説明

カーテンウォールおよび建物

【課題】コストアップおよび作業性の低下を招くことなく意匠性を向上可能なカーテンウォールおよび建物を提供すること。
【解決手段】カーテンウォール10の平面多角形状の外壁面10Aに、その角部を跨ぎ左右に延びる状態で平面直線状の水平ルーバー材41を配置している。このため、外壁面10Aの平面多角形状の角部を跨ぐ長い領域を平面直線状の1個の水平ルーバー材41でカバーでき、カーテンウォール10の意匠性を向上できる。さらに、角部を跨ぐ領域をカバーする水平ルーバー材41の取付作業を減らすことができる。そして、水平ルーバー材41を曲げ加工したり曲がった水平ルーバー材41を製造する必要がなく、コストアップを招くことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールおよび建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁に風を受ける風バリア体や屋内空間の光や熱環境をコントロールするルーバーを配置した構成が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1に記載のものは、上下の階層間で平行に、相互に間隔をとって配置されている風バリア体(ルーバー材)を備えている。この風バリア体は、平面直線状の外壁面に対して平行に設けられた長尺なバリア部材が縦材と横材との交点位置に配置された支持部材で外壁面に固定されている。
特許文献2に記載のものは、建物の外壁の外側に形成された機能空間と、この機能空間に配置されているルーバー材とを備えている。このルーバー材は、平面直線状の外壁面に対して平行に設けられた複数枚の羽根とその両端を保持するルーバー受けから構成され、隣接する支柱間に架設されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3261943号公報
【特許文献2】特許第3361970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、左右に並んだ複数の窓部が平面多角形状に形成されているカーテンウォールにおいて、平面多角形状の窓部に対してルーバー材を配置する場合、特許文献1,2のような構成を適用して多角の直線部分ごとに平面直線状のルーバー材を配置したり、このルーバー材間を連結することが考えられる。しかしながら、このような構成では、平面多角形状の角部を挟んで複数のルーバー材が断続的に配置されたり連結部分が存在することで、意匠性が低下したり、取付作業工程が増えるおそれがある。さらに、曲げ加工されたルーバー材や曲がったルーバー材を製造して平面多角形状の外壁面に沿って配置することが考えられるが、この曲げ加工や曲がったルーバー材を製造するためにコストが増加するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、コストアップおよび作業性の低下を招くことなく意匠性を向上することができるカーテンウォールおよび建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカーテンウォールは、左右に並んだ複数の窓部が平面多角形状に形成されているカーテンウォールであって、前記窓部の屋外側には、複数のルーバー材を備えたルーバー装置が設けられ、前記ルーバー材は、平面直線状に形成されるとともに、前記平面多角形状の角部を跨いで左右に延びて配置されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、ルーバー材が跨ぐ角部の数は、1個に限らず2個以上であってもよい。
以上の本発明によれば、窓部の平面多角形状の角部を跨ぐ長い領域を平面直線状の1個のルーバー材でカバーでき、カーテンウォールの意匠性を向上できる。さらに、複数のルーバー材を断続的に配置する構成や、この複数のルーバー材を連結する構成と比べて、取付作業を減らすことができる。そして、ルーバー材を曲げ加工したり曲がったルーバー材を製造する必要がなく、コストアップを招くことがない。
【0008】
本発明のカーテンウォールでは、前記ルーバー材の屋外側には、平面曲線状の化粧材が取り付けられ、この化粧材は、前記角部を跨いで左右に延びて配置されている構成が好ましい。
ここで、化粧材の形状としては、外壁面の平面多角形状の外接円と同心円状となるような形状であってもよいし、同心円状とならない形状であってもよい。
この発明によれば、平面多角形状の外壁面に平面曲線状の化粧材を配置することで、化粧材を外壁面に沿わせるとともに、この化粧材で直線状のルーバー材を隠すことができ、カーテンウォールの意匠性を向上できる。
