説明

カーテンのウエイト

【課題】ウエイトの縫込みがカーテンの縫製工程で同時に行え、カーテン製造の能率向上が図れ、廃棄時に対する環境問題の発生が無く、しかも、新規な商品の製作が可能になるカーテンのウエイトを提供する。
【解決手段】ガラス繊維強化合成樹脂を用いて形成した複数枚のウエイト体4、4の組み合わせからなり、組み合わせ使用するウエイト体4、4の一方に凹部6と、他方にこの凹部6に嵌合するよう凸部7を設け、重ね合わせ状態で凹部6と凸部7により互に固定化することによってウエイト3を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンやたくし上げカーテンの裾に取付け、カーテンの垂れ下がり形状を整えると共に、裾の捲くれ上がり発生を防ぐために用いるカーテンのウエイトに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンやたくし上げカーテン(以下単にカーテンという)において、吊り下げ時に垂れ下がり形状を整えると共に、裾の捲くれ上がり発生を防ぐ目的で、カーテンの裾にウエイトを縫い込むことが行われている。
【0003】
上記ウエイトは、その目的から適度な重量が要求され、このため、従来のウエイトは、亜鉛やステンレスのような金属を材料に用いていた。
【0004】
ところで、カーテンを縫製するには針を使用する場合が多く、このため、縫製後のカーテンを検針機にかけ、針の残し忘れがないかを確認する必要がある。
【0005】
従来のように、カーテンの裾に縫い込まれたウエイトが金属製の磁性体であると、カーテンを検針機にかけたときに検針機がウエイトを検出して反応し、針の残し忘れの検出精度を低下させることになる。
【0006】
このため、カーテンの縫製工程では、縫い上がったカーテンに対して検針機で針の残し忘れをチェックした後、カーテンにウエイトを取付ける工程を採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ウエイトをカーテンに後付けする方法は、カーテンの縫製工程とウエイトの取付工程が別工程となり、そのためカーテンの製造に要する手間と時間が余分にかかることになるという問題がある。
【0008】
また、ウエイトが鉛製の場合、その廃棄時に水質汚染等の環境問題を発生させる危険性があり、さらに、ステンレス製の場合は、一般的に磁性を帯びないものとして知られているが、製造工程で強い力が加わると磁性を帯びることがあり、完全に磁性を無くすには、より厳密な工程管理が必要となり、コストの問題が懸念される。
【0009】
そこで、この発明の課題は、ウエイトが検針機に反応しないようにし、ウエイトの縫込みがカーテンの縫製工程で同時に行え、カーテン製造の能率向上が図れると共に、廃棄時に対する環境問題の発生が極めて少なく、しかも、設計の自由度が優れているので、新規な商品の製作が可能になるカーテンのウエイトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、非磁性材料を用いて形成した複数枚のウエイト体の組み合わせからなり、組み合わせ使用するウエイト体に重ね合わせ状態で互に固定化する結合手段を設けた構成を採用したものである。
【0011】
上記ウエイト体が、ガラス繊維強化合成樹脂を用いて形成されているようにしたり、上記結合手段が、組み合わせ使用するウエイト体の一方に設けた凹部と、この凹部に嵌合するよう他方に設けた凸部の組み合わせによって形成されている構造とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、複数枚の組み合わせからなるウエイト体を非磁性材料を用いて形成したので、ウエイトがカーテンの検針機に反応しないことになり、ウエイトの縫込みがカーテンの縫製工程で同時に行え、カーテン製造の能率向上が図れる。
【0013】
また、複数枚のウエイト体を組み合わせ使用し、ウエイト体に重ね合わせ状態で互に固定化する結合手段を設けたので、凹部と凸部を嵌め合わせるだけでウエイトを形成することができ、かつ、重量の異なるウエイト体の組み合わせによってウエイトの重量変更が可能になり、様々な重量のカーテンに対して適切な重量のウエイトを選択して用いることが容易になる。
【0014】
更に、ウエイト体の形成に比重の重いガラス繊維強化合成樹脂を用いたので、ウエイトに要求される重量を確保できると共に、材料的に設計の自由度が優れているので、複雑な形状や大きさの大小等に対して新規な商品の製作が可能になり、しかも、廃棄時に対する環境問題の発生を極めて少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図示のように、カーテンAは、建物側に固定するヘッドボックス1内のカーテンレール等の吊り部材2に上端部を取付けることによって、建物の壁における開口部分の室内側に吊り下げ状に配置され、このカーテンAの裾で例えばコーナ部分等の位置にウエイト3が縫い込まれている。なお、カーテンAは、図示のような形態に限らず、たくし上げカーテンであってもよい。
【0017】
上記ウエイト3は、図4のように、複数枚のウエイト体4、4の組み合わせからなり、組み合わせ使用するウエイト体4、4の重ね合わせ面に、重ね合わせ状態で互に固定化する結合手段5が設けられている。
【0018】
上記ウエイト体4、4は、非磁性材料である合成樹脂に比重を重くするための非磁性無機物を混合した材料、例えば、比重の重いガラス繊維強化合成樹脂を用い、図示の場合、上下に長く厚みのある板状に形成し、結合手段5は、各ウエイト体4、4の重ね合わせる一面側における両端部に、設定された間隔で円形の凹部6とこの凹部6に緊密に嵌合する外径の凸部7を設けて形成され、組み合わせ使用する両ウエイト体4、4の凹部6と凸部7を嵌め合わせることにより、二枚のウエイト体4、4が重なったウエイト3を構成することになる。
