説明

カードリーダ

【課題】 部品点数の削減と構造の簡素化を図ることができるカードリーダを提供する。
【解決手段】 カードリーダ1は、駆動源としてのモータ10の駆動力を受けて回転し、挿入口1aから挿入されたカード4を搬送する搬送ローラ9を備え、搬送ローラ9をカード4が搬送される搬送路5の挿入口1a側に配置するとともに、モータ10の駆動力をカードリーダ1の奥側に伝達する伝達手段としてのタイミングプーリ11、12及びタイミングベルト13を搬送路5内に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カードやICカードに対応するカードリーダに関し、さらに詳しくは、挿入口から挿入されたカードを駆動源の駆動力を受けて搬送するカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカードリーダにおいて、挿入口から挿入されたカードは、モータの駆動力を受けて駆動するローラやベルトなどによってカード搬送路内に取り込まれ、カードに対して情報の記録や再生などの適宜の処理が行われた後、上記のローラやベルトの駆動により挿入口から返却されるようになっている。
ローラやベルトなどを用いてカードを搬送する技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【0003】
特許文献1に示すカードリーダでは、図4(A)、(B)に示すように、カード挿入口103から磁気カード100が挿入されると、その磁気カード100は対向して配置されている駆動ローラ111a〜111cと従動ローラ111d〜111fとに挟持されてカード搬送路102内に搬送される。
駆動モータ108のモータ軸は、カード搬送路114内を構成する側板105から突出しており、モータ軸の先端部にはプーリが軸着されている。同様に、駆動軸110a〜110cは側板105から突出しており、駆動軸110a〜110cの先端部にはそれぞれプーリが軸着されている。モータ軸のプーリと各駆動軸110a〜110cのプーリとの間にはベルト109a、109bが張架されている。モータ108のモータ軸が回転するとプーリも回転し、この回転力がベルト109bを介して駆動軸110a〜110cに伝達されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−78133号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すカードリーダにおいて、モータなどの駆動源からの駆動力を搬送用及び排出用のベルトに適切に伝達するための複数のプーリやベルトなどがカードリーダの側板に突設されているので、カードリーダが大型化してしまうといった問題がある。
【0005】
さらに、カードがカード長よりも長い距離を走行する場合には、例えば、搬送路をカード長よりも短い区間に区切って、その区間ごとにローラ対を配置し、これらのローラ対を乗り継がせるようにすれば良いが、このような構成にするとローラの設置数や各ローラに駆動力を伝達するための部材(例えば、ギア、ベルトなど)の点数が増大してしまうといった問題が生じる。特に、カードに磁気ストライプやICチップなどが設けられている場合には、その磁気ストライプやICチップの位置、すなわち磁気ストライプに記録されている情報を読み取る磁気ヘッドやICチップに対して情報の読み取りや書き込みを行うIC接点の位置を回避するようにローラを設置しなければならないため、各ローラにモータの駆動力を伝達する機構が複雑化し、部品点数が増大してしまうばかりかカードリーダの組み立ても困難になってしまい、製造コストの低廉化の妨げになるといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、部品点数の削減と構造の簡素化を図ることができるカードリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明では、駆動源の駆動力を受けて回転し、挿入口から挿入されたカードを搬送する搬送ローラを備えたカードリーダにおいて、前記搬送ローラを前記カードが搬送される搬送路の前記挿入口側に配置するとともに、前記駆動源の駆動力を前記カードリーダの奥側に伝達する伝達手段を前記搬送路内に設けたことを特徴とする。
これにより、上記カードを搬送する搬送路内に、搬送ローラとともに、この搬送ローラを駆動する駆動源の駆動力を伝達する伝達手段を設けたので、カードリーダの小型化を図ることができる。
【0008】
また、本発明において、前記カードの磁気情報を読み取る磁気ヘッドを前記挿入口近傍に備え、前記搬送ローラは、前記磁気ヘッドの近傍で、且つ、前記搬送路の幅方向における略中央に配置されており、前記伝達手段は、前記搬送路の幅方向において前記搬送ローラを挟んで前記磁気ヘッドとは反対側に配置されていることが好ましい。