【0009】
本発明のカーテンウォールでは、前記化粧材は、取付手段を介して平面曲線状に撓んだ状態で前記ルーバー材に取り付けられている構成が好ましい。
ここで、取付手段としては、化粧材とルーバー材とを螺合、圧入、係合などで取り付ける構成を適用できる。
この発明によれば、化粧材を平面直線状に形成しても撓ませることで平面曲線状に配置することができ、予め平面曲線状に形成する構成と比べて製造コストを抑えることができる。さらに、化粧材を所望の状態に撓ませることで、ルーバー装置の配置場所や建物のサイズなどに応じて意匠性を向上した状態で化粧材を取り付けることができる。
【0010】
本発明のカーテンウォールでは、前記取付手段は、長さ寸法が異なる複数のスペーサを含んで構成され、前記化粧材は、これら複数のスペーサを介して前記ルーバー材に取り付けられている構成が好ましい。
この発明によれば、ルーバー材と化粧材との間に長さが異なるスペーサを配置することで、化粧材の撓み状態を容易に設定できる。さらに、作業者によらず化粧材の撓み状態を一定にすることができる。
【0011】
本発明のカーテンウォールでは、前記窓部と前記ルーバー装置との間には、略水平面を有する水平部が設けられ、前記水平部は、平面直線状に形成されるとともに、前記ルーバー材と略平行にかつ前記平面多角形状の角部を跨いで左右に延びて配置されている構成が好ましい。
この発明によれば、窓部とルーバー装置との間に設けられた水平部を歩行用デッキとして利用することができ、窓部屋外面やルーバー装置に対するメンテナンスを容易に実施できる。また、水平部をルーバー材と略平行に設けているため、水平部を曲げ加工する必要がなく製造コストを抑えることができる。
【0012】
本発明のカーテンウォールでは、前記ルーバー材は、前記複数の窓部における前記平面多角形状の角部を跨いだ左右両端側の2箇所から屋外側に延びるルーバー材支持部材で支持され、前記水平部は、前記複数の窓部の左右両端側から屋外側に延びる水平部支持部材により前記窓部ごとに支持されている構成が好ましい。
この発明によれば、ルーバー材を平面多角形状の角部を跨いだ左右両端側のルーバー材支持部材で支持させているので、ルーバー材の取付箇所を最小限の数にすることができ、取付作業を減らすことができる。また、水平部を窓部ごとに設けられた水平部支持部材で支持させているので、平面多角形状の角部を跨いで設ける構成と比べて水平部を短くすることができ、水平部の取付作業を容易に実施できる。
【0013】
本発明の建物は、上述のカーテンウォールにより外壁が構成されていることを特徴とする。
以上の本発明によれば、上述のカーテンウォールと同様の作用効果を有する建物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るカーテンウォール10を備える建物1の一部を示す縦断面図である。図2は、カーテンウォール10を示す横断面図である。図3は、カーテンウォール10の上部を拡大して示す縦断面図であり、図4は、カーテンウォール10の一部を拡大して示す横断面図である。
【0015】
図1〜図4において、建物1の外壁面を構成するカーテンウォール10は、建物1の各フロアの床レベル(図中FLで示す)間の距離(階高)に応じた高さ寸法を有する複数の窓部としてのカーテンウォールユニット11によって構成されている。
カーテンウォールユニット11は、建物外壁面の上下左右に並べて配置され、建物1の各フロアの床スラブ2や梁3などの建物躯体に固定されたファスナー(支持具)4に支持されている。そして、カーテンウォールユニット11は、上枠12、下枠13、および左右の縦枠14,15を四周枠組みした枠体と、左右の縦枠14,15間に水平に架設された2本の中桟(中間横材)16,17と、下側の中桟17、下枠13、左右の縦枠14,15に支持された面材としてのガラスパネル18とを有して構成されている。また、カーテンウォールユニット11内部におけるガラスパネル18よりも上側のスパンドレル部(腰部)には、2本の中桟16,17間に支持された通気ガラリ19と、上側の中桟16と上枠12との間に支持されて天井裏空間5の屋外側を覆う耐火パネル20および上部ガラスパネル21とが設けられている。そして、通気ガラリ19の内側には、チャンバー19Aが設けられ、通気ガラリ19およびチャンバー19Aを介して外気を天井裏空間5に取り入れられるようになっている。また、ガラスパネル18の室内側には、遮光ブラインド22が上下開閉自在に天井6のブラインドボックス6Aに支持されている。
【0016】
