説明

カートンカバー

【課題】居室の雰囲気に合いインテリア足り得るものであって、掴み易いカートンカバーを提供すること。
【解決手段】カートンの外面を覆うカートンカバーであって、開口を有する天面部、一対の長手側面部、及び一対の短手側面部で構成され、短手側面部14,15の下端に突出爪6を備え、短手側面部14,15の内面に内反し7を備えるカートンカバー10の提供による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体の収納箱であるカートンの外面を覆うカートンカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュは、脱脂性や吸水性に優れ、清潔感があり、安価で、利便性があることから、鼻をかむ、口元を拭く、化粧を落とす、食品を包む又は置く、埃を掃う、汚れを拭き取る等のあらゆる用途に使用されている。ティシュは、現代の生活に密着した、なくてはならないものとなっており、多くの家庭では、各部屋毎に、更には自動車内にも、常備されている。
【0003】
このようなティシュは、通常、厚紙で作られた直方体の箱(カートンともいう)に収納されて流通しており、そのカートンの外面には、その商品の出所や商品の機能を示す文字等が表現されている。この文字等は、販売者等と消費者とを結びつける上で重要な役割を果たすが、一方、消費者が購入した後には、必ずしも粋とはいえないそのデザインによって、配置場所の雰囲気にそぐわない場合がある。
【0004】
そこで、従来より、カートンカバーが販売され、消費者のニーズを満足させている。カートンカバーとしては、木やプラスチックや金属を使用したシンプルでモダンなものや、布を使用して花柄等をあしらい色彩を駆使した派手で鮮やかなもの、等が知られる。これらは、ティシュペーパーカートンをインテリア足り得るものとするために、居室の雰囲気に合致させ溶け込ませるように、その視覚性を改善することに重きをおいた製品である。
【0005】
又、紐や接着剤あるいはフック&ストリップ等によって、壁掛けないしは釣り掛けを可能にしたカートンカバーがある。このような機能性を高めたものは、ティシュを、キッチンや洗面室あるいは自動車内に設置する際に、重用されている。更には、抗菌能力や、芳香あるいは脱臭、防虫の能力を付加し、ティシュを置くことによって部屋の衛生を向上させ得る製品も存在する。
【0006】
カートンカバーにかかる技術の先行文献として、例えば特許文献1〜7を挙げることが出来る。特許文献1及び特許文献2に開示されたティシュペーパーボックス用カバーは、左右の短手側壁面部に係止爪を設けることによって、ボックスとカバーの一体性を高め、移動時にカバーからティシュペーパーボックスが外れないようにしたものである。特許文献3に開示されたティシュ製品ケースは、ティシュ製品を収納する収納部と、ティシュ製品を詰め替えるための収納部口と、ティシュを引き出すための取り出し孔と、を有することによって、無箱状のティシュ製品を繰り返し使用可能としたものである。特許文献4に開示されたティシュ箱用カバーは、カバーとして光触媒材料を用いることによって、消臭効果を発現させたものである。特許文献5に開示された詰替用ティシュボックスは、ティシュペーパー束の収容部と、ティシュペーパー束を収容部へ収容するための補充口と、ティシュペーパーの取出口と、を有し、更に補充用ティシュペーパーの包装袋の切断片取出口が形成されていることによって、ティシュペーパー束の乱れを防止しつつ簡単にティシュペーパー束を補充出来るものである。特許文献6に開示されたティシュボックス用カバーは、布素材のカバー本体と、凹凸状のティシュペーパー取り出すための引出口と、を備えることによって、枚数が少なくなってもティシュペーパーを引出口に保持され易くしたものである。特許文献7に開示されたティシュペーパーボックス用カバーは、前後の長手側壁面部を結合するための結合腕部及び結合腕受け部と、左右の短手側壁面部を折り込むと、を有することによって、容易に組み立て可能とした、少ない紙資源で得られるカバーである。
【0007】
【特許文献1】特開平10−234616号公報
【特許文献2】実用新案登録第3044459号公報
【特許文献3】特開2000−33978号公報
【特許文献4】実用新案登録第3074839号公報
【特許文献5】特開2001−340257号公報
【特許文献6】特開2004−115115号公報
【特許文献7】実用新案登録第3103546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情の中でなされたものであり、本発明の課題は、従来のカバーが課題としてこなかった、掴み易いカートンカバーを提供することにあり、本発明は、全く新たな手段によって、この課題を解決しようとするものである。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記課題が達成できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明によれば、カートンの外面を覆うカートンカバーであって、開口を有する天面部、一対の長手側面部、及び一対の短手側面部で構成され、その一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかの下端に、突出爪を備えるカートンカバーが提供される。
【0010】
