説明

カーエアコンのスイッチ装置

【課題】使い勝手のよいカーエアコンのスイッチ装置を提供する。
【解決手段】空調温度を設定する際に操作される温度設定ダイヤル5及び冷房機能を発揮させる際に操作されるA/Cスイッチ6を有するカーエアコンのスイッチ装置において、A/Cスイッチ6の操作の有無及び暖房の熱源の温度により変化する、カーエアコンが発揮することのできる機能を表示するインジケータ17を備えるカーエアコンのスイッチ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーエアコンのスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、乗車中の環境を快適なものにするため、車室内の空気調節を行うエアコンが設けられている。カーエアコンは、例えば、非特許文献1に示されるようなスイッチの操作を通じて任意に設定された環境に車両の室内を空調する。車室内の環境の一つとして車室内温度がある。ユーザは、設定温度調整スイッチの操作を通じて、空調温度を設定することにより、車室内を所望の温度にすることができる。設定温度は、インジケータのデジタル表示で確認することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】トヨタ自動車株式会社発行、「ALLION 取扱書」、2010年4月26日初版、191頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カーエアコンでは、例えば、A/Cスイッチがオンとされていなければ、設定温度を低くしたところで、冷房機能を発揮させることができない。しかし、ユーザの中には、温度設定を変えることで、冷房機能を発揮させることができるものと考えているユーザもいると思われる。このようなユーザは、冷房機能を円滑に発揮させることが難しかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い勝手のよいカーエアコンのスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、空調温度を設定する際に操作される温度設定スイッチ及び冷房機能を発揮させる際に操作されるA/Cスイッチを有するカーエアコンのスイッチ装置において、前記A/Cスイッチの操作の有無及び暖房の熱源の温度により変化する、カーエアコンが発揮することのできる機能を表示する表示装置を備えることを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、ユーザは、表示装置を通じて、カーエアコンが発揮することのできる機能を認識することができる。例えば、A/Cスイッチをオンにしていない場合、ユーザは、表示装置の視認を通じて、カーエアコンが冷房機能を発揮できないことを容易に認識することができる。このため、カーエアコンのスイッチ装置の使い勝手が向上する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、前記表示装置は、前記A/Cスイッチの近傍に設けられることを要旨とする。
カーエアコンの冷房機能は、A/Cスイッチがオンとされていなければ発揮されない。このことを認識していないユーザもいる。そこで、同構成によれば、A/Cスイッチを表示装置の近傍の近傍に設ける(例えば、隣接)ことによって、ユーザは、A/Cスイッチを操作したときの表示装置の表示態様の変化を視認しやすくなる。これにより、ユーザは、A/Cスイッチのオン操作によってカーエアコンが冷房機能を発揮することを容易に認識することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、前記熱源の温度を示す温度計を備え、当該温度計は、前記表示装置の近傍に設けられることを要旨とする。
【0010】
カーエアコンの暖房機能は、熱源の温度が所定値に達しなければ発揮されない。このことを認識していないユーザもいる。そこで、同構成によれば、温度計を表示装置の近傍に設ける(例えば、隣接)ことによって、ユーザは、カーエアコンが暖房機能を発揮できないとき、温度計の示す値が低いこと、すなわち、熱源の温度が所定値に達していないことを認識することができる。