カーテンウォールユニット11の上枠12、下枠13、縦枠14,15および中桟16,17は、それぞれアルミ形材製である。上枠12は、図3に示すように、全体略矩形中空状に形成されるとともにファスナー4に結合される上枠本体12Aと、この上枠本体12Aの下部屋外側に係合して上部ガラスパネル21の上端縁を保持する上枠押縁材12Bと、上枠本体12Aの屋外側側面に取り付けられるカバー部材12Cとを有して形成されている。下枠13は、全体略矩形中空状の下枠本体13Aと、この下枠本体13Aの屋外側に係合してガラスパネル18の下端縁を保持する下枠押縁材13Bとを有して構成されている。そして、上枠本体12Aの上面および下枠本体13Aの下面には、それぞれ位置決め部品が設けられており、これらの位置決め部品同士が嵌合することで、カーテンウォールユニット11の下端縁が見込み方向に位置決めされるようになっている。また、上枠本体12Aの上面と下枠本体13Aの下面とには、それぞれ一方から他方に向かって突出する気密材および水密材が設けられ、これらの気密材同士および水密材同士が互いに密接することで気密性および水密性が得られるようになっている。さらに、下枠13の下枠押縁材13B下面には、下方に突出して上枠12のカバー部材12C上面に当接する止水材が取り付けられており、上枠12と下枠13との間に雨水が浸入しないようになっている。
【0017】
カーテンウォールユニット11の縦枠14,15は、図4に示すように、全体略矩形状で見付け方向外側が開口した縦枠本体14A,15Aと、縦枠本体14A,15Aから屋外側に突出した係合片部14B,15Bと、これらの係合片部14B,15Bに係合してガラスパネル18の側端縁を保持する縦枠押縁材14C,15Cとを有して構成されている。そして、左右に隣り合うカーテンウォールユニット11同士において、縦枠14,15同士が所定間隔(縦目地S)を介して対向配置され、互いの縦枠本体14A,15Aに設けられた位置決め部品同士が係合することで、縦目地Sの間隔が保持されている。さらに、縦目地Sの内部において、縦枠本体14A,15Aに設けられた気密材同士および水密材同士が互いに密接することで、気密性および水密性が得られるようになっている。また、縦枠14,15における係合片部14B,15Bおよび縦枠押縁材14C,15Cは、上枠12における上枠押縁材12Bの高さまで設けられ、カバー部材12Cに対応した位置において、縦枠14,15の係合片部14B,15Bは切り欠かれており、この係合片部14B,15Bの切り欠き部分に後述する外装ルーバー40の主ブラケット42が設置されるようになっている。
【0018】
以上のようなカーテンウォールユニット11を上下左右に並べて構成されるカーテンウォール10の屋外側には、歩行用の水平部としてのデッキ部30と、ルーバー装置としての外装ルーバー40とが設けられている。以下、デッキ部30および外装ルーバー40について、図5も参照して詳しく説明する。ここで、図5は、デッキ部30および外装ルーバー40を示す斜視図である。
デッキ部30および外装ルーバー40は、建物1における各階の床レベルFLを跨ぐ高さ位置に設けられている。すなわち、デッキ部30は、各階の床レベルFLと略フラットに設けられた複数(本実施形態では6本)のグレーチング材31を有して構成され、外装ルーバー40は、各階の床レベルFLよりも若干高くガラスパネル18の下端部屋外側に重なる位置から、下階のスパンドレル部およびガラスパネル18の上端部屋外側に重なる位置までに渡って、所定間隔ごとに設けられた複数(本実施形態では6本)の水平ルーバー材41を有して構成されている。そして、デッキ部30および外装ルーバー40は、左右に隣り合う2つのカーテンウォールユニット11に対応した水平長さ寸法を1つの単位として構成され、この単位ごとにカーテンウォールユニット11に支持されている。
【0019】
外装ルーバー40の具体的な支持構造としては、図5に示すように、2つのカーテンウォールユニット11における上枠12両端部に固定される4つの主ブラケット42と、4つの主ブラケット42のうちの左右両端部の2つの主ブラケット42に固定されて上下に延びる2本の縦支持材43と、中間部の2つの主ブラケット42のうちの1つに固定されて上下に延びる1本の縦ロッド44と、2本の縦支持材43の下部とカーテンウォールユニット11の縦枠14,15とを連結する2本の副ブラケット45と、副ブラケット45と同一高さ位置にて縦支持材43と隣接位置の縦枠14,15とを連結する2本の水平ブレース材46とを備えて構成されている。そして、デッキ部30のグレーチング材31は、4つの主ブラケット42のうち、各カーテンウォールユニット11の上枠12両端部に固定された2つの主ブラケット42間に架設されている。また、外装ルーバー40の水平ルーバー材41は、2本の縦支持材43間に渡って架設され、これら6本の水平ルーバー材41を貫通して縦ロッド44が設けられている。さらに、6本の水平ルーバー材41の各々の屋外側には、化粧材47が当該水平ルーバー材41の略全長に沿って取り付けられている。
