、メトミル、オキサミル、チオジカルブ、および、トリアザメート(triazamate);ネオニコチノイド、例えばアセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、ニチアジン(nithiazine)、チアクロプリド、および、チアメトキサム;殺虫性の大環状ラクトン、例えばスピネトラム(spinetoram)、スピノサド、アバメクチン、エバーメクチン、および、エマメクチン;GABA(γ−アミノ酪酸)によって調節された塩素チャンネルブロッカー、例えばエンドスルファン、エチプロール、および、フィプロニル;キチン合成阻害剤、例えばブプロフェジン、シロマジン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、および、トリフルムロン;幼虫ホルモン類似体、例えばジオフェノラン、フェノキシカルブ、メトプレン、および、ピリプロキシフェン;オクトパミン受容体リガンド、例えばアミトラズ;エクジソンアゴニスト、例えばアザジラクチン、メトキシフェノジド、および、テブフェノジド;リアノジン受容体リガンド、例えばリアノジン;ネライストキシン類似体、例えばカルタップ;ミトコンドリア電子伝達系阻害剤、例えばクロルフェナピル、ヒドラメチルノン、および、ピリダベン;脂質生合成阻害剤、例えばスピロジクロフェン、および、スピロメシフェン;シクロジエン系殺虫剤、例えばジエルドリン;シフルメトフェン;フェノチオカルブ;フロニカミド;メタフルミゾン;ピラフルプロール(pyrafluprole);ピリダリル;ピリプロール;ピメトロジン;スピロテトラマト(spirotetramat);および、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium)。本発明の組成物において構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)と混合するための構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)の一実施態様としては、以下が挙げられる:核多角体病ウイルス、例えばHzNPV、および、AfNPV;バチルス・チューリンゲンシス、および、バチルス・チューリンゲンシスのカプセル封入されたδ−内毒素、例えばセルカップ、MPV、および、MPVII;それに加えて、天然に存在する、および、遺伝子組換えウイルス殺虫剤、例えばバキュロウイルスファミリーのメンバー、加えて食虫性の菌類。
【0095】
重要なのは、構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)の構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)に対する質量比が約1:100〜約100:1の範囲である本発明の組成物である。
【0096】
本発明の組成物における構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)は、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質、および、存在する可能性があるその他の固体が分散されている流動性の液体媒体を提供する。重要なのは、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)を組成物の総質量に基づき、一般的には約30〜約95質量%、より一般的には約30〜約80質量%、さらにより一般的には約40〜約70質量%、最も一般的には約50〜約60質量%の量で含む本発明の組成物である。
【0097】
本明細書で用いられる用語「水不混和性の液体担体」は、20℃で液体であり、20℃での水溶性が約2質量%未満である化学物質を意味する。重要なのは、少なくとも1つの液体担体の20℃での水溶性が、約0.1%未満、または、約0.01%未満、または、約0.001質量%未満である本発明の組成物である。液状化合物の低い水溶性は、分子の極性が低いためである。水不混和性の液体担体の低い分子の極性は、水の高い極性よりもカルボキサミド節足動物駆除物質の極性に近いため、カルボキサミド節足動物駆除物質は、一般的に、不混和性の液体担体中で、水中よりも高い溶解性を示す(ここで水中の場合、カルボキサミド節足動物駆除物質はわずかな溶解性しか示さない)。それにもかかわらず、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)の量に対する構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)の量によっては、大部分のカルボキサミド節足動物駆除物質が、本発明の組成物中で溶解しているのではなく固体粒子として存在する可能性が生じる。本発明の組成物の一実施態様において、構成要素(c)は、20℃で50cP未満の粘度を有する少なくとも1つの水不混和性の液体担体を含み、このようにすることによって、本組成物の注入容易性(pourability)を促進することができ、さらに、本発明の組成物のその他の実施態様において、構成要素(c)は、65℃より高い引火点、および/または、低い毒性(これらの特性はいずれも、潜在的安全性の利点を有する)を有する少なくとも1つの水不混和性の液体担体を含む。
【0098】
本発明の組成物の特定の実施態様に関して、少なくとも1つの水不混和性の液体担体は、C1〜C4アルカノールの脂肪酸エステル、植物油、および、鉱油から選択することができる。これらの具体的な水不混和性の液体担体は、低い極性を有し、本発明の組成物中でよく作用するだけでなく、比較的毒性が低く、商業的な供給源から適切なコストで容易に入手することができる。
【0099】
鉱油は、液状ワセリン、流動パラフィン、パラフィン油、および、パラフィン系油として知られており、これらは、石油から得られた長鎖の液状炭化水素の混合物を含む。鉱油は、直鎖状の鉱油、または、乳化剤とブレンドした鉱油のいずれかとして多くの源から商業的に得ることができ、例えばイソパー(Isopar(R))H(ドイツのエクソン・ケミカル(Exxon Chemicals))、または、シュアミックス(Suremix(R))(デュポン(DuPont),米国)である。
【0100】
植物油は、植物から得られた油である。植物油は、一般的には、種(例えばヒマワリ、ナタネ、ダイズ、コーン(トウモロコシ)、リンシード(アマ))または果物(例えばオリーブ)を圧搾するか、または、溶媒抽出することにより得られる。適当な価格で市販されている植物油の例は、ヒマワリ油、ナタネ油、キャノーラ油、ダイズ油、および、トウモロコシ油である。植物油は、大部分が脂肪酸グリセリド、すなわち脂肪酸のグリセロールエステルからなる。
【0101】
1〜C4アルカノールの脂肪酸エステル(すなわち、グリセロールの代わりにC1〜C4アルカノールでエステル化した脂肪酸)は、植物油よりも低い粘度を有し、本発明の組成物のための少なくとも1つの水不混和性の液体担体として特に有用な可能性がある。
【0102】
脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、炭化水素鎖に結合したカルボン酸部分からなり、これは非分岐状でもまたは分岐状でもよいが、自然源中では非分岐状であることが一般的である。このような炭化水素鎖は、飽和していてもよいし、または、不飽和でもよい;一般的には、このような炭化水素鎖は飽和(すなわちアルキル)であるか、または、1または2個の炭素−炭素二重結合を含む(すなわちアルケニル)。本発明の組成物において、奇数の炭素原子(すなわち、炭化水素鎖中では偶数の炭素原子)、または、偶数の炭素原子(すなわち、炭化水素鎖中では奇数の炭素原子)のいずれかを含む脂肪酸から形成された脂肪酸エステルが有用である。低級脂肪酸(例えば、4個程度の少ない炭素原子を含む)のエステルを本発明の組成物に含ませてもよいが、低級脂肪酸のエステルは、高級脂肪酸のエステルと混合して、全体の極性、水溶性および揮発性を低くすることが好ましい。少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルは、その好都合な物理特性のために、本発明の組成物のための水不混和性の液体担体として有用である。自然源から得られた脂肪酸は、一般的には、10〜22個の炭素原子の範囲の偶数の炭素原子を含むため、これらの脂肪酸のアルカノールエステルは、商業的に入手しやすこととコスト面の理由で重要である。偶数の炭素原子を有するC10〜C22脂肪酸エステルは、例えば、エルカ酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、および、リノレン酸である。重要なのは、構成要素(c)が、12〜20個の炭素原子を含む脂肪酸のエステルを含む本発明の組成物である。さらに重要なのは、構成要素(c)が、16〜18個の炭素原子を含む脂肪酸のエステルを含む本発明の組成物である。