天面部が有する開口は、カートンカバーで覆われるカートンの収容物を取り出すための取出口である。突出爪は、それが備わる長手側面部及び短手側面部の下端から、下方に突出する凸部である。一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち少なくとも何れか、であるから、一対の長手側面部及び一対の短手側面部の両方において、その下端に突出爪が備わっていてもよく、そのような態様は好ましい態様である。
【0011】
本発明に係るカートンカバーにおいては、突出爪が、長手側面部又は短手側面部毎に複数備わることが好ましい。勿論、長手側面部又は短手側面部毎に1つ備わっていてもよい。
【0012】
突出爪は、本発明に係るカートンカバーを置いたときに、置かれた場所(面)からカートンを浮かせる役割を果たすから、突出爪が、例えば長手側面部に備わる場合には、一対の長手側面部のそれぞれの同じ位置に備わることが好ましい。又、突出爪が、長手側面部又は短手側面部毎に複数備わる場合には、バランスよくカートンを浮かせるために、突出爪の形状・大きさは同一であることが好ましく、複数の突出爪を設ける位置は、長手側面部又は短手側面部の下端の長さ方向に間隔を均等にして配置されることが好ましい。
【0013】
本発明に係るカートンカバーにおいては、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも突出爪を備えるものが、その下側で内側に折り込まれた折込部と、外側に現れている外面部と、を備える複層構造を有し、折込部を伸ばし開き、折込部と外面部とで一平面を形成したときの、折込部と外面部との境界にあたる折曲線を跨いで、切込が形成され、折込部を折り込むことによって、切込が開いて、突出爪が形成されることが好ましい。
【0014】
その下側とは、通常の使用態様において、折込部を備えている長手側面部及び短手側面部の下側を指し、天面部とは反対の側である。内側とは、カートンカバーの、天面部、一対の長手側面部、及び一対の短手側面部で囲われた空間の側を指し、内面とは、その空間の側の面を指す。折込部は、内側に折り込まれた部分であるから、カートンカバーの内面を構成する。カートンカバーの外面部にかかる外面は、内面の反対側の面であって、外側で露になっている面である。複層構造とは、折込部が折り込まれることによって、外面部と併せて、2以上の層になることを表現したものである。
【0015】
本発明に係るカートンカバーにおいては、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかの内面に、天面部側に開いた、内反しを備えることが好ましい。
【0016】
内反し(うちかえし)とは、釣り針の先端に内側に逆向きについている反し(かえし)のようなものである。内反しは天面部側に開いており、換言すれば、天面部側とは反対の、長手側面部及び短手側面部の下端の側において、内反しの根元が長手側面部及び短手側面部に着いている。
【0017】
本発明に係るカートンカバーにおいては、内反しが、長手側面部又は短手側面部毎に1又は複数備わることが好ましい。
【0018】
本発明に係るカートンカバーにおいては、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも内反しを備えるものが、その下側で内側に折り込まれた折込部と、外側に現れている外面部と、を備える複層構造を有し、折込部に、切込が形成され、折込部を折り込むことによって、切込が開いて、内反しが形成されることが好ましい。
【0019】
折込部はカートンカバーの内面を構成するから、折込部の切込を開くことで形成される内反しは、カートンカバーの内面に備わることになる。
【0020】
本発明に係るカートンカバーにおいては、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかに、エンボス加工が施されていることが好ましい。
【0021】
少なくとも何れか、であるから、一対の長手側面部及び一対の短手側面部の両方にエンボス加工が施されていてもよく、天面部、一対の長手側面部のうちの一方、一対の短手側面部のうちの一方にエンボス加工が施されていてもよい。より好ましい態様は、一対の長手側面部及び一対の短手側面部の両方にエンボス加工が施されているものである。
【0022】
本明細書におけるエンボス加工とは、(カートンカバーの)表面に凹凸をつける加工のことをいう。エンボス加工は、カートンカバーが紙で形成される場合には、凹凸面を構成したキャビティを有する型を使用し、型押しすることによって行うことが出来る。これは、両面又は片面に押し罫を形成することに等しい。カートンカバーがプラスチック(ポリエチレンテレフタレート及び生分解性プラスチックを含む)で形成される場合には、成形の際に凹凸が形成されるような型を使用したり、紙と同様に成形後に型押ししてもよい。凹凸によって、文字、点字、絵柄、図形等を表すことが好ましい。
【0023】
本発明に係るカートンカバーにおいては、外面を覆う対象であるカートンが、家庭用薄葉紙を収納する箱であることが好ましい。
【0024】
本明細書において、家庭用薄葉紙とは、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙を総称する概念である。
【0025】