これにより、ユーザは、熱源の温度とカーエアコンの暖房機能との関連を容易に認識することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、前記表示装置は、複数の色で点灯することができるインジケータであって、同インジケータは、カーエアコンが発揮することのできる機能に応じて異なる色を表示することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、ユーザは、表示装置に表示される色の視認を通じて、カーエアコンが発揮することのできる機能を認識することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発揮できる空調機能を表示することにより、カーエアコンのスイッチ装置の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のカーエアコンの概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態のカーエアコンのスイッチ装置を示す正面図。
【図3】コントロールユニットのメモリに記憶されているインジケータ17の表示色とECU8の制御状態との対応図。
【図4】コントロールユニットのメモリに記憶されているインジケータ16の表示色とECU8の制御状態との対応図。
【図5】図1に示すECUにおける空調制御の処理手順を示すフローチャート。
【図6】図1に示すコントロールユニットにおける表示制御の処理手順を示すフローチャート。
【図7】(a)〜(h)は、エアコンの各作動状態に対応したインジケータの発光態様を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のカーエアコンのスイッチ装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示されるように、カーエアコン1は、図示しない車両に搭載される内気センサ2、外気センサ3、日射センサ4、温度設定ダイヤル5、A/Cスイッチ6、及び水温計7からの情報を基に制御手段としてのECU8によって制御される。内気センサ2は、車両室内の温度情報及び湿度情報を取得して、その情報をECU8へ出力する。外気センサ3は、車両室外の温度情報及び湿度情報を取得して、その情報をECU8へ出力する。日射センサ4は、車両室内に注がれる日射量の情報を取得して、その情報をECU8へ出力する。温度設定ダイヤル5は、ユーザにより操作されて、ユーザの希望温度情報をECU8へ出力する。A/Cスイッチ6は、ユーザにより操作されて、エアコンのA/C機能、すなわち冷房・除湿機能の作動の有無を切り替える。また、A/Cスイッチ6の内部には、例えば、青色LEDからなる光源18が設けられている。A/Cスイッチ6のノブは、光透過性を有し、光源18からの光は、ノブを介して外部に漏洩する。すなわち、ノブは、内側から照明される。温度計としての水温計7は、車両の駆動源であるエンジンの冷却水(熱源)の温度を計測し、これを車室内のインジケータに表示する。ECU8は、各センサ等を通じて入力される情報に基づき設定温度に空調するための最適な制御状態(必要吹き出し風温度、風量等)を演算し、これに基づき空調制御を行う。この必要吹き出し風温度とは、設定温度に空調するために必要とされるカーエアコン1が吐出する空調風の温度のことである。また、ECU8は、その制御状態を示す制御情報をコントロールユニット9へ出力する。コントロールユニット9は、ECU8からの制御情報に基づき表示制御装置10の制御を通じてインジケータ15,16,17の表示制御及び光源18の点灯制御を行う。各インジケータ15,16,17は、温度設定ダイヤル5の近傍に設けられて表示制御装置10からの指令に基づき点灯する。なお、インジケータ15は、温度設定ダイヤル5の操作を通じて、設定される温度の表示を行う。
【0016】
図2に示されるように、温度設定ダイヤル5及びインジケータ15〜17は、車室内のダッシュボードに設けられる。インジケータ15は、液晶ディスプレイ等からなり、デジタル数字を表示する。温度設定ダイヤル5は、インジケータ15の周囲を取り囲む環状とされている。温度設定ダイヤル5は、左回りに操作すると設定温度を低くすることができ、右回りに操作すると設定温度を高くすることができる。また、インジケータ16は、環状をなし温度設定ダイヤル5の表面に設けられる。インジケータ16は、例えば3色(赤、青、白)のLEDを備え、これらLEDの点灯制御を通じて、多色発光可能とされている。本例のインジケータ16では、濃青、青、淡青、白、淡赤、赤、濃赤の7色を表示可能とされている。また、表示装置としてのインジケータ17は、半環状をなし、温度設定ダイヤル5の上半分の周囲を囲むように設けられている。このインジケータ17も3色のLEDを備え、青、白、赤の3色を表示可能とされている。インジケータ17は、異なる3色を同時に表示可能とされている。本例では、インジケータ17の左端は青色、右端は赤色、それらの中間部は白色に表示される。