【0103】
このような脂肪酸エステルのC1〜C4アルカノールから誘導された部分は、非分岐状(すなわち直鎖)でもまたは分岐状でもよいが、一般的には非分岐状である。好都合な物理特性を有すること、商業的に入手しやすいこと、および、コスト面という理由から、重要なのは、C1〜C2アルカノールでエステル化した脂肪酸である脂肪酸エステルであり、さらに重要なのは、C1アルカノール(すなわちメタノール)でエステル化した脂肪酸エステルである。本発明の組成物におけるこのような脂肪酸アルカノールエステルはまた、アルコール(例えば、メタノールおよびエタノール)の混合物から誘導することもできる。
【0104】
自然源(例えば種油)から得られた脂肪酸の組成物は、一般的に、様々な鎖長、および、様々な程度の不飽和度を有する脂肪酸からなる。このような脂肪酸混合物から誘導された脂肪酸エステル組成物は、本発明の組成物において有用な可能性があり、最初に脂肪酸エステルを分離する必要がない。植物から得られた適切な脂肪酸エステルの組成物としては、ヒマワリ、ナタネ、オリーブ、トウモロコシ、ダイズ、コットン、および、リンシードの種油および果実油が挙げられる。重要なのは、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)が、ヒマワリ、ダイズ、コットンまたはリンシードの種油から誘導された脂肪酸メチルエステルを含む本発明の組成物である。特に重要なのは、構成要素(c)が、ダイズ油から誘導された脂肪酸メチルエステル(また、メチル化ダイズ油、または、ダイズ油脂肪酸メチルとしても知られている)を含む本発明の組成物である。
【0105】
アルカノールの脂肪酸エステルおよびそれらの製造方法は当業界周知である。例えば「バイオディーゼル」は、一般的には、エタノールの脂肪酸エステル、または、より一般的にはメタノールの脂肪酸エステルを含む。脂肪酸アルカノールエステルを製造するのに用いられる2つの主要な経路は、その他の脂肪酸エステル(天然に存在するグリセロールとのエステルの場合が多い)を用いて開始するエステル交換、および、そのような脂肪酸を用いて開始する直接エステル化である。これらの経路に関して様々な方法が知られている。例えば、直接エステル化は、硫酸のような強酸触媒の存在下で脂肪酸とアルカノールとを接触させることによって達成することができる。エステル交換は、硫酸のような強酸触媒の存在下で、ただしより一般的には水酸化ナトリウムのような強塩基の存在下で開始物質の脂肪酸エステルとアルコールとを接触させることによって達成することができる。
【0106】
アルキル化種油は、種油をアルカノールでエステル交換した生成物である。例えばメチル化ダイズ油(また、ダイズ油脂肪酸メチルとしても知られている)は、ダイズ油のメタノールでのエステル交換によって生産されたメチルエステルを含む。従ってダイズ油脂肪酸メチルは、脂肪酸のメチルエステルを、ダイズ種油中でグリセロールでの脂肪酸のエステル化が起こるようなおよそのモル比で含む。ダイズ油脂肪酸メチルのようなアルキル化種油は、メチル脂肪酸エステルの比率を改変するために蒸留することができる。
【0107】
アルコキシル化脂肪酸エステル、例えばアルコキシル化脂肪酸グリセリド(また、アルコキシル化トリグリセリドとしても知られている)は、植物油(または種油)のような天然起源の脂肪酸エステルのアルコキシル化(エトキシ化、または、プロポキシ化)から製造されるために、「半自然の」界面活性剤とみなされることが多い。一般的な植物油のアルコキシル化脂肪酸エステルとしては、10〜60個のエチレンオキシドから誘導された単位を含むエトキシ化脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸エステル(例えば、トリグリセリド油)は、一般的に、触媒量のアルカリ金属水酸化物またはアルコキシド、場合により触媒量のアルコール(例えばグリセロール)、および、望ましいエトキシ化の程度に応じた量のエチレンオキシドと共に加熱することを含む方法でエトキシ化することができる。このような条件では、明らかに、アルコール部分がエチレンオキシドでエトキシ化され、エトキシ化種(一般的には、鎖中に複数のエチレンオキシドから誘導された単位を含む)を形成し、これを、エチレンオキシドから誘導された鎖の末端でカルボン酸部分と縮合してエステル結合を形成し(例えば、塩基触媒によるエステル交換によって)、それによりさらなるアルコール部分を遊離させ、これを次にヒドロキシル化し、カルボン酸部分と縮合して、エステルを形成するようである。エトキシ化は、添加されたエチレンオキシドの大半が消費されるまで続けられる。このような条件下では、カルボン酸(例えば、ヒマシ油中のリシノール酸)のアルキルまたはアルケニル鎖上のヒドロキシル基もまた、ヒドロキシル化することもあり得る。エトキシ化脂肪酸エステルおよびそれらの製造法は、米国特許第4,536,324号で説明されている。アルコキシル化法におけるエチレンオキシドの全部または一部をプロピレンオキシドで置換することにより、脂肪酸エステルをプロポキシル化することもできる。本発明の組成物に関して、POE25ヒマシ油、POE30ダイズ油、および、POE30ナタネ油が、構成要素(c)として特に有用である。このようなアルコキシル化脂肪酸エステルは、一般的に非イオン界面活性剤とみなされるが、自己乳化能力を有する水不混和性の液体担体として用いることもできる。
【0108】
一般的に、構成要素(c)を水で希釈した際に微細分散した液滴として形成するためには、本発明の組成物において、1つまたはそれ以上の乳化剤(すなわち、界面活性剤の一種)が必要とされる。しかしながら、本発明の特定の組成物において、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)は自己乳化能力を有する;例えば、構成要素(c)が、エトキシ化ダイズ油(POE20〜30)のようなエトキシ化脂肪酸エステルを含む場合、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)は、本発明の組成物から除くことができる。重要なのは、構成要素(c)が、エトキシ化脂肪酸エステルのような自己乳化型の液体担体を含み、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)の量が組成物の質量に基づき0%であり得る本発明の組成物である。
【0109】
界面活性剤(また、「表面活性剤」としても知られている)は、一般的に、液体の表面張力を改変するものであり、ほとんどの場合において液体の表面張力を減少させる。界面活性剤分子中の親水性基および親油性基の性質に応じて、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤(すなわち、分散剤(dispersant))、乳化剤、または、抗発泡剤(すなわち、消泡剤)として有用であり得る。界面活性剤は、それらの親水性基の化学的性質に基づいてアニオン性、非イオン性、または、カチオン性界面活性剤と説明される。典型的な界面活性剤は、McCutcheon’s 2005,第1巻:Emulsifiers and Detergents Annual,MCパブリッシング社(MC Publ.Co.),ニュージャージー州グレンロック、ならびに、SiselyおよびWood,Encyclopedia of Surface Active Agents,ケミカル・パブリッシング社(Chemical Publ.Co.,Inc.),ニューヨーク州,1964で説明されている。
【0110】
アニオン性界面活性剤は、水溶液中に存在させると分子の親油性部分と連結した親水性基が陰イオン(すなわちアニオン)を形成する表面活性分子である。アニオン性界面活性剤中に一般的に見出される親水性基としては、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤の例としては、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸塩とホルムアルデヒドとの縮合体、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、N,N−ジアルキルタウリン酸(dialkyltaurates)、ポリカルボン酸塩、リン酸エステル、エトキシ化トリスチリルフェノールリン酸塩、および、脂肪酸のアルカリ塩が挙げられる。