本発明に係るカートンカバーは、通常の使用態様において、カートンの外面を上から覆うカバーである。本明細書において、外面を覆う対象であるカートンとは、木材パルプ、古紙等を原料とする厚紙等の紙材料を主原料としてなる、収納物を収容する箱(収納箱)をいう。但し、収容物自体は、本発明を特定する事項ではない。好ましい態様として、カートンの上面に開口が形成されているものを挙げることが出来る。この場合、その開口は、収納物の取出口に該当するものである。本発明に係るカートンカバーにおいても、カートンの開口に合わせて、天面部に開口を形成すればよい。この態様において、カートンの開口及びカートンカバーの開口は連通するので、カートンの外面をカートンカバーで覆ったときに、容易にカートンの中から収容物を取り出すことが出来る。カートンカバーの天面部に設けた開口に、スリットを形成したウインドウフィルムを取り付けることも好ましい態様の1つである。
【0026】
本発明に係るカートンカバーにおいては、天面部が開口を有し、その開口を被覆するように配設されたウインドウフィルムを備え、そのウインドウフィルムにスリット(直線状の切れ目)が形成されていることが好ましい。
【0027】
本発明に係るカートンカバーは、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び生分解性プラスチックのうち、何れかの材料で形成されていることが好ましい。又、これら材料に、布、撥水性布、和紙等を貼り合せたものを用いてもよい。更に、表面に、樹脂(フッ素樹脂)、高分子化合物、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等をコーティングすることによって、耐水、耐油、撥水の機能を付加してもよい。
【0028】
紙としては、白板紙、色板紙、黄色紙、古紙利用のチップボール等の紙器用板紙を用いることが好ましい。生分解性プラスチックは、バクテリアをはじめとする微生物、あるいは酵素等の作用によって分解されるプラスチックである。例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール等を挙げることが出来る。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るカートンカバーは、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかの下端に、突出爪を備えているので、このカートンカバーでカートンを覆って置かれている状態で、カートンカバー自体も(突出爪を除き)が載置面から浮いており、カートンカバーを掴み易い。確実に掴めるため、カートンカバーを落とすことがなく、落として床面を傷つけてしまうといった問題は生じない。加えて、カートンからカートンカバーを外す際に、突出爪を引っ掛けてカートンカバーを開くことが出来るので、カートンカバーを外し易い。
【0030】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、突出爪が、長手側面部又は短手側面部毎に複数備わるので、安定して、(後述する内反しでカートンカバーに保持された)カートンを載置面から浮かすことが出来る。
【0031】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、切込を形成し、その切込を開くことによって、突出爪を形成しているので、突出爪を別部品として作製し、接着するといった手間を要さない。よって、製造工程を簡素にすることが出来、低廉に作製することが可能である。又、突出爪は、カートンカバー自体から突出したものであるので、外れるといった使用中の問題も回避出来る。加えて、突出爪がカートンカバーと一体化しているので、目障りにならず、意匠性に優れる。
【0032】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかの内面に、内反しを備えており、この内反しは天面部側に開いているので、天面部、一対の長手側面部、及び一対の短手側面部で構成されるカートンカバーでカートンの外面を上から覆うときに、容易に覆える。一方、覆った後に、カートンカバーはカートンから外れ難く、カートンカバーでカートンを保持することが可能である。これは、内反しが天面部側に開いていることから、覆うとき(カートンをカートンカバーに入れるとき)には、内反しの開きによる押圧がカートンにはたらき難く、滑らかに覆う(カートンをカートンカバーに入れる)ことが出来るのに対し、カートンカバーをカートンから外そうとすると、内反しの開きによる押圧がカートンにはたらくとともに、開いた内反しの先端がカートンの壁面に係合して、カートンからカートンカバーが外れるのを防ごうとする力がはたらくからである。即ち、内返しは、釣針の反しに類似する作用を発現するものである。
【0033】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、内反しが、長手側面部又は短手側面部毎に複数備わるので、1つの場合よりカートンからカートンカバーを外れにくくすることが出来る。又、内反しの数の調整によって、カートンからカートンカバーが外れるのを防ごうとする力を調節することが可能であり、使用中にはカートンからカートンカバーが全く外れず、使用後には少しの力で容易にカートンからカートンカバーを外すことが出来る態様を実現することが出来る。
【0034】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、切込を形成し、その切込を開くことによって内反しを形成しているので、内反しを別部品として作製し、接着するといった手間を要さない。よって、製造工程を簡素にすることが出来、低廉に作製することが可能である。又、内反しは、カートンカバー自体から突出したものであるので、外れるといった使用中の問題も回避出来る。加えて、内反しはカートンカバーの内側に隠れているので、目障りにならず、意匠性に優れる。