【0017】
温度設定ダイヤル5の左側には、先のA/Cスイッチ6がインジケータ17の左側の先端部と隣接するように、同じく右側には、切替スイッチ19がインジケータ17の右側の先端部と隣接するように設けられている。この切替スイッチ19の操作を通じて、車室内への外気導入と内気循環とが切り替えられる。また、インジケータ17の右側の先端部の近傍には、先の水温計7が設けられている。
【0018】
図1に示されるように、コントロールユニット9のメモリ9aには、各種の制御プログラム及び各インジケータ16,17の表示色設定データが記憶されている。図3に示されるように、表示色設定データD1には、カーエアコン1が発揮できる機能に応じたインジケータ17の表示色が設定されている。すなわち、コントロールユニット9は、A/Cスイッチ6がオンされた状態のときには、A/C機能を発揮できるとしてインジケータ17の左端部を寒色である青色に表示する旨示す信号を表示制御装置10へ出力する。水温計7の示す温度が所定温度に達し、エアコンが暖房機能を発揮できるときには、インジケータ17の右端部を暖色である赤色に表示する旨示す信号を表示制御装置10へ出力する。なお、インジケータ17の中間部については、常時白色表示する旨示す信号を表示制御装置10へ出力する。
【0019】
図4に示されるように、表示色設定データD2には、必要吹き出し風温度と室温との関係に応じたインジケータ16の表示色が設定されている。詳述すると、必要吹き出し風温度が室温よりも低い、すなわちエアコンが冷房機能を作動させている状態においては青色系の表示が行われる。また、温度差に応じて青色の濃淡が異なる。すなわち、温度差が5℃未満(空調制御A)の場合は淡青、5℃以上10℃未満(空調制御B)の場合は青、10℃以上(空調制御C)の場合は濃青とされている。また、必要吹き出し風温度が室温よりも高い、すなわちエアコンが暖房機能を作動させている状態においては赤色系の表示が行われる。また、温度差に応じて赤色の濃淡が異なる。すなわち、温度差が5℃未満(空調制御D)の場合は淡赤、5℃以上10℃未満(空調制御E)の場合は赤、10℃以上(空調制御F)の場合は濃赤とされている。また、必要吹き出し風温度と室温との温度差がない、すなわちエアコンが送風状態(空調制御G)の場合は白色とされている。なお、内気循環且つA/Cスイッチ6がオフとされている場合に、設定温度が室温よりも低く設定される(空調制御H)ときには、インジケータ16を点灯させない。
【0020】
コントロールユニット9は、ECU8からの制御情報に基づき現在の空調の制御状態を認識し、メモリ9aに記憶された表示色設定データD1,D2を参照して、インジケータ16,17の表示色を決定する。そしてコントロールユニット9は、その決定した表示色をインジケータ16,17に表示させる旨示す表示指令を生成する。また、コントロールユニット9は、ECU8からの情報に基づき、温度設定ダイヤル5により設定された設定温度をインジケータ15に表示させる旨示す表示指令を生成する。さらに、コントロールユニット9は、ECU8からの情報に基づき、A/Cスイッチ6がオンされている場合には、光源18を点灯させる旨示す表示指令を生成する。表示制御装置10は、コントロールユニット9において生成された表示指令に基づき各インジケータ15〜17及び光源18の表示制御を行う。
【0021】
次に、カーエアコン1の制御態様について図5に示されるフローチャートに従って説明する。ECU8は、車両から電源が投入されると空調制御を開始する。なお、本例では、カーエアコン1が内気循環で空調を行っているものとする。
【0022】
図5のフローチャートに示されるように、ECU8は、内気センサ2から車室内の温度及び湿度のデータを取得し(ステップS1)、外気センサ3から外気の温度及び湿度のデータを取得する(ステップS2)。次に、ECU8は、日射センサ4から日射量のデータを取得し(ステップS3)、温度設定ダイヤル5から設定温度データを取得する(ステップS4)。
【0023】
つぎに、ECU8は、ステップS1からステップS4を通じて取得される各種データに基づき、必要吹き出し風温度を決定する(ステップS5)。そして、決定した必要吹き出し風温度が室温より低いか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6でYES、すなわち、必要吹き出し風温度が室温より低い、つまりエアコンが冷房機能を作動させる場合には、A/Cスイッチ6がオンされているか否かを判断する(ステップS7)。ステップS7でYES、すなわちA/Cスイッチ6がオンとされている場合には、さらにステップS8,S9を経て必要吹き出し風温度と室温との温度差Xを判断する。