【0111】
非イオン界面活性剤は、イオン性の極性末端基を含まないが、親水性および親油性部分を含む表面活性分子である。非イオン界面活性剤の例としては、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化ソルビトールエステル、エトキシ化脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、グリセロールエステル、および、アルキルポリグリコシドが挙げられ、ここにおいて重合度(D.P.)と称されるグルコース単位の数は、1〜3の範囲であってもよく、アルキル単位は、C6〜C14の範囲であってもよい(Pure and Applied Chemistry 72,1255〜1264を参照)。当業界周知のように、これらの界面活性剤において「エトキシ化」とは、ソルビタン、ソルビトールまたは脂肪酸の構成要素それぞれにおいて、エチレンオキシドとヒドロキシル基との反応によって形成された1個またはそれ以上のオキシエチレン単位(−OCH2CH2−)を含む鎖が存在することを意味する。エトキシ化ソルビタンエステル、および、エトキシ化ソルビトールエステルにおいて、エトキシ化後に存在するヒドロキシル基は、エステル化されている。一般的に、各界面活性剤分子に1個より多くのオキシエチレン単位が存在する場合、1分子あたりのオキシエチレン単位の平均数を示すために、界面活性剤の名称に「ポリオキシエチレン」を入れてもよいし、またあるいは、名称にPOE(ポリオキシエチレン)数を入れてもよい。
【0112】
カチオン性界面活性剤は、水溶液中に存在させると分子の親油性部分と連結した親水性基が陽イオン(すなわちカチオン)を形成する表面活性分子である。カチオン性界面活性剤の例としては、第四級アンモニウム塩、例えばエトキシ化脂肪族アミン、ベンジルアルキルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、および、第四級イミダゾリウム化合物が挙げられる。
【0113】
界面活性剤の表面張力を減少させる能力は、界面活性剤の分子構造に依存する。具体的に言えば、親油性基の親水性基に対するバランスが、界面活性剤が水溶性であるかどうか、および、水不混和性の液滴を水中で安定化させる(例えば乳化させる)ことができるかどうかに影響を与える。界面活性剤のHLB値は、1〜40の任意範囲で分子の極性を示し、最も一般的に使用される界面活性剤は1〜20の値を有する。この数値は、親水性が高くなるにつれて増加する。0〜7のHLB値を有する界面活性剤は親油性とみなされれ、12〜20のHLB値を有する界面活性剤は親水性とみなされ、7〜12のHLB値を有する界面活性剤はその中間とみなされる。
【0114】
親水性界面活性剤の例としては、分岐状または直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であるナトリウム、カルシウムおよびイソプロピルアミン塩が挙げられる。非イオン界面活性剤、例えばエトキシ化ヒマシ油、エトキシ化オレイン酸ソルビタン、エトキシ化アルキルフェノール、および、エトキシ化脂肪酸は、鎖長およびエトキシ化の程度に応じて、中間のHLB範囲内のものが可能である。親油性界面活性剤の例としては、オレイン酸およびソルビタンのトリエステル(すなわち、トリオレイン酸ソルビタン)、および、ステアリン酸およびソルビタンのトリエステル(すなわち、トリステアリン酸ソルビタン)が挙げられる。界面活性剤の一覧、およびそれらそれぞれのHLB値は広く公開されており、例えば、A.W.Adamson,Physical Chemistry of Surfaces,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),1982で公開されている。
【0115】
乳化剤として有用な界面活性剤は、一般的には、それらの親油性部分が水不混和性の液滴中に浸されており、同時にそれらの親水性部分が周囲の水相に浸透した状態で油と水の境界面に存在することにより、表面張力の減少を引き起こすものである。乳化剤は、水中で水不混和性の液滴が合体することを防ぐことができるため、水相中で水不混和性の液滴の安定な分散状態の維持を促進することができ、これはエマルジョンとして知られている。従って、本発明の組成物に関して、懸濁液濃縮組成物を水で希釈して、例えばスプレーとして用いる前にスプレー混合物を形成するような場合、乳化剤は、構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)(例えば、疎水性油)、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)、および、その他の構成要素[場合による構成要素(b)(すなわち、少なくとも1つのその他の生物活性物質)を含む]を含む液滴の分散の形成を容易にする。
【0116】
本発明の組成物の一実施態様において、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)は、アニオン性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤から選択される。
【0117】
好都合な物理特性、商業的に入手しやすいこと、および、コスト面などの理由から、重要なのは、直鎖状(非分岐)のアルキルベンゼンスルホン酸塩、および、分岐状のアルキルベンゼンスルホン酸塩から選択されるアニオン性界面活性剤である。特に重要なのは、アニオン性界面活性剤が直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であることである。さらに重要なのは、構成要素(d)が、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の種類に含まれる少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、例えばカルシウムドデシルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ローダカル(Rhodacal)(R)70/B(ローディア(Rhodia))、または、フェニルスルホナト(Phenylsulfonat(R))CA100(クラリアント(Clariant)))、または、イソプロピルアンモニウムドデシルベンゼンスルホン酸塩(例えば、アトロックス(Atlox(R))3300B(クローダ(Croda)))を含む本発明の組成物である。
【0118】
好都合な物理特性、商業的に入手しやすいこと、および、コスト面などの理由から、重要なのは、エトキシ化ソルビタンエステル、エトキシ化ソルビトールエステル、エトキシ化脂肪酸エステル(また、エトキシ化トリグリセリドとしても知られている)、および、それらの混合物から選択される非イオン界面活性剤である。重要なエトキシ化ソルビタンエステルは、エトキシ化オレイン酸ソルビタン(すなわち、モノオレエート、トリオレエート)、エトキシ化ラウリン酸ソルビタン(すなわち、トリラウレート)であり、これらはそれぞれ、10〜30個のオキシエチレン単位(すなわちPOE10〜POE30)を有する。重要なエトキシ化ソルビトールエステルは、エトキシ化オレイン酸ソルビトール(すなわち、ヘキサオレエート)、エトキシ化ラウリン酸ソルビトール(すなわち、ヘキサラウレート)である。重要なエトキシ化の脂肪酸エステルは、エトキシ化種油、例えばエトキシ化ダイズ油、エトキシ化ヒマシ油、および、エトキシ化ナタネ油であり、これらはそれぞれ、10〜30個のオキシエチレン単位(すなわちPOE10〜POE30)を有する。重要なのは、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)が、エトキシ化ソルビタンエステル(例えば、POE20トリオレイン酸ソルビタン、POE20モノオレイン酸ソルビタン)、エトキシ化ソルビトールエステル(例えば、POE40ヘキサオレイン酸ソルビトール)、および、エトキシ化種油(例えば、POE30ダイズ油、POE25ヒマシ油、POE30ナタネ油)から選択される少なくとも1つの非イオン界面活性剤を含む本発明の組成物である。適切な非イオン界面活性剤の例としては、エムソルブ(Emsorb)6900(コグニス(Cognis))、トゥイーン(Tween(R))80(クローダ)、シレソル(Cirresol(R))G−1086(クローダ)、アグニケ(Agnique)SBO−30(コグニス)、および、チロックス(Trylox)5904(コグニス)が挙げられる。
【0119】