【0020】
次に、外装ルーバー40の詳細な構造について説明する。図6は、外装ルーバー40を構成する水平ルーバー材41および化粧材47の縦断面図である。
水平ルーバー材41および化粧材47は、例えばアルミ形材により外形が略長方形板状つまり平面直線状に形成されている。
水平ルーバー材41は、厚さ方向が上下方向と略一致し、長手方向が水平かつ外壁面10A(図7参照)の左右方向に略沿い、短手方向が見付け方向に略沿うように配置されている。そして、水平ルーバー材41は、図6に示すように、カーテンウォール10に取り付けられるルーバー本体51と、このルーバー本体51に取り付けられる下カバー61と、ルーバー本体51と下カバー61とに取り付けられる壁側カバー71とを備えている。
【0021】
ルーバー本体51は、略長方形筒状の本体基部52を有している。この本体基部52は、筒状の開口部53が左右両側に位置し、一方の短辺に対応する屋外側面部54が屋外側に位置し、他方の短辺に対応する外壁側面部55が屋内側に位置する状態で設けられている。屋外側面部54には、後述するボルト91が挿通される7個のボルト孔56が左右方向に並んで設けられている。外壁側面部55の上端縁には、屋内側に延びる上延出部57が設けられている。この上延出部57の先端には、下方に延びる第1本体固定部58が設けられている。さらに、第1本体固定部58の先端には、屋内側に延びる第2本体固定部59が設けられている。
【0022】
下カバー61は、略長方形板状の下カバー基部62を有している。この下カバー基部62の一縁には、下カバー基部62とのなす角度が鈍角となる方向に延びる下カバー固定部63が設けられている。そして、下カバー61は、下カバー基部62の他縁が外壁側面部55の下部に係合し、下カバー固定部63が屋内側から螺合するビス64で第1本体固定部58に固定されることでルーバー本体51に取り付けられる。
壁側カバー71は、略長方形筒状の壁側カバー基部72を有している。この壁側カバー基部72は、筒状の開口部73が左右両側に位置し、一方の短辺に対応する外壁側面部74が屋内側に位置し、他方の短辺に対応する屋外側面部75が屋外側に位置する状態で設けられている。屋外側面部75の上端縁には、屋外側に延びた後に下方に延びる第1壁側カバー固定部76が設けられ、下部には屋外側に延びる第2壁側カバー固定部77が設けられている。そして、壁側カバー71は、第1壁側カバー固定部76が上延出部57の上部に係合し、第2壁側カバー固定部77が下側から螺合するビス78で第2本体固定部59に固定されることでルーバー本体51に取り付けられる。
【0023】
化粧材47は、厚さ方向(見込み方向)に撓む構成を有し、その厚さ方向が外壁面10Aの見込み方向と略一致する状態で取付手段48により水平ルーバー材41に取り付けられている。この化粧材47は、水平ルーバー材41に取り付けられる化粧本体81と、この化粧本体81に取り付けられる化粧カバー85とを備えている。
化粧本体81は、略長方形板状の化粧基部82を有している。この化粧基部82の短手方向の一端側(下端側)には、ボルト91が挿通される7個のボルト孔83が左右方向に並んで設けられている。また、化粧基部82の下端縁には、屋外側に延びる本体固定部84が設けられている。
化粧カバー85は、断面略コ字状に形成されている。そして、化粧カバー85は、略コ字状の対向する一対の辺に対応する部分が化粧基部82の上部および本体固定部84にそれぞれ係合することで化粧本体81に取り付けられる。
取付手段48は、ボルト91、ナット92と、内部にボルト91を挿通可能な円筒状の1個の第1スペーサ93と、第1スペーサ93より短い円筒状の2個の第2スペーサ94と、第2スペーサ94より短い円筒状の2個の第3スペーサ95と、第3スペーサ95より短い円筒状の2個の第4スペーサ96と、を備えている。第1〜第4スペーサ93〜96は、水平ルーバー材41と化粧材47との間に設けられる。
【0024】
次に、外装ルーバー40の取付状態に関して説明する。図7は、カーテンウォール10と外装ルーバー40との取付状態を模式的に示す平面図である。なお、図7では、本発明の内容を理解しやすくするために各構成の形状や配置状態を誇張して示している。
隣り合う2個のカーテンウォールユニット11から構成されるカーテンウォール10の外壁面10Aは、図7に示すように、カーテンウォールユニット11の内面が角度θ(θは、例えば160°以上、180°未満)をなす平面多角形状に形成されている。