【0024】
まず、温度差Xが5℃未満か否かを判断する(ステップS8)。ステップS8でYES、すなわち、温度差Xが5℃未満である場合には、空調制御Aで空調する(ステップS10)。ステップS8でNO、すなわち、温度差Xが5℃未満でない場合には、温度差Xが5℃以上10℃未満であるか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9でYES、すなわち、温度差Xが5℃以上10℃未満である場合には、空調制御Bで空調する(ステップS11)。ステップS9でNO、すなわち、温度差Xが5℃以上10℃未満でない場合には、温度差Xが10℃以上であるとして、空調制御Cで空調する(ステップS12)。そして、ECU8は、空調制御の情報、すなわち、ステップS10〜S12のいずれの空調制御を実行しているかを示す情報(制御状態)を示す信号をコントロールユニット9へ出力し(ステップS13)、この一連の処理を終了する。
【0025】
なお、ステップS7においてNO、すなわち、A/Cスイッチ6がオフとされている場合には、エアコンは冷風を吐出することができないので、空調制御Hで空調し(ステップS14)、ステップS13へその処理を移行する。
【0026】
また、ステップS6においてNO、すなわち、必要吹き出し風温度が室温以上である場合には、必要吹き出し風温度と室温とが等しいか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15でYES、すなわち、必要吹き出し風温度と室温とが等しい場合には、空調制御G(送風)で空調し(ステップS16)、ステップS13へその処理を移行する。ステップS15でNO、すなわち、必要吹き出し風温度が室温よりも高い場合には、さらにステップS17,S18を経て必要吹き出し風温度と室温との温度差Xを判断する。
【0027】
まず、温度差Xが5℃未満か否かを判断する(ステップS17)。ステップS17でYES、すなわち、温度差Xが5℃未満である場合には、空調制御Dで空調する(ステップS19)。ステップS17でNO、すなわち、温度差Xが5℃未満でない場合には、温度差Xが5℃以上10℃未満であるか否かを判断する(ステップS18)。ステップS18でYES、すなわち、温度差Xが5℃以上10℃未満である場合には、空調制御Eで空調する(ステップS20)。ステップS18でNO、すなわち、温度差Xが5℃以上10℃未満でない場合には、温度差Xが10℃以上であるとして空調制御Fで空調する(ステップS21)。そして、ステップS19〜S21のいずれかの空調制御で空調されると、ステップS13にその処理を移行する。
【0028】
次に、コントロールユニット9におけるインジケータ16,17の表示制御及び表示態様について説明する。まず、インジケータ17の表示制御及び表示態様について図7(a)〜(h)を参照して説明する。なお、図7中において、太斜線で示される領域は青色、細斜線で示される領域は赤色、網掛け(格子)で示される領域は白色、無地で示される領域は消灯であることを示す。また、青色及び赤色領域内に存在する無数の点は、その量によって色の濃さを表す。すなわち、点の数が多いほど濃色を、点の数が少ないほど淡色を示す。
【0029】
コントロールユニット9は、ECU8を通じて、A/Cスイッチ6のオンオフ及び水温計7により検出される冷却水の温度が所定温度に達しているか否かの情報を取得する。そして、コントロールユニット9は、メモリ9aに記憶された表示色設定データD1を参照して、表示制御装置10を通じてインジケータ17を点灯させる。まず、車両の電源が投入されると、コントロールユニット9は、図7(h)に示されるように、インジケータ17全体を白色に表示させる。ユーザは、これを視認することにより、カーエアコン1に電源が供給されていることを認識することができる。この状態で、A/Cスイッチ6がオンされたとき、すなわち、カーエアコン1が冷房機能を発揮することができるときには、コントロールユニット9は、図7(a)に示されるように、インジケータ17の左端部を青色に表示させる。ユーザは、これを視認することにより、カーエアコン1が冷房機能を作動させることが可能な状態であることを認識することができる。また、同図7(a)に示されるように、水温計7の示す温度が所定温度に達し、カーエアコン1が暖房機能を発揮できるときには、インジケータ17の右端部を赤色に表示させる。これにより、ユーザは、暖房機能を作動させることが可能であることを認識する。なお、A/Cスイッチ6がオフの状態、及び水温計7の示す温度が所定温度に達していないときは、図7(h)に示されるように、インジケータ17の左端部、及び右端部の白色表示は維持される。