本発明の組成物の構成要素(d)の実施態様の一つは、乳化剤化合物の混合物であり、これは、全体のHLBを最適な性能が提供されるように容易に調節するために用いることができる。構成要素(c)の(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)、活性成分(すなわち、構成要素(a)、および、場合による構成要素(b))およびその他の構成要素の具体的な組み合わせに関して最良の結果を達成するには、構成要素(d)の相対量を調節する必要があるが、植物油、鉱油、エトキシ化種油およびアルキル化種油から選択された水不混和性の液体担体を含む本発明の組成物に関する最適な結果は、一般的には、約8〜約15の範囲、より具体的には約8〜約12の範囲のHLB値を有する乳化剤混合物を用いて達成される。乳化剤混合物のHLB値は、乳化剤の構成成分それぞれの質量分率にそれぞれ固有のHLB値を掛けた積の和として計算される。例えば、POE30ヒマシ油(HLB11.8)と、エトキシ化ヘキサオレイン酸ソルビトール(HLB10.5)との6:4の混合物は、11.3のHLB値を有すると予想される。モノラウリン酸ソルビタン(HLB8.6)を30%のレベルまで添加し、エトキシ化ヘキサオレイン酸ソルビトールのレベルを20%に減少させ、その残りをPOE30ヒマシ油とする(すなわち50%)ことによって、乳化剤混合物のHLB値を10.6に減少させると予想される。
【0120】
本発明の組成物は、一般的に、構成要素(d)(すなわち、少なくとも1つの乳化剤)を、組成物の総質量に基づき、一般的には0〜約50質量%、より一般的には約2〜約50質量%、さらにより一般的には約10〜約40質量%、最も一般的には約20〜約30質量%の量で含む。本発明の組成物は、少なくとも1つの乳化剤として、アニオン性界面活性剤および非イオン界面活性剤の混合物を含んでいてもよく、ここにおいて、アニオン性界面活性剤の非イオン界面活性剤に対する質量比は、約2:1〜約1:10、または、約2:1〜約1:5の範囲である。本発明の一実施態様において、少なくとも1つの乳化剤の少なくとも1つの液体担体に対する質量比は、約1:1〜約1:20の範囲である。
【0121】
増粘剤は、懸濁液濃縮組成物の粘度を高めるための有機もしくは無機物質の液状添加剤、または、固形添加剤である。懸濁した固体粒子の堆積を減速させるため、および、貯蔵中の相分離を減少させるためには、より大きい粘度が望ましい。相分離は、通常、組織化されていない有機性の分散液および懸濁液濃縮物中で結果的に起こる。懸濁液濃縮組成物の相当量の相分離は、品質劣化の徴候として理解することができる。特に望ましくは、5パーセント未満の相分離を示す懸濁液濃縮組成物であるが、約20パーセントまでの相分離を有する懸濁液濃縮組成物も許容できる。増粘剤は、本組成物の調合物をその他の成分となじませるために、懸濁液濃縮組成物に低濃度で添加されることが一般的である。増粘剤の広範な列挙およびそれらの用途は、MCパブリッシング社(MC Publishing Company)によって出版されたMcCutcheon’s 2005,第2巻:Functional Materialsに見出すことができる。
【0122】
シリカを含む増粘剤は、本発明の組成物中のその他の構成要素と組み合わせるとよく作用することが見出されている。いかなる特定の理論に拘束されることはないが、このようなシリカは、水素結合および長期にわたる静電力によって一緒に保持された分散シリカ粒子を含むゆるいネットワーク構造の形成によって粘度を高めると考えられている。シリカ組成物は、沈殿、噴霧乾燥または高温の炎での加水分解によって商業的に製造される(ヒュームドシリカ)。その表面上の遊離のシラノール(Si−OH)基は、シリカを一般的に親水性にするが、シラノール基が、例えばクロロトリメチルシランおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンと接触させることによって疎水性基でキャップされるとそうではない。このような疎水性表面処理したシリカも本発明の組成物で用いることができるが、これらは費用がかかり、比較的多くの量が必要である。
【0123】
本発明の組成物におけるシリカ増粘剤として特に有用なのは、ヒュームドシリカであり、例えばエアロシル(Aerosil(R))200(デグサ社(Degussa AG))、または、Cab−O−Sil(R)M5(キャボット社(Cabot Corp.))である。ヒュームドシリカは親水性であるだけでなく、100m2/gを超える表面積を有するサブミクロンの粒子集合体で構成されている。このような大きい表面積を有する小さいシリカ粒子は、構造の形成を促進するため、粘度を増加させる。また、よりきめの粗い沈降シリカまたは噴霧乾燥させたシリカも、本発明の組成物を増粘させるために使用できる;しかしながら、磨砕またはその他の手段によってシリカ粒子のサイズを小さくして、匹敵する表面積を提供すれば、より優れた結果が達成される。本発明の組成物の粘度、具体的には植物油、鉱油、または、アルキル化種油を含む組成物の粘度を増加させるのに重要なのは、シリカの表面積が少なくとも20m2/gであるシリカ増粘剤である。
【0124】
親水性のヒュームドシリカのその他の利点は、例えば、エアロシル(R)200の場合はpH4〜6のようにやや酸性のpHを有することであり、それにより、塩基に反応性を有する化合物、例えば少なくとも1つの式1で示されるカルボキサミドアントラニルアミド、それらのN−酸化物または塩の化学的な分解の防止が促進される。ほぼ中性からアルカリ性までの範囲のpH値(すなわち、7より大きいpH)を有する沈降シリカおよび表面処理したシリカがいくつかある。それゆえに、本発明の組成物におけるシリカ増粘剤において、親水性のヒュームドシリカが重要である。特に重要なのは、構成要素(e)(すなわち、シリカ増粘剤)が、エアロシル(R)200のようなヒュームドシリカを、組成物の総質量に基づき、一般的には約0.01〜約5質量%、より一般的には約0.5〜約5質量%の量で含む本発明の組成物である。
【0125】
本発明の組成物の十分な粘度を得るためには、一般的に、シリカ増粘剤単独では、調合物中で収容される比較的少ない量で不十分である。しかしながら、この問題は、本発明の組成物に、約0.1〜約10質量%の構成要素(f)(すなわち、水、C1〜C12アルカノール、および、C2〜C3グリコールから選択される少なくとも1つのプロトン性溶媒)を含ませることによって解決され、ここで構成要素(f)は、シリカ増粘剤と協調的に機能して、その十分な粘度を提供する性能を高めるものである。いかなる特定の理論に拘束されることはないが、このカップリングによって提供される利点に関する1つの可能性は、少なくとも1つのプロトン性溶媒がシリカ増粘剤と接触していると、シリカ増粘剤のシリカ粒子間の相互作用する力の範囲が拡張され、従って、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物の粘度が高められることである。C1〜C12アルカノールとしては、1〜12個の炭素原子を含む直鎖および分岐鎖のアルカノールが挙げられる。重要なのは、構成要素(f)がC1〜C4アルカノールを含む本発明の組成物である。C2〜C3グリコールとしては、エチレングリコール、および、プロピレングリコールが挙げられる。一実施態様において、構成要素(f)は、水、メタノール、エタノール、および、エチレングリコールから選択されるプロトン性溶媒を含む。コストおよび環境への安全性の理由で、重要なのは、少なくとも1つのプロトン性溶媒が水である節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物である。本発明の組成物は、一般的に、少なくとも1つのプロトン性溶媒を、組成物の総質量に基づき約0.1〜約10%、または、約0.5〜約5質量%の量で含む。少なくとも1つのプロトン性溶媒が水である場合、本組成物中のその他の成分が十分な量の水を含むのであれば、水を別個の成分として本発明の組成物に添加しなくてもよい。
【0126】