【0009】
これにより、上記カードを搬送する搬送ローラは、上記磁気ヘッドの近傍であって、かつ、上記搬送路の幅方向におけるほぼ中央に配置されているので、蛇行を生じることなくカードを搬送することができ、安定した磁気情報の読取りを行なうことができる。
また、上記伝達手段は、カード搬送には影響しない位置に配置することができる。
【0010】
さらに、前記伝達手段は、タイミングプーリとタイミングベルトからなり、前記搬送ローラの軸心と略平行な軸心を有する前記タイミングプーリが前記挿入口側と前記奥側とのそれぞれに対応した状態で前記カードの搬送方向に沿って並設されており、これらのタイミングプーリに前記タイミングベルトが張架されていることが好ましい。
これにより、伝達手段は、タイミングプーリとタイミングベルトを用いたので、伝達ロスを少なくでき、駆動源の駆動力を確実にカードリーダの奥側のタイミングプーリに伝達することができる。
さらに、カードリーダの挿入口側と奥側とに設けたタイミングプーリと、これら2つのプーリに掛け渡されたタイミングベルトで駆動力を伝達することができるので、部品点数を削減することができ、カードリーダの大型化を防止することができる。
【0011】
また、本発明において、前記挿入口側に対応しているタイミングプーリは前記搬送ローラと同軸上に配置されていることが好ましい。
これにより、搬送ローラ部とタイミングベルト部でのカード搬送速度差を低減できるため、安定したカード搬送と磁気情報の読取りを行なうことができる。
また、上記搬送ローラと上記タイミングプーリとを連結する連結部材が不要となるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
さらに、前記奥側に対応している前記タイミングプーリには、搬送中の前記カードを前記タイミングベルトに向けて押圧する押圧ローラが設けられていることが好ましい。
このように、奥側のタイミングプーリには、押圧ローラを設けたので、搬送されるカードをタイミングベルトと押圧ローラとの間で挟持ことができ、搬送することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、駆動源の駆動力を受けて回転し、挿入口から挿入されたカードを搬送する搬送ローラを備えたカードリーダにおいて、前記搬送ローラを前記カードが搬送される搬送路の前記挿入口側に配置するとともに、前記駆動源の駆動力を前記カードリーダの奥側に伝達する伝達手段を前記搬送路内に設けたことを特徴とする。
これにより、上記カードを搬送する搬送路内に、搬送ローラとともに、この搬送ローラを駆動する駆動源の駆動力を伝達する伝達手段を設けたので、カードリーダの小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2に本発明を適用したカードリーダの実施形態の一例を示す。図1は本発明に係るカードリーダの構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示すカードリーダの構成の1-1線断面図であり、図3は、図1に示すカードリーダの構成の2-2線断面図である。
【0016】
カードリーダ1には、図1、2、3に示すように、カード4を挿入する挿入口1aと、カード4が搬送される搬送路5と、カード4をカードリーダ1内から排出する排出口1bが構成されている。なお、排出口1bには、キャプチャーボックス(図示せず)が設けられており、たとえば、使用済みカードを他人に悪用されないように、カードリーダ1内で保持できるようになっている。
さらに、搬送路5内には、カード4上に記録されている磁気情報を読み取る磁気ヘッド8と、IC接点18を備えたIC接点ブロック16と、搬送ローラ9に駆動する駆動源としてのモータ10と、モータ10からの回転をカードリーダ1の挿入口1a側から奥側まで伝達する伝達手段と、挿入したカード4を搬送する搬送ローラ9と押圧ローラ14とが配置されている。
【0017】
本実施の形態において、図1及び図2に示すように、カードリーダ1は、本体ユニット2と、その上部に開閉自在に設けられた上部ユニット3とから構成されている。搬送路5は本体ユニット2、上部ユニット3、側板6、7によって囲まれて構成されている。
また、図2に示すように、上面5aと下面5bとで、搬送路5に挿入されるカード4の厚みを規制するとともに、曲がったカード4を強制するようにしている。
【0018】