【0030】
次に、インジケータ16の表示制御について図6に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、メモリ9aに記憶された制御プログラムに従い実行される。また、当該フローチャートは、車両の駆動源、例えばエンジンが始動されたとき、正確には車両の電源が投入されたとき実行される。なお、インジケータ16は、コントロールユニット9に電源が投入されない限り、消灯状態に維持される。
【0031】
車両の電源が投入されると、図6に示されるように、コントロールユニット9は、まず、空調の制御情報を取得する(ステップS31)。そして、空調制御A〜Hのうちいずれの空調制御が実行されているか否かを判断し(ステップS32)、この判断結果に基づきメモリ9aに記憶された表示色設定データD1,D2を参照して、現在実行されている空調制御の表示色設定データD1,D2を読み込み込む(ステップS33)。そして、表示制御装置10を通じて読み込んだデータの表示色にインジケータ16を点灯させて(ステップS34)、この一連の処理を終了する。
【0032】
次に、インジケータ16の表示態様について説明する。
まず、カーエアコン1が冷房機能を発揮する場合、すなわちA/Cスイッチ6がオンされているときについて説明する。この場合、カーエアコン1は、図4に示されるように、空調制御A,B,Cのいずれかで空調する。空調制御の情報は、コントロールユニット9にも伝達される。そして、コントロールユニット9は、その空調制御の情報、すなわち、図5に示されるステップS10〜S12のいずれの空調制御を実行しているかを示す情報(制御状態)に応じて、インジケータ16に表示させる青色の濃淡を決定する。図7(a)は、温度差Xが5℃未満である場合、図7(b)は、温度差Xが5℃以上10℃未満の場合、図7(c)は、温度差Xが10℃以上の場合を示す。ユーザは、インジケータ16の青色表示の視認を通じてカーエアコン1が冷房機能を発揮することを認識することができる。また、その青色の濃淡の度合いを通じて、吐出される風温がどのくらい冷たいかを認識することができる。
【0033】
次に、カーエアコン1が暖房機能を発揮する場合、すなわち水温計7が所定温度以上を示しているときについて説明する。この場合、カーエアコン1は、図4に示されるように、空調制御D,E,Fのいずれかで空調する。コントロールユニット9は、ECU8を通じて取得される空調制御の情報、すなわち、図5に示されるステップS19〜S21のいずれの空調制御を実行しているかを示す情報(制御状態)に応じて、インジケータ16に表示させる赤色の濃淡を決定する。図7(d)は、温度差Xが5℃未満である場合、図7(e)は、温度差Xが5℃以上10℃未満の場合、図7(f)は、温度差Xが10℃以上の場合を示す。ユーザは、インジケータ16の赤色表示の視認を通じてカーエアコン1が暖房機能を発揮することを認識することができる。また、その赤色の濃淡を通じて、吐出される風温がどのくらい暖かいかを認識することができる。
【0034】
次に、カーエアコン1が送風機能を発揮する場合、すなわち、必要吹き出し風温度と室内温度との温度差Xがない場合について説明する。この場合、カーエアコン1は、図4に示されるように、空調制御Gで空調する。そして、コントロールユニット9は、図7(h)に示されるように、インジケータ16に白色を表示させる。ユーザは、インジケータ16の白色表示の視認を通じてカーエアコン1が送風機能を発揮することを認識することができる。
【0035】
次に、カーエアコン1の機能設定が不可の場合、すなわち、温度設定は可能であるが温度制御ができない場合について説明する。例えば、冷房機能を発揮させたいのにA/Cスイッチ6がオフとされているとき、若しくは、暖房機能を発揮させたいのに水温計7が所定の温度を示していないときカーエアコン1は、図4に示されるように、空調制御H、すなわち、空調しない。そして、コントロールユニット9は、図7(g)に示されるように、インジケータ16を消灯させる。ユーザは、インジケータ16の消灯表示の視認を通じてカーエアコン1の機能設定が不可であることを認識することができる。