驚くべきことに、本発明の組成物中に構成要素(f)(すなわち、少なくとも1つのプロトン性溶媒)を含ませることによってその他の問題も解決される。構成要素(f)の非存在下では、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物は、高温に晒された後に硬いゲルを形成する可能性がある。「高温」とは、45℃よりも高い温度を意味する。このようなゲルは、再度液化することが難しい可能性があり、組成物を容器から注ぎだした後に、容器中に残留する残留物を増加させる可能性がある。本発明の組成物に構成要素(f)を含ませることによって、ゲルの形成を減少させることができ、場合によってはゲルの形成をなくすことも可能である。さらに構成要素(f)の存在下でもゲルが生じたとしても、このようなゲルは一般的に弱く、例えば簡単に壊れやすく、容器を軽く振盪すれば再度液化するため、組成物を注ぎだした後に容器中に残存する残留物が最小化される。このような弱いゲルも、沈降および相分離の防止を促進するという利点を有する。いかなる特定の理論に拘束されることはないが、弱いゲルが形成されることに関する1つの可能性は、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)と構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)との間の相互作用がゲルによって生じる場合、構成要素(f)(例えば水)がカルボキサミド節足動物駆除物質の周りを取り巻き、それらを有効により高い極性にすることによって、親油性をより低くし、親油性の水不混和性の液体担体への誘引をより少なくすることである。
【0127】
構成要素(f)を含ませることによって、ゲル化を減少させ、シリカ増粘剤の十分な粘度を提供する作用を高めることができるが、構成要素(f)と構成要素(e)(すなわち、シリカ増粘剤)との組み合わせはまた、シリカ増粘剤が弱酸性のヒュームドシリカを含んでいたとしても、反応性を有するカルボキサミド節足動物駆除物質の分解作用を高める可能性もある。しかしながらこの問題は、構成要素(g)(すなわち、少なくとも1つの水溶性カルボン酸)を、本発明の組成物の総質量に基づき約0.001〜約5質量%の範囲の量で含ませることによって解決される。さらに構成要素(g)はまた、調合物の増粘を促進することもできる。水溶性カルボン酸は、少なくとも1つのカルボン酸基を含む有機化合物を意味し、20℃で少なくとも約0.1質量%の程度で水溶性である。有用な水溶性カルボン酸は、一般的には1〜10個の炭素原子を含み、ハロゲンおよびヒドロキシのような置換基などのヘテロ原子を含んでいてもよい。またヒドロキシ置換基は、少なくとも1つのカルボン酸の水溶性を高めるのにも利用できる。構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)の分解の防止に関して重要なのは、本発明の組成物が少なくとも1つのカルボン酸を含むことであり、ここにおいてカルボン酸におけるほとんどの酸性カルボン酸基は、約2を超え、約5未満のpKaを有する。いかなる特定の理論に拘束されることはないが、構成要素(g)が存在することによって、シリカ増粘剤のシリカ粒子の周りを取り囲む構成要素(f)(すなわち、少なくとも1つのプロトン性溶媒)のイオン強度が高められ、シリカ粒子間の静電的相互作用を容易にすることにより、粘度の増加が起こると考えられる。場合によっては、長鎖カルボン酸は、シリカ粒子間の相互作用を空間配置的に妨害する可能性があるため、分子量が300g/molを超えない短鎖カルボン酸が本発明の組成物における構成要素(f)として重要である。適切な水溶性カルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、および、クエン酸が挙げられる。低い揮発性、加えて商業的に入手しやすいこと、および、低コストという理由から、本発明の組成物における少なくとも1つの水溶性カルボン酸として、クエン酸が重要である。本発明の組成物は、一般的に、構成要素(f)(すなわち、少なくとも1つの水溶性カルボン酸)を、組成物の総質量に基づき、約0.001〜約5%、より一般的には、約0.01〜約5%、最も一般的には、約0.01〜約2質量%の量で含む。
【0128】
その他の配合成分も本発明で用いることができる、例えばレオロジー改質剤、湿潤剤、色素、デフォルマー(deformer)などである。これらの成分は当業者既知であり、例えば、MCパブリッシング社によって出版されたMcCutcheon’s 2005,第2巻:Functional Materialsでの説明を参照することができる。
【0129】
粒子の懸濁液および分散液の製造方法は周知であり、例えば、ボールミリング、ビーズミリング、サンドミリング、コロイドミリング、および、エアーミリングと、高速ブレンドとを併用することが挙げられ、このような方法は、本発明の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物の製造において有用な可能性がある。本発明の希釈した組成物を適用する(例えば、噴霧する、霧状にして吹き付ける、分散する、または、流し込む)ために望ましい方法は、望ましい目的、および、与えられた環境によって様々であると予想され、これは当業者によって容易に決定することができる。
【0130】
本発明の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物は、節足動物門の害虫またはその環境に直接適用することができるが、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物は、まず水で希釈して、希釈した組成物を形成し、続いて、節足動物門の害虫を防除するために節足動物門の害虫またはその環境と有効量の希釈した組成物とを接触させることが一般的である。水と混合すると、本発明の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物は、構成要素(a)(すなわち、少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質)およびその他の構成要素(場合により構成要素(b)を含む)の懸濁された固体粒子を含む構成要素(c)(すなわち、少なくとも1つの水不混和性の液体担体)の液滴のエマルジョンを形成する。この希釈した組成物は、節足動物門の害虫またはその環境に様々な手段(例えば噴霧など)によって適用することができる。本発明の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物を水で希釈し、噴霧し、続いて乾燥させることによって、その後に起こる洗い流し(例えば、雨に晒されること)に対して耐性を有する節足動物門の害虫の極めて有効な防除(例えば、害虫を殺し、それらの成長または繁殖を妨害する、および/または、それらの採食を阻害すること)が提供されることが見出された。
【0131】
殺虫剤調合物に含まれるアジュバントを補充するために、別個に配合されたアジュバント製品をスプレータンク中の混合物に添加することができる。これらの追加のアジュバントは、一般的に「スプレーアジュバント」または「タンクミックスアジュバント」としても知られており、例えば、有効性(例えば、生物学的な利用可能性、付着、浸透、被覆の均一性、および、保護の耐久性)を強化すること、または、不相容性、発泡、ドリフト、蒸発、揮発および分解に関連するスプレー用途における問題を最小化するか、もしくはそれらをなくすことによって、スプレータンク中で混合された殺虫剤処理の性能を改善するためのあらゆる物質を含む。一般的に、これら全ての利点を提供することができる単一のアジュバントはないため、複数の機能を発揮させるために相溶性のアジュバントを組み合わせることが多い。最適な性能を得るために、アジュバントは、活性成分、配合物および標的(例えば、農作物、節足動物)の特性に応じて選択される。
【0132】
スプレーアジュバントのなかでも、殺虫剤の有効性を改善するために、穀物油、穀物油の濃縮物、植物油の濃縮物、および、メチル化種油の濃縮物などの油が用いられ、ここにおいて、よりむらのない均一なスプレーの堆積を促進する手段を用いてもよい。「穀物油」と認識されている製品は、一般的に、95〜98%のパラフィンまたはナフサベースの石油、および、1〜2%の1つまたはそれ以上の界面活性剤(乳化剤として機能する)を含む。「穀物油の濃縮物」と認識されている製品は、一般的に、80〜85%の乳化性の石油ベースの油、および、15〜20%の非イオン界面活性剤からなる。正確には「植物油の濃縮物」と認識されている製品は、一般的に、80〜85%の植物油(すなわち種または果実油であり、最も一般的には、綿、リンシード、ダイズ、または、ヒマワリ由来の油)、および、15〜20%の非イオン界面活性剤からなる。アジュバントの性能は、植物油の代わりに、一般的には植物油から誘導された脂肪酸のメチルエステルを用いることによって改善することができる。メチル化された種油の濃縮物の例としては、UAP−ラブランド・プロダクツ社(UAP−Loveland Products,Inc.)製のMSO(R)濃縮物、および、ヘレナ・ケミカル社(Helena Chemical Company)製のプレミアムMSOメチル化スプレーオイル(Premium MSO Methylated Spray Oil)が挙げられる。スプレー混合物に添加される油ベースのアジュバントの量は、一般的に、約2.5体積%を超えず、より一般的には、約0.1〜約1体積%の量である。スプレー混合物に添加された油ベースのアジュバントの適用の比率は、一般的には約1〜約5L/ヘクタールであり、具体的に言えば、メチル化種油ベースのアジュバントは、約1〜約2.5L/ヘクタールの比率で用いられることが一般的である。