本体ユニット2には、カード4の磁気ストライプ(不図示)に記録された磁気情報を読み取る磁気ヘッド8が設けられている。この磁気ヘッド8は、カード4に形成されている磁気ストライプの位置に対応するように、つまり、搬送路5において挿入口1a側で、側面5dに沿うように配置されており、さらに、読み取り面8aが下面5bに形成されている開口5eから搬送路5内に露呈されている。
【0019】
磁気ヘッド8の近傍には搬送ローラ9が配置され、挿入口1aから搬送路5に挿入されたカード4を搬送するようになっている。すなわち、搬送ローラ9は、搬送路5の幅方向において磁気ヘッド8と隣り合い、且つ、搬送路5の幅方向における略中央に配置されている。搬送ローラ9はゴムからなる略円柱状のローラ本体9aからなり、軸9bに固定され、一体的に回転するようになっている。
また、搬送ローラ9は、ローラ本体9aの外周面の一部が搬送路5の下面5bに形成されている開口5fから搬送路5内に突出するように下面5bの下方で側板7に回動自在に軸支されている。
さらに、搬送ローラ9の軸9bと上部ユニット3に設けられているモータ10の駆動軸とは複数のギア(ギア輪列)20を介して連結されており、搬送ローラ9はモータ10の駆動力を受けて回動する。
【0020】
搬送ローラ9に対向する位置には、押圧ローラ14が上部ユニット3の内部に設けられている。この押圧ローラ14は、ゴムからなる略円柱状のローラ本体14aからなっており、軸14bに回転自在に支持されている。
【0021】
押圧ローラ14は、その軸心が搬送ローラ9の軸心と略平行で、且つ、ローラ本体14aの外周面がローラ本体9aの外周面に対向するように配置されており、上部ユニット3に回動自在に軸支されている。ローラ本体14aの外周面とローラ本体9aの外周面との距離は、カード4の厚みよりも小さく設定されており、これにより挿入口1aから搬送路5に挿入されたカード4は、ローラ本体9aとローラ本体14aとで挟持されるようになっている。
【0022】
搬送ローラ9の近傍には、図1に示すように、伝達手段としてのタイミングプーリ11が配置されている。
この伝達手段は、モータ10の駆動力をカードリーダ1の奥側に伝達するものであり、本実施の形態では、挿入口1a側に配置されたタイミングプーリ11、奥側に配置されタイミングプーリ12、及びタイミングベルト13とからなっている。
これらタイミングプーリ11、12及びタイミングベルト13は、搬送路5の幅方向において搬送ローラ9を挟んで磁気ヘッド8とは反対側に配置されている。
タイミングプーリ11、12は、カード4の搬送方向に沿ってカード4のカード長よりも僅かに短い間隔を置いて並設されている。
また、本実施の形態では、タイミングプーリ11は、その軸が搬送ローラ9の軸9bと同軸上に配置されており、軸9bにビスや接着剤などで固着されている。
タイミングプーリ12は、タイミングプーリ11と同様の形状及び大きさを有している。また、タイミングプーリ12は、搬送ローラ9の軸心と略平行な軸心を有しており、カードリーダ1の奥側(搬送路5の下流部)である排出口1b近傍において下部ユニット2に回動自在に軸支されている。
【0023】
このように配設されたタイミングプーリ11、12にはタイミングベルト13が張架されている。タイミングベルト13に対応するように搬送路5の下面5bには開口5gが形成されており、この開口5gからタイミングベルト13の外周面の一部が搬送路5内に露呈されている。また、タイミングベルト13の外周面において、開口5gから搬送路5内に露呈されている露呈面13aは、搬送路5内に僅かに侵入している。
【0024】
さらに、挿入口1a側のタイミングプーリ11において、タイミングベルト13の露呈面13aは、搬送ローラ9がカード4と接触する接触面9cよりも、露呈面13aに略直交する方向で搬送路5と同等か、僅かに退避している。
換言すれば、タイミングプーリ11に張架され、搬送路5に突出するタイミングベルト13の背面の位置は、搬送ローラ9の外形の突出量とほぼ同等かそれ以下の位置になるようにしている。
このため、搬送ローラ9及び押圧ローラ14とで挟持されたカード4は、タイミングベルト13の影響を大きく受けることなく、搬送路5内を搬送することができるようになっている。
以上のように、タイミングベルト13は、カードリーダ1の挿入口1a側と奥側(搬送路5の上流部と下流部)とを掛け渡し、搬送ローラ9からタイミングプーリ11を介して伝達される回転力が、タイミングベルト13によりカードリーダ1の奥側に配置されたタイミングプーリ12に確実に伝達されるようになっている。
【0025】
さらに、本実施の形態では、搬送路5に突出するタイミングベルト13の背面の位置は、搬送ローラ9の外形の突出量とほぼ同等としている。このため、搬送ローラ9の搬送速度と、タイミングプーリ11上のタイミングベルト13の背面の位置での搬送速度とはほぼ同じとなる。そのため、カード4を安定して搬送することができるとともに、磁気ヘッド8との磁気情報の読み取り等に悪影響を与えるようなこともない。