【0035】
尚、特許文献1に開示されている係合爪は、本発明に係るカートンカバーの内反しと同様の効果を得ようとするものであると考えられるが、展開図(特許文献1の図2を参照)から明らかなように、特許文献1にいう壁面部の下縁の全体が係合爪になっており、この点において、内反しが、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち少なくとも何れかの内面に、部分的に、1つ又は複数、備わる本発明に係るカートンカバーとは異なる。特許文献1に開示されている係合爪の態様では、下縁の全体が係合爪になっているので、ティシュペーパーボックスからティシュペーパーボックス用カバーが外れるのを防ごうとする力が強すぎて、外すのに大きな労力を要することになる。本発明に係るカートンカバーでは、内反しは、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち少なくとも何れかの内面に部分的に備わるものにすぎないので、使用中にはカートンからカートンカバーが外れず、使用後には少しの力でカートンからカートンカバーを外すことが可能である。
【0036】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び生分解性プラスチックのうち、何れかの材料で形成されているので、再利用が容易であり、廃棄物が低減され、環境負荷を軽減することが可能である。
【0037】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかに、エンボス加工が施されているので、このエンボスを視覚的な及び触覚的な目印として、カートンカバーを触る人の行為を誘導することが出来る。例えば、把持して欲しい場所(把持し易い場所)にエンボス加工を施しておけば、人間は本能的に、他と異なる表面状態の当該エンボス加工が施された部分を触ろうとするから、把持場所を固定することが可能となる。又、エンボスを点字とすれば、盲目者の情報伝達に役立つ。更には、エンボス加工された部分は、把持する際の滑り止め効果も発現する。加えて、紙製のカートンカバーの場合には、エンボス加工を施すことによって、紙が部分的に圧縮され、層間剥離の発生(切れや破れの発生)を抑制するとともに、構造体としてのカートンカバーの強度向上が図れ、潰れや坐屈の発生を抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0039】
図1〜図12は、本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図である。図1は、例えば白板紙からなる組立て式のカートンカバーを組み立てる前の展開図であり、カートンブランクを表した図である。図2は、図1に示されるカートンカバーの展開図の一部拡大図であり、展開した短手側面部15の拡大図である。図3は、上方からみたカートンカバーの斜視図であり、図4は、下方からみたカートンカバーの斜視図である。図5は、図4に示されるカートンカバーを下方から見た斜視図の一部拡大図であり、突出爪6と内反し7を表した図である。図6は、カートンカバーの平面図(上面図)であり、図7は、カートンカバーの底面図(下面図、実際には底面そのものは存在しない)である。図8は、図6におけるAA断面を示す断面(矢視)図であり、図9は、図6におけるBB断面を示す断面(矢視)図である。図10は、カートンカバーの正面図(長手側面を表した図、裏面も同じ)であり、図11は、カートンカバーの左側面図(短手側面を表した図、右も同じ)である。図12は、カートンがティシュペーパーカートン41である場合の、本発明に係るカートンカバーの使用状態を示す図であり、図9に相当する断面図である。
【0040】
図1〜図12に示されるカートンカバー10は、上面にティシュペーパーの取出口(開口)が形成されたティシュペーパーカートン41の外面を上から覆うものである(図12を参照)。このカートンカバー10は、ティシュペーパーカートン41の取出口に通じるように開口21が形成された天面部11、一対の長手側面部12,13、及び一対の短手側面部14,15で構成され、概ね直方体状を呈しており、(一例として)白板紙で形成されたものである。
【0041】
カートンカバー10では、長手側面部12は、その下側で(図8及び図9を参照)内側に折り込まれた折込部22と、外側に現れている外面部52と、を備えている(図6〜図9を参照)。同様に、長手側面部13は、その下側で内側に折り込まれた折込部23と、外側に現れている外面部53と、を備え、短手側面部14は、その下側で(図8及び図9を参照)内側に折り込まれた折込部24と、外側に現れている外面部54と、を備え、短手側面部15は、その下側で内側に折り込まれた折込部25と、外側に現れている外面部55と、を備え、それぞれ複層構造をなしている(図6〜図9を参照)。
【0042】
図1と図7及び図8を対比させることで理解されるように、長手側面部12の折込部22は、長手側面部12を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられる。そして、折込部22の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代32が備わる(図7を参照)。同様に、長手側面部13の折込部23は、長手側面部13を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、長手側面部13の折込部23の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代33が備わる(図4及び図7を参照)。
