説明

カードリーダ

【課題】ICカードを用いた認証システムを導入する際、カードリーダは1ドアに使用する数が多いため、電源・通信線を接続する作業が煩雑で工期が長くなる。この問題を解決して、設置工事に要する工期を短縮する。
【解決手段】カードリーダ200に、カードリーダ200において消費される電力をICカードから受電する電力受容装置210を備える。さらに、ICカードから受信したカード情報をコントローラの通信装置に無線で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード情報を読み取るカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、携帯電話などの情報端末の利用や建造物への出入りなど、秘匿性のある情報に接触する際のセキュリティについて関心が高まっている。情報へのアクセスを許可された者であるかどうかを認証する手段として、カードに埋め込まれた磁気ストライプやICチップ、利用者が記憶しているパスワード、利用者の身体的特徴を利用した生体認証などがある。その中でもICカードを使用した認証システムが代表的であり、大量のICカードデータを管理・処理しユーザの操作性を高める為、サーバを用いた認証システムも利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、認証システムではないがICカードを携帯電話の充電に活用できる方法が提案され、ICカードの用途も拡大している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−242793号公報
【特許文献2】特表2009−512005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ICカードを用いた認証システムなどのシステム導入時に、カードリーダのような端末は1ドアに1個〜2個使用するため数が多く、電源・通信線は壁内部を通して接続するため煩雑な作業となり、長い工期日程が必要である。
【0006】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、設置工事に要する工期を短縮し、ICカードを用いたシステムの導入を容易ならしめるカードリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によるカードリーダにおいては、カードリーダにおいて消費される電力をICカードから受電する電力受容装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
カードリーダの電源をICカードから供給することで、電源線が不要になり、煩雑な配線工事を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る認証システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】ICカードの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】カードリーダの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】コントローラの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】ドア錠の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】カードの接触からドアが解錠されるまでの処理フローを示す図である。
【図7】ICカードの外観構成例(表)を示す図である。
【図8】ICカードの外観構成例(裏)を示す図である。
【図9】カードリーダの外観構成例(表)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る認証システムの全体構成を模式的に示すブロック構成図である。
【0011】
コントローラ監視装置600とコントローラ300がネットワーク500を介して接続されており、コントローラ300にはドア錠400が有線で接続されている。又、コントローラ300とカードリーダ200は無線で通信を行うため、カードリーダ200との通信線が不要となる。コントローラ監視装置600はコントローラ300の設定情報(ID番号や通行可能なエリアの情報)を参照・変更する機能を保有し、コントローラ監視装置600を用いてコントローラ300にカード情報(ID番号や有効期限)の設定を行う。
【0012】
カードリーダ200はICカード100のカード情報を読み取る機能と、コントローラ300にカード情報を送信する機能を保有する。又、カードリーダ200は、ICカード100から電力を受容する機能も保有することで、コントローラ300からの電源線が不要となる。さらにカードリーダ200は、ICカード100との接触により起動し、認証動作後カードリーダ200の電源を遮断する機能を保有することで、次回起動までの待機電力が不要となる。
【0013】
コントローラ300はカードリーダ200が送信したカード情報とコントローラ内部の記録装置に登録された情報を照合・認証する機能と認証結果に応じてドア錠400に解錠・施錠の動作を命令する機能を保有する。ドア錠400は、コントローラ300の命令を受信し、ドア錠400の解錠/施錠操作機能を保有する。なお、ドア錠400としては、例えば、電気錠を適用できる。
【0014】
図2はICカード100の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0015】
ICカード100は、外部にソーラ・パネル110と電力伝達装置120を保有し、内部に蓄電装置130,通信装置140,処理装置150および記録装置160を保有する。ソーラ・パネル110は蓄電装置130に生成した電力を伝送する発電装置としての機能を保有する。電力伝達装置120は、蓄電装置130の電力を後述する電力受容装置210に出力する機能と、電力受容装置210に接触したことを蓄電装置130に通達する機能を保有する。蓄電装置130は、ソーラ・パネル110で生成された電力を蓄電する機能と、電力伝達装置120から接触情報を受信し、通信装置140,処理装置150,記録装置160に電力を伝送する機能を保有する。通信装置140は、処理装置150からカード情報を受信し、後述する認証装置250に送信する機能を保有する。処理装置150は記録装置160に記録されているカード情報を通信装置140に伝送する機能を保有する。記録装置160は書き込みの機能と書き込まれた情報を保持する機能を保有する。
【0016】
なお、発電装置としては、ソーラ・パネルのはか、カード携帯者の歩行などによりカードに与えられた振動を電力に変換する振動発電装置などの他の手段を用いても良い。
【0017】
図3はカードリーダの一構成例を示す機能ブロック図である。カードリーダ200は、筐体の外部に電力受容装置210と認証装置250を保有し、内部に通信装置220,処理装置230,記録装置240を保有する。電力受容装置210は、ICカード100の電力伝達装置120が接触することで蓄電装置130の電力を受電し、通信装置220,処理装置230,記録装置240および認証装置250に受電した電力を供給する。記録装置240はカードリーダ200の固有アドレスと、後述するコントローラ300の固有アドレスを保有している。認証装置250はICカード100の通信装置140からカード情報を通信アンテナで受信する機能を保有する。通信装置220は後述する通信装置320にカード情報を無線で送信する機能を保有する。処理装置230は、認証装置250が読み取ったカード情報を記録装置240が持つコントローラ300のアドレスに送信するよう通信装置220に指令する機能を保有する。
【0018】
図4はコントローラの一構成例を示す機能ブロック図である。
【0019】
コントローラ300は、外部に通信装置320を保有し、筐体の内部に処理装置310と記録装置330を保有する。通信装置320はカードリーダ200の通信装置220と無線で通信すると共にドア錠400の通信装置420と有線で通信する機能を保有する。記録装置330はカード情報と認証情報を保有している。処理装置310は、通信装置320からカード情報を受け取り、記録装置330のカード情報と認証情報を照合し、照合結果によって通信装置320にドア錠400の開閉命令を出力する機能を保有する。
【0020】
図5はドア錠の一構成例を示す機能ブロック図である。ドア錠400は、筐体の外部に通信装置420を保有し、筐体の内部に処理装置410,記録装置430およびドア錠解錠/施錠装置440を保有する。通信装置420は、コントローラ300の通信装置320と通信する機能を保有する。処理装置410は通信装置420から受け取った開閉命令によりドア錠解錠/施錠装置440を動作させる機能を保有する。ドア錠解錠/施錠装置440はドアの施解錠を行う機能を保有する。
【0021】
図6は、図1の認証システムにおけるカードの接触からドアが解錠されるまでの処理フローを示す図である。
【0022】
ICカード100をカードリーダ200に接触させ、電力をカードリーダ200に伝送する(Sl00〜S101)。ICカード100からの電力で電力受容装置210からカードリーダ200の各装置(220〜250)に電力を供給し、動作可能の状態にする(S102)。ICカード100はカードリーダ200が動作可能の状態になった際、出力する信号を通信装置140にて受信すると、カードの情報をカードリーダ200に送信する(S103)。カードリーダ200はカード情報を受け取り(Sl04)、コントローラ300にカード情報を送信する(Sl05)。コントローラ300はカード情報を受信し、内部に持つカード情報と照合し、認証可否を判断する(Sl06〜S108)。認証に成功した場合、ドア錠400に解錠命令を送信する。認証に失敗した場合、ドア錠400に解錠命令を送信しない(Sl09〜S110)。カードリーダ200はカード情報をコントローラ300に送信すると、各装置(220〜250)への電力供給を停止し、使用停止状態にする(Slll)。ステップSlllにより、カードリーダ200は、認証時以外に電力を消費せず、待機電力を消費しない。
【0023】
図7はICカードの外観構成例(表)を示す図である。ICカード100の表の面には、ソーラ・パネル110の受光面が露出している。
【0024】
図8はICカードの外観構成例(裏)を示す図である。ICカード100の裏の面には、その表面に露出した導体(金属)部を有する接点(端子)で構成され、ICカード内において蓄電装置130に配線される電力伝達装置120が設けられる。
【0025】
図9はカードリーダの外観構成例(表)を示す図である。カードリーダ200において、カード認証時にICカード100が接触あるいは近接される箇所には、表面に露出した導体(金属)部を有する接点(端子)によって構成される電力受容装置210が設けられる。認証時に、電力伝達装置120の接点と電力受容装置210の接点とが接触することにより、ソーラ・パネル110で発生して蓄電装置130に蓄電された電力がカードリーダ200に伝送される。
【0026】
上述した実施形態によれば、カードリーダが使用する電力がICカードから供給されるので、電源線の配線が不要となり、カードリーダの設置工事が容易になる。また、カードリーダが読み取ったカード情報が無線で送信されるので、カードリーダにおける通信線の配線も不要となり、さらに設置工事が容易になる。また、カードリーダは、カード認証時に起動されると共に、カード情報を外部へ送信すると、カードリーダ内への電力供給を遮断するので、待機電力が消費されないかあるいは大幅に低減される。これらにより、認証システムを導入しやすくなる。
【0027】
なお、上述した実施形態に限らず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の実施形態が可能である。例えば、ICカードからのカード情報の読み取りは接触型あるいは非接触型のどちらでも良い。また、ICカード内の回路を動作させるための電力は、カード内の蓄電装置から供給しても良いし、カードリーダから非接触で給電しても良い。
【符号の説明】
【0028】
100 ICカード
110 ソーラ・パネル
120 電力伝達装置
130 蓄電装置
140 通信装置
150 処理装置
160 記録装置
200 カードリーダ
210 電力受容装置
220 通信装置
230 処理装置
240 記録装置
250 認証装置
300 コントローラ
310 処理装置
320 通信装置
330 記録装置
400 ドア錠
410 処理装置
420 通信装置
430 記録装置
440 ドア錠解錠/施錠装置
500 ネットワーク
600 コントローラ監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードに記録されたカード情報を読み取るカードリーダにおいて、
前記カードリーダにおいて消費される電力を前記ICカードから受電する電力受容装置を備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカードリーダにおいて、前記ICカードから受電した前記電力によって動作し、前記ICカードから読み取った前記カード情報を無線通信により外部へ送信する通信装置を備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカードリーダにおいて、前記ICカードからの電力供給で起動することを特徴とするカードリーダ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの1項に記載のカードリーダにおいて、前記カード情報を送信後、カードリーダ内への電力供給を遮断することを特徴とするカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−253382(P2011−253382A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127172(P2010−127172)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】