【0026】
挿入口1a側に配置されたタイミングプーリ11には、対向する位置に押圧ローラが設けられていないので、タイミングプーリ11はタイミングベルト13を介して挿入されたカード4を挟持することができないようになっている。
その一方で、奥側に配置されたタイミングプーリ12には、対向する位置に押圧ローラ15が設けられている。押圧ローラ15は、ゴムからなる略円柱状のローラ本体15aからなり、軸15bに回転自在に支持されている。
この押圧ローラ15は、その軸心が搬送ローラ9の軸心と略平行で、且つ、ローラ本体15aの外周面がタイミングベルト13を介してタイミングプーリ12の外周面に対向するように配置されており、側板6に回動自在に軸支されている。
また、ローラ本体15aの外周面はタイミングベルト13に当接しており、これによりカード4はローラ本体15aとタイミングベルト13とで挟持されるようになっている。
すなわち、搬送路5の奥側に搬送されたカード4は、押圧ローラ15とタイミングベルト13との間で挟持されて、排出口1b側に搬送可能となっている。
【0027】
搬送ローラ9に回転させる駆動源としてのモータ10が、図1に示すように、挿入口1aと搬送ローラ9及び押圧ローラ14との間で搬送路5の上部ユニット3内に収納されている。
さらに、モータ10の駆動軸には、複数のギア20を介して連結されており、搬送ローラ9はモータ10の駆動力を受けて回動するようにしている。
【0028】
さらに、本実施の形態では、上部ユニット3の内部にはカード4に搭載されているICチップ(図示省略)に対して電気的処理、すなわち、情報の読み出しや書き込みを行うIC接点ブロック16が設けられている。IC接点ブロック16は、略L字状の支持部材17と、導電性のバネ材からなる複数のIC接点18と、支持部材17の奥側短部に形成された度当り部17aとから主な構成となっている。
IC接点ブロック16は、二組のリンク機構19により、搬送されるカード5に接近離反するように回動可能となっている。
度当り部17aは、その先端が搬送路5に突出しており、カード4の先端と当接可能となっている。カード4と当接した後は、カード4の奥側への搬送とともに、IC接点ブロック16が搬送路5に接近するように設けられている。(図2において点線部分参照。)
また、カード4を排出口1bから排出する際、このIC接点ブロック16は、図示していないが、度当り部17aの先端が、カード4の搬送の邪魔にならない程度、搬送路5から離反するようになっている。
なお、IC接点ブロック16の構成及び動作は周知であるので、ここでの詳細は説明は省略する。
【0029】
次に、上記構成による動作について説明する。
先ず、カード4が挿入口1aから挿入され、挿入口1a近傍のフォトセンサによってカード4が検知されると、カード4をカードリーダ1内に搬送する方向(図1においてA方向)に、モータ10及び搬送ローラ9が回転を開始する。
挿入口1aから挿入されたカード4の先端がローラ本体9aの外周面とローラ本体14aの外周面との間に差し込まれると、カード4は搬送ローラ9の回転力を受けて搬送路5内に取り込まれる。
カード4は、搬送ローラ9と押圧ローラ14との間で挟持されながら、搬送路5を搬送されている間に磁気ヘッド5によって磁気ストライプ上に記録されている磁気情報が読み取られる。
カード4が搬送ローラ9のA方向の回転力によってさらに搬送路5の奥側に搬送されると、やがてカード4の先端がIC接点ブロック16の度当り部17aを押圧する。
カード4の先端が度当り部17aをさらに奥側押圧すると、IC接点ブロック16はリンク機構により図中反時計周り方向に回転し、IC接点18がカード4のICチップの入出力部に当接する。
これによりIC接点ブロック16によってICチップに格納されている情報が読み取られる。または、情報が更新される。
所定の処理が行われた後、カード4を挿入口1a側に搬送する方向(図1においてB方向)に、モータ10及び搬送ローラ9が回転する。
なお、上述した動作は周知のものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
次に、磁気ヘッド5によって読み取られた磁気情報とIC接点ブロック16によって読み取られた情報とに基づいてカード4が使用済みカードとして識別された場合について説明する。
この場合には、カード4は、挿入口1aから排出されず、カードリーダ1の奥側に設けられた排出口1bから排出される。
そこで、カード4が使用済みカードであると識別されると、モータ10及び搬送ローラ9はA方向に回転する。