【0043】
又、図1と図7及び図9を対比させることで理解されるように、短手側面部14の折込部24は、短手側面部14を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、短手側面部14の折込部24の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代34が備わる(図7を参照)。短手側面部15の折込部25は、長手側面部15を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、短手側面部15の折込部25の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代35が備わる(図4及び図7を参照)。押さえ代34,35は、短手側であるので分割されていないが、上記した長手側の押さえ代32,33は、3つに分かれて形成されている。
【0044】
カートンカバー10は、短手側面部14,15のそれぞれの下端の中央部分に、各々1つの突出爪6を備えている。この突出爪6は、短手側面部14,15の下端から下方に突出する凸部であり、この突出爪6が備わることによって、カートンカバー10は、載置面から(突出爪6を除き)少し浮いて置かれるようになる。
【0045】
カートンカバー10の突出爪6は、カートンカバー10自体に切込を入れ、その切込を開いて形成したものである。具体的には、図1及び図2に示される展開したカートンブラックの状態(即ち、短手側面部15の折込部25を伸ばし開いて折込部25と外面部55とで一平面を形成した状態)において、短手側面部15の側では、折込部25と外面部55との境界にあたる折曲線61(押し罫)を跨いで、折込部25側から外面部55側へ突き出るような円弧状の切込17を形成しておく。そうすると、折込部25を折り込んだ際に、切込17が開くことによって、突出爪6が形成される。短手側面部14の側でも同様であり、短手側面部14の折込部24を伸ばし開いて折込部24と外面部54とで一平面を形成した状態において、折込部24と外面部54との境界にあたる折曲線61(押し罫)を跨いで、折込部24側から外面部54側へ突き出るような円弧状の切込17を形成しておく。そうすると、折込部24を折り込んだ際に、切込17が開くことによって、突出爪6が形成される。
【0046】
カートンカバー10は、短手側面部14,15のそれぞれの内面に、各々1つの内反し7を備えている。この内反し7は、カートンカバー10自体に切込を入れ、その切込を開いて形成したものである。具体的には、図1及び図2に示される展開したカートンブラックの状態において、短手側面部15の側において、折込部25に、切込17とは反対側(押さえ代35の側)を向いた円弧状の切込16を形成しておく。そうすると、折込部25を折り込んだ際に、切込16が少し開いて、内反し7が形成される。短手側面部14の側でも同様であり、カートンブラックの状態において、折込部24に、切込17とは反対側(押さえ代34の側)を向いた円弧状の切込16を形成しておく。そうすると、折込部24を折り込んだ際に、切込16が少し開いて、内反し7が形成される。
【0047】
切込16によって形成された内反し7は、天面部11の側に開いており、天面部11の側とは反対の、短手側面部14,15の下端の側において、内反し7は短手側面部14,15自体に着いている。この内反し7が備わることによって、カートンカバー10は、例えばティシュペーパーカートン41から外れ難くなり、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41を保持することが可能になる(図12を参照)。一方、内反し7は天面部11の側に開いているので、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41の外面を上から覆うときには、容易に行える。
【0048】
カートンカバー10の長手側面部12,13及び短手側面部14,15は、それぞれエンボス加工が施されたエンボス加工部を有する。長手側面部12,13のエンボス加工部42,43は凹みによって表されており、閉じた輪郭線の中に形成された、長手側面部における横方向(X軸方向)に向いた多数の平行線で構成されている(図1、図3、図10を参照)。短手側面部14,15のエンボス加工部44,45も凹みによって表されており、短手側面部における横方向(Y軸方向)に向いた多数の平行線で構成され、エンボス加工部44,45の一部は、天面部11にまで延長されている(図1、図3、図6、図11を参照)。
【0049】
カートンカバー10は、(一例として)以下の方法によって製造することが出来る。先ず、白板紙を用意し、これを所定形状に切断し、切込16,17を形成して、カートンブランクを得る(図1を参照)。このとき、併せて、長手側面部12,13に、切込50a,50b,50c,50dを形成した係合部51a,51b,51c,51dを設けておくとともに、押し型によって、折り曲げをするための折曲線(図1において破線で示された部分)を形成する。
【0050】