【0036】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)カーエアコン1が発揮できる空調機能を表示するインジケータ17を設けた。ユーザは、このインジケータ17の視認を通じて、例えば、カーエアコン1における冷房機能の発揮の可否や、暖房機能の発揮の可否を容易に認識することができる。
【0037】
(2)A/Cスイッチ6とインジケータ17とを隣接させた。すなわち、A/Cスイッチ6とインジケータ17とを同時に視認しやすく配置した。インジケータ17の左端部は、A/Cスイッチ6のオン操作により青色に変化する。これにより、ユーザは、A/Cスイッチのオン操作によってカーエアコンが冷房機能を発揮できるようになることを容易に認識することができる。
【0038】
(3)水温計7とインジケータ17とを隣接させた。すなわち、水温計7とインジケータ17とを同時に視認しやすく配置した。インジケータ17の右端部は、水温計7が示す温度がカーエアコン1の暖房機能を発揮できる所定温度以上になると、赤色に変化する。これにより、ユーザは、水温計7の温度上昇によって、カーエアコンが暖房機能を発揮することができるようになることを容易に認識することができる。
【0039】
(4)コントロールユニット9は、カーエアコン1が冷房を作動できる状態において、インジケータ17を青色に点灯するようにした。寒色である青色を採用することによって、エアコンが冷房を作動することができることをユーザに容易に認識させることができる。
【0040】
(5)コントロールユニット9は、カーエアコン1が暖房を作動できる状態にいて、インジケータ17を、赤色に点灯するようにした。暖色である赤色を採用することによって、エアコンが暖房を作動することができることをユーザに容易に認識させることができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、コントロールユニット9は、インジケータ17に表示させる色を通じてカーエアコン1が発揮することのできる空調機能を表示したが、色でなくともよい。例えば、液晶画面等の表示装置に、空調機能を表す文字、例えば、冷房、暖房を表示させるようにしてもよい。このようにしても、ユーザは、液晶画面の視認を通じて、カーエアコン1が発揮することのできる空調機能を認識することができる。
【0042】
・上記実施形態では、回転させることにより温度設定を行う温度設定ダイヤル5を採用したが、例えば、押し操作によって温度設定を行う温度設定スイッチであってもよいし、スライド操作によって温度設定を行う温度設定スライドスイッチであってもよい。
【0043】
・上記実施形態では、インジケータ17に隣接するようにA/Cスイッチ6、及び水温計7を設けたが、これらは隣接して設けなくともよい。ただし、これらは、インジケータ17と一緒に視認できるように、同インジケータ17の近傍に設けることが望ましい。
【0044】
・上記実施形態において、インジケータ17の点灯色は、青、白、赤としたが、これらは、適宜変更可能である。
・上記実施形態において、インジケータ16に表示させる赤色及び青色の濃淡は、室温と空調風との温度差が5℃未満、5℃以上10℃未満、10℃以上の3段階で分けられたが、2段階以上であればよい。また、温度差は、5℃刻みでなくとも、例えば1℃刻みやそれより小さな単位刻みであってもよい。このように構成しても、ユーザは、インジケータの視認を通じて、吐出される温風又は冷風の温度がどれくらい室温との温度差があるかを認識することができる。
【0045】
・上記実施形態において、インジケータ16の表示色が白、すなわち、カーエアコン1が送風とする条件は、必要吹き出し風温度と室温との温度差がない場合としたが、温度差がない場合に限定されない。例えば、必要吹き出し風温度と室温との温度差が1℃未満や3℃未満であってもよい。また、必要吹き出し風温度が室温よりも高い場合はその温度差が1℃未満、低い場合はその温度差が3℃未満としてもよい。このように構成しても、ユーザは、インジケータの視認を通じて、吐出される温風又は冷風の温度がどれくらい室温との温度差があるかを認識することができる。
【0046】
・上記実施形態では、カーエアコン1が内気循環で空調する場合について説明した。このため、室温を下げるには、カーエアコン1が、冷房機能を発揮する場合に限られた。しかし、室内温度よりも外気温度が低い場合は、室内に外気を導入することによって、室温を下げることができる。すなわち、A/Cスイッチ6をオンとしていない場合であってもカーエアコン1(ECU8)が内気循環から外気導入に切り替えることによって室内の温度を下げることができる。この場合は、図5のフローチャートにおいて、ステップS7とステップS14との間に、外気温度が室内温度よりも低いか否かを判断するステップを導入する。このステップにおいてYES、すなわち外気温度が室内温度よりも低い場合には、ECU8は室内に外気を導入することによって室内を空調する。こうすることにより、室内の温度を下げることができる。また、このステップにおいてNO、すなわち外気温度が室内温度よりも高い場合には、上記図5に示すステップS14にその処理を移行する。