このとき、搬送ローラ9のローラ本体9aが支持されている軸9bには、伝達手段のタイミングプーリ11が固定されているので、同じ方向に回転する。そのため、タイミングプーリ11に係合しているタイミングベルト13を介して、その回転は奥側に配置されているタイミングプーリ12に回転が伝達される。
搬送ローラ9と押圧ローラ14との間に挟持されながら搬送路5上を搬送されているカード4の先端は、タイミングベルト13を介してタイミングプーリ12と押圧ローラ15との間に差し込まれる。
搬送ローラ9の回転がさらに進むと、カード4は、その後端は搬送ローラ9と押圧ローラ14との挟持から離れるが、カード4の先端がタイミングプーリ12と押圧ローラ15との間に挟持されながら、さらにカードリーダ1の奥側に搬送される。
その後、搬送ローラ9の回転がさらに進むと、やがてカード4は排出口1bからキャプチャーボックスに排出される。
なお、カード4を排出口1bから排出する際、IC接点ブロック16はその度当り部17aの先端がカード4の搬送を邪魔しないように搬送路5からさらに離反する。
【0031】
(本実施の形態の主な効果)
本実施の形態では、カードリーダ1は、モータ10の駆動力を受けて回転し、挿入口1aから挿入されたカード4を搬送する搬送ローラ9及び押圧ローラ14を備えており、この搬送ローラ9及び押圧ローラ14をカード4が搬送される搬送路5の挿入口1a側に配置するとともに、モータ10の駆動力をカードリーダ1の奥側に伝達する伝達手段としてのタイミングプーリ11,12とタイミングベルト13を搬送路5内に設けている。これにより、カード4を搬送する搬送路5内に、タイミングプーリ11、12及びタイミングベルト13を配置したので、カードリーダ1を小型化することができる。さらに、これらタイミングプーリ11、12及びタイミングベルト13によって、この搬送ローラ9を駆動するモータ10の駆動力をカードリーダ1の奥側に伝達することができる。
【0032】
また、カードリーダ1は、カード4を搬送する搬送ローラ9及び押圧ローラ14は、磁気ヘッド8の近傍であって、かつ、搬送路5の幅方向におけるほぼ中央に配置されているので、搬送速度を一定にでき、安定した磁気情報の読み取り等がおこなうことができる。
【0033】
さらに、カード4を搬送する搬送ローラ9は、磁気ヘッド8の近傍であって、かつ、搬送路5の幅方向におけるほぼ中央に配置されているので、蛇行を生じることなくカード4を搬送することができ、安定した磁気情報の読取りが行なうことができる。
また、伝達手段は、カード搬送には影響しない位置に配置することができる。
【0034】
また、カードリーダ1において、挿入口1a側に対応しているタイミングプーリ11は搬送ローラ9と同軸上に配置されているので、搬送ローラ9とタイミングベルト13でのカード搬送速度差を低減できるため、安定したカード搬送と磁気情報の読取りが行なうことができる。
また、搬送ローラ9とタイミングプーリ11とを連結する連結部材が不要となるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0035】
さらに、奥側に対応しているタイミングプーリ12には、搬送中のカード4をタイミングベルト13に向けて押圧する押圧ローラ15が設けられているので、搬送されるカード4をタイミングベルト13を介してタイミングプーリ12と押圧ローラ15との間で挟持ことができ、カード4を搬送することができる。
【0036】
さらに、タイミングベルト13の露呈面13aを、搬送ローラ9の接触面9cよりも露呈面13aに略直交する方向で搬送路5と同等か退避させるようにしたので、搬送ローラ9の回転力がカード4の搬送に寄与しているときにタイミングベルト13の駆動力がカード4に対して与える影響を小さくすることができ、磁気ヘッド8による磁気情報の読み取り、あるいは磁気ヘッド8のカード4に対しての書き込みを安定して行うことができる。
【0037】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、伝達手段は、タイミングプーリ11、12及びタイミングベルト13に限定されるものではなく、これ以外の伝達手段であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、タイミングプーリ11と搬送ローラ9とを同軸上に配置したが、必ずしも同軸上に配置する必要はなく、タイミングプーリ11の軸心と搬送ローラ9の軸心とが略平行に配置されていれば良く、この場合、タイミングプーリ11の軸と搬送ローラ9の軸9bとをギアなどの連結部材を介して連結して、搬送ローラ9の回転力をタイミングプーリ11に伝達するようにすれば良い。なお、搬送ローラ9の軸9bとタイミングプーリ11の軸との距離はできるだけ短く設定することが好ましい。