次いで、カートンブランクを折曲線に沿って折り曲げて組み立てていく。天面部11に対して、長手側面部12,13及び短手側面部14,15を、それぞれ折り曲げる。そして、長手側面部12から係合部51a,51bをそれぞれ折り曲げ、長手側面部13から係合部51c,51dをそれぞれ折り曲げた後に、切込50aと切込50cを嵌め合わせて係合部51aと係合部51cとを係合させ、同様にして、切込50bと切込50dを嵌め合わせて係合部51bと係合部51dとを係合させる。
【0051】
その後、既述のように、折込部を折り込む。即ち、長手側面部12,13に備わる折込部22,23をそれぞれ内側に折り込み、それぞれの押さえ代32,33によって天面部11を押圧する。同様にして、短手側面部14,15に備わる折込部24,25をそれぞれ内側に折り込み、それぞれの押さえ代34,35によって天面部11を押圧する。押さえ代32,33,34,35で天面部11の押圧をすることによって、折込部22,23,24,25が伸び開かないようになる。そして、既述のように、折込部24,25を折り込むことによって、突出爪6及び内反し7が形成される。以上によって、カートンカバー10を得ることが出来る。
【0052】
図12に示されるように、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41を覆った場合、ティシュペーパーカートン41の上面に備わるティシュペーパー40の取出口(開口)と、カートンカバー10の開口21(図12に併せて図6を参照)は重なって連通する。従って、ティシュペーパー40を、カートンカバー10で覆ったティシュペーパーカートン41の中から、カートンカバー10の外へ、取り出すことが可能である。そして、カートンカバー10の開口21に、スリットが形成されたウインドウフィルムを設けておけば、そのスリットによって、次に取り出されるべきティシュペーパー40を保持することが可能である。
【0053】
次に、図13〜図15は、本発明に係るカートンカバーの他の実施形態を示す図である。図13は、既述の(カートンカバー10における)図2に対応した図であり、カートンカバーの展開図の一部拡大図であって展開した短手側面部115の拡大図である。図14は、既述の(カートンカバー10における)図5に対応した図であり、カートンカバーを下方から見た斜視図の一部拡大図であって突出爪106と内反し107を表した図である。図15は、既述の(カートンカバー10における)図3の一部に対応した図であり、上方からみたカートンカバーの短手側面部114のみを表した斜視図である。
【0054】
図3と図15を比較して理解出来るように、突出爪106は、既述のカートンカバー10の突出爪6に比して大きい。この突出爪106は、突出爪6と同様に、短手側面部114,115を有するカートンカバーの当該短手側面部114,115の下端から下方に突出する凸部であり、突出爪106が備わることによって、カートンカバーは、載置面から(突出爪106を除き)少し浮いて置かれるようになる。
【0055】
突出爪106は、カートンカバー自体に切込を形成し、その切込を開いて形成したものである。具体的には、図13に示される展開したカートンブラックの状態(即ち、短手側面部115の折込部125を伸ばし開いて折込部125と外面部155とで一平面を形成した状態)において、短手側面部115の側では、折込部125と外面部155との境界にあたる折曲線161(押し罫)を跨いで、折込部125側から外面部155側へ突き出るような円弧状の切込117を形成しておく。そうすると、折込部125を折り込んだ際に、切込117が開くことによって、突出爪106が形成される。図13には示さない(反対側の)短手側面部114(図15を参照)の側でも同様である。
【0056】
内反し107は、カートンカバー自体に切抜116を入れ、その切抜116を形成する一辺が開くことによって形成されたものである。具体的には、図13に示される展開したカートンブラックの状態において、短手側面部115の側において、折込部125に、切込117とは反対側(押さえ代135の側)を向いた弓状の切抜116を形成しておく。そうすると、折込部125を折り込んだ際に、切抜116を形成する辺のうち(図13中の)左側の辺(双子山状の辺)が少し開いて、内反し107が形成される。図13には示さない(反対側の)短手側面部114(図15を参照)の側でも同様である。
【0057】
切抜116によって形成された内反し107は、既述のカートンカバー10の内反し7と同様に、天面部の側に開いており、天面部の側とは反対の、短手側面部114,115の下端の側において、内反し107は短手側面部114,115自体に着いている。この内反し107が備わることによって、カートンカバーは、例えばティシュペーパーカートンから外れ難くなり、カートンカバーでティシュペーパーカートンを保持することが可能になる。一方、内反し107は天面部の側に開いているので、カートンカバーでティシュペーパーカートンの外面を上から覆うときには、容易に行える。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係るカートンカバーは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等を収納するカートンの外面を覆って、居室の雰囲気に合致させ溶け込ませるようにカートンの視覚性を改善する等の役割を果たすカートンカバーとして、好適に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図2】図1に示されるカートンカバーの展開図の一部拡大図である。