そして、デッキ部30のグレーチング材31は、カーテンウォールユニット11の左右両端側から屋外側に延びる水平部支持部材としての主ブラケット42により、カーテンウォールユニット11ごとに支持されている。また、互いに隣り合うグレーチング材31は、外壁面10Aの平面多角形状の角部を跨いで平面直線状に左右に延びて配置されている。ここで、グレーチング材31の上面は、本発明の水平面を構成している。
【0025】
また、水平ルーバー材41は、外壁面10Aの平面多角形状の角部を跨ぎかつグレーチング材31と略平行に左右に延びて配置されている。化粧材47は、厚さ方向に撓ませて平面曲線状となる状態で水平ルーバー材41に取り付けられている。
具体的には、水平ルーバー材41は、カーテンウォールユニット11における平面多角形状の角部を跨ぐ左右両端側の主ブラケット42および縦支持材43で支持されている。ここで、主ブラケット42および縦支持材43は、本発明のルーバー材支持部材を構成している。
また、水平ルーバー材41と化粧材47とは、第1スペーサ93が右から4番目(左右方向中央)のボルト孔56,83を連通し、第2スペーサ94が右から3番目および5番目のボルト孔56,83を連通し、第3スペーサ95が右から2番目および6番目のボルト孔56,83を連通し、第4スペーサ96が右から1番目および7番目(左右両端部)のボルト孔56,83を連通する状態でそれぞれ配置され、その内部およびボルト孔56,83に挿通されたボルト91がナット92に螺合されることで固定される。ここで、第1〜第4スペーサ93〜96は上述したように長さが異なるため、化粧材47は、左右方向の中央が水平ルーバー材41から最も離れ、左右両端に近づくにしたがって徐々に水平ルーバー材41に近づくように撓んだ状態、つまり平面曲線状に撓んだ状態で取り付けられる。また、このときの化粧材47の撓み状態は、例えば外壁面10Aの平面多角形状の外接円と同心円状となるように設定されている。
【0026】
次に、外装ルーバー40の組立方法について説明する。なお、以下の方法は一例に過ぎず、他の方法を適用してもよい。
まず、ナット92を配置したルーバー本体51を準備する。また、ボルト91を化粧本体81のボルト孔83と第1〜第4スペーサ93〜96とに挿通する。次に、ボルト91とナット92とを螺合することで、平面直線状のルーバー本体51に対して化粧本体81を平面曲線状に撓ませた状態で取り付ける。この後、化粧本体81に化粧カバー85を取り付け、ルーバー本体51に下カバー61と壁側カバー71とを取り付けて、外装ルーバー40の組立が完了する。
【0027】
このような実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)カーテンウォールユニット11から構成される平面多角形状の外壁面10Aに、その角部を跨ぎ左右に延びる状態で平面直線状の水平ルーバー材41を配置している。このため、外壁面10Aの平面多角形状の角部を跨ぐ長い領域を平面直線状の1個の水平ルーバー材41でカバーでき、カーテンウォール10の意匠性を向上できる。さらに、角部を跨ぐ領域をカバーする水平ルーバー材41の取付作業を減らすことができる。そして、水平ルーバー材41を曲げ加工したり曲がった水平ルーバー材41を製造する必要がなく、コストアップを招くことがない。
【0028】
(2)平面曲線状の化粧材47を外壁面10Aの角部を跨ぐように水平ルーバー材41の屋外側に配置しているため、化粧材47を外壁面10Aに沿わせるとともに、この化粧材47で直線状の水平ルーバー材41を隠すことができ、カーテンウォール10の意匠性を向上できる。
【0029】
(3)化粧材47を厚さ方向に撓み可能にかつ平面直線状に形成して、平面曲線状に撓ませて配置しているため、予め平面曲線状に形成する構成と比べて製造コストを抑えることができる。さらに、化粧材47を所望の状態に撓ませることで、外装ルーバー40の配置場所や建物1のサイズなどに応じて意匠性を向上した状態で化粧材47を取り付けることができる。
【0030】
(4)化粧材47を長さが異なる第1〜第4スペーサ93〜96を介して水平ルーバー材41に取り付けているため、化粧材47の撓み状態を容易に設定でき、作業者によらず化粧材47の撓み状態を一定にすることができる。
【0031】
(5)外壁面10Aと外装ルーバー40との間に、外装ルーバー40と略平行にかつ外壁面10Aの角部を跨いで配置されたデッキ部30を設けている。このため、デッキ部30を歩行用デッキとして利用することができ、外壁面10Aや外装ルーバー40に対するメンテナンスを容易に実施できる。また、デッキ部30を外装ルーバー40と略平行に設けているため、デッキ部30を曲げ加工する必要がなく製造コストを抑えることができる。