これにより搬送ローラ9の回転力をタイミングプーリ11に伝達する機構の小型化を図ることができる。
【0039】
上記実施形態では、タイミングプーリ11を搬送ローラ9の軸9bに固着し、タイミングプーリ11の回転と搬送ローラ9の回転とが同期するようにしたが、搬送ローラ9の回転周期とタイミングプーリ11の回転周期とが異なるように設定しても良い。
この場合、搬送ローラ9の回転力を互いに歯数の異なる複数のギアを介してタイミングプーリ11に伝達すれば良い。
【0040】
上記実施形態では、タイミングプーリ11とタイミングプーリ12との間隔がカード長よりも短くなるように設定されているが、タイミングプーリ11とタイミングプーリ12との間隔をカード長よりも長く設定し、カード4の搬送距離を伸ばしても良い。
この場合、カード長よりも短い区間ごとにタイミングベルト13の露呈面13aに対向するように押圧ローラを設ければ良い。
さらに、タイミングベルト13の内周面にローラを宛がってタイミングベルト13の張力を高めることが好ましい。
【0041】
また、排出口1bから排出されるカード4を使用済みカードとしたが、これに限ることなく、挿入口1aから排出させたくないカードや、カードユーザがカードを取り忘れた場合の回収手段であってもよい。
さらに、排出口1b側にカード発行装置を設け、新しいカードを排出口1bからカードリーダ1内に挿入するようにしてもよい。
【0042】
上記実施形態では、磁気ヘッド8とIC接点ブロック16の両方が搭載されたカードリーダ1を採用しているが、磁気ヘッド8とIC接点ブロック16とのいずれか一方のみが搭載されたカードリーダであっても良く、カードを搬送する機能を有するカードリーダであれば本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るカードリーダの構成を示す平面図である。
【図2】図1に示すカードリーダの構成の1-1から見た断面図である。
【図3】図1に示すカードリーダの構成の2-2から見た断面図である。
【図4】従来のカードリーダの構成を示すものであり、(A)は平面断面図であり、(B)は縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 カードリーダ
1a 挿入口
4 カード
5 搬送路
8 磁気ヘッド
9 搬送ローラ
10 モータ
11、12 タイミングプーリ
13 タイミングベルト
14、15 押圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の駆動力を受けて回転し、挿入口から挿入されたカードを搬送する搬送ローラを備えたカードリーダにおいて、
前記搬送ローラを前記カードが搬送される搬送路の前記挿入口側に配置するとともに、前記駆動源の駆動力を前記カードリーダの奥側に伝達する伝達手段を前記搬送路内に設けたことを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記カードの磁気情報を読み取る磁気ヘッドを前記挿入口近傍に備え、
前記搬送ローラは、前記磁気ヘッドの近傍で、且つ、前記搬送路の幅方向における略中央に配置されており、前記伝達手段は、前記搬送路の幅方向において前記搬送ローラを挟んで前記磁気ヘッドとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記伝達手段は、タイミングプーリとタイミングベルトからなり、前記搬送ローラの軸心と略平行な軸心を有する前記タイミングプーリが前記挿入口側と前記奥側とのそれぞれに対応した状態で前記カードの搬送方向に沿って並設されており、これらのタイミングプーリに前記タイミングベルトが張架されていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記挿入口側に対応している前記タイミングプーリは前記搬送ローラと同軸上に配置されていることを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記奥側に対応している前記タイミングプーリには、搬送中の前記カードを前記タイミングベルトに向けて押圧する押圧ローラが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のカードリーダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−47880(P2007−47880A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228751(P2005−228751)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】