【図3】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、上方からみたカートンカバーの斜視図である。
【図4】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、下方からみたカートンカバーの斜視図である。
【図5】図4に示されるカートンカバーを下方から見た斜視図の一部拡大図である。
【図6】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの平面図である。
【図7】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの底面図である。
【図8】図6におけるAA断面を示す断面(矢視)図である。
【図9】図6におけるBB断面を示す断面(矢視)図である。
【図10】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの正面図である。
【図11】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの左側面図である。
【図12】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、使用状態を示す断面図である。
【図13】本発明に係るカートンカバーの他の実施形態を示す図であり、カートンカバーの展開図の一部拡大図である。
【図14】本発明に係るカートンカバーの他の実施形態を示す図であり、カートンカバーを下方から見た斜視図の一部拡大図である。
【図15】本発明に係るカートンカバーの他の実施形態を示す図であり、上方からみたカートンカバーの一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
6,106 突出爪
7,107 内反し
10 カートンカバー
11 天面部
12,13 長手側面部
14,15,114,115 短手側面部
16 切込
17,117 切込
21 開口
22,23 (長手側面部の)折込部
24,25,125 (短手側面部の)折込部
32,33 (長手側面部の折込部の)押さえ代
34,35,135 (短手側面部の折込部の)押さえ代
40 ティシュペーパー
41 ティシュペーパーカートン
42,43 (長手側面部の)エンボス加工部
44,45 (短手側面部の)エンボス加工部
50a,50b,50c,50d 切込
51a,51b,51c,51d 係合部
52,53 (長手側面部の)外面部
54,55,155 (短手側面部の)外面部
61,161 折曲線
116 切抜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートンの外面を覆うカートンカバーであって、
開口を有する天面部、一対の長手側面部、及び一対の短手側面部で構成され、その一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかの下端に、突出爪を備えるカートンカバー。
【請求項2】
前記突出爪が、長手側面部又は短手側面部毎に複数備わる請求項1に記載のカートンカバー。
【請求項3】
前記一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも前記突出爪を備えるものが、その下側で内側に折り込まれた折込部と、外側に現れている外面部と、を備える複層構造を有し、
前記折込部を伸ばし開き、前記折込部と外面部とで一平面を形成したときの、前記折込部と外面部との境界にあたる折曲線を跨いで、切込が形成され、
前記折込部を折り込むことによって、前記切込が開いて、前記突出爪が形成される請求項1又は2に記載のカートンカバー。
【請求項4】
前記一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかの内面に、前記天面部側に開いた、内反しを備える請求項1〜3の何れか一項に記載のカートンカバー。
【請求項5】
前記内反しが、長手側面部又は短手側面部毎に1又は複数備わる請求項4に記載のカートンカバー。
【請求項6】
前記一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも前記内反しを備えるものが、その下側で内側に折り込まれた折込部と、外側に現れている外面部と、を備える複層構造を有し、
前記折込部に、切込が形成され、
前記折込部を折り込むことによって、前記切込が開いて、前記内反しが形成される請求項4又は5に記載のカートンカバー。
【請求項7】
前記一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかに、エンボス加工が施されている請求項1〜6の何れか一項に記載のカートンカバー。
【請求項8】
外面を覆う対象である前記カートンが、家庭用薄葉紙を収納する箱である請求項1〜7の何れか一項に記載のカートンカバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−207833(P2008−207833A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46189(P2007−46189)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】