説明

カード付き帳票、及びその製造方法

【課題】 インクジェット又はレーザプリンタで印字できて生産性が高く、印字の耐擦性などの高耐久性のカードであカード付き帳票、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 帳票用紙101の少なくとも一方の面に、疑似接着層13を介して、剥離可能かつ表面にプリンター印字可能な第一印字領域41を有する印字カード11と、帳票用紙101の表面にプリンター印字可能な第二印字領域43を有するカード付き帳票において、前記第一印字領域41へ印字する第一印字部31と前記第二印字領域43へ印字する第二印字部33とは同じ面側に設けられ、かつ、同じプリンタで同時に印字され、前記印字カード11の表面の全面を覆うように接着剤層23を介して、透明なカード状保護材21を貼り合せたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード付き帳票、及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、プリンタで印字でき該印字部の耐擦性に優れる意匠性のカードを有するカード付き申し込み用紙、保険証カード付き帳票、会員カード付き帳票、展示会招待カード付き帳票、診察カード付き帳票、ポイントカード付き帳票、クレジットカードが発行されるまでの間に使用する仮カード付き申込書などのカード付き帳票、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「PBT」は「ポリブチレンテレフタレート」、「PE」は「ポリエチレン」、「PP」は「ポリプロピレン」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)従来、保険証カード、ポイントカード、クレジットカード、銀行カード、会員カード等のカードを使用者に郵送するに際しては、帳票にカードを剥離可能に貼着してなる所謂カード付き帳票が広く利用されている。即ち、連続又は単片の帳票用紙に情報印字欄を残してカードを貼着しておき、ノンインパクトプリンタによって帳票上の情報印字欄に使用者の住所、氏名等の固有情報を出力すると同時に、該固有情報に対応した固有情報をカード表面の所定位置にも出力するもので、帳票用紙は送付台紙又は控片として使用されている。そして、通常の場合、この種のカードは大量に発行することから、レーザープリンタの如き高速プリンタを用いて帳票用紙とカード表面に同時に印字処理するようにしている。しかしながら、印字面が最表面に露出しているため耐擦性が低いという欠点があった。また、厚いカードはカード単体で印字する必要があり、ノンインパクトプリンタで印字した場合は生産性が低く、高コストになるが、高速で印字できるインクジェット又はレーザプリンタなどでの印字は比較的厚みの薄いカードしか対応できないという問題点があった。さらに、剥離後に用いる薄いカードでは使い勝手が悪く、意匠性にも制約があるという欠点があった。
従って、カード付き帳票のカードは、高意匠性で、印字の耐擦性などの高耐久性が求められ、しかも高速で、可変情報を印字できるインクジェットプリンタ又はレーザプリンタなどで印字できて、生産性が高く、低コストであることも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−169882号公報
【特許文献2】特開2010−23299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術)従来、プラスチックフィルム又は紙などによるカード素材及び該カード素材に接着された第1のプラスチックフィルムで形成されるカード部材、第2のプラスチックフィルムが接着されたプリンタ用紙とを具備したカード台紙が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、保護枠を別途設けなければならず、生産性が低く、高コストであり、さらに、印字面が最表面にあるので、印字の耐擦性が低く耐久性に欠けるという欠点がある。
また、台紙20の表面に設けた接着層21とカード基材30の裏面に設けた剥離層31とを疑似接着し、カード基材30の表面を被覆したフィルムラベル40を台紙20の表面に貼り合わせ、フィルムラベル40の表面からカード基材30を貫通するハーフカット51でカード50を型抜きするようにしたカード付き帳票が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、カードと帳票の印字は別々で、印字工程が2倍の2工程もかかるのに加えて、カードと帳票とのマッチング(照合)する工程も要し、生産性が低く、高コストであるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、高意匠性で、使用時のカードは印字の耐擦性など高耐久性を有し、しかもインクジェットプリンタ又はレーザプリンタなどの高速プリンタで印字することができ、生産性が高く、低コストであるカード付き帳票、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わるカード付き帳票は、帳票用紙の少なくとも一方の面に、疑似接着層を介して、剥離可能かつ表面にプリンター印字可能な第一印字領域を有する印字カードと、帳票用紙の表面にプリンター印字可能な第二印字領域を有するカード付き帳票において、前記第一印字領域へ印字する第一印字部と前記第二印字領域へ印字する第二印字部とは同じ面側に設けられ、かつ、同じプリンタで同時に印字され、前記印字カードの表面の全面を覆うように接着剤層を介して、透明なカード状保護材を貼り合せたことを特徴とするカード付き帳票である。
請求項2の発明に係わるカード付き帳票は、前記カード状保護材の厚さが100〜1000μmの透明プラスチック基材からなることを特徴とする請求項1記載のカード付き帳票である。
請求項3の発明に係わるカード付き帳票は、前記印字カードの厚さが25〜75μmのプラスチック基材からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載のカード付き帳票である。
請求項4の発明に係わるカード付き帳票は、前記第一印字部と前記第二印字部がインクジェットプリンタ又はレーザプリンタで印字された印字部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード付き帳票である。
請求項5の発明に係わるカード付き帳票の製造方法は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカード付き帳票の製造方法であって、(1)前記透明プラスチック基材を打ち抜いてカード状にするカード状保護材準備工程と、(2)前記カード付き帳票へ前記第二印字部を印字する第二印字領域を設け、前記印字カードへ前記第一印字部を印字する第一印字領域を設け、前記印字カードを前記カード付き帳票の第二印字領域以外のカード領域へ剥離可能に疑似接着させて、カード付き帳票を準備するカード付き帳票準備工程と、(3)インクジェットプリンタ又はレーザプリンタで、前記第二印字領域へ第二印字部を、第一印字領域へ第一印字部を、それぞれ同時に印字する印字工程と、(4)前記印字カードの表面全面を覆うように、前記カード状保護材を貼合する貼合工程と、からなることを特徴とするカード付き帳票の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1〜4の本発明によれば、高速で、インクジェット又はレーザプリンタなどで、カードと帳票の両方に一度に可変情報を印字することができ、また、剥離後の印字カード自身は高意匠性で、印字の耐擦性に優れた高耐久性を有する効果を奏する。
請求項5の本発明によれば、高速で、インクジェット又はレーザプリンタなどで、カードと帳票の両方に一度に可変情報を印字することができ、高意匠性で、印字の耐擦性に優れた高耐久性カード状保護材が貼付されたカード付き帳票を、生産性が高く、低コストで製造できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の製造方法を説明する説明図である。
【図2】本願発明のカード付き帳票の平面図、及びAA’断面図である。
【図3】本願発明の製造方法のうち、貼合工程を説明する断面図である。
【図4】本願発明のカード付き帳票から剥離したカードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0011】
(製造方法)本願発明のカード付き帳票の製造方法は、帳票用紙101の少なくとも一方の面に、疑似接着層13を介して、剥離可能かつ表面にプリンター印字可能な第一印字領域41を有する印字カード11と、帳票用紙101の表面にプリンター印字可能な第二印字領域43を有するカード付き帳票において、図1に示すように、(1)前記透明プラスチック基材を打ち抜いてカード状にするカード状保護材21準備工程と、(2)前記カード付き帳票へ前記第二印字部を印字する第二印字領域を設け、前記印字カードへ前記第一印字部を印字する第一印字領域を設け、前記印字カードを前記カード付き帳票の第二印字領域以外のカード領域へ剥離可能に疑似接着させて、カード付き帳票を準備するカード付き帳票準備工程と、(3)前記カード付き帳票10の前記第二印字領域43及び前記印字カード11の前記第一印字領域41へ、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタで、第二印字領域43へ第二印字部33を、第一印字領域41へ第一印字部31を同時に印字する印字工程と、(4)前記印字カード11面を覆うように、前記カード状保護材21を貼合する貼合工程と、からなっている。
【0012】
(カード付き帳票)本願発明のカード付き帳票の製造方法で製造されたカード付き帳票10は、図2に示すように、該カード付き帳票10のカード領域45にカード状保護材21及び印字カード11が一体となった高耐久性カードが剥離可能に、疑似接着層13を介して疑似接着されている。即ち、カード状保護材21及び印字カード11が一体となった高耐久性カードの疑似接着層13から剥離することで、容易にカードのみを取り出すことができる。例えば、郵送されてきたカード付き帳票10を受け取った利用者は、封筒を開封してカード付き帳票10からカードを取り出して利用することができる。該カードは印字カード11がカード状保護材21で覆われているので、高耐久性である。
【0013】
(保護材準備工程)第一工程は、透明プラスチック基材を打ち抜いてカード状にするカード状保護材21準備工程である。
【0014】
(プラスチック基材)カード状保護材21に用いる透明プラスチック基材としては、透明又は半透明であればよく、例えば、PET、PBT、ポリプロピレン、アクリル系樹脂などのフィルム(シートも含む)が適用でき、その厚さは強度や表面耐久性から好ましくは100〜1000μmを用いる。さらに好ましくは、厚さが188〜750μmのPETである。これらのプラスチック基材を、後述する印字カード11のサイズよりも一回り大きなカードサイズに、公知の打ち抜き法で打ち抜いてカード状とする。カード状保護材21には、デザイン、地紋や必要事項などを予め印刷しておいてもよいが、後述する第一印字部31に該当する部分は、印字が観察できるように透明又は半透明としておけばよい。カード状保護材21の印字カード11を剥離可能に疑似接着させる面には、貼合工程で用いるための接着剤層23を予め塗布しておく場合もある。
【0015】
(カード付き帳票準備工程)第二工程は、カード付き帳票10へ第二印字部33を印字する第二印字領域43を設け、印字カード11へ第一印字部31を印字する第一印字領域41を設け、印字カード11をカード付き帳票10の第二印字領域43以外のカード領域へ剥離可能に疑似接着させて、カード付き帳票10を準備するカード付き帳票10準備工程である。
【0016】
(帳票用紙)帳票用紙101は、図2の平面図、及びAA’断面図に示すように、第二印字領域43、とカード領域45とを有し、カード領域45には疑似接着層13を介して、印字カード11が剥離可能に疑似接着させる。第二印字領域43は、帳票用紙101へ宛名などの可変情報、説明文や絵柄が印字される部分であり、カード領域45以外の部分は第二印字領域43としてもよい。帳票用紙101は、紙基材などが適用でき、該紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、上質紙、アート紙、加工紙等を使用することができ、また、該紙基材に、各種の樹脂のフィルム乃至シ−トなどを貼合したものを用いてもよい。紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2位のものを使用することが望ましい。
【0017】
帳票用紙101は、図2のように枚葉状でも、連続用紙でもよい。また、帳票用紙101を左右側端部付近に用紙送り用の穴を形成して、プリンターで所望の情報を印字する際に、連続搬送を可能としたり、さらに、搬送方向の直角方向にミシン目により連接された連続用紙としたりしてもよい。さらに、帳票用紙101は、横方向に一つ又は複数の折りミシンを設けて、連接された紙片としたり、折り畳んで使用できるようにしてもよい。さらに、帳票用紙101のサイズは特に限定されるものではないが、カード付き帳票10を利用者に郵送するため、窓付き封筒に入るサイズが好ましい。
【0018】
(印字カード)印字カード11は、カードとしての用途に応じて、プラスチック基材から選択すればよい。印字カード11のプラスチック基材としては、例えば、PET、PBT、ポリプロピレン、アクリル系樹脂などのフィルムが適用でき、その厚さとしては、帳票用紙101の第二印字領域43へ第二印字部33と、印字カード11の第一印字領域41へ第二印字領域43とを同時に印字できるように、厚み差の少なくすべく、厚さ25〜75μm程度が好ましく、さらに好ましくは、厚さ25〜50μmのPETフィルムである。この範囲未満ではペラペラで使い勝手が悪く、好ましい範囲を超えては帳票用紙101と印字カード11への同時印字が難しくなる。
【0019】
印字カード11の表面には、印刷及び/又は印字ができるように、印字層を設けておき、裏面にも、必要に応じて、印刷及び/又は印字ができるように、印字層を設けておいてもよい。印字カード11の表面には使用名の会員番号、名前などの可変情報、説明文などが印字され、絵柄の印刷などがされる。裏面にも取説情報や署名欄が印刷、又は筆記で追記できる欄を設けおいてもよい。該印字カード11に印字及び/又は印刷するための印字層としては、特に限定されるものではないが、例えばメジウム(体質顔料のみをビヒクルに分散した無色インキ)やOPニス(体質顔料を含まない無色透明インキ)が使用される。
【0020】
また、インクジェットプリンタ用としては、例えば、カチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、フィラー、及び分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体とを含むインクジェット用受容層組成物が好適である。また、レーザプリンタ用としては、例えば、酸化チタン系顔料とバインダの質量配合比が酸化チタン系顔料:バインダ=2〜10:1で、かつ、酸化チタン系顔料の塗布量が2.5g/m2以上の白インキ層を用いれば、走査するレーザ光のエネルギが2〜5Wのレーザ照射によって基材が劣化したり変色せず、レーザ印字の濃度差が大きく判読しやすい印字ができるので好ましい。
【0021】
(疑似接着層)帳票用紙101のカード領域45へ、印字カード11を剥離可能に疑似接着させる疑似接着層13としては、公知の方法でよく、例えば、剥離可能に擬似接着された2層フィルムを用い、通常、相互間の接着性が低い材質のものが用いられ、例えばPPとPE、PETとPE、PETとPP、PBTとPE、PBTとPPなどオレフィン系樹脂フィルムとエステル系樹脂フィルムの組合せが挙げられる。また、例えば、PETフィルムとPEフィルムの間に、一方のフィルムと同じ材質の樹脂、例えばPEをエクストルージョンコートして2層フィルムを積層することによって形成してもよい。即ち、相互に接着性が低い2層フィルムの間に、一方のフィルムと接着性がある樹脂を溶融状態で塗布することにより、溶融樹脂と接着性の低い他方のフィルムとの間に液体状に樹脂が界面を接するように疑似的な接着状態を形成することができる。
【0022】
印字カード11を疑似接着層13を介して、帳票用紙101のカード領域45へ剥離可能に疑似接着させる。帳票用紙101のカード領域45に感圧接着剤や、熱を加えて接着力を持たせる感熱接着剤等を使用する接着剤を塗布し、疑似接着層13を設けた印字カード11を加圧又は加熱加圧すればよい。感圧接着剤としては天然ゴム系ラテックス、感熱接着剤としてはヒートシール性接着剤やディレードタック性接着剤が挙げられる。また、印字カード11の裏面に剥離剤を塗布した剥離層を設けておき、感圧接着剤や感熱接着剤を使用する接着剤を塗布した帳票用紙101のカード領域45と重ねて、加圧又は加熱加圧してもよい。疑似接着層13の一方の面が、帳票用紙101とヒートシール性の例えば、PE系の樹脂であれば、帳票用紙101面と加熱加圧するだけで、疑似接着を形成させることができる。なお、帳票用紙101へ印字カード11が剥離可能に疑似接着されたカードは、クリーンリリース(CR)カード(大日本印刷商品名)とも呼称される。
【0023】
(印字工程)第三工程は、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタで、前記第二印字領域43へ第二印字部33を、第一印字領域41へ第一印字部31を、それぞれ同時に印字する印字工程である。
【0024】
(印字)通常、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタでの印字は、比較的厚みの薄いカードしか対応できず、厚みのあるカードの印字は一般的にカード単体で印字する必要があった。また、比較的厚みの薄いカードにも印字できる例えば、熱転写プリンタでの印字は生産性が低く、単価が高くなりがちであった。本願発明のインクジェットプリンタ又はレーザプリンタによれば、カード付き帳票10の第二印字領域43及び印字カード11の第一印字領域41の両方に、一枚一枚に異なる可変情報を一度に印字することができるので、高速で生産性に優れ、低コストであり、また、カード付き帳票10と印字カード11の情報をマッチングすることも不要である。印字に用いるプリンタは公知のインクジェットプリンタ又はレーザプリンタでよく、会員番号や個人名などの可変情報のほか、他の必要な情報も含めて印字することができる。
【0025】
印字の内容は用途によって、所望の情報や絵柄でよく、帳票用紙101の第二印字領域43への印字は、カードを手渡しする場合には宛先をも印字する必要もない。なお、図3では図示の都合上、第二印字領域43及び第一印字領域41に印字された第二印字部33及び第一印字部31の一部が表面に突出しているように表示しているが、全部が浸透してもよく、一部が突出していてもよい。
【0026】
(貼合工程)第四工程は、図3に示すように、印字カード11の表面全面を覆うように、カード状保護材21を貼合する貼合工程である。
【0027】
(接着剤層)印字された印字カード11の印字面、又はカード状保護材21の裏面に接着剤層23を設けて貼合すればよい。該接着剤層23は感熱接着剤などの粘着性のないものであれば、予め各々の面に設けておいてもよい。粘着性のある感圧接着剤を層用いる場合には、その都度塗布すればよく、この場合に予め塗布する場合は剥離紙で覆っておけばよい。接着剤層23は透明であることが、印字カード11の印字を観察する点で好ましいが、印字の観察を阻害する場合には、印字部分には塗布せず、印字部の周辺部のみに接着剤層23を設けてもよい。
【0028】
(カード付き帳票)このようにして得られたカード付き帳票10は、帳票用紙101の少なくとも一方の面に、疑似接着層13を介して、剥離可能かつ表面にプリンター印字可能な第一印字領域41を有する印字カードと、帳票用紙の表面にプリンター印字可能な第二印字領域43を有し、第一印字領域41及び第二印字領域43には第一印字部31と第二印字部33が同じプリンタで印字され、かつ、印字カード11の全面を覆うように接着剤層23を介して、透明なカード状保護材21が貼り合せられている。
【0029】
(高耐久性)図4に示すように、使用するカードはカード付き帳票10の疑似接着層13から剥離紙してなる、透明なカード状保護材21、接着剤層23及び第一印字部31を有するプラスチック基材とからなる印字カード11となる。カード状保護材21が印字カード11の印字面を含む全面を覆うので、使用者は、印字の耐擦性に優れた高耐久性カードを低コストで使用することができる。また、通常のインクジェットプリンタ又はレーザプリンタで印字した比較的厚みの薄いカードは、ペラペラで、折れたり、使い勝手が悪く、さらに、他に紛れて紛失したり、安っぽかたりしたが、本願発明のように、厚さが100〜1000μmのPETをカード状保護材21として用いれば、使い勝手もよく、高意匠性でもある。特に、印字カード11を25μmとし、カード状保護材21を188μmとすれば、合計213μm程度となって、手頃な厚さで使い勝手もよく、高意匠性でもあり、また自動読取機器でも問題なく使用することができる。また、印字カード11を25μmとし、カード状保護材21を750μmとすれば、合計775μm程度となって、クレジットカード並みの厚さとなって、他のカードと違和感もなく、使い勝手もよく、高意匠性でもあり、自動読取機器でも問題なく使用することができる。
【0030】
(カードとのサイズ差)カード状保護材21と印字カード11のサイズは、印字カード11の縁端部より全周囲にわたって+0〜+1.5mm程度大きくするが、好ましくは+0.2〜1.0mm、さらに好ましくは同じサイズである。カード状保護材21は印字カード11へ最後に貼合するので、カード状保護材21のサイズが印字カード11のサイズよりやや大きいと、カード状保護材21に印字カード11が不足して露出する部分があるが、カード状保護材21が厚く、印字カード11がよりも薄いので、使用上で特に支障はない。
【0031】
この場合には、印字カード11からはみ出さないようにカード状保護材21へ接着剤層23を設けたり、印字カード11側に予め加圧粘着剤を塗工しておいたりしてもよい。また、接着剤層23として、加熱で接着性が活性化するタイプの接着剤や、ホットメルトタイプの接着剤を用いてもよい。さらに、カード状保護材21の端部は感熱接着剤で、中央部は接着剤塗布としたり、印字カード11の周辺部の帳票用紙101へ、予め剥離剤を塗布しておいて、カード状保護材21の接着剤層23としてヒートシール性の感熱接着剤層を用いて、ヒートシール法で貼合すれば、露出した部分は接着しないので、容易に剥離することができる。
【0032】
(利用)以上のようにして得られてなる、印字カード11が剥離可能に疑似接着されたカード付き帳票10に、例えば、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタで、カード付き帳票10の第二印字領域43へカード利用者の住所や氏名等の宛先となる第二印字部33を、印字カード11の第一印字領域41へカード利用者の会員番号、氏名や利用期限等の利用情報となる第一印字部31を同時に印字しておけば、該カード付き帳票10をそのまま、又は折って、例えば、窓付き封筒に入れて封緘すれば、利用者に郵送することができる。窓付き封筒を受け取った利用者は、開封してカード付き帳票10を取り出し、カード状保護材21で覆われた印字カード11を疑似接着層13から剥離して、保険証カード、会員カード、展示会招待カード、診察カード、ポイントカードなどのカードとして利用することができる。
【0033】
カード状保護材21で覆われた印字カード11は、厚手で、高級感もある高意匠性で、印字部は強固なカード状保護材21で覆わており、高耐久性である。また、カード部分を剥がした後の帳票用紙101には、疑似接着層13の片割れがわずかに残るだけで、廃棄するゴミの量も少なく、材料資源の無駄も少なくできる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
(産業上の利用可能性)本発明のカード付き帳票の主なる用途としては、プリンタで印字でき該印字部の耐擦性などの耐久性に優れ、かつ意匠性のカードを有するカード付き申し込み用紙、保険証カード付き帳票、会員カード付き帳票、展示会招待カード付き帳票、診察カード付き帳票、ポイントカード付き帳票、クレジットカードが発行されるまでの間に使用する仮カード付き申込書などである。しかしながら、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタで印字でき、耐久性に優れるカードを付けたカード付き帳票を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
10:カード付き帳票
11:印字カード
13:疑似接着層
21:カード状保護材
23:接着剤層
31:第一印字部
33:第二印字部
41:第一印字領域
43:第二印字領域
45:カード領域
101:帳票用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票用紙の少なくとも一方の面に、疑似接着層を介して、剥離可能かつ表面にプリンター印字可能な第一印字領域を有する印字カードと、帳票用紙の表面にプリンター印字可能な第二印字領域を有するカード付き帳票において、前記第一印字領域へ印字する第一印字部と前記第二印字領域へ印字する第二印字部とは同じ面側に設けられ、かつ、同じプリンタで同時に印字され、前記印字カードの表面の全面を覆うように接着剤層を介して、透明なカード状保護材を貼り合せたことを特徴とするカード付き帳票。
【請求項2】
前記カード状保護材の厚さが100〜1000μmの透明プラスチック基材からなることを特徴とする請求項1記載のカード付き帳票。
【請求項3】
前記印字カードの厚さが25〜75μmのプラスチック基材からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載のカード付き帳票。
【請求項4】
前記第一印字部と前記第二印字部がインクジェットプリンタ又はレーザプリンタで印字された印字部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード付き帳票。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカード付き帳票の製造方法であって、(1)前記透明プラスチック基材を打ち抜いてカード状にするカード状保護材準備工程と、(2)前記カード付き帳票へ前記第二印字部を印字する第二印字領域を設け、前記印字カードへ前記第一印字部を印字する第一印字領域を設け、前記印字カードを前記カード付き帳票の第二印字領域以外のカード領域へ剥離可能に疑似接着させて、カード付き帳票を準備するカード付き帳票準備工程と、(3)インクジェットプリンタ又はレーザプリンタで、前記第二印字領域へ第二印字部を、第一印字領域へ第一印字部を、それぞれ同時に印字する印字工程と、(4)前記印字カードの表面全面を覆うように、前記カード状保護材を貼合する貼合工程と、からなることを特徴とするカード付き帳票の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−228785(P2012−228785A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96868(P2011−96868)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】