【0019】
上記ウエイト体4、4の形成に用いるガラス繊維強化合成樹脂は、PET樹脂(東洋紡績株式会社製)に無機物であるガラス繊維(GF)を混合したものであり、このガラス繊維(GF)の混合量を選択することによって比重の調整が行え、PET樹脂に対してガラス繊維(GF)の混合量は自由に設定すればよいが、例えば、ウエイト3としての重量を確保するためには、ガラス繊維(GF)を30〜65%(重量)程度の充填比率、具体的には、PET樹脂58%(重量)に対してガラス繊維(GF)42%(重量)の混合比にするのが好ましい。
【0020】
なお、樹脂に対するガラス繊維(GF)の混合比が30%(重量)以下ではウエイトとしての重量確保が十分ではなく、65%(重量)以上では射出成形時の成形性が悪くなり、狙いの形状が得られないことになる。
【0021】
また、熱硬化樹脂を用いる場合は、ガラス繊維(GF)の混合比を75%(重量)にまで上げることができる。
【0022】
上記のような材料は、ウエイト3に要求される重量を確保できると共に、材料的に設計の自由度が優れているので、複雑な形状や大きさの大小等に対して新規な商品の製作が可能になり、しかも、廃棄時に対する環境問題を発生させることがないという利点がある。
【0023】
なお、上記ウエイト体4、4の形成に用いる樹脂は、PET樹脂に限るものではなく、熱可塑性や熱硬化性の何れの樹脂でもよく、成形方法も射出成形やプレス成形の単用もしくは組み合わせが採用でき、また、樹脂に混合する無機物としては、ガラス繊維以外に、樹脂よりも比重の大きいものであれば特に材質を選ばないと共に、ウエイト体4、4の形成に用いる他の非磁性材料としては、耐衝撃性の高いガラスやセラミック、比重の大きい合成樹脂の単用等を挙げることができる。
【0024】
上記ウエイト体4、4は、外形が同一でも厚みを変化させたり、無機物の混合量を変えることによって重量の調整が行え、従って、厚みの異なるものや無機物の混合量の異なるウエイト体4、4を複数用意しておき、これらを選択して組み合わせることにより、組み立てんとするウエイト3の重量変更や選択が可能になり、様々な重量のカーテンAに対して適切な重量のウエイト3を選択して用いることができる。
【0025】
また、ウエイト体4、4の外形は、図示のような縦長に限定されるものではなく、カーテンAの重量やカーテンAに対して縫い込む位置等に合わせて、正方形や長円形等の形状を採用することができる。
【0026】
なお、ウエイト体4、4は、二枚重ねによってウエイトを形成する例を図示したが、ウエイト体4、4をそのままウエイトとして用いてもよく、更に、三枚重ねによってもウエイト3を形成することもでき、この場合、中間のウエイト体には、その両面に凹部6と凸部7を形成しておけばよいことになる。
【0027】
この発明のカーテン用ウエイト3は上記のような構成であり、二枚のウエイト体4、4を用い、両ウエイト体4、4の結合手段を嵌め合わせて重ねることによりウエイト3を形成し、このようにして形成されるウエイト3は、組み合わせ使用するウエイト体4、4の重量を選択することにより、縫製せんとするカーテンAの条件に合わせた重量のウエイト3とする。
【0028】
カーテンAの縫製工程において、カーテンAの裾に該当する折返し部分に上記したウエイト3を縦の配置で縫い込むようにすれば、カーテンAの縫製とウエイト3の縫い込みが同時に行え、工程の削減が行えると共に、縫製後のカーテンAに対して検針機での針の残し忘れをチェックする場合に、非磁性体であるウエイト3は検出されることはないので、針の残し忘れのチェックが精度よく行えることになる。
【0029】
このようにして、裾にウエイト3が縫い込まれたカーテンAは、ウエイト3の重量によって、吊り下げ使用時に垂れ下がり形状が整えられると共に、裾の捲くれ上がりが防止されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ウエイトを取付けたカーテンの全体形状を示す正面図
【図2】カーテンのウエイトを取付けた部分を拡大した正面図
【図3】図2の矢印a−aに沿う縦断面図
【図4】ウエイトを形成するウエイト体の分解斜視図
【符号の説明】
【0031】
A カーテン
1 ヘッドボックス
2 吊り部材
3 ウエイト
4 ウエイト体
5 結合手段
6 凹部
7 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材料を用いて形成した複数枚のウエイト体の組み合わせからなり、組み合わせ使用するウエイト体に重ね合わせ状態で互に固定化する結合手段を設けたカーテンのウエイト。
【請求項2】
上記ウエイト体が、ガラス繊維強化合成樹脂を用いて形成されている請求項1に記載のカーテンのウエイト。
【請求項3】
上記結合手段が、組み合わせ使用するウエイト体の一方に設けた凹部と、この凹部に嵌合するよう他方に設けた凸部の組み合わせによって形成されている請求項1又は2に記載のカーテンのウエイト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−141795(P2006−141795A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337612(P2004−337612)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000175906)三光商事株式会社 (15)
【Fターム(参考)】