【0047】
なお、外気導入によって室内温度を下げる場合のインジケータ17の表示については、冷房時と同様としてもよいし、異なるようにしてもよい。異ならせる場合は、例えば、緑色といった自然や草木を連想させる色をインジケータ17に表示させることによって、室内に外気を導入して室温を下げることができることを報知することができる。なお、この場合、室温を下げることができるので、A/Cスイッチ6(インジケータ18)を点滅させる必要はない。
【0048】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項4に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、カーエアコンが冷房機能を発揮することができるとき、前記インジケータは、寒色に点灯するカーエアコンのスイッチ装置。
【0049】
同構成によれば、寒色(例えば青色)を採用することによって、エアコンが冷房機能を発揮できることをユーザに容易に認識させることができる。
(ロ)請求項4に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、カーエアコンが暖房機能を発揮することができるとき、前記インジケータは、暖色に点灯するカーエアコンのスイッチ装置。
【0050】
同構成によれば、暖色(例えば赤色)を採用することによって、エアコンが暖房機能を発揮できることをユーザに容易に認識させることができる。
(ハ)請求項1〜4に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、前記表示装置は、温度設定スイッチの操作方向に沿って延設し、当該表示装置の低温側に前記A/Cスイッチを、高温側に前記温度計を設けるカーエアコンのスイッチ装置。
【0051】
同構成によれば、温度設定スイッチの操作方向を認識しやすくなる。例えば、温度設定スイッチをA/Cスイッチ側に操作すれば冷風が吐出され、温度計側に操作すれば温風が吐出されることを認識しやすくなる。
【符号の説明】
【0052】
A,B,C,D,E,F,G,H…空調制御、X…温度差、D1,D2…表示色設定データ、1…カーエアコン、2…内気センサ、3…外気センサ、4…日射センサ、5…温度設定ダイヤル(ノブ)、6…A/Cスイッチ、7…水温計、8…ECU、9…コントロールユニット、9a…メモリ、10…表示制御装置、15,16,17…インジケータ、18…光源、19…切替スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調温度を設定する際に操作される温度設定スイッチ及び冷房機能を発揮させる際に操作されるA/Cスイッチを有するカーエアコンのスイッチ装置において、
前記A/Cスイッチの操作の有無及び暖房の熱源の温度により変化する、カーエアコンが発揮することのできる機能を表示する表示装置を備えるカーエアコンのスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、
前記表示装置は、前記A/Cスイッチの近傍に設けられるカーエアコンのスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、
前記熱源の温度を示す温度計を備え、当該温度計は、前記表示装置の近傍に設けられるカーエアコンのスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のカーエアコンのスイッチ装置において、
前記表示装置は、複数の色で点灯することができるインジケータであって、同インジケータは、カーエアコンが発揮することのできる機能に応じて異なる色を表示するカーエアコンのスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116333(P2012−116333A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267883(P2010−267883)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】