【0133】
油、具体的にはメチル化種油を含む乳化剤の混合物を含むスプレーアジュバントは、タンク混合物中で本発明の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物と相溶性であることが見出されている。さらに、本発明の組成物に加えてメチル化種油のアジュバントを含むスプレー混合物は、ある種の節足動物門の害虫に対して非常に改善された防除の有効性(例えば、このような節足動物門の害虫から植物を保護することに関する有効性)を提供することが見出されている。従って、本発明の一実施態様は、節足動物門の害虫を防除する方法に関し、本方法は、本発明の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物を水で希釈し、場合により、メチル化種油のようなアジュバントを添加すること(ここにおいて、添加または混合はどのような順番でもよい)によって希釈した組成物を形成し、この希釈した組成物の有効量と節足動物門の害虫またはその環境とを接触させることを含む。
【0134】
節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物の体積の、それの希釈に用いられる水の体積に対する比率は、一般的には約1:100〜約1:1000、より一般的には約1:200〜約1:800、最も一般的には約1:300〜約1:600の範囲である。有効な節足動物門の害虫の防除に必要な希釈した組成物の量は、様々な要因に依存するが、このような要因としては、節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物中の少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質の濃度、水での希釈の程度、節足動物門の害虫の少なくとも1つのカルボキサミド節足動物駆除物質に対する感受性、および、環境の条件が挙げられ、加えて、その他のアジュバントの濃度も要因の一つであるが、当業者が計算や単純な実験によって容易に決定することができる。
【0135】
これ以上の詳述がなくても、前記の説明を用いる当業者は、その最大の範囲で本発明を利用することができると考えられる。従って、以下の実施例は、単に説明のためと解釈されるべきであり、いかなる形であれ本発明の開示を限定しないこととする。
【実施例】
【0136】
懸濁液濃縮組成物の一般的な製造方法
実施例A〜Eおよび比較例A〜Eにおいて、以下の一般的な方法を用いた。表1に、それらの成分の化学的な名称を列挙し、表2Aおよび2Bに、実施例A〜Eおよび比較例A〜Eの組成物中で用いられる量を列挙した。オーバヘッド撹拌器を備えた250mLのステンレス鋼ビーカー中に、液体担体、カルボキサミド節足動物駆除物質、乳化剤、およびその他の成分(各実施例ごとに特定されたもの)を撹拌しながら混合し、100gの混合物にした。この混合物を、ローターステーターミキサー(ポリトロン(Polytron)PT3000,キネマティカ社(Kinematica AG),スイス)を用いてホモジナイズし、次に、50mLのアイガー・モーターミル(Eiger Motormill)(アイガー・マシーナリー社(Eiger Machinery Inc.)、イリノイ州シカゴによって製造された水平型のビーズミル)を用いて約1ミクロンの適度な粒度に磨砕し、懸濁液濃縮物を得た。
【0137】
【表1】

【0138】
本発明の実施例および比較例で用いられる化合物1のサンプルを、参照実施例1で説明されているようにして製造した。本発明の実施例および比較例で用いられる化合物2のサンプルは、PCT公報WO03/015519A1、および、WO2006/062978で説明されている方法を用いて製造された生成物のブレンドであり、これを、234〜236℃の範囲で融解させた。
【0139】
参照実施例1
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドの製造
アセトニトリル(114kg)中の3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(20.6kg)、および、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(14.1kg)の混合物に、3−ピコリン(22.2kg)を添加した。この混合物を−10〜−14℃に冷却し、次に、塩化メタンスルホニル(10.6kg)を、温度が5℃を超えないようにゆっくり添加した。HPLCおよびNMR解析によって反応が完了したことが確認されたら、この混合物を、水(72.6kg)および濃塩酸(7.94kg)を、温度が5℃を超えないような速度で連続的に添加することによって後処理した。5℃を超えない温度で約30分間維持した後、反応混合物をろ過して、固体生成物を回収し、これをアセトニトリル−水(2:1、2×12.3kg)、および、アセトニトリル(2×10.4kg)で連続的に洗浄した。次に、この固体を、約50℃、減圧下および窒素ガスのフロー下で乾燥させ、表題の生成物を白色の結晶性固体として得て、これを本発明の調合物の実施例および比較例で直接用いた。適度な加熱速度(5分間にわたり約150℃に加熱し、次に、加熱速度を約4〜5℃/分から約3℃/分に減少させ、約15分間以上かけて210℃に到達させた)を用いて、緩く取り込まれた溶媒を固体生成物から容易に揮発させ、204〜210℃の範囲で溶融を起こした。
【0140】
【表2】

【0141】
懸濁液濃縮物の化学的、物理的安定性および注入容易性の評価
各実施例の化学的安定性を、サンプルを加熱したオーブン中で(すなわち54℃で2週間)熟成させ、次に熟成の前後でカルボキサミド節足動物駆除物質の含量を比較することによって評価した。カルボキサミド節足動物駆除物質含量を、逆相カラムを用いた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)で組成物を分析することによって決定した。カルボキサミド節足動物駆除物質の最終的な質量パーセントをカルボキサミド節足動物駆除物質の最初の質量パーセントから引き、その差をカルボキサミド節足動物駆除物質の最初の質量パーセントで割り、得られた商に100(%)を掛けることによって、相対的な分解のパーセントを計算した。
【0142】
懸濁液濃縮物の実施例の物理的安定性を、オーブンで熟成したサンプルの相分離の程度を測定することによって決定した。相分離の程度を、懸濁した粒子を含まない水不混和性担体層の厚さ、および、サンプルボトル中の液体材料の高さの合計をルーラーで測定し、次に分離した水不混和性担体の厚さを液体材料の高さの合計で割り、商に100(%)を掛けることによって決定した。分離した不混和性担体と懸濁液との境界面が平らでない場合、いくつかの測定値を得て、結果を平均した。
【0143】
懸濁液濃縮物の実施例の注入容易性を、オーブンで熟成したサンプルを注ぎ出し、サンプル容器中の残留物の質量を測定することによって決定した。残留物のパーセントを、残留物の質量をサンプル質量で割り、商に100(%)を掛けることによって計算した。懸濁液濃縮物の注入容易性は、望ましくは残留物が5%未満になることであるが、10%未満の残留物も許容できる。
【0144】
表3Aおよび3Bに、化学的安定性、物理的安定性および/または注入容易性試験の結果を列挙した。
【0145】
【表3】

【0146】
表3Aに列挙した結果は、本発明の組成物におけるシリカ増粘剤の重要性を説明する。0%のシリカ増粘剤を含む比較例Aは、それぞれ4%および1.3%のシリカ増粘剤を含む実施例AおよびBよりも有意に大きい相分離を示した。
【0147】
【表4】

【0148】
表3Bに列挙された結果は、シリカ増粘剤、少なくとも1つのプロトン性溶媒、および、少なくとも1つの水溶性カルボン酸の重要性を説明する。比較例BおよびCは相分離を示さなかったが、硬いゲルを形成し、従ってオーブンで熟成したサンプルは注ぎ出すことができなかった。シリカ増粘剤もクエン酸も含まない比較例Dは、実施例Cよりもより大きい相分離および分解(%)を示した。クエン酸を含まない比較例Eは、実施例Cよりも大きい分解(%)および注入容易性を示した。
【0149】
生物学的な本発明の実施例
試験A
接触および/または全体的な手段によってウェスタン・フラワー・トリップ(アザミウマ)(Frankliniella occidentalis Pergande)の防除を評価するために、各試験単位を、少なくとも2枚の本葉を有するマメ科の植物(var.Soleil)で構成し、これをレジ−アース(Redi−earth(R))培地(スコッツ社(Scotts Co.))で栽培した。1つの植物は1回の反復実験とみなした;1回の処理ごとに4回の反復実験を用いた。
【0150】
本発明の材料(未配合の)をアセトンに溶解させ、500ppmの非イオン界面活性剤とオルガノシリコン(カイネティック(Kinetic(R)),ヘレナ・ケミカル社)とのブレンドを含む水と混合した。配合された材料を水だけで希釈した。これらの試験溶液の割合を活性成分の量(ppm)で報告した。最も背が高い植物の7.5インチ(19cm)上に位置するティージェット(TeeJet)のフラットファンスプレーノズルを用いて植物に噴霧した。スプレーの流速を500L/haに相当するように5.5mL/秒に調節した。試験溶液を噴霧した後、試験単位を換気した部屋内に少なくとも1時間置いて乾燥させた。次に、30匹のアザミウマ成虫を各単位に添加し、次に、植物を密閉されたケージ中に置いて、昆虫が出て行かないようにした。これらの試験単位を、25℃に維持された培養室で、明所で16時間(昼間として)および暗所で8時間(夜間として)の光サイクルを用いて7日間保持した。各試験単位における未成熟のアザミウマの数を計数することによって評価を行った。防除(パーセント)を、試験単位における未成熟のアザミウマの数を、未処理単位における未成熟のアザミウマの数で割り、その商を1から引いて、次にその差に100(%)を掛けることによって計算した。表4Aに、結果を列挙した。
【0151】
【表5】

【0152】
結果によれば、本発明の実施例Dの組成物は、ウェスタン・フラワー・トリップを防除するために未配合の化合物1に類似した有効性のレベルを示したことが示される。
【0153】
試験B
シルバーリーフコナジラミ(silverleaf whitefly)(Bemisia argentifolii Bellows&Perring)の防除を評価するために、試験単位を、少なくとも2枚の本葉を有する14〜21日齢のコットンプラントで構成し、これをレジ−アース(R)培地(スコッツ社)で栽培した。この植物を遮蔽したケージ中に置き、ここにコナジラミ成虫を導入し、約20〜4時間で産卵させた。産卵が観察された植物だけを試験に用いた。試験溶液を噴霧する前に、植物を卵の孵化と幼虫の定住に関して再度チェックした。植物あたり1枚の葉を1回の反復実験とみなした;1回の処理ごとに4回の反復実験を用いた。
【0154】
試験溶液を試験Aで説明されているようにして配合した。さらに25%アセトン水溶液からなるコントロール溶液も製造した。噴霧後に、換気した部屋内で植物を乾燥させ、培養室で、50%の相対湿度で、明所、28℃で16時間(昼間として)、および、暗所、24℃で8時間(夜間として)で6日間保持した。各試験植物から全ての葉を除去した後に、葉の裏面に存在する死んだ幼虫と生きている幼虫を計数することによって評価を行った。表4Bに、結果を列挙した。
【0155】
【表6】

【0156】
結果によれば、本発明の実施例Dの組成物は、シルバーリーフコナジラミの防除に関して、未調合の化合物1に類似した有効性のレベルを示したことが示される。
【0157】
試験C
接触および/または全体的な手段によってモモアカアブラムシ(Myzus persicae)の防除を評価するために、試験単位を、試験溶液での処理の24時間前に前もって30〜40匹のアブラムシを付着させた3週齢のラディッシュ植物で構成した。1つの植物を1回の反復実験とみなし、1回の処理ごとに4回の反復実験を用いた。
【0158】
配合された試験溶液の噴霧後に、各試験単位を乾燥させ、試験単位を、19〜21℃および50〜70%の相対湿度で維持した培養室で6日間保持した。各試験単位におけるアブラムシの死亡および生存を計数し、死亡率(パーセント)を決定した。表4Cに、結果を列挙した。
【0159】
【表7】

【0160】
結果によれば、本発明の実施例Dの組成物は、驚くべきことに、モモアカアブラムシの防除に関して、未調合の化合物1と比較して強化された有効性を示したことが示される。
【0161】
試験D
シロイチモンジヨトウガの幼虫(Spodoptera exigua)の防除に関して耐雨性(洗い流しに対する耐性)を評価するために、試験単位を、レジ−アース(R)培地を含む鉢で成長させたコットンプラントで構成した。試験溶液を試験Aで説明されているようにして配合した。植物が4〜6枚の本葉が成長した段階になったら、植物に、植物より19cm上に位置するノズルを有するベルト噴霧器を用いて配合された試験溶液を噴霧した(234リットル/haの適用体積が提供された)。配合された試験溶液の噴霧後に、各試験単位を2時間乾燥させ、次に、温室中で約95mmの擬似雨に晒した。次に、植物を乾燥させ、葉を切断し、16セルのプラスチックトレイ中で寒天上に置いた。1セルあたり1匹の3日齢の実験室で飼育したシロイチモンジヨトウガの幼虫を置き、セルをプラスチックの蓋で覆った。1回の処理ごとに2つの16セルトレイを用いた。トレイを、培養室で、75%の相対湿度で、明所で16時間(昼間として)、および、暗所、25℃で8時間(夜間として)で保持した。付着させてから4日後に、各試験単位を幼虫の死亡率に関して評価し、個体群の50%を死滅させる平均濃度(平均LC50)を計算し、それを表4Dに列挙した。
【0162】
【表8】

【0163】
表4Dの試験結果から、擬似雨の非存在下でさえも、本発明の実施例Eの組成物は、シロイチモンジヨトウガの幼虫の防除に関して、未調合の化合物2と比較して非常に強化された有効性を示した(LC50が4に対して0.7)ことが実証される。この差は、擬似雨に晒した後はよりいっそう劇的であった。実施例Eの組成物の有効性が、LC50に関して0.7から4に低下したが、これは、それでもなお極めて高い活性である。それに対して、未調合の化合物2の有効性は、LC50に関して4から検出不可能な活性にまで低下した。擬似雨の後でも、本発明の実施例Dの組成物はなお20のLC50を示したが、それに対して未調合の化合物1は極めてわずかな活性しか示さなかった。これらの結果によれば、本発明の組成物は、未調合の活性節足動物駆除物質と比較してかなり優れた耐雨性および洗い流しに対する耐性を有することが示される。本発明の組成物の耐雨性および洗い流しに対する耐性によって、これらの組成物は、作物畑、果樹園および降雨に晒されるその他の領域において節足動物門の害虫を防除することにおいて特に有用になる。
【0164】
試験E
シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)の防除に関して、本発明の組成物のアジュバントとしてのメチル化された種油の作用を評価するために、試験単位を、少なくとも2枚の本葉を有する14〜21日齢のコットンプラントで構成し、これをレジ−アース(R)培地(スコッツ社)で栽培した。この植物を遮蔽したケージ中に置き、ここにコナジラミ成虫を導入し、約20〜4時間で産卵させた。産卵が観察された植物だけを試験に用いた。試験溶液を噴霧する前に、植物を卵の孵化と幼虫の定住に関して再度チェックした。植物あたり1枚の葉を1回の反復実験とみなした;1回の処理ごとに4回の反復実験を用いた。
【0165】
実施例Bの組成物を水で希釈して、特定の濃度の活性成分(化合物1)を含むスプレー混合物を提供した。さらに、希釈した実施例Bの組成物だけでなく、3種の濃度(500、1000または3000ppm)のヘレナ・ケミカル社(テネシー州コリアービル)によって販売されているプレミアムMSOメチル化スプレーオイルアジュバント(メチル化植物油および非イオン界面活性剤の特許登録されたブレンド)を含むスプレー混合物も製造した。
【0166】
最も背が高い植物の7.5インチ上に位置するティージェットフラットファンスプレーノズルを用いて、植物に噴霧した。スプレーの流速は、500L/haに相当するように送達するために5.5mL/秒とした。噴霧後に、換気した部屋内で植物を乾燥させ、次に、明所で、28℃で16時間(昼間として)、および、暗所で、24℃で8時間(夜間として)および50%の相対湿度を提供する培養室に移した。
【0167】
植物に噴霧してから6日後に、各試験植物から全ての葉を除去し、葉の裏面に存在する死んだ幼虫と生きている幼虫の数を計数することによって評価を行った;表4Eに、データを列挙した。加えて、個体群の50%を死滅させる平均濃度(平均LC50)を計算し、これも表4Eに列挙した。
【0168】
【表9】

【0169】
これらのデータから、実施例Bの組成物と共にスプレータンク混合物としてアジュバントを添加すると、有効性が大きく強化されることが実証される。表4Eで示されるように、タンクミックスとして75ppmの活性成分、および、3000ppmのアジュバントを含むスプレー混合物は、600ppmの活性成分を含みアジュバントを含まないスプレー混合物と同等の有効性を示したことから、このようなアジュバントは効力を少なくとも約8倍高める。表4Fに列挙されたLC50データによれば、タンクミックスとして添加された500ppmのアジュバントは、活性成分のの効力に関して2倍の増加を提供し、1000ppmのアジュバントは、効力に関して4.5倍の増加を提供したことが示される。メチル化種油ベースのアジュバントの添加によって得られた有効性の強化の規模は、実施例Bの組成物それ自身が、56%のダイズ油脂肪酸メチル、加えて乳化剤を含むことを考慮すると、特に驚くべきことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物であって、該組成物の総質量に基づく質量で、
(a)約0.1〜約40%の少なくとも1つの室温で固体のカルボキサミド節足動物駆除物質;
(b)0〜約20%の少なくとも1つのその他の生物活性物質;
(c)約30〜約95%の少なくとも1つの水不混和性の液体担体;
(d)約0〜約50%の少なくとも1つの乳化剤;
(e)約0.01〜約10%のシリカ増粘剤;
(f)約0.1〜約10%の、水、C1〜C12アルカノール、および、C2〜C3グリコールから選択される少なくとも1つのプロトン性溶媒;および、
(g)約0.001〜約5%の少なくとも1つの水溶性カルボン酸、
を含む、上記組成物。
【請求項2】
構成要素(a)は、式1:
【化1】

[式中、
Xは、N、CF、CCl、CBrまたはCIであり;
1は、CH3、Cl、BrまたはFであり;
2は、H、F、Cl、Brまたは−CNであり;
3は、F、Cl、Br、C1〜C4ハロアルキル、または、C1〜C4ハロアルコキシであり;
4aは、H、C1〜C4アルキル、シクロプロピルメチル、または、1−シクロプロピルエチルであり;
4bは、H、または、CH3であり;
5は、H、F、Cl、または、Brであり;そして、
6は、H、F、Cl、または、Brである]
で示されるアントラニルアミド、それらのN−酸化物および塩から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構成要素(a)は、式2:
【化2】

[式中、
11は、CH3、Cl、BrまたはIであり;
12は、CH3、または、Clであり;
13は、C1〜C3フルオロアルキルであり;
14は、H、または、CH3であり;
15は、H、または、CH3であり;
16は、C1〜C2アルキルであり;そして、
nは、0、1または2である]
で示されるフタル酸ジアミド、および、それらの塩から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構成要素(a)は、組成物の約5〜約25質量%であり;構成要素(b)は、組成物の0〜約15質量%であり;構成要素(c)は、C1〜C4アルカノールの脂肪酸エステル、アルコキシル化脂肪酸エステル、植物油、および、鉱油からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含み、そして、組成物の約40〜約70質量%であり;構成要素(d)は、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、および、これらの混合物から選択され、そして、組成物の約10〜約40質量%であり;構成要素(e)は、組成物の約0.01〜約5質量%であり;構成要素(f)は、組成物の約0.5〜約5質量%であり;そして、構成要素(g)は、組成物の約0.01〜約5質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
構成要素(c)は、C1〜C2アルカノールの飽和または不飽和C16〜C18脂肪酸エステルを含み、そして、組成物の約50〜約60質量%であり;構成要素(d)は、アニオン性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤の混合物を含み、ここにおいて該アニオン性界面活性剤の該非イオン界面活性剤に対する比率は、約2:1〜約1:10の範囲であり;構成要素(e)は、ヒュームドシリカを含み;構成要素(f)は、水を含み、この水は、組成物の約0.5〜約5質量%であり;そして、構成要素(g)は、クエン酸を含み、そして該クエン酸は、組成物の約0.01〜約2質量%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
構成要素(c)は、ヒマワリ、ダイズ、綿またはリンシードのメチル化種油を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
構成要素(c)は、メチル化ダイズ油を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であり、非イオン界面活性剤は、エトキシ化ソルビトールエステル、エトキシ化ソルビタンエステル、エトキシ化脂肪酸エステル、および、それらの混合物から選択され、該アニオン性界面活性剤の該非イオン界面活性剤に対する比率は、質量で約2:1〜約1:5の範囲である、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
構成要素(d)は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、エトキシ化ヘキサオレイン酸ソルビトールとの混合物を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのその他の生物活性物質は、アバメクチン、アセタミプリド、アミトラズ、エバーメクチン、アザジラクチン、ビフェントリン、ブプロフェジン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルピリホス、クロチアニジン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジエルドリン、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレラート、フィプロニル、フロニカミド、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ルフェヌロン、メタフルミゾン、メトミル、メトプレン、メトキシフェノジド、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、オキサミル、ピメトロジン、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、テブフェノジド、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トラロメトリン、トリアザメート、トリフルムロン、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ アイザワイ、バチルス・チューリンゲンシス サブスピーシズ クルスターキ、核多角体病ウイルス、および、バチルス・チューリンゲンシスのカプセル封入されたδ−内毒素から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
節足動物門の害虫を防除する方法であって、請求項1に記載の節足動物を駆除するための懸濁液濃縮組成物を水で希釈すること、および、場合によりアジュバントを添加して、希釈した組成物を形成すること、および、該希釈した組成物の有効量と節足動物門の害虫またはその環境とを接触させることを含む、上記方法。

【公表番号】特表2009−522358(P2009−522358A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549506(P2008−549506)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/049315
【国際公開番号】WO2007/081553
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】