【0032】
(6)水平ルーバー材41を平面多角形状の角部を跨いだ左右両端側の主ブラケット42および縦支持材43で支持させているので、水平ルーバー材41の取付箇所を最小限の数にすることができ、取付作業を減らすことができる。また、デッキ部30のグレーチング材31をカーテンウォールユニット11ごとに支持させているので、グレーチング材31を外壁面10Aの角部を跨いで設ける構成と比べて、グレーチング材31を短くすることができ、グレーチング材31の取付作業を容易に実施できる。
【0033】
なお、本発明は、前記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、化粧材47を設けない構成としてもよい。また、予め曲げた状態で製造した化粧材47を水平ルーバー材41に取り付けてもよい。そして、第1〜第4スペーサ93〜96の代わりにナットを螺合させ、このナットを水平ルーバー材41の屋外側面部54または化粧材47の化粧基部82に近づけることで化粧材47の見込み方向の位置決めをして撓ませてもよい。さらに、ボルト91を挿通可能な円筒状の第1〜第4スペーサ93〜96の代わりに、ボルト91を挿通できない柱状のスペーサを適用し、このスペーサをボルト91の側方に固定することで化粧材47を撓ませてもよい。また、デッキ部30を設けなくてもよし、1本のグレーチング材31を外壁面10Aの角部を跨いで設けてもよい。
【0034】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るカーテンウォールを備える建物の一部を示す縦断面図である。
【図2】カーテンウォールを示す横断面図である。
【図3】カーテンウォールの上部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】カーテンウォールの一部を拡大して示す横断面図である。
【図5】デッキ部および外装ルーバーを示す斜視図である。
【図6】外装ルーバーを構成する水平ルーバー材および化粧材の縦断面図である。
【図7】カーテンウォールと外装ルーバーとの取付状態を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…建物、10…カーテンウォール、11…カーテンウォールユニット(窓部)、30…デッキ部(水平部)、40…外装ルーバー(ルーバー装置)、41…水平ルーバー材、42…主ブラケット(水平部支持部材、ルーバー材支持部材)、43…縦支持材(ルーバー材支持部材)、47…化粧材、48…取付手段、93〜96…スペーサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に並んだ複数の窓部が平面多角形状に形成されているカーテンウォールであって、
前記窓部の屋外側には、複数のルーバー材を備えたルーバー装置が設けられ、
前記ルーバー材は、平面直線状に形成されるとともに、前記平面多角形状の角部を跨いで左右に延びて配置されているカーテンウォール。
【請求項2】
前記ルーバー材の屋外側には、平面曲線状の化粧材が取り付けられ、この化粧材は、前記角部を跨いで左右に延びて配置されている請求項1に記載のカーテンウォール。
【請求項3】
前記化粧材は、取付手段を介して平面曲線状に撓んだ状態で前記ルーバー材に取り付けられている請求項2に記載のカーテンウォール。
【請求項4】
前記取付手段は、長さ寸法が異なる複数のスペーサを含んで構成され、前記化粧材は、これら複数のスペーサを介して前記ルーバー材に取り付けられている請求項3に記載のカーテンウォール。
【請求項5】
前記窓部と前記ルーバー装置との間には、略水平面を有する水平部が設けられ、
前記水平部は、平面直線状に形成されるとともに、前記ルーバー材と略平行にかつ前記平面多角形状の角部を跨いで左右に延びて配置されている請求項1から請求項4のいずれかに記載のカーテンウォール。
【請求項6】
前記ルーバー材は、前記複数の窓部における前記平面多角形状の角部を跨いだ左右両端側の2箇所から屋外側に延びるルーバー材支持部材で支持され、
前記水平部は、前記複数の窓部の左右両端側から屋外側に延びる水平部支持部材により前記窓部ごとに支持されている請求項5に記載のカーテンウォール。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のカーテンウォールにより外壁が構